JP2008175134A - 内燃機関の触媒劣化診断装置 - Google Patents

内燃機関の触媒劣化診断装置 Download PDF

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【課題】フューエルカット中の触媒温度低下に起因する誤判定を防止する。
【解決手段】内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を診断する装置であって、フューエルカット後のリッチ制御中に計測された触媒の酸素吸蔵容量に基づき触媒の正常・劣化を判定する手段と、フューエルカット中の触媒温度を推定する手段と、その推定触媒温度が所定値より低くなったとき少なくとも触媒が劣化である旨の判定を禁止する手段とを備える。フューエルカット中に触媒温度が低下しても触媒が劣化である旨の判定が禁止されるので、正常触媒を誤って劣化と判定してしまう誤判定を防止できる。
【選択図】図6

Description

本発明は内燃機関の触媒劣化診断装置に係り、特に、フューエルカット直後に触媒の酸素吸蔵容量を計測してこの計測値に基づき触媒が劣化しているか否かを判定する内燃機関の触媒劣化診断装置に関する。
一般に、内燃機関では排気ガスを浄化するために排気通路に触媒が配置されている。このような触媒、例えば三元触媒は、触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きくなると、即ちリーンになると排気ガス中に存在する過剰酸素を吸着保持し、触媒流入排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも小さくなると、即ちリッチになると吸着保持された酸素を放出するOストレージ機能を有する。従って、内燃機関の通常運転時、理論空燃比を中心として運転条件により混合気がリッチ側又はリーン側に振れてしまっても、触媒表面は理論空燃比に保たれ、三元触媒のもつOストレージ機能により、混合気がリーンになったときには過剰な酸素が触媒に吸着保持されるためにNOxが還元され、混合気がリッチになったときには触媒に吸着保持された酸素が放出されるためにHCおよびCOが酸化され、これによりNOx,HCおよびCOを同時に浄化できることになる。
そこで従来より触媒上流側の排気通路に排気空燃比を検出するための空燃比センサを配置し、排気空燃比がリーンになったときには燃料供給量を増量し、排気空燃比がリッチになったときには燃料供給量を減量させることにより、空燃比が理論空燃比を中心として制御されるためリッチ側又はリーン側に交互に振れてしまっても、それによってNOx,HCおよびCOを同時に低減されるようになっている。
ところで、三元触媒が劣化すると排気ガス浄化率が低下する。三元触媒の劣化度とOストレージ機能の低下度との間にはともに貴金属を介する反応であるため相関関係がある。よって、Oストレージ機能が低下したことを検出することで触媒が劣化したことを検出することができる。一般的には、触媒に流入する排気ガスの空燃比を強制的にリッチ又はリーンに変化させるアクティブ空燃比制御を行い、このアクティブ空燃比制御中に触媒の酸素吸蔵容量を算出して触媒の劣化を検出する方法(所謂Cmax法)が採用される。
一方、特許文献1には、フューエルカット中に触媒のリーン成分の吸着量が所定量以上になったときに、フューエルカット終了直後に目標空燃比をリッチに切り換えて触媒の酸素吸蔵容量を算出し、この算出した酸素吸蔵容量に基づいて触媒の劣化状態を判定する装置が開示されている。
特許3759567号公報
しかし、特許文献1に開示された装置の場合次のような欠点がある。即ち、フューエルカット中には触媒に低温のガス(ほぼ常温の空気)が流入するため、その流入ガス量に応じて触媒温度が低下する。一方、触媒の酸素吸蔵容量は触媒温度が高くなるほど増加する傾向にあるため、触媒温度が低下すると酸素吸蔵容量も小さくなる。その結果、フューエルカット後に触媒温度が低下した状態で酸素吸蔵容量を計測すると、酸素吸蔵容量の値が真の値よりも小さく計測されてしまい、本来正常とみなすべき触媒を誤って劣化と判定してしまう虞がある。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、フューエルカット中の触媒温度の低下によって触媒の酸素吸蔵容量が減少することに起因する誤判定を防止することができる内燃機関の触媒劣化診断装置を提供することにある。
本発明の第1の形態によれば、
内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を診断する装置であって、
内燃機関に対するフューエルカットの実行直後に排気ガスの空燃比をリッチに制御し、このリッチ制御中に計測された前記触媒の酸素吸蔵容量に基づき、触媒が正常か劣化かを判定するフューエルカット後触媒劣化検出手段と、
前記フューエルカットの実行中の触媒温度を検出又は推定するフューエルカット時触媒温度検出手段と、
前記フューエルカット時触媒温度検出手段によって検出又は推定された触媒温度が所定値より低くなったとき、前記フューエルカット後触媒劣化検出手段による、少なくとも触媒が劣化である旨の判定を禁止する禁止手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化診断装置が提供される。
この本発明の第1の形態によれば、フューエルカット実行中の触媒温度が所定値より低くなったとき、少なくとも触媒が劣化である旨の判定が禁止されるので、劣化と判定すべきでない正常触媒に対し、フューエルカット中の触媒温度低下に起因して誤って劣化と判定してしまう誤判定を確実に防止し、触媒劣化検出の信頼性を高めることができる。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、
前記禁止手段は、触媒が劣化である旨の判定及び触媒が正常である旨の判定の両方を禁止する
ことを特徴とする。
これにより、フューエルカット中の触媒温度低下に起因して正常触媒を劣化と判定してしまう誤判定を確実に防止することができる。
本発明の第3の形態は、前記第1の形態において、
前記禁止手段は、触媒が劣化である旨の判定を禁止し、触媒が正常である旨の判定を許可する
ことを特徴とする。
これによれば、フューエルカット中の触媒温度低下に起因して正常触媒を劣化と判定してしまう誤判定を確実に防止することができる一方、フューエルカット中に触媒温度が低下してもなお依然として十分な酸素吸蔵容量を有する触媒に対しては正常判定を行うことができ、触媒劣化検出の実行頻度をできるだけ多く確保することができる。
本発明の第4の形態は、前記第1乃至第3いずれかの形態において、
前記フューエルカット時触媒温度検出手段は、フューエルカット開始時点から吸入空気量を積算してその積算値に基づいて触媒温度低下量を算出し、この触媒温度低下量を、フューエルカット開始時点における触媒温度から減算して、フューエルカット実行中の触媒温度を推定する
ことを特徴とする。
フューエルカット開始時点からの吸入空気量の積算値が大きいほど(例えばフューエルカット開始時点からの経過時間が長いほど)、触媒温度は、フューエルカット開始時点における初期温度から大きく低下する。よって、本発明の第4の形態のように触媒温度を推定することで、フューエルカット実行中の触媒温度を精度良く推定することができる。
本発明によれば、フューエルカット中の触媒温度の低下によって触媒の酸素吸蔵容量が減少することに起因する誤判定を防止することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の構成を示す概略図である。図示されるように、内燃機関1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストン4を往復移動させることにより動力を発生する。内燃機関1は車両用多気筒エンジン(1気筒のみ図示)であり、火花点火式内燃機関、より具体的にはガソリンエンジンである。
内燃機関1のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが気筒ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは図示しないカムシャフトによって開閉させられる。また、シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。さらにシリンダヘッドにはインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設され、燃焼室3内に直接燃料噴射するようになっている。ピストン4はいわゆる深皿頂面型に構成されており、その上面には凹部4aが形成されている。そして内燃機関1では、燃焼室3内に空気を吸入させた状態で、インジェクタ12からピストン4の凹部4aに向けて燃料が直接噴射される。これにより点火プラグ7の近傍に、燃料と空気との混合気の層が周囲の空気層と分離された状態で形成(成層化)され、安定した成層燃焼が実行される。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気集合通路をなす吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式スロットルバルブ10とが組み込まれている。なお吸気ポート、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
一方、各気筒の排気ポートは気筒毎の枝管を介して排気集合通路をなす排気管6に接続されており、排気管6には、Oストレージ機能を有する三元触媒からなる触媒11が取り付けられている。なお排気ポート、枝管及び排気管6により排気通路が形成される。触媒11の上流側と下流側とにそれぞれ排気空燃比を検出するための触媒前センサ及び触媒後センサ17,18が設置されている。触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、その空燃比に比例した電流信号を出力する。他方、触媒後センサ18は所謂Oセンサからなり、理論空燃比を境に出力電圧が急変する特性を持つ。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
触媒11は、これに流入する排気ガスの空燃比A/Fが理論空燃比(ストイキ)A/Fs(例えば14.6)のときにNOx ,HCおよびCOを同時に浄化する。そしてこれに対応して、ECU20は、内燃機関の通常運転時、触媒11に流入する触媒上流側の排気空燃比即ち触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsになるように空燃比を制御する。具体的にはECU20は、理論空燃比A/Fsに等しい目標空燃比A/Ftを設定すると共に、触媒前センサ17により検出された触媒前空燃比A/Ffrが目標空燃比A/Ftに一致するように、インジェクタ12から噴射される燃料噴射量を制御する。これにより触媒11に流入する排気ガスの空燃比は理論空燃比近傍に保たれ、触媒11において最大の浄化性能が発揮されるようになる。ここで理解されるように、触媒前空燃比A/Ffrは常に目標空燃比A/Ftに一致するように制御されることとなる。
ここで、触媒11についてより詳細に説明する。図2に示すように、触媒11においては、図示しない担体基材の表面上にコート材31が被覆され、このコート材31に微粒子状の触媒成分32が多数分散配置された状態で保持され、触媒11内部で露出されている。触媒成分32は主にPt,Pd等の貴金属からなり、NOx ,HCおよびCOといった排ガス成分を反応させる際の活性点となる。他方、コート材31は、排気ガスと触媒成分32との界面における反応を促進させる助触媒の役割を担うと共に、雰囲気ガスの空燃比に応じて酸素を吸収放出可能な酸素吸蔵成分を含む。酸素吸蔵成分は例えば二酸化セリウムCeOやジルコニアからなる。例えば、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比A/Fsよりリッチであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分に吸蔵されていた酸素が放出され、この結果、放出された酸素によりHCおよびCOといった未燃成分が酸化され、浄化される。逆に、触媒成分32及びコート材31の雰囲気ガスが理論空燃比A/Fsよりリーンであると、触媒成分32の周囲に存在する酸素吸蔵成分が雰囲気ガスから酸素を吸収し、この結果NOxが還元浄化される。
このような酸素吸放出作用により、通常の空燃比制御の際に触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsに対し多少ばらついたとしても、NOx、HCおよびCOといった三つの排気ガス成分を同時浄化することができる。よって通常の空燃比制御において、触媒前空燃比A/Ffrを敢えて理論空燃比A/Fsを中心に微小振動させ、酸素の吸放出を繰り返させることにより排ガス浄化を行うことも可能である。
ところで、新品状態の触媒11では前述したように細かい粒子状の触媒成分32が多数均等に分散配置されており、排気ガスと触媒成分32との接触確率が高い状態に維持されている。しかしながら、触媒11が劣化してくると、一部の触媒成分32に消失が見られるほか、触媒成分32同士が排気熱で焼き固まって焼結状態になるものがある(図の破線参照)。こうなると排気ガスと触媒成分32との接触確率の低下を引き起こし、浄化率を落としめる原因となる。そしてこのほかに、触媒成分32の周囲に存在するコート材31の量、即ち酸素吸蔵成分の量が減少し、酸素吸蔵能自体が低下する。
このように、触媒11の劣化度と触媒11の持つ酸素吸蔵能の低下度とは相関関係にある。そこで本実施形態では、触媒11の酸素吸蔵能を検出することにより触媒11の劣化度を検出することとしている。ここで、触媒11の酸素吸蔵能は、現状の触媒11が吸蔵し得る最大酸素量である酸素吸蔵容量(OSC;O Strage Capacity、単位はg)の大きさによって表される。
以下、本実施形態における触媒劣化診断について説明する。
本実施形態では、内燃機関1に対するフューエルカットの実行直後に排気ガスの空燃比(触媒前空燃比A/Ffr)をリッチに制御し、このリッチ制御中に計測された触媒11の酸素吸蔵容量OSCに基づき、触媒11が正常か劣化かを判定するフューエルカット後触媒劣化検出が実行される。
図3は、このフューエルカット後触媒劣化検出の内容を示すタイムチャートである。(A)はフューエルカット(F/C)フラグのオンオフ状態を示し、F/Cフラグオンのとき内燃機関1に対する燃料噴射を停止するフューエルカットが実行され、F/Cフラグオフのときフューエルカットが停止される。(B)はECU20の内部値としての目標空燃比(目標A/F)A/Ftの変化を示す。(C)は触媒前センサ17の出力値の変化を示し、より具体的には触媒前センサ17の出力値を触媒前空燃比A/Ffrに換算した値を示す。(D)は触媒後センサ18の出力値Vrrの変化を示す。(E)は最終的な酸素吸蔵容量OSCの計測のために用いられる積算値としての酸素吸蔵量OSA(g)を示す。(F)は酸素吸蔵速度VOSA(g/s)を示す。酸素吸蔵速度VOSAとは、単位時間当たりの酸素吸蔵量OSAの変化率のことをいう。
図3を参照して、所定のフューエルカット実行条件が成立するとF/Cフラグオンがオンとなり、フューエルカットが開始される(時刻t1)。このフューエルカット実行条件は例えば1)アクセル開度センサ15によって検出されるアクセル開度が略全閉であること、2)クランク角センサ14の出力に基づいて計算されるエンジン回転速度が、所定のアイドル速度より若干高い所定速度より高くなっていること、の二条件を満たしたときに成立する。F/Cフラグオンがオンとなると、ECU20は直ちにインジェクタ12の通電を停止してフューエルカットを開始する。
フューエルカット開始後もECU20の内部値としての目標空燃比A/Ftは理論空燃比A/Fsに保たれ、所謂ストイキ制御が形式的には維持される。但し、実際にはフューエルカットの実行により排気通路には吸入空気がそのまま流され、触媒前空燃比A/Ffrはリーン側の無限大の値となる。従って触媒前センサ17の出力は、フューエルカットの開始直後にリーン側に変化して上限値に張り付き(時刻t2)、その上限値に対応した空燃比A/Flltを指し示すこととなる。
フューエルカットの実行中は触媒11に空気が流されるので、触媒11には空気中の酸素が徐々に吸蔵されていく。そして、この吸蔵が飽和状態になると、即ち触媒11がその酸素吸蔵容量一杯まで酸素を吸蔵すると、それ以上酸素を吸蔵できなくなり、触媒11の下流側に酸素が吹き抜けるようになる。こうなると触媒11の下流側で触媒後センサ18の出力が変化し、理論空燃比A/Fsに対応した参照値Vrefよりもリーン側の値Vlを指し示すようになる(時刻t3)。
その後、フューエルカット実行条件が解除されてF/Cフラグがオフになると、フューエルカットが終了される(時刻t4)。すると一旦ストイキ制御に復帰し、触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fに向かって戻される。
触媒前センサ17の出力が理論空燃比A/Fsに対応した値に達するのとほぼ同時に、目標空燃比A/Ftが、理論空燃比A/Fsよりもリッチ側の値A/Frに変更される(時刻t5)。このリッチ空燃比A/Frの値は理論空燃比A/Fsから比較的大きく離れており、例えば14.1などとされる。目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに変更されると、これに追従して触媒前空燃比A/Ffrもリッチ空燃比A/Frに変化する(時刻t6)。
このようにフューエルカット終了時点t4から僅かに遅れた時点t5で目標空燃比A/Ftがリッチ空燃比A/Frに変更される。このような時間差を設ける理由は、触媒前センサ17の出力が上限値から理論空燃比A/Fに対応した値付近に復帰するのを待つためである。但し、このような時間差は無くすことも可能である。
一方、触媒前センサ17の出力が理論空燃比A/Fに対応した値に達した時点t11から、酸素吸蔵容量OSCの計測が開始される。触媒前空燃比A/Ffrが理論空燃比A/Fsよりもリッチ側の値A/Frになっているので、触媒にはリッチガスが供給され、触媒からは吸蔵されていた酸素が徐々に放出される。この放出酸素によって排気ガス中のCO,HCといったリッチ成分が酸化され、触媒の下流側にはリッチ成分が排出されない。よって暫くの間、触媒後センサ18の出力はリッチ側に変化せず、リーン空燃比に対応した値Vlに維持される。
酸素吸蔵容量OSCの計測が開始されると、所定のサンプル周期毎に酸素吸蔵量OSAが積算されていく。ここで触媒が吸蔵可能な酸素量と触媒から放出可能な酸素量とは等しいとみなせることから、酸素の吸蔵量及び放出量を併せて同一の用語「吸蔵量」で称している。ここで計算される酸素吸蔵量OSAは実際には酸素放出量である。
サンプル周期間の酸素吸蔵量dOSAは次式(1)によって計算される。
Figure 2008175134
Qは燃料噴射量であり、空燃比差ΔA/Fに燃料噴射量Qを乗じると不足分の空気量を計算できる。Kは空気に含まれる酸素割合(約0.23)である。サンプル周期毎に、今回のサンプル周期間酸素吸蔵量dOSAが前回の酸素吸蔵量OSAに加算されることで、今回の酸素吸蔵量OSAが積算される。
リッチ制御を継続すると、やがて触媒から吸蔵酸素が放出され尽くし、排気ガス中のリッチ成分の酸化ができなくなって、触媒の下流側にリッチ成分が漏れ出すようになる。すると、触媒後センサ18の出力がリッチ側に変化(反転)し始め、やがて理論空燃比A/Fsに対応した参照値Vrefに到達する(時刻t12)。
この到達時点t12で、酸素吸蔵量OSAの積算が終了し、酸素吸蔵容量OSCの計測が終了される。即ち、最終的に得られる積算値としての酸素吸蔵量OSAの値がそのまま触媒自身の持つ酸素吸蔵容量OSCの値とされる。同時に、この到達時点t12で、目標空燃比A/Ftが理論空燃比A/Fsに戻され、空燃比制御はストイキ制御に復帰される。
こうして触媒の酸素吸蔵容量OSCが計測されたならば、次にこの酸素吸蔵容量OSCの値が所定の劣化判定値OSCsと比較される。そして、酸素吸蔵容量OSCの値が劣化判定値OSCsより大きければ触媒は正常、酸素吸蔵容量OSCの値が劣化判定値OSCs以下ならば触媒は劣化というように、触媒の劣化判定がなされる。
さて、前述したように、フューエルカット中には触媒に低温のガス(常温に近い空気)が流入するため、その流入ガス量に応じて触媒温度が低下する。一方、触媒の酸素吸蔵容量は触媒温度が低下すると小さくなる。その結果、フューエルカット後に触媒温度が低下した状態で酸素吸蔵容量を計測すると、酸素吸蔵容量の値が真の値よりも小さく計測されてしまい、本来正常とみなすべき触媒を誤って劣化と判定してしまう虞がある。
このことをより詳しく説明する。図4は、フューエルカット中に触媒の各部位が温度低下する様子を示した試験結果である。横軸は、エアフローメータ5で検出される吸入空気量の値をフューエルカット(F/C)中に順次積算した値、即ちF/C中積算空気量(g)を表す。フューエルカット開始から長時間経過するほどF/C中積算空気量の値は大きくなる。黒菱形、黒三角、黒四角及び黒丸はそれぞれ触媒11の前端(上流端)から20mm,40mm,60mm,80mmの位置における部位の触媒温度(触媒床温)を示す。なおこの試験は、触媒の全ての部位が均一に700℃となっている初期状態から実施されている。この結果から、触媒11の前端側の部位ほど、フューエルカット時間の経過につれ温度が大きく低下していくことが理解される。
触媒の酸素吸放出反応は、貴金属からなる触媒成分32と酸素吸蔵成分を含むコート材31とによって行われるため、触媒の温度が低下すると必然的に触媒の酸素吸蔵容量が低下する。図5は、F/C中積算空気量と触媒の酸素吸蔵容量との関係を示す試験結果である。これから理解されるように、フューエルカット時間が長くなり、触媒11の各部位の温度が低下するほど、触媒の酸素吸蔵容量は低下していく。
ここで図5に実線で示されているように、まだ劣化とは判定すべきでないが劣化度が比較的大きい触媒の場合、フューエルカット時間が長くなって触媒温度が低下すると、一点鎖線円で示す如く、そのフューエルカット直後に計測した酸素吸蔵容量の値が劣化判定値OSCsを下回り、触媒劣化と誤判定してしまうことが起こり得る。
そこで、このような誤判定を防止すべく、本実施形態では以下の如き触媒劣化検出を実行することとしている。
図6及び図7は、触媒劣化検出の第1の態様に係るルーチンのフローチャートを示す。図6のルーチンは触媒劣化検出の実行の許否を決定するためのルーチン、図7のルーチンは実際に触媒劣化検出を実行するルーチンである。これらルーチンはECU20により所定のサンプル周期毎に繰り返し実行される。
まず、図7の触媒劣化検出実行ルーチンについて先に説明する。最初のステップS201において、触媒劣化検出実行許可フラグがオンであるか否かが判断される。この触媒劣化検出実行許可フラグは図6のルーチンでオンされるものである。
触媒劣化検出実行許可フラグがオンである場合、触媒劣化検出の実行が許可され、次のステップS202で目標空燃比がリッチ空燃比A/Frに設定される(図3のt5)。次に、ステップS203において、触媒前センサ17の出力値が理論空燃比(ストイキ)に対応した値以下となっているか否か、即ち、触媒前センサ17の出力値が理論空燃比又はそれよりリッチ側の空燃比を指し示しているか否かが判断される。このタイミングは図3のt11に対応している。
触媒前センサ17の出力値が理論空燃比に対応した値以下となっていない場合、本ルーチンが終了される。他方、触媒前センサ17の出力値が理論空燃比に対応した値以下となっている場合、ステップS204にて酸素吸蔵量OSAが積算される。
次に、ステップS205において、触媒後センサ18の出力値Vrrが、理論空燃比に対応した参照値Vref以上の値となっているか否か、即ち、触媒後センサ18の出力値Vrrが理論空燃比又はそれよりリッチ側の空燃比を指し示しているか否かが判断される。このタイミングは図3のt12に対応している。
触媒後センサ18の出力値Vrrが参照値Vref以上の値となっていない場合、本ルーチンが終了される。他方、触媒後センサ18の出力値Vrrが参照値Vref以上の値となっている場合、酸素吸蔵量OSAの積算が終了され、その最終的に得られた酸素吸蔵量OSAの値が酸素吸蔵容量OSCの値として取得される。そしてステップS206に進む。
ステップS206では、酸素吸蔵容量OSCの値が所定の劣化判定値OSCsと比較される。そして、酸素吸蔵容量OSCの値が劣化判定値OSCsより大きい場合、ステップS208にて触媒は正常と判定され、酸素吸蔵容量OSCの値が劣化判定値OSCs以下の場合、ステップS207にて触媒は劣化と判定される。
最後に、ステップS209において、触媒劣化検出終了フラグがオンされ、触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされると共に、触媒劣化検出実行許可フラグがオフされて、本ルーチンが終了される。
次に、図6の触媒劣化検出実行許否決定ルーチンについて説明する。最初にステップS101において、触媒劣化検出終了フラグがオンであるか否かが判断される。触媒劣化検出終了フラグがオンである場合、ステップS109で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされた後、本ルーチンが終了される。
他方、触媒劣化検出終了フラグがオンでない場合、ステップS102において、触媒前センサ17及び触媒後センサ18の両方が活性済みであるか否かが判断される。この判断については、例えば触媒前センサ17及び触媒後センサ18のいずれもが理論空燃比に対応した値を境に最低1回、好ましくは複数回反転したときに、両センサが活性済みであると判断される。
両センサが活性済みでない場合、ステップS109で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされた後、本ルーチンが終了される。他方、両センサが活性済みである場合、ステップS103で触媒が活性済みであるか否かが判断される。この判断については、例えば、ECU20によりエンジン運転状態(例えば回転速度と負荷)に基づき推定された触媒温度が所定の活性温度域にあるときに、触媒が活性済みであると判断される。
触媒が活性済みでない場合、ステップS109で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされた後、本ルーチンが終了される。他方、触媒が活性済みである場合、ステップS104でフューエルカット中か否かが判断される。この判断については、前述のF/Cフラグがオンとなっており、インジェクタ12からの燃料噴射が停止されているときに、フューエルカット中と判断される。
フューエルカット中と判断された場合、ステップS105にて、フューエルカット中の触媒温度であるフューエルカット時触媒温度が推定される。例えば、フューエルカット開始時点の触媒温度(即ち、最初にステップS105が実行されるときの触媒温度)については、前述のようにエンジン運転状態に基づいて推定された触媒温度が初期温度として用いられる。また、フューエルカット開始時点から所定時間経過後の触媒温度(即ち、2回目以降にステップS105が実行されるときの触媒温度)については、当該初期温度から所定の触媒温度低下量を減算した値が用いられる。
触媒温度低下量は、フューエルカット開始時点から積算が開始される前述のF/C中積算空気量に基づき所定のマップ又は関数に従って算出され、F/C中積算空気量が大きいほど大きな値とされる。これは、フューエルカット開始時点からの積算吸入空気量が大きいほど(例えばフューエルカット開始時点からの経過時間が長いほど)、触媒温度が初期温度から大きく低下するためである。これにより、フューエルカット中の触媒温度を精度良く推定することができる。
ステップS105でフューエルカット時触媒温度が推定された後、ステップS106に進む。ステップS106では、フューエルカット中の酸素吸蔵量OSAが所定量以上に達したか否かが判断される。ここでいう酸素吸蔵量OSAとは文言通り触媒が吸蔵(放出ではない)した酸素量のことをいう。また所定量とは、新品の触媒が必ず飽和状態まで酸素を吸蔵するような量のことをいう。具体的には、フューエルカット開始時点から順次積算されているF/C中積算空気量が所定値以上に達したか否かでステップS106の判断を行うようにしている。
F/C中積算空気量が所定値以上に達していない場合、触媒の酸素吸蔵が飽和状態まで達していないとみなされ、ステップS109で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされた後、本ルーチンが終了される。
他方、F/C中積算空気量が所定値以上に達している場合、触媒の酸素吸蔵が飽和状態まで達したとみなされ、ステップS107に進む。ステップS107では、ステップS105で推定されたフューエルカット時触媒温度が所定値以上か否かが判断される。この所定値とは、フューエルカット直後に前述のような触媒劣化検出を行っても誤判定を起こさないような最低温度をいう。
フューエルカット時触媒温度が所定値以上でないと判断された場合、ステップS109で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオフされた後、本ルーチンが終了される。即ち、後に理解されるが、この場合、ステップS111で触媒劣化検出実行許可フラグがオンとされることがなく、従って図7のルーチンにより触媒劣化検出が実行されることもなく、結局、触媒劣化検出自体が禁止される。それ故、触媒が正常である旨の判定及び劣化である旨の判定のいずれもが禁止されることとなる。
他方、フューエルカット時触媒温度が所定値以上であると判断された場合、ステップS108で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンとされ、本ルーチンが終了される。
一方、ステップS104でフューエルカット中でないと判断された場合、ステップS110で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンか否かが判断される。触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンでない場合(オフである場合)、本ルーチンが終了される。他方、触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンである場合、ステップS111で触媒劣化検出実行許可フラグがオンされ、本ルーチンが終了される。
この図6及び図7のルーチンをより具体的に説明すると、まず、フューエルカット実行前は図6のステップS104、S110がNOとなり、ステップS111を通過しないので、触媒劣化検出実行許可フラグがオンされず、図7のルーチン(触媒劣化検出)は実行されない。フューエルカット実行中では、図6のステップS104がYESとなり、暫くはS106がNOであるが、触媒に酸素が飽和状態まで吸蔵されると(或いはその後に)ステップS106がYESとなる。
次のステップS107でYESの場合、即ち、触媒温度がフューエルカット中でも所定値以上に保たれている場合、ステップS108で触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンされる。そしてステップS101〜S108を繰り返していくうちにフューエルカットが終了されると、ステップS104がNO、S110がYESとなり、ステップS111で触媒劣化検出実行許可フラグがオンされ、図7のルーチンが実行される。
他方、ステップS107でNOの場合、即ち、触媒温度がフューエルカット中に所定値未満に低下してしまった場合、ステップS108を通過せず、触媒劣化検出前提条件成立フラグがオンされない。そしてこの状態でフューエルカットが終了されると、ステップS104がNO、S110がNOとなり、ステップS111を通過せず、触媒劣化検出実行許可フラグがオンされない。よって図7のルーチンも実行されず、触媒劣化検出はそれ自体禁止される。
このように、フューエルカット中に触媒温度が所定値より低くなったとき、触媒劣化検出自体が禁止、即ち、触媒が劣化である旨の判定及び触媒が正常である旨の判定の両方が禁止される。よって、劣化と判定すべきでない正常触媒(特に劣化度が大きい正常触媒)に対し、フューエルカット中の触媒温度低下に起因して誤って劣化と判定してしまう誤判定を確実に防止し、触媒劣化検出の信頼性を高めることができる。
次に、触媒劣化検出の第2の態様を図8及び図9に基づいて説明する。図8は図6に類似の触媒劣化検出実行許否決定ルーチン、図9は図7に類似の触媒劣化検出実行ルーチンを示す。これらルーチンはECU20により所定のサンプル周期毎に繰り返し実行される。
図8及び図9のルーチンは、図6及び図7のルーチンに対し以下の点で相違している。即ち、図6及び図7のルーチンの「触媒劣化検出前提条件成立フラグ」が「触媒劣化検出前提条件成立第1フラグ」に置き換えられ、併せて、「触媒劣化検出前提条件成立第2フラグ」が追加されている。
図8のルーチンについて、ステップS301〜S309、S311は図6のルーチンのステップS101〜S109、S111と同様である。図6のルーチンのステップS110の条件「触媒劣化検出前提条件成立フラグがオン?」は、対応するステップS310で条件「触媒劣化検出前提条件成立第1フラグがオン、又は触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオン?」に置き換えられている。
また、ステップS307でNOの場合、即ち触媒温度がフューエルカット中に所定値未満に低下した場合、新たに追加されたステップS312に進む。このステップS312では、触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンされる。この後ステップS309に進んで触媒劣化検出前提条件成立第1フラグがオフされる。
この図8のルーチンによれば、ステップS307でYESの場合、即ち触媒温度がフューエルカット中に所定値以上に維持されている場合には、ステップS308で触媒劣化検出前提条件成立第1フラグがオンされる。また、ステップS307でNOの場合、即ち触媒温度がフューエルカット中に所定値未満に低下した場合には、ステップS312で触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンされる。いずれにしても、フューエルカットの終了後はステップS310の判断がYESとなり、ステップS311で触媒劣化検出実行許可フラグがオンとなり、触媒劣化検出が実行可能な状態となる。
こうして図9のルーチンが実行される。この図9のルーチンについては、ステップS401〜S409が図7のルーチンのステップS401〜S409と同様である。但し、ステップS406とステップS407の間に新たにステップS410が追加され、ステップS410でYESの場合、新たに追加されたステップS411を通過するようになっている。
ステップS406で酸素吸蔵容量OSCの値が所定の劣化判定値OSCs以下の場合、ステップS410で触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンか否かが判断される。触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンでない場合、ステップS407で触媒は劣化と判定され、ステップS409において、触媒劣化検出終了フラグがオンされ、触媒劣化検出前提条件成立第1フラグがオフされると共に、触媒劣化検出実行許可フラグがオフされて、本ルーチンが終了される。
他方、ステップS410で触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンである場合、ステップS411に進んで、触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオフされ、触媒劣化検出実行許可フラグがオフされて、本ルーチンが終了される。
この図8及び図9のルーチンによれば、フューエルカット中に触媒温度が所定温度未満に低下した場合であっても、触媒が劣化である旨の判定のみが禁止される。言い換えれば、触媒が正常である旨の判定は禁止されず許可される。
図8のステップS307で触媒温度が所定値未満に低下している場合、ステップS312で触媒劣化検出前提条件成立第2フラグがオンされる。そしてフューエルカット終了直後、ステップS304がNO、S310がYESとなり、ステップS311で触媒劣化検出実行許可フラグがオンとなり、図9の触媒劣化検出実行ルーチンが実行される。ステップS406で酸素吸蔵容量OSCが劣化判定値OSCsより大きい場合、ステップS408に進んで触媒は正常と判定される。他方、ステップS406で酸素吸蔵容量OSCが劣化判定値OSCs以下の場合、直ちにステップS407に進んで触媒劣化と判定されるのではなく、代わりにステップS411に進んで触媒劣化検出前提条件成立第2フラグ及び触媒劣化検出実行許可フラグがオフされる。触媒が正常と判定されたときのように触媒劣化検出終了フラグがオンされないので(S408,S409)、触媒劣化検出は未終了或いは保留の状態となる。よって、その後の機会で再度、図8及び図9のルーチンにより又は他の触媒劣化検出ルーチンにより、触媒劣化検出を実行することができる。
このように、フューエルカット中の触媒温度が所定値より低くなったとき、触媒劣化検出自体は実行許可され、触媒が劣化である旨の判定のみが禁止され、触媒が正常である旨の判定は許可される。前記同様、劣化判定を禁止することでフューエルカット中の触媒温度低下に起因した誤劣化判定を防止できる。また、正常判定を許可することで、フューエルカット中に触媒温度が低下しても依然として十分な酸素吸蔵容量を有する触媒(例えば図5に破線で示すような劣化が中程度の触媒)に対しては正常判定を行うことができ、触媒劣化検出の実行頻度をできるだけ多く確保することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば、前記第1及び第2の態様では、触媒劣化検出の実行頻度を確保するため、あらゆるエンジン運転状態において触媒劣化検出を実行可能としたが、アイドル等の低負荷運転状態に限って触媒劣化検出を実行可能としてもよい。こうすると触媒劣化検出による排ガスエミッションの悪化(例えば未浄化リッチガスの漏れ出し)を最小限に抑制できる可能性がある。この場合、前記第1の態様では、ステップS110がYESのときにエンジン負荷率が所定値未満か否かを判断し、所定値未満ならステップS111に進み、所定値以上なら触媒劣化検出前提条件成立フラグをオフしてルーチンを終了するようにする。また、前記第2の態様では、ステップS310がYESのときにエンジン負荷率が所定値未満か否かを判断し、所定値未満ならステップS311に進み、所定値以上なら触媒劣化検出前提条件成立第1フラグ及び触媒劣化検出前提条件成立第2フラグをオフしてルーチンを終了するようにする。
前記実施形態ではフューエルカット中の触媒温度を推定するようにしたが、これに限らず、例えば触媒に温度センサを設けて、フューエルカット中の触媒温度を直接検出するようにしてもよい。
前記実施形態では触媒後センサ18として所謂Oセンサを用いたが、触媒前センサ17と同様の空燃比センサを用いることも可能である。同様に、前記実施形態では触媒前センサ17として所謂空燃比センサを用いたが、触媒後センサ18と同様のOセンサを用いることも可能である。
なお、上述の実施形態においては、ECU20が本発明にいうフューエルカット後触媒劣化検出手段、フューエルカット時触媒温度推定手段、禁止手段を構成する。
本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の実施形態の構成を示す概略図である。 触媒の構成を示す概略断面図である。 フューエルカット後触媒劣化検出を説明するためのタイムチャートである。 フューエルカット中積算空気量と触媒床温との関係を示すグラフである。 フューエルカット中積算空気量と酸素吸蔵容量との関係を示すグラフである。 触媒劣化検出の第1の態様に係る触媒劣化検出実行許否決定ルーチンのフローチャートである。 触媒劣化検出の第1の態様に係る触媒劣化検出実行ルーチンのフローチャートである。 触媒劣化検出の第2の態様に係る触媒劣化検出実行許否決定ルーチンのフローチャートである。 触媒劣化検出の第2の態様に係る触媒劣化検出実行ルーチンのフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
5 エアフローメータ
6 排気管
11 触媒
12 インジェクタ
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
OSC 酸素吸蔵容量
OSCs 劣化判定値

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された触媒の劣化を診断する装置であって、
    内燃機関に対するフューエルカットの実行直後に排気ガスの空燃比をリッチに制御し、このリッチ制御中に計測された前記触媒の酸素吸蔵容量に基づき、触媒が正常か劣化かを判定するフューエルカット後触媒劣化検出手段と、
    前記フューエルカットの実行中の触媒温度を検出又は推定するフューエルカット時触媒温度検出手段と、
    前記フューエルカット時触媒温度検出手段によって検出又は推定された触媒温度が所定値より低くなったとき、前記フューエルカット後触媒劣化検出手段による、少なくとも触媒が劣化である旨の判定を禁止する禁止手段と
    を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒劣化診断装置。
  2. 前記禁止手段は、触媒が劣化である旨の判定及び触媒が正常である旨の判定の両方を禁止する
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒劣化診断装置。
  3. 前記禁止手段は、触媒が劣化である旨の判定を禁止し、触媒が正常である旨の判定を許可する
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒劣化診断装置。
  4. 前記フューエルカット時触媒温度検出手段は、フューエルカット開始時点から吸入空気量を積算してその積算値に基づいて触媒温度低下量を算出し、この触媒温度低下量を、フューエルカット開始時点における触媒温度から減算して、フューエルカット実行中の触媒温度を推定する
    ことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の内燃機関の触媒劣化診断装置。
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