JP4761218B2 - 締結構造 - Google Patents

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Description

本発明は、フランジ同士を締結する締結構造に関する。特に、超電導ケーブル線路の接続部における二つ割りの冷媒密閉容器の締結構造に関する。
フランジを有する2つの部材を連結するときに、フランジ同士を重ね合わせて締結する締結構造が知られている。その代表的な構造として、フランジ同士をボルトとナットにより締結する締結構造が知られている。
フランジ同士をボルトとナットとを使用して締結する締結構造において、締結構造を構築したときの温度と、締結構造の使用時の温度との差が問題となることがあった。例えば、締結構造を構築した時の温度よりも低温状態となったときに、フランジの収縮量よりもボルトの収縮量が小さいとボルトの締め付けが弛んでフランジの間に隙間が生じる虞があった。特に、超電導ケーブルの外周で冷媒を密閉する容器のつなぎ目となるフランジ同士の締結構造では、締結構造を構築するときの温度と、実際に締結構造が使用状態にあるときの温度との差が200℃以上になることもあり、ボルトの締め付けが弛むことが懸念されていた。
このような問題点を解決するために、例えば、特許文献1に記載の締結構造が提案されている。具体的には、特許文献1の発明では、フランジの締結に際して冷却に伴うフランジの収縮量よりもボルトの収縮量が大きくなるようにフランジとボルトの材料を限定している。このような構成により、締結構造を冷却したときに、フランジを合わせた厚さ以上にボルトが縮むので、フランジが締め付けられて締結構造が弛まないようにすることができる。
特開2005−9582号公報
ところで、超電導ケーブル線路は、運転の開始から常に冷却状態にあるわけではなく、超電導ケーブル線路のメンテナンスの際には、超電導ケーブル線路を冷却状態から常温に戻さなければならない。このとき、ボルトの膨張量がフランジの膨張量よりも大きいため、冷却状態から昇温する過程で、振動その他の要因によりボルト−ナットの締め付けが弛む虞がある。ボルト−ナットの締め付けが弛むと、再度、冷却したときに密閉構造を維持できずに冷媒が漏出するなどの不具合が生じる虞がある。
そこで、本発明の主目的は、冷却と昇温を繰り返した場合でも、重ね合わせたフランジを締め付ける力が弛むことのない締結構造を提供することにある。
本発明は、第1フランジおよび第2フランジを重ね合わせた状態で締結する締結構造であって、第1締付機構と第2締付機構とを備える。そして、この締結構造を構築する際の雰囲気温度、即ち、締結作業の行なわれるときの温度(以下、雰囲気温度とする)からさらに低温にしたときに、第1締付機構の収縮量と、第2締付機構の収縮量と、両締付機構で挟まれる部材の収縮量との間に差が生じるようにしたことを特徴とする。
以下、本発明をより詳しく説明する。
第1締付機構は、第1フランジを押圧する第1締付片と、第2フランジを押圧する第2締付片と、これら締付片を連結する第1連結片とを有する。即ち、第1締付片と第2締付片との間で、両締付片により第1フランジと第2フランジとが締め付けられる。
この第1締付機構の第1連結片は、雰囲気温度から、この温度よりも低温にしたときに、第1締付片と第2締付片とで挟まれる全ての部材の合計収縮量よりも大きく収縮する。より具体的には、雰囲気温度における、第1締付片と第2締付片との間で挟まれる全ての部材の合計厚さをL1とした場合、雰囲気温度から低温にしたときに、長さL1の第1連結片の収縮量が、第1締付片と第2締付片との間に挟まれる全ての部材の合計収縮量よりも大きい。
上記のような構成とする代表的な手段としては、第1締付機構の第1連結片の線膨張係数を、フランジの線膨張係数よりも大きくすることが挙げられる。例えば、第1締付片と第2締付片との間に、第1フランジおよび第2フランジのみが配置されている場合を考える。このとき、第1フランジの線膨張係数をα1、第2フランジの線膨張係数をα2、第1連結片の線膨張係数をα3とすると、同じ長さXにおける収縮量の関係を以下のようにする。
(α3×X)>(α1×X1+α2×X2)
但し、X1は、2つの締付片に挟まれる第1フランジの厚さ
X2は、2つの締付片に挟まれる第2フランジの厚さ
X1+X2=X
このような関係を有していれば、雰囲気温度から低温にしたときに、重ね合わせた2つのフランジの収縮量よりも、第1連結片の収縮量の方が大きいため、両フランジは、第1締付片と第2締付片とにより締め付けられる。従って、低温にしたときに、締結構造が弛むことがない。なお、線膨張係数を変化させるには、部材の材質を変化させれば良い。
また、第1締付片と第2締付片との間に、フランジ以外の部材(第1収縮片)を介在させても良い。この場合、第1収縮片の線膨張係数をβ1とすると、同じ長さYにおける各部材の収縮量の関係を以下のようにすると良い。
(α3×Y)>(α1×Y1+α2×Y2+β1×Y3)
但し、Y1は、2つの締付片に挟まれる第1フランジの厚さ
Y2は、2つの締付片に挟まれる第2フランジの厚さ
Y3は、2つの締付片に挟まれる第1収縮片の厚さ
Y1+Y2+Y3=Y
第1収縮片としては、第1連結片よりも線膨張係数の小さな第1収縮片を使用することが挙げられる。この第1収縮片は、第1締付片と第2締付片との間、代表的には、第1フランジと第1締付片との間、および、第2フランジと第2締付片との間の少なくとも一方に配置すれば良い。このような構成によれば、2つのフランジと第1連結片の線膨張係数を自由に設定しても、ほとんどの場合で、第1締付片と第2締付片との間に挟まれた第1フランジと第2フランジと第1収縮片の合計収縮量が、第1連結片の収縮量よりも小さくなる。
また、このような構成によれば、2つのフランジと第1締付機構の線膨張係数を同じにして、第1収縮片のみ線膨張係数を変化させることで、締結構造の弛みを防止することができる。つまり、第1収縮片のみ、その他の部材と材質を変化させれば良く、生産性が向上するので好ましい。
一方、第2締付機構は、第1フランジを押圧する第3締付片と、第2フランジを押圧する第4締付片と、これら締付片を連結する第2連結片とを有する。即ち、第3締付片と第4締付片との間で、両締付片により第1フランジと第2フランジとが締め付けられる。
この第2締付機構の第2連結片は、雰囲気温度から低温にしたときに、第3締付片と第4締付片とで挟まれる全ての部材の合計収縮量未満の収縮しかしない。より具体的には、雰囲気温度における、第3締付片と第4締付片との間で挟まれる全ての部材の合計厚さをL2としたときに、低温における、長さL2の第2連結片の収縮量が、第3締付片と第4締付片との間に挟まれる全ての部材の合計収縮量よりも小さい。このことは、言い換えれば、低温から雰囲気温度に昇温するときに、第3締付片と第4締付片との間に挟まれる全ての部材の合計膨張量よりも、長さL2の第2連結片の膨張量の方が小さいということである。
上記のような構成とする代表的な手段としては、第2締付機構の第2連結片の線膨張係数を、フランジの線膨張係数よりも小さくすることが挙げられる。例えば、第3締付片と第4締付片との間に、第1フランジおよび第2フランジのみが配置されている場合を考える。このとき、第1フランジの線膨張係数をα1、第2フランジの線膨張係数をα2、第2連結片の線膨張係数をα4とすると、同じ長さXにおける収縮量の関係を以下のようにする。
(α1×X1+α2×X2)>(α4×X)
但し、X1は、2つの締付片に挟まれる第1フランジの厚さ
X2は、2つの締付片に挟まれる第2フランジの厚さ
X1+X2=X
このような関係を有していれば、今度は、低温から雰囲気温度に戻したときに、重ね合わせた2つのフランジの膨張量よりも、第2連結片の膨張量の方が小さいため、両フランジは、第3締付片と第4締付片とにより締め付けられる。従って、低温から雰囲気温度に戻したときに締結構造が弛むことがない。
また、第1締付機構と同様の構成として、第2締付機構の第3締付片と第4締付片との間に、フランジ以外の部材(第2収縮片)を介在させても良い。この場合、第2収縮片の線膨張係数をβ2とすると、同じ長さYにおける各部材の収縮量の関係は以下のようにすると良い。
(α1×Y1+α2×Y2+β2×Y3)>(α4×Y)
但し、Y1は、2つの締付片に挟まれる第1フランジの厚さ
Y2は、2つの締付片に挟まれる第2フランジの厚さ
Y3は、2つの締付片に挟まれる第2収縮片の厚さ
Y1+Y2+Y3=Y
第2収縮片としては、第2連結片よりも線膨張係数の大きな第2収縮片を使用することが挙げられる。この第2収縮片は、第1フランジと第3締付片との間、および、第2フランジと第4締付片との間の少なくとも一方に配置すれば良い。このような第2収縮片を設けた場合、締結構造を昇温したときに、2つのフランジと第2連結片の線膨張係数に拘らず、ほとんどの場合で、第2連結片の膨張量よりも、第3締付片と第4締付片とに挟まれた部材(第1フランジ、第2フランジおよび第2収縮片)の合計膨張量の方が大きくなる。
以上説明したような構成を備える本発明の締結構造では、雰囲気温度から低温にするときには、第1締付機構により、重ねられたフランジ同士が締め付けられ、低温から雰囲気温度に戻すときには、第2締付機構により、重ねられたフランジ同士が締め付けられる。従って、降温時にも昇温時にも、締付機構によるフランジを絞め付ける力が弛むことがない。特に、本発明を、超電導ケーブルの中間接続部や端末構造における冷媒密閉容器のつなぎ目に形成されたフランジの締結構造に適用することで、降温と昇温を繰り返してもつなぎ目の締結に不具合が生じにくく、安定して運転できる超電導ケーブル線路とすることができる。
その他、本発明の各構成の好ましい態様について説明する。
締付機構の具体的な構成として、代表的には、ボルト−ナットで構成されたものと、断面『コ』の字状(断面スクエアブラケット状)のフック状部材で構成されたものとが挙げられる。
ボルト−ナットで構成する場合、ボルト頭部が、第1締付片(第3締付片)に相当し、ボルト軸部が、第1連結片(第2連結片)に相当する。そして、ナットが、第2締付片(第4締付片)に相当する。
ボルト−ナットで構成した締付機構の場合、収縮片としてワッシャを使用することが挙げられる。このような構成の場合、2つのフランジ、ボルトおよびナットを同一の材質で形成し、ワッシャのみ別部材とすることができる。つまり、ボルトとナットは、ステンレス鋼などでできた市販のものを使用できるので、本発明の締結構造のために特別にボルトとナットを作製する必要がなく、締結構造の構築コストを抑えることができる。また、ワッシャは、ボルトに比べて、その構造が単純なので、例えば、加工し難い材質でワッシャを構成した場合でも比較的容易に加工形成できる。つまり、ワッシャのみを別部材とすることで、ネジ溝を形成しなければならないボルトの製造に加工し難い材質を使用することなく本発明の締結構造を構築できる。
なお、昇温時に2つのフランジの締結が弛まないようにする第2締付機構にボルト−ナットを使用する場合、ボルト−ナットを雰囲気温度において取り付けて、液体窒素ガスを当該部分に当てるなどして雰囲気温度よりも20〜30℃程度低温にした後にボルトを増し締めしておくことが好ましい。増し締めすることで、より確実にボルトの弛みを防止して、締結構造を維持することができる。
一方、フック状部材で構成する場合、第1締付片と第2締付片と第1連結片とを(第3締付片と第4締付片と第2連結片とを)一体に形成する。具体的には、第1連結片(第2連結片)の両端部から、第1連結片の延びる方向とほぼ直交する方向に第1締付片と第2締付片とが(第3締付片と第4締付片とが)延びるようにようにする。フック状部材は、重ね合わせた2つのフランジの外周側から嵌め込むようにして取り付ける。
フック状部材で構成した締付機構の場合、収縮片として楔状の部材を使用することが挙げられる。楔状部材は、フランジと、フランジに嵌め込んだフック状部材との隙間に嵌め込むようにすると良い。
なお、昇温時に2つのフランジの締結が弛まないようにする第2締付機構にフック状部材と楔状部材(第2収縮片)とを使用する場合、楔状部材は、締結構造を雰囲気温度から低温にした後に、フランジとフック状部材との隙間に嵌め込むようにすることが好ましい。このようになすことにより、昇温時に確実に締結構造を維持することができる。
本発明の構成となすことにより、雰囲気温度から低温にするときにも、低温から雰囲気温度に戻すときにも、締付機構によるフランジを絞め付ける力が弛むことがない締結構造とすることができる。
以下、本発明の締結構造に係る実施例を、図に基づいて説明する。
<実施例1>
本例では、フランジを締め付る締付機構にボルトとナットを使用した締結構造を説明する。
図1は、本発明の締結構造を、超電導ケーブル5,6の中間接続部の外周を覆う冷媒封入容器100の継ぎ手構造に適用した状態を示す図である。超電導ケーブル5,6の中間接続部は、2つの超電導ケーブル5,6が、接続スリーブSを介して接続されることで形成されており、その外周が冷媒封入容器100で覆われている。この冷媒封入容器100に冷媒cを封入することで、超電導ケーブル5,6を極低温に冷却して超電導状態にすることができる。冷媒封入容器100は、2つの筒状部材10,20を接続して形成されており、各筒状部材10,20の端部にそれぞれ第1フランジ1と第2フランジ2が形成されている。これらフランジ1,2同士が接続され、ボルト−ナット(図1の符号3)で締結されている。
図2(A)は、上記フランジを超電導ケーブルの軸方向から(図1の紙面右側から)見た図であり、図2(B)、(C)はそれぞれ、図2(A)のA-A断面図、B-B断面図を示す。但し、図2(A)において、超電導ケーブルは省略している。筒状部材10,20は、円筒状であり、フランジ1,2は円筒の端面から円筒の径方向外方に延びる円環状である。このフランジ1,2は、フランジ1,2の周方向に均等な間隔で配置された合計8組のボルト−ナットで締結されている。ボルト−ナットは、降温用締付機構(第1締付機構)3と昇温用締付機構(第2締付機構)4とに分けられ、それぞれが交互に並ぶように配置されている。
降温用締付機構3は、ボルト頭部(第1締付片)31およびボルト軸部(第1連結片)32とを有するボルトと、ナット(第2締付片)33と、2つの降温用ワッシャ(第1収縮片)34,35とからなる。降温用ワッシャ34は、ボルト頭部31と第1フランジ1との間に、降温用ワッシャ35は、ナット33と第2フランジ2との間に配置されている。
一方、昇温用締付機構4についても、降温用締付機構3と同様に、ボルト頭部(第3締付片)41およびボルト軸部(第2連結片)42とを有するボルトと、ナット(第4締付片)43と、2つの昇温用ワッシャ44,45とからなる。そして、昇温用ワッシャ(第2収縮片)44,45がそれぞれ、フランジ1とボルト頭部41との間、および、フランジ2とナット43との間に配置されている。
また、各構成部材の材質、線膨張係数および寸法を以下に示す。
部材 材質 線膨張係数 常温時の厚さ
第1フランジ ステンレス鋼(SUS304) α(17.3×10-6[1/℃]) 20(mm)
第2フランジ ステンレス鋼(SUS304) α 20(mm)
ボルト(※1) ステンレス鋼(SUS304) α
ナット ステンレス鋼(SUS304) α 10(mm)
降温用ワッシャ GFRP(※2) α5(7×10-6[1/℃]) 3(mm)
昇温用ワッシャ MCナイロン(登録商標) α6(83×10-6[1/℃]) 3(mm)
※1 ボルトの長さは、56mm
※2 GFRP…ガラス繊維強化プラスチック
以上のような締結構造を形成するには、まず初めに、常温において、2つの筒状部材10,20のフランジ1,2同士を重ね合わせてボルト−ナットにより締結する。このとき、降温用締付機構3も、昇温用締付機構4も、所定の締付力でフランジ1,2を締め付けるようにしておく。この状態で、連結された2つの筒状部材10,20により形成された冷媒封入容器100の内部に冷媒(例えば、液体窒素)cを流通させる。
冷媒封入容器100に冷媒cが流通されると、締結構造の各構成は、常温(約20℃)から冷媒温度(約−200℃)に冷却され、収縮する。このとき、フランジ1,2と降温用締付機構3のボルト(31,32)は同一の材質で形成されるため、収縮率が同じであるが、ワッシャ34,35の熱膨張係数は、フランジ1,2やボルト(31,32)よりも小さいため収縮率が小さい。具体的には、常温において、締結構造を形成したときのボルト頭部31の下面と、ボルト頭部31に対向するナット33の面との間の距離は、第1フランジ1、第2フランジ2の厚さと、ワッシャ34,35の厚さを合計した46mmである。この状態から容器100内に冷媒cが流通された場合、第1フランジと第2フランジの収縮量は、0.15mm、両ワッシャの合計収縮量は0.01mmである。一方、上記合計厚さに相当する長さのボルト軸部32の収縮量は0.17mmである。つまり、冷却時には、ボルトの収縮量の方が、ボルト頭部31とナット33との間に挟まれる部材の合計収縮量よりも大きいので、この収縮量の差分だけフランジ1,2が締め付けられることになる。
一方、締結構造の冷却時において、昇温用締付機構4は、降温用締付機構3とは異なり、フランジ1,2に強い締付力を作用させることができない。これは、昇温用締付機構4の昇温用ワッシャ44,45の収縮量が、降温用ワッシャ34,35の収縮量よりも大きいため、常温時に導入した所定の締付力が弱まるからである。従って、締結構造を冷却した状態で、昇温用締付機構4のボルト(41,42)を増し締めする。ボルト(41,42)を増し締めすることにより、冷却時や冷却時から昇温する過程で、昇温用締付機構4が振動などにより弛むことがない。
常温から冷却状態にするときとは反対に、冷却状態から常温に戻すときは、冷媒封入容器100内から冷媒cを取り除き、締結構造を徐々に昇温させる。このとき、昇温用締付機構4の昇温用ワッシャ44,45は、その膨張率が、フランジ1,2とボルト軸部42の膨張率よりも大きいため、ワッシャ44がフランジ1をフランジ2側に押圧すると共に、ワッシャ45がフランジ2をフランジ1側に押圧する。従って、昇温時に、フランジ1,2同士が締め付けられた状態になる。
なお、フランジやボルト、ナットの材料としてSUS316(線膨張係数16.0×10-6[1/℃]を使用することもできる。SUS316の線膨張係数は、降温用ワッシャの線膨張係数α5よりも大きく、昇温用ワッシャの線膨張係数α6よりも小さいので、上述したSUS304でフランジ等を構成した場合と同様に、昇温時にも降温時にも締め付けの弛まない締結構造とできる。
<変形例1−1>
本例では、フランジのうち、ボルト−ナット機構を設ける部分の厚みを、他の部分の厚みと異なるようにした締結構造を説明する。
まず、フランジのうち、ボルト−ナットを設ける部分の厚みを、他の部分の厚みよりも薄くした締結構造を説明する。図3(A)は、図2(A)のA-A断面の位置におけるフランジの厚さを薄くした状態を示す図である。具体的には、ボルト頭部31とワッシャ34の外径よりも径の大きな凹部301をフランジ1に、ナット33とワッシャ35の外径よりも径の大きな凹部302をフランジ2に形成する。凹部301の深さは、ボルト頭部31の高さよりも大きく、凹部302の深さは、ナット33の高さよりも大きく形成されている。このような締結構造によれば、ボルト−ナットが、フランジ1,2から突出することがなく、フランジ1,2の凹部301,302でボルト−ナットの外部をカバーするような構成になる。従って、ボルト−ナットに直接的な物理的衝撃が加わり難く、ボルト−ナットの締め付けが弛み難い。
また、図3(B)に示すように、ボルト−ナットを設ける位置におけるフランジの厚さを部分的に厚くした締結構造としても良い。具体的には、ボルト頭部31とワッシャ34の外径よりも径の大きな円柱状の凸部306をフランジ1に、ナット33とワッシャ35の外径よりも径の大きな円柱状の凸部307をフランジ2に形成する。この場合、降温時のフランジ1,2の収縮量と昇温時のフランジ1,2の膨張量を、実施例1の場合よりも大きくすることができる。そのため、この締結構造では、昇降温時に、大きな締付力をフランジ1,2に作用させて、冷媒封入容器100の密閉を維持することができる。
<実施例2>
本例では、フランジを締め付る締付機構に断面『コ』の字状(断面、スクエアブラケット状)のフックを使用した締結構造を図4に基づいて説明する。なお、この締結構造は、実施例1と同様に超電導ケーブルの中間接続部における冷媒封入容器のつなぎ目に使用されており、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図4(A)は、上記フランジを超電導ケーブルの軸方向から(図1の紙面右側から)見た図であり、図4(B)、(C)はそれぞれ、図4(A)のC-C断面図、D-D断面図を示す。締結構造のフランジ1,2は、フランジ1,2の周方向に均等な間隔で配置された合計8つのフック状部材で締結されている。フック状部材は、降温用締付機構(第1締付機構)7と昇温用締付機構(第2締付機構)8とに分けられ、それぞれが交互に並ぶように配置されている。
降温用締付機構7は、垂直片(第1連結片)72と、垂直片72の両端部から垂直片72と直行する方向に突出する突片(第1締付片、第2締付片)71,73とからなるフック状部材と、降温用楔74とを備える。降温用楔74は、突片71と第1フランジ1との間に配置されている。
一方、昇温用締付機構8についても、降温用締付機構7と同様に、垂直片(第2連結片)82と、突片(第3締付片、第4締付片)81,83とからなるフック状部材と、突片81と第1フランジ1との間に配置される昇温用楔84とを備える。
また、各構成部材の材質、線膨張係数および寸法を以下に示す。
部材 材質 線膨張係数 常温時の厚さ
第1フランジ ステンレス鋼(SUS304) α(17.3×10-6[1/℃]) 20(mm)
第2フランジ ステンレス鋼(SUS304) α 20(mm)
垂直片(※3) ステンレス鋼(SUS304) α
突片 ステンレス鋼(SUS304) α 10(mm)
降温用楔 GFRP α5(7×10-6[1/℃]) 最大厚6(mm)
昇温用楔 MCナイロン(登録商標) α6(83×10-6[1/℃]) 最大厚6(mm)
※3 垂直片の長さは、62mm
以上のような締結構造を形成するには、まず初めに、常温において、2つの筒状部材10,20のフランジ1,2同士を重ね合わせて昇温用のフック状部材と降温用のフック部材により締結する。このとき、降温用のフック部材とフランジ1との間に降温用楔74を嵌め込み、所定の締付力でフランジ1,2を締め付けるようにしておく。一方、昇温用のフック部材は、フランジ1,2に仮止めしておく。この状態で、連結された2つの筒状部材10,20により形成された冷媒封入容器100の内部に冷媒cを流通させる。
冷媒封入容器100に冷媒cが流通されると、締結構造の各構成は冷却され、収縮する。なお、昇温用楔84は、締結構造の冷却後に第1フランジ1と突片81との間に嵌め込んだ。
本例の構成においても、降温時には、降温用楔74の収縮率が、フランジ1,2と垂直片72の収縮率よりも小さいため、この降温用楔74が第1フランジ1と突片71との間を押し広げるようにしてフランジ1,2を締め付ける。
一方、冷媒封入容器100から冷媒cを取り除く昇温時には、昇温用楔84の膨張率が、フランジ1,2と垂直片82の膨張率よりも大きいため、この昇温用楔84が第1フランジ1と突片81との間を押し広げるようにしてフランジ1,2を締め付ける。
以上説明したように、本例の締結構造によれば、常温から低温にする降温時も、低温から常温に戻す昇温時も、フランジ1,2を締め付ける力が弱まることがない締結構造とすることができる。なお、実施例2の場合も、フックを設ける箇所のフランジの厚さを部分的に厚くしたり薄くしたりすることができる。
<変形例2−1>
締付機構にフック状部材を使用する場合、フランジの径方向に切り欠きを設けて、フックの垂直片が切り欠きに収納されるようにしても良い。具体的には、図5(A)、(B)に示すように、フランジ1,2に、これらのフランジ1,2の径方向内方に切り欠かれた切り欠き部701を形成する。このような構成とすることにより、図に示すように、フック状部材の垂直片72が、フランジ1,2の径方向外方に突出しない構成となっている。従って、フック状部材を引っ掛けて、フック状部材がフランジ1,2から外れてしまう可能性を低くすることができる。
<その他の実施例>
さらに、実施例1と実施例2の構成を組み合わせて締結構造を構築しても良い。例えば、常温から低温に降温したときにフランジを締め付ける第1締付機構に、ボルト−ナットおよびワッシャを用いて、低温から常温に昇温したときにフランジを締め付ける第2締付機構に、フック状部材と楔を用いても良い。また、第1締付機構にフック状部材と楔を用いて、第2締付機構にボルト−ナット機構を用いても良い。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、本発明の締結構造を超電導ケーブルの端末構造における冷媒封入容器のつなぎ目に適用しても良い。
本発明は、2つの部材を連結する締結構造に好適に利用可能である。特に、超電導ケーブルの冷媒を封入する容器のつなぎ目に好適に利用可能である。
図1は、実施例1の締結構造を適用した超電導ケーブルの中間接続部の部分断面図である。 図2(A)は、実施例1の締結構造を超電導ケーブルの軸方向から見た図を示す。また、図2(B)は、図2(A)のA-A断面図を、図2(C)は、図2(A)のB-B断面図を示す。 図3(A)は、締付機構を設ける位置のフランジの厚さを薄くした締結構造の部分断面図を示し、図3(B)は、締付機構を設ける位置のフランジの厚さを厚くした締結構造の部分断面図を示す。 図4(A)は、実施例2の締結構造を超電導ケーブルの軸方向から見た図を示す。また、図4(B)は、図4(A)のC-C断面図を、図4(C)は、図4(A)のD-D断面図を示す。 図5(A)は、変形例2-1の締結構造を超電導ケーブルの軸方向から見た部分拡大図であり、図5(B)は、図5(A)のE-E断面図である。
符号の説明
100 冷媒封入容器 10,20 筒状部材
1 第1フランジ 2 第2フランジ
5,6 超電導ケーブル S スリーブ c 冷媒
3 降温用締付機構
31 ボルト頭部 32 ボルト軸部 33 ナット 34,35 降温用ワッシャ
4 昇温用締付機構
41 ボルト頭部 42 ボルト軸部 43 ナット 44,45 昇温用ワッシャ
301,302 凹部 306,307 凸部
7 降温用締付機構
71 突片 72 垂直片 73 突片 74 降温用楔
8 昇温用締付機構
81 突片 82 垂直片 83 突片 84 昇温用楔
701 切り欠き部

Claims (8)

  1. 第1フランジおよび第2フランジを重ね合わせた状態で締結する締結構造であって、
    第1フランジを押圧する第1締付片と、第2フランジを押圧する第2締付片と、これら締付片を連結する第1連結片とを有する第1締付機構と、
    第1フランジを押圧する第3締付片と、第2フランジを押圧する第4締付片と、これら締付片を連結する第2連結片とを有する第2締付機構とを備え、
    締結作業の行なわれる雰囲気温度における、第1締付片と第2締付片との間に挟まれる全ての部材の合計厚さをL1、
    当該温度における、第3締付片と第4締付片との間に挟まれる全ての部材の合計厚さをL2としたとき、
    前記雰囲気温度から、この温度よりも低温にしたときに、長さL1の第1連結片の収縮量が、第1締付片と第2締付片との間に挟まれる全ての部材の合計収縮量よりも大きく、
    前記雰囲気温度から、この温度よりも低温にしたときに、長さL2の第2連結片の収縮量が、第3締付片と第4締付片との間に挟まれる全ての部材の合計収縮量よりも小さいことを特徴とする締結構造。
  2. さらに、第1締付機構は、第1締付片と第2締付片との間に、少なくとも一つの第1収縮片を有し、
    第2締付機構は、第3締付片と第4締付片との間に、少なくとも一つの第2収縮片を有しており、
    第1収縮片の線膨張係数が、第1連結片の線膨張係数よりも小さく、
    第2収縮片の線膨張係数が、第2連結片の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の締結構造。
  3. 締付機構の一方の締付片が、ボルトの頭部で、当該締付機構の連結片が、前記ボルトの軸部であり、
    当該締付機構の他方の締付片が、前記ボルトの軸部にネジ結合するナットであることを特徴とする請求項1または2に記載の締結構造。
  4. 締付機構の一方の締付片が、ボルトの頭部で、当該締付機構の連結片が、前記ボルトの軸部であり、
    当該締付機構の他方の締付片が、前記ボルトの軸部にネジ結合するナットであり、
    収縮片が、ワッシャであることを特徴とする請求項2に記載の締結構造。
  5. 締付機構の2つの締付片と連結片とが、一体に形成されたフック状部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の締結構造。
  6. 締付機構の2つの締付片と連結片とが、一体に形成されたフック状部材であり、
    収縮片が、楔状部材であることを特徴とする請求項2に記載の締結構造。
  7. 第1フランジと第2フランジとが、超電導ケーブルの中間接続部における冷媒密閉容器のつなぎ目に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の締結構造。
  8. 第1フランジと第2フランジとが、超電導ケーブルの端末構造における冷媒密閉容器のつなぎ目に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の締結構造。
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