JP2710198B2 - 吸着剤と濾過剤およびそれらの使用方法 - Google Patents

吸着剤と濾過剤およびそれらの使用方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気相または液相中の物質
ならびに気相または液相自体の精製、補集、回収または
分別を伴う産業分野に利用が可能であり、例として、化
学、薬品、食品、金属、エレクトロニクスなどの産業上
の利用分野が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来の吸着剤の中で物理的・化学的安定
性に優れ、最も広範に利用されているのは活性炭に代表
される炭素材料である。通常、活性炭は粉末もしくは粒
状で使用されるが、前者は吸着活性は相対的に高いが、
飛散し易く、取扱いに注意(粉塵爆発・肺への吸引によ
る健康上の危険性)を必要とする欠点を持つ。後者は取
扱い易いが、吸着能が低いという欠点を持つ。
【0003】また、液相で使用する場合、粉末活性炭は
普通、回分接触法(直接液相へ吸着剤を導入し攪拌す
る)で使用され、平衡吸着量以上の吸着量を期待するこ
とはできない。粒状活性炭は、通液法(吸着剤を固定層
として液相を流す)で使用されるが、低い吸着能のため
多量の固定層を必要とする。
【0004】さらに、両者とも他の炭素材料同様、液体
に対して濡れ難く、特別の処理が必要である。また、活
性炭を含む炭素材料中には通常、低分子量の有機物が本
来的に存在している。活性炭等を吸着剤として用いる場
合、吸着後の気相、液相中に活性炭等に含まれる有機物
が混入する恐れがあり、特に飲料水など飲食物を精製す
るため活性炭等を用いる場合は、人体への影響が懸念さ
れる。また、一般に活性炭などの炭素材料の微粒子に対
する濾過作用は顕著ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、吸着剤として広く利用されている活性炭に
代表される炭素材料の欠点・短所、すなわち、粉末活性
炭は取り扱いが困難である(粉塵爆発・健康上の危険
性)という欠点、粒状活性炭は単位当たりの吸着量が低
いという欠点、さらに、活性炭全体に共通する液体に対
して濡れ難いという短所、低分子量の有機物が混入する
という短所を克服し、同時に活性炭に代表される炭素材
料以上の優れた物理的・化学的安定性、高い吸着活性、
さらに顕著な濾過特性を備えるナノチューブを利用した
吸着剤・濾過剤を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、吸着
剤、濾過剤としてカーボン・ナノチューブを使用するこ
とである。使用方法は、従来の技術の項で述べた回分接
触法あるいは通液法を用いることができる。
【0007】ナノチューブは活性炭と同等もしくはそれ
以上の物理的、化学的安定性を持ち、非常に微細な構造
を持つにもかかわらず飛散し難い。ナノチューブは炭素
100%で構成された完全結晶であるので、低分子量の
有機物を全く含まない。また、後述するように吸着能に
優れ、液体に対して非常に濡れ易い特長を持つ。さらに
再生可能である。ナノチューブは非常に微細な針状結晶
であるため、自らが集積することにより高密度で微小な
3次元的細孔を自己形成することが可能である。このこ
とは分子レベルでの吸着能ばかりでなく、マイクロメー
トル、ナノメートル・オーダーの微粒子の濾過機能を持
つことを示している。
【0008】
【作用】カーボン・ナノチューブは、非常に微小な針状
グラファイト結晶であり、新しい炭素の同素体として注
目されている。ナノチューブの直径は1ナノメートル前
後から数十ナノメートル,長さは数百ナノメートルから
数マイクロメートルであり、非常に細長いストローのよ
うな形状である。また、側面は円筒状のグラファイト
面、先端部分は両方ともグラファイト曲面で覆われ、閉
じた構造を持つ。
【0009】ナノチューブを産業上に利用するために
は、高収率で大量に製造する必要があるが、1992年
にナノチューブの大量合成法(特願平4−172242
号、特願平4−311846号)が発見され、問題は解
決されている。また、ナノチューブの合成時に副産物と
して生成するカーボン・ナノ粒子(微小なグラファイト
多面体)やアモルファス炭素を取り除き、純粋なナノチ
ューブを得る方法(特願平5−014387号、特願平
5−133048号)が開発され、特異な電気物性や物
理的・化学的性質を持つナノチューブを化学からエレク
トロニクスに渡る広範な次世代の産業分野に適用するこ
とが可能である。
【0010】ナノチューブは、網目状炭素が切れ目なく
閉じた構造を有し、いわゆる欠陥や転移の無い完全結晶
でありため、物理的、機械的強度が非常に高い。理論的
な予測によると引っ張り強度はダイヤモンドを凌ぐと言
われている。また、ナノチューブは炭素100%で構成
された完全結晶であるため、さらに合成法から考えて
も、低分子量の有機物が混入する可能性は全くない。ナ
ノチューブの化学的安定性を示す例としては、高温耐性
(酸素存在下)、耐薬品性(例えば、硫酸や硝酸などの
強酸に対する反応性)などが挙げられる。炭素の同素体
の一つであるC60の場合、酸素存在下、500゜C足ら
ずの温度で燃焼が始まるのに対して、ナノチューブの場
合は700゜C前後まで燃焼しない(ネイチャー(Na
ture),Vol.362,No.6420,pp.
522−525,1993年4月8日)。炭素材料の中
で耐熱性(空気存在下)が高いカーボン・ウイスカーの
場合、耐熱限界温度は700゜C(例えば、日機装製、
商品名:グラスカーGRASKER、特性表記載)であ
る。従って、ナノチューブの酸素存在下での高温耐熱性
は、炭素材料中、最も優れている部類に入る。
【0011】さらに、通常の炭素材料の粉末(例えば、
アモルファス炭素)を硫酸、硝酸中で180゜C、6時
間、煮沸した場合、原料である炭素材料の回収率(重
量)は10%以下であるのに対して、ナノチューブ(粉
末)を同じ条件で処理した場合、ナノチューブの回収率
は80%以上である。他の腐蝕性の反応物質についても
同じ結果が得られている。これらの結果は、通常の炭素
材料とナノチューブの炭素骨格の構造の相違に由来して
いる。すなわち、通常の炭素材料は2次元のグラファイ
ト面が層状に積み重なった構造を持ち、周辺部分が開い
た構造であるため、層間に反応物質が侵入し、表面部分
のみならず内部からも反応が進行するのに対して、ナノ
チューブはグラファイト面が閉じた構造であるので、表
面のみしか反応が起こらないという理由に因る。
【0012】さらに、ナノチューブの場合は欠陥や転移
が無い完全結晶であるため、反応の開始点となるダング
リン・ボンド(結合が切断され、電子が剥き出しになっ
て反応性が非常に高い)が無く、多くの欠陥や転移を持
つ他の炭素材料とは対照的に、ナノチューブは本来的に
反応性が低いことも大きな理由である。以上の如く、ナ
ノチューブは活性炭を含む他の炭素材料と同等もしくは
それら以上の物理的・化学的安定性を持ち、これらはナ
ノチューブを利用する上で有利な特性となっている。
【0013】前述したように、ナノチューブは非常に微
細で細長い針状結晶である。従って、バルク状態のナノ
チューブは、互いに3次元的に複雑に絡み合うため、飛
散し難い。さらに自らが集積することにより高密度で微
小な3次元的細孔を自己形成することが可能である。こ
のことは分子レベルでの吸着能ばかりでなく、マイクロ
メートル、ナノメートル・オーダーの微粒子や超微粒子
の濾過機能を持つことを示している。
【0014】吸着剤の液体に対する濡れやすさは、液相
中の物質を補集、分別し、液相を精製、回収する場合、
吸着剤が有効に働くかどうかという点で重要となる。す
なわち、吸着剤が濡れやすいほど、液相が吸着剤内部ま
で浸透し、吸着効率が向上する。ナノチューブの液体に
対する濡れやすさは、次の簡単な実験で示すことが出来
る。ナノチューブを敷き詰めた上部から水を滴下してゆ
く。すると、水はナノチューブにどんどん浸透してゆ
く。同様の実験を粉末のアモルファス炭素を用いて実験
すると、水は弾かれて水滴となり内部には染み込んでい
かない。ガラス状炭素の粉末を用いた場合もアモルファ
ス炭素の粉末の場合と同じ結果である。
【0015】このように、他の炭素材料に比較して、ナ
ノチューブは非常に液体に対して濡れやすい。この理由
は、通常の炭素材料を形成するグラファイト面が平面状
であるのに対して、ナノチューブを形成するグラファイ
ト面が円筒状と球面状であることに由来すると考えられ
る。すなわち、構成元素である炭素のπ軌道が、他の炭
素材料の場合はお互いに平行であるのに対して、ナノチ
ューブの場合は平行でなくある角度で外に向かって開い
ているため、液体を構成する分子(または原子)がナノ
チューブ表面の炭素原子と相互作用しやすいことに起因
していると考えられる。
【0016】バルクのナノチューブは粉末状であるが、
一本一本のナノチューブは極微であるため、高密度に圧
縮することが可能で様々な形状に加工できる。従って、
液相で吸着剤として使用する場合、粉末、粒状どちらで
も使用可能であり、粉末活性炭のように回分接触法(直
接液相へ吸着剤を導入し攪拌する)、粒状活性炭のよう
に通液法(吸着剤を固定層として液相を流す)の両者の
方法を用いることができる。また、吸着物が気化する場
合は、加熱装置、吸着物気体の補集装置を組み合わせる
ことで、吸着物の補集、分別のみならず、精製、回収も
行える。さらに、吸着剤としてのナノチューブを容易に
再生することが可能であり、繰り返し使用に耐える。次
項に示す実施例から、ナノチューブは高い吸着能を示す
ことが分かる。
【0017】また、ナノチューブを精製し、ナノチュー
ブの両端を開口する技術(特願平5−133048号)
を併用することにより、ナノチューブ内部を吸着サイト
として利用することも可能である。開口したナノチュー
ブを用いた場合、20〜50%の吸着量の増加が見られ
る。
【0018】以上より、ナノチューブは活性炭と同等も
しくはそれ以上の物理的、化学的安定性を持ち、非常に
微細な構造を持つにもかかわらず飛散し難いことが分か
る。また、吸着能に優れ、液体に対して非常に濡れ易い
特長を持ち、吸着後の気相、液相中に低分子量の有機物
を混入させてしまうことがない。さらに、自らが集積す
ることにより高密度で微小な3次元的細孔を自己形成
し、分子レベルでの吸着能ばかりでなく、マイクロメー
トル、ナノメートル・オーダーの微粒子や超微粒子の濾
過機能を持つことが分かる。
【0019】
【実施例】
(実施例1)ナノチューブを濾過剤として用い、懸濁水
溶液中のポリメチルメタクリレート(PMMA)の超微
粒子を補集、分別し、純粋な水を精製、回収した例を以
下に示す。
【0020】(実験)注射器の筒の底に紙フィルターを
敷き、その上にナノチューブ0.4gを敷き詰め、ナノ
チューブのフィルターを作った。ナノチューブ部分の厚
さは2mm程度であった。平均粒子径1〜2μmのPM
MA超微粒子(商品名:アクリル超微粉体、MP−14
00、綜研化学株式会社製)と平均粒子径0.15μm
のPMMA微粒子(同上、MP−1451)の懸濁水溶
液(濃度はともに1.0*10-1g/l)を調整し、ナ
ノチューブのフィルター上部に懸濁水溶液を注ぎ、下部
から流出する水溶液の紫外吸収スペクトルを測定し、ナ
ノチューブの超微粒子に対する濾過作用について調べ
た。
【0021】(結果)ナノチューブ上部に平均粒子径1
〜2μmのPMMA超微粒子の懸濁水溶液を滴下する
と、どんどん染み込むことから、ナノチューブは水溶液
に対して非常に濡れ易いことが分かった。次に、流出前
と流出後の水溶液の紫外・可視吸収スペクトルの変化を
図1に示す。スペクトルAがナノチューブのフィルター
を通す前のPMMA超微粒子の懸濁水溶液のスペクト
ル、スペクトルBがフィルターを通過させた後の水溶液
のスペクトルである。一般に、懸濁液はその中に含まれ
る微粒子が光を散乱するため、紫外・可視吸収スペクト
ルを測定すると、赤外領域から紫外域にかけて見掛け上
の幅広い吸収が見られる。スペクトルAは波長200〜
700nmに渡って幅広い吸収が見られるが、これは、
PMMAの超微粒子に由来する見掛け上の吸収である。
流出後のスペクトルには、PMMAの超微粒子による吸
収は全く現れず、従って、流出してきた水溶液は純粋な
水であることを示している。
【0022】すなわち、懸濁水溶液中のPMMAの超微
粒子がすべてナノチューブの濾過作用により除去され、
純粋な水が精製・回収されている。平均粒子径0.15
μmのPMMA超微粒子の懸濁液について同様な実験を
行い、紫外・可視スペクトルを測定したのが図2であ
る。図1と同様に、スペクトルAがフィルターを通す前
のPMMA超微粒子の懸濁水溶液のスペクトル、スペク
トルBがフィルターを通過させた後の水溶液のスペクト
ルである。図2から明らかなように、平均粒子径1〜2
μmのPMMAの超微粒子の場合と同様に、平均粒子径
0.15μmのPMMAの超微粒子もナノチューブによ
り完全に濾過され、純粋な水が得られていることが分か
る。以上2つの実験結果より、ナノチューブにはマイク
ロメートル、ナノメートル・オーダーの物質に対する濾
過機能があることが分かる。また、PMMAの超微粒子
を濾過した後のナノチューブを注射器から取り出し、水
洗いすることにより、再度ナノチューブを濾過剤として
用いることが可能であることを確認した(図1の実験
後、ナノチューブを水洗いし、図2の実験を行った)。
【0023】次に、参照のために、同様の実験を炭素材
料の一種アモルファス炭素で行った。しかしながら、ア
モルファス炭素のフィルターは水溶液に対して濡れ難い
ことが分かった。さらに、アモルファス炭素由来の多量
の微粒子を濾液中に含むことが肉眼で確認され、紫外・
可視吸収スペクトルからはPMMAの超微粒子の除去は
判断できなかったが、重要なことは、アモルファス炭素
では少なくとも水の精製、回収は出来ないということで
ある。
【0024】(実施例2)ナノチューブを吸着剤として
用い、ベンゼン水溶液中のベンゼンを補集・分別した例
を以下に示す。
【0025】(実験)ナノチューブ1gをガラスフィル
ターの底に敷き詰め、ナノチューブのフィルターを作っ
た。フィルター上部から5*10-3mol/lのベンゼ
ン水溶液をポンプで加圧しながら流し、下部から流出す
る水溶液の紫外吸収スペクトルを測定し、ナノチューブ
のベンゼン吸着作用を調べ、ベンゼンの吸着量を決定し
た。
【0026】(結果)ナノチューブ上部にベンゼン水溶
液を滴下すると、どんどん染み込むことから、ナノチュ
ーブはベンゼン水溶液に対して非常に濡れ易いことが分
かった。次に、流出前と流出後の水溶液の紫外吸収スペ
クトルの変化を図3に示す。スペクトルAがフィルター
を通す前のベンゼン水溶液のスペクトル、Bがフィルタ
ーを通過させたはじめの5mlのスペクトル、Cが50
ml流した後のスペクトルである。スペクトルAの24
5nm付近を中心とする振動構造を伴う吸収は、水溶液
内のベンゼンによるものである。ベンゼン水溶液をフィ
ルターに通すと、スペクトルBに示すようにベンゼンに
由来する吸収はすべて無くなっている。これはナノチュ
ーブによって、水溶液中のベンゼンがすべて吸着し、除
去されていることを示している。従って、ナノチューブ
はベンゼンに対して高い吸着能を持つことが分かる。ま
た、他の有機物に由来する吸収が見られないことから、
ナノチューブ中には、低分子量の芳香族炭化水素のよう
な有機物は存在しないことが確認される。さらにベンゼ
ンの吸着が飽和に達するまで、ベンゼン水溶液を流し続
け(スペクトルCは飽和途中のスペクトルに対応す
る)、ベンゼンの吸着量を計算すると、ナノチューブに
は、2*10-4mol/gのベンゼン吸着能があること
が分かった。この吸着量は、30m2 /gに相当し、ナ
ノチューブに対して行われたBET法(N2 の吸着能)
による実験で得られた結果と良く一致している。
【0027】参照のために、同様の実験を炭素材料の一
種アモルファス炭素で行ったところ、アモルファス炭素
はほとんどベンゼンを吸着しなかった(アモルファス炭
素のフィルターから流出した水溶液のスペクトルは、ア
モルファス炭素による多量の微粒子を含むためにバック
グラウンドが大きく、グラフのスケールからはみ出すの
で、図1に示していない)。また、アモルファス炭素の
フィルターは水溶液に対して濡れ難く、フィルターがう
まく形成されなかった。さらに濾液にアモルファス炭素
が混入していることが肉眼でも確認された。ナノチュー
ブのフィルターではこのようなことはなく、密なフィル
ターが形成されていることがわかる。実験後、ナノチュ
ーブを減圧下、60゜C、1時間の加熱処理を行い、同
様の実験を行ったところ、上記の結果と全く同様の吸着
活性を示した。従って、ナノチューブは吸着剤として再
生使用が可能であることが分かった。
【0028】(実施例3)ナノチューブを吸着剤として
用い、クロロベンゼン水溶液中のクロロベンゼンを補集
・分別した例を以下に示す。
【0029】(実験)注射器の筒の底に紙フィルターを
敷き、その上にナノチューブ0.5gを敷き詰め、ナノ
チューブのフィルターを作った。注射器内部に1*10
-4mol/lのクロロベンゼン水溶液を入れ、下部から
流出する水溶液の紫外吸収スペクトルを測定し、ナノチ
ューブのクロロベンゼン吸着作用を調べた。
【0030】(結果)ナノチューブは、クロロベンゼン
水溶液に対して非常に濡れ易いことが分かった。次に、
流出前と流出後の水溶液の紫外吸収スペクトルの変化を
図4に示す。スペクトルAがフィルターを通す前のクロ
ロベンゼン水溶液のスペクトル、Bがフィルターを通過
させた水溶液のスペクトルである。スペクトルAの26
5nm付近に極大を持つ吸収は、水溶液内のクロロベン
ゼンによるものである。ベンゼン水溶液をフィルターに
通すと、スペクトルBに示すようにクロロベンゼンに由
来する吸収は、通過前と比較して、その強度を約4分の
1に減少させている。これはナノチューブによって、水
溶液中のクロロベンゼンが75%除去されていることを
示している。実験後、ナノチューブを減圧下、60゜
C、1時間の加熱処理を行い、同様の実験を行ったとこ
ろ、上記の結果と全く同様の吸着活性を示した。従っ
て、ベンゼンの吸着の場合同様、クロロベンゼンを吸着
する場合でも、ナノチューブは吸着剤として再生使用が
可能であることが分かった。
【0031】
【発明の効果】上記実施例から、ナノチューブを吸着
剤、濾過剤として用いることにより、液相中の物質なら
びに液相自体の精製、補集、分別または回収することが
可能であることが実証された。実施例で用いた液相の代
わりに気相を用いても同様の結果を生む。さらに、ナノ
チューブ独特のの性質により、従来の吸着剤、濾過剤以
上の以下に示す特性が証明されている。すなわち、ナノ
チューブは物理的、化学的安定性を持ち、非常に微細な
構造を持つにもかかわらず飛散し難い。ナノチューブは
炭素100%で構成された完全結晶であるので、低分子
量の有機物を全く含まない。吸着能に優れ、液体に対し
て非常に濡れ易い特長を持つ。ナノチューブは吸着剤、
濾過剤として再生可能である。ナノチューブは自らが集
積することにより高密度で微小な3次元的細孔を自己形
成し、マイクロメートル、ナノメートル・オーダーの微
粒子の濾過機能を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための図。
【図2】本発明の実施例を説明するための図。
【図3】本発明の実施例を説明するための図。
【図4】本発明の実施例を説明するための図。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボン・ナノチューブからなることを
    特徴とする吸着剤。
  2. 【請求項2】 カーボン・ナノチューブからなる吸着剤
    を固定層とし、気相または液相を前記固定層を通過さ
    せ、該気相または液相中の物質を前記吸着剤に吸着させ
    ることを特徴とする請求項1記載の吸着剤の使用方法。
  3. 【請求項3】 前記物質が有機物またはハロゲン化合物
    であることを特徴とする請求項2記載の吸着剤の使用方
    法。
  4. 【請求項4】 カーボン・ナノチューブからなることを
    特徴とする濾過剤。
  5. 【請求項5】 カーボン・ナノチューブからなる濾過剤
    を固定層とし、気相または液相を前記固定層を通過さ
    せ、該気相または液相中の物質を濾過することを特徴と
    する請求項4記載の濾過剤の使用方法。
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