JP4759780B2 - 低屈折率組成物、低屈折率膜、光学多層膜および反射防止膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は低屈折率組成物に関するもので、ガラスやプラスチックなどの透明基材などに塗工して、反射防止膜、選択透過,あるいは吸収膜などの光学多層膜およびそれを形成可能な低屈折率組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラスやプラスチックなどの基材に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着法あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止膜などの光干渉による光学多層膜を形成する方法が知られている。しかし、このようなドライコーティングプロセスでは装置が高価で、成膜速度が遅く、生産性が高くないなどの課題を有している。
【0003】
これに対して金属アルコキシドなどを出発組成とし、基材に塗工して光学多層膜を形成する方法が知られており、高屈折率材料としてはTiやZrなどのアルコキシドを用いる方法が、低屈折率材料としてはSi系アルコキシドあるいはSiアルコキシドの一部をエポキシ基やアルキル基など他の有機置換基に置き換えた有機ケイ素化合物いわゆるシランカップリング剤などを用いる方法が提案されている。
【0004】
しかしこれらの塗膜では、乾燥重合に高温、長時間を必要とするため生産性に問題がある。またある程度の低い屈折率を得ることはできるが、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度が不十分であり、光学多層膜は最外層に使用されるため、強度が不十分では実用に耐えることができないといった欠点を有している。
【0005】
これらを改善するために、ケイ素アルコキシドを出発物質としたシリカゾルと反応性有機ケイ素化合物(シランカップリング剤や末端に反応基を有するジメチルシリコーンなど)との複合材料などが提案されている(特開平9−220791など)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのSiO2 系複合膜組成物も十分な物性を得ようとすると加熱に長時間を要するもので、アクリロイル基などの重合性不飽和基を含有する有機ケイ素化合物も記載されているが、いずれもアクリロイル基が1個乃至は2個の単官能あるいは2官能性の化合物であり光(EB)重合しても高い架橋密度が得られない、硬度や耐擦傷性などの物理的強度を向上させようとすると上記複合膜成分中にシリカ成分以外の成分、例えはアクリル系化合物を複合し該アクリル成分比率を高くする必要がある。そうなると光学特性を決定するSi系などのアルコキシドを出発組成とするシリカ成分の体積比が抑制され低屈折率化をはかることができないという欠点を有し、低屈折率化と硬度や耐擦傷性、密着性などの物理的強度特性が両立できる組成物は見出されていない。
【0007】
そこで、本発明は、低い屈折率を有しかつ物理的的強度にも優れ、安価で、生産性に優れた組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を達成すべく検討した結果、シリカゾル粒子とジペンタエリストリールヘキサアクリレート(DPHA)などに代表される多官能アクリル化合物を主成分とする組成物において、組成物中に特定粒径のシリカゾル粒子(50〜100nm)を20%以上含有させることで、組成物被膜にナノポーラス構造を呈させ、該ナノポーラス化により見掛けの屈折率を低下させることができることを見出した。
【0009】
さらに、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどに代表される一般式(A)R’x Si(OR)4-x (R:アルキル基、R’:末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基、xは0<x<4の置換数、)で表せる有機ケイ素化合物を加えることで、ナノポーラス構造でもある程度の強度が発現できることをを見出した。
【0010】
本発明のハイブリッド系組成物は、粒子とシランカップリング剤とアクリル系バインダーを用いており、ハードコート組成物としては公知の技術の組合せではあるが、粒径の制御でナノポーラス構造にして、なおかつ特定組成の材料を用いて有機無機ハイブリッド膜を形成したり、シリカ粒子を特定材料、および特定比率にて表面修飾することで、低屈折率組成物の光学薄膜として、最適な材料設計条件を見出すに至り、強度と低屈折率化の両立可能な本発明の低屈折率組成物を提供するものである。
【0011】
更に本発明を請求項に即して説明すると、請求項1の発明は、平均粒径が5〜100nmのシリカゾル粒子と分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基の重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物とを主成分とする組成物自身が低屈折率成分として機能する低屈折率組成物において、該組成物中におけるシリカゾル粒子含有量が30〜80%で、なかでも粒径50〜100nmのシリカゾル粒子が20%以上含有されており、前記低屈折率組成物中にさらにR’ x Si(OR) 4−x (R:アルキル基、R’:末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基の重合可能な不飽和結合を有する官能基、xは0<x<4の置換数、)、およびその加水分解物が含まれ、前記低屈折率組成物を形成するR’ x Si(OR) 4−x がCH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 (R:アルキル基、xは0<x<4の置換数、nはn<5の整数)であって、シリカゾル粒子にあらかじめ修飾されてなり、且つ、修飾粒子に対して比率が、粒子/CH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 のモル比で1/0.04〜1/0.25(重量換算で90/10〜60/40wt%相当)であることを特徴とする低屈折率組成物を提供するものである。
【0012】
請求項2の発明は、前記低屈折率組成物においてアクリル系化合物が3官能以上のアクリルモノマーで、平均分子量が200〜1000であることを特徴とする請求項1記載の低屈折率組成物を提供するものである。
【0013】
請求項3の発明は、前記CH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 が粒子修飾する際に、pトルエンスルホン酸のスルホン酸触媒下で反応させてなるものであることを特徴とする請求項1記載の低屈折率組成物を提供するものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3何れか記載の低屈折率組成物が重合して組成物被膜がナノポーラス構造を呈していることを特徴とする低屈折率膜を提供するものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4記載の低屈折率膜を基材上に高屈折率膜および必要に応じて他の屈折率膜とともに備えている事を特徴とする光学多層膜を提供するものである。
【0016】
請求項6の発明は、光学多層膜が反射防止機能を有するものである請求項5記載の反射防止膜を提供するものである。
【0020】
本発明によれば、シリカゾル粒子と末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を複数個有する多官能アクリル化合物を主成分とすることで、塗膜形成後にUVあるいはEB照射により塗膜中のアクリロイル基などの重合可能な不飽和結合基の光(EB)重合による架橋のにより硬化するものであり、該組成物中のシリカの粒子径およびバインダーである多官能アクリルの比率を制御することで、ナノポーラス構造を呈させ、見掛け屈折率を低下させるものである。
【0021】
組成物自身が低屈折率成分として機能するものではあるが、ナノポーラス化により材料自身の屈折率(シリカの屈折率1.45程度アクリル成分の屈折率1.50程度)では到達できないほどの低屈折率化(1.40以下)をはかることができるものである。
【0022】
物理的強さは通常アクリル基などの導入量によって決定されるものであり、これらのアクリル基成分は通常シリカ成分などに比べると屈折率的にはやや高く、アクリル成分が増加すると強度は高いが屈折率が低くできなくなってしまうが、本発明の組成物は特定の多官能アクリル化合物を用いることで、少ないバインダー比でも強度を発現させるものある。
【0023】
なかでも、アクリル化合物を分子量が大きなプレポリマーではなく、DPHAなどの3官能以上の多官能アクリルモノマー用いることで、より均質で架橋密度の高いハイブリッド膜を形成することができる。
【0024】
さらにアクリロイル基を含有した有機ケイ素化合物による複合化(粒子修飾化)で、より被膜の架橋密度を向上させることができる分子レベルで均一なハイブリッド構造を呈しているのので、シリカゾルなどの低屈折率化成分の体積比が大きく、ナノポーラス構造を呈していても充分な強度を発揮できるもので、硬度が高く耐擦傷性性も良好で、従来の低屈折率組成物の欠点を大幅に改善することができ、低屈折率化と高強度化の両立可能な組成物を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0026】
本発明の組成物は、シリカゾル粒子と末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を複数個有する多官能アクリル化合物を主成分とし、さらにアクリロイル基含有の有機ケイ素化合物などが含まれる有機無機ハイブリッド組成物からなるものてあり、これを基材に塗工し、加熱乾燥し、被膜を形成した後、UVなどの光照射を施すことで低屈折率組成物被膜を形成可能とするものであり、該組成物中のシリカの粒子径などを制御することで、ナノポーラス構造を呈させ、見掛け屈折率を低下させるものである。
【0027】
低屈折率組成物中に含まれる各成分について以下に詳述する。
本発明において用いられる、シリカゾルとは平均粒径が5〜100nmの粒子径のシリカ粒子が溶媒中に分散されたもので、ケイ酸ナトリムなどのケイ酸アルカリからイオン交換等でアルカリを除去したり、酸で中和したりする方法で得られるシリカゾルであって、水性でも、有機溶剤置換された有機溶媒系シリカゾルでも特に限定されないが、アクリルモノマーとの相溶性、プラスティック基材への塗工適性などから有機溶媒系のものが望ましい。
【0028】
5nm以下は製造が困難であり、100nm以上では光の散乱のため透明性が損なわれる。
【0029】
ナノポーラス構造とするためには粒子とバインダーとの比率が重要であり、本発明の低屈折率組成物被膜中の全シリカ粒子成分が30〜80wt%さらに好適には40〜70wt%含有されていることがが望ましく、30wt%以下では所望の屈折率が得られにくく、80%以上では十分な強度を発現できなくなる。なかでも粒径が50〜100nmである大粒子径成分が20wt%以上、さらに好適には30%以上含有されることで、良好なナノポーラス構造とすることができるものであって、20%以下では効果が少ない。
【0030】
多官能アクリル化合物とは、その分子中にビニル基、アクリロイル基やメタクルロイル基など重合可能なの不飽和結合を少なくとも3個以上有するものであって、例えばDPHAなどのアクリルモノマー類と、これらのモノマーの変性体、および誘導体、などが使用できる。
【0031】
なかでもDPHA、PETA、あるいはPETAとHDIなどのジイソシアネートとの反応生成であるプレポリマーなど多官能アクリルモノマー類およびその変性体などで、平均分子量200〜1000のものであれば、シリカゾルとの相溶性も良く、被膜形成時に相分離することなく、架橋密度の高い、均質で透明なハイブリッド被膜が形成できる。
アクリロイル基含有有機ケイ素化合物とはR’x Si(OR)4-x (R:アルキル基、R’:末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基、xは0<x<4の置換数、)で表せる有機ケイ素化合物(以下一般式Aと称す)であって、ビニルトリメトキシチタン、メタクリロキシトリイソプロポキシチタネート、メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシジルコネートなどが例示される。
【0032】
なかでも(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどに代表されるCH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 (R:アルキル基、xは0<x<4の置換数、nはn<5の整数)で表せるアクリロイル基含ケイ素化合物(以下一般式Bと称す)が好適である。
【0033】
これらの有機金属ケイ素化合物は組成物中にp−トルエンスルホン酸などの有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、またあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し加水分解反応させたものを用いることもできる。
【0034】
その際に、有機ケイ素化合物の加水分解物が、該有機ケイ素化合物の全アルコキシル基を加水分解させるのに必要な水の量よりも1/8〜7/8の量の水で部分加水分解されたものであるとすることで安定な組成物を得ることができ、余分な水を残すことなく特別な分離精製せずに用いることができる。
【0035】
上記の調整は、アクリル化合物と余分な水との副反応を抑制したり、ケイ素化合物の加水分解率をコントロールして、ケイ素化合物ポリマーの成長を抑制したり、相溶性を高めることで、相分離を抑制し均質で分子架橋密度が高く、分子レベルのハイブリッド膜を形成至らしめるものである。
【0036】
これらのハイブリッド系組成物の組み合わせは、一般に公知ではあるが、本発明の組成物は単なる組み合わせではなく、マトリックスであるコート組成物の無機のネットワークと無機フィラーとの相溶性、親和性が高く、単に有機樹脂中に分散するより、より良い分散状態、フィラーとマトリックスとの密着性が高い被膜が得られる材料系で、通常の添加効果よりも高い効果が得られるものであり、特にこれらのアクリロイル基含有ケイ素化合物の添加の際に、シリカゾル粒子と一般式Aの有機ケイ素化合物を別の系にて混合反応させ、あらかじめ粒子表面に修飾させると、バインダー成分となるアクリル化合物の量を抑制しても十分な強度を得られるなどの効果が大きくなりナノポーラス構造の本発明の組成物には好適である。
【0037】
表面修飾の方法は、塩酸、有機酸の存在下で両者を混合し、有機金属のアルコキシド基と粒子表面のOH基とを反応させることで容易に処理されるものであり、特別に分離精製することなく、そのまま他の成分を添加してコーティング組成物を調整することができる。
【0038】
なかでもアクリロイル基含有ケイ素化合物を粒子修飾する際に、アルコールやケトン系などの有機溶媒中でpトルエンスルホン酸などのスルホン酸触媒下で反応させるのが修飾効率が良好で溶媒中への水の混入を防止することができ好適である。
【0039】
さらにシリカゾル粒子とアクリロイル基含有ケイ素化合物との比率をシリカゾル粒子/アクリロイル基含有ケイ素化合物のモル比が1/0.04〜1/0.25(重量換算で90/10〜60/40wt%相当)とすることでナノポーラス構造と強度の両立することができ好適である。
【0040】
本発明における、ナノポーラス構造とは、光の散乱の影響を受けないほどの微細な空隙を意味するもので、空隙の形態は閉じられたもの、開かれたものでも特に限定されるものではない。
【0041】
該空隙は物理的にはある大きさを有するものであるが微細かつ不定形の場合が多く、電子顕微鏡などでは直接観察されないことも多い。その場合には光学的な手法で屈折率を測定すると、多成分系における加成性から逸脱する現象が観察されることでナノポーラス構造と推定した。
【0042】
例えば屈折率1.45のシリカ粒子と屈折率1.52のアクリルバインダーを用いた場合、通常50/50vol%の混合物ではほぼ中間的屈折率である1.47〜1.49の間になることが観察される。本発明のようなナノポーラス構造の場合はこれよりも小さくなり、見掛け屈折率が1.45以下、粒径によっては1.35以下と大きく加成性から逸脱する現象が見られる。
【0043】
これらの現象は被膜がナノポーラス構造を呈していること、すなわち微細な空隙が存在することで見掛けの屈折率が低下したためと推測されるもので、本発明の低屈折率組成物もこの屈折率測定手法によりバインダー比率を変えた組成物の屈折率を測定することで、ナノポーラス構造を呈しているとして定義したもので、ポーラス構造の形態や、その組成物被膜の膜厚方向の分布(例えば表面方向に傾斜構造を有するなど)など特にに限定されるものではない。
【0044】
UV照射による硬化を行う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であり、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤、アセトフェノン、2、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤など特に限定されるものではない。
【0045】
上述した各成分をいくつか組み合わせてコーティング組成物に加えることができ、さらに、物性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0046】
コーティング組成物の塗布方法には、通常用いられる、ディッピング法、ロールコティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。
被膜の厚さは目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
【0047】
本発明の低屈折率組成物は、ガラスやプラスチックフィルムなど特に限定されるものではなく、さらに必要に応じて各種ハードコート剤、低屈折率材料、セラミック蒸着膜と積層することが可能で、また本発明の組成比を変えて積層することも可能である。
【0048】
本発明のコーティング組成物を具体的な実施例をあげて説明する。
【0049】
【実施例】
表面にUV硬化樹脂HC層(5μm)を設けた80μm厚のTACフィルムを基材として、下記組成の材料を各成分の固形分が表1に示す割合になるように組み合わせて調液してコーティング組成物を作成、UV硬化の開始剤としてアセトフェノン系開始剤を重合成分に対して2%添加した。
【0050】
バーコーターにより塗布し、乾燥機で100℃−1min乾燥し、高圧水銀灯により1,000mJ/cm2 の紫外線を照射して硬化させ、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をして低屈折率被膜を形成し、各種試験用の試験体を得た。
【0051】
本発明の実施例として実施例1〜3に示す配合で、比較例1として粒径の小さいものだけを用いた系、また、比較例2としてのバインダー成分として多官能アクリルモノマーを用いてない系の試験体を合わせて作成し、下記評価方法にて評価した。
表1に結果を示す。
【0052】
<コーティング組成物の各成分>
(a)平均粒径10〜15nmのシリカゾル/MEK溶媒
(b)平均粒径50〜70nmのシリカゾル/MEK溶媒
(c)平均粒径50〜70nmのシリカゾルにモル比で1/0.08(重量比で約80/20)(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシランを今後し触媒としてpトルエンスルホン酸をアクリルシランに対して重量比で1%添加し室温で3時間攪拌し反応させ修飾させた複合ゾル。
(d)DPHAのMEK希釈溶液。
(e)OH価130、平均分子量10000、Tg88℃の市販アクリルポリオール樹脂の溶液(酢酸ブチル、酢酸エチル混合溶剤)
【0053】
<評価試験>
(1)光学特性
分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定し、反射率値か被膜の屈折率を見積もった。
(2)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて塗膜の残存数にて評価した。
(3)鉛筆硬度
塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき値試験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した 。
(4)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、250g/cm2 の荷重で往復5回擦傷試験を実施、目視による傷の外観を検査した。
評価は、傷なし◎、かるく傷あり○、かなり傷つく△、著しく傷つく×の4段階とした。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、本発明の実施例は屈折率が1.40と低くなおかつ密着性、硬度、耐擦傷性など強度面にも優れるが、比較例1の比粒径の小さいものだけを用いた系ではかなり70%とシリカ成分をかなり多くしても、屈折率が1.46と低くならずに低屈折率化がはかれない。また、比較例2のバインダー成分として多官能アクリルモノマーを用いてない系では粒径の大きなものを用いたため、屈折率が1.4と所望のものが得られたが強度面で特性が劣っていることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の低屈折率組成物は、シリカゾル粒子ととアクリル基含有ケイ素化合物ならびに多官能アクリルモノマーを有し、無機と有機化合物の分子レベルのハイブリッド構造を呈した被膜を形成できるものであり、ナノポーラス構造による低屈折率という光学特性と物理的強度特性とを兼備した被膜を形成することができるものである。
【0057】
すなわち、ディスプレイの反射防止膜などの基材の最外層に形成され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられる被膜を形成することができ、蒸着などと比べ装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度も10倍以上で生産性も高く、製造も容易である。
【0058】
また本発明の組成物の被膜は、光照射などで硬化するため、低温での塗工が可能なので、フィルムなどのを巻き取り塗工で作成することが可能で安価に、大量生産できるといった効果を奏する。
Claims (6)
- 平均粒径が5〜100nmのシリカゾル粒子と分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基の重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物とを主成分とする組成物自身が低屈折率成分として機能する低屈折率組成物において、
該組成物中におけるシリカゾル粒子含有量が30〜80%で、なかでも粒径50〜100nmのシリカゾル粒子が20%以上含有されており、
前記低屈折率組成物中にさらにR’ x Si(OR) 4−x (R:アルキル基、R’:末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基の重合可能な不飽和結合を有する官能基、xは0<x<4の置換数、)、およびその加水分解物が含まれ、
前記低屈折率組成物を形成するR’ x Si(OR) 4−x がCH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 (R:アルキル基、xは0<x<4の置換数、nはn<5の整数)であって、シリカゾル粒子にあらかじめ修飾されてなり、且つ、修飾粒子に対して比率が、粒子/CH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 のモル比で1/0.04〜1/0.25(重量換算で90/10〜60/40wt%相当)であることを特徴とする低屈折率組成物。 - 前記低屈折率組成物においてアクリル系化合物が3官能以上のアクリルモノマーで、平均分子量が200〜1000であることを特徴とする請求項1記載の低屈折率組成物。
- 前記CH 2 =CHCOO−(CH 2 ) n −Si(OR) 3 が粒子修飾する際に、pトルエンスルホン酸のスルホン酸触媒下で反応させてなるものであることを特徴とする請求項1記載の低屈折率組成物。
- 請求項1〜3何れか記載の低屈折率組成物が重合して組成物被膜がナノポーラス構造を呈していることを特徴とする低屈折率膜。
- 請求項4記載の低屈折率膜を基材上に高屈折率膜および必要に応じて他の屈折率膜とともに備えている事を特徴とする光学多層膜。
- 光学多層膜が反射防止機能を有するものである請求項5記載の反射防止膜。
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