JP4764248B2 - 燃料噴射装置の制御装置 - Google Patents

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この発明は燃料噴射装置、より詳しくは内燃機関の加圧燃料を噴射する燃料噴射装置(いわゆるインジェクタ)の制御装置に関する。
この種の燃料噴射装置の制御装置としては、例えば特許文献1に記載される技術が知られている。その技術にあっては、磁束によってコアなどに誘起される渦電流が磁束の立ち下がりを遅延させる不都合に鑑み、燃料噴射装置(インジェクタ)のボディに3個のコイルを配置すると共に、閉弁時、そのうちの1個のコイルに、他の2個のコイルに形成されている磁束と逆向きの磁束が形成されるように通電制御することで、電流の遮断と同時に磁束を消滅させて閉弁時の応答性を向上させている。
特開昭60−056147
このように、従来技術においては3個のコイルの内の1つのコイルを消磁コイルとして使用し、それに逆向きの磁束を発生させて渦電流による磁束をキャンセルするように通電制御することで閉弁時の応答性を上げているが、消磁コイルに印加される電圧は、他の2個の励磁コイルと同様、電源電圧であるため、よって生じる消磁エネルギにも限界があり、閉弁時の応答性の改善で改良すべき余地を残していた。
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、閉弁時の応答性を一層向上させるようにした燃料噴射装置の制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1にあっては、加圧燃料の供給路に接続されると共に、噴口が穿設されたボディと、前記ボディの内部に前記噴口に対して移動自在に収容されたバルブ体と、前記バルブ体を前記噴口に向けて付勢する付勢手段と、前記ボディに配置された励磁コイルと、前記励磁コイルに電源電圧を印加し、よって生じる磁束で前記バルブ体を前記噴口から離間させて開弁する方向に移動させる通電制御手段を備えた燃料噴射装置の制御装置において、電源と前記励磁コイルの一端との間に直列接続される第1スイッチと、前記励磁コイルの他端とグラウンドとの間に直列接続される第2スイッチ、前記励磁コイルの他端と前記第2スイッチとの間とグラウンドの間に第3スイッチを介して接続されて前記励磁コイルが発生する磁束を消磁すると共に、前記励磁コイルと同一の自己インダクタンスを有する消磁コイルを備え、前記通電制御手段は、前記第3スイッチをオフすると共に、前記第1スイッチと前記第2スイッチをオンして前記励磁コイルに前記電源電圧を印加した後、前記第1スイッチをオンしたまま前記第2スイッチをオフしつつ前記第3スイッチをオンして前記消磁コイルに前記励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替え、次いで前記第1スイッチと前記第3スイッチを同時にオフし、よって前記第1、第2、第3スイッチを全てオフして前記励磁コイルと前記消磁コイルに生じた磁束を減衰させるように通電を制御する如く構成した。
請求項2に係る燃料噴射装置の制御装置にあっては、前記通電制御手段は、前記消磁コイルに前記励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替えるとき、前記第2スイッチをオフして前記励磁コイルと前記グラウンドの接続を遮断する如く構成した。
請求項1に係る燃料噴射装置の制御装置にあっては、電源と励磁コイルの一端との間に直列接続される第1スイッチと、励磁コイルの他端とグラウンドとの間に直列接続される第2スイッチと、励磁コイルの他端と第2スイッチとの間とグラウンドの間に第3スイッチを介して接続されて励磁コイルが発生する磁束を消磁すると共に、励磁コイルと同一の自己インダクタンスを有する消磁コイルを備え、通電制御手段は、第3スイッチをオフすると共に、第1、第2スイッチをオンして励磁コイルに電源電圧を印加した後、第1、第2、第3スイッチをオン/オフして消磁コイルに励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替え制御する如く構成したので、消磁コイルに電源電圧より遙かに大きいエネルギを与えることができ、よって消磁コイルを早期に立ち上げることができて励磁コイルが発生する磁束(磁界)を速やかに打ち消すことができ、それによって閉弁時の応答性を向上させることができる。
即ち、電源電圧が印加されることによって励磁コイルに生じる逆起電力は定常的な電源電圧より遙かに大きくなるが、それが消磁コイルに印加されることで、消磁コイルに電源電圧を印加する場合に比し、消磁コイルを早期に立ち上げることができ、励磁コイルが発生する磁束(磁界)を速やかに打ち消すことができる。
請求項2に係る燃料噴射装置の制御装置にあっては、通電制御手段は、消磁コイルに励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替えるとき、第2スイッチをオフして励磁コイルとグラウンドの接続を遮断する如く構成したので、上記した効果に加え、励磁コイルが発生する逆起電力が全て消磁コイルに印加されることになり、消磁コイルを一層迅速に立ち上げることができる。
以下、添付図面に即してこの発明に係る燃料噴射装置の制御装置を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、この発明の実施例に係る燃料噴射装置の制御装置を模式的に示す説明断面図である。
図1において、符号10は燃料噴射装置を示す。燃料噴射装置10はいわゆるインジェクタであり、車両に搭載された内燃機関(図示せず)の気筒燃焼室(あるいは吸気ポート)を臨む位置に配置され、開弁されるとき、燃料を噴射する。
燃料噴射装置10は、断面円形状のボディ(筐体)12を備える。ボディ12の先端には噴口(開口)12aが穿設されると共に、その内部は中空に形成され、そこに大径の断面円形状の第1室12bと、第1室12bに連続すると共に、それより小径の断面円形状の第2室12cが形成される。
第2室12cの先端側には、縮径されて噴口12aに連続するバルブシート12c1が形成される。第2室12cにはニードルバルブ(バルブ体)14が噴口12aに対して移動自在に収容される。ニードルバルブ14は尖端に縮径部14aが形成され、縮径部14aがバルブシート12c1に当接させられるとき、噴口12aを閉鎖する(燃料噴射装置10が閉弁する)。
ボディ12の第1室12bにおいては、励磁コイル16がコア(鉄心)18に巻回されて配置されると共に、それに隣接して消磁コイル20が同様にコア18に巻回されて配置される。励磁コイル16と消磁コイル20は通電されると、励磁されてコア18を通る磁束を発生し、ニードルバルブ14を吸引して噴口12aから後退(離間)させ、噴口12aを開放する(燃料噴射装置10が開弁する)。励磁コイル16と消磁コイル20は共に環状を呈すると共に、それらの巻き数などは同一とし、自己インダクタンスも同程度とする。
ボディ12において第1室12bには突起12dが環状に形成され、突起12dとニードルバルブ14の間にスプリング(付勢手段)22が収容される。スプリング22はコイルスプリング(圧縮スプリング)からなり、ニードルバルブ14を噴口12aに向けて(閉弁位置に)付勢する。
燃料噴射装置10において、第1室12bから第2室12cおよびそれに連続する噴口12aは、燃料ポンプ(図示せず)によって燃料タンク(図示せず)から汲み上げられて加圧された燃料が供給される燃料供給路24に接続される。
燃料噴射装置10は、励磁コイル16と消磁コイル20への通電を制御して加圧燃料を噴口12aから噴射させる通電制御装置26を備える。通電制御装置26は、通電回路28とその動作を制御する電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)30からなる。
図2は、図1に示す通電回路28などの詳細を示す回路図である。
通電回路28において、励磁コイル16は、電源(車載バッテリ)28aとグラウンドの間にスイッチSW1,SW2を介して接続される。消磁コイル20は、励磁コイル16とSW2との間と、グラウンドの間にスイッチSW3を介して接続される。スイッチSW1からSW3はパワートランジスタ(FET)からなり、そのゲート端子はECU30に接続される。
励磁コイル16と消磁コイル20の付近に記載された黒点は、いわゆるドットマークではなく、その方向からコイルを見るとき、コイルの巻回方向が時計回りであることを示す。消磁コイル20は励磁コイル16と通電する向きが異なることから、励磁コイル16が発生する磁界を打ち消す磁界を発生、即ち、消磁するように動作する。
ECU30はマイクロコンピュータからなり、内燃機関の気筒位置を示す信号を出力するクランク角センサ32、および機関負荷など運転パラメータを示す、符号34で総称される、他のセンサ群に接続されてその出力を入力する。ECU30はクランク角センサ32の出力をカウントして機関回転数を算出すると共に、他のセンサ群34から得た入力値に基づき、燃料噴射量を算出する。
次いで、ECU30は算出された噴射量から開閉弁時期を算出し、それに相当するクランク角度でスイッチSW1からSW3をON(導通)・OFF(非導通)して励磁コイル16と消磁コイル20の通電を制御する。このように、ECU30が、通電制御手段として動作する。
図3は、図2に示すECU30の上記した通電制御を示すタイム・チャートである。
以下、図3タイム・チャートを参照してECU30の通電制御を説明する。尚、同図で時刻t1を開弁時期、t2を閉弁時期とする。
ECU30は、時刻t1においてSW1,SW2をON(導通)し、励磁コイル16に電源28aからの電源電圧Vを印加する。これにより、励磁コイル16は、図3の上部に示すような磁界(磁界)を発生する。発生させられた磁界はニードルバルブ14に作用し、ニードルバルブ14を噴口12aから後退(離間)させて開弁させる。
次いで、ECU30は、時刻t2において、SW1をONしたまま、SW2をOFF(非導通)し、SW3をONする。これにより、励磁コイル16が発生する磁束は、符号aで示す如く、減少する。
このとき、消磁コイル20は、励磁コイル16とは通電方向が逆になることから、図3に符号bで示す如く、逆方向(負方向)の磁界を生じる。そのため、符号aで示す励磁コイル16が発生する磁界は、符号bで示す消磁コイル20が発生する負方向の磁界で打ち消され、結果としてニードルバルブ14に作用する磁界は符号cで示す如く、零となる。従って、ニードルバルブ14はスプリング22の付勢力で噴口12aに向けて直ちに前進させられ、噴口12aを閉弁させる。
次いで、ECU30は、時刻t3において、SW1とSW3をOFF(非導通)する。これによって、消磁コイル20の磁界も経時的に減衰する。そして、次回の開弁時期に上記したのと同様の処理が繰り返される。
上記した消磁コイル20の立ち上がりについて説明すると、励磁コイル16の自己インダクタンスをLとするとき、SW1とSW2がONされることで、励磁コイル16には図2に示すような式で示される起電力VL1が生じる。次いで、SW2がOFFされると共に、SW3がONされることで、その起電力VL1は全て消磁コイル20に作用する。この場合、消磁コイル20への通電方向は励磁コイル16と逆になるので、逆起電力VL1は励磁コイル16に対して消磁コイル20には逆方向に作用する結果、消磁コイル20に作用する電圧VL2は、+V−VL1となる。
ここで、逆起電力VL1は、図示の式から明らかな如く、単位時間t当たりの電流Iの変化と自己インダクタンスLの積となることから、電源電圧Vとすると、それより遙かに大きな、無限大に近いほどの値となる。従って、消磁コイル20を図3の上部に示す如く、早期に逆方向に立ち上げることができて励磁コイル16が発生する磁界を速やかに打ち消すことができる。それによって、燃料噴射装置10の閉弁時の応答性を向上させることができる。
このように、この実施例に係る燃料噴射装置の制御装置にあっては、励磁コイル16が発生する磁束(磁界)を消磁すべき消磁コイル20を備えると共に、ECU(通電制御手段)30は、励磁コイル16に電源電圧Vを印加した後、消磁コイル20に励磁コイル16によって誘起される起電力VL1が印加されるように通電を切り替える如く構成したので、消磁コイル20に電源電圧Vより遙かに大きいエネルギを与えることができ、よって消磁コイル20を早期に逆方向に立ち上げることができて励磁コイル16が発生する磁束(磁界)を速やかに打ち消すことができる。それによって、閉弁時の応答性を向上させることができる。
特に、時刻t2において消磁コイル20に励磁コイル16によって誘起される起電力が逆起電力として印加されるように通電を切り替えるとき、SW2をOFFして励磁コイル16とグラウンドとの接続を遮断する如く構成したので、上記した効果に加え、励磁コイル16が発生する逆起電力が全て消磁コイル20に印加されることになり、消磁コイル20を一層迅速に立ち上げることができる。
以上の如く、この発明の実施例にあっては、加圧燃料の供給路24に接続されると共に、噴口12aが穿設されたボディ12と、前記ボディの内部に前記噴口に対して移動自在に収容されたバルブ体(ニードルバルブ)14と、前記バルブ体(ニードルバルブ)14を前記噴口12aに向けて付勢する付勢手段(スプリング22)と、前記ボディに配置された励磁コイル16と、前記励磁コイルに電源電圧(電源28aの電圧)Vを印加し、よって生じる磁束で前記バルブ体を前記噴口から離間させて開弁する方向に移動させる通電制御手段(ECU30)を備えた燃料噴射装置10の制御装置において、電源28aと前記励磁コイル16の一端との間に直列接続される第1スイッチSW1と、前記励磁コイル16の他端とグラウンドとの間に直列接続される第2スイッチSW2、前記励磁コイル16の他端と前記第2スイッチSW2との間とグラウンドの間に第3スイッチSW3を介して接続されて前記励磁コイル16が発生する磁束を消磁すると共に、前記励磁コイル16と同一の自己インダクタンスを有する消磁コイル20を備えると共に、前記通電制御手段は、前記第3スイッチSW3をOFF(オフ)すると共に、前記第1スイッチSW1と前記第2スイッチSW2をON(オン)して前記励磁コイル16に前記電源電圧Vを印加した後、前記第1スイッチSW1をON(オン)したまま前記第2スイッチSW2をOFF(オフ)しつつ前記第3スイッチSW3をON(オン)して前記消磁コイル20に前記励磁コイル16によって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替え、次いで前記第1スイッチSW1と前記第3スイッチSW3を同時にオフし、よって前記第1、第2、第3スイッチSW1,SW2,SW3を全てOFF(オフ)して前記励磁コイル16と前記消磁コイル20に生じた磁束を減衰させるように通電を制御する如く構成した。
また、前記通電制御手段は、前記消磁コイル20に前記励磁コイル16によって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替えるとき、前記励磁コイル16とグラウンドの接続を遮断、より具体的には前記第2スイッチSW2をOFF(オフ)して遮断する如く構成した。
尚、上記において、励磁コイル16と消磁コイル20を1個ずつ配置したが、2個以上を配置しても良い。
この発明の実施例に係る燃料噴射装置の制御装置を模式的に示す説明断面図である。 図1に示す通電回路などの詳細を示すブロック図である。 図2に示す電子制御ユニットの通電制御を示すタイム・チャートである。
符号の説明
10 燃料噴射装置、12 ボディ、12a 噴口、12b 第1室、12c 第2室、12c1 バルブシート、14 ニードルバルブ(バルブ体)、14a 縮径部、16 励磁コイル、18 コア、20 消磁コイル、22 スプリング(付勢手段)、26 通電制御装置、28 通電回路、30 電子制御ユニット(ECU)、32 クランク角センサ、34 その他のセンサ

Claims (2)

  1. 加圧燃料の供給路に接続されると共に、噴口が穿設されたボディと、前記ボディの内部に前記噴口に対して移動自在に収容されたバルブ体と、前記バルブ体を前記噴口に向けて付勢する付勢手段と、前記ボディに配置された励磁コイルと、前記励磁コイルに電源電圧を印加し、よって生じる磁束で前記バルブ体を前記噴口から離間させて開弁する方向に移動させる通電制御手段を備えた燃料噴射装置の制御装置において、電源と前記励磁コイルの一端との間に直列接続される第1スイッチと、前記励磁コイルの他端とグラウンドとの間に直列接続される第2スイッチ、前記励磁コイルの他端と前記第2スイッチとの間とグラウンドの間に第3スイッチを介して接続されて前記励磁コイルが発生する磁束を消磁すると共に、前記励磁コイルと同一の自己インダクタンスを有する消磁コイルを備え、前記通電制御手段は、前記第3スイッチをオフすると共に、前記第1スイッチと前記第2スイッチをオンして前記励磁コイルに前記電源電圧を印加した後、前記第1スイッチをオンしたまま前記第2スイッチをオフしつつ前記第3スイッチをオンして前記消磁コイルに前記励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替え、次いで前記第1スイッチと前記第3スイッチを同時にオフし、よって前記第1、第2、第3スイッチを全てオフして前記励磁コイルと前記消磁コイルに生じた磁束を減衰させるように通電を制御することを特徴とする燃料噴射装置の制御装置。
  2. 前記通電制御手段は、前記消磁コイルに前記励磁コイルによって誘起される逆起電力が印加されるように通電を切り替えるとき、前記第2スイッチをオフして前記励磁コイルと前記グラウンドの接続を遮断することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置の制御装置。
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