JP4759187B2 - 作業機の安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機の安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の作業機としてクレーン車、高所作業車、掘削機、等建設用作業機がある。この建設用作業機として、図3に図示するクレーン車Aを例に以下に説明する。クレーン車Aは、車両1上に旋回可能に旋回台2を配置し、旋回台2に起伏可能に伸縮ブーム3を配置している。伸縮ブーム3は、基ブーム3aに順次伸縮自在に中間ブーム3b、先ブーム3cを嵌挿させ、各ブーム間には伸縮用の油圧シリンダ4(以下伸縮シリンダとして説明する。)等の伸縮駆動手段を配置している。基ブーム3aと旋回台2の適所間には起伏用の油圧シリンダ5(以下起伏シリンダとして説明する。)を配置している。
【0003】
旋回台2にはウインチ6を配置し、ウインチ6から繰出されたワイヤロープ7を伸縮ブーム3の先端部を経過して伸縮ブーム3の先端からフック8を吊下させている。旋回台2上には運転室9(図示しない)を備えており、この運転室9内に前記伸縮ブーム3を伸縮ならびに起伏駆動操作させる操作指令手段を配置してある。すなわち、図4に図示するように、伸縮シリンダ4を伸縮させて伸縮ブーム3を伸縮させるための伸縮操作指令手段10ならびに起伏シリンダ5を伸縮させて伸縮ブーム3を起伏させるための起伏操作指令手段20を運転室9に配置してある。
【0004】
運転室9には、上記操作指令手段10,20の他に、旋回台2を旋回させるための旋回操作指令手段、ウインチ6を巻上げ下げ駆動させるウインチ操作指令手段などを配置してあるが、ここでは伸縮ブーム3を伸縮ならびに起伏させる操作を例に以下に説明する。
【0005】
伸縮操作指令手段10は、操作レバー10aの傾倒操作により操作信号を伸縮制御弁駆動手段11に出力する。伸縮制御弁駆動手段11は、操作信号に基づいて伸縮制御弁12に駆動信号を出力する。伸縮制御弁12は、伸縮制御弁駆動手段11からの駆動信号に基づいて、伸縮シリンダ4に油圧ポンプ30からの油圧を制御して供給する。よって伸縮シリンダ4は、伸縮制御弁12によって伸縮駆動される。伸縮シリンダ4と伸縮制御弁12間の伸長管路には並列に接続されたカウンタバランス弁31とチェック弁32を介在させている。
【0006】
起伏操作指令手段20は、操作レバー20aの傾倒操作により操作信号を起伏制御弁駆動手段21に出力する。起伏制御弁駆動手段21は、操作信号に基づいて起伏制御弁22に駆動信号を出力する。起伏制御弁22は、起伏制御弁駆動手段21からの駆動信号に基づいて、起伏シリンダ5に油圧ポンプ30からの油圧を制御して供給する。よって起伏シリンダ5は、起伏制御弁22によって起伏駆動される。起伏シリンダ5と起伏制御弁22間の伸長管路には並列に接続されたカウンタバランス弁33とチェック弁34を介在させている。
【0007】
このように伸縮操作レバー10aならびに起伏操作レバー20aを傾倒操作することで、伸縮操作指令手段10ならびに起伏操作指令手段20から操作に応じて操作信号が出力され、伸縮制御弁駆動手段11ならびに起伏制御弁駆動手段21を介して伸縮制御弁12ならびに起伏制御弁22を作動させて伸縮シリンダ4ならびに起伏シリンダ5を駆動させ、クレーン作業する際に伸縮ブーム3を伸縮ならびに起伏駆動操作させるものである。
【0008】
このように伸縮ブーム3を伸縮ならびに起伏駆動させるクレーン車には、次のような安全装置を備えている。すなわち、伸縮操作指令手段10ならびに起伏操作指令手段20から操作信号が出力されていない(伸縮操作レバー10aあるいは起伏操作レバー20aを中立位置にしている)にもかかわらず伸縮ブーム3が伸縮あるいは起伏作動する場合がある。これは近年各種の制御や安全装置に使用されている伸縮シリンダ4や起伏シリンダ5の保持側油路に配置した伸縮用圧力検出器35あるいは起伏用圧力検出器36が破損して油漏れを起した場合、あるいは伸縮制御弁12、起伏制御弁22に配置されているスプールが作動状態のままゴミ噛みにより作動不良を起こし作動しないようになった場合などが考えられる。そこで、このような場合次のような処置をする安全装置を備えていた。
【0009】
すなわち、油圧ポンプ30と各制御弁12,22間にタンク37に圧油を逃がすリリーフ弁38を配置しており、リリーフ弁38のベント室とタンク37間に電磁切換弁39が接続されている。そして、常時は電磁切換弁39のソレノイドに電源40が通電され、ベント室とタンクの接続を絶ちリリーフ弁38は所定の設定圧に設定され油圧回路はオンロード状態になる。一方ソレノイドへの通電が遮断されるとベント室とタンクが接続され油圧回路はアンロード状態となる。電源40と電磁切換弁39のソレノイド間を接続する電気回路の途中にリレーA0の常閉接点a0とリレーB0の常閉接点b0を介在させている。
【0010】
リレーA0は、第1駆動停止器15の出力信号で作動するようになっている。
第1駆動停止器15は、伸縮シリンダ4の作動を検出するために伸縮ブーム3のブーム長さ検出器13(請求項1記載の作動検出手段に該当する。)を配置し、伸縮操作指令手段10からの操作信号とブーム長さ検出器13からの作動信号を受け、操作信号が検出されない(伸縮操作指令手段10の操作レバー10aを中立位置にしている状態)にもかかわらず作動信号が検出される(伸縮ブーム3が伸縮している状態、すなわち、伸縮シリンダ4が伸縮している状態)と、リレーA0を作動させる信号を出力する。ここで第1駆動停止器15とリレーA0は、第1駆動停止手段14(請求項1記載の駆動停止手段に該当する。)を構成している。
【0011】
第1駆動停止器15は、一旦、操作信号が検出されない(伸縮操作指令手段10の操作レバー10aを中立位置にしている状態)にもかかわらずブーム長さ検出器13からの作動信号が検出されると、出力信号は保持される。したがって信号が出力されている時に、操作レバー10aを操作して操作レバー10aが中立位置に位置していない状態でも出力信号は出力され、第1駆動停止器15の電源を遮断する等のリセットされるまで保持される。第1駆動停止器15の出力にはリレーA0の他に伸縮異常警告器15aが接続されており、第1駆動停止器15が作動したことをランプの点灯ならびに警音器でオペレータに知らせるようにしている。
【0012】
よって伸縮操作指令手段10の操作レバー10aを中立位置にしているにもかかわらず伸縮ブーム3が伸縮作動していると、リレーA0が作動して油圧回路がアンロード状態となり、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にすることにより、異常状態におけるクレーンの作動を停止させるようにしている。
【0013】
同様にリレーB0は、第2駆動停止器25の出力信号で作動するようになっている。第2駆動停止器25は、起伏シリンダ5の作動を検出するために伸縮ブーム3のブーム起伏角検出器23(請求項1記載の作動検出手段に該当する。)を配置し、起伏操作指令手段20からの操作信号とブーム起伏角検出器23からの作動信号を受け、操作信号が検出されない(起伏操作指令手段20の操作レバー20aを中立位置にしている状態)にもかかわらず作動信号が検出される(伸縮ブーム3が起伏している状態、すなわち、起伏シリンダ5が伸縮している状態)と、リレーB0を作動させる信号を出力する。ここで第2駆動停止器25とリレーB0は、第2駆動停止手段24(請求項1記載の駆動停止手段に該当する。)を構成している。
【0014】
第2駆動停止器25は、一旦、操作信号が検出されない(起伏操作指令手段20の操作レバー20aを中立位置にしている状態)にもかかわらずブーム起伏角検出器23からの作動信号が検出されると、出力信号は保持される。したがって信号が出力されている時に、操作レバー20aを操作して操作レバー20aが中立位置に位置していない状態でも出力信号は出力され、第2駆動停止器25の電源を遮断する等のリセットされるまで保持される。第2駆動停止器25の出力にはリレーB0の他に起伏異常警告器25aが接続されており、第2駆動停止器25が作動したことをランプの点灯ならびに警音器でオペレータに知らせるようにしている。
【0015】
よって起伏操作指令手段20の操作レバー20aを中立位置にしているにもかかわらず伸縮ブーム3が起伏作動していると、リレーB0が作動して油圧回路がアンロード状態となり、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にすることにより、異常状態におけるクレーンの作動を停止させるようにしている。
【0016】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、上記のような安全装置を備えたクレーン車でクレーン作業している時に上記のような異常状態になるとクレーン操作を不能にさせてしまうものだから、クレーン車を格納状態にすることは勿論のこと、異常状態に対応するためのクレーン操作ができず対応処置ができないという課題を有していた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1記載の作業機の安全装置は、複数の油圧アクチュエータと、油圧源からの油圧を油圧アクチュエータに制御して供給するよう各油圧アクチュエータに対応して配置した複数の制御弁と、各油圧アクチュエータに対応して配置した操作指令手段と、各操作指令手段からの操作信号に基づいて対応した各制御弁に駆動信号を出力する制御弁駆動手段とを備えるとともに、各油圧アクチュエータの作動を検出する作動検出手段と、作動検出手段からの信号と前記各操作指令手段の操作信号または各制御弁駆動手段の駆動信号を受け前記操作信号または駆動信号が出力されないにもかかわらず作動検出手段により油圧アクチュエータの作動を検出する場合に油圧源から各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる駆動停止手段を備えた作業機の安全装置において、前記作動が検出された油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作指令手段の操作信号と各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる前記駆動停止手段からの信号を受け、当該駆動停止手段により各油圧アクチュエータの作動が停止された後に、作動が検出された油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作指令手段から操作信号が出力された時には、各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる前記駆動停止手段を解除する第1駆動停止解除手段を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項2記載の作業機の安全装置は、複数の油圧アクチュエータと、油圧源からの油圧を油圧アクチュエータに制御して供給するよう各油圧アクチュエータに対応して配置した複数の制御弁と、各油圧アクチュエータに対応して配置した操作指令手段と、各操作指令手段からの操作信号に基づいて対応した各制御弁に駆動信号を出力する制御弁駆動手段とを備えるとともに、各油圧アクチュエータの作動を検出する作動検出手段と、作動検出手段からの信号と前記各操作指令手段の操作信号または各制御弁駆動手段の駆動信号を受け前記操作信号または駆動信号が出力されないにもかかわらず作動検出手段により油圧アクチュエータの作動を検出する場合に油圧源から各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる駆動停止手段を備えた作業機の安全装置において、各操作指令手段の操作方向を検出する操作方向検出手段と各油圧アクチュエータの作動方向を検出する作動方向検出手段とを配置し、操作方向検出手段と作動方向検出手段と駆動停止手段からの信号を受け、駆動停止手段により各油圧アクチュエータの作動が停止された後に、作動が検出された油圧アクチュエータの作動方向と逆方向への操作指令手段による操作信号が出力された時に、前記駆動停止手段を解除する第2駆動停止解除手段を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る作業機の安全装置の実施形態について、図1および図2に図示し以下に説明する。なお、本発明に係る作業機の安全装置の実施形態を説明するにあたって、図4に図示し従来の技術で説明した作業機の安全装置に次に説明する解除手段を付加しただけであるので、従来の技術で説明した符号は以下の説明においても詳細な説明を省略し、同じものとして同符号を使用する。
【0020】
図1において、16は、第1解除手段(請求項1記載の第1駆動停止解除手段に該当する。)であって、第1解除器17とリレーA1で構成している。第1解除器17は、第1駆動停止器15からの出力信号と起伏操作指令手段20からの操作信号を受け、両信号を受けるとリレーA1に信号を出力してリレーA1を作動させる。リレーA1の常閉接点a1を第1駆動停止器15の出力とリレーA0間に介在させている。
【0021】
26は、第2解除手段(請求項1記載の第1駆動停止解除手段に該当する。)であって、第2解除器27とリレーB1で構成している。第2解除器27は、第2駆動停止器25からの出力信号と伸縮操作指令手段10からの操作信号を受け、両信号を受けるとリレーB1に信号を出力してリレーB1を作動させる。リレーB1の常閉接点b1を第2駆動停止器25の出力とリレーB0間に介在させている。
【0022】
このように構成した本発明に係る作業機の安全装置は、次のように作用する。いま伸縮用圧力検出器35が破損して油漏れを起こした場合について説明する。この時伸縮シリンダ4の伸長側油室の油は油漏れし、伸縮ブーム3の自重が作用し伸縮シリンダ4は縮小(伸縮ブーム3が縮小)する。すなわち、伸縮操作指令手段10から操作信号が出力されていない(伸縮操作レバー10aを中立位置にしている)にもかかわらず伸縮ブーム3が縮小する。
【0023】
そして第1駆動停止器15が、伸縮操作指令手段10からの操作信号とブーム長さ検出器13からの作動信号を受け、リレーA0を作動させる信号を出力し、常閉接点a0を開にし、電磁切換弁39によりリリーフ弁38のベント室をタンク37に接続して油圧回路をアンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油をタンク37に帰還)させる。よって、伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の駆動操作を不能にする。
【0024】
ここで起伏操作レバー20aを操作すると、第1解除器17は、第1駆動停止器15の出力信号と起伏操作指令手段20からの操作信号を受けて、リレーA1を作動させる信号を出力する。よって、リレーA1の作動により常閉接点a1を開にし、リレーA0の作動を阻止することにより、常閉接点a0を閉にし、電磁切換弁39によりリリーフ弁38のベント室をタンク37に接続していたものを絶ち、油圧回路をオンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油を伸縮制御弁12および起伏制御弁22に供給)させる。よって、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にしていたものを解除させることができる。
【0025】
このように伸縮シリンダ4の伸長側油室の油が油漏れし、伸縮ブーム3の自重が作用して伸縮シリンダ4が縮小(伸縮ブーム3が縮小)している場合に、前記第1駆動停止手段14が作用して伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にしているために、伸縮シリンダ4が縮小していることに対する対応処置の操作ができなかったが、本発明においては、第1駆動停止手段14により伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の作動が停止された後に、起伏操作レバー20aを操作された時(作動が検出された油圧アクチュエータ以外の操作指令手段から操作信号を受けた時)に、第1解除手段16で伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の駆動操作を不能としているのを解除できるようにしたものであるから、伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5を駆動操作可能にすることができる。
【0026】
よって、第1解除手段16で解除された後に起伏シリンダ5を縮小させて伸縮ブーム3を倒伏させることにより、伸縮ブーム3の自重により伸縮シリンダ4が縮小しないようにする(必要であれば、伸縮ブーム3を仮に載置させる載置台に載置する。)ことができ、この状態で油漏れ箇所を修理すればよい。
【0027】
逆に、起伏用圧力検出器36が破損して油漏れを起こした場合について説明する。この時起伏シリンダ5の伸長側油室の油は油漏れし、伸縮ブーム3の自重が作用し起伏シリンダ5は縮小(伸縮ブーム3が倒伏)する。すなわち、起伏操作指令手段20から操作信号が出力されていない(起伏操作レバー20aを中立位置にしている)にもかかわらず伸縮ブーム3が倒伏する。
【0028】
そして第2駆動停止器25が、起伏操作指令手段20からの操作信号とブーム起伏角検出器23からの作動信号を受け、リレーB0を作動させる信号を出力し、常閉接点B0を開にし、電磁切換弁39によりリリーフ弁38のベント室をタンク37に接続して油圧回路をアンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油をタンク37に帰還)させる。よって、伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の駆動作動を不能にする。
【0029】
ここで伸縮操作レバー10aを操作すると、第2解除器27は、第2駆動停止器25の出力信号と伸縮操作指令手段10からの操作信号を受けて、リレーB1を作動させる信号を出力する。よって、リレーB1の作動により常閉接点b1を開にし、リレーB0の作動を阻止することにより、常閉接点b0を閉にし、電磁切換弁39によりリリーフ弁38のベント室をタンク37に接続していたものを絶ち、油圧回路をオンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油を起伏制御弁12に供給)させる。よって、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にしていたものを解除させることができる。
【0030】
このように起伏シリンダ5の伸長側油室の油が油漏れし、伸縮ブーム3の自重が作用して起伏シリンダ5が縮小(伸縮ブーム3が倒伏)している場合に、第2駆動停止手段24が作用して伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5の駆動操作を不能にしているために、起伏シリンダ5の縮小していることに対する対応処置の操作ができなったが、本発明においては、第2駆動停止手段24により伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の作動が停止された後に、伸縮操作レバー10aを操作された時(作動が検出された油圧アクチュエータ以外の操作指令手段から操作信号を受けた時)に、第2解除手段26で伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の駆動操作を不能としているのを解除できるようにしたものであるから、伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5を駆動操作可能にすることができる。
【0031】
よって、第2解除手段26で解除された後に伸縮シリンダ4を縮小させて伸縮ブーム3を縮小させることにより、伸縮ブーム3の自重が起伏シリンダ5に作用するのを可及的に小さくすることができ、起伏シリンダ5からの油漏れ速度を遅くするとともに、伸縮ブーム3を縮小して格納状態にすることができる。
【0032】
次に上記実施形態では、第1駆動停止手段14または第2駆動停止手段24によって伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5が駆動停止になった時に、作動が検出された油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作指令手段から操作信号出力された時に、前記駆動停止を解除するようにしたが、作動が検出された油圧アクチュエータの作動方向とは逆方向に操作指令手段から操作信号が出力された時にも、前記駆動停止を解除するようにしてもよい。
【0033】
この場合の実施形態を第2実施形態として図2に図示し以下に説明する。図2に図示する本発明に係る安全装置は、図1に図示し説明した安全装置に以下に説明する第3解除手段18を配置したもので、この第3解除手段18以外の部分は、図1に図示し説明したものと同じであるのでここでは説明を省略する。また、油圧回路部分については、図1と同じであるので図2では省略する。
【0034】
18は、第3解除手段(請求項2に記載の第2解除手段に該当する。)であって、伸縮操作方向検出器10bと、ブーム作動方向検出器13aと、第3解除器19、ダイオード19aとで構成している。伸縮操作方向検出器10bは、伸縮操作指令手段10からの信号を受けて伸縮操作レバー10aを中立位置から傾倒した傾倒方向(操作方向)を検出する検出器である。ブーム作動方向検出器13aは、ブーム長さ検出器13からの信号を受けて伸縮ブーム3の作動方向を検出する検出器である。
【0035】
第3解除器19は、第1駆動停止器15からの出力信号と、伸縮操作方向検出器10bと、ブーム作動方向検出器13aからの信号を受け、第1駆動停止器15からの出力信号を受けている時に、ブーム作動方向検出器13aにより伸縮ブーム3が伸縮している作動方向と逆方向に伸縮操作レバー10aを操作したことを確認すると、ダイオード19aを介してリレーA1を作動させる信号を出力する。
【0036】
よって、リレーA1の作動により常閉接点a1を開にし、リレーA0の作動を阻止することにより、常閉接点a0を閉にし、電磁切換弁39によりカウンタバランス弁のベント室をタンク37に接続していたものを絶ち、油圧回路をオンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油を伸縮制御弁12および起伏制御弁22に供給)させ、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5を伸縮操作指令手段10および起伏操作指令手段20に基づいて作動させることができるようにしている。
【0037】
このように構成した本発明に係る第2実施形態の作用についても、伸縮用圧力検出器35が破損して油漏れを起こした場合について説明する。この時は先にも説明したように、伸縮操作指令手段10から操作信号が出力されていない(伸縮操作レバー10aを中立位置にしている)にもかかわらず伸縮ブーム3が縮小する。したがって、ブーム作動方向検出器13aは、ブーム長さ検出器13からの信号を受けてブームの縮小作動方向を検出する。そして第1駆動停止器15が、伸縮操作指令手段10からの操作信号とブーム長さ検出器13からの作動信号を受け、リレーA0を作動させ油圧回路をアンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油をタンク37に帰還)させる。よって、伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の作動をできなくする。
【0038】
ここで伸縮操作レバー10aを伸長側に操作すると、伸縮操作方向検出器10bが、伸縮操作指令手段10からの信号を受けて伸縮操作レバー10aを中立位置から伸長側に傾倒した傾倒方向(操作方向)を検出する。よって第3解除器19は、第1駆動停止器15からの出力信号と、伸縮操作方向検出器10bと、ブーム作動方向検出器13aからの信号を受け、第1駆動停止器15からの出力信号を受けている時に伸縮ブーム3の作動している方向と逆方向に伸縮操作レバー10aを操作したことを伸縮操作方向検出器10bからの信号で確認すると、ダイオード19aを介してリレーA1を作動させる信号を出力し、リレーA1を作動させる。
【0039】
よって、リレーA1の作動により常閉接点a1を開にし、リレーA0の作動を阻止することにより、常閉接点a0を閉にし、電磁切換弁39によりリリーフ弁38のベント室をタンク37に接続していたものを絶ち、油圧回路をオンロード状態に(油圧ポンプ30からの吐出油を伸縮制御弁12および起伏制御弁22に供給)させる。よって、伸縮シリンダ4および起伏シリンダ5を伸縮操作指令手段10および起伏操作指令手段20に基づいて作動させることができる。
【0040】
すなわち、伸縮シリンダ4が油漏れにより縮小している場合に、第1駆動停止器15により伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の作動停止しているものを、伸縮操作レバー10aを伸縮シリンダ4が作動している方向と逆に作動するよう操作することで第1駆動停止器15で伸縮シリンダ4と起伏シリンダ5の操作を不能にしていたものを、第3解除手段18で解除して操作を可能にするものである。勿論この場合、起伏操作レバー20aを操作することで、前述の通り第1解除手段16ででも解除可能である。
【0041】
なお、図2に図示し説明したこの実施形態では、伸縮操作指令手段10から操作信号が出力されていないにもかかわらず伸縮シリンダ4が作動している場合に、伸縮シリンダ1の作動方向と逆に操作すれば第3解除手段18で解除する場合の実施形態について説明したが、起伏操作指令手段20から操作信号が出力されていないにもかかわらず起伏シリンダ5が作動している場合に、起伏シリンダ5の作動方向と逆に操作すれば同様に解除可能とする第4解除手段28(請求項2記載の第2解除手段に該当し、図示して説明しないが、起伏操作方向検出器20bと起伏作動方向検出器23aおよびダイオード29aを配置し、これらからの信号を受け第3解除手段18と同様に作用する。)を配置できることは図示し説明しなくても理解できるので、ここでは図示を省略し説明も省略する。
【0042】
このように、第2実施形態の場合は、操作レバーを中立位置にして操作指令手段から操作信号が出力されていないらもかかわらず、油圧アクチュエータが作動していると判断された時に、各油圧アクチュエータの駆動操作不能を、作動している油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作によってだけでなく、作動している油圧アクチュエータの作動している方向と逆方向に作動させる操作によっても解除するようにしたものであるから、駆動できる油圧アクチュエータをその分多くすることができ、その分対応処置が取り易くできる。
【0043】
なお、第2実施形態の場合は、作動している油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作によってだけでなく、作動している油圧アクチュエータの作動している方向と逆方向に作動させる操作によっても解除するようにしたものであるが、作動している油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作によっての解除をなくし、作動している油圧アクチュエータの作動している方向と逆方向に作動させる操作のみで解除するように実施形態をとるようにすることも可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、管路の油漏れの場合であるが、伸縮制御弁12、起伏制御弁22に配置しているスプールにゴミ噛みにより伸縮制御弁12、起伏制御弁22が一方向に切換わったまま中立位置に戻らなくなった場合に操作レバーを逆方向に操作することでゴミ噛みが直ることも有り得ることから、第2実施形態のような解除はこのような場合に有効に作用させることができる。
【0045】
次に、上記実施形態では、第1駆動停止器15は、伸縮操作指令手段10からの操作信号とブーム長さ検出器13からの作動信号を受けてリレーA0を作動させるようにしたが、伸縮操作指令手段10からの操作信号の代わりに伸縮制御弁駆駆動手段11からの駆動信号を利用するようにしてもよい。同様に、第2駆動停止器25は、起伏操作指令手段20からの操作信号とブーム起伏角出器23からの作動信号を受けてリレーB0を作動させるようにしたが、起伏操作指令手段20からの操作信号の代わりに起伏制御弁駆駆動手段21からの駆動信号を利用するようにしてもよい。
【0046】
更に、上記実施形態では、伸縮制御弁駆動手段11、第1駆動停止手段14、第1解除手段16、第3解除手段18、起伏制御弁駆動手段21、第2駆動停止手段24、第2解除手段26、第4解除手段28、伸縮操作方向検出器10b、伸縮作動方向検出器13a、起伏操作方向検出器20b、起伏作動方向検出器23aを配置した実施形態で説明したが、これらをCPU搭載の演算器で各手段ならびに各検出器の機能、あるいは各手段の機能のみをプログラム処理で行うように構成してもよい。
【0047】
なお、上記実施形態では、クレーン車における伸縮ブーム3の伸縮と起伏用の油圧アクチュエータに関連して説明したが、これらの油圧アクチュエータだけでなく、旋回台2の旋回用油圧アクチェータならびに、ウインチ6用油圧アクチュエータも上記のように関連させて行うようにしてもよいこと勿論である。
【0048】
また、クレーン車のみならず、高所作業車、掘削機、等他の作業機においても同様に実施できること勿論のことである。
【0049】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る作業機の安全装置は、以上の如く作用し構成するものであるから、異常状態となった油圧アクチュエータ以外の操作でもって、各油圧アクチュエータの操作の不能状態を解除して対応処置を可能にし、対応処置を取ることができる。
【0050】
本発明の請求項2に係る作業機の安全装置は、以上の如く作用し構成するものであるから、異常状態となった油圧アクチュエータの作動方向と逆の操作で、各油圧アクチュエータの操作の不能状態を解除して対応処置を可能にすることができ、その分多くの対応処置を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作業機の安全装置を説明する説明図である。
【図2】本発明の作業機の安全装置を説明する説明図で、他の実施形態を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る作業機としてクレーン車を説明する説明図である。
【図4】従来の作業機の安全装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
4 伸縮シリンダ(油圧アクチュエータ)
5 起伏シリンダ(油圧アクチュエータ)
12 伸縮制御弁(制御弁)
22 起伏制御弁(制御弁)
10 伸縮操作指令手段(操作指令手段)
20 起伏操作指令手段(操作指令手段)
11 伸縮制御弁駆動手段(制御弁駆動手段)
21 起伏制御弁駆動手段(制御弁駆動手段)
14 第1駆動停止手段(駆動停止手段)
24 第2駆動停止手段(駆動停止手段)
16 第1解除手段(第1駆動停止解除手段)
26 第2解除手段(第1駆動停止解除手段)
10b 伸縮操作方向検出器(操作方向検出手段)
13a 伸縮作動方向検出器(作動方向検出手段)
18 第3解除手段(第2駆動停止解除手段)
20b 起伏操作方向検出器(操作方向検出手段)
23a 起伏作動方向検出器(作動方向検出手段)
28 第4解除手段(第2駆動停止解除手段)

Claims (2)

  1. 複数の油圧アクチュエータと、油圧源からの油圧を油圧アクチュエータに制御して供給するよう各油圧アクチュエータに対応して配置した複数の制御弁と、各油圧アクチュエータに対応して配置した操作指令手段と、各操作指令手段からの操作信号に基づいて対応した各制御弁に駆動信号を出力する制御弁駆動手段とを備えるとともに、各油圧アクチュエータの作動を検出する作動検出手段と、作動検出手段からの信号と前記各操作指令手段の操作信号または各制御弁駆動手段の駆動信号を受け前記操作信号または駆動信号が出力されないにもかかわらず作動検出手段により油圧アクチュエータの作動を検出する場合に油圧源から各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる駆動停止手段を備えた作業機の安全装置において、前記作動が検出された油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作指令手段の操作信号と各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる前記駆動停止手段からの信号を受け、当該駆動停止手段により各油圧アクチュエータの作動が停止された後に、作動が検出された油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータに対応する操作指令手段から操作信号が出力された時には、各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる前記駆動停止手段を解除する第1駆動停止解除手段を備えたことを特徴とする作業機の安全装置。
  2. 複数の油圧アクチュエータと、油圧源からの油圧を油圧アクチュエータに制御して供給するよう各油圧アクチュエータに対応して配置した複数の制御弁と、各油圧アクチュエータに対応して配置した操作指令手段と、各操作指令手段からの操作信号に基づいて対応した各制御弁に駆動信号を出力する制御弁駆動手段とを備えるとともに、各油圧アクチュエータの作動を検出する作動検出手段と、作動検出手段からの信号と前記各操作指令手段の操作信号または各制御弁駆動手段の駆動信号を受け前記操作信号または駆動信号が出力されないにもかかわらず作動検出手段により油圧アクチュエータの作動を検出する場合に油圧源から各油圧アクチュエータに圧油の供給を停止させる駆動停止手段を備えた作業機の安全装置において、
    各操作指令手段の操作方向を検出する操作方向検出手段と各油圧アクチュエータの作動方向を検出する作動方向検出手段とを配置し、操作方向検出手段と作動方向検出手段と駆動停止手段からの信号を受け、駆動停止手段により各油圧アクチュエータの作動が停止された後に、作動が検出された油圧アクチュエータの作動方向と逆方向への操作指令手段による操作信号が出力された時に、前記駆動停止手段を解除する第2駆動停止解除手段を備えたことを特徴とする作業機の安全装置。
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