JP4762265B2 - 重包装袋 - Google Patents
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Description
これらの袋の表面及び裏面には、袋の内容物である商品の特性をアピールするための様々なデザインの印刷が施されているが、高く積み上げられた状態では袋の側面しか視認できないため、表面及び裏面の印刷のみでは商品アピール性に劣り、高く積み上げられた状態でも充分に高い商品アピール性を得るためには、袋の側面に印刷を施すことが必要となる(図6参照)。
先ず、インフレーションフィルム成形法により得られたチューブ状フィルムに印刷を施す製袋方法では、チューブ状フィルムの両端が予め折り畳まれていることから、両端部に印刷を施すことが困難であるが、製袋した際においてはこの両端部が袋の側面となることから、積み重ねられることが多い重包装袋において商品アピール性に劣るという問題があった。
次に、シート状フィルムに表面印刷を施した後にヒートシールにて製袋する方法では、シートの幅方向の任意の位置に印刷を施すことができるため、製袋形態として落袋強度に優れる封筒貼りを行った場合でも、袋の側面となる部分に様々なデザインを施すことが可能となり、商品アピール性に優れるものの、封筒貼り部のヒートシール強度が低くなるため、積み重ね時や輸送時に大きな引張り力が生じる重包装袋では、ヒートシール部分から袋が破れてしまうおそれがあるという問題があった。
また、シート状フィルムに裏面印刷を施し、これを別のシート状フィルムとラミネートした後、ヒートシールにて製袋する方法では、上記方法と同様に商品アピール性に優れ、さらに裏面印刷であるために袋の外面光沢に優れるものとなるが、封筒貼り部のヒートシール強度が低くなることに加え、ラミネート工程が増えることによるコストアップが生じるという問題があった。
この特許文献1に開示されたポリエチレンフィルム積層体は、メタロセンを触媒として重合されたポリエチレンフィルムの積層体であり、従来のチーグラー触媒で重合されたポリエチレンフィルムに比べると、透明性やヒートシール性等の点で優れたものであったが、米袋や肥料袋等の重包装袋としての適用を考慮した場合には、充分に満足できる特性を備えているとは言い難かった。
また、積層フィルムの外層を形成するポリプロピレンにポリエチレンが5〜50重量%の割合で混合されているため、高いヒートシール強度と優れた表面光沢を有する重包装袋となる。また、印刷インキ乾燥時におけるフィルム収縮を小さく抑えることができるため、多色印刷の際の柄ずれを防ぎ、美麗な印刷仕上がりを有する重包装袋が得られる。
しかも、ポリプロピレンに混合されるポリエチレンがメタロセン触媒により重合されているため、封筒貼部のヒートシール強度が高い重包装袋を得ることができる。
図1は、本発明に係る重包装袋に用いられる積層フィルムの参考実施形態を示す模式断面図である。
参考実施形態に係る重包装袋用積層フィルム(1)は、ポリエチレンからなる内層(2)と、ポリプロピレンからなる外層(3)とから構成された二層構造の積層フィルムである。
このような内層(2)と外層(3)を備えた積層フィルム(1)は共押出しにより形成される。一般的に、製袋用の積層フィルムとしては、共押出しフィルムとラミネートフィルムが存在するが、本発明では共押出しフィルムを用いることで、ラミネート工程を必要とせず比較的低コストで製造することが可能となる。
尚、共押出しの方法は、インフレーション法、Tダイ法(フラットダイ法)のいずれであってもよい。
メタロセン触媒により重合されたポリエチレンやポリプロピレンは、側鎖の分岐が少なく、分子量、コモノマーの分布が均一であり、高い透明性、剛性、耐熱性、ヒートシール強度が得られる。
また、高耐熱性を有するポリプロピレンを製袋した際の外層(外面)とすることによって、印刷時のフィルムの延びが防がれて美麗な印刷面を得ることが可能となる上に、このポリプロピレンがメタロセン触媒によりランダム重合されているため、優れた表面光沢と高い透明性を有する重包装袋を得ることが可能となる。
ポリエチレンの割合は、混合樹脂全体の5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%とされる。
これは、ポリエチレンの割合が5%未満であると、封筒貼りした際のヒートシール強度が弱くなり、50%を超えると、表面光沢の低下や印刷インキ乾燥時のフィルム収縮の増加を招くからである。
このように、外層(3)を形成するポリプロピレンに混合されるポリエチレンを、メタロセン触媒により重合されたものとすることにより、封筒貼りにて製袋した際に、より高いヒートシール強度(ヒートシール部分の剥離強度)と高い透明性、光沢が得られ、重包装袋用の積層フィルムとして好適に用いることができる。
本実施形態に係る重包装袋用積層フィルム(1)は、ポリエチレンからなる内層(2)と、ポリエチレンからなる中層(4)と、ポリプロピレンからなる外層(3)とから構成された三層構造を有している。
このような内層(2)と中層(4)と外層(3)を備えた積層フィルム(1)は共押出しにより形成される。尚、共押出しの方法は、インフレーション法、Tダイ法(フラットダイ法)のいずれであってもよい。
すなわち、積層フィルム(1)の内層(2)を形成するポリエチレンはメタロセン触媒により重合されたものであり、積層フィルム(1)の外層(3)を形成するポリプロピレンはメタロセン触媒によりランダム重合されたものである。
そして、上記外層(3)を形成するポリプロピレンに混合されるポリエチレンには、メタロセン触媒により重合されたものが用いられる。
中層(4)を形成するポリエチレンとしては、従来のチーグラー触媒で重合されたポリエチレン(L−LDPE)を使用すればよい。
このように、ポリエチレンからなる内層(2)及びポリプロピレンからなる外層(3)の間に、ポリエチレンからなる中層(4)を介在させることによって、参考実施形態の積層フィルムに比べて低温でのヒートシール適性を確保しながら、印刷インキ乾燥時の熱収縮が小さいという点で優れたものとなる。
また、中層(4)を二層以上に形成して、全体として四層以上の多層構造を有する積層フィルムとすることも可能である。
図3乃至図5は、本発明に係る重包装袋の製造方法を示す概略図である。尚、図3では、本実施形態に係る積層フィルム(1)を使用した場合が示されている。
本発明に係る重包装袋は、上記した本実施形態の積層フィルム(1)、即ちメタロセン触媒により重合されたポリエチレンからなる内層(2)とメタロセン触媒によりランダム重合されたポリプロピレンからなる外層(3)とを備えた共押出しにより製造された積層フィルム(1)を使用して製造される。
そして、積層フィルム(1)の印刷が施された外層(3)が表面側、内層(2)が内面側となるように、フィルムの対向する左右両辺を内向きに折り曲げる(図4参照)。
そして、折り曲げられた左右両辺の端部同士を所定幅で重ね合わせ、その重なり合った部分(5)と下辺部の所定幅部分(6)を熱溶着により封止することによって、本発明に係る重包装袋(7)が得られる。
1.積層フィルムの製造
(実施例1)
三層空冷インフレーションフィルム成形機(モダンマシナリー社製、外層機55mmφ、中層機65mmφ、内層機55mmφ、ダイス450φ)にて、外層がメタロセン触媒で重合されたランダムPP(日本ポリケム社製、ウィンテックWFX4TA MFR7.0、密度0.900g/cm3)(以下、PP−1と略)とメタロセン触媒で重合されたL−LDPE(日本ポリケム社製、カーネルPE340 MFR3.5、密度0.880g/cm3)(以下、PE−1と略)を90:10の比率で混合したものであり、中層がチーグラー触媒で重合されたL−LDPE(以下、PE−2と略)であり、内層がメタロセン触媒で重合されたL−LDPE(日本ポリケム社製、カーネルPE270 MFR2.5、密度0.907g/cm3)(以下、PE−3と略)である三層積層フィルムを製造した。
成形温度は185℃であり、得られたフィルムは厚み90μm、幅740mm、各層の厚み比が外層:中層:内層=1:3:2であった。
(実施例2)
実施例1において、外層を形成するPP−1とPE−1の混合比率を70:30にした以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
実施例1において、外層をPP−1のみから形成した以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
(比較例2)
実施例1において、外層を形成するPP−1とPE−1の混合比率を40:60にした以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
(比較例3)
実施例1において、外層をチーグラー触媒で重合されたランダムPP(日本ポリケム社製、ノバテックFG3D、MFR7.0、密度0.900g/cm3)とPE−1を70:30の比率で混合したもので形成した以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
実施例1において、外層をPE−1とチーグラー触媒で重合されたL−LDPE(東ソー社製、ルミタック12−1 MFR0.8、密度0.900g/cm3)とを70:30の比率で混合したもので形成した以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
(比較例5)
実施例2において、内層をチーグラー触媒で重合されたL−LDPE(東ソー社製、ニポロンZ ZF220、MFR2.0、密度0.913g/cm3)から形成した以外は実施例2と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
(比較例6)
実施例1において、外層をメタロセン触媒で重合されたL−LDPE(宇部興産社製、ユメリット4540F、MFR4.0、密度0.944g/cm3)から形成した以外は実施例1と同じ条件で三層積層フィルムを製造した。
尚、表1において、メタロセン触媒で重合されたランダムPPは「PP−M」、チーグラー触媒で重合されたランダムPPは「PP−Z」、メタロセン触媒で重合されたポリエチレンは「PE−M」、チーグラー触媒で重合されたポリエチレンは「PE−Z」と略した。
上記実施例1〜2、比較例1〜6により得られたシート状の積層フィルムについて、印刷適性、封筒貼部シール強度、透明性、表面光沢の各項目を評価した。結果を表2に示す。
印刷適性は、6色グラビア転輪印刷機(中島精機エンジニアリング製GE−2−6、シリンダー幅1100mm、巻出テンション100N、巻取テンション70N、乾燥温度40℃、印刷速度150m/min)を用いて、シート状フィルム(厚み90μm、幅740mm)の表面に6色印刷を施し、印刷されたフィルムの柄の重なり部分の最大にずれた距離をフィルムの幅方向と長さ方向でそれぞれ測定し、ずれた距離が0.5mm未満のものを○、0.5〜1.0mmのものを△、1.0mmより大きいものを×と評価した。
封筒貼部シール強度は、シート状の積層フィルムの表面(外層)と裏面(内層)を重ね合わせ、ヒートシーラー機(志賀包装機製)を用いて、シール温度120℃、シール圧力0.1MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールを行い、その後シール幅15mmの短冊状に切り出し、引張試験機(島津製作所製AGS100D、シール幅15mm、引張速度300m/min)を用いてシールされている部分の剥離強度を測定し、剥離強度が18N/15mm以上のものを○、13〜17N/15mmのものを△、12N/15mm以下のものを×と評価した。
透明性は、JIS K7105に準拠してヘイズ値を測定した。
表面光沢は、JIS K7105に準拠してグロス値を測定した。
これに対して、比較例1〜6により得られた積層フィルムは、印刷適性、封筒貼部シール強度、透明性、表面光沢の全ての評価項目において高い特性を示すものはなく、重包装用袋のフィルムとして満足できる品質のものは得られなかった。
2 内層
3 外層
7 重包装袋
Claims (1)
- ポリエチレンとポリプロピレンの共押出しにより形成された積層フィルムから構成され、
該積層フィルムの内層を形成するポリエチレンがメタロセン触媒により重合され、該積層フィルムの外層を形成するポリプロピレンがメタロセン触媒によりランダム重合されてなるとともに、
該外層を形成するポリプロピレンには、メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)が5〜50重量%の割合で混合されてなり、
前記外層と内層との間にはポリエチレンからなる中層が介在されており、
外層と中層と内層との厚みの比率が1:1〜4:1〜3であり、
この積層フィルムの内層が内面に位置し、外層が外面に位置するように封筒貼りにて形成されてなることを特徴とする重包装袋。
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