JP2020048973A - 生体由来液浄化用吸着材の製造方法 - Google Patents

生体由来液浄化用吸着材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微粉の発生が低減した生体由来液浄化用吸着材を簡便に取得できる製造方法を提供する。【解決手段】生体由来液浄化用吸着材の製造方法であって、活性炭を準備する工程と、活性炭を酸化することにより生体由来液浄化用吸着材を得る酸化処理工程と、を含む。活性炭の炭素源はピッチ、タール、および合成樹脂からなる群から選択される。酸化処理工程は酸素が含まれる雰囲気下での加熱処理である。加熱処理の温度は400℃以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、生体由来液浄化用吸着材の製造方法に関し、詳細には生体由来液浄化用カラム等に使用される吸着材の製造方法に関する。
生体由来液に含まれる毒素を除去する目的で、患者の体外に生体由来液の循環路を形成し、患者の生体由来液を体内から体外へ取り出し、体外での浄化処理を実施してから、再び患者体内へ生体由来液を戻す治療方法が行われている。例えば、腎疾患患者に対しては、血液中に含まれる毒素を除去するために、患者の血液を体内から体外へ取り出し、血液透析器(ダイアライザー)を通して血液中の老廃物および余分な水分などを取り除き、浄化された血液を再び患者体内に戻す治療方法が施されている。
体外での生体由来液の浄化処理には、吸着材が充填されたカラム、およびフィルタを備えた生体由来液浄化機器などが使用されている。カラム内に充填される吸着材としては、例えば、多孔性樹脂、イオン交換体、ガラス多孔質、セラミックスおよび活性炭などが用いられる。また、その形状は粒子状、不織布状、および織物状など様々である。中でも形状が粒子状の吸着材は、不織布および織物等の布帛状の吸着材と比較して、生体由来液を通過させたときの圧力損失が少ないこと、また、浄化させる生体由来液が血液の場合は、体外循環血液回路および血液浄化カラム内での血液の凝固のリスクが少ないことから好適に使用されている。一方で、粒子状の吸着材は、個々の吸着材粒子がカラム内で固定されていないため、充填液または生体由来液に溶解しない微粉が存在すると、微粉はカラムの充填液中および浄化中の生体由来液内に遊離してしまうおそれがある。吸着材の微粉は、カラムを詰まらせたり、体内に侵入する可能性があったりするため、安全性に問題がある。そのため、微粉が生じ得る吸着材を使用する場合には、微粉を生じさせないか、問題ない範囲まで微粉の発生量を低減する処理が必要となる。
微粉を低減する方法として、微粉を発生させないように吸着材表面を樹脂で被覆するのが一般的である(例えば特許文献1)。他には、吸着材を洗浄することによる微粉除去(例えば特許文献2、特許文献3)が考えられている。
特開昭51−151693号公報 特開昭56−63358号公報 国際公開第2006/009179号公報
しかしながら、樹脂を被覆することで微粉を低減する場合は、被膜を形成する樹脂のコーティング剤を準備する設備、コーティング設備、および樹脂をコーティングした吸着材を乾燥させる乾燥設備といった特殊な設備が必要で、その工程も複雑化する。また、洗浄することで微粉を低減する場合、効率よく微粉を除去することは困難であり、大量の水を必要としたり、長時間を要したり、さらにその後の微粉と製品とを篩別する工程および乾燥工程などが必要であったりする。設備および工程などの増加によって複雑化することで、さらにそれぞれの設備および工程などの管理も複雑化するというさらなる問題がでてくる。
本発明は、樹脂被覆および洗浄などに必須である特殊な設備および複雑な工程などが不要で、微粉が低減した生体由来液浄化用吸着材を簡便に取得できる生体由来液浄化用吸着材の製造方法を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明にかかる一態様の生体由来液浄化用吸着材の製造方法は、活性炭を準備する工程と前記活性炭を酸化することにより前記生体由来液浄化用吸着材を得る酸化処理工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、微粉が低減した生体由来液浄化用吸着材を簡便に取得できる。
本発明の一実施形態にかかる生体由来液浄化用吸着材の製造方法は、活性炭を準備する工程と、該活性炭を酸化することにより生体由来液浄化用吸着材を得る酸化処理工程を含むものである。
本明細書において、生体由来液とは、生体から取得された液体を指す。生体由来液としては、血液、血漿、血清、脳髄液および腹水等の体液が挙げられる。生体由来液は、未処理であってもよいし、フィルタを通したり、凝固防止剤を添加したりなど、任意の処理が施されていてもよい。一例において、生体由来液は、血液透析を必要とする患者から取得された血液である。由来生物は特に限定されず、哺乳類、鳥類、および爬虫類等が挙げられ、好ましくは、イヌ、ネコ等のペット;ウシ、ウマ、ブタ等の家畜;ヒト等を含む哺乳類である。
〔準備工程〕
準備工程では、酸化処理工程に供して生体由来液浄化用吸着材を調製するための活性炭を準備する。活性炭の準備は、自ら製造することであってもよいし、市販されている製品を購入することであってもよい。活性炭を自ら製造する場合、従来公知の任意の方法により製造すればよく、例えば、後述の実施例に従って製造することができる。
(活性炭)
本製造方法に使用する活性炭は、生体由来液浄化時に目的の吸着対象を吸着できるものを用いることができる。
活性炭の炭素源として、任意の炭素含有材料を用いることができる。炭素含有材料としては、例えば、植物、ピッチ、タールおよび合成樹脂等が挙げられる。具体的には、植物は木材、木炭、もみ殻、ヤシ殻、パーム殻などの果実殻が挙げられる。ピッチおよびタールは石油ピッチ、石炭ピッチ、石油タールおよび石炭タールが挙げられる。合成樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれも用いることができる。植物を原料とする活性炭と比較して不純物の少なさの観点から、ピッチ、タールおよび合成樹脂が好ましい。
活性炭の形状は特に限定されず、例えば、球状、繊維状、粉末状および造粒物等が挙げられる。中でも、活性炭の形状は、球状であることが好ましい。球状である場合、活性炭どうしの接触面積が小さいため、生体由来液が活性炭の間を通りやすい。また、角のない構造であるため欠けにくく、微粉が発生しにくいので、カラムの詰まりを低減することができる。そのため、生体由来液が通りやすく、また、安全性も高まる。また、後述の酸化処理工程とは別に微粉の発生を抑えてさらなる安全性を確保する観点から、微粉状の炭素含有材料を結着剤等で造粒させたものではなく、一体成形(一塊り)として製造されたものを用いることが好ましい。
ここで、本明細書における微粉とは、カラムに充填する充填液および生体由来液などに溶解しない微粉を指す。充填液および生体由来液などに溶解しない微粉はカラムの充填液中および浄化中の生体由来液内などに遊離してしまうため、体内に侵入する可能性があり安全性に問題がある。体内に侵入しないように、生体由来液浄化機器には各所にフィルタが設置されているが、フィルタに微粉がたまることでカラムを詰まらせたりする。
活性炭が球状である場合、平均粒子径は生体由来液浄化時に目的の吸着対象を吸着できるものであれば特に限定されないが、圧力損失の観点から、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、250μm以上であることがさらに好ましい。また、吸着速度の観点から、1500μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。本明細書において平均粒子径とは、体積基準の粒度累積線図において粒度累積率50%における粒子径(Dv50)をいう。粒度累積線図はJISK 1474に準じて作成すればよい。
活性炭の嵩密度は、生体由来液浄化時に目的の吸着対象を吸着できるものであれば特に限定されないが、圧壊強力の観点で、0.30g/cm以上であることが好ましく、0.40g/cm以上であることがより好ましい。吸着特性の観点で、0.70g/cm以下であることが好ましく、0.60g/cm以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、嵩密度は、容器に活性炭を充填したときの活性炭の乾燥重量W(g)を充填された活性炭の体積V(cm)で除した値である。
活性炭のBrunauer―Emmett―Teller(BET)法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)は、生体由来液浄化時に目的の吸着対象を吸着できるものであれば特に限定されないが、200m/g以上であることが好ましい。SSAが200m/g以上であれば、毒性物質に対する吸着能が十分に発揮できる。SSAは、吸着能の観点から、より好ましくは500m/g以上であり、さらに好ましくは1000m/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度および強度の観点から、SSAは2500m/g以下であることが好ましく、2000m/g以下であることがさらに好ましい。
(酸化処理工程)
酸化処理工程では、準備工程で準備した活性炭に対して酸化処理を施す。酸化処理工程における酸化処理は、従来知られている酸化処理の何れの処理方法も用いることができる。酸化処理としては、例えば、活性炭を気相中で酸化性ガス存在下で加熱する酸化処理、および活性炭を液相中で酸化剤と反応させる処理などが挙げられる。中でも、酸化処理後の洗浄が不要であるために効率的に微粉が除去される観点から、活性炭を酸化性ガス存在下で加熱する酸化処理が好ましい。
酸化性ガスとしては、酸素原子を含み、加熱処理により対象物を酸化し得る気体成分であればよく、例えば、O、OおよびNO、これらを空気または窒素等で希釈した混合ガス、ならびに空気等を挙げることができる。なかでも、空気または空気との燃焼ガスとの混合ガスを用いることにより、処理が簡便になるとともに、経済的にも有利となる。
活性炭を酸化性ガス存在下で加熱することで、活性炭における脆く微粉が発生し易い箇所、あるいは活性炭に付着している微粉が燃焼し、それらが焼失することで、使用中に発生し得る微粉を低減できるものと推察されるが、効果が得られる限り原理はこれに限られない。
活性炭を酸化性ガス存在下で加熱、すなわち酸化反応に必要な酸素原子を有した状態で加熱する場合、酸化処理を行う槽内に連続的にまたは間欠的に酸化性ガスを供給することで、槽内に常時酸素が供給されている状態にすることが好ましい。常時酸化性ガスが供給されている状態で加熱することで、まんべんなく活性炭を酸化することができ、微粉を十分に除去することができる。燃焼により酸素原子が消費されると、槽内にある酸素原子量が低下し、酸化処理効率が低下する虞がある。常時酸化性ガスが供給されることにより、未酸化状態の活性炭が残存することを防ぐことができ、より効率的に、かつより確実に微粉を除去することができる。
酸化処理の条件は、酸化性ガスの濃度、処理温度および処理時間それぞれが互いに影響を及ぼす。そのため、それぞれについて一概に規定することはできないが、一つの例として説明すれば、酸化処理温度は、300℃でも一部の微粉の除去が可能ではあるが、効率的に酸化させる観点から、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは440℃以上であり、さらに好ましくは460℃以上である。上限は、特に限定されるものではないが、処理している活性炭自体の燃焼を防ぎ、吸着材としての処理能力を維持する観点から、900℃以下であることが好ましく、より好ましくは800℃以下であり、さらに好ましくは750℃以下である。
酸化処理時間は、酸化処理温度とも関係し、特に限定されるものではないが、5分以上が好ましく、10分以上がさらに好ましく、30分以上が最も好ましい。具体的には、例えば、処理温度が400℃以上450℃未満の場合、10分以上が好ましく、30分以上がさらに好ましく、60分以上が最も好ましい。処理温度が450以上500℃以下の場合、5分以上が好ましく、20分以上がさらに好ましく、40分以上が最も好ましい。
また酸化処理時間の上限も特に限定されるものではないが、効率化の観点から180分以下が好ましく、120分以下がさらに好ましい。
活性炭を酸化性ガス存在下で加熱する酸化処理は、従来公知の任意の処理形態で行うことができる。例えば、流動床で酸化処理を行ってもよく、静置層で酸化処理を行ってもよい。
なお、酸化処理を行った活性炭は、さらに表面を改質する処理を行うことができる。例えば、800〜1200℃、好ましくは800〜1000℃の温度下、非酸化性ガス雰囲気下で還元処理を行ってもよい。酸化処理した活性炭の表面を改質することで、生体由来液浄化時の特定の吸着対象に対する吸着特異性および選択吸着性などを付与することができる。
酸化処理の好ましい態様は、活性炭を酸化性ガス存在下の気相中で加熱する酸化処理であるが、上述の通り、活性炭を酸化剤と反応させる処理なども可能である。活性炭を酸化剤と反応させる処理としては、活性炭を酸化剤溶液に浸漬させる方法および活性炭に酸化剤溶液を噴霧する方法などが挙げられる。
酸化剤溶液を用いて酸化処理を行う場合、酸化剤としては、硫酸、硝酸および過酸化水素等の酸化性液体ならびにこれらの混合物を用いることができる。
なお、酸化処理条件の目安の一つとして、活性炭における酸素含有量の増加量が挙げられる。例えば、活性炭に含まれる酸素量を活性炭重量の百分率で表した場合に、酸化処理前と比較して、2.0以上増加するように酸化処理することが好ましく、3.0以上増加するように酸化処理することがより好ましく、4.0以上増加するように酸化処理することが特に好ましい。なお、酸化処理によりいったん酸素含有量が増加すればよく、その後に還元処理を施すことにより酸素含有量が低下しても、本実施形態の製造方法における効果に影響を及ぼすものではない。
[生体由来液浄化用吸着材の用途]
本実施形態の製造方法により製造される生体由来液浄化用吸着材は、カラムおよびフィルタなどの生体由来液浄化機器に用いることができる。カラムにおける生体由来液浄化用吸着材の量は特に限定されず、生体由来液の種類、生体由来液の量、生体由来液浄化用吸着材の形状によって、適宜選択すればよい。また、カラムのハウジングの大きさも特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。フィルタの大きさは特に限定されず、生体由来液の種類、生体由来液の量、生体由来液浄化用吸着材の形状等によって、適宜選択すればよい。上述の通り、不純物が体内に侵入することを防ぐために、生体由来液浄化機器には各所にフィルタが設置されている。本実施形態の製造方法により製造される生体由来液浄化用吸着材によれば、微粉の発生が低減されているため、フィルタにたまる微粉の量が低減され、カラムのつまりを防いだり、フィルタの交換の頻度を低減したりできる。なお、ここでの「フィルタ」とは生体由来液浄化を意図したフィルタのことではなく、生体由来液に由来しない不純物を除去することを意図したフィルタのことである。
(まとめ)
以上の通り、本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法は、活性炭を準備する工程と、前記活性炭を酸化することにより前記生体由来液浄化用吸着材を得る酸化処理工程と、を含む構成である。
本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法の一態様では、前記酸化処理工程における酸化処理は、酸素が含まれる雰囲気下での加熱処理である。
本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法の一態様では、前記加熱処理の温度は400℃以上である。
本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法の一態様においては、前記加熱処理では、常時酸素を供給している。
本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法の一態様では、前記活性炭の炭素源がピッチ、タール、および合成樹脂からなる群から選択される。
本発明に係る生体由来液浄化用吸着材の製造方法の一態様では、前記活性炭が一体成形された活性炭である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
<各物性の測定方法>
[酸素含有量]
各実施例における酸化処理後の活性炭ならびに比較例1および2における活性炭の酸素含有量は、JISM8819に定められた方法に準拠し測定した。具体的には、CHNアナライザーによる元素分析により得られる試料中の炭素、水素、窒素の質量百分率を100から差引き、これを酸素含有率とした。
[平均粒子径]
各実施例における酸化処理後の活性炭ならびに比較例1および2における活性炭の平均粒子径は以下のように求めた。まず、球状活性炭についてJISK 1474に準じて粒度累積線図を作成した。粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、これを平均粒子径とした。
[嵩密度]
各実施例における酸化処理後の活性炭ならびに比較例1および2における活性炭の嵩密度は以下のように求めた。まず、メスシリンダーに活性炭を充填し、嵩が変化しなくなるまで、繰り返しタップした。メスシリンダーに充填された活性炭の乾燥重量W(g)を、嵩が変化しなくなった時点での活性炭の体積V(cm)で除すことにより嵩密度を算出した。
[比表面積]
各実施例における酸化処理後の活性炭ならびに比較例1および2における活性炭の比表面積(SSA)は、JISZ 8830に定められた方法に準拠し、測定した。すなわち、ガス吸着法による比表面積測定器(例えば、カンタクローム・インスツルメンツ社製「Autosorb(登録商標)−iQ」)を用いて、活性炭のガス吸着量を測定し、下記の式により比表面積を計算する。具体的には、試料である活性炭を試料管に充填し、200℃で12時間減圧乾燥した後、乾燥後の試料重量を測定した。次に、試料管を−196℃に冷却し、試料管に窒素を導入し球状活性炭試料に窒素を吸着させ、窒素分圧と吸着量との関係(吸着等温線)を測定した。
窒素の相対圧をp、その時の吸着量をv(cm/gSTP)とし、BETプロットを行う。すなわち、縦軸にp/(v(1−p))、横軸にpを取り、pが0.01〜0.10の範囲でプロットし、そのときの傾きb(単位=g/cm)および切片c(単位=g/cm)から、比表面積S(単位=m/g)を下記の式により求めた。
Figure 2020048973
ここで、MAは窒素分子の断面積であり、0.162nmを代入した。
<微粉量の評価方法>
試料中に存在する微粉量は、濾過フィルタにより微粉を回収し、濾過フィルタの色調変化に基づき評価した。濾過フィルタとして白色の濾過フィルタを使用し、濾過後の濾過フィルタの黒色の度合が強くなるほど、微粉の量が多いと評価することができる。具体的には、2.0mL容量のポリプロピレン(PP)製の丸底チューブに試料200mgを量りとり、続いて生理食塩水1.0mLを加え、室温でチューブローテーターを用いて4時間転倒混和(10回転/分)した。上澄み液0.5mLをすばやく採取してポアサイズ10μmのフィルタをセットしたスピンカラムに添加し遠心分離してフィルタ上に微粉を回収した。この操作を繰り返し、3検体分を1つのフィルタに回収した。フィルタをスピンカラムから取り出し、微粉回収面をデジタルカメラで撮影した。画像処理ソフトウェアImageJ(アメリカ国立衛生研究所)を用いて画像データよりフィルタ部の色(平均グレー値、平均輝度値)を取得し、その色の明るさを評価した。
フィルタの色調変化割合は次の式:
[1−A/B]×100
によって算出した。
前記式で、Aは、試験試料のフィルタにおける明るさの数値であり、Bは、ブランク(活性炭試料なし)のフィルタにおける明るさの数値である。ここで、明るさの数値は0〜255の256段階で表され、完全な黒であると0であり、完全な白であると255となる。
<球状活性炭の調製>
軟化点205℃、H/C原子比0.65の石油ピッチ70kgと、ナフタレン30kgとを、撹拌翼および出口ノズルのついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃で加熱溶融混合を行った。その後、80〜90℃に冷却し、耐圧容器内を窒素ガスにより加圧して、内容物を出口ノズルから押出し、直径約500μmの紐状成型体を得た。次いで、この紐状成型体を直径(D)と長さ(L)の比(L/D)が約1.5になるように粉砕した。得られた破砕物を、0.53質量%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)を溶解した93℃の水溶液中に投入し、撹拌分散した後、冷却して球状ピッチ成型体スラリーを得た。大部分の水をろ過により取り除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍量の質量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温し、235℃に1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。次に多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用いて、水蒸気64vol%を含む窒素ガス中、嵩密度が0.46g/cmになるまで、820℃で賦活処理を実施して、球状活性炭Aを得た。球状活性炭Aの酸素含有量は、1.4wt%であった。
[実施例1]
得られた球状活性炭Aを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、470℃まで昇温し、470℃に3時間保持して酸化し、生体由来液浄化用吸着材1を得た。生体由来液浄化用吸着材1における各物性および微粉量を評価した。評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は1%であった。
[実施例2]
生体由来液浄化用吸着材1を窒素雰囲気下、900℃で17分間処理することにより、生体由来液浄化用吸着材2を得た。生体由来液浄化用吸着材2の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は2%であった。
[実施例3]
球状活性炭A−BAC(株式会社クレハ製)をアルミナサヤに充填し、空気を通じながら、450℃まで昇温し、450℃に5分保持して酸化し、生体由来液浄化用吸着材3を得た。生体由来液浄化用吸着材3の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は23%であった。
[実施例4]
酸化処理時間を1時間にしたこと以外は実施例3と同様の方法で生体由来液浄化用吸着材4を得た。生体由来液浄化用吸着材4の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は0%であった。
[実施例5]
酸化処理時間を3時間にしたこと以外は実施例3と同様の方法で生体由来液浄化用吸着材5を得た。生体由来液浄化用吸着材5の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は0%であった。
[実施例6]
球状活性炭G−BAC(株式会社クレハ製)を使用し、酸化処理温度を400℃にし、酸化時間を1時間としたこと以外は実施例1と同様の方法で生体由来液浄化用吸着材6を得た。生体由来液浄化用吸着材6の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は6%であった。
[実施例7]
酸化処理温度を300℃にしたこと以外は実施例6と同様の方法で生体由来液浄化用吸着材7を得た。生体由来液浄化用吸着材7の評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は54%であった。
[比較例1]
活性炭として球状白鷺(大阪ガスケミカル社製)を用い、酸化処理を行なわずに各物性および微粉量を評価した。評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は82%であった。
[比較例2]
活性炭として球状活性炭G−BAC(株式会社クレハ製)を用い、酸化処理を行なわずに各物性および微粉量を評価した。評価結果を表1に示す。表1に示す通り、フィルタの色調変化割合は69%であった。
Figure 2020048973
[考察]
比較例1および2では、上澄み液にある微粉を集めたフィルタの色調変化割合が69%以上であったのに対し、実施例1〜7のように酸化性ガス存在下において加熱による酸化処理をした場合、上澄み液にある微粉を集めたフィルタの色調変化割合が60%以下となり、微粉が減少していることが示された。また、酸化処理温度を400℃以上とすることにより、フィルタの色調変化割合が23%以下となり、微粉がさらに減少していることが示された。実施例1および実施例2から、酸化処理後に還元処理を行っても微粉は発生していないことが示された。

Claims (6)

  1. 生体由来液浄化用吸着材の製造方法であって、
    活性炭を準備する工程と、
    前記活性炭を酸化することにより前記生体由来液浄化用吸着材を得る酸化処理工程と、を含むことを特徴とする生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
  2. 前記酸化処理工程における酸化処理は、酸素が含まれる雰囲気下での加熱処理である、請求項1記載の生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
  3. 前記加熱処理の温度は400℃以上である、請求項2に記載の生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
  4. 前記加熱処理では、常時酸素を供給している、請求項2または3に記載の生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
  5. 前記活性炭の炭素源がピッチ、タール、および合成樹脂からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
  6. 前記活性炭が一体成形された活性炭である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体由来液浄化用吸着材の製造方法。
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US11110053B2 (en) 2008-07-25 2021-09-07 Reven Pharmaceuticals Inc. Compositions and methods for the prevention and treatment of cardiovascular diseases

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JPS54104498A (en) * 1978-02-06 1979-08-16 Kureha Chem Ind Co Ltd Low powdering, high strength activated carbon and production thereof
JP2004256324A (ja) * 2003-02-24 2004-09-16 Kureha Chem Ind Co Ltd 血液の直接灌流用球状活性炭及びその製造方法

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