JP4760781B2 - 磁性金属異物の捕捉方法及び磁性金属異物の捕捉装置並びに被処理物の検査方法 - Google Patents

磁性金属異物の捕捉方法及び磁性金属異物の捕捉装置並びに被処理物の検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体封止用の樹脂組成物等に混入した磁性金属等の磁性金属異物を捕捉する方法及び装置の改良、並びに磁性金属異物を捕捉して被処理物を検査する方法の改良に関するものである。
(1.異物の除去の必要性)
例えば、ICやLSI等の半導体素子の封止には信頼性や生産性の観点からトランスファー成形ができる熱硬化性樹脂組成物が広く用いられる。半導体封止用熱硬化性樹脂組成物として最も一般的なエポキシ樹脂組成物は、通常各原料を所定量秤量したものを混合装置で予備混合し、次いで単軸混練機、二軸混練機、加熱ロール、連続ニーダ−等の加熱混練機を用いて溶融混練した後、粉砕機により粉砕し、タブレットマシンにより打錠するという製造工程を経て製造される。これら製造工程においては、混合装置、加熱混練機、粉砕機等の製造装置が摩耗等をして、樹脂組成物中に僅かながら鉄粉等の磁性金属が異物として混入することがある。
しかし、このような鉄粉等の導電性の異物が樹脂組成物中に存在していると、半導体パッケージ内のピンや配線間をショートさせて電気的不良の原因となるおそれがある。特に、近年、半導体を樹脂組成物により封止した半導体パッケージは、極端に小型化、薄型化される傾向にあり、その結果、半導体パッケージ内のピンや配線の間隔は狭くなってきているため、相当程度微細な鉄粉等の導電性の異物が含まれているだけでも、これらの電気的不良の原因となるおそれがある。このため、従前以上により微細なレベルで鉄粉等の導電性の異物を除去することが必要となっており、製品の出荷検査や工程検査において、これらの磁性金属異物の大きさや個数、組成等を適格に把握し、管理することが要求されるに至っている。
(2.振動による除去の問題点)
この点については、従来から、磁性金属異物を含む非磁性材料を、その非磁性成分は溶解するが磁性金属異物は溶解しない溶媒に混合して、その非磁性成分を溶解させて溶液とし、この溶液を下方に磁石を脱着可能に配設した微細に振動する振動板の上面の一端部に供給して、振動板上で振動させながら薄層状態で移動させて磁石の上方を通過させると共に、溶液中に含まれる磁性金属異物を磁石の磁力によって振動板上に保持することにより磁性金属異物を含む非磁性材料から磁性金属異物を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法では、振動により溶液を移動させるため、捕集された磁性金属異物は常に振動条件下に置かれることとなる結果、捕集された磁性金属異物のうち、吸着力が比較的弱い磁性金属異物は振動板上に確実には保持されず、溶液と共に移動してしまったり、振動板から落下するおそれが生じる。また、振動機構を備えるためには、振動板が適切に振動できるだけの充分な厚みを備える必要があり、その結果、この振動板の厚みにより、磁性金属異物を捕捉する磁石が、その本来の能力を発揮することができず、吸着力の弱い磁性金属異物等を確実に捕集できない問題もあった。
(3.傾斜落下による除去の限界)
一方、上記の溶液を、磁石上に設置された傾斜板上に流し、傾斜板を振動させることなく自然落下により通過させて、磁石により捕集することも考えられる(例えば、特許文献2等参照)。しかし、この場合、溶液を、単に傾斜板上に流し込むだけでは、流体の厚みに不均一な箇所が生じる結果、磁力の磁性金属異物に対する影響も不均一となって差が生じ、特に流体が厚く流れ出ている部分については、微細な磁性金属異物を確実に捕捉することができなくなるおそれがある。とりわけ、磁性金属異物は、単体で存在する場合のみならず、シリカ等の非磁性粒子の内部に混入して存在している場合もあり、この場合には、磁性金属異物が磁力の影響を一段と受けにくくなり、確実に捕捉することが困難となる問題が生じる。
特開2005−137960号公報 特開平11−76861号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、鉄等の微細な磁性金属異物を、吸着力の弱い非磁性粒子の内部に混入されている場合であっても、被処理物から分離して、確実に捕捉することができる磁性金属異物の捕捉方法及び磁性金属異物の捕捉装置を提供することにある。
(1.磁性金属異物の捕捉方法)
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、被処理物を溶液状として、磁石直上に設置された流路部材に流し、磁石の磁力により被処理物中に含まれる磁性金属異物を流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉方法において、流路部材として磁石の表面形状に沿った形状を有する樋を使用し、樋及び磁石を傾斜して配置して、樋に溶液状の被処理物を流し込み、溶液状の被処理物が樋に形成され溶液状の被処理物の全てを磁石の表面上部を通過させる溝部を通過することにより樋の溝部において磁石の磁力により磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、被処理物を溶液状として、磁石直上に設置された流路部材に流し、磁石の磁力により被処理物中に含まれる磁性金属異物を流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉方法において、流路部材として磁石の表面形状に沿った形状を有し、流路面が磁石と密着する形状を有する樋を使用し、樋及び磁石を傾斜して配置して、樋に溶液状の被処理物を流し込み、溶液状の被処理物が、樋において2つの側壁を流路面の頂面よりも下方から突出させることにより流路面と側壁との境界部に形成される溝部を通過することにより樋の溝部において磁石の磁力により磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、樋の少なくとも流路面を100μm以下の厚みに形成することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、樋を非磁性材料から形成することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第4の解決手段において、樋を形成する非磁性材料として銅を使用することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、溝部は、樋において被処理物の進行方向に延びるように形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物の樋へ供給する流量を定量に調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物の樋へ供給する流量を樋の溝部における流れの厚みが2mm以下となるように調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第7又は第8のいずれかの解決手段において、ポンプにより溶液状の被処理物の樋へ供給する流量を調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1乃至第9のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物の溶液濃度を一定に調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第1乃至第10のいずれかの解決手段において、複数の磁石を、異極同士を相対向させることにより連結させて配置することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第1乃至第11のいずれかの解決手段において、磁石及び樋の傾斜角度を40°以下に設定することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第1乃至第12のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物を複数回にわたり樋に流し込むことを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第1乃至第13のいずれかの解決手段において、磁性金属異物を樋上に捕捉した後、磁石により樋上に磁性金属異物を捕捉したまま、樋及び磁石に超音波振動を付与することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法を提供するものである。
(2.磁性金属異物の捕捉装置)
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、磁石と、この磁石の直上に設置され溶液状の被処理物が流し込まれる流路部材とを備え、磁石の磁力により被処理物中に含まれる磁性金属異物を流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉装置において、流路部材は、磁石の表面形状に沿った形状を有する樋から成り、樋は溶液状の被処理物の全てを磁石の表面上部を通過させる溝部を有し、樋及び磁石は傾斜して配置され、磁石は、樋の溝部において溶液状の被処理物から磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、磁石と、この磁石の直上に設置され溶液状の被処理物が流し込まれる流路部材とを備え、磁石の磁力により被処理物中に含まれる磁性金属異物を流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉装置において、流路部材は、磁石の表面形状に沿った形状を有し、流路面が磁石と密着する形状を有する樋から成り、この樋は溶液状の被処理物が通過する溝部を有し、この溝部は樋において2つの側壁を流路面の頂面よりも下方から突出させることにより流路面と側壁との境界部に形成され、樋及び磁石は傾斜して配置され、磁石は、樋の溝部において溶液状の被処理物から磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第15又は第16いずれかの解決手段において、樋は、少なくとも流路面が100μm以下の厚みに形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、上記第15乃至第17のいずれかの解決手段において、樋は、非磁性材料から形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第18の解決手段において、樋を形成する非磁性材料は、銅であることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第15乃至第19のいずれかの解決手段において、溝部は、樋において被処理物の進行方向に延びるように形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第15乃至第20のいずれかの解決手段において、樋は、磁石を保持する磁石収納部を有し、磁石は、磁石収納部内に着脱自在に設置されることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第15乃至第21のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物の樋へ供給する流量を定量に調整する流量調整手段を備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第23の手段として、上記第15乃至第22のいずれかの解決手段において、溶液状の被処理物の樋へ供給する流量を樋の溝部における流れの厚みが2mm以下となるように調整する流量調整手段を備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第24の手段として、上記第22又は第23のいずれかの解決手段において、流量調整手段が、ポンプであることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第25の手段として、上記第15乃至第24のいずれかの解決手段において、複数の磁石が、異極同士を相対向させることにより連結させて配置されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第26の手段として、上記第15乃至第25のいずれかの解決手段において、磁石及び樋の傾斜角度は40°以下に設定されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第27の手段として、上記第15乃至第26のいずれかの解決手段において、磁性金属異物を樋上に捕捉した後、磁石により樋上に磁性金属異物を捕捉したまま、樋及び磁石に超音波振動を付与する超音波振動手段を更に備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置を提供するものである。
(3.被処理物の検査方法)
本発明は、上記の課題を解決するための第28の手段として、上記第1乃至第14のいずれかの磁性金属異物の捕捉方法により、被処理物中に含まれる磁性金属異物を捕捉して、この捕捉された磁性金属異物を分析する被処理物の検査方法であって、この被処理物が半導体封止用樹脂組成物であり、この半導体封止用樹脂組成物の製品検査として半導体封止用樹脂組成物に含有される磁性金属異物を捕捉、分析することを特徴とする被処理物の検査方法を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第29の手段として、上記第1乃至第14のいずれかの磁性金属異物の捕捉方法により、被処理物中に含まれる磁性金属異物を捕捉して、この捕捉された磁性金属異物を分析する被処理物の検査方法であって、この被処理物が半導体封止用樹脂組成物の原材料であり、この半導体封止用樹脂組成物の製造前に前記原材料の受け入れ検査として前記半導体封止用樹脂組成物の原材料に含有される前記磁性金属異物を捕捉、分析することを特徴とする被処理物の検査方法を提供するものである。
本発明によれば、上記のように、樋及び磁石を傾斜して配置して、溶液状の被処理物が樋に形成された溝部を自然落下することにより樋の溝部において磁性金属異物を捕捉するため、振動を付与することなく被処理物の全てを確実に磁石の表面上部を通過させることができると共に、溶液が溝部という一定形状を有する流路を落下させていくため、溶液の流れがランダムとなるのを抑制して一定化することができ、溶液が適切に薄い均一な厚みで流れていくため、高い精度で確実に、被処理物中の磁性金属異物を樋上に捕捉することができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、振動を付与する必要がない結果、樋の少なくとも流路面を100μm以下の厚みに形成することができるため、被処理物が通過する樋の溝部における磁力を、樋の下方に位置する磁石の磁力とほぼ同等に維持することができ、磁石本来の吸着能力を充分に発揮させた強力な吸着力で磁性金属異物を捕捉することができるので、例えば、シリカ等の非磁性粒子中に取り込まれた状態で存在する数μm単位の磁性金属異物であっても、確実に捕捉することができる実益がある。
同様に、この場合、本発明によれば、上記のように、溶液濃度を一定に調整した上で、ポンプ等により溶液の流量を調整しているため、一定形状を有する樋の溝部を流路としていることと相乗して、一定の適切な流量(流れる溶液の厚み)で落下させることができるので、繰り返し精度が高い状態で均一に微細な磁性金属異物であっても、確実に捕捉することができる実益がある。
更に、この場合、本発明によれば、上記のように、複数の磁石を、異極同士を相対向させることにより連結させて配置しているため、被処理物の進行方向に延びるように形成された溝部を流路としていることと相乗して、被処理物の溶液が、磁束密度が高い部分に直交して流れ、更には、流路上の複数の箇所で捕捉される機会に恵まれるため、磁性金属異物を、一定した高い精度で確実に捕捉することができる実益がある。
また、本発明によれば、上記のように、磁石を樋の磁石収納部内に着脱自在に設置しているため、磁石を樋から分離することにより、樋への磁力を解除して、捕捉した磁性金属異物を簡易に回収、分析することができる実益がある。
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、磁性金属異物を樋上に捕捉した後、磁石により樋上に磁性金属異物を捕捉したまま、樋及び磁石に超音波振動を付与しているため、樋上にシリカ等の目的外の非磁性物が溶媒に曝した程度では流れ落ちない程度の磁力以外の物理吸着で吸着していた場合であっても、磁性金属異物を樋上に捕捉したまま、当該非磁性粒子のみを樋から分離して除去することができ、残余の目的物である磁性金属異物のみを適切に回収して、その後の分析に精度良く提供することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、半導体封止用樹脂組成物の製品検査として磁石により半導体封止用樹脂組成物に含有される磁性金属異物を捕捉しているため、この捕捉された磁性金属異物を分析することにより、製造工程からの磁性金属異物の混入状態を把握して、所定の大きさや個数を超える磁性金属異物が混入した半導体封止用樹脂組成物の流出を防ぐことができ、半導体パッケージ内のピンや配線間のショート等の不具合を未然に防止することができる実益がある。
本発明によれば、上記のように、半導体封止用樹脂組成物の原材料を被処理物として、半導体封止樹脂組成物の製造前に原材料の受け入れ検査として磁石により半導体封止用樹脂組成物の原材料に含有される磁性金属異物を捕捉しているため、この捕捉された磁性金属異物を分析することにより、原材料への磁性金属異物の混入状態を把握して、所定の大きさや個数を超える磁性金属異物が混入した原材料による半導体封止用樹脂組成物への加工を未然に防止することができ、製品の歩留まりを向上させることができると共に、事後的に不適な製品を排除する手間を回避することができる実益がある。
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1及び図2は、本発明の磁性金属異物の捕捉装置10により、本発明の磁性金属異物の捕捉方法を実施する状態を示し、この磁性金属異物の捕捉装置10は、図1に示すように、磁石12と、この磁石12の直上に設置される流路部材14と、被処理物1を流路部材14に供給するホッパー等の供給手段16とを備えている。
本発明においては、この捕捉装置10を使用して、特に図2に示すように、被処理物1を溶液状として、供給手段16から磁石12直上に設置された流路部材14に流し、磁石12の磁力により被処理物1中に含まれる磁性金属異物2を流路部材14上に捕捉するものである。
(1.被処理物)
この場合、被処理物1としては、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、無機質充填剤等の半導体封止用樹脂組成物の原材料や、これらの原材料を加工した半導体封止用樹脂組成物等を挙げることができ、これらの原材料に当初から含まれていた磁性金属異物2や、原材料からの製造工程中に樹脂組成物に混入した鉄粉等の磁性金属異物2の捕捉に使用することができる。なお、本発明においては、後述するように、例えば、シリカ等の非磁性粒子3中に取り込まれる形で存在する鉄等の磁性金属異物2の捕捉にも有効である。
本発明においては、これらの被処理物1を、元来の成分であるエポキシ樹脂は溶解するが、磁性金属異物等は溶解しない溶媒中に投与して撹拌することにより、溶液状とする。これは、被処理物1を溶液状とすることにより、元来の成分であるエポキシ樹脂等から鉄等の磁性金属異物2を分離して捕捉することを容易とするためである。このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール等を挙げることができる。
また、この場合、後述するように、この溶液状の被処理物1の流れ分布を一定にするために、被処理物1の溶液への濃度を、一定に、具体的には、30重量%以上、40重量%以下程度に保持することが望ましい。このようにして、溶液状とされた被処理物1は、図1及び図2に示すように、ホッパー等の供給手段16に充填されて、この供給手段16から流路部材14に供給され、磁性金属異物2が除去された後、流路部材14の下方に設置された廃液回収容器27に回収される。
(2.流路部材)
本発明においては、流路部材14は、図1及び図4に示すように、磁石12の表面形状に沿った形状を有する樋18から成っている。この樋18は、特に図4に示すように、後述する円筒形状の磁石収納部22の表面(流路面18a)と、この磁石保持部22から斜め上方に延びるように設置された2つの側壁18bとによって構成される。この場合、樋18は、特に図4に示すように、2つの側壁18bを流路面18aの頂面よりも下方から突出させることにより、流路面18aと側壁18bとの境界部に溶液状の被処理物1が通過する溝部20が形成される。
また、この樋18及び磁石12は、図1及び図2に示すように、傾斜して配置されている。従って、本発明においては、溶液状の被処理物1は、この樋18に形成された溝部20を自然落下することにより樋18の溝部20において磁石12の磁力により磁性金属異物2を捕捉するため、流路部材14である樋18に振動を付与することなく、被処理物1の全てを確実に磁石12の表面上部を通過させることができる。
また、この溝部20は、図1及び図4に示すように、樋18において被処理物1の進行方向に延びるように一定形状(図示の実施の形態では、直線状)に形成されている。このため、溶液状の被処理物1は、特に、図4に示すように、溝部20という一定形状を有する流路を落下していくため、溶液状の被処理物1の流れがランダムとなるのを抑制して一定化することができ、溶液状の被処理物1が適切に薄い均一な厚みで流れていくため、高い精度で確実に、被処理物1中の磁性金属異物2を樋18上に捕捉することができる。
なお、この樋18は、磁石12から分離した後において残留磁束のない非磁性材料、具体的には、例えば、銅から形成することが望ましい。また、この樋18、特に、その流路面18aの厚みは、磁力により磁性金属異物を確実に捕捉することができれば、特に、限定はないが、磁石12の作る磁界の強さは、磁石12表面が最も強く、この表面からの距離が大きくなる程弱くなるため、溶液状の被処理物1が流れる部分の磁界の強さ、即ち、流路面18a表面の磁界の強さは流路面18aの厚みに依存する。このため、流路部材14である樋18、特に、少なくとも、その流路面18aの厚みは100μm以下、望ましくは、後述する実施例で良好な結果が得られることが確認された、70μm程度とすることが望ましい。また、このように、少なくとも70μm程度の厚みは確保することにより、後述する磁石収納部22からの磁石12の着脱の際における強度も充分に確保することができる。
(3.磁石)
この流路部材14である樋18は、図1及び図4に示すように、流路面18aの下方に、磁石12を保持する磁石収納部22を有する。この磁石収納部22は、具体的には、図1及び図4に示すように、その一部が流路面18aとなる中空の円筒形状を有する。磁石12は、この磁石収納部22と同様の円筒形状を有し、磁石収納部22内に着脱自在に設置されることにより、保持される。これにより、樋18は、磁石12の直上に設置される。この場合、磁石12の磁力を最大限に発揮させて磁性金属異物2を捕捉するためには、磁石収納部22は、特に、少なくとも、その流路面18aとなる部分において、磁石12と密着する形状とすることが望ましい。但し、この磁石収納部22及び磁石12の表面形状は、溶液状の被処理物1が溝部20を確実に流れることができれば、必ずしも円筒形状に限定されるものではなく、他の形状とすることもできる。
また、図示の実施の形態では、特に、図2に示すように、複数の磁石12を使用し、これらの複数の磁石12を、異極同士を相対向させることにより連結させて、磁石収納部22内に配置している。これにより、異極同士を相対向させた部分では磁束密度が高まるため、これらの磁石12の作る強力な磁界により、溝部20を落下していく溶液状の被処理物1中に存在する鉄等の磁性金属異物2は、瞬時に磁化されて、樋18の溝部20上に吸着され、その状態で保持される。
加えて、この場合、特に、磁石12の異極同士を相対向させた部分が、溝部20という一定形状の流路において複数箇所に設定されることになるため、溶液状の被処理物1中の磁性金属異物2は、少なくとも1回は磁束密度が高い箇所を通過するため、あるいは、複数回の磁化の機会にさらされるため、漏れなく捕捉される確率が格段と高まる。
なお、これらの各磁石12は、シリカ等の非磁性粒子中に混入している鉄等の磁性金属異物をも確実に捕捉するためには、異極同士が相対向する箇所において、1.4T以上の磁束密度を発揮する磁石12を使用することが望ましい。また、樋18の幅方向の端部付近に形成された溝部20において、確実に磁界が発生するよう、磁石18は、樋18の幅方向において、少なくとも左右の2つの溝部20間の幅以上の幅として、樋18の流路面18aの全幅にわたって配置させることが望ましい。また、図2に示す実施の形態においては、4つの磁石12を使用して、3カ所の異極同士を相対向させた部分を設定しているが、特に、その個数に限定はない。但し、3つ以上の磁石12を使用して、少なくとも2カ所以上で異極同士を相対向させた部分を設定することが好ましく、より望ましくは、磁石12の個数、ひいては、異極同士を相対向させた部分の設定数が多い程、磁性金属異物2の捕捉機会及び捕捉率が向上するため、8つ以上の磁石12を使用する。
(4.流量(流れの厚み)の調整)
また、本発明の捕捉装置10は、図1及び図2に示すように、溶液状の被処理物1の樋18へ供給する流量を定量に調整する流量調整手段24を備えている。これは、溶液状の被処理物1を、樋18の溝部20に確実に流し込むと同時に、磁石12により磁性金属異物2を捕捉するのに適した量に調整するためである。
即ち、左右の溝部の両方に跨って流れる程の流量であると、流体分布が一定せず一定の流路(溝部20)を確実に通過させることができなくなると共に、磁石12の磁力の影響は磁石12からの距離が遠ざかるに連れ低下するため、溝部20のみを通過するとしても、その際の流れの厚みがあまりに厚いと、磁性金属異物2を確実に捕捉することが困難となるからである。この場合、具体的な流量は、樋18の寸法や、磁石12の磁力により相対的に決定されるが、上述した能力の範疇の磁石12や樋18を使用する場合においては、溝部20における流れの厚みが2mm程度になる流量とすることが好ましい。
これらの流量調整手段24としては、具体的には、モーノポンプやチューブポンプ等のポンプ26を使用することができる。即ち、図示の実施の形態では、ホッパー等の供給手段16内に充填された溶液状の被処理物1は、このポンプ26により、一定の流量で、流路部材14である樋18に流し込まれる。この場合、流量が適切であるため、特に、図4に示すように、溶液状の被処理物1は、樋18において、いわば最深部に位置する溝部20に確実に流れ出す。なお、図示の実施の形態では、流量調整手段24としてポンプ26を使用したが、必ずしもポンプ26に限定されるものではなく、図示しない所定の通過口を有するホッパー等の供給手段16や配管15の直径を適切に選択すること等により、流量を調整することもできる。
なお、磁石12及び樋18の傾斜角度があまりに大きいと、磁性金属異物2が捕捉される前に流れ落ちると共に捕捉した磁性金属異物2を保持することにも大きな力を要するため、磁性金属異物2を確実に捕捉することが困難となるおそれがある。一方で、この磁石12及び樋18の傾斜角度があまりに小さいと、樋18上において溶液状の被処理物1が滞留し、溶液状の被処理物1の厚みが2mmを超えるおそれがある。このため、この磁石12及び樋18の傾斜角度は、このような現象を抑止しうる5°以上40°以下、望ましくは、後述する実施例で良好な結果が得られることが確認された、10°以上30°以下程度に設定することが望ましいといえる。
(5.超音波処理)
加えて、本発明の捕捉装置10は、図1及び図3に示すように、磁性金属異物2を樋18上に捕捉した後、磁石12により樋18上に磁性金属異物2を捕捉したまま、樋18及び磁石12に超音波振動を付与する超音波振動手段28を更に備えている。
この超音波振動付与手段28は、磁性金属異物2を保持した樋18及び磁石12に超音波振動を伝達する溶液30と、この溶液30が充填され溶液30に超音波振動を付与する振動発生器32から成っている。
この溶液30としては、例えば、アセトンを使用することができる。これは、エポキシ樹脂組成物等の被処理物1に含まれるシリカ等の非磁性粒子3を樋18表面に付着させているエポキシ樹脂等の成分を洗い流し、シリカ等の非磁性粒子3を分離しやすくするためである。この溶液30を介して、樋18に吸着されていた捕捉物に、超音波振動が伝達することにより、図3に示すように、樋18上にシリカ等の目的外の非磁性粒子3が溶媒に曝した程度では流れ落ちない程度の磁力以外の物理吸着で吸着していた場合であっても、樋18と非磁性粒子3とを分離させることができる。
この場合、図3に示すように、非磁性粒子3は、磁力の影響を受けないため、樋18から分離し、一方、磁性金属異物2は、磁石12の磁力により、引き続き樋18上に捕捉されたままとなる。このため、図3に示すように、当該非磁性粒子3のみを分離して除去して、残余の目的物である磁性金属異物2のみを適切に回収することができる。この磁性金属異物2は、磁石収納部22から磁石12を取り出して、樋18への磁力を解除することにより、瞬時に樋18への吸着力を失うので、例えば、下方に磁性金属異物2の回収容器を用意し、アセトン等の溶媒をかけ流すことで、樋18からも簡易に分離して、回収することができ、人手の作業で分離する場合に比べて、その後の分析に精度良く提供することができる。
なお、この場合、溶液30として、アセトン等を使用しているため、揮発により容易に磁性金属異物2を回収することができる。また、この超音波振動付与手段28としては、非磁性粒子3を磁性金属異物2から分離することができれば、特に限定はなく、様々なものを使用することができ、例えば、超音波洗浄器を挙げることができる。また、この超音波振動付与手段28による超音波処理の設定条件は、目的外の非磁性粒子3のみが離脱する条件に設定する。
(6.捕捉方法(捕捉装置の使用方法)及び検査方法)
次に、捕捉装置10を使用した本発明の捕捉方法の実施状態について説明すると、被処理物1を、アセトン等の溶媒により溶液状として、ホッパー等の供給手段16に充填する。次いで、この供給手段に充填された溶液状の被処理物1を、ポンプ26により、所定の流量で、流路部材14である樋18に送り込む。この場合、溶液状の被処理物1は、適切な流量に調整されているため、特に、図4に示すように、樋18の溝部20を確実にかつ適切に自然落下していく。このため、特に、複数の磁石12の磁束密度の高い箇所において、被処理物1中の磁性金属異物2が、磁石12の磁力により、樋18上に保持される。
この場合、被処理物1の処理工程の一部として、処理すべき溶液状の被処理物1の全てを一度に連続的に樋18に流し込むこともできる。また、これとは異なり、処理すべき溶液状の被処理物1を所定量ずつ分割して樋18に流し込むこともできる。なお、いずれの場合も、回収した被処理物1を、再度、樋18に流し込んで、繰り返し処理することにより、即ち、溶液状とした被処理物1をホッパー等の供給手段16に充填する工程から被処理物1中の磁性金属異物2を磁石12の磁力により樋18上に捕捉させる工程までを繰り返し行うことで、より充分に磁性金属異物2を捕捉することができる。その他、流路部材14を長くする、あるいは、流路部材14を多段に配置する等の手段を、各々単独で、又は必要に応じて組み合わせて実施することによっても、より充分に磁性金属異物2を捕捉することができる。これらの方法等により充分に磁性金属異物2を樋18上に捕捉した上で、磁石12及び流路部材14である樋18を、超音波振動付与手段28にて、超音波処理することが好ましい。
また、本発明の捕捉装置10による捕捉方法の実施は、半導体封止用樹脂組成物の製品検査として行うことができる。これにより、この捕捉された磁性金属異物2を分析することにより、製造工程からの磁性金属異物2の混入状態を把握して、所定の大きさや個数を超える磁性金属異物2が混入した半導体封止用樹脂組成物の流出を防ぐことができ、半導体パッケージ内のピンや配線間のショート等の不具合を未然に防止することができる。
更に、本発明の捕捉装置10による捕捉方法の実施は、その他、半導体封止用樹脂組成物の原材料の半導体封止用樹脂組成物への加工前に原材料の受け入れ検査として行うこともできる。これにより、所定の大きさや個数を超える磁性金属異物2が混入した原材料による半導体封止用樹脂組成物の製造を未然に防止することができ、製品の歩留まりを向上させることができると共に、事後的に不適な製品を排除する手間を回避することができる。
(1.実施例)
次に、本発明の捕捉装置10による捕捉方法の実施例について説明すると、半導体封止用樹脂組成物を被処理物1として、これを300g容器に計量し、アセトンを500g加えて、シェーカー(ヤマト科学社製SA−31)にて攪拌・溶解し、溶液状とした。この溶液状の被処理物1を、容量1000mlのホッパーに充填し、チューブポンプ(アズワン社製チューブポンプ7553−80 ヘッド7518−12)により、80ml/minの流量で、図4に示す形状の樋18に流し込んだ。なお、磁石12及び樋18の傾斜角度は、10°に設定し、また、8つの磁石を使用して、磁束密度が1.4Tの箇所を7箇所設定した。磁石12としては、8個円筒上の磁石が円筒状のケースに収められ、ケース表面の磁束密度が1.4Tになる箇所が7箇所ある磁石ユニット(NEOMAXエンジニアリング社製マグネットバーφ24.3×185mm)を使用し、これらの磁石12上に密着するように銅製の樋18を配置した。また、樋18は、幅を約24mm、全長を約185mmに設定した。
この溶液状の被処理物1を全量流し終わった後、樋18を磁石12ごと、超音波処理装置(アズワン社製超音波洗浄器UT−105S)に投入し、3分間超音波処理を行った。超音波処理後、樋18の磁石収納部22から磁石12を取り除き、樋18の上部よりアセトンをかけ流し、磁性金属異物2をビーカーに回収した。更に、アセトンを揮発させた後、回収した磁性金属異物2を顕微鏡で観察したところ、10μm以下の鉄、ステンレス片や半導体封止用樹脂組成物の原材料であるシリカに取り込まれた鉄(たとえば、直径50μmのシリカ取り込まれた10μmの鉄)が確認された。即ち、本発明の捕捉装置10による捕捉方法によれば、従来は捕捉が困難であった数μm単位の鉄粉を、被処理物1から適切に除去することができた。
(2.実験例A)
また、磁石12及び樋18の傾斜角度と、溶液状の被処理物1の流量による捕捉への影響を確認するため、以下の実験例を設定した。具体的には、磁石12及び樋18の傾斜角度を、10°(実験例A1、A2)と30°(実験例A3、A4)の2種類設定し、更に、各傾斜角度毎に、単位時間当たりの流量を80ml/min(実験例A1、A3)と200ml/min(実験例A2、A4)に設定した。これらの各実験例について、約1gのSUS304粉末(100メッシュ)を試料としてアセトン中に分散させた実験溶液を各実験例につき2回ずつ流し込んで、SUS304粉末の捕捉を試みた。その結果を、表1に示す。
Figure 0004760781
この表1において、実験結果の評価は、SUS304粉末の投入量に対する回収量(捕捉量)を算出することにより、捕捉率を求め、これをもって、捕捉効率を判断した。なお、最終的な回収率としては、各実験例における2回の流し込みの平均値とした。この表1から解るように、磁石12及び樋18の傾斜角度を、比較的緩やかな10°に設定した実験例A1、A2と、比較的急な30°に設定した実験例A3、A4とはほぼ同等であり、かつともに高い捕捉率が得られた。この結果から、少なくとも磁石12及び樋18の傾斜角度は10〜30°の範囲であれば高い捕捉率となることが確認された。
また、流量に着目してみると、表1から解るように、単位時間当たりの流量が80ml/minと比較的少ない実験例A1、A3と、単位時間当たりの流量が200ml/minと比較的多い実験例A2、A4とはほぼ同等であり、かつともに高い捕捉率が得られた。この結果から、少なくとも単位時間当たりの流量が80〜200ml/minの範囲であれば、高い捕捉率となることが確認された。これは、上記範囲であれば、樋18の溝部20における流れの厚みが、磁石12によってSUS304粉末を捕捉するのに充分に薄く保たれていたためと考えられる。このため、この流れの厚みを具体的に考察したところ、実験例A1〜A4のいずれの実験例においても、上記樋18の溝部20における流れの厚みは2mm程度であった。
(3.実験例B)
次いで、樋18の流路面18aの厚みと捕捉効率との関係を確認するため、樋18の流路面18aの厚みを、70μmとした実験例B1と、2070μmとした実験例B2を設定した。なお、この場合において、樋18の材質は、上記実施例と同じく、銅製とし、磁石12及び樋18の傾斜角度を10°、単位時間当たりの流量を80ml/minに設定し、試料として、上記実験例と同じく、約1gのSUS304粉末(100メッシュ)をアセトン中に分散させた実験溶液を用い、これを各実験例につき2回ずつ流し込んで、SUS304粉末の捕捉を試みた(即ち、実験例B1は、実験例A1と同じであり、評価する対象が異なるため、区別したものである)。その結果を、表2に示す。
Figure 0004760781
この表2においても、実験結果の評価は、SUS304粉末の投入量に対する回収量(捕捉量)を算出することにより、捕捉率を求め、これをもって、捕捉効率を判断した。なお、最終的な回収率としては、各実験例における2回の流し込みの平均値とした。この表2から解るように、樋18の厚みが薄い方が、捕捉率が高い。この結果から、樋18の厚みは、できるだけ、薄く設定した方が、磁石12の能力を最大限に発揮させることができ、捕捉率を向上させることができることが確認された。
(4.実験例C)
また、シリカ等の非磁性粒子中に混入して存在している磁性金属異物も捕捉できるか否かを確認するため、以下の実験例を設定した。具体的には、上記の実験例B1、B2における約1gのSUS304粉末(100メッシュ)の代わりに約300gのシリカ(電気化学工業株式会社製、溶融球状シリカ(平均粒径29.3μm))をアセトン中に分散させたものを用いて、実験例C1、C2とし、実験例B1、B2と同じ樋の厚みで、シリカ中に混入して存在している磁性金属異物の捕捉を試みた。なお、上記の実験例B1とB2の結果から、樋の厚みが厚いものの方が、磁性金属異物の捕捉率が低下することが予測されたため、1回目は所定の条件で磁性金属異物を捕捉させたのち、2回目はいずれも樋18の厚みを70μmとして再処理を行った。顕微鏡観察により確認できるシリカの内部に混入して存在している45μm以上の磁性金属異物の個数をカウントしたところ、次の表3に示す結果となった。
Figure 0004760781
この表3からも解るように、SUS304粉末の場合と同様に、樋18の厚みが薄い実験例C1の方が、傾斜角度が樋18の厚みが厚い実験例C2よりも、捕捉個数が多いことが解る。このことから、やはり、樋18の厚みが薄い方が、磁石12の磁力を最大限に発揮させて、捕捉金属を樋18に確実に止まり易くしていることが確認された。
本発明は、樹脂材料その他の種々の被処理物について、特に、磁性金属から成る異物の捕捉に広く適用することができる。
本発明の捕捉装置により本発明の捕捉方法を実施する状態の概略斜視図である。 本発明の捕捉装置により本発明の捕捉方法を実施する状態の概略側面図である。 本発明に使用される超音波振動手段により非磁性粒子のみを分離除去する状態の概略側面図である。 本発明に使用される樋の正面図である。
1 被処理物
2 磁性金属異物
3 非磁性粒子
10 捕捉装置
12 磁石
14 流路部材
15 配管
16 供給手段
18 樋
18a 流路面
18b 側壁
20 溝部
22 磁石収納部
24 流量調整手段
26 ポンプ
27 廃液回収容器
28 超音波振動付与手段

Claims (29)

  1. 被処理物を溶液状として、磁石直上に設置された流路部材に流し、前記磁石の磁力により前記被処理物中に含まれる磁性金属異物を前記流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉方法において、前記流路部材として前記磁石の表面形状に沿った形状を有する樋を使用し、前記樋及び前記磁石を傾斜して配置して、前記樋に前記溶液状の被処理物を流し込み、前記溶液状の被処理物が前記樋に形成され前記溶液状の被処理物の全てを前記磁石の表面上部を通過させる溝部を通過することにより前記樋の溝部において前記磁石の磁力により前記磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  2. 被処理物を溶液状として、磁石直上に設置された流路部材に流し、前記磁石の磁力により前記被処理物中に含まれる磁性金属異物を前記流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉方法において、前記流路部材として前記磁石の表面形状に沿った形状を有し、流路面が磁石と密着する形状を有する樋を使用し、前記樋及び前記磁石を傾斜して配置して、前記樋に前記溶液状の被処理物を流し込み、前記溶液状の被処理物が、前記樋において2つの側壁を前記流路面の頂面よりも下方から突出させることにより前記流路面と前記側壁との境界部に形成される溝部を通過することにより前記樋の溝部において前記磁石の磁力により前記磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記樋の少なくとも流路面を100μm以下の厚みに形成することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記樋を非磁性材料から形成することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  5. 請求項4に記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記樋を形成する前記非磁性材料として銅を使用することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記溝部は、前記樋において前記被処理物の進行方向に延びるように形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記溶液状の被処理物の前記樋へ供給する流量を定量に調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記溶液状の被処理物の前記樋へ供給する流量を前記樋の溝部における流れの厚みが2mm以下となるように調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  9. 請求項6又は請求項8のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、ポンプにより前記溶液状の被処理物の前記樋へ供給する流量を調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記溶液状の被処理物の溶液濃度を一定に調整することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、複数の前記磁石を、異極同士を相対向させることにより連結させて配置することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記磁石及び前記樋の傾斜角度を40°以下に設定することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記溶液状の被処理物を複数回にわたり前記樋に流し込むことを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法であって、前記磁性金属異物を前記樋上に捕捉した後、前記磁石により前記樋上に前記磁性金属異物を捕捉したまま、前記樋及び前記磁石に超音波振動を付与することを特徴とする磁性金属異物の捕捉方法。
  15. 磁石と、前記磁石の直上に設置され溶液状の被処理物が流し込まれる流路部材とを備え、前記磁石の磁力により前記被処理物中に含まれる磁性金属異物を前記流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉装置において、前記流路部材は、前記磁石の表面形状に沿った形状を有する樋から成り、前記樋は前記溶液状の被処理物の全てを前記磁石の表面上部を通過させる溝部を有し、前記樋及び前記磁石は傾斜して配置され、前記磁石は、前記樋の溝部において前記溶液状の被処理物から前記磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  16. 磁石と、前記磁石の直上に設置され溶液状の被処理物が流し込まれる流路部材とを備え、前記磁石の磁力により前記被処理物中に含まれる磁性金属異物を前記流路部材上に捕捉する磁性金属異物の捕捉装置において、前記流路部材は、前記磁石の表面形状に沿った形状を有し、流路面が磁石と密着する形状を有する樋から成り、前記樋は前記溶液状の被処理物が通過する溝部を有し、前記溝部は前記樋において2つの側壁を前記流路面の頂面よりも下方から突出させることにより前記流路面と前記側壁との境界部に形成され、前記樋及び前記磁石は傾斜して配置され、前記磁石は、前記樋の溝部において前記溶液状の被処理物から前記磁性金属異物を捕捉することを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  17. 請求項15又は請求項16に記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記樋は、少なくとも流路面が100μm以下の厚みに形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  18. 請求項15乃至請求項17のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記樋は、非磁性材料から形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  19. 請求項18に記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記樋を形成する前記非磁性材料は、銅であることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  20. 請求項15至請求項19のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記溝部は、前記樋において前記被処理物の進行方向に延びるように形成されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  21. 請求項15乃至請求項20のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記樋は、前記磁石を保持する磁石収納部を有し、前記磁石は、前記磁石収納部内に着脱自在に設置されることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  22. 請求項15乃至請求項21のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記溶液状の被処理物の前記樋へ供給する流量を定量に調整する流量調整手段を備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  23. 請求項15乃至請求項22のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記溶液状の被処理物の前記樋へ供給する流量を前記樋の溝部における流れの厚みが2mm以下となるように調整する流量調整手段を備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  24. 請求項22又は請求項23のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記流量調整手段が、ポンプであることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  25. 請求項15乃至請求項24のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、複数の前記磁石が、異極同士を相対向させることにより連結させて配置されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  26. 請求項15乃至請求項25のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記磁石及び前記樋の傾斜角度は40°以下に設定されていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  27. 請求項15乃至請求項26のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉装置であって、前記磁性金属異物を前記樋上に捕捉した後、前記磁石により前記樋上に前記磁性金属異物を捕捉したまま、前記樋及び前記磁石に超音波振動を付与する超音波振動手段を更に備えていることを特徴とする磁性金属異物の捕捉装置。
  28. 請求項1乃至請求項14のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法により、被処理物中に含まれる磁性金属異物を捕捉して、前記捕捉された磁性金属異物を分析する被処理物の検査方法であって、前記被処理物が半導体封止用樹脂組成物であり、前記半導体封止用樹脂組成物の製品検査として前記半導体封止用樹脂組成物に含有される前記磁性金属異物を捕捉、分析することを特徴とする被処理物の検査方法。
  29. 請求項1乃至請求項14のいずれかに記載された磁性金属異物の捕捉方法により、被処理物中に含まれる磁性金属異物を捕捉して、前記捕捉された磁性金属異物を分析する被処理物の検査方法であって、前記被処理物が半導体封止用樹脂組成物の原材料であり、前記半導体封止用樹脂組成物の製造前に前記原材料の受け入れ検査として前記半導体封止用樹脂組成物の原材料に含有される前記磁性金属異物を捕捉、分析することを特徴とする被処理物の検査方法。
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