JP4763041B2 - 表示処理装置、表示処理方法及び表示処理プログラム - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置等に用いられる表示処理装置、表示処理方法及び表示処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばナビゲーション装置等においては、地図画面に含まれる地名等の文字や、メニュー画面等に含まれる選択肢としての文字列やその他の説明文としての文字列が、装置内に備わったフォントデータを用いて描画されている。特に、最近のナビゲーション装置は高精細な表示処理を求める傾向にあり、文字表現力の向上や、種々のサイズの文字を使用できることが求められている。
【0003】
ところで、このような表示処理を行っている状態で、操作者により画面のスクロール等の操作がされると、これに対応した高速描画が必要とされる。このようなスクロール時において特別な描画処理を行う手法は、例えば特許文献1や特許文献2において既に提唱されている。
【0004】
特許文献1に記載の従来技術では、表示データ量が所定の値を越えるか否かに応じて表示すべき道路および名称を動的に増減させる技術が記載されており、具体的には、スクロール時などにおいては描画するアイテムの量を削減し、これによって最低限でも経路や自車近傍の道路の表示を確保するものである。
【0005】
また特許文献2に記載の従来技術においては、建造物形状地図を表示する案内装置において特定の条件により家形の描画を制限する技術が記載されており、具体的には、スクロール時などにおいては家形の表示色を背景色と同じ色に設定する(又は家形を描画しないようにする)ことによって、スクロール時にも画面が見にくくならないようにし必要な情報を提供するものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−241176号公報
【特許文献2】
特開平9−292258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デジタル処理による表示画面では、ドットで描いた絵や文字を拡大したときに、曲線や斜めの直線が階段のようにギザギザになる現象(ジャギー)が発生する場合がある。近年、このジャギーを除去するために、例えば白地に黒文字を表示する場合にその中間調であるグレーも利用する(=グレースケール)ことでジャギーを目立たなくする手法(=アンチエイリアシング)が用いられつつある。このアンチエイリアシングを上述のナビゲーション装置に適用する場合には、地図の上に描く文字などにおけるグレースケールについて、画素毎のグレー値をブレンド比率としてブレンド描画をすることになる。
【0008】
ここで、一般に、ナビゲーション装置等で使用されるグラフィックコントローラは、1bppのビットマップを高速にブレンド描画する機能を備えている(「1」の画素はブレンド描画し、「2」の画素はブレンド比率0つまり元のままで描画する)が、画素毎にブレンド比率を持ったブレンド描画を行なうことができないものが主流である。このため、上記グレースケールを用いたブレンド描画時には、グレースケールの文字データを、共通のブレンド比率の画素のみで構成されたグレースケール階調分の個数の1bppのビットマップデータに分解し、その分解個数と同数だけブレンド描画を行うことになる。この結果、グレースケールの階調数の大小が描画のパフォーマンスに多大に影響することとなり、特にスクロール等の高速描画が必要なときには、CPU、グラフィックコントローラの負担を著しく増大させる。
【0009】
上記特許文献1や特許文献2に記載の従来技術では、上記のようなグレースケールの文字を含む表示処理における高速描画までは特に配慮されておらず、そのままでは適用できない。特に、特許文献1記載の従来技術ではスクロール時には文字を完全に描画しない状態としてしまうため、削減された文字情報は完全に欠落する。
【0010】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段と、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、前記描画切替信号入力手段で前記描画切替信号が入力されたときに、前記高速描画データ生成手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力手段と、前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理手段と、前記第1通常描画処理手段で生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力手段とを有し、前記高速描画データ生成手段は、前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理手段を備えており、前記高速描画データ出力手段は、前記画素別階調処理手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
上記課題を解決するために、請求項2記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段と、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、前記描画切替信号入力手段で前記描画切替信号が入力されたときに、前記高速描画データ生成手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力手段とを有し、前記高速描画データ生成手段は、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理手段を備え、前記高速描画データ出力手段は、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力された後に、前記階調別画素処理手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項7記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理方法であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップと、前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理ステップと、前記第1通常描画処理ステップで生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力ステップとを有し、前記高速描画データ生成ステップでは、前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理ステップを含み、前記高速描画データ出力ステップでは、前記画素別階調処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
上記課題を解決するために、請求項8記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理方法であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップとを有し、前記高速描画データ生成ステップは、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理ステップを含み、前記高速描画データ出力ステップは、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、前記階調別画素処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項9記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する、表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラムであって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップと、前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理ステップと、前記第1通常描画処理ステップで生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力ステップとを有し、前記高速描画データ生成ステップでは、前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理ステップを含み、前記高速描画データ出力ステップでは、前記画素別階調処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
上記課題を解決するために、請求項10記載の発明は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する、表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラムであって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップとを有し、前記高速描画データ生成ステップは、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理ステップを含み、前記高速描画データ出力ステップは、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、前記階調別画素処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する。
発明を実施するための最良の形態
[0014]
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
[0015]
本発明の第1の実施形態を図1〜図7により説明する。本実施形態は、フォントデータとして、画素毎の階調値(ブレンド比率)で構成されたデータを用いる場合の実施形態である。
[0016]
図1は、本実施形態の表示処理装置を有する車両ナビゲーション装置の全体機能構成を表すブロック図である。
[0017]
図1において、車両ナビゲーション装置Sは、自動車の発進又は停止若しくは加速時又は減速時における車両に実際に加わる進行方向の加速度を検出し、加速度データを出力する加速度センサ1と、自動車の回転時の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する角速度センサ2と、車輪の回転に対応した車速パルス信号を検出する走行距離センサ3と、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して自動車が位置する緯度及び経度等のGPS測位データを出力すると共に、自動車の進行方向の絶対方位データを出力するGPS受信器4とを備えている。ここで、加速度センサ1の例としては、静電容量型やピエゾ型等の半導体加速度センサや、圧電素子型の加速度センサ等の種々の形式のものが挙げられる。
【0018】
更に、ナビゲーション装置Sは、加速度センサ1、角速度センサ2、走行距離センサ3、及びGPS受信器4からそれぞれ出力される、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、走行距離データ、GPS測位データ及び絶対方位データに基づいて、ナビゲーション装置全体の制御を行うシステムコントローラ5と、操作者が各種操作入力を行うためのタッチパネル、キー、スイッチ、ボタン、リモコン等の適宜の操作手段を備えた入力装置11と、システムコントローラ5による制御の下、ハードディスクドライブ24、フラッシュメモリ23、DVD−ROM(DVD Read Only Memory)ディスクDK1、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ディスクDK2のうち少なくとも一つから、車線数、道幅等を示す道路データを含む地図データや各施設の詳細情報を示すデータ等の各種データを読出し、出力する、ハードディスクドライブ24、フラッシュメモリ23、DVD−ROMドライブ12a、及びCD−ROMドライブ12bと、システムコントローラ5による制御の下、各種表示データを表示する表示ユニット13と、システムコントローラ5による制御の下、各種音声データを再生し、出力する音響再生ユニット18と、VICS(Vehicle Information and Communication System)に基づく渋滞情報を受信するVICS受信部22とを備えている。
【0019】
システムコントローラ5は、GPS受信器4等の外部センサとのインターフェース動作を行うインターフェース部6と、走行距離センサ3からの車速パルス信号におけるパルス数を計測することにより自動車の走行距離を算出すると共にシステムコントローラ5全体を制御するCPU7と、システムコントローラ5を制御する制御プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)8と、入力装置11を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを格納する読み書き可能なRAM(Random Access Memory)9とを備えている。このシステムコントローラ5は、入力装置11、ハードディスクドライブ24、フラッシュメモリ23、DVD−ROMドライブ12a、CD−ROMドライブ12b、表示ユニット13、音響再生ユニット18、及びVICS受信部22とは、バスライン10を介して接続されている。
【0020】
表示ユニット13は、LCD装置、CRT表示装置等のディスプレイ17(表示手段)と、このディスプレイ17に文字又は図像を表示させるための表示データを生成して出力する本実施形態の表示処理装置25とを有している。この表示処理装置25は、CPU7と、バスライン10を介してCPU7から送られる制御データに基づいて表示ユニット13全体の制御を行うグラフィックコントローラ14と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり、文字や図像等の画像情報を読み書き自在に一時的に記憶保持するワークメモリ15と、グラフィックコントローラ14から出力される画像データに基づいて上記ディスプレイ17を表示制御する表示制御部16と、文字又は図像に係わるスケーラブルフォントデータが格納されたフラッシュメモリ23と、文字又は図像に係わるプレラスタライズビットマップフォントデータが格納されたハードディスク(図示せず)を備えたハードディスクドライブ24等とから構成されている。なお、上記ハードディスクドライブ24は、この例ではコネクタ26により表示処理装置25(グラフィックコントローラ14)に対し着脱自在に取り付けられている。また、ワークメモリ15は、上記のようにグラフィックコントローラ14のみに接続される形態のほか、グラフィックコントローラ14の上記CPUに接続されたメモリに所定の領域として設ける(ユニファイドアーキテクチャ)形態もある。
【0021】
音響再生ユニット18は、ハードディスクドライブ24、フラッシュメモリ23、DVD−ROMドライブ12a、CD−ROMドライブ12b又はRAM9の少なくとも一つからバスライン10を介して送られる音声ディジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ19と、D/Aコンバータ19から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器20と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して外部出力するスピーカ21とを備えている。
【0022】
フラッシュメモリ23には、この例では、文字又は図像に係わる複数のスケーラブルフォントデータSCDが格納されている。このスケーラブルフォントデータとは、文字の軌跡をベクトルで表したものであり、任意の文字サイズで文字を表示することが可能なフォントデータである。なお、上記ではスケーラブルフォントデータを記憶する好適な記憶媒体としてフラッシュメモリを用いたが、これに限るものではなく、例えばハードディスクドライブや、DVD−ROMドライブ等の外部記憶装置に記憶させるようにしてもよい。
【0023】
ハードディスクドライブ24(正確にはハードディスクドライブ24が有する図示しないハードディスク。以下、HDD24と記載)には、この例では、文字又は図像に係わる複数のプレラスタライズビットマップフォントデータBMPが格納されている。このプレラスタライズビットマップフォントデータとは、予めスケーラブルフォントを所望のサイズに展開しビットマップデータとしたフォントデータである。HDD24には、所望の文字に関わる複数のプレラスタライズビットマップフォントデータBMPがそれぞれ格納されている。なお、前述したように、HDD24はコネクタ26を介してグラフィックコントローラ14に対し着脱自在に取り付けられている。
【0024】
なお、上記ではプレラスタライズビットマップフォントデータを記憶する好適な記憶媒体としてHDDを用いたが、これに限るものではなく、例えばフラッシュメモリや、DVD−ROMドライブ等の外部記憶装置に記憶させるようにしてもよい。
【0025】
ワークメモリ15は、上記フラッシュメモリ23から読み出されたスケーラブルフォントデータSCD、上記HDD24から読み出されたプレラスタライズビットマップフォントデータBMP等の文字データや、地図等の図像の画像情報を、読み書き自在に一時的に記憶保持する作業メモリである。このワークメモリ15は、スケーラブルフォントデータSCDを常駐(フラッシュメモリ23等から読み出されたデータをコピーしてワークメモリ15上に一時的に記憶すること。以下同様)させるためのスケーラブルフォントエリア15Aと、HDD24から読み出されたプレラスタライズビットマップフォントデータBMPを常駐させるためのプレラスタライズビットマップフォントエリア15Bとを有している。
【0026】
グラフィックコントローラ14は、表示対象である文字に該当するフォントデータを、主としてワークメモリ15のプレラスタライズビットマップフォントエリア15Bに常駐するプレラスタライズビットマップフォントデータBMPを用いて描画処理する。詳細には、1bppのビットマップをワークメモリ15上のフレームバッファ等にブレンド描画する機能を持っている。
【0027】
(A)本実施形態の背景となる基本原理
本実施形態の背景となる基本原理を図2及び図3を用いて説明する。デジタル処理による表示画面では、ドットで描いた絵や文字を拡大したときに、曲線や斜めの直線が階段のようにギザギザになる現象(ジャギー)が発生する場合がある。このジャギーを除去するためには、例えば白地に黒文字を表示する場合にその中間調であるグレーも利用する(=グレースケール)ことでジャギーを目立たなくする手法(=アンチエイリアシング)を用いることができる。図2はその一例を表した説明図であり、この例では、第1階調による基本図形のジャギーを除去(緩和)するために、背景色の第4階調との間に、中間色としての第2階調、第3階調を(この順で薄くなっていくように)設け、合計4階調によるグレースケールを実現している。本実施形態では、上記グレースケールの固定サイズフォントデータ(又はスケーラブルフォントでプレラスタライズデータ)が、画素毎の階調値(ブレンド比率)で構成されたデータとして、上記フラッシュメモリ23又はHDD24に格納されている。そして、それらをグラフィックコントローラ14で読み出すとともにそのコピーをワークメモリ15に設けることで、描画処理を行う。
【0028】
図3は、上記アンチエイリアシングをナビゲーション装置に適用する場合の一例として、図2に示した構成を地図上にを重ねて表示する場合を表す説明図である。図示のように、この場合には、地図の上に描く文字などにおけるグレースケールについて、画素毎のグレー値をブレンド比率としてブレンド描画をすることになる。
【0029】
(B)本実施形態の基本挙動
本実施形態では、文字又は図像のフォントデータとして、前述したように、画素毎の階調値(ブレンド比率)で構成されたデータを用いる。図4は、当該フォントデータの画素ごとの階調値分布の一例を表す説明図である。図4において、図2に示した第1〜第4階調の8×8=64画素からなるデータを例にとって表しており、図中、第1階調を「3」、第2階調を「2」、第3階調を「1」、第4階調を「0」の階調値(大きいほど色が濃い)で表している。
【0030】
そして、本実施形態では、スクロール等の高速描画時におけるグラフィックコントローラ14の負担を低減するために、上記階調数の低減処理(2値化)を行う。すなわち、図5に示すように、階調値にしきい値(この例では2)を設け、高速描画時には、このしきい値以上である画素のみからなる1bppビットマップデータを動的に生成し描画を行う。なおこのとき、2のべき乗で境界を設定することで、高速に描画処理を行うことができる。
【0031】
図6は、上記図5で説明した描画処理を実施するために、グラフィックコントローラ14により実行される、例えば1文字等の1単位分描画するための制御手順を表すフローチャートである。なお、このフローチャートは、例えば車両ナビゲーション装置Sの起動時に開始される。
【0032】
図6において、まずステップS110で、操作手段を介した操作によりスクロール等がなされ、これに対応してシステムコントローラ5から、通常描画から高速描画に移行するための描画切替信号が入力されたか(言い換えれば高速描画時であるかどうか)を判定する。
【0033】
上記描画切替信号が入力されていれば判定が満たされ、ステップS120に移る。ステップS120では、ワークメモリ15にこの時点で格納されている描画対象のフォントデータ(例えば上記図4のような態様)から、上記図5を用いて説明したように、所定のしきい値以上(図5の例では階調値=2)の画素を抽出した1bppビットマップデータを生成する。
【0034】
その後、ステップS130において、上記ステップS120において生成した1bppビットマップデータを表示制御部16を介しディスプレイ17に出力して描画を行い、このフローを終了する。
【0035】
一方、前述のステップS110で、通常描画から高速描画に移行するための上記描画切替信号が入力されていなければ判定が満たされず、ステップS140に移る。
【0036】
ここで、本実施形態のグラフィックコントローラ14では、一般的なナビゲーション装置の主流と同様、1bppのビットマップを高速にブレンド描画する機能を備えているものの、画素毎にブレンド比率を持ったブレンド描画を行なうことができない場合を想定している。そこで、このステップS140では、ワークメモリ15にこの時点で格納されている描画対象のフォントデータ(上記図4のような態様)を、共通(同一)の階調値を持つ画素ごとの1bppビットマップデータに分解する。
【0037】
この例では、図4及び図5を用いて前述したように、階調値0〜3の4種類が存在するので、階調値3の第1階調の画素を含む1bppビットマップデータ、階調値2の第2階調の画素を含む1bppビットマップデータ、階調値1の第3階調の画素を含む1bppビットマップデータの3枚のデータに分解生成する。なお、階調値0の第4階調の画素については、何も描画されないため、1bppビットマップデータは必要ない。図7は、このときの第1階調(階調値3)のデータ、第2階調(階調値2)のデータ、第3階調(階調値1)のデータを表す説明図である。
【0038】
その後、ステップS150に移り、上記ステップS140で生成した各階調の1bppビットマップデータに対しそれぞれ所望のブレンド比を乗じてグレースケール化し、表示制御部16を介しディスプレイ17に出力して描画を行い、このフローを終了する。
【0039】
図8はこのときの挙動を表す説明図であり、図示のように、地図上に、ブレンド比率が最も低い(階調値1)第3階調用1bppビットマップデータをブレンド描画し、さらに、ブレンド比率が中程度の(階調値2)第2階調用1bppビットマップデータをブレンド描画し、さらに、ブレンド比率が最も大きい(階調値3)第1階調用1bppビットマップデータをブレンド描画している。
【0040】
上記ステップS150が終了したら、このフローを終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段(この例ではディスプレイ17)に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段(この例では図6に示したフローのステップS110)と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示手段17に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段(この例では図6に示したフローのステップS120)と、描画切替信号入力手段S110で描画切替信号が入力されたときに、高速描画データ生成手段S120で生成された高速描画表示データを表示手段17に出力する高速描画データ出力手段(この例では図6に示したフローのステップS130とを有することを特徴とする。
【0042】
本実施形態の表示処理装置25においては、例えば表示手段17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号が描画切替信号入力手段S110で入力される。これに応じて、高速描画表示データが高速描画データ出力手段S130から表示手段17に出力されて表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。本実施形態においては、高速描画データ生成手段S120が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いて表示手段17の表示を行う。
【0043】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いることにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低い。このため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0044】
以上のようにして、グレースケール等複数の階調値を備えた表示データの高速描画時においても、視覚効果の低減をほとんど招くことなく、迅速な描画処理を行うことができる。
【0045】
本実施形態における表示処理装置25で実施される表示処理方法は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段17に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理方法であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力し、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示手段17に表示させるための、高速描画表示データを生成し、描画切替信号が入力されたときに、生成された高速描画表示データを表示手段17に出力することを特徴とする。
【0046】
本実施化形態の表示処理方法においては、例えば表示手段17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号が入力される。これに応じて高速描画表示データが表示手段17に出力されて表示が行われる。
【0047】
この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのCPU、グラフィックコントローラの負担が大きくなる。本実施形態においては、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理し、その2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いて表示手段17の表示を行う。
【0048】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いることにより、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低い。このため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0049】
以上のようにして、グレースケール等複数の階調値を備えた表示データの高速描画時においても、視覚効果の低減をほとんど招くことなく、迅速な描画処理を行うことができる。
【0050】
本実施形態における表示処理方法を実施するための表示処理プログラムは、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力し、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示手段17に表示させるための、高速描画表示データを生成することと、描画切替信号が入力されたときに、生成された高速描画表示データを表示手段17に出力することを、表示処理装置25に備えられた演算手段(この例ではCPU7)に実行させることを特徴とする。
【0051】
本実施化形態の表示処理プログラムを用いた場合、例えば表示手段17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号が入力される。これに応じて高速描画表示データが表示手段17に出力されて表示が行われる。
【0052】
この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのCPU、グラフィックコントローラの負担が大きくなる。本実施形態においては、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理し、その2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いて表示手段17の表示を行う。
【0053】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いることにより、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低い。このため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0054】
以上のようにして、グレースケール等複数の階調値を備えた表示データの高速描画時においても、視覚効果の低減をほとんど招くことなく、迅速な描画処理を行うことができる。
【0055】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画データ生成手段S120は、文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、描画切替信号が描画切替信号入力手段S110に入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、高速描画表示データを生成する画素別階調処理手段(上記ステップS120)を備えており、高速描画データ出力手段S130は、画素別階調処理手段S120で生成された高速描画表示データを表示手段17に出力することを特徴とする。
【0056】
画素別階調処理手段S120が、各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データにしきい値を適用して2値化処理を行い、高速描画表示データを生成する。このようにして階調数を減らしたデータを用いることにより、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。
【0057】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、文字又は図像に係わる各画素を表示手段17に表示させるための、文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理手段(この例では図6のステップS140)と、この第1通常描画処理手段S140で生成された第1通常描画表示データを表示手段17に出力する第1通常描画データ出力手段(この例では図6のステップS150)とを有することを特徴とする。
【0058】
高速描画処理へ移行しない通常時には、描画の際に、第1通常描画処理手段S140で、文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する。その生成した第1通常描画表示データを、第1通常描画データ出力手段S150で表示手段17に出力する。このような構成とすれば、最終的に描画したいグレースケールの文字又は図像データを、グレースケールの階調分(階調値0を除く)の各第1通常描画表示データとして分解し、その分解した個数と同数だけブレンド描画を行うことによって(画素毎にブレンド比率を持ったブレンド描画を行わなくても)描画を行うことができる。
【0059】
本発明の第2の実施形態を図9及び図10により説明する。本実施形態は、同じブレンド比率の画素のみで構成された1bppのビットマップをグレースケールの階調数(階調値0を除く)と同数だけ用意しておき、それらのデータをフォントデータとして用いる場合の実施形態である。
【0060】
例えば上記第1の実施形態において図2に示した第1〜第4階調の8×8=64画素からなる表示データを例にとると、この表示データを描画するために必要なフォントデータは、先に図7を用いて説明したのと同じ、階調値3の第1階調の画素を含む1bppビットマップデータ、階調値2の第2階調の画素を含む1bppビットマップデータ、階調値1の第3階調の画素を含む1bppビットマップデータの3枚のデータになり、これらのデータがワークメモリ15に格納されている。
【0061】
そして、本実施形態では、グラフィックコントローラ14が、上記3枚の1bppビットマップデータのうち、第1階調用1bppビットマップデータ(階調値3)、第2階調用1bppビットマップデータ(階調値2)の2枚を用いて、予め高速描画用の1bppビットマップデータを作成しておく。
【0062】
すなわち、図9に示すように、しきい値(この例では2)以上の階調値を備えた複数の階調(この例では第1階調及び第2階調)用1bppビットマップデータの論理和(OR)をとったものを、プレラスタライズデータである高速描画用1bppビットマップデータとして生成しておく。またこのとき併せて、第2階調用1bppビットマップデータの論理否定(NOT)をとったもの(=第1、第2階調生成用1bppビットマップデータ)と、前述の3枚のうちの1枚である第3階調用1bppビットマップデータ(階調値1)とを、通常時描画用のプレラスタライズデータとして生成しておく。これら3つの予め生成されたプレラスタライズデータは、それぞれワークメモリ15に格納しておく。
【0063】
このように3つのプレラスタライズデータを予め生成しておく。これにより、通常時の描画の際に、まず第1階調用1bppビットマップデータについては、図9の右側上段に示す前述の高速描画用1bppビットマップデータと、中段に示す前述の第1、第2階調生成用1bppビットマップデータとの論理積(AND)をとることで生成することができる。また、第2階調用1bppビットマップデータについては、上記第1、第2階調生成用1bppビットマップデータの論理否定(NOT)を取ることで生成することができる。
【0064】
図10は、上記図9で説明した描画処理を実施するために、グラフィックコントローラ14により実行される、例えば1文字等の1単位分描画するための制御手順を表すフローチャートである。なお、このフローチャートは、例えば車両ナビゲーション装置Sの起動時に開始される。
【0065】
図10において、まずステップS210は、先の第1の実施形態において説明した図6のステップS110と同様である。すなわち、操作手段を介した操作によりスクロール等がなされ、これに対応して、システムコントローラ5から、通常描画から高速描画に移行するための描画切替信号が入力されたか(言い換えれば高速描画時であるかどうか)を判定する。
【0066】
上記描画切替信号が入力されていれば判定が満たされ、ステップS220に移る。ステップS220では、ワークメモリ15にこの時点で格納されている前述の高速描画用1bppビットマップデータ(図9の右側上段参照)を表示制御部16を介しディスプレイ17に出力して描画を行い、このフローを終了する。
【0067】
一方、前述のステップS210で、通常描画から高速描画に移行するための上記描画切替信号が入力されていなければ判定が満たされず、ステップS230に移る。
【0068】
ステップS230では、先に説明したように、上記高速描画用1bppビットマップデータと上記第1、第2階調生成用1bppビットマップデータ(図9の右側中段参照)との論理積(AND)により第1階調用1bppビットマップデータを生成する。また、上記第1、第2階調生成用1bppビットマップデータの論理否定(NOT)により第2階調用1bppビットマップデータを生成する。
【0069】
その後、ステップS240に移り、上記ステップS140で生成した第1階調用1bppビットマップデータ及び上記第2階調用1bppビットマップデータと、予めワークメモリ15に保持されていた第3階調用1bppビットマップデータとのそれぞれに対し、それぞれ所望のブレンド比を乗じてグレースケール化する。そして、表示制御部16を介しディスプレイ17に出力して描画を行う。このときの挙動は、先に図8を用いて説明したものと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0070】
上記ステップS240が終了したら、このフローを終了する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段(この例ではディスプレイ17)に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段(この例では図10に示したフローのステップS210)と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示手段17に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段(この例では図9の右側上段の1bppビットマップデータデータを予め生成しておくことが相当)と、描画切替信号入力手段S210で描画切替信号が入力されたときに、高速描画データ生成手段で生成された高速描画表示データを表示手段17に出力する高速描画データ出力手段(この例では図10に示したフローのステップS220とを有することを特徴とする。
【0072】
本実施形態の表示処理装置25においては、例えば表示手段17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号が描画切替信号入力手段S210で入力される。そしてこれに応じて高速描画表示データが高速描画データ出力手段S220から表示手段17に出力され、表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。本実施形態においては、高速描画データ生成手段が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いて表示手段17の表示を行う。
【0073】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いることにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低い。このため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0074】
以上のようにして、グレースケール等複数の階調値を備えた表示データの高速描画時においても、視覚効果の低減をほとんど招くことなく、迅速な描画処理を行うことができる。
【0075】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画データ生成手段は、文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、描画切替信号が前記描画切替信号入力手段S210に入力される前に、予め高速描画表示データを生成する階調別画素処理手段(この例では図9の右側上段の1bppビットマップデータデータを予め生成しておくことが相当)を備え、高速描画データ出力手段S220は、描画切替信号が描画切替信号入力手段S210に入力された後に、階調別画素処理手段で生成された高速描画表示データを表示手段に出力することを特徴とする。
【0076】
階調別画素処理手段が、複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき(上記の例では論理式によって)高速描画表示データを予め生成しておく。これにより、描画切替信号が入力された後、高速描画データ出力手段S220は、上記階調値別画素データに基づく階調数を減らした高速描画表示データを表示手段17へ出力することが可能となる。これにより、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。
【0077】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画処理へ移行しない通常時において、文字又は図像に係わる各画素を表示手段17に表示させるための、第2通常描画表示データ(図9の左側上・中・下段に示した「第1階調用1bppビットマップデータ」「第2階調用1bppビットマップデータ」「第3階調用1bppビットマップデータ」)を表示手段17に出力する第2通常描画データ出力手段(この例では図10のフローのステップS240)を有することを特徴とする。
【0078】
高速描画処理へ移行しない通常時に、第2通常描画データ出力手段S240で第2通常描画表示データを表示手段17に出力することで、描画を行うことができる。
【0079】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、高速描画表示データ(図9の右側上段に示した「高速描画用1bppビットマップデータ」)に基づき第2通常描画表示データを生成する第2通常描画処理手段(この例では図10のフローに示すS230)を有することを特徴とする。
【0080】
高速描画処理へ移行しない通常時には、描画の際に、予め階調別画素処理手段で階調別画素データに応じ作成された高速描画表示データに基づき、第2通常描画処理手段S230が、第2通常描画表示データを生成する。その生成した第2通常描画表示データを、第2通常描画データ出力手段S240が表示手段17に出力する。このように、通常描画時に既に作成されている高速描画表示データを用いるようにすることで、最終的に描画したいグレースケールの文字又は図像データを(画素毎にブレンド比率を持ったブレンド描画を行わなくても)簡単な演算処理のみで描画することができる。
【0081】
本発明の第3の実施形態を図11〜図13により説明する。本実施形態は、上記第2実施形態をさらに発展させて描画処理のさらなる迅速化を図る場合の実施形態である。
【0082】
前述と同様に図2の第1〜第4階調の8×8=64画素からなる表示データを例にとる。この場合、本実施形態においても、この表示データを描画するために必要なフォントデータは、第1階調用1bppビットマップデータ(階調値3)、第2階調用1bppビットマップデータ(階調値2)、第3階調用1bppビットマップデータ(階調値1)の3枚のデータになり、これらのデータがワークメモリ15に格納されている。
【0083】
そして、本実施形態では、グラフィックコントローラ14が、第1階調用1bppビットマップデータ(階調値3)、第2階調用1bppビットマップデータ(階調値2)、第3階調用1bppビットマップデータ(階調値1)の3枚を用いて、各階調の階調値以上の階調値を備えた全ての1bppビットマップデータ(階調値包括画素データ)をプレラスタライズデータとして生成しておく。すなわちこの例では、図11に示すように、「第1階調の階調値以上の階調値(=3)を備えた第1階調用1bppビットマップデータ(第1階調用包括1bppビットマップデータ)」「第2階調の階調値以上の階調値(=2,3)を備えた第1、第2階調用1bppビットマップデータ(第2階調用包括1bppビットマップデータ)」「第3階調の階調値以上の階調値(=1,2,3)を備えた第1、第2、第3階調用1bppビットマップデータ(第3階調用包括1bppビットマップデータ)」の3つを生成する。そのうち「第1、第2階調用1bppビットマップデータ」を高速描画用の1bppビットマップデータとして生成し、それぞれワークメモリ15に格納しておく。
【0084】
なお、「第2階調の階調値以上の階調値を備えた第1、第2階調用1bppビットマップデータ(第2階調用包括1bppビットマップデータ)」は、上述のように、第2階調の階調値以上の階調値(=2,3)、すなわち第2階調の階調値2を備えたデータと第1階調の階調値3を備えたデータとの両方を包括的に含むという意味で第2階調用包括1bppビットマップデータと称しているものである。但しこの場合、先の図9右側の上段に示した「高速描画用1bppビットマップデータ」と実質同一である。
【0085】
図12は、上述した描画処理を実施するために、グラフィックコントローラ14により実行される、例えば1文字等の1単位分描画するための制御手順を表すフローチャートである。なお、このフローチャートは、例えば車両ナビゲーション装置Sの起動時に開始される。
【0086】
図12において、まずステップS310で、先の第1及び第2の実施形態の図6のステップS110や図10のステップS210と同様の手順を行う。すなわち、操作手段を介した操作によりスクロール等がなされ、これに対応してシステムコントローラ5から、通常描画から高速描画に移行するための描画切替信号が入力されたか(言い換えれば高速描画時であるかどうか)を判定する。
【0087】
上記描画切替信号が入力されていれば判定が満たされ、ステップS320に移る。ステップS320では、図10のステップS220と同様の手順を行う。すなわち、ワークメモリ15にこの時点で格納されている前述の高速描画用1bppビットマップデータ(図11の右側中段参照)を、表示制御部16を介して、ディスプレイ17に出力して描画を行い、このフローを終了する。
【0088】
一方、前述のステップS310で、通常描画から高速描画に移行するための上記描画切替信号が入力されていなければ判定が満たされず、ステップS330に移る。
【0089】
ステップS330では、先に説明したようにして予めワークメモリ15に保持されていた第3階調用包括1bppビットマップデータ(=第1階調用1bppビットマップデータ、第2階調用1bppビットマップデータ、第3階調用1bppビットマップデータの論理和に等しい)に対し、第3階調用の通常のブレンド比(B3)を乗じてグレースケール化する。そしてこのデータを、表示制御部16を介してディスプレイ17に出力し、描画を行う。図13(a)〜(d)はこれ以降のブレンド描画挙動を表す説明図であり、このステップS330には図13(b)が対応している。
【0090】
その後、ステップS340に移り、先に説明したようにして予めワークメモリ15に保持されていた第2階調用包括1bppビットマップデータ(=第1階調用1bppビットマップデータ、第2階調用1bppビットマップデータの論理和に等しい)に対し、上記B3と第2階調用の通常のブレンド比(B2)により変更されたブレンド比(B2′)を乗じてグレースケール化する。そしてこのデータを、表示制御部16を介してディスプレイ17に出力し、描画を行う(図13(c)参照)。
【0091】
その後、ステップS350に移り、先に説明したようにして予めワークメモリ15に保持されていた第1階調用包括1bppビットマップデータ(=この例では第1階調用1bppビットマップデータそのものに等しい)に対し、上記B2′と第1階調用の通常のブレンド比(B1)により変更されたブレンド比(B1′)を乗じてグレースケール化する。そしてこのデータを、表示制御部16を介してディスプレイ17に出力し、描画を行う(図13(d)参照)。
【0092】
上記ステップS350が終了したら、このフローを終了する。
【0093】
なお、本実施形態では、上記ステップS330、ステップS340、ステップS350におけるブレンド比を適宜調整することにより、(各階調のデータ生成のための計算を行なうことなく)所望の画像が得られ、更なる高速化を図ることができる。このときのブレンド比率は、例えば以下のようにして算出することができる。
【0094】
すなわち、階調nの描画前の画素の色をCdn、階調nのブレンド比率をBn、階調n-1(nの上位)の階調nの描画前の画素の色をCdn-1、ブレンド比率をBn-1、文字描画色をCs、文字描画前の画素の色をCdとすると、任意の階調のnの画素は以下の計算式で表される色にならなければならない。
【0095】
Cdn=Cd(1-Bn)+Cs・Bn、(階調nの画素) …(式1)
【0096】
ここで、図13の最低階調N(この例ではN=3)の第N階調用包括1bppデータの描画は以下の計算式で行なわれる。
【0097】
CdN=Cd(1-BN)+Cs・BN(”1”の画素) …(式3)
CdN=Cd(”0”の画素)
【0098】
次に階調N−1の描画を考える。この場合、階調Nを描画するための上記N階調用包括1bppビットマップデータは、階調N−1の画素を含んでしまっている。このため、階調N−1を描画する段階では、階調Nの描画で既にブレンド比率BNでブレンドされた状態になってしまっている。したがって、最低階調Nの次の階調、第N−1階調用包括1bppデータの描画は、ブレンド比率を調整(BN-1’)しなければならない。このブレンド描画は以下の計算式で行なわれる。
【0099】
CdN-1=CdN(1-BN-1’)+Cs・BN-1’(”1”の画素) …(式4)
CdN-1=CdN(”0”の画素)
なおBN-1’は、以下の要領で計算される。
【0100】
(式3)、(式4)から、
CdN-1={Cd(1-BN)+Cs・BN}(1-BN-1’)+Cs・BN-1’(第N−1階調用包括1bppデータで”1”の画素)…(式5)
【0101】
また、(式1)から、
CdN-1=Cd(1-BN-1)+Cs・BN-1 …(式6)
【0102】
(式5)、(式6)から、
BN-1’=(BN-1-BN)/(1-BN) …(式7)
となる。
【0103】
つまり、階調N−1の画素が、階調Nの描画で既にブレンド描画されていても、第N−1階調用包括1bppデータを(式7)で計算されるBN-1’でブレンド描画することにより、所望のブレンド比率(BN)での描画結果が得られることがわかる。
【0104】
次に任意の階調n−1について考える。任意の階調n−1のデータは上述の通り階調nの画素を含んでしまっているので、階調n−1の描画する段階では、階調nの描画で既にブレンド比率Bnでブレンドされた状態になってしまっている。したがって、任意の第n−1階調用包括1bppデータの描画は、ブレンド比率を調整(Bn-1’)しなければならない。ブレンド描画は以下の計算式で行なわれる。
【0105】
Cdn-1=Cdn(1-Bn-1’)+Cs・Bn-1’(第n−1階調用包括1bppデータで”1”の画素) …(式8)
Cdn-1=Cdn(”0”の画素)
なおBn-1’は、以下の要領で計算される。
【0106】
(式1)から、
Cdn=Cd(1-Bn)+Cs・Bn、(階調nの画素) …(式9)
(式8)、(式9)から、
Cdn-1={Cd(1-Bn)+Cs・Bn}(1-Bn-1’)+Cs・Bn-1’ …(式10)
また、(式1)から、
Cdn-1=Cd(1-Bn-1)+Cs・Bn-1、(階調nの画素) …(式11)
(式10)、(式11)から、
Bn-1’=(Bn-1-Bn)/(1-Bn)(式12)
となる。
【0107】
以上により、階調n−1の画素が、階調nの描画で既にブレンド描画されていても、第n−1階調用包括1bppデータを(式12)で計算されるBn-1’でブレンド描画することにより、所望のブレンド比率(Bn)での描画結果が得られることがわかる。
【0108】
以上説明したように、本実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段(この例ではディスプレイ17)に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段(この例では図12に示したフローのステップS310)と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示手段17に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段(この例では図12の右側中段の1bppビットマップデータデータを予め生成しておくことが相当)と、描画切替信号入力手段S310で描画切替信号が入力されたときに、高速描画データ生成手段で生成された高速描画表示データを表示手段17に出力する高速描画データ出力手段(この例では図12に示したフローのステップS320とを有することを特徴とする。
【0109】
本実施形態の表示処理装置25においては、例えば表示手段17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号が描画切替信号入力手段S310で入力される。これに応じて高速描画表示データが、高速描画データ出力手段S320から表示手段17に出力され、表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。本実施形態においては、高速描画データ生成手段が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いて表示手段17の表示を行う。
【0110】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いる。これにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低いため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0111】
以上のようにして、グレースケール等複数の階調値を備えた表示データの高速描画時においても、視覚効果の低減をほとんど招くことなく、迅速な描画処理を行うことができる。
【0112】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画データ生成手段は、文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、描画切替信号が前記描画切替信号入力手段S310に入力される前に、予め高速描画表示データを生成する階調別画素処理手段(この例では図11の右側中段の第2階調用包括1bppビットマップデータデータを予め生成しておくことが相当)を備え、高速描画データ出力手段320は、描画切替信号が描画切替信号入力手段S310に入力された後に、階調別画素処理手段で生成された高速描画表示データを表示手段17に出力することを特徴とする。
【0113】
階調別画素処理手段が、複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、高速描画表示データを予め生成しておく。これにより、描画切替信号が入力された後、高速描画データ出力手段S320は、上記階調値別画素データに基づく階調数を減らした高速描画表示データを表示手段17へ出力することが可能となる。これにより、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。
【0114】
上記実施形態における表示処理装置25においては、高速描画処理へ移行しない通常時において、文字又は図像に係わる各画素を表示手段17に表示させるための、第2通常描画表示データ(図11の右側上・中・下段に示した「第1階調用包括1bppビットマップデータ」「第2階調用包括1bppビットマップデータ」「第3階調用包括1bppビットマップデータ」)を表示手段17に出力する第2通常描画データ出力手段(この例では図12のフローのステップS330、ステップS340、ステップS350)を有することを特徴とする。
【0115】
高速描画処理へ移行しない通常時に、第2通常描画表示データを第2通常描画データ出力手段S330,S340,S350で表示手段17に出力することで、描画を行うことができる。
【0116】
上記実施形態における表示処理装置25においては、階調別画素処理手段は、高速描画表示データとして、階調値別画素データ(図11の左側上・中・下段に示した「第1階調用1bppビットマップデータ」「第2階調用1bppビットマップデータ」「第3階調用1bppビットマップデータ」)に基づき、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる高速用階調値画素データ(図11の右側中段の「第2階調用包括1bppビットマップデータ」)を生成することを特徴とする。
【0117】
階調別画素処理手段が、複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、高速描画表示データとして、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる高速用階調値画素データを予め生成しておく。これにより、描画切替信号が入力された後、高速描画データ出力手段は、上記高速用階調値画素データに基づく階調数を減らした高速描画表示データを表示手段17へ出力することが可能となる。この結果、CPU、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。
【0118】
上記実施形態における表示処理装置25においては、階調別画素処理手段は、高速描画表示データ以外に、階調値別画素データに基づき、高速描画処理へ移行しない通常時に用いるための、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる通常時用階調値画素データ(図11の右側上・中・下段に示した「第1階調用包括1bppビットマップデータ」「第2階調用包括1bppビットマップデータ」「第3階調用包括1bppビットマップデータ」)を生成し、第2通常描画データ出力手段S330,S340,S350は、第2通常描画表示データとして、高速用及び通常時用階調値画素データを所望の態様でブレンドしたものを表示手段17に出力することを特徴とする。
【0119】
本実施形態においては、階調別画素処理手段で、階調値別画素データに基づき、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる通常時用階調値画素データを生成しておく。そして、高速描画処理へ移行しない通常時には、描画の際に、予め階調別画素処理手段で階調別画素データに応じ作成された上記通常時用階調値画素データ(図11の右側上段・下段の「第1階調用包括1bppビットマップデータ」「第3階調用包括1bppビットマップデータ」)及び上記高速用階調値画素データ(図11の右側中段の「第2階調用包括1bppビットマップデータ」)を、第2通常描画データ出力手段S330,S340,S350が所望の態様でブレンドし、表示手段17に出力する。このように、通常描画時に既に作成されている通常時用階調値画素データ及び上記高速用階調値画素データをブレンドして用いるようにする。これにより、最終的に描画したいグレースケールの文字又は図像データを、新たなデータ作成を行わずブレンド処理のみで迅速に描画することができる。
【0120】
上記第1実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値によりディスプレイ17に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力するステップS110と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によってディスプレイ17に表示させるための、高速描画表示データを生成するステップS120と、ステップS110で描画切替信号が入力されたときに、ステップS120で生成された高速描画表示データをディスプレイ17に出力するステップS130とを有する。
【0121】
第1実施形態の表示処理装置25においては、例えばディスプレイ17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号がステップS110で入力される。そして、これに応じて、高速描画表示データがステップS130からディスプレイ17に出力されて表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。この第1実施形態においては、ステップS120が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いてディスプレイ17の表示を行う。
【0122】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いる。これにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低いため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0123】
第2実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値によりディスプレイ17に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力するステップS210と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によってディスプレイ17に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、ステップS210で描画切替信号が入力されたときに、高速描画データ生成手段で生成された高速描画表示データをディスプレイ17に出力するステップS220とを有する。
【0124】
第2実施形態の表示処理装置25においては、例えばディスプレイ17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号がステップS210で入力される。これに応じて、高速描画表示データが、ステップS220からディスプレイ17に出力されて表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。この第2実施形態においては、高速描画データ生成手段が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いてディスプレイ17の表示を行う。
【0125】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いることにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低いため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【0126】
第3実施形態における表示処理装置25は、複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値によりディスプレイ17に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置25であって、高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力するステップS310と、文字又は図像に係わる各画素を、対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によってディスプレイ17に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、ステップS310で描画切替信号が入力されたときに、高速描画データ生成手段で生成された高速描画表示データをディスプレイ17に出力するステップS320とを有する。
【0127】
第3実施形態の表示処理装置25においては、例えばディスプレイ17における表示スクロール等、高速描画処理を行う必要がある場合には、描画切替信号がステップS310で入力される。これに応じて、高速描画表示データが、ステップS320からディスプレイ17に出力されて表示が行われる。この高速描画時において、例えば共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の描画表示データを複数群用いた場合、階調値の数が多くなるほど描画処理のための演算が増大する。このため、描画のためのグラフィックコントローラの負担が大きくなる。この第3実施形態においては、高速描画データ生成手段が、文字又は図像に係わる各画素を対応する階調値を2値化処理した2値化階調値によって表示させる高速描画表示データを生成し、これを用いてディスプレイ17の表示を行う。
【0128】
このように、高速描画が必要なときには、階調値を2値化したデータ(言い換えれば階調数を減らしたデータ)を用いる。これにより、グラフィックコントローラの負担を増大させることなく、迅速な処理を行うことができる。また高速描画が必要なスクロール時等においては、もともと視認性が低いため、階調値を低減し文字や図像の品質をやや落としても、美観や明確性等の視覚効果の低減は最小限に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態の表示処理装置を有する車両ナビゲーション装置の全体機能構成を表すブロック図である。
【図2】ジャギーを目立たなくするアンチエイリアシングの一例を表す説明図である。
【図3】図2に示した構成を地図上に重ねて表示する場合を表す説明図である。
【図4】フォントデータの画素ごとの階調値分布の一例を表す説明図である。
【図5】高速描画処理の挙動を表す説明図である。
【図6】グラフィックコントローラにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図7】通常描画時に各階調値ごとに1bppビットマップデータに分解生成した場合のデータを表す説明図である。
【図8】通常描画時のブレンド描画挙動を表す説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態の表示処理装置において、各階調用1bppビットマップデータから予め所定のプレラスタイズビットマップデータを作成しておく手法を表す説明図である。
【図10】グラフィックコントローラにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態の表示処理装置において、各階調用1bppビットマップデータから予め所定のプレラスタイズビットマップデータを作成しておく手法を表す説明図である。
【図12】グラフィックコントローラにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図13】通常描画時のブレンド描画挙動を表す説明図である。
【符号の説明】
【0130】
14 グラフィックコントローラ
15 ワークメモリ
17 ディスプレイ(表示手段)
25 表示処理装置
Claims (10)
- 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置であって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段と、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、
前記描画切替信号入力手段で前記描画切替信号が入力されたときに、前記高速描画データ生成手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力手段と、
前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理手段と、
前記第1通常描画処理手段で生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力手段とを有し、
前記高速描画データ生成手段は、
前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理手段を備えており、
前記高速描画データ出力手段は、前記画素別階調処理手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力することを特徴とする表示処理装置。 - 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理装置であって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力手段と、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成手段と、
前記描画切替信号入力手段で前記描画切替信号が入力されたときに、前記高速描画データ生成手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力手段とを有し、
前記高速描画データ生成手段は、
前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理手段を備え、
前記高速描画データ出力手段は、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力手段に入力された後に、前記階調別画素処理手段で生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する
ことを特徴とする表示処理装置。 - 請求項2記載の表示処理装置において、
前記高速描画処理へ移行しない通常時において、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、第2通常描画表示データを前記表示手段に出力する第2通常描画データ出力手段
を有することを特徴とする表示処理装置。 - 請求項3記載の表示処理装置において、
前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記高速描画表示データに基づき前記第2通常描画表示データを生成する第2通常描画処理手段
を有することを特徴とする表示処理装置。 - 請求項2記載の表示処理装置において、
前記階調別画素処理手段は
前記高速描画表示データとして、前記階調値別画素データに基づき、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる高速用階調値画素データを生成する
ことを特徴とする表示処理装置。 - 請求項5記載の表示処理装置において、
前記階調別画素処理手段は、
前記高速描画表示データ以外に、前記階調値別画素データに基づき、前記高速描画処理へ移行しない通常時に用いるための、所定階調値以上の階調値を備えた画素からなる通常時用階調値画素データを生成し、
前記第2通常描画データ出力手段は、
前記第2通常描画表示データとして、前記高速用及び通常時用階調値画素データを所望の態様でブレンドしたものを前記表示手段に出力することを特徴とする表示処理装置。 - 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理方法であって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、
前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップと、
前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理ステップと、
前記第1通常描画処理ステップで生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力ステップとを有し、
前記高速描画データ生成ステップでは、
前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理ステップを含み、
前記高速描画データ出力ステップでは、前記画素別階調処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する
ことを特徴とする表示処理方法。 - 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する表示処理方法であって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、
前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップとを有し、
前記高速描画データ生成ステップは、
前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理ステップを含み、
前記高速描画データ出力ステップは、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、前記階調別画素処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する
ことを特徴とする表示処理方法。 - 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する、表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラムであって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、
前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップと、
前記高速描画処理へ移行しない通常時の描画の際、前記文字又は図像に係わる各画素を前記表示手段に表示させるための、前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別の第1通常描画表示データを生成する第1通常描画処理ステップと、
前記第1通常描画処理ステップで生成された前記第1通常描画表示データを前記表示手段に出力する第1通常描画データ出力ステップとを有し、
前記高速描画データ生成ステップでは、
前記文字又は図像を構成する各画素ごとに階調値を備えた画素別階調値データに対し、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、階調値の所定のしきい値を適用して2値化処理を行い、前記高速描画表示データを生成する画素別階調処理ステップを含み、
前記高速描画データ出力ステップでは、前記画素別階調処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する
ことを特徴とする表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラム。 - 複数の画素からなる文字又は図像を、各画素ごとに所定の階調値により表示手段に表示させるための表示データを生成して出力する、表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラムであって、
高速描画処理へ移行するための描画切替信号を入力する描画切替信号入力ステップと、
前記文字又は図像に係わる各画素を、対応する前記階調値を2値化処理した2値化階調値によって前記表示手段に表示させるための、高速描画表示データを生成する高速描画データ生成ステップと、
前記描画切替信号が入力されたときに、前記生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する高速描画データ出力ステップとを有し、
前記高速描画データ生成ステップは、
前記文字又は図像を構成する複数の画素のうち共通の階調値を備えた画素からなる階調値別画素データに基づき、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力される前に、予め前記高速描画表示データを生成する階調別画素処理ステップを含み、
前記高速描画データ出力ステップは、前記描画切替信号が前記描画切替信号入力ステップで入力された後に、前記階調別画素処理ステップで生成された前記高速描画表示データを前記表示手段に出力する
ことを特徴とする、表示処理装置に備えられた演算手段に実行させるための表示処理プログラム。
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