JP4759203B2 - 食道括約筋のコンプライアンス測定装置 - Google Patents

食道括約筋のコンプライアンス測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は医療器具に関し、より詳しくは、食道機能の診断に使用するための、下食道括約筋(lower esophageal sphincter: LES)のコンプライアンスすなわち除去可能性(dispensability)を測定する方法および装置に関する。
【0002】
(背景技術)
食道内の圧力を測定するのに、バルーンカフを備えた食道/経鼻胃カテーテル(esophageal and nasogastric catheters)を用いることは当該分野において良く知られている。これらの器具は、肺の状態および心臓内および心臓の周囲の血圧を研究するのに全般的に使用されている。これらの目的では、食道の壁に作用する圧力を測定することが望まれている。従って、カテーテルを介して適当な圧力変換器に連結される弾性バルーンカフが、食道に押し付けられるようにして膨張され、診断の種々の目的で圧力抵抗の大きさが測定されかつ使用される。外方に拡大して食道の対象領域に接触しかつ該領域に一致できるようにするため、弾性バルーンが使用されている。
【0003】
医者はまた、胃食道移行部、より詳しくは食道と胃とを分離するリング状不随意筋である下食道括約筋(LES)の状態を試験する。LESは、食道の端部を遮断すべく閉位置に静止しておりかつ開状態にあるときは弛緩される。しかしながら、LESは、自力で開く自発的運動性(motility)をもっていないどころか、食道の抑制神経の興奮中の通常の生理学的機能により簡単に開いてしまう。これは、最も一般的には、LESが開くときのぜん動中に生じ、血液が食道から胃へと流れることができるようにする。神経が収縮すると、LESをその常閉位置に戻す。
【0004】
胃食道逆流症、狭窄症、アカラシア(弛緩不能症)、拡散食道痙縮、食道がんおよび嚥下(えんか)障害等の種々の食道疾患および障害の診断には、LESの研究がしばしば必要になる。これらの食道障害は、LESの自発的運動性、従ってLESの常時開閉能力に影響を与える。
【0005】
結合組織全身性疾患に関連する自発的運動性障害を含む食道の自発的運動性障害は、通常、マノメトリを用いて診断される。マノメトリを用いた診断は、およびぜん動の存在、伝播および活力を測定することにより、または休止時の音、弛緩のタイミングおよび完了、および外因性刺激に対する応答を測定して上下の食道括約筋の非ぜん動性収縮を測定することにより食道体の機能を評価できる。マノメトリの使用は、特に、より一般的な食道障害がバリウムX線写真または内視鏡評価の後に排除されている場合に必要とされ、また、抗逆流手術の前のぜん動機能の術前評価、および当該部位が胃食道移行部に位置する下食道括約筋(LES)のような機能的ランドマークに基いて定められる場合の器具の配置に必要である。
【0006】
マノメトリデータを得るため、医者は、一般に、LESが収縮および弛緩するときにLESにより加えられる圧力を測定する。これは、一般に、圧力変換器または他の圧力記録器具を備えたスリーブを患者のLESに挿入することによりおよび患者が飲み込んだときの圧力を測定することにより、マノメトリを用いて行われる。これらの収縮時圧力および弛緩時圧力は、健康なLESの既知の値(収縮時は約15〜30mmHg、弛緩時は約1〜5mmHg)と比較される。異常な圧力値をもつLESは、薬剤または手術により治療される。1つの問題は、食道の機能不全の有無とは無関係の嚥下障害が存在するにもかかわらず、測定したLESの圧力値が正常な場合があることである。この場合には、LES圧力を測定しても診断に有効な情報は得られない。マノメトリ測定の他の欠点は、確実な結果を得る上で重要な知識および正確な方法論を必要とする高度の技術的手順を要することである。従って、内視鏡またはX線写真を用いる診断手法よりも遥かに高度の生理学的研究が用いられる傾向にある。括約筋のコンプライアンスとは、括約筋に加えられた圧力に応答して括約筋が適正に緊縮および開放して、括約筋を通る液体または固形物の流れまたは移動を調節できる能力であるため、例えば、マノメトリ単独ではLESのコンプライアンス障害の診断には不充分である。例えば、LESの重要な機能は食道への胃酸の逆流を防止することである。胃酸の逆流は、不快感を引き起こすだけでなく、バレット食道として知られている潜在的に重大な状態を引き起こす可能性がある。LESコンプライアンスの度合いを決定できる能力は、下食道の周囲で胃底を包み込みかつ胃底を所定位置に縫合してLESの生体力学的機能を増大させることを含むニッセン(Nissen)の胃底皺襞形成術等の手術時に特に重要である。コンプライアンスの定量的測定により、包み込みが緩過ぎるか、きつ過ぎるかの表示が得られ、きつ過ぎる場合には飲込みを困難にするLES狭窄を引き起こす。LESコンプライアンスが術中に評価できるならば包み込みを調節でき、従ってこの問題を矯正する第二回目の手術の必要性をなくすことができる。容易にかつ信頼性をもって配置できる器具であって、生来のまたは修復されたLESまたは胃食道移行部のコンプライアンスを測定しかつ迅速評価を形成するため容易に解釈できる信頼性あるデータを得ることができる器具が要望されている。
【0007】
(発明の開示)
本発明の発明者は、或る医療上および手術上の状況では、LESの機能不全の診断において、LESにより加えられる圧力よりも、LESのコンプライアンス(すなわち除去可能性)の方が決定力があると判断している。LESにより加えられる圧力の簡単な測定では不充分である。なぜならば、機能不全のLESでは、異常なコンプライアンスであるにもかかわらず、LES筋肉の緊張(tone)のため、適正な圧力値となることが起こり得るからである。かくして、有効な診断を行うには、コンプライアンスを筋肉の緊張から隔絶する必要があり、これは、LESを弛緩させかつその直径を調節された態様で変化させて、LES直径を変化させるのに必要な圧力の変化を検出することによってのみ行うことができる。しかしながら、前述のように、LESは通常は収縮していて、極く短時間弛緩して、食道と胃との間の通過を可能にする。上記問題は、LESを弛緩状態に維持しかつLESのコンプライアンスを生体内測定する本発明の方法および装置により達成される。本発明によれば、LESは、バルーンのような第一拡大可能部材を用いてLESの上方の適当な位置で食道を拡大することにより弛緩される。バルーンは、食道を弛緩させかつ食道の自発的運動のきっかけを引き起こす作用(トリガ作用)をすべく膨張され、これにより、緊張の干渉を受けないようにしてLESにより与えられる抵抗の大きさを測定できる自然の飲込み応答がシミュレートされる。この結果、LESのコンプライアンスのより臨床的に関連深い測定である圧力読み値を得ることができる。
【0008】
LESのコンプライアンスを測定するため、非弾性すなわち非延伸性バルーン(すなわちバッグ)のような第二拡大可能部材がLES内に挿入されかつカテーテルを介して所定の空気体積増分で充填される。非弾性バルーンは、バルーン内に導入される空気の体積が製造時のバルーンの体積に少なくとも等しくなるまでは内部圧力が変化しないという点で、無限のしなやかさ(infinitely compliant)を有するといえる。バッグ内の圧力は、体積が変化する度毎に適当なゲージにより測定される。体積−圧力曲線および/またはデータ表が作られる。これらのデータは、次に、診断を行うための、確立されているコンプライアンス基準値と比較される。圧力は、非弾性バルーン(括約筋内バルーン)に連通する膨張ルーメン(管孔)を読むゲージすなわち圧力計等の測定器具により測定される。増大する空気体積を用いて食道バルーンを反復膨張させて、増大した生理学的応答を得ることにより、LESが適正に機能しているか否かの評価を可能にする体積−圧力曲線を、特定患者のために確立することができる。圧力を測定する他の方法は、マノメトリセンサに連通する括約筋内バルーン内のマノメトリ圧力(記録)ポートと、一般的にはコンプライアンス測定カテーテルの近位端に配置されかつ該近位端に連結される変換器とを使用する方法である。本発明の拡大可能部材は一般的にはバルーンであるが、拡大可能部材は、LES内の圧力読みを得るか、括約筋による正しい生理学的応答を引き出すために食道をシミュレートすべく外方に拡大する任意の構成(例えばバスケット)にすることができる。
【0009】
本発明の一態様では、第一および第二バルーンは、複数のルーメンを形成する外科用カテーテルのような細長部材に取り付けられる。第一および第二バルーンは、括約筋内バルーンがLES(または胃食道移行部)に配置され、一方、第一バルーンが食道に配置されるように、カテーテルに沿って配置される。カテーテルのルーメンは、適当な空気ポンプまたはシリンジのようなアクチュエータ機構または膨張手段、および標準圧力ゲージのような圧力測定装置に連通する。カテーテルのルーメンは、バッグおよびバルーンを充填しかつバッグ内圧力を測定するため、バッグおよびバルーン内のポートに適当に終端している。
【0010】
本発明の他の態様では、コンプライアンス・バルーンカテーテルは更に、しなやかな材料すなわち非弾性材料で作られた遠位側の胃バルーンを有している。この胃バルーンは胃内で膨張され、該胃バルーンがLESの下に当接するまで部分的に引き出されて、括約筋内バルーンをLES内に正しく位置決めする。
【0011】
本発明の他の態様では、コンプライアンス・バルーンカテーテルに沿う1つ以上の点に、胃腸管内に見られる圧力を読むためのマノメトリ圧力ポートが設けられている。この読み値と、食道および胃内の種々の点に生じる既知の圧力勾配値とを比較することにより、コンプライアンス・バルーンカテーテルは、或る精度をもって配置される。
【0012】
本発明の更に別の態様では、LES内でのコンプライアンス・バルーンカテーテルの配置および使用方法が提供され、本発明の方法では、装置は、内視鏡の使用の如何を問わず、鼻道または口から挿入される。胃バルーンを備えた一実施形態によれば、コンプライアンス・バルーンカテーテル(バルーンは収縮させておくのが好ましい)は、少なくとも遠位側部分(本願では、遠位側部分とは、括約筋内バルーンを越えて延びているカテーテルの部分であると定義する)が胃内に位置するように前進される。胃バルーンが膨張され、カテーテルは、胃バルーンが胃壁に当接してLESと接触するようになるまで部分的に引き出される。コンプライアンス・バルーンカテーテルのこの位置が維持されている間に、括約筋内バルーンが膨張されて、ベースラインLESコンプライアンスが決定される。次に食道バルーンが膨張される。このバルーンは、LESの上方の適当な位置で食道に外方の力を加え、これによりLESは、食道の自然の生理学的機能によって弛緩される。括約筋コンプライアンスを評価する体積−圧力関係を確立するため、増大する一連の空気体積により食道バルーンが膨張され、この結果、バルーンに作用する括約筋により加えられる圧力が、括約筋内バルーンの膨張ルーメンに取り付けられた圧力ゲージにより読み取られるか、括約筋内バルーンの膨張ルーメンとは別のカテーテルルーメンに取り付けられたマノメトリセンサおよび変換器により読み取られる。データは体積−圧力曲線のプロットに用いられ、曲線の傾斜はLESコンプライアンスの表示を与える。この結果は、次に、LESの状態の診断を行う基準のLESコンプライアンスと比較される。括約筋内バルーンにより最後に読み取られた後に、3つの全部のバルーンが収縮され、器具が患者から取り出される。括約筋内バルーンは、少なくとも部分的に収縮されるか、一連の膨張の間の現在の膨張体積に維持することもできる。
【0013】
括約筋内バルーンは、LES内にマノメトリ態様で配置することもできる。この場合、カテーテルには、バルーンの外部に配置されたポートに終端する付加ルーメンを設けることができる。これにより、食道内の種々の位置での圧力を測定し、バルーンをLES内に適正に配置するのに使用することが可能になる。マノメトリ測定値はまた、胃バルーンと組み合せて正しい位置の確認に使用することができる。
【0014】
かくして本発明は、弛緩したLESのコンプライアンスを生体内測定する手段を提供する。種々の膨張段階でのバッグ内の圧力を測定して、体積−圧力の関係を確立することができる。LESを前もって弛緩状態にすることにより、張力および筋肉の緊張が除去され、LESを筋肉からの拘束なくして拡大させることができる。これにより、LESのコンプライアンスを、筋肉の緊張とは無関係に測定できる。これにより、最終的に、食道の或る機能不全を診断するためのより有効な手段が提供される。
【0015】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の他の目的および長所は、以下の説明および添付図面から明らかになるであろう。
【0016】
本発明の実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。
図面を詳細に参照すると、本発明のLESコンプライアンス測定装置の全体が参照番号10で示されている。図1〜図6には、一連の装置10の実施形態が示されており、装置10は、第一端すなわち遠位端26および第二端すなわち近位端25を備えた一定長さのチューブ22を有するコンプライアンス・バルーンカテーテルのような括約筋コンプライアンス測定カテーテル12を有している。チューブ22の長さ方向に沿って、膨張バルーンのような第一拡大可能部材28が配置されており、該第一拡大可能部材28は、拡大して食道の壁に接触するように構成されている。更に、チューブ22の長さ方向に沿って、非弾性バルーンまたはバッグのような第二拡大可能部材30が設けられており、該第二拡大可能部材30はLESのコンプライアンスを測定する括約筋内に配置される。例示の実施形態の拡大可能部材28、30は膨張バルーンとして示されているが、当業者ならば、バスケットまたは同様な構造をもつ他の拡大可能部材を使用して、第一(食道)バルーン28および第二(括約筋内)バルーン30により与えられる機能を満たすことができることが明らかであろう。例えば、歪みゲージを備えたバスケットを、第二拡大可能部材30として機能させることができる。
【0017】
任意であるが、コンプライアンスを測定すべき括約筋内に第二バルーン30が適正に配置されるように装置10を正しく位置決めする手段を形成する、膨張バルーンのような第三拡大可能部材32を、コンプライアンス・バルーンカテーテル12の遠位側部分37に沿って配置できる。例示の実施形態では、第三(胃)バルーン32は、ひとたび膨張されると、該第三バルーン32がLESの下の胃壁に接触するまで、カテーテルを胃から優しく引き出すことができ、これにより、第一および第二バルーン28、30を正しく位置決めできる。別の構成として、第三拡大可能部材32は、例えば装置10に取り付けられるか、複数のルーメン(管孔)24のうちの1つを介して装置10から配給される可撓性ガイドワイヤ、ピグテールまたは傘型器具で構成できる。
【0018】
図1のコンプライアンス測定カテーテル12は、一連のバルーン28、30、32を選択的に膨張させかつLESにより加えられるコンプライアンス圧力を測定する、体積−圧力曲線の計算が可能な他の器具に連結できる。図1には、一定長さのチューブ22と、該チューブ22に沿って分散配置されかつ独立的に膨張および収縮できる3つのバルーン28、30、32とを備えたコンプライアンス・バルーンカテーテル12の一実施形態が示されている。チューブ22は、ポリエチレン、シリコーンまたは可撓性に優れた他の生体適合性ポリマーで作られる。LESコンプライアンスの測定を行う例示の実施形態のチューブ22は約3〜4mmの直径を有するが、直径は、必要とされるルーメンの数および器具が内視鏡を通して配置されるか否かに基いて定められ、LESコンプライアンスの測定を行うには2〜5mmの範囲が有効であると考えられる。カテーテルの長さは特定実施形態に基いて変えることができ、バルーンを含むセクションから延びている近位側部分の長さは、一般に50〜100cmである。
【0019】
ここで図2を参照すると、コンプライアンス・バルーンカテーテル12は複数のルーメン24を備えており、該ルーメン24は、主としてバルーン28、30、32の膨張またはマノメトリデータの収集に利用できる別々の通路を形成している。例示の実施形態では、任意の中央ルーメン27が設けられており、該中央ルーメン27はワイヤガイドの通路として使用できる。チューブ2の長さに沿って、近位端25から好ましくは50〜100cm隔てた位置に食道バルーン28が設けられている。食道バルーン28は、これが膨張されたときには食道を拡大できるサイズを有している。例示の食道バルーン28はほぼ球形であり、2.0〜2.5cmの直径を有している。食道バルーン28から更に5〜7cmの間隔を隔てて括約筋内バルーン30が配置されており、例示の実施形態では該括約筋内バルーン30は軸線方向に細長い形状を有している。括約筋内バルーン30は、ひとたび完全膨張体積が得られると、バルーンに対して作用する力(すなわちLESコンプライアンス)を測定できる所望特性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド織物または他の何らかのポリマー等の非弾性かつ非延伸性材料で作られる。括約筋内バルーン30の直径は一般に1〜3cm(より好ましくは2〜3cm)、長さは4〜6cmである。括約筋内バルーン30から僅かに(例えば5〜10mm)下方の位置には、横方向に細長い形状の胃バルーン32が配置され、該胃バルーン32はLESの下の胃壁を捉えるサイズ、好ましくは2〜5cmの直径および4〜5cmの幅を有している。食道バルーン28および胃バルーン32は一般にラテックスまたはシリコーン等の弾性材料で作られるが、括約筋内バルーン30と同じ(または他の)非弾性材料で作ることもできる。一般に、ガイドワイヤまたは所望ならば他の器具に使用される中央ルーメン27を除き、複数のルーメン24はそれぞれのポート34、36、38またはカテーテルの遠位端26の手前で終端するのが好ましい。
【0020】
図1および図3には、コンプライアンス測定カテーテル12に使用される基本的器具および装置の例が示される。基本要素は、図示の実施形態ではバルーン28、30、32を膨張させるべく機能するアクチュエータ機構17、およびLESにより括約筋内バルーン30に加えられる圧力を測定するための圧力計16である。図1では、アクチュエータ機構17は、チューブ22の近位端25から延びている個々のコネクタ29に連結された複数のシリンジ20を有しており、該シリンジ20は、各バルーン28、30、32内の膨張ポート38に連通する専用ルーメン24に注入する。圧力計(ゲージ)16は括約筋内バルーン30内のポート36に連通するカテーテルに連結されており、LESにより括約筋内バルーン30に加えられる圧力の測定に使用される。図3において、アクチュエータ機構17は、圧力計16に組み合わされて使用される定量ポンプ14を有している。ポンプ14および圧力計16は、圧力データおよび体積データを後述のようにして収集しかつ処理するための標準デスクトップコンピュータのようなプロセッサ/データ獲得ユニットコンピュータ18に電気的に接続されている。定量ポンプ14は、規定された空気体積アリコートをカテーテル12に通してポンピングすべくシリンジ20を正確に作動させることができるハーバード(Harvard)ポンプまたは当業界で知られた制御可能な定量手段を備えた任意のポンプのような医療用定量ポンプが好ましい。ポンプ14はカテーテル12を圧力計16に流体連通している。しかしながら、或るポンプ14には圧力測定能力が設けられる。このような実施形態では、別々の圧力計16は、装置10の配置に使用される場合にはマノメトリ測定に任意に利用できるように構成できる。定量ポンプ14は、括約筋内バルーン30以外に、食道バルーン28および胃バルーン32にも連結してこれらの膨張を制御するように構成できる。図3にはポンプ14、圧力計16およびコンピュータ18が別々のユニットとして示されているが、これらの構成要素は単一装置としてまとめることができる。また、データは手作業で記録できかつ計算も手作業で行えるため、本発明を実施するのに必ずしもコンピュータ18を必要としないことに留意すべきである。図示のように、カテーテル12は、患者35の鼻道15内に挿入され、更に食道19およびLES21を通って胃23内に挿入される。しかしながら、所望ならば、カテーテル12は口を通して挿入することもできる。
【0021】
図1の例示実施形態では、装置10の配置の際に医者を補助するマノメトリデータをうるための複数のマノメトリ圧力ポートすなわちセンサ34が、コンプライアンス測定カテーテル12に沿って配置されている。概略的に説明すると、各マノメトリ圧力ポート34は、コンプライアンス測定カテーテル12の専用ルーメンの終端部に配置されており、かつ記録機器により受けられかつ処理される信号を供給する圧力センサと変換器との組合せ(通常は、マッチングされた1対)を備えた圧力計16に導かれている。マノメトリ装置は、体積押退け変換器を備えた水灌流型カテーテルで構成するか、ソリッドステート回路を備えた歪みゲージ変換器で構成することができる。空気圧油圧注入ポンプ(pneumohydraulic infusion pump:図示せず)が、カテーテルに流体を供給する。水灌流型システムには、一般に、多ルーメンカテーテルが使用され、該カテーテルでは、各ルーメンが食道内の側孔またはスリーブチャネルに終端し、流出灌流液が抵抗に遭遇するときに当該位置における圧力を検出する。ソリッドステート電子デバイスを備えた歪みゲージマノメトリシステムはマノメトリプローブを有し、該マノメトリプローブは、その長さに沿う固定位置に設けられた歪みゲージ変換器を備えている。この変換器は、記録器に接続された電子デバイスを収容するユニットにプラグ接続される。別の構成として、圧力センサおよび/または変換器33はカテーテル22のチューブ内に配置して、マノメトリ圧力ポート34を介して収集されたデータを記録および/または分析するための外部ユニットすなわち積分ユニットまでワイヤを延長することができる。
【0022】
ここで図1を参照すると、食道バルーン28から僅かに近位側に間隔を隔てた位置には、食道内のマノメトリ読みを得るための第一および第二食道マノメトリ圧力ポート41、42が設けられている。圧力ポート34は、カテーテル12が食道内に挿入されたときに上食道括約筋(図示せず)の下に位置するように位置決めされている。カテーテル12は、付加マノメトリ圧力ポート34を有している。食道バルーン28と括約筋内バルーン30との間には上括約筋マノメトリポート40が配置されており、胃バルーン32の遠位側には第四のポートすなわち胃マノメトリポート39が配置されている。各ポートは、別々のルーメン24を介して圧力変換器33または圧力計16に連結されている。カテーテル12はまた、括約筋内バルーン30内の測定圧力ポート36有し、該測定圧力ポート36は専用ルーメン24を介して圧力計16に連結されている。
【0023】
前述のように、マノメトリ圧力ポート34は、胃腸管内の圧力測定を行うのに使用できる。食道、括約筋および胃内に生じる圧力読みにおける通常の差により、マノメトリは、食道の自発的運動性を評価する手段として、および診断の目的とする他の可能性ある生理学的マーカとして使用されている。コンプライアンス・バルーンカテーテル12の遠位端26の近くに配置された胃マノメトリ圧力ポート39は、胃内に適正に配置されたときには、通常、5〜10mmHgの圧力を測定し、5mmHgより低い圧力読みの場合には、器具の遠位端26が食道から胃内に完全に前進されていないことを表示する。括約筋内バルーン30と食道バルーン28との間に配置された上括約筋マノメトリ圧力ポート40は、LESより上方の圧力読みを行い、一方、1つ以上の食道マノメトリ圧力ポート41、42は、食道内のより高い圧力を測定する。
【0024】
図7〜図12には、患者のLES21内に図1のコンプライアンス・バルーンカテーテル12を配置する方法が示されている。コンプライアンス・バルーンカテーテル12は、図7に示すように内視鏡43に通して鼻から挿入でき、或いは口から導入することもできる。内視鏡43を使用する配置は任意である。また、任意であるが、コンプライアンス・バルーンカテーテル12の配置を補助するための深さマーカ45をカテーテルチューブ22に付すことができる。例えば、胃バルーン32は、これが胃23内に完全に入る前に膨張されないことが重要である。これらのマーカ45は、内視鏡の使用の如何にかかわらず有効であり、コンプライアンス・バルーンカテーテル上の或る遠位位置までの距離に対応する印刷数字または他の種類の表示で構成できる。或いは、マーカ45は、所望のバルーン配備位置に対応する1つ以上の好ましいゾーンを表示するもので構成できる。また、位置の確認は、圧力読みが胃内に見出される期待値内にあるか否かを判断するための、コンプライアンス・バルーンカテーテル12の遠位端26の近くに設けられた胃マノメトリポート39からの読みにより行うこともできる。逆に、上括約筋ポート40および食道ポート41、42は、圧力が食道にとって適当であるか否かを読むのに使用できる。
【0025】
図1および図3に示すように、装置10は、カテーテル12の遠位端26がLES21を通って移動するように、遠位端26を、患者の鼻道15に通して食道19内に挿入することにより使用される。本発明の好ましい実施形態は、括約筋内バルーン30がLES21内に配置されるように、カテーテル12を食道19内に適正に位置決めする多くの手段を構成する。使用される位置決め方法の如何にかかわらず、コンプライアンス・バルーンカテーテル12の遠位端26は、該遠位端26が食道19およびLES21を通るようにして前進される(バルーン28、32、30は収縮させておくのが好ましい)。胃バルーン32を有する図7の例示実施形態では、該バルーン32を備えたカテーテル12の遠位側部分37は、LES21を越えて胃23内に前進される。ここで、胃バルーン32が、図8に示すように、シリンジまたはポンプを用いて膨張され、位置決めマーカは、非弾性括約筋内バルーン30をLES21内に適正配置する。カテーテル12および膨張された胃バルーン32は、図9に示すように、胃バルーン32が胃壁に当接するまで優しく引き出される。胃バルーン32は、ひとたび膨張されたならばLESを通って容易に抜けないように充分大きくなくてはならない。
【0026】
カテーテル12は、別の方法として、マノメトリ圧力ポート34を通って流入する空気の圧力値をモニタリングしかつこれらの圧力値と、食道19および胃23内の種々の位置での標準圧力とを比較することにより、マノメトリを用いて位置決めできる。本発明に使用できる更に別の位置決め技術は、括約筋内バルーン30等のカテーテル12の一部を当業界で知られている適当なX線不透過性物質でコーティングし、かつ低レベルのX線を患者のトルソ(胴)に通す方法である。カテーテル12のコーティングされた部分(単一または複数)は、得られる静的または動的なX線(透視)画像で見ることができ、かつ次にその位置を決定できる。更に別の技術は、カテーテル12またはバルーンの1つに超音波反射表面を形成し、超音波画像を用いてカテーテル12を位置決めする方法である。図9に示すように、胃バルーン32がひとたび膨張されたならば、括約筋内バルーン30も膨張され、休止しているときのLES21のベースライン緊張(baseline tone)を測定する。
【0027】
図11に示すように、今やLES内に適正に位置決めされた括約筋内バルーン30は、シリンジ20または図3の定量ポンプ14およびシリンジ20のいずれかを用いて膨張される。図3に示した例では、ポンプ14は所定の増分で付勢され、シリンジ20および適当なルーメン24を通って括約筋内バルーン30内に流入する空気を定量する。括約筋内バルーン30を測定値の間で部分的に収縮するか、単に体積を段階的に増大させるかは任意である。増分的に増大する体積膨張は任意の合理的態様で行われるが、この実施形態の示唆インターバルは、バルーンキャパシティが図11に示す状態に到達するまで、体積の規則的な2〜5mlの増大を有している。一般的には、括約筋内バルーン30内の圧力は圧力計16により測定されかつ各体積増分はコンピュータ18により記録される。次にこれらのデータが処理されて、LES21のコンプライアンスを示す体積−圧力曲線が作られる。
【0028】
当業者には理解されようが、括約筋内バルーン30が食道19から除去されて外的に拘束されなくなると、理論的内部圧力はゼロになるであろう。内部圧力は、括約筋内バルーン30が充填されるまでゼロに留まっている。括約筋内バルーン30は非弾性であるので、内部圧力は、括約筋内バルーン30がもはや内部空気を圧縮しなくなるまで迅速に上昇し、次に破裂する。この場合、体積−圧力曲線は、括約筋内バルーン30が充填されるまで平坦であり、その後に急激に上方に傾斜する。LES21を弛緩させることなく(すなわち、食道バルーン28を膨張させることなく)括約筋内バルーン30内の圧力が測定される場合には、LES21は、括約筋内バルーン30の内径に沿って括約筋内バルーン30を収縮させるであろう。膨張させるには、内部圧力は、筋肉の緊張およびLES21の組織から括約筋内バルーン30に作用する力より大きくなくてはならない。これにより、非常に急勾配の体積−圧力曲線が形成される。
【0029】
食道バルーン28を膨張させることによりLES21を弛緩させると、筋肉の張力および緊張が除去され、LES21は、筋肉による拘束なく拡大することができる。その筋肉組織のみが、括約筋内バルーン30の外方への拡大に対する障害として作用し、従って、LES21が括約筋内バルーン30を強制的に拘束させることはない。その上、LES21は、外部空気のように無限にしなやかであるとはいえないので、括約筋内バルーン30内の圧力は、理論的なゼロより高い或る値になるであろう。この値は、空気の圧縮により(しかしながら、主としてLES21の圧縮により)括約筋内バルーン30の体積が部分的に増大すると、増大するであろう。内部圧力は、括約筋内バルーン30が充満されるまで徐々に増大し、その後は、前述のように急激に増大する。かくして、弛緩したLES21の体積−圧力曲線は、休止しているLES21の体積−圧力曲線よりも非常に平坦になる。この曲線は、筋肉緊張の効果がないので、LESコンプライアンスのより臨床的に関連する表示を表す。この技術を用いると、LES21が弛緩している間はLES21が拡大されているので、2つ以上の圧力データポイントを測定できる。換言すれば、LES21が筋肉緊張の動的効果がない定常状態にある間に、バルーンの体積(LESの拡大)の各変化について、圧力変化が測定される。かくして、この技術および装置は、医者が、筋肉系の如何にかかわらずLES21のコンプライアンスを隔絶しかつ研究することを可能にし、LES21の状態のより正確な理解が可能になる。
【0030】
本発明の仮定の例を使用することにより、食道バルーン28は、自発的運動性の応答を引き起こしかつ食道を弛緩させるべく膨張される。括約筋内バルーン30は、5mlの空気のような流体を用いて、LES内で膨張される。バルーンはLESからの抵抗を受け、圧力ゲージに2mmHgの圧力を読み取らせる。食道バルーン28は、5mlの付加空気が与えられるか収縮され、次に10mlの空気で再膨張され、これにより4mmHgの読みを生じさせる大きい抵抗を引き起こす。食道バルーン28は、各読みの間に膨張状態になくてはならない。体積が更に増大すると、圧力の対応する増大を引き起こす。この増大は、通常はリニアではない。例えば、30mlのバルーンは、通常のLESで10mmHgの最大圧力に到達する。しかしながら、例えばLESのニッセン皺襞形成術による包み込みがきつ過ぎる場合のような異常な非コンプライアンスの括約筋では、圧力の読みは、例えば17mmHgのように高くなるであろう。この値と曲線の傾斜とを術前、術中または術後に比較することにより、LESコンプライアンスを再調節できるように調節を行うことができる。
【0031】
最後の膨張の後、各バルーン28、30、32が収縮され(図12)、コンプライアンス・バルーンカテーテル12が患者から除去される。皺襞形成術による包み込みの緊締度を再調節すべきであるか、他の何らかの理由で他の後での測定が必要とされる場合には、コンプライアンス・バルーンカテーテル12を一時的に所定位置に残して付加測定のために再配備するか、少なくとも一部を引き出して、次に再位置決めおよび再配備することができる。本発明の実施形態は術前および術中のLESコンプライアンスを確立する上で非常に有効であるが、更に、飲込みを困難にする胃酸逆流症、低血圧性LESまたは非特異的自発的運動性症(non-specific motility disorders)等の可能性ある種々の症状をもつ患者を評価する手段としても機能できる。
【0032】
LESコンプライアンスの生体内測定の概念を研究するため、本件出願人は、本発明および技術を用いて犬で研究を行った。この研究には、本発明による弛緩LESのコンプライアンスの生体内測定、休止LESおよび筋肉弛緩剤のアトロピンを注入したLESが含まれる。5匹の麻酔された犬が2段階で研究された。維持された括約筋の一体性の尺度として、LES圧力は、無限にしなやかな圧調整バッグ(直径:2cm、長さ:10cm、体積:30ml)の最大拡大の前後のスリーブにより決定され、これは、LESコンプライアンスを研究すべく後で使用された。上記バッグは慢性食道造瘻術(chronic esophagostomy)によりLESを横切って再配置し、また、ハーバードポンプを用いて、ランダムに注入された5〜35mlの空気のアリコートについての体積−圧力曲線を決定した。全てのカテーテルについての括約筋を通る位置が、マノメトリを用いて確認された。体積−圧力曲線が、休止LES、完全弛緩LES(中食道で別の2.5cmバルーンを膨張させることによる)およびその後の4mgのアトロピンのIV注入について決定された。各体積アリコートについて、コンプライアンスがAV/APとして計算された。この結果、最大バッグ拡大(33=4mmHg)後のLES圧力は前拡大値(30=2mmHg)と同じであった。試験されたあらゆる条件について、注入空気の体積とバッグ内圧力との直接的相関関係が観察された。完全弛緩時のLESコンプライアンスは、休止時およびアトロピン後の状態に比較してかなり高かった。アトロピン注入後のLESコンプライアンスは、休止状態でのLESコンプライアンスよりかなり高かった。結論として、LESコンプライアンスは、2cmの無限にしなやかなバッグを用いて生体内で安全に測定できる。また、LESのコンプライアンスはその興奮性および抑制性神経支配による影響を受ける。最後に、LESコンプライアンスはその引張り度合いによる影響を受ける。この技術および装置を使用することにより、LESの筋肉緊張が大幅に低減されまたは消滅され、LESを、コンプライアンスの測定に適した状態にしかつこの状態に維持した。この研究は、弛緩したLESのコンプライアンスが、アトロピン後のLESのコンプライアンスより大きく、該コンプライアンスは休止(閉鎖)LESのコンプライアンスより大きい。データは次の通りである。
【0033】
【表1】
増分体積範囲でのLESコンプライアンス
Figure 0004759203
注)星印(*、**)は、当該値が当該体積についてのコントロール値から大きく異なっている(p<0.05)ことを示す。
【0034】
直径2cm、30mlの括約筋内バルーンおよび2.5cmの食道バルーンを備えた本発明の器具を用いて行った10人の患者についてのその後の研究では、LESコンプライアンスを安全に測定できたことが判明した。また、LESコンプライアンスは呼吸のフェーズにより影響を受けて、食道拡大/LES弛緩により増大されることが判明した。異なる呼吸フェーズとして、通常の呼吸、吸息終時の息こらえおよび吸息中間時の息こらえがあり、これらの各々が、12μg/kg IVアトロピン×3の後の食道拡大を有するか否かは問題としない。あらゆる試験条件について、括約筋内バルーン体積と圧力との直接的相関関係が観察された。バルーン誘起による弛緩を有するLESコンプライアンスは、バルーン拡大がないアトロピン後の状態のLESコンプライアンスと比較してかなり高い。コンプライアンスは、吸息中間時および吸息終時の息こらえが続けられる通常の呼吸時に最高になることが判明している。
【0035】
図4および図5には、本発明のカテーテルの他の実施形態が示されている。図1の第一例示実施形態と共通の要素として、チューブ22、食道バルーン28、括約筋内バルーン30、これらに関連する膨張ポート38および圧力測定ポート36がある。図4に示す実施形態は、少なくとも4つのルーメン24並びに胃バルーン32を備えたチューブ22を有している。この実施形態は、マノメトリポートが全く設けられていないため、胃バルーン32を用いた機械的位置決めのみが行えるものである。逆に図5に示す実施形態は胃バルーン32を備えておらず、従って、チューブ22のマノメトリ圧力ポート34および少なくとも7つのルーメン24のうちの5つのルーメンを用いるマノメトリ位置決めを使用するものである。最後に図6の実施形態では、4つ以上のルーメン24は不要とするチューブ22が括約筋内バルーン30内に終端しており、かつ胃バルーンまたはマノメトリポートは全く設けられていない。この実施形態は、既知の撮像技術すなわち、括約筋内バルーン30の外面上のX線不透過コーティング50を検出するX線透視、または装置の一部の周囲に設けられた超音波反射面を検出する超音波撮像を用いて位置決めを行う。括約筋内バルーンの遠位端は、バルーンが部分的または完全に膨張されるときに、導入中に上方からLES内に位置決めを行うことを補助するように変更できることにも留意すべきである。
【0036】
以上、本発明の例示実施形態について、本発明が有利に実施される実際の作動構造を開示することを目的としてかなり詳細に説明した。本願で説明した設計は単なる例示に過ぎないものである。本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の新規な特徴を他の構造的形態で取り入れることが可能である。例えば、本発明は、身体のどこかに見られる括約筋、例えば肛門括約筋のコンプライアンスを測定するように変更でき、この場合には、バルーン等の拡大可能な2つの部材を縦列に配置して、括約筋コンプライアンスの測定値を得るための適正な生理学的応答が得られるように構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置を示す平面図である。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図である。
【図3】本発明に使用される例示器具を備えた図1の実施形態を示す概略図である。
【図4】本発明のコンプライアンス・バルーンカテーテルの種々の実施形態の1つを示す平面図である。
【図5】本発明のコンプライアンス・バルーンカテーテルの種々の実施形態の1つを示す平面図である。
【図6】本発明のコンプライアンス・バルーンカテーテルの種々の実施形態の1つを示す平面図である。
【図7】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。
【図8】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。
【図9】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。
【図10】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。
【図11】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。
【図12】図1の実施形態を用いて下食道括約筋のコンプライアンスを測定する段階の1つを示す概略図である。

Claims (16)

  1. 一定長さのチューブを備えたコンプライアンス測定カテーテルを有し、前記チューブは、第一端部と、第二端部と、少なくともチューブに沿って実質的に延びている少なくとも1つのルーメンとを備え、
    一定長さのチューブの回りに配置された第一拡大可能部材と、
    一定長さのチューブに沿って第一拡大可能部材に近接して配置された第二拡大可能部材とを更に有し、該第二拡大可能部材は、括約筋の内壁と接触するようにオペレータが横方向に拡大できるサイズおよび形状を有し、第二拡大可能部材は更に、コンプライアンス測定カテーテルが測定器具に連結されると括約筋のコンプライアンスの測定値が得られるように構成され、第一拡大可能部材は、第二拡大可能部材が括約筋内に配置されると第一拡大可能部材が隣接する体管腔内にあるようにコンプライアンス測定カテーテルに沿って位置決めされ、第一拡大可能部材は、オペレータにより操作されると隣接する体管腔の内面に接触して、隣接する括約筋による生理学的応答のきっかけを引き起こすことができ
    前記第二拡大可能部材は膨張可能な括約筋内バルーンからなり、該括約筋内バルーンは実質的な非弾性材料で作られかつ哺乳動物の下食道括約筋内に配置できるサイズおよび形状を有し、括約筋内バルーンは、下食道括約筋内に配置されている間に、装置が圧力測定器具に連結されると括約筋コンプライアンスの度合いから圧力の読みが得られるように一定量の流体を用いて膨張され、流体の量を増大させると、括約筋コンプライアンスの充分性の表示に使用できる一連の圧力読みを生じさせることを特徴とする哺乳動物の括約筋のコンプライアンスを測定する装置。
  2. 前記第一拡大可能部材は、括約筋内バルーンがLES内に配置されると食道バルーンが哺乳動物の食道内に配置されるように、チューブの長さに沿って配置される膨張可能なバルーンからなることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記第一および第二拡大可能部材の遠位側に配置された第三拡大可能部材を更に有し、該第三拡大可能部材は、これが哺乳動物の胃内に配備された後に、第二拡大可能部材を括約筋内に正しく位置決めすることができることを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 前記第三拡大可能部材は膨張可能な胃バルーンからなることを特徴とする請求項3記載の装置。
  5. 前記一定長さのチューブは、該チューブに沿って設けられた少なくとも1つのマノメトリ測定ポートを更に有し、該マノメトリ測定ポートは、装置が哺乳動物の体内に配置されたときに、食道、下食道括約筋および胃を含む少なくとも1つの群内に見られる内部圧力を測定するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  6. 複数のマノメトリ測定ポートを有し、該マノメトリ測定ポートの少なくとも1つは装置の遠位端の回りに配置され、かつ少なくとも1つは第一拡大可能部材に隣接して一般的に配置されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 少なくとも1つの圧力測定器具を更に有することを特徴とする請求項1記載の装置。
  8. 前記第二拡大可能部材から得たデータを分析して括約筋のコンプライアンスの充分性を判断できるデータプロセッサを更に有することを特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 前記コンプライアンス測定カテーテルは、哺乳動物の括約筋内での第二拡大可能部材の正しい配置を表示するための、カテーテルに沿って分散配置された表示パターンを有していることを特徴とする請求項1記載の装置。
  10. 一定長さのチューブを備えたコンプライアンス測定カテーテルを有し、前記チューブは、第一端部と、第二端部と、少なくともチューブに沿って実質的に延びている複数のルーメンとを備え、
    一定長さのチューブの回りに配置された第一バルーンと、
    一定長さのチューブに沿って第一拡大可能部材に近接して配置された第二バルーンとを更に有し、該第二拡大可能部材は、実質的な非弾性材料からなりかつ括約筋の内壁と少なくとも実質的に接触できるサイズおよび形状を有し、第二バルーンは更に、コンプライアンス測定カテーテルが測定器具に連結されると括約筋のコンプライアンスの測定値が得られるように構成され、第一バルーンは、第二バルーンが括約筋内に配置されると第一バルーンが隣接体管腔内にあるようにコンプライアンス測定カテーテルに沿って位置決めされ、第一拡大可能部材は、オペレータにより操作されると隣接する体管腔の内面に接触して、隣接する括約筋による生理学的応答のきっかけを引き起こすことができ、
    前記第二バルーンは患者の下食道括約筋内に配置できるサイズおよび形状を有し、第二バルーンは、下食道括約筋内にある間に、装置が圧力測定器具に連結されると下食道括約筋コンプライアンスの度合いから圧力の読みが得られるように、一定量の流体を用いて膨張され、流体の量を増大させると、括約筋コンプライアンスの充分性を表示するのに使用できる一連の圧力読みを生じさせることを特徴とする哺乳動物の括約筋のコンプライアンスを測定する装置。
  11. 前記第一バルーンは、括約筋内バルーンが下食道括約筋内に配置されると患者の食道内に配置されることを特徴とする請求項10記載の装置。
  12. 前記第二バルーンは全体として細長い形状であることを特徴とする請求項10記載の装置。
  13. 前記第一および第二バルーンの遠位側に配置された第三バルーンを更に有し、該第三バルーンは、これが患者の胃内でLESの近くの胃壁に当接するように配備された後に、第二バルーンを下食道括約筋内に正しく位置決めすることができることを特徴とする請求項11記載の装置。
  14. 前記一定長さのチューブは、該チューブに沿って設けられた少なくとも1つのマノメトリ測定ポートを更に有し、該マノメトリ測定ポートは、装置が哺乳動物の体内に配置されたときに、食道、下食道括約筋および胃を含む少なくとも1つの群内に見られる内部圧力を測定するように配置されていることを特徴とする請求項10記載の装置。
  15. 複数のマノメトリ測定ポートを有し、該マノメトリ測定ポートの少なくとも1つは、胃内の圧力を測定すべく装置の遠位端の回りに配置され、かつ少なくとも1つは、食道内の圧力を測定すべく第一バルーンに隣接して一般的に配置されていることを特徴とする請求項14記載の装置。
  16. 一定長さのチューブを備えたコンプライアンス測定カテーテルを有し、前記チューブは、第一端部と、第二端部と、少なくともチューブに沿って実質的に延びている複数のルーメンとを備え、
    一定長さのチューブの回りに配置されかつ弾性材料からなる第一バルーンと、
    非弾性材料からなりかつ全体として細長い形状をもつ第二バルーンとを有し、該第二バルーンは、一定長さのチューブに沿って第一拡大可能部材に近接して配置されており、
    第一および第二バルーンの遠位側に配置された第三バルーンを有し、該第三バルーンは、該第三バルーンが患者の胃内に配備された後に、第二バルーンを下食道括約筋内に正しく位置決めでき、
    チューブの長さに沿って設けられた複数のマノメトリ測定ポートを更に有し、該マノメトリ測定ポートは、食道および胃内の圧力測定値を得ることができ、
    第二拡大可能部材は、括約筋の内壁と少なくとも実質的に接触するように膨張できるサイズおよび形状を有し、第二バルーンは更に、コンプライアンス測定カテーテルが測定器具に連結されると括約筋のコンプライアンスの測定値が得られるように構成され、第一バルーンは、第二バルーンが括約筋内に配置されると第一バルーンが隣接する体管腔内にあるようにカテーテルに沿って位置決めされ、第一拡大可能部材は、オペレータにより操作されると隣接する体管腔の内面に接触して、隣接する括約筋による生理学的応答のきっかけを引き起こすことができることを特徴とする哺乳動物の括約筋のコンプライアンスを測定する装置。
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