JPS6127105B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、被処理液に含有する磁性微小浮遊
物を磁界の作用により分離する磁気分離装置に関
するものである。

一般に、磁性体に作用する吸着力は、磁界の強
さと磁気勾配との積に比例する。従来における磁
気分離装置は、磁石により磁界を起生して磁性微
小浮遊物を吸着・分離する磁気勾配の低い低磁気
勾配形分離装置と、磁界中に曲率半径の小さい表
面をもつ強磁性体を導入して、この強磁性体の近
傍に高度な磁気勾配を起生し、磁性微小浮遊物を
強力に吸着・分離する高磁気勾配形分離装置とに
大別することができる。

すなわち、低磁気勾配形分離装置には、第１図
に示す円板回転形式あるいは第２図に示す円筒回
転形式等がある。第１図の円板回転式磁気分離装
置は磁性微小浮遊物を収集する容器Ｖに軸支して
回転する円板Ｐの側面に永久磁石Ｍを多数埋設
し、供給口Ｉから流入する被処理液に含有する磁
性微小浮遊物が磁石Ｍに吸着されて回転し、円板
の他端部に設けた収集板Ｓに達した際、磁石Ｍに
吸着した浮遊物を収集板Ｓにより除去し、浮遊物
を分離した処理済みの液体を排出口Ｏから排出す
るよう構成されている。

さらに、第２図に示す円筒回転式磁気分離装置
は、浮遊物を収集する容器Ｖ上に、断面の一部
（約1/4）を切除した円筒形永久磁石Ｎを固着する
と共に、この磁石Ｎと同心的に磁石Ｎの外周上を
回転する非磁性円筒Ｑを容器Ｖに枢着する。供給
口Ｉから流入する被処理液中に含有する磁性微小
浮遊物が磁石Ｎの作用により円筒Ｑの円周表面に
吸着されて回転し、磁石Ｎの切除部分に対応する
位置に設けた収集板Ｓに達した際、吸着した浮遊
物を収集板Ｓにより除去して処理済みの液体を排
出口Ｏから排出するよう構成されている。

上述のように、これらの低磁気勾配形分離装置
は、浮遊物を除去することは比較的容易である
が、磁気勾配が低く強力な吸着性能がないため、
所望の処理能力を付与するには装置が大型になる
という欠点があつた。

また、高磁気勾配形分離装置には、第３図に示
すフイルタ形式、または第４図に示す円筒回転形
式等がある。第３図に示すフイルタ式高磁気勾配
形分離装置は、フイルタ容器Ｒの外面にコイルＣ
を巻回して容器Ｒ内に磁界を起生すると共に、容
器Ｒ内に強磁性小球または細線からなる分離媒体
Ｂを充填して磁気フイルタを構成し、容器内に起
生した高度な磁気勾配により供給口Ｉから流入す
る被処理液に含有する磁性微小浮遊物を充填した
分離媒体Ｂに吸着して分離し、処理済みの液体を
排出口Ｏから排出する。分離媒体Ｂに吸着した微
小浮遊物は、この装置の稼動を間歇的に中断して
洗滌水を逆方向に流して洗滌する。第４図に示し
た円筒回転式高磁気勾配形分離装置は、第２図に
示した円筒回転式低磁気勾配形分離装置と構造は
殆ど等しいが、円筒Ｑの外周表面に強磁性小球Ｂ
からなる分離媒体を保持部材により保持し、この
小球Ｂの表面に高度な磁気勾配を起生して強力に
浮遊物を吸着し、吸着した浮遊物は噴射ノズルＤ
から洗滌水を噴射して除去するよう構成されてい
る。これらの高磁気勾配形分離装置は強力な分離
性能を具えるが、強磁性分離媒体に吸着した浮遊
物は洗滌水の噴射により除去する必要があり、磁
性微小浮遊物の含有率が高い場合は、洗滌水を再
び処理する必要を生ずるという欠点があつた。

そこで、発明者等は鋭意研究並びに工夫を重ね
た結果、強磁性の分離媒体を閉ループを形成して
連続的に循環させ、この閉ループの第１段階にお
いて磁界の作用する被処理液の通路内を通過させ
て被処理液に含有する磁性微小浮遊物を分離媒体
に吸着すると共に、閉ループ第２段階において被
処理液の通路から分離媒体を外部に搬出し、これ
に吸着した浮遊物を洗滌水によらず乾式処理によ
り除去し、さらに浮遊物を除去して浄化した分離
媒体を回収して再び被処理液の通路内に送出し、
浮遊物を吸着するよう閉ループを循環させること
により、磁性微小浮遊物を強力に、しかも乾式処
理により連続的に分離することができ、前記の問
題点を一挙に解決できることを突き止めた。

従つて、本発明の目的は、簡単な構成で被処理
液に含有する磁性微小浮遊物を強力に、かつ連続
的に、しかも洗滌水を使用することなく乾式処理
により分離して、分離した浮遊物を容易に処理す
ることができる磁気分離装置を提供するにある。

この目的を達成するため、本発明においては、
被処理液流路の下流側端部に曲率半径の小さな表
面を有する磁性材料からなる分離媒体を上流側へ
間歇的に連続送出する分離媒体送出機構を設け、
前記分離媒体送出機構の長さ方向の所定範囲内に
磁界を作用させる多極励磁装置を設け、前記分離
媒体送出機構の上流側端部に消磁手段を備えた回
転ドラムを設けて分離媒体を前記ドラムの円周表
面に誘導しかつ送出機構の外部に搬出するよう構
成し、さらに消磁された分離媒体の付着物を加熱
処理と機械的分離処理などの乾式処理により除去
する手段を設けて分離媒体を分離媒体送出機構に
循環させるよう構成することを特徴とする。

次に、本発明に係る磁気分離装置の実施例につ
き、添付図面を参照しながら以下詳細に説明す
る。

第５図に示す実施例において、分離媒体として
直径の小さな鋼球１０を使用し、被処理液中に含
有する磁性微小浮遊物を、鋼球１０に吸着する吸
着手段１２と、吸着した微小浮遊物を鋼球１０か
ら除去し、浄化された鋼球１０を吸着手段１２に
搬送・回収する除去手段１４とから構成されてい
る。

吸着手段１２は次のように構成される。すなわ
ち、非磁性材料からなる傾斜した樋１６を配置
し、その上端部に被処理液を供給する供給口１８
を設け、下端部の水平個所に処理済みの液体を排
出する排出口２０を設ける。供給口１８と排出口
２０との間の樋１６の下面に密着して多極励磁装
置２２を装着し、かつ樋１６の下端部に鋼球タン
ク２４から鋼球１０を１列づつ間歇的に樋１６内
に送出するプランジヤ２６付電動式鋼球送出機構
２８を装着して、多極励磁装置２２の作用範囲内
に送出された鋼球１０の表面に高勾配磁界を起生
して浮遊物を吸着するよう構成する。プランジヤ
２６は鋼球を押出すときはゆつくり、引くときは
急速に動作することが望ましい。

また、除去手段１４は次のように構成される。
すなわち、鋼球１０の進行方向に常時回転して樋
１６の上流側端部に到達した鋼球１０を汚染鋼球
槽３０に誘導する非磁性ドラム３２を樋１６の上
端部に枢着し、このドラム３２の下端部表面に接
して清掃板３４を装着し、ドラム３２表面に付着
した浮遊物を掻落してこれを浮遊物容器３６に導
入させる。ドラム３２の内部に交流電磁石３８を
ドラム３２と遊離して装着し、浮遊物を吸着して
ドラム３２の表面に到達した磁化された鋼球１０
を消磁する。さらに、汚染鋼球槽３０内の鋼球１
０を搬出するコンベヤ４０を設け、このコンベア
４０により汚染鋼球槽３０から搬送された鋼球１
０に加熱処理と篩等を使用する機械的分離とから
なる乾式分離処理を施して付着した、浮遊物を鋼
球１０から除去する浮遊物除去装置４２、並びに
この浮遊物除去装置４２により除去された浮遊物
を収集する浮遊物容器４４を設ける。浮遊物除去
装置４２と鋼球タンク２４との間には鋼球回収用
のコンベア４６を敷設し、コンベア４６−鋼球タ
ンク２４−樋１６−ドラム３２−コンベヤ４０−
浮遊物除去装置４２の閉ループを形成して鋼球１
０を循環させる。

次に、このように構成される磁気分離装置の動
作について説明する。本装置の始動に際し、先ず
電動式鋼球送出機構２８を作動して鋼球クンク２
４内の鋼球１０を樋１６内に送出し、多極励磁装
置２２の作用範囲内に鋼球１０を連続的に配列し
て、多極励磁装置２２の起生した磁界により鋼球
１０の表面に高度な磁気勾配を形成する。被処理
液を供給口１８から供給すると、被処理液が樋１
６の底部を流下する間に被処理液中に含有する磁
性微小浮遊物は高勾配磁界の作用を受けて鋼球１
０の表面に吸着され、浮遊物を分離した処理済み
の被処理液が樋１６の下端部に設けた排出口２０
から排出される。この際、鋼球１０の列は、鋼球
送出機構２８のプランジヤ２６の往復動作により
鋼球の１個分づつ上方に移動し、磁化して表面に
浮遊物を吸着した鋼球１０は非磁性ドラム３２の
円周表面に載置され、ドラム３２の回転により鋼
球１０が交流電磁石３８により起生した交番磁界
中を通過中に消磁されて汚染鋼球槽３０内に落下
する。ドラム３２の表面に付着した浮遊物は清掃
板３４により収集されて浮遊物容器３６内に落下
する。汚染鋼球槽３０内の鋼球１０は、コンベヤ
４０により浮遊物除去装置４２に搬送され、この
浮遊物除去装置４２内において、鋼球１０は加熱
処理と篩等を使用する機械的分離とからなる乾式
分離処理を施して付着した浮遊物を鋼球１０から
分離し、分離した浮遊物は容器４４内に収集され
る。微小浮遊物を分離して浄化した鋼球１０はコ
ンベヤ４６により鋼球タンク２４に回収され、吸
着手段１２における浮遊物の吸着に繰返し使用さ
れる。

上述の浮遊物分離動作において、鋼球列の移動
速度は被処理液中に含有する浮遊物の含有率に応
じて調整可能とすることが好ましく、かつ非磁性
ドラム３２の周速も鋼球列の移動速度に応じて調
整可能とすることが好ましい。

さらに、ドラム３２の表面から容器３４内に収
集した被処理液を含浸した浮遊物を浮遊物除去装
置４２に搬送して乾燥した後処理することができ
る。

さらに、１台の本分離装置のみでは分離精度が
不充分な場合は、この装置を多段階に設置して分
離精度を増加することができる。

本発明装置によれば、被処理液に含有する磁性
微小浮遊物を強力にかつ連続的に、しかも洗滌水
を使用することなく乾式処理により分離して分離
された微小浮遊物を容易に処理することができ、
分離性能の向上並びに分離された浮遊物の処理の
省力化に寄与する効果が極めて大きい。

以上、本発明の好適な実施例について説明した
が、本発明の精神を逸脱しない範囲内において
種々の改良並びに変更を施すことができることは
勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の円板回転式低磁気勾配形磁気分
離装置の構成を示す側面図、第２図は従来の円筒
回転式低磁気勾配形磁気分離装置の構成を示す側
面図、第３図は従来のフイルタ式高磁気勾配形磁
気分離装置の構成を示す一部断面図、第４図は従
来の円筒回転式高磁気勾配形磁気分離装置の構成
を示す側面図、第５図は本発明に係る磁気分離装
置の構成を示す説明図である。 １０……鋼球、１２……吸着手段、１４……除
去手段、１６……樋、１８……供給口、２０……
排出口、２２……多極励磁装置、２４……鋼球タ
ンク、２６……プランジヤ、２８……電動式鋼球
送出機構、３０……汚染鋼球槽、３２……非磁性
ドラム、３４……清掃板、３６……浮遊物容器、
２８……交流電磁石、４０……コンベヤ、４２…
…浮遊物除去装置、４４……浮遊物容器、４６…
…コンベヤ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 被処理液流路の下流側端部に曲率半径の小さ
   な表面を有する磁性材料からなる分離媒体を上流
   側へ間歇的に連続送出する分離媒体送出機構を設
   け、前記分離媒体送出機構の長さ方向の所定範囲
   内に磁界を作用させる多極励磁装置を設け、前記
   分離媒体送出機構の上流側端部に消磁手段を備え
   た回転ドラムを設けて分離媒体を前記ドラムの円
   周表面に誘導しかつ送出機構の外部に搬出するよ
   う構成し、さらに消磁された分離媒体の付着物を
   加熱処理と機械的分離処理などの乾式処理により
   除去する手段を設けて分離媒体を分離媒体送出機
   構に循環させるよう構成することを特徴とする磁
   気分離装置。