JP4761223B2 - 内燃機関の触媒劣化検出装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置に関する。
一般に、内燃機関では排気ガスを浄化するために排気通路に触媒が配置されている。このような触媒、例えば三元触媒は、触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きくなると、即ちリーンになると排気ガス中に存在する過剰酸素を吸着保持し、触媒流入排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも小さくなると、即ちリッチになると吸着保持された酸素を放出するO2ストレージ機能を有する。従って、内燃機関の通常運転時、理論空燃比を中心として運転条件により混合気がリッチ側又はリーン側に振れてしまっても、触媒表面は理論空燃比に保たれ、三元触媒のもつO2ストレージ機能により、混合気がリーンになったときには過剰な酸素が触媒に吸着保持されるためにNOxが還元され、混合気がリッチになったときには触媒に吸着保持された酸素が放出されるためにHCおよびCOが酸化され、これによりNOx,HCおよびCOを同時に浄化できることになる。
そこで従来より触媒上流側の排気通路に排気空燃比を検出するための空燃比センサを配置し、排気空燃比がリーンになったときには燃料供給量を増量し、排気空燃比がリッチになったときには燃料供給量を減量させることにより、空燃比が理論空燃比を中心として制御されるためリッチ側又はリーン側に交互に振れてしまっても、それによってNOx,HCおよびCOを同時に低減されるようになっている。
ところで、三元触媒が劣化すると排気ガス浄化率が低下する。三元触媒の劣化度とO2ストレージ機能の低下度との間にはともに貴金属を介する反応であるため相関関係がある。よって、O2ストレージ機能が低下したことを検出することで触媒が劣化したことを検出することができる。より具体的には、現状の触媒が吸蔵し得る最大酸素量としての酸素吸蔵容量を計測することで触媒の劣化が検出可能である。
例えば、触媒に流入する排気ガスの空燃比が所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えられ、即ちアクティブ空燃比制御が実行される。そしてその切替毎に触媒の酸素吸蔵容量が繰り返し計測され、これら複数の酸素吸蔵容量計測値の平均値を所定の劣化判定値と比較して、触媒の劣化の有無が判定される(例えば特許文献1参照)。
特開2004−3405号公報
このアクティブ空燃比制御を伴う触媒劣化検出では、一般的に、最初から所定個(例えば2〜3個)の酸素吸蔵容量計測値が劣化判定に用いられず無効化される。その理由は、アクティブ空燃比制御開始直後は触媒の状態が安定せず、酸素吸蔵容量計測値に誤差が含まれるからである。
一方、内燃機関の例えば加速時において、内燃機関に供給する燃料量を通常運転時よりも増量する燃料増量補正が実施される場合がある。この燃料増量補正が実施された場合、排気ガス中のリッチ成分(主にHC,CO)が触媒表面に付着し、触媒が一時的にリッチ被毒することがある。
このリッチ被毒状態で触媒の酸素吸蔵容量が計測されると、触媒の酸素吸放出作用が妨げられる結果、計測値に一層大きな誤差が含まれるようになる。この誤差を多く含む計測値を用いて触媒劣化検出を行うことは、当然ながら、触媒劣化検出の検出精度を落としめ、最悪誤検出につながる虞もある。
そこで、本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料増量補正に起因する検出精度の低下を防止し得る内燃機関の触媒劣化検出装置を提供することにある。
本発明の第1の形態によれば、
内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
該アクティブ空燃比制御手段による排気空燃比の切替毎に、触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された複数の酸素吸蔵容量計測値のうち、最初から所定個の計測値を除いた残余の計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、その燃料増量補正が無い場合に比べ、触媒劣化判定に使用しない前記所定個の無効計測値の数を増加させる無効計測値増加手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置が提供される。
この本発明の第1の形態によれば、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、触媒劣化判定に使用しない無効計測値の数が増加させられる。これにより、リッチ被毒による誤差を含む酸素吸蔵容量計測値を検出データから除くことができ、検出精度の低下及び誤検出を未然に防止することができる。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、
前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間が所定時間より短い場合に、前記所定個の無効計測値の数を増加させる
ことを特徴とする。
燃料増量補正による触媒のリッチ被毒は、その燃料増量補正終了後、一定時間を経過すると解消する一時的なものである。逆に言えば、その一定時間経過前のみが触媒がリッチ被毒状態にある期間である。よって、本発明の第2の形態のように、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間が所定時間より短い場合に無効計測値の数を増加させることによって、徒に無効計測値の数を増加させずに済み、劣化検出時間の長期化ひいてはエミッションの悪化を防止することができる。
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形態において、
前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間に応じて、前記所定個の無効計測値の数を変更する
ことを特徴とする。
燃料増量補正終了時から多くの時間が経過するほど、触媒のリッチ被毒状態は解消していく。よって、本発明の第3の形態のように、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間に応じて無効計測値の数を変更することで、無効計測値の数を触媒のリッチ被毒状態に応じた適正数にすることが可能となる。
本発明の第4の形態は、前記第1乃至第3のいずれかの形態において、
前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正時における実際の排気空燃比と理論空燃比との差、及び燃料増量補正時間の少なくとも一方に基づき、前記所定個の無効計測値の数を変更する
ことを特徴とする。
燃料増量補正時における実際の排気空燃比と理論空燃比との差が大きいほど、また燃料増量補正時間が長いほど、触媒のリッチ被毒度合いが大きく、その解消に長時間を要する。よってこれらのうちの少なくとも一方に基づき無効計測値の数を変更することで、無効計測値の数を適正化することが可能となる。
本発明の第5の形態は、前記第1乃至第4のいずれかの形態において、
前記アクティブ空燃比制御手段は、前記無効計測値の計測中に前記中心空燃比を前記所定の中心空燃比よりもリーン側にシフトする
ことを特徴とする。
これによれば、無効計測値の計測中にリーン度合いの大きな排気ガスを触媒内に流通させることができ、触媒に付着したリッチ成分のパージを促進することができる。
本発明の第6の形態によれば、
内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
該アクティブ空燃比制御手段によって排気空燃比がリーン側及びリッチ側に切り替えられるとき、最初から所定回数の切替時を除く残余の切替時毎に、前記触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された切替時毎の酸素吸蔵容量計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、その燃料増量補正が無いときに比べ、酸素吸蔵容量を計測しない前記所定回数の値を増加させる未計測回数増加手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置が提供される。
前述の第1の形態は、最初の排気空燃比切替時から酸素吸蔵容量を複数計測した上で、そのうちの最初から所定個の計測値を無効化するものであった。これに対し、この第6の形態は、最初から所定回数の排気空燃比切替時に酸素吸蔵容量の計測自体を行わないものである。そして、この第6の形態によれば、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正がなされた場合、酸素吸蔵容量を計測しない前記所定回数の値が増加される。これによっても第1の形態と同様の作用効果を奏することができる。
本発明の第7の形態によれば、
内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
該アクティブ空燃比制御手段による排気空燃比の切替毎に、触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
該計測手段によって計測された複数の酸素吸蔵容量計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、前記複数の酸素吸蔵容量計測値のうち最初から所定個の計測値を補正する補正手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置が提供される。
これによれば、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、複数の酸素吸蔵容量計測値のうち最初から所定個の計測値を補正して、触媒劣化判定に用いることができる。計測値の無効化や未計測を実施しないので、その分、劣化検出時間を短縮でき、エミッション上も有利になる場合がある。
本発明の第8の形態は、前記第7の形態において、
前記補正手段は、燃料増量補正終了時から各酸素吸蔵容量の計測開始時又は計測終了時までの経過時間に応じて、前記補正のための補正量を変更する
ことを特徴とする。
燃料増量補正終了時から多くの時間が経過するほど、触媒のリッチ被毒状態が解消していく。よって、燃料増量補正終了時から各酸素吸蔵容量の計測開始時又は計測終了時までの経過時間に応じて補正量を変更することで、触媒のリッチ被毒状態に応じた適切な補正量を設定することが可能になる。
本発明によれば、燃料増量補正に起因する検出精度の低下を防止できるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の構成を示す概略図である。図示されるように、内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。内燃機関1は車両用多気筒エンジン(1気筒のみ図示)であり、火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。また、シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。さらにシリンダヘッドにはインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設され、燃焼室3内に直接燃料噴射するようになっている。ピストン4はいわゆる深皿頂面型に構成されており、その上面には凹部4aが形成されている。そして内燃機関1では、燃焼室3内に空気を吸入させた状態で、インジェクタ12からピストン4の凹部4aに向けて燃料が直接噴射される。これにより点火プラグ7の近傍に、燃料と空気との混合気の層が周囲の空気層と分離された状態で形成(成層化)され、安定した成層燃焼が実行される。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式スロットルバルブ10とが組み込まれている。なお吸気ポート、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されており、排気管6には、O2ストレージ機能(酸素吸蔵能)を有する三元触媒からなる触媒11が取り付けられている。なお排気ポート、枝管及び排気管6により排気通路が形成される。触媒11の上流側と下流側とにそれぞれ排気空燃比を検出するための空燃比センサ、即ち触媒前センサ及び触媒後センサ17,18が設置されている。触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、その空燃比に比例した電流信号を出力する。他方、触媒後センサ18は所謂O2センサからなり、理論空燃比を境に出力電圧が急変する特性を持つ。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
触媒11は、これに流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ)A/Fs(例えば14.6)近傍のときにNOx ,HCおよびCOを同時に浄化する。そしてこれに対応して、ECU20は、内燃機関の通常運転時、触媒11に流入する排気ガスの空燃比即ち触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsになるように空燃比を制御する。具体的にはECU20は、理論空燃比A/Fsに等しい目標空燃比A/Ftを設定すると共に、触媒前センサ17により検出された触媒前空燃比A/Ffrが目標空燃比A/Ftに一致するように、インジェクタ12から噴射される燃料噴射量を制御する。これにより触媒11に流入する排気ガスの空燃比は理論空燃比近傍に保たれ、触媒11において最大の浄化性能が発揮されるようになる。
ここで、触媒11についてより詳細に説明する。図2に示すように、触媒11においては、図示しない担体基材の表面上にコート材31が被覆され、このコート材31に微粒子状の触媒成分32が多数分散配置された状態で保持され、触媒11内部で露出されている。触媒成分32は主にPt,Pd等の貴金属からなり、NOx ,HCおよびCOといった排ガス成分を反応させる際の活性点となる。他方、コート材31は、排気ガスと触媒成分32との界面における反応を促進させる助触媒の役割を担うと共に、雰囲気ガスの空燃比に応じて酸素を吸収放出可能な酸素吸蔵成分を含む。酸素吸蔵成分は例えば酸化セリウムCeO2やジルコニアからなる。例えば、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比A/Fsよりリッチであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分に吸蔵されていた酸素が放出され、この結果、放出された酸素によりHCおよびCOといった未燃成分が酸化され、浄化される。逆に、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比A/Fsよりリーンであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分が雰囲気ガスから酸素を吸収し、この結果NOxが還元浄化される。
このような酸素吸放出作用により、通常の空燃比制御の際に触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに対し多少ばらついたとしても、NOx、HCおよびCOといった三つの排気ガス成分を同時浄化することができる。よって通常の空燃比制御において、触媒前空燃比A/Ffrを敢えて理論空燃比A/Fsを中心に微小振動させ、酸素の吸放出を繰り返させることにより排ガス浄化を行うことも可能である。
ところで、新品状態の触媒11では前述したように細かい粒子状の触媒成分32が多数均等に分散配置されており、排気ガスと触媒成分32との接触確率が高い状態に維持されている。しかしながら、触媒11が劣化してくると、一部の触媒成分32に消失が見られるほか、触媒成分32同士が排気熱で焼き固まって焼結状態になるものがある(図の破線参照)。こうなると排気ガスと触媒成分32との接触確率の低下を引き起こし、浄化率を落としめる原因となる。そしてこのほかに、触媒成分32の周囲に存在するコート材31の量、即ち酸素吸蔵成分の量が減少し、酸素吸蔵能自体が低下する。
このように、触媒11の劣化度と触媒11の持つ酸素吸蔵能の低下度とは相関関係にある。そこで本実施形態では、触媒11の酸素吸蔵能を検出することにより触媒11の劣化度を検出することとしている。ここで、触媒11の酸素吸蔵能は、現状の触媒11が吸蔵し得る最大酸素量である酸素吸蔵容量(OSC;O2 Strage Capacity、単位はg)の大きさによって表される。
以下、本実施形態における触媒の劣化検出について説明する。
本実施形態では、触媒11の劣化検出の際にECU20によってアクティブ空燃比制御が実行される。アクティブ空燃比制御とは、触媒前空燃比A/Ffrを、所定の中心空燃比A/Fcを境にリッチ側及びリーン側に強制的に(アクティブに)切り替える制御である。なおリッチ側に変化されたときの空燃比をリッチ空燃比A/Fr、リーン側に変化されたときの空燃比をリーン空燃比A/Flと称す。このアクティブ空燃比制御によって触媒前空燃比A/Ffrがリッチ側又はリーン側に変化されているときに触媒の酸素吸蔵容量OSCが計測される。
触媒11の劣化検出は、内燃機関1の定常運転時で且つ触媒11が活性温度域にあるときに実行される。触媒11の温度は、温度センサを用いて直接検出してもよいが、本実施形態の場合内燃機関の運転状態から推定することとしている。例えばECU20は、エアフローメータ5によって検出される吸入空気量GAと、クランク角センサ14の出力に基づいて算出される機関回転速度NEとに基づいて、予め実験等を通じて設定されたマップ又は関数を利用し、触媒11の温度を推定する。
触媒の劣化検出は、内燃機関の1トリップ当たりに少なくとも1回実行され、少なくとも2トリップ連続で触媒劣化が検出されたときに触媒劣化との最終判断がなされ、チェックランプ等の警告装置が作動させられる。なお1トリップとは1回のエンジンの始動から停止までの期間をいう。
図3(A),(B)にはそれぞれ、アクティブ空燃比制御実行時における触媒前センサ17及び触媒後センサ18の出力が実線で示されている。また、図3(A)には、ECU20内部で発生される目標空燃比A/Ftが破線で示されている。触媒前センサ17及び触媒後センサ18の出力値はそれぞれ触媒前空燃比A/Ffr及び触媒後空燃比A/Frrの値を表す。
図3(A)に示されるように、目標空燃比A/Ftは、中心空燃比としての理論空燃比A/Fsを中心として、そこからリッチ側に所定の振幅(リッチ振幅Ar、Ar>0)だけ離れた空燃比(リッチ空燃比A/Fr)と、そこからリーン側に所定の振幅(リーン振幅Al、Al>0)だけ離れた空燃比(リーン空燃比A/Fl)とに強制的に、且つ交互に切り替えられる。そしてこの目標空燃比A/Ftの切り替えに追従して、実際値としての触媒前空燃比A/Ffrも、目標空燃比A/Ftに対し僅かな時間遅れを伴って切り替わる。このことから目標空燃比A/Ftと触媒前空燃比A/Ffrとは時間遅れがあること以外等価であることが理解されよう。
図示例においてリッチ振幅Arとリーン振幅Alとは等しい。例えば理論空燃比A/Fs=14.6、リッチ空燃比A/Fr=14.1、リーン空燃比A/Fl=15.1、リッチ振幅Ar=リーン振幅Al=0.5である。通常の空燃比制御の場合に比べ、アクティブ空燃比制御の場合は空燃比の振り幅が大きく、即ちリッチ振幅Arとリーン振幅Alとの値は大きい。
ところで、目標空燃比A/Ftが切り替えられるタイミングは、触媒後センサ18の出力がリッチからリーンに、又はリーンからリッチに切り替わるタイミングである。ここで図示されるように触媒後センサ18の出力電圧は理論空燃比A/Fsを境に急変し、触媒後空燃比A/Frrが理論空燃比A/Fsより小さいリッチ側の空燃比であるときその出力電圧がリッチ判定値VR以上となり、触媒後空燃比A/Frrが理論空燃比A/Fsより大きいリーン側の空燃比であるときその出力電圧がリーン判定値VL以下となる。ここでVR>VLであり、例えばVR=0.59(V)、VL=0.21(V)である。
図3(A),(B)に示されるように、触媒後センサ18の出力電圧がリッチ側の値からリーン側に変化してリーン判定値VLに等しくなった時(時刻t1)、目標空燃比A/Ftはリーン空燃比A/Flからリッチ空燃比A/Frに切り替えられる。その後、触媒後センサ18の出力電圧がリーン側の値からリッチ側に変化してリッチ判定値VRに等しくなった時(時刻t2)、目標空燃比A/Ftはリッチ空燃比A/Frからリーン空燃比A/Flに切り替えられる。
このような空燃比変化を行うアクティブ空燃比制御を実行しつつ、次のようにして触媒11の酸素吸蔵容量OSCが計測され、触媒11の劣化が判定される。
図3を参照して、時刻t1より前では目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flとされ、触媒11にはリーンガスが流入されている。このとき触媒11では酸素を吸収し続けているが、一杯に酸素を吸収した時点でそれ以上酸素を吸収できなくなり、リーンガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後空燃比A/Frrがリーン側に変化し、触媒後センサ18の出力電圧がリーン判定値VLに達した時点(t1)で、目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられ、或いは反転される。このように目標空燃比A/Ftは触媒後センサ18の出力をトリガにして反転される。
そして今度は触媒11にリッチガスが流入されることとなる。このとき触媒11では、それまで吸蔵されていた酸素が放出され続ける。よって触媒11の下流側にはほぼ理論空燃比A/Fsの排気ガスが流出し、触媒後空燃比A/Frrがリッチにならないことから、触媒後センサ18の出力は反転しない。触媒11から酸素が放出され続けるとやがて触媒11からは全ての吸蔵酸素が放出され尽くし、その時点でそれ以上酸素を放出できなくなり、リッチガスが触媒11を通り抜けて触媒11の下流側に流れ出す。こうなると触媒後空燃比A/Frrがリッチ側に変化し、触媒後センサ18の出力電圧がリッチ判定値VRに達した時点(t2)で、目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flに切り替えられる。
酸素吸蔵容量OSCが大きいほど、酸素を吸収或いは放出し続けることのできる時間が長くなる。つまり、触媒が劣化していない場合は目標空燃比A/Ftの反転周期(例えばt1からt2までの時間)が長くなり、触媒の劣化が進むほど目標空燃比A/Ftの反転周期は短くなる。
そこで、このことを利用して酸素吸蔵容量OSCが以下のようにして計測される。図4に示すように、時刻t1で目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに切り替えられた直後、僅かに遅れて実際値としての触媒前空燃比A/Ffrがリッチ空燃比A/Frに切り替わる。そして触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに達した時点t11から、次に目標空燃比A/Ftが反転する時点t2まで、次式(1)により微小時間毎の酸素吸蔵容量dCが算出され、且つこの微小時間毎の酸素吸蔵容量dCが時刻t11から時刻t2まで積分される。こうしてこの酸素放出サイクルにおける酸素吸蔵容量OSC1即ち放出酸素量が計測される。
Figure 0004761223
ここで、Qは燃料噴射量であり、空燃比差ΔA/Fに燃料噴射量Qを乗じると過剰分の空気量を算出できる。Kは空気に含まれる酸素割合(約0.23)である。
基本的には、この1回で計測された酸素吸蔵容量OSC1を用い、これを所定の劣化判定値と比較し、酸素吸蔵容量OSC1が劣化判定値を超えていれば正常、酸素吸蔵容量OSC1が劣化判定値以下ならば劣化、というように触媒の劣化を判定できる。しかしながら、本実施形態では精度を向上させるため、リーン側でも同様に酸素吸蔵容量(この場合酸素吸収量)を計測し、必要に応じてリッチ側とリーン側とで複数回計測を繰り返し、その平均値を劣化判定値と比較して最終的な劣化判定を行っている。
具体的には、図4に示すように、時刻t2で目標空燃比A/Ftがリーン空燃比A/Flに切り替えられた後、前式(1)により微小時間毎の酸素吸蔵容量dCが算出され、且つこの微小時間毎の酸素吸蔵容量dCが、触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに達した時点t21から、次に目標空燃比A/Ftがリッチ側に反転する時点t3まで積分される。こうしてこの酸素吸収サイクルにおける酸素吸蔵容量OSC2即ち吸収酸素量が計測される。前回サイクルの酸素吸蔵容量OSC1と今回サイクルの酸素吸蔵容量OSC2とはほぼ等しい値となるはずである。
このようにして、アクティブ空燃比制御の開始時から複数の酸素吸蔵容量OSC1,OSC2,OSC3・・・OSCn(本実施形態ではn=8)が順次計測されていく。
ところで、アクティブ空燃比制御の開始直後は触媒の状態が安定せず、その間に計測された酸素吸蔵容量計測値にも誤差が含まれる。よって検出精度低下防止の観点から、最初から所定個(本実施形態では2個)の計測値OSC1,OSC2が劣化判定に用いられず無効化される。劣化判定は残余の計測値OSC3,・・・OSCnに基づいて行われる。即ち、これら残余の計測値OSC3,・・・OSCnの平均値OSCavが算出され、この平均値OSCavが所定の劣化判定値OSCsと比較される。そして、平均値OSCavが劣化判定値OSCsを超えていれば触媒11は正常、平均値OSCavが劣化判定値OSCs以下ならば触媒11は劣化と判定される。
なお、車両の走行距離等、触媒劣化の進行に相関するパラメータに応じて、酸素吸蔵容量OSCの計測回数nを変更してもよい。例えば、走行距離が比較的少ない場合にはnをより少ない値とすることができる。
さて、前述したように、内燃機関の運転中には、内燃機関に供給する燃料量を通常よりも増量する燃料増量補正が実施される場合がある。この燃料増量補正が実施される場合とは、例えば加速時、機関始動後の暖機時、および触媒温度上昇に起因する触媒冷却時などである。この燃料増量補正時には、混合気の空燃比が理論空燃比から外れてよりリッチ側となり、これに伴って排気空燃比も理論空燃比よりリッチ側となる。この燃料増量補正が実施されると、排気ガス中のリッチ成分(主にHC,CO)が触媒表面に付着し、触媒が一時的にリッチ被毒することがある。触媒がリッチ被毒すると、触媒の酸素吸放出作用が妨げられ、酸素吸蔵容量OSCが計測されてもその計測値は真の値より少なくなり、見掛け上触媒が劣化したような状態となってしまう。一方、燃料増量補正が終了して通常の排気空燃比(即ち、理論空燃比)に戻ると、触媒に付着していたリッチ成分が徐々に消失ないしパージされ、触媒のリッチ被毒が解消する。つまりリッチ被毒による触媒の劣化は見掛け上の一時的な劣化に過ぎない。そしてこのリッチ被毒の最中に計測された酸素吸蔵容量OSCの値を用いて触媒劣化検出を行うと、当然に検出精度を落としめ、最悪誤検出につながる虞もある。
そこでこれを防止すべく、本実施形態では、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、その燃料増量補正が無い場合に比べ、触媒劣化判定に使用しない無効計測値の数が増加させられる。本実施形態の場合、通常は最初から2個の計測値が無効計測値とされるが、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合には、例えば最初から4個の計測値が無効計測値とされる。
このように無効計測値の数を増加させると、リッチ被毒による誤差を含む酸素吸蔵容量計測値を検出データから除くことができ、これによって検出精度の低下及び誤検出を未然に防止することができる。
アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合の触媒前センサ出力(触媒前空燃比A/Ffr)の変化を図5に示す。この場合、本実施形態では、後述の所定条件が成立した場合に、最初から4個の酸素吸蔵容量計測値OSC1〜OSC4が無効計測値とされ、劣化検出に用いられない。言い換えれば、図5を参照して、リーン側(又はリッチ側)に切り替えられている最中の触媒前空燃比A/Ffrの線図を理論空燃比を基準とした山とみなした場合、最初から4個の山をいわゆる捨て山とするのである。そして、これら無効計測値以外の残余の酸素吸蔵容量計測値OSC5〜OSC8が劣化検出に用いられ、これら酸素吸蔵容量計測値OSC5〜OSC8の平均値OSCavが劣化判定値OSCsと比較されて劣化判定がなされる。
図6には、劣化検出処理の一例を示す。図示する処理はECU20により所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
まずステップS101では、触媒劣化検出のための所定の前提条件が成立しているか否かが判断される。例えば、吸入空気量GA及び機関回転速度NEが略一定となっているなど、エンジンが定常運転状態にあり、且つ触媒温度が所定の活性温度域にあれば、前提条件成立となる。前提条件が成立していない場合には本処理が終了され、他方、前提条件が成立している場合にはステップS102に進む。
ステップS102においては、以前実行された燃料増量補正の終了時t0から現時点t1までの経過時間Δtが取得される(図5参照)。即ち、ECU20に装備されたタイマにより燃料増量補正終了時t0からの時間がカウントされており、触媒劣化検出の前提条件が成立(ステップS101:YES)した時点で、その時のタイマカウント値が経過時間Δtとして取得される。
次に、ステップS103に進んで、取得された経過時間Δtに基づき、無効計測値の個数mが決定される。この決定に際しては図7に示されるようなマップが使用される。このマップによれば、経過時間Δtが所定時間Δts以上の場合に、通常の無効計測値個数m1(=2)が得られる。他方、経過時間Δtが所定時間Δtsより短い場合には、通常の無効計測値個数m1より多い個数m2(=4)が得られ、結果的に無効計測値の個数は増加させられる。
こうして無効計測値の個数mが決定したならば、ステップS104に進んで、前述の如き触媒劣化検出が実行される。即ち、アクティブ空燃比制御が開始、実行され、n個の酸素吸蔵容量計測値OSC1〜OSCnが計測される。そしてそのうち最初からm個の酸素吸蔵容量計測値OSC1〜OSCmを除いた残余の酸素吸蔵容量計測値の平均値OSCavが算出され、この平均値OSCavが劣化判定値OSCsと比較されて劣化判定がなされる。
これによれば、燃料増量補正終了時t0からアクティブ空燃比制御開始時t1までの経過時間Δtが所定時間Δtsより短い場合にのみ、無効計測値の個数がm1からm2へと増加される。そのような場合には触媒がリッチ被毒しており、正確な酸素吸蔵容量計測値が得られないからである。逆に、経過時間Δtが所定時間Δts以上の場合には無効計測値の個数が増加されない。そのような場合には、アクティブ空燃比制御開始時t1において触媒のリッチ被毒状態が既に解消しているとみなせるからである。
図8にはマップの変形例を示す。図7のマップと比較すると、経過時間Δtが所定時間Δts以上の場合に通常の無効計測値個数m1である点は同じである。他方、経過時間Δtが所定時間Δtsより短い場合、無効計測値個数mは、通常の個数m1より多く且つ経過時間Δtに応じて変更される。具体的には、無効計測値個数mは経過時間Δtの増加につれ減少される。燃料増量補正終了時t0から多くの時間が経過するほど、触媒のリッチ被毒状態が解消していくので、このように経過時間Δtに応じて無効計測値の個数mを変更することで、無効計測値の個数を触媒のリッチ被毒状態に応じた適正数にすることができる。また、経過時間Δtの増加につれ無効計測値の個数mを減少することで、無効計測値の個数を最小限に抑制することができる。
ここで例えば、劣化判定に用いる有効計測値の個数を例えば6などに固定した場合、無効計測値の個数が多いほど劣化検出に長時間を要することになる。また、アクティブ空燃比制御を行うと空燃比が理論空燃比から外れるため必然的にエミッションが悪化し、この観点から劣化検出時間を短縮する要請がある。こうしたことから、無効計測値の個数を最小限に抑制することはエミッション悪化防止につながる。
ところで、通常の個数m1より増加された無効計測値の個数は、燃料増量補正時における実際の排気空燃比と理論空燃比との差ΔA/Fr(=A/Fs−A/Ffr)、及び燃料増量補正時間Δtrの少なくとも一方に基づき、変更するのも好ましい(図5参照)。即ち、燃料増量補正時における空燃比差ΔA/Fr(或いはリッチ深さ)が大きいほど、また燃料増量補正時間Δtrが長いほど、触媒のリッチ被毒度合いが大きく、その解消に長時間を要する。よって、空燃比差ΔA/Frが大きいほど、また燃料増量補正時間Δtrが長いほど、無効計測値の個数を多くするのが好ましい。こうすることによって触媒のリッチ被毒状態に応じた適正数だけ酸素吸蔵容量計測値を無効化することができ、検出精度と検出時間とのバランスを両立することが可能となる。
例えば図7のマップでは、空燃比差ΔA/Frが大きいほど、また燃料増量補正時間Δtrが長いほど、無効計測値の個数m2を多くするのが好ましい。また、図8のマップでは、図9に示されるように、経過時間Δt=0のときの無効計測値の個数m0を、空燃比差ΔA/Frが大きいほど、また燃料増量補正時間Δtrが長いほど、多くするのが好ましい。なお図9において、破線がm0を多くした場合、一点鎖線がm0を少なくした場合である。経過時間Δtに対する無効計測値個数mの減少率が一定とされ、その結果、無効計測値の個数m0を多くした場合は少なくした場合に比べ、通常個数m1に達するまでの経過時間Δtが長くなる。
なお、上記のような経過時間Δtに応じた無効計測値個数mの設定は、マップに限らず、関数などに従って行ってもよい。また、燃料増量補正時における空燃比差ΔA/Frが所定値以上のとき、および燃料増量補正時間Δtrが所定時間以上のときの少なくとも一方であるときに限り、無効計測値個数mの増加を行ってもよい。
図10にはさらなる好適例を示す。ここでは無効計測値の計測中、アクティブ空燃比制御の中心空燃比A/Fcが理論空燃比A/Fsよりリーン側にシフトされる。こうすることによってリーン度合いの大きな排気ガスを触媒内に流通させることができ、触媒に付着したリッチ成分のパージを促進することができる。この結果、無効計測値増加個数を減少できる可能性もある。図10はその減少例を示し、無効計測値個数は4から3に、即ち無効計測値増加個数は2から1に、減少されている。
ところで、以上の方法は最初の排気空燃比切替時から酸素吸蔵容量を複数計測した上で、そのうちの最初から所定個の計測値を無効化ないし破棄するものであった。一方、これに代わり、最初から所定回数の排気空燃比切替時に酸素吸蔵容量OSCの計測自体を行わない方法も可能である。この場合、劣化検出開始と同時にアクティブ空燃比制御は実行されるものの、最初から所定回数の空燃比切替時には酸素吸蔵容量OSCが計測されない。そして、その後の切替時から複数の酸素吸蔵容量OSCが順次計測され、その平均値OSCavに基づき劣化判定がなされる。
具体例を挙げて説明すると、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正がなされていない通常時には、最初から2回までの排気空燃比切替時にOSC1,OSC2の2個の酸素吸蔵容量が計測されない。そして、その後の排気空燃比切替時から、OSC3〜OSC8の6個の酸素吸蔵容量が計測され、これら6個の計測値の平均値に基づき劣化判定がなされる。
他方、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正がなされた場合には、酸素吸蔵容量を計測しない切替回数が増加される。例えば、最初から4回までの排気空燃比切替時にOSC1〜OSC4の4個の酸素吸蔵容量が計測されず、その後の排気空燃比切替時から、OSC5〜OSC8の4個の酸素吸蔵容量が計測され、これら4個の計測値の平均値に基づき劣化判定がなされる。
このやり方においても、経過時間Δtに応じた未計測回数の設定(図7,図8)や、燃料増量補正時における空燃比差ΔA/Fr及び燃料増量補正時間Δtrの少なくとも一方に基づく未計測回数の変更(図9)が可能である。即ち、上述の「無効計測値個数」を「未計測回数」に置き換えた変形が可能である。
次に、触媒劣化検出の別の態様について述べる。この態様では、アクティブ空燃比制御の最初の空燃比切替時から酸素吸蔵容量が計測され、且つ最初からn個までの酸素吸蔵容量計測値OSC1〜OSCnが全て劣化判定に使用される。そして、アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合には、n個の酸素吸蔵容量計測値OSC1〜OSCnのうち、最初からm個までの計測値OSC1〜OSCmについて各計測値が補正される。
前述したように、燃料増量補正終了直後は未だ触媒がリッチ被毒状態にあるため、酸素吸蔵容量計測値は真の値より少なくなる。よってここでは、最初からm個までの計測値OSC1〜OSCmについて、そのリッチ被毒による減少分を打ち消すように計測値が増量補正される。これにより計測値は真の値に近づき、その値を採用しても検出精度の低下等を免れることができる。そして計測値の無効化や未計測を実施しないので、その分、劣化検出時間を短縮でき、エミッション上も有利になる場合がある。
計測値の補正は、計測値に対し所定の補正量を加算、乗算等することによって行うことができる。好ましくは、燃料増量補正終了時t0から各酸素吸蔵容量の計測終了時までの経過時間Δtkに応じて、補正量が変更される。より具体的には、経過時間Δtkが短いほど計測値をより大きく増量補正するように補正量が変更されるのが好ましい。経過時間Δtkが短いほど触媒のリッチ被毒度合いが大きく、計測値が真の値よりも少なく出る傾向にあるからである。
例えば補正量として、計測値に乗算される補正係数Kを用いる場合、補正係数Kは図11に示すようなマップに従って設定されるのが好ましい。このマップによれば、燃料増量補正終了時t0から、各計測値の計測開始時点又は計測終了時点までの経過時間Δtkに応じて、補正係数Kが設定される。経過時間Δtkが所定時間Δtks以上の場合にはK=1とされ、補正はなされない。他方、経過時間Δtkが所定時間Δtksより短い場合、K>1とされ、計測値は増量補正される。このとき、経過時間Δtkが短いほど補正係数Kは増加される。なおこのような経過時間Δtkに応じた補正係数Kの設定は、マップに限らず、関数などに従って行ってもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば上述の内燃機関は直噴式であったが、吸気ポート(吸気通路)噴射式或いは両噴射方式を兼ね備えるデュアル噴射式の内燃機関にも本発明は適用可能である。前記実施形態では触媒後センサ18として所謂O2センサを用いたが、触媒前センサ17と同様の空燃比センサを用いることも可能である。また同様に、触媒前センサ17として所謂O2センサを用いることも可能である。前記実施形態に用いられた各数値は単なる一例であり、任意に変更が可能である。
本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の一実施形態の構成を示す概略図である。 触媒の構成を示す概略断面図である。 アクティブ空燃比制御を説明するためのタイムチャートである。 図3と同様のタイムチャートであり、酸素吸蔵容量の計測方法を説明するための図である。 アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合の触媒前空燃比の変化を示すタイムチャートである。 本発明に係る劣化検出処理の一例を示すフローチャートである。 無効計測値の個数を決定するためのマップを示す。 無効計測値の個数を決定するためのマップの変形例を示す。 図8のマップの変形例を示す。 無効計測値の計測中にアクティブ空燃比制御の中心空燃比をリーン側にシフトした例を示すタイムチャートである。 補正係数を決定するためのマップを示す。
符号の説明
1 内燃機関
6 排気管
11 触媒
12 インジェクタ
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
m 無効計測値個数
m1 通常の無効計測値個数
t0 燃料増量補正終了時
t1 アクティブ空燃比制御開始時
Δt 経過時間
Δts 所定時間
ΔA/Fr 燃料増量補正時の空燃比差
Δtr 燃料増量補正時間
A/Fc 中心空燃比
K 補正係数
Δtks 経過時間

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
    排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
    該アクティブ空燃比制御手段による排気空燃比の切替毎に、触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
    該計測手段によって計測された複数の酸素吸蔵容量計測値のうち、最初から所定個の計測値を除いた残余の計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
    アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、その燃料増量補正が無い場合に比べ、触媒劣化判定に使用しない前記所定個の無効計測値の数を増加させる無効計測値増加手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置。
  2. 前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間が所定時間より短い場合に、前記所定個の無効計測値の数を増加させる
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  3. 前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正終了時からアクティブ空燃比制御開始時までの経過時間に応じて、前記所定個の無効計測値の数を変更する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  4. 前記無効計測値増加手段は、燃料増量補正時における実際の排気空燃比と理論空燃比との差、及び燃料増量補正時間の少なくとも一方に基づき、前記所定個の無効計測値の数を変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  5. 前記アクティブ空燃比制御手段は、前記無効計測値の計測中に前記中心空燃比を前記所定の中心空燃比よりもリーン側にシフトする
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
  6. 内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
    排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
    該アクティブ空燃比制御手段によって排気空燃比がリーン側及びリッチ側に切り替えられるとき、最初から所定回数の切替時を除く残余の切替時毎に、前記触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
    該計測手段によって計測された切替時毎の酸素吸蔵容量計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
    アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、その燃料増量補正が無いときに比べ、酸素吸蔵容量を計測しない前記所定回数の値を増加させる未計測回数増加手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置。
  7. 内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を検出する装置であって、
    排気空燃比を所定の中心空燃比を境にリーン側及びリッチ側に強制的に切り替えるアクティブ空燃比制御を実行するアクティブ空燃比制御手段と、
    該アクティブ空燃比制御手段による排気空燃比の切替毎に、触媒の酸素吸蔵容量を計測する計測手段と、
    該計測手段によって計測された複数の酸素吸蔵容量計測値に基づき、触媒の劣化の有無を判定する判定手段と、
    アクティブ空燃比制御前に燃料増量補正があった場合に、前記複数の酸素吸蔵容量計測値のうち最初から所定個の計測値を補正する補正手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化検出装置。
  8. 前記補正手段は、燃料増量補正終了時から各酸素吸蔵容量の計測開始時又は計測終了時までの経過時間に応じて、前記補正のための補正量を変更する
    ことを特徴とする請求項7記載の内燃機関の触媒劣化検出装置。
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