以下、図面を参照して本発明の熱交換型換気装置の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の熱交換型換気装置の構成例>
図1は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す分解斜視図、図2は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す平面断面図である。また、図3は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す正面図、図4は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す背面図である。更に、図5は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す正面上方から見た斜視図、図6は本実施の形態の熱交換型換気装置1の構成の一例を示す背面下方から見た斜視図である。
本実施の形態の熱交換型換気装置1は、屋外の空気を室内に給気する給気ファン2と、室内の空気を屋外へ排気する排気ファン3と、給気ファン2で吸い込んだ屋外の空気と排気ファン3で吸い込んだ室内の空気の間で熱交換を行う熱交換素子4を備え、外気を室内の温度に近づけて給気を行いながら換気を行う。
熱交換型換気装置1は、給気ファン2、排気ファン3及び熱交換素子4等が取り付けられる本体ケース5と、本体ケース5の正面に取り付けられるフロントパネル6を備える。
熱交換型換気装置1は、部屋の壁51に形成した開口部52に本体ケース5を埋め込み、フロントパネル6を壁51から部屋側へ露出させた形態で壁51に取り付けられる。
図7は本実施の形態の熱交換型換気装置1の取付形態を示す壁部の断面図である。熱交換型換気装置1は、図7(a)に示すように、本体ケース5を単体で壁51に取り付ける形態と、図7(b)に示すように、本体ケース5をスペーサ部材7を介して壁51に取り付ける形態を選択可能で、スペーサ部材7の取り付けの有無で、壁51と外壁53aの間の隙間の寸法の違いに対応する。
本体ケース5は本体部を構成し、図1乃至図3等に示すように正面の左右両側に取付フランジ部8を備える。取付フランジ部8は本体取付部を構成し、本体ケース5の側面から突出して形成され、複数の本体取付穴9とガイド穴10を備える。
図8は本実施の形態の熱交換型換気装置1の取付形態を示す取付部分の要部断面図である。図8(a)に示すように、本体ケース5を直接壁51に取り付ける取付形態では、取付フランジ部8の本体取付穴9を使用して、ネジ11aにより本体ケース5が壁51の開口部52に固定される。
また、図8(b)に示すように、本体ケース5をスペーサ部材7を介して壁51に取り付ける取付形態では、取付フランジ部8の本体取付穴9を使用して、ネジ11bによりスペーサ部材7が取付フランジ部8に固定される。
ガイド穴10は、スペーサ部材7を介して本体ケース5を壁51に固定する際に、スペーサ部材7を壁51に固定するネジ11aの頭部が通る直径を有する。
締結部材であるネジ11aは取付部材を構成し、本体ケース5を直接壁51に取り付ける取付形態では、本体ケース5を壁51に締結固定する。また、本体ケース5をスペーサ部材7を介して壁51に取り付ける取付形態では、スペーサ部材7を壁51に締結固定する。
スペーサ部材7は取付スペーサ部を構成し、図1に示すように本体ケース5が嵌る開口部7aを有して、本体ケース5の周囲四側面の一部を覆う形状である。スペーサ部材7の正面側の外形は、フロントパネル6の外形と略同形に構成される。また、スペーサ部材7は、外周に段差部7bが形成され、段差部7bより後側は、フロントパネル6の外形より若干小さな外形で構成される。
スペーサ部材7は、正面側にフランジ受け部12を備え、フランジ受け部12にネジ穴13を備える。また、スペーサ部材7は背面側にスペーサ取付穴14を備える。
ネジ穴13は固定部を構成し、本体ケース5の取付フランジ部8の本体取付穴9に対応した箇所に形成される。スペーサ取付穴14は、取付フランジ部8のガイド穴10に対応した箇所に形成され、ケース本体5にスペーサ部材7を嵌めると、取付フランジ部8のガイド穴10までつながるガイド筒部14aを備える。ガイド筒部14aはガイド部を構成し、スペーサ部材7を壁51に固定するネジ11aの頭部が通る直径を有する。
フロントパネル6は、本体ケース5の取付フランジ部8に嵌る形状を有し、上面側に吹出口15と吸込口16を備える。室内吹出口を構成する吹出口15と室内吸込口を構成する吸込口16はそれぞれ例えばスリット状で、横方向に並んで形成される。
給気ファン2及び排気ファン3はシロッコファンと称される多翼ファンで、図2に示すように、給気ファン2は、ファンモータ18に回転駆動される多翼の羽根車19と、風路を形成する給気ファンケース20を備える。また、排気ファン3は、ファンモータ18に回転駆動される多翼の羽根車21と、風路を形成する排気ファンケース22を備える。
ファンモータ18は両軸のモータで、軸が水平な向きで前後に突出しており、前方の軸に排気ファン3の羽根車21が取り付けられると共に、後方の軸に給気ファン2の羽根車19が取り付けられる。これにより、給気ファン2と排気ファン3は、排気ファン3を正面側として前後に並べて配置される。
給気ファンケース20は、羽根車19の軸方向で本体ケース5の背面側に給気ファン吸込口20aを備えると共に、羽根車19の接線方向に給気ファン吹出口20bを備える。給気ファン吸込口20aは、本体ケース5の背面に形成した開口部と連通し、屋外吸込口を構成する。
排気ファンケース22は、羽根車21の軸方向で本体ケース5の正面側に排気ファン吸込口22aを備えると共に、羽根車21の接線方向に排気ファン吹出口22bを備える。
排気ファン吸込口22aは、フロントパネル6の吸込口16と連通する。ここで、フロントパネル6の内側において、吸込口16と吹出口15の間は図示しない仕切りによって仕切られており、装置内において吸込口16と吹出口15の間で空気の流れは発生しない。
給気ファン吹出口20b及び排気ファン吹出口22bは、給気ファン2及び排気ファン3の側方に形成され、熱交換素子4が取り付けられる風路形成室23と連通する。給気ファン吹出口20b及び排気ファン吹出口22bは、排気ファン吹出口22bが給気ファン吹出口20bより上側でかつ正面側に形成される。
熱交換素子4は、熱伝導性を有する材質で形成され、給気風路4aが並列して形成された熱交換素子材4cと、排気風路4bが並列して形成された熱交換素子材4dとを、給気風路4aと排気風路4bが直交する向きとして交互に積層して直方体状に構成したものである。各給気風路4aと各排気風路4bは、熱交換素子材の隔壁で遮蔽されており、給気風路4aと排気風路4bの間では空気は流れず、熱が伝導する。
熱交換素子4は、給気風路4aと連通する一の面が給気流入部24aとなり、給気流入部24aと直交し、排気風路4bと連通する面が排気流入部25aとなる。また、給気流入部24aと対向し、給気風路4aと連通する面が給気流出部24bとなり、排気流入部25aと対向し、排気風路4bと連通する面が排気流出部25bとなる。
熱交換素子4は、各流入部及び流出部を正面から見て45度に傾斜させた向きで、かつ、給気流入部24aが下側に位置して給気ファン2の給気ファン吹出口20bと対向し、排気流入部25aが上側に位置して排気ファン3の排気ファン吹出口22bと対向する向きで、各角部がガイド部材26で支持されて、風路形成室23に取り付けられる。
風路形成室23は、ガイド部材26に熱交換素子4が取り付けられると、熱交換素子4により仕切られて風路が形成される。すなわち、風路形成室23は、熱交換素子4が取り付けられると、給気ファン吹出口20bと連通した給気フィルタ取付風路27が、熱交換素子4の給気流入部24aと対向する本体ケース5の下部に形成される。
また、風路形成室23は、熱交換素子4の給気風路4aを介して給気フィルタ取付風路27と連通した給気口連通風路28が、熱交換素子4の給気流出部24bと対向する本体ケース5の上部に形成される。
更に、風路形成室23は、排気ファン吹出口22bと連通した排気フィルタ取付風路29が、熱交換素子4の排気流入部25aと対向する本体ケース5の上部に形成される。
また、風路形成室23は、熱交換素子4の排気風路4bを介して排気フィルタ取付風路29と連通した排気口連通風路30が、熱交換素子4の排気流出部25bと対向する本体ケース5の下部に形成される。
上下方向に隣り合う給気フィルタ取付風路27と排気フィルタ取付風路29は、熱交換素子4及びガイド部材26で遮蔽される。同様に、上下方向に隣り合う給気口連通風路28と排気口連通風路30は、熱交換素子4及びガイド部材26で遮蔽される。また、左右方向に隣り合う給気フィルタ取付風路27と排気口連通風路30、及び、排気フィルタ取付風路29と給気口連通風路28は、熱交換素子4及びガイド部材26で遮蔽される。
給気口連通風路28は、正面側がフロントパネル6の吹出口15と連通する。これに対して、給気フィルタ取付風路27、排気フィルタ取付風路29及び排気口連通風路30の正面側は、図示しないカバーで塞がれており、吹出口15と連通しない。また、給気フィルタ取付風路27、給気口連通風路28及び排気フィルタ取付風路29の背面側は、本体ケース5で塞がれている。
排気口連通風路30は、本体ケース5の背面側に排気口31を備える。本体ケース5の背面側において、外気を吸い込む給気ファン吸込口20aと、室内の空気を吹き出す排気口31は、独立して形成される。
排気口31は、排気口連通風路30が熱交換素子4の排気流出部25bと対向する本体ケース5の下部に形成されるため、本体ケース5の背面の下部に形成される。
また、排気口連通風路30は、底面にドレンパン32を備える。ドレンパン32は、排気口31方向へ徐々に下がるように傾斜しており、排気口31と連通した排水口32aから、ドレンパン32で集めた水を屋外へ排水する。なお、ドレンパン32は着脱できる構成として、掃除が行えるようにしても良い。
<フィルタの構成例>
熱交換型換気装置1は、給気フィルタ取付風路27に給気フィルタ33を備えると共に、排気フィルタ取付風路29に排気フィルタ34を備える。
図9は給気フィルタ33の一例を示す構成図であり、図9(a)は側面図、図9(b)は斜視図である。給気フィルタ33は、フィルタ部35と、フィルタ部35を支持する枠体36と、枠体36と一体に形成された虫取皿部37を備える。
フィルタ部35は、フィルタ素材を蛇腹状にして形成され、折り目が例えば横向きとなるように枠体36に取り付けられる。枠体36は、図3等に示す熱交換素子4の給気流入部24aの傾斜に合わせて、フィルタ部35を傾斜させて支持する。
給気フィルタ33は、フィルタ部35を熱交換素子4の給気流入部24aの傾斜に合わせて斜めに配置することで、フィルタ部35の面積を、熱交換素子4の給気流入部24aとほぼ同じとすることができる。
虫取皿部37は異物受け部を構成し、傾斜したフィルタ部35の下部に形成される。虫取皿部37は、一方の端部は枠体36の下端とつながり、他方の端部は、フィルタ部35の上端の水平方向の位置と略同等の位置まで略水平方向に延びている。また、虫取皿部37の幅は、フィルタ部35の幅と略同等である。これにより、虫取皿部37は、フィルタ部35の下部全体を覆う大きさを有する。
虫取皿部37と枠体36は、幅方向の両側がサイドガイド38により一体となり、虫取皿部37の幅方向の両側がサイドガイド38で覆われる。また、虫取皿部37の他方の端部は、斜め方向に立ち上がるフラップ部39が形成される。なお、フラップ部39は、虫取皿部37に落ちた虫等の落下を防ぐと共に、風の流れを妨げないように角度等が設定されている。
給気フィルタ33は枠体36の側部に把手40が形成され、給気フィルタ33の交換時は、把手40を把持して給気フィルタ33の着脱が行われる。
図3等に示す排気フィルタ34は、給気フィルタ33のフィルタ部35と同等のフィルタが、四角形状の枠体に取り付けられて構成され、虫取皿部等を備えず平板状である。
給気フィルタ33は、給気フィルタ取付風路27に形成した給気フィルタガイド部材41にガイドされて、給気フィルタ取付風路27に着脱自在に取り付けられる。給気フィルタ33は、図9に示すフィルタ部35が、図3に示すように熱交換素子4の給気流入部24aと対向し、虫取皿部37が給気フィルタ取付風路27の下面に配置される向きで、給気フィルタガイド部材41に支持される。
給気フィルタガイド部材41は、給気フィルタ33を熱交換素子4の延在方向に沿ってスライド移動できるように支持しており、給気フィルタ33は、熱交換素子4の延在方向に沿ってスライド移動させて、給気フィルタ取付風路27に対して着脱される。
排気フィルタ34は、排気フィルタ取付風路29に形成した排気フィルタガイド部材42にガイドされて、排気フィルタ取付風路29に着脱自在に取り付けられる。
排気フィルタ34は、熱交換素子4の排気流入部25aと対向する向きで、排気フィルタガイド部材42に支持される。排気フィルタガイド部材42は、排気フィルタ34を熱交換素子4の延在方向に沿ってスライド移動できるように支持しており、排気フィルタ34は、熱交換素子4の延在方向に沿ってスライド移動させて、排気フィルタ取付風路29に対して着脱される。
<シャッタの構成例>
熱交換型換気装置1は、図4に示すように、本体ケース5の背面側の給気ファン吸込口20aを開閉自在に遮蔽する給気口シャッタ43を備えると共に、排気口31を開閉自在に遮蔽する排気口シャッタ44を備える。
図10はシャッタの構成の一例を示す背面図で、本体ケース5の背面側の内部構成を示す。ここで、図10(a)はシャッタを開けた状態を示し、図10(b)はシャッタを閉じた状態を示す。
給気口シャッタ43は、給気ファン吸込口20aを遮蔽するシャッタ部45と、シャッタ部45の移動をガイドするガイド部46と、排気口シャッタ44へ駆動力を伝達するラック部47と、シャッタ部45を移動させる把手部48が例えば一体に形成される。
シャッタ部45は、給気ファン吸込口20aの形状に合わせて例えば円形で、給気ファン吸込口20aを塞ぐ大きさを有する。ガイド部46は、本体ケース5に備えた図示しないガイドレールにガイドされて、給気口シャッタ43の全体を左右方向に移動可能に支持する。ラック部47は、給気口シャッタ43の移動方向に沿って延在する。
把手部48は、本体ケース5の背面側に位置する給気口シャッタ43を、フロントパネル6側で操作するため、図6に示すように本体ケース5の正面に向けて延在している。把手部48の先端は、フロントパネル6の下部に露出しており、装置正面側での操作が可能である。なお、把手部48を露出させず、フロントパネル6を取り外してから操作するようにしても良い。
排気口シャッタ44は、排気口31を遮蔽するシャッタ部49と、給気口シャッタ43から駆動力を受けてシャッタ部49を移動させるギア部50が例えば一体に形成される。
シャッタ部49は、排気口31の形状に合わせて例えば半円形で、排気口31を塞ぐ大きさを有する。ギア部50は、給気口シャッタ43のラック部47と噛み合う円弧状の平ギアが、本体ケース5に備えた軸50aを支点に回転できるように構成され、ギア部50が回転すると、シャッタ部49は軸50aを支点とした回転動作を行う。
<熱交換型換気装置の設置例>
図11は熱交換型換気装置1が設置された建物の一例を示す構成図で、次に、本実施の形態の熱交換型換気装置1の設置例について説明する。
熱交換型換気装置1は、建物60の居室等の部屋61の壁51に設置される。熱交換型換気装置1を設置する壁51は、屋外に面している壁面であり、天井へのダクトの設置等を行わず、外気の取り入れ及び室内の空気の排気が行える構成である。なお、熱交換型換気装置1は、自機が設置された部屋61の換気を行う能力を有する。
<熱交換型換気装置の取付例>
次に、本実施の形態の熱交換型換気装置1を壁51に取り付ける動作について説明する。熱交換型換気装置1は、図7に示すように、壁51に開口部52を形成して、本体ケース5を壁51に埋め込んだ形態で取り付けられる。
ここで、壁51と外壁53a及び通気層を構成する板材53bとの間の隙間の寸法は、部屋の様式等によって異なっており、洋間では深く、和室では浅くなっている。例えば部屋が洋間の場合は、図7(a)に示す壁51と外壁53aの間の寸法L1は180mm程度で、部屋が和室の場合は、図7(b)に示す壁51と外壁53aの間の寸法L2は130mm程度である。
熱交換型換気装置1は、壁51と外壁53aの間の寸法が深い場合は、本体ケース5を直接壁51に取り付ける。これに対して、壁51と外壁53aの間の寸法が浅い場合は、本体ケース5をスペーサ部材7を介して壁51に取り付ける。
まず、本体ケース5を直接壁51に取り付ける取付形態について図7(a)及び図8(a)等を参照して説明すると、壁51に、本体ケース5の大きさに合わせた開口部52を形成する。開口部52は、本体ケース5が嵌り、かつ本体ケース5の取付フランジ部8が突き当たる大きさを有する。
また、外壁53に、給気ファン吸込口20aに取り付けられる給気ダクト54が通る穴部と、排気口31に取り付けられる排気ダクト55が通る穴部を開ける。
次に、本体ケース5を壁51の開口部52に嵌め、取付フランジ部8の本体取付穴9にネジ11aを通して、ネジ11aを壁51に締め付けることで、本体ケース5を取付フランジ部8を介してネジ11aで壁51に固定する。
そして、フロントパネル6を本体ケース5に装着する。また、給気ダクト54及び排気ダクト55に屋外フード56を装着する。壁51と外壁53の間の寸法が深い場合は、本体ケース5を壁51に直接取り付ける取付形態とすることで、本体ケース5の全体が壁51の内部に埋め込まれ、フロントパネル6が壁51から部屋側に露出した形態となる。これにより、壁51からの突出量が少なく抑えられ、熱交換型換気装置1を目立たない状態で設置できる。
次に、本体ケース5をスペーサ部材7を介して壁51に取り付ける取付形態について図7(b)及び図8(b)等を参照して説明する。すなわち、壁51と外壁53aの間の寸法が浅い場合は、本体ケース5の全体を壁51の内部に埋め込むことができない。そこで、スペーサ部材7を使用して、本体ケース5を壁51から浮かして取り付ける。
なお、スペーサ部材7を介した本体ケース5の取り付けに際して、壁51に開口部52等を形成する工程は、本体ケース5を直接取り付ける形態と同じである。
まず、本体ケース5にスペーサ部材7を取り付けるため、スペーサ部材7の開口部7aに本体ケース5を嵌めて、本体ケース5の取付フランジ部8を、スペーサ部材7のフランジ受け部12に突き当てる。
次に、取付フランジ部8の本体取付穴9にネジ11bを通して、ネジ11bをスペーサ部材7のネジ穴13に締め付けることで、本体ケース5の取付フランジ部8の裏側に、ネジ11bでスペーサ部材7を固定する。
次に、スペーサ部材7を取り付けた本体ケース5を、壁51の開口部52に嵌め、取付フランジ部8のガイド穴10から、スペーサ部材7のスペーサ取付穴14にネジ11aを通して、ネジ11aを壁51に締め付けることで、本体ケース5をスペーサ部材7を介してネジ11aで壁51に固定する。
そして、フロントパネル6を本体ケース5に装着する。また、給気ダクト54及び排気ダクト55に屋外フード56を装着する。
ここで、スペーサ部材7のスペーサ取付穴14は、取付フランジ部8のガイド穴10までつながるガイド筒部14aを備える。これにより、スペーサ部材7の背面側に位置するスペーサ取付穴14に、取付フランジ部8のガイド穴10からネジ11aを挿入する際に、ネジ11aの落下を防ぎ、容易にネジ11aを挿入することができる。
壁51と外壁53aの間の寸法が浅い場合は、本体ケース5の全体を壁51の内部に埋め込むことができないので、スペーサ部材7を介して本体ケース5を壁51に取り付ける取付形態とすることで、本体ケース5をスペーサ部材7の厚さに応じて壁51から浮かせる。これにより、本体ケース5の背面側の一部が壁51の内部に埋め込まれ、フロントパネル6及びスペーサ部材7が壁51から部屋側に露出した形態となる。
従って、壁51と外壁53aの間の寸法が浅く、本体ケース5の全体を壁51の内部に埋め込むことができない場合でも、本体ケース5を露出させることはなく、外観性を損なわずに熱交換型換気装置1を設置できる。
そして、壁51と外壁53aの間の寸法の違いを、スペーサ部材7の取り付けの有無で対応できるので、1種類の装置で対応可能となり、コストを抑えることができると共に、取付方法も同様であるので、施工性を向上させることができる。
また、スペーサ部材7の外形を、フロントパネル6の外形より若干小さくすることで、スペーサ部材7を介して壁51に取り付けられた熱交換型換気装置1を見たときに、熱交換型換気装置1の側面に影が形成される等によって、視覚的に目立たなくする効果を得ることができる。
<熱交換型換気装置の動作例>
次に、上述したように壁51に取り付けられた熱交換型換気装置1の動作について各図を参照して説明する。なお、換気動作中は、給気口シャッタ43は給気ファン吸込口20aを開放し、排気口シャッタ44は排気口31を開放している。
熱交換型換気装置1は、図示しない操作部での操作を受けてファンモータ18が回転駆動されると、給気ファン2の羽根車19と排気ファン3の羽根車21が回転する。
給気ファン2の羽根車19が回転すると、本体ケース5の背面側の給気ファン吸込口20aから、給気ダクト54を介して屋外の空気(外気OA)が吸い込まれる。給気ファン吸込口20aから吸い込まれた外気は、給気ファンケース20を通り、給気ファン吹出口20bから給気フィルタ取付風路27に吹き出す。
給気フィルタ取付風路27に吹き出した外気は、給気フィルタ33を通り、熱交換素子4の給気流入部24aから給気風路4aを通って、給気流出部24bから給気口連通風路28に吹き出す。
そして、給気口連通風路28に吹き出した外気は、フロントパネル6の吹出口15から室内に給気SAとして吹き出す。
排気ファン3の羽根車21が回転すると、フロントパネル6の吸込口16を介して、室内の空気RAが排気ファン吸込口22aから吸い込まれる。排気ファン吸込口22aから吸い込まれた室内の空気は、排気ファンケース22を通り、排気ファン吹出口22bから排気フィルタ取付風路29に吹き出す。
排気フィルタ取付風路29に吹き出した室内の空気は、排気フィルタ34を通り、熱交換素子4の排気流入部25aから排気風路4bを通って、排気流出部25bから排気口連通風路30に吹き出す。
そして、排気口連通風路30に吹き出した室内の空気は、本体ケース5の背面側の排気口31から、排気ダクト55を介して屋外へ排気EAとして排出される。
さて、空気調和された室内の空気は、夏季は外気より温度が低く、冬季は外気より温度が高い。熱交換素子4では、給気風路4aを通る外気と排気風路4bを通る室内の空気の間で熱交換を行うことで、夏季は、温度の高い外気と冷却された室内の空気の間で熱交換が行われ、外気の温度が下げられる。また、冬季は、温度の低い外気と暖房された室内の空気の間で熱交換が行われ、外気の温度が上げられる。
これにより、熱交換型換気装置1では、外気を室内の温度に近づけて給気を行いながら、室内の換気を行うことができる。そして、熱交換型換気装置1が設置された図11に示す部屋61に対して、所定換気回数を満たす風量を備えることで、部屋61の24時間換気が行われる。なお、熱交換素子4としては、温度と湿度の両方を交換できる全熱交換素子でも良い。
夏季等に熱交換型換気装置1を使用すると、給気ファン2によって吸い込んだ外気中に虫等の異物が入り込んでいる場合がある。熱交換型換気装置1では、外気中の異物は給気フィルタ33で捕獲して、熱交換素子4の給気風路4aに入り込まないようにしている。
給気フィルタ33で捕獲した異物は、フィルタ部35に付着した状態となると目詰まりを起こすので、フィルタ部35を傾けて配置することで、フィルタ部35で付着した異物を下に落とす。
上述したように、熱交換素子4は、各流入部及び流出部を正面から見て45度に傾斜させた向きで、かつ、給気流入部24aを下側に位置させているので、給気フィルタ33は、図9に示す空気の流れEに対してフィルタ部35を下向きに傾斜させて、熱交換素子4の給気流入部24aの入口に配置することができる。
これにより、給気フィルタ33では、フィルタ部35に付着した異物を下に落とすことができ、フィルタ部35の短期間での目詰まりの発生を防ぎ、風路抵抗を減らして効率を上げることができる。
給気フィルタ33は、傾斜したフィルタ部35の下側に虫取皿部37を備えており、フィルタ部35から落ちた異物は、虫取皿部37で集められ、給気フィルタ取付風路27内に直接落ちることはない。
また、虫取皿部37は、異物等の落下を防ぐために備えたフラップ部39で、フィルタ部35に空気が流れるような風路を形成することで、風路抵抗を減らして効率を上げることができる。
ここで、排気フィルタ34は、室内の空気が通るので、虫等の異物の付着は少ない。よって、給気フィルタ33のように、付着した異物を除去するための構成等は特に必要ではない。
なお、熱交換型換気装置1の長期の使用により、給気フィルタ33及び排気フィルタ34は埃等で目詰りすることがあるので、定期的な交換が必要である。本例の熱交換型換気装置1では、給気フィルタ33は、給気フィルタガイド部材41によって熱交換素子4の延在方向に沿って前後方向にスライド移動できるように支持されている。
これにより、給気フィルタ33は、熱交換素子4の延在方向に沿って前後にスライド移動させることで、本体ケース5の正面側から着脱が行われる。
給気フィルタ33は、虫取皿部37が一体となって引き出され、かつ、虫取皿部37はサイドガイド38及びフラップ部39により周囲が高くなっているので、引出し時に異物が外に落下することを防いでいる。
また、排気フィルタ34は、排気フィルタガイド部材42によって熱交換素子4の延在方向に沿って前後方向にスライド移動できるように支持されている。これにより、排気フィルタ34は、熱交換素子4の延在方向に沿って前後にスライド移動させることで、本体ケース5の正面側から着脱が行われる。従って、各流入部及び流出部を正面から見て45度に傾斜させた向きとした熱交換素子4に対して、上側に位置させた排気流入部25aの入口に、排気フィルタ34を着脱自在に配置することができる。
このように、本体ケース5の正面側から、給気フィルタ33と排気フィルタ34を着脱できるようにすることで、図7等に示すように、本体ケース5を壁51に埋め込む取付形態としても、給気フィルタ33及び排気フィルタ34を交換できる構成とすることができる。
冬季等に熱交換型換気装置1を使用すると、外気と室内の空気の温度差により熱交換素子4で結露が発生することがある。すなわち、熱交換素子4の排気風路4bを通る室内の空気が、給気風路4aを通る外気で冷やされることで、主に排気風路4bで結露が発生する。
本例の熱交換型換気装置1では、熱交換素子4を45度に傾斜させた向きとしてあり、給気風路4a及び排気風路4bが傾斜している。これにより、排気風路4bで発生した結露水は、排気風路4bの傾斜によって、排気口連通風路30方向へ流れる。
排気口連通風路30には、ドレンパン32を備えており、熱交換素子4の排気風路4bで発生した結露水はドレンパン32で集められる。そして、ドレンパン32で集められた結露水は、ドレンパン32の傾斜によって排気口31から排気ダクト55を介して屋外へ排水される。
本例の熱交換型換気装置1では、各流入部及び流出部を正面から見て45度に傾斜させた向きとした熱交換素子4に対して、上側に位置させた排気流入部25aの入口に、排気フィルタ34を着脱自在に配置している。
これにより、排気フィルタ34を配置しない熱交換素子4の排気流出部25bを下側に位置させて、排気流出部25bと連通した排気口連通風路30を本体ケース5の下側に配置することができる。このように、排気フィルタ34を上側に配置したことで、熱交換素子4で発生した結露水をドレンパン32で集めることができる。そして、排気口連通風路30と連通した排気口31を介して、結露水を屋外に排水することができる。
<シャッタの動作例>
熱交換型換気装置1では、雨や風等が強いときは、運転を停止してシャッタを閉じ、風雨の侵入を防ぐ。
図10(b)にシャッタを閉じた状態を示す。給気口シャッタ43のシャッタ部45が給気ファン吸込口20aを塞ぐ位置にあると、給気口シャッタ43のラック部47とギア部50が噛み合う排気口シャッタ44は、シャッタ部49が排気口31を塞ぐ位置となる。
シャッタを開ける場合は、装置正面側で把手部48を矢印OP1方向に移動させる。把手部48を矢印OP1方向に移動させると、給気口シャッタ43の全体が矢印OP1方向に移動することで、シャッタ部45が矢印OP1方向に移動して給気ファン吸込口20aを開く。
また、給気口シャッタ43が矢印OP1方向に移動すると、ラック部47とギア部50の噛み合いによって、排気口シャッタ44は軸50aを支点に矢印OP2方向に回転する。これにより、シャッタ部49が矢印OP2方向に回転して排気口31を開く。
ここで、給気口シャッタ43のシャッタ部45と、排気口シャッタ44のシャッタ部49の移動方向は互いが近づく方向であり、給気口シャッタ43と排気口シャッタ44を連動させて開くと、図10(a)に示すように、シャッタ部45とシャッタ部49は、給気ファン吸込口20aと排気口31の間に形成された退避部5aに重なった状態で収納される。
シャッタを閉じる場合は、図10(a)に示す状態から、装置正面側で把手部48を矢印CL1方向に移動させる。把手部48を矢印CL1方向に移動させると、給気口シャッタ43の全体が矢印CL1方向に移動することで、退避部5aからシャッタ部45が矢印CL1方向に移動して給気ファン吸込口20aを閉じる。
また、給気口シャッタ43が矢印CL1方向に移動すると、ラック部47とギア部50の噛み合いによって、排気口シャッタ44は軸50aを支点に矢印CL2方向に回転する。これにより、シャッタ部49が退避部5aから矢印CL2方向に回転して排気口31を閉じる。
本例の熱交換型換気装置1は、壁51に埋め込んだ形態で取り付けられるので、本体ケース5の背面側に配置される給気口シャッタ43及び排気口シャッタ44を、装置正面側で開閉できる機構が必要となる。そこで、スライド移動させる給気口シャッタ34に、フロントパネル6まで延びる把手部48を備えることで、装置正面側での操作を可能とする。
また、給気口シャッタ43に備えたラック部37と、排気口シャッタ44に備えたギア部50の組み合わせで、給気口シャッタ43の動作を排気口シャッタ44に伝達するので、給気口シャッタ43と排気口シャッタ44の開閉を、給気口シャッタ43と排気口シャッタ44の2部品で行うことができる。
これにより、構造が簡単となり、過負荷の発生等を抑えて、装置正面側に延ばした把手部48の操作で、装置背面側の給気口シャッタ43及び排気口シャッタ44を円滑に動作させることができる。
更に、給気口シャッタ43と排気口シャッタ44を開放したときは、双方のシャッタ部45とシャッタ部49を、給気ファン吸込口20aと排気口31の間に形成された退避部5aに重なった状態で収納するので、収納スペースを少なくして、小型化を図ることができる。
1・・・熱交換型換気装置、2・・・給気ファン、3・・・排気ファン、4・・・熱交換素子、4a・・・給気風路、4b・・・排気風路、5・・・本体ケース、6・・・フロントパネル、7・・・スペーサ部材、7a・・・開口部、7b・・・段差部、8・・・取付フランジ部、9・・・本体取付穴、10・・・ガイド穴、11a・・・ネジ、11b・・・ネジ、12・・・フランジ受け部、13・・・ネジ穴、14・・・スペーサ取付穴、14a・・・ガイド筒部、15・・・吹出口、16・・・吸込口、18・・・ファンモータ、19・・・羽根車、20・・・給気ファンケース、20a・・・給気ファン吸込口、20b・・・給気ファン吹出口、21・・・羽根車、22・・・排気ファンケース、22a・・・排気ファン吸込口、22b・・・排気ファン吹出口、23・・・風路形成室、24a・・・給気流入部、24b・・・給気流出部、25a・・・排気流入部、25b・・・排気流出部、26・・・ガイド部材、27・・・給気フィルタ取付風路、28・・・給気口連通風路、29・・・排気フィルタ取付風路、30・・・排気口連通風路、31・・・排気口、32・・・ドレンパン、33・・・給気フィルタ、34・・・排気フィルタ、35・・・フィルタ部、36・・・枠体、37・・・虫取皿部、38・・・サイドガイド、39・・・フラップ部、40・・・把手、41・・・給気フィルタガイド部材、42・・・排気フィルタガイド部材、43・・・給気口シャッタ、44・・・排気口シャッタ、45・・・シャッタ部、46・・・ガイド部、47・・・ラック部、48・・・把手部、49・・・シャッタ部、50・・・ギア部、51・・・壁、52・・・開口部、53a・・・外壁