JP3939037B2 - 作業機の油圧駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧アクチュエータを第1油圧源で駆動する場合と、第2油圧源からの余剰油を合流させて2つの油圧源からの圧油で駆動させ油圧アクチュエータの駆動速度を上げるようにした場合を有する作業機の油圧駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の作業機として移動式クレーン車Aを例に以下に説明する。図5に図示する如く、移動式クレーン車Aは、車両1上に旋回自在に旋回台2を配置し、旋回台2に起伏自在に伸縮ブーム4を配置している。伸縮ブーム4と旋回台2の適所間には起伏シリンダ5(特許請求の範囲の第2油圧アクチュエータに該当する。)を配置し、伸縮ブーム4を起伏駆動可能に構成している。旋回台2には、油圧モータ6(特許請求の範囲の第1油圧アクチュエータに該当する。)で駆動されるウインチ7が配置されており、ウインチ7から繰り出されたワイヤロープ8は伸縮ブーム4の先端部を経過させ、伸縮ブーム4の先端よりフック9を吊下させている。伸縮ブーム4は順次伸縮自在に嵌挿された複数段のブームからなり各ブーム間には油圧シリンダからなる伸縮シリンダ10(特許請求の範囲の第2油圧アクチュエータに該当する。)ならびにワイヤロープや滑車等で構成される同時伸縮装置が配置されている。このように構成した移動式クレーンAは、フック9に吊荷を吊り下げ伸縮ブーム4を適宜、伸縮,起伏、および旋回台を旋回、ウインチ7を巻き上げ下げさせることで、吊荷を目的の位置に移動させクレーン作業をするようになっている。
【0003】
このように移動式クレーンAを駆動させる起伏シリンダ5、油圧モータ6、伸縮シリンダ10の各油圧アクチュエータは、図6に図示する如く駆動制御されるようになっている。ウインチ7を駆動する油圧モータ6は、ウインチ操作手段6a(特許請求の範囲の第1操作手段に該当する。)からの操作信号に基づいてウインチ制御出力手段6b(特許請求の範囲の第1制御出力手段に該当する。)からの制御信号がウインチ用制御弁6c(特許請求の範囲の第1制御弁に該当する。)に出力されて駆動される。起伏シリンダ5は、起伏操作手段5a(特許請求の範囲の第2操作手段に該当する。)からの操作信号に基づいて起伏制御出力手段5b(特許請求の範囲の第2制御出力手段に該当する。)からの制御信号が起伏用制御弁5c(特許請求の範囲の第2制御弁に該当する。)に出力されて駆動される。伸縮シリンダ10は、伸縮操作手段10a(特許請求の範囲の第2操作手段に該当する。)からの操作信号に基づいて伸縮制御出力手段10b(特許請求の範囲の第2制御出力手段に該当する。)からの制御信号が伸縮用制御弁10c(特許請求の範囲の第2制御弁に該当する。)に出力されて駆動される。
【0004】
そして各油圧アクチュエータは、図7に図示する如く油圧回路が構成されている。すなわち、油圧モータ6には、第1油圧ポンプ11からの吐出油をウインチ用制御弁6cを経て供給するように構成している。起伏シリンダ5および伸縮シリンダ10には、第2油圧ポンプ12からの吐出油を夫々起伏用制御弁5cおよび伸縮用制御弁10cを経て供給するように構成している。
【0005】
ウインチ用制御弁6cは、電磁比例制御弁で構成され、第1油圧ポンプ11の吐出油をキャリーオーバさせるキャリーオーバ油路を有し、このキャリーオーバ油路を閉鎖して油圧モータ6の給排ポートを第1油圧ポンプ11からの圧力ポートとタンクポートに接続する正逆2位置と、キャリーオーバ油路を連通し油圧モータ6の給排ポートと第1油圧ポンプ11からの圧力ポートとタンクポートを閉鎖する中立位置を備えている。また起伏用制御弁5cおよび伸縮用制御弁10cは、電磁比例制御弁で構成され、第2油圧ポンプ12の吐出油を各起伏シリンダ5および伸縮シリンダ10の給排ポートを第2油圧ポンプ12からの圧力ポートとタンクポートに接続する正逆2位置と、それぞれのポートを閉鎖する中立位置を備えている。
【0006】
また、起伏用制御弁5cと伸縮用制御弁10cの前段の油路(第2油圧ポンプ12の吐出油路13)からウインチ用制御弁6cの前段(第1油圧ポンプ11の吐出油路14)をシーケンス弁15(特許請求の範囲の切換弁に該当する。)を介して接続するバイパス油路16を設けており、このバイパス油路16には第1油圧ポンプ11の吐出油路14方向への作動油の流れを許容し逆流を阻止する逆止弁17を介装すると共に、逆止弁17よりも第2油圧ポンプ12の吐出油路13側にシーケンス弁15を介装している。
【0007】
シーケンス弁15は、第2油圧ポンプ12の吐出油路13の圧力をパイロツト油路18を通して受け入れこの圧力により開き方向に付勢されるとともに、シャトル弁19を介して起伏シリンダ5の給排油路20,21に接続されたパイロツト油路22と、シャトル弁23を介して伸縮シリンダ10の給排油路24,25に接続されたパイロツト油路26との圧力を、シャトル弁27を介してパイロット油路28を通して受け入れ、この圧力とスプリング29により閉じる方向に付勢されている。
【0008】
従って、シーケンス弁15は、第2油圧ポンプ12の吐出油路13の圧力がパイロット油路28の圧力に対して一定以上高くなると開路する。バイパス油路16は、シーケンス弁15の開路時に第2油圧ポンプ12の吐出油路13から第1油圧ポンプ11の吐出油路14方向への作動油の流れを許容する。吐出油路13と吐出油路14には、最高圧力を規制するために各吐出油路とタンク間に設けたリリーフ弁30,31が設けてある。
【0009】
このように構成された移動式クレーンAを駆動させる起伏シリンダ5、油圧モータ6、伸縮シリンダ10の各油圧アクチュエータは、次のようにして駆動させる。すなわち、伸縮ブーム4を起伏させる時には起伏操作手段5aを操作し起伏用制御弁5cを制御して起伏シリンダ5を第2油圧ポンプ12からの吐出油で駆動させる。また伸縮ブーム4を伸縮させる時も伸縮操作手段10aを操作し伸縮用制御弁10cを制御し伸縮シリンダ10を第2油圧ポンプ12からの吐出油で駆動させる。
【0010】
ウインチ7を駆動させ吊荷を上昇あるいは下降させる時には、ウインチ操作手段6aを操作し油圧モータ6を駆動させるのであるが、この時に伸縮ブーム4を起伏あるいは伸縮させて第2油圧ポンプ12からの吐出油が起伏シリンダ5あるいは伸縮シリンダ10に供給され余剰油が発生しない場合(シーケン弁15が閉鎖している時)は第1油圧ポンプ11からの吐出油で駆動し、伸縮ブーム4を起伏あるいは伸縮させていない時あるいは伸縮ブーム4を起伏あるいは伸縮させているが余剰油が発生している場合にはシーケス弁15が開路して第1油圧ポンプ11からの吐出油に第2油圧ポンプ12からの吐出油が合流して駆動され、油圧モータ6の回転速度が増してウインチ7による吊荷の上昇あるいは下降速度を増加させるようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのように構成された従来の作業機の制御装置は、次のような問題を有していた。すなわち、ウインチ操作手段6aを操作してウインチ7により吊荷を上昇あるいは下降させながら、起伏操作手段5aあるいは伸縮操作手段10aを操作して伸縮ブーム4を起伏あるいは伸縮させてクレーン作業している状態から、起伏操作手段5aあるいは伸縮操作手段10aを操作を急に微速操作まであるいは中立位置にまで戻す操作をし、第2油圧ポンプ12からの吐出油が余剰油として急にシーケンス弁15を介して第1油圧ポンプ11からの吐出油に合流するような状態にした時、油圧モータ6は合流により油圧モータ6の回転速度が急増してウインチによる吊荷が急上昇する状態になる。この時比較的軽い吊荷の場合吊荷が跳ね上がり、吊具がフック9より外れて吊荷が落下するといった事故が起こりかねないものであった。
本発明は、上記課題を解決した作業機の油圧駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の作業機の油圧駆動制御装置は、第1油圧アクチュエータを駆動制御するための第1制御弁に第1操作手段からの操作信号に基づいて第1制御信号を出力する第1制御出力手段と、第2油圧アクチュエータを駆動制御するための第2制御弁に第2操作手段からの操作信号に基づいて第2制御信号を出力する第2制御出力手段と、前記第1制御弁を経て第1油圧アクチュエータに圧油を供給する第1油圧源と、前記第2制御弁を経て第2油圧アクチュエータに圧油を供給する第2油圧源と、前記第2制御弁の前段の油路から第1制御弁の前段を切換弁を介して接続するバイパス油路とを備え、第2油圧源に余剰油が発生する場合には前記切換弁により前記バイパス油路を経て当該余剰油を第1油圧源に合流させるようにした作業機の油圧駆動制御装置において、
前記第2油圧源からの吐出油量と第2油圧アクチュエータへの供給油量とにより第2油圧源からの余剰油量を算出する余剰油量算出手段と、余剰油量算出手段で求めた余剰油量を単位時間当たりの増加量として求める増加量算出手段とからなる余剰油量増加判別手段と、前記第1油圧アクチュエータに供給される余剰油量または合流油量の制御をする合流油量規制手段とを設け、合流油量規制手段は、余剰油量増加判別手段からの信号により余剰油量の単位時間当たりの増加量に応じて余剰油量または合流油量を一時規制しその後徐々に元に復帰させるよう制御することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の作業機の油圧駆動制御装置について図1〜図4に図示し以下に説明する。なお、本発明を説明するにあたって従来の技術で説明した移動式クレーン車Aに実施した場合を例に以下に説明する。したがって、従来の技術で説明した符号1〜符号31,符号5a〜符号5c,符号6a〜符号6c,符号10a〜符10c,符号Aは以下においても同じものとして使用し、詳細な説明を省略する。
【0014】
図1において、40は、第2油圧ポンプ12から吐出される油量に余剰油が発生し、この余剰油量の急増を判別する余剰油量増加判別手段であって、次のように構成している。41は、起伏制御出力手段5bから出力される制御信号を受けて起伏シリンダ5に供給される供給油量を算出する起伏シリンダ供給油量算出手段である。42は、伸縮制御出力手段10bから出力される制御信号を受けて伸縮シリンダ10に供給される供給油量を算出する伸縮シリンダ供給油量算出手段である。43は、起伏シリンダ供給油量算出手段41と伸縮シリンダ供給油量算出手段42からの出力信号を受けて第2油圧ポンプ12からの余剰油量を算出する余剰油量算出手段である。すなわち、第2油圧ポンプ12はエンジンにより一定回転しており第2油圧ポンプ12からの吐出油量は予め決まっているものであるから、起伏シリンダ5と伸縮シリンダ10に供給される油量が求まれば第2油圧ポンプ12からの余剰油量を求めることができる。ここでエンジン回転が一定回転でない場合は、エンジン回転検出器を取付けこの検出器から検出されるエンジン回転から第2油圧ポンプ12からの吐出油量を求めればよい。あるいは直接第2油圧ポンプ12からの吐出油量を流量計等により計測して求めてもよい。44は、余剰油量算出手段43からの出力信号を受けて、余剰油量算出手段43で求めた余剰油量を単位時間当たりの増加量として求める増加量算出手段である。
【0015】
45は、増加量算出手段44からの出力信号を受けて余剰油量の増加量に応じてウインチ制御出力手段6bから出力される制御信号を一時減衰させた後徐々にもとのウインチ制御出力手段6bから出力される制御信号に戻す信号をウインチ用制御弁6cに出力させる合流油量規制手段である。すなわち、油圧ポンプ12からの余剰油量が増した場合には、第1油圧ポンプ11の吐出油に合流することにより油圧モータ6の回転速度が急に増加しないよう合流油量規制手段45が余剰油量の増加量に応じてウインチ用制御弁6cへの出力信号を一時的に減衰させその後徐々に元の信号に復帰させるようにし、余剰油量の急増加にともなって油圧モータ6の回転速度を急に増加させず緩やかに増加させるようにしたものである。
【0016】
このように構成した本発明に係る移動式クレーン車は、次のように作用する。ウインチ7により吊荷を上昇させながら、伸縮ブーム4を起伏作動させている時に、急に起伏作動を中止させたり、その作動を微速作動させると図7で説明したように、第2油圧ポンプ12からの吐出油が前記シーケンス弁15を介してバイパス油路16から第1油圧ポンプ11の吐出油に合流する余剰油量が増加する。この時起伏シリンダ供給油量算出手段41は、起伏シリンダ5に供給される供給油量を算出し、余剰油量算出手段43は起伏シリンダ供給油量算出手段41からの出力信号を受けて余剰油量を算出する。増加量算出手段44は、余剰油量算出手段43からの信号を受けて余剰油量を単位時間当たりの増加量として求める。合流油量規制手段45は、増加量算出手段44からの出力信号を受けて余剰油量の増加に応じてウインチ制御出力手段6bから出力される制御信号を一時減衰させその後徐々に元の信号に復帰させる。
【0017】
すなわち、油圧ポンプ12からの余剰油量が急増した場合には、第2油圧ポンプ12からの余剰油が第1油圧ポンプ11の吐出油に合流することにより油圧モータ6の回転速度が急に増加しないよう合流油量規制手段45が余剰油量の増加量に応じてウインチ用制御弁6cへの出力信号を一時的に減衰させその後徐々に元の信号に復帰させるようにし、余剰油量が急増加する状態になっても油圧モータ6の回転速度を緩やかに増加させるように作用する。したがって、ウインチ7の急回転による吊荷が急上昇することはなく、吊荷の急上昇に伴い吊荷が跳ね上がり、吊具がフック9より外れて吊荷が落下するといった事故が起こることを防止できる。
【0018】
なお、上記ではウインチ7により吊荷を上昇させながら、伸縮ブーム4を起伏作動させている時に、急に起伏作動を中止させたり、その作動を急に微速にさせた場合を説明したが、伸縮ブーム4を起伏作動させずに伸縮させる場合についても同様に作用する。この場合は伸縮ブーム10に供給される供給油量を伸縮シリンダ供給油量算出手段42で算出すればよい。また、ウインチ7により吊荷を上昇させながら、伸縮ブーム4を起伏ならびに伸縮作動させている時に、急に起伏あるいは伸縮または起伏と伸縮の作動を中止させたり、その作動を急に微速にさせた場合についても同様に作用する。これらの場合の作用については図1から容易に理解できるので詳細な説明は省略する。
【0019】
また、上記実施形態においては、起伏シリンダ5に供給される供給油量を起伏制御出力手段5bからの制御信号を取り出して求めるようにしたが、起伏操作手段5aからの操作信号を取り出して求めるようにしてもよい。同様に、伸縮シリンダ10に供給される供給油量を伸縮制御出力手段10bからの制御信号を取り出して求めるようにしたが、伸縮操作手段10aからの操作信号を取り出して求めるようにしてもよい。更に、各油圧アクチュエータに供給される油量を流量計等を用いて直接検出し求めるようにしてもよい。
【0020】
更に、上記実施形態では、第2油圧アクチュエータを2個備えた作業機で説明したが、1個しか備えていない作業機でも実施できること勿論である。
【0021】
次に、本発明に係る他の実施形態について図2〜図3に基づいて説明する。図2に図示するものは、図1で説明したものと同じ構成部分を用いているので同じ構成部分については同符号を用い詳細な説明は省略する。図2において46は、合流油量規制手段であって、次に説明する電磁式可変リリーフ弁47とリリーフ弁制御手段48で構成している。47は、図3に図示する如くシーケンス弁15と逆止弁17間のバイパス油路16とタンク間に介装した電磁式可変リリーフ弁である。リリーフ弁制御手段48は、増加量算出手段44から増加余剰油量に応じて信号が出力されシーケンス弁5を介して送られた余剰油が一時電磁式可変リリーフ弁47によりタンクに帰還し、その後徐々に余剰油を第1油圧ポンプ11の吐出油に合流させ、最後には電磁式可変リリーフ弁47からタンクに余剰油を帰還させずに余剰油のすべてを第1油圧ポンプ11の吐出油に合流させるようにする制御信号を電磁式可変リリーフ弁47に出力するようにしてある。
【0022】
このように構成した実施形態においても同様に作用する。すなわち、油圧ポンプ12からの余剰油量が急増した直後では、余剰油が急増したことを増加量算出手段44からの信号を受けてリリーフ弁制御手段48は、余剰油量の増加量に応じて電磁式可変リリーフ弁47からタンクへ余剰油を帰還させ、ウインチ7の油圧モータ6の回転は変化しないように制御する。次にリリーフ弁制御手段48は、徐々に余剰油を第1油圧ポンプ11の吐出油に合流させ、最後には電磁式可変リリーフ弁47からタンクに余剰油を帰還させずに余剰油のすべてを第1油圧ポンプ11の吐出油に合流させるようする。よって、余剰油の急な合流変化があっても徐々にウインチ7の油圧モータ6の回転を合流前の回転速度から合流時の回転速度に上げることができるものだから、ウインチ7の急回転による吊荷が急上昇することはなく、吊荷の急上昇に伴い吊荷が跳ね上がり、吊具がフック9より外れて吊荷が落下するといった事故が起こることを防止できる。
【0023】
なお、上記実施形態においても、ウインチ7により吊荷を上昇させながら、伸縮ブーム4を起伏作動させている時に、急に起伏作動を中止させたり、その作動を急に微速にさせた場合だけでなく、伸縮ブーム4を起伏作動させずに伸縮させる場合についても同様に作用する。また、ウインチ7により吊荷を上昇させながら、伸縮ブーム4を起伏ならびに伸縮作動させている時に、急に起伏あるいは伸縮または起伏と伸縮作動を中止させたり、その作動を急に微速にさせた場合についても同様に作用すること勿論のことである。
【0024】
次に本発明を適用する作業機には油圧シリンダが急にストロークエンドに達すると作業機にショックが生じることから、油圧シリンダがストロークエンドに達する手前から油圧シリンダを緩停止させるような制御が施されている。このような制御が行われている作業機にも本発明を適用すると一層有効に作用する。例えば移動式クレーン車に適用した場合を図4に図示し以下に説明する。
【0025】
図4に示す構成には図3で説明したものと同じ構成部分を用いているので同じ構成部分については同符号を用い詳細な説明は省略する。図4において5dは起伏角検出器であって、伸縮ブーム4の起伏角を検出する検出器である。10dは、ブーム長さ検出器であって、伸縮ブーム4の長さを検出する検出器である。起伏制御出力手段5bは、通常起伏操作手段5aからの操作信号に基づいて起伏用制御弁5cへ制御信号を出力するものであるが、起伏角検出器5dからの信号を受け起伏シリンダ5がストロークエンド近くになったことを判断し、起伏シリンダ5がストロークエンド近くになったことを判断した時は、起伏用制御弁5cへ制御信号を減衰させるようにしている。
【0026】
同様に伸縮シリンダ10についても伸縮制御出力手段10bは、ブーム長さ検出器10dから信号を受け伸縮ブーム4がストロークエンド近くになったことを判断し、伸縮ブーム4がストロークエンド近くになったことを判断した時は、伸縮用制御弁10cへ制御信号を減衰させるようにしている。
【0027】
このように、起伏ならびに伸縮シリンダにストロークエンド時の緩停止制御が施されていると、クレーン車のオペレータはウインチ7と伸縮,起伏の同時操作をしている時に、伸縮,起伏の操作を急に戻す操作をしなくても起伏あるいは伸縮シリンダがストロークエンドに近接する時には伸縮あるいは起伏の操作を急に微速操作にしたのと同様な状態になる。よってこの時には第2油圧ポンプ12からの吐出油は、第1油圧ポンプ11の吐出油に合流することになり、ウインチ7の急回転による吊荷が急上昇し、急上昇に伴い吊荷が跳ね上がり、吊具がフック9より外れて吊荷が落下するといった事故が起こることがあった。特にこのような場合は、操作を変更していないにもかかわらずしかもクレーンのオペレータは意図してない時に急に起こることから事故につながり易いものとなっていた。このような場合であっても図4に図示する如く、上記に説明した本発明に係る構成を取ることにより上記問題を同様に解決することができる。
【0028】
上記実施形態の説明では移動式クレーン車に適用した場合で説明したが、他の作業機(例えば高所作業車、掘削機、等の作業機)の油圧駆動制御装置に適用できること勿論のことである。
【0029】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本発明の作業機の油圧駆動制御装置は、余剰油の合流により油圧アクチュエータの駆動速度を増加させる場合は急に増加させずに徐々に増加させるようにしたものであるから、油圧アクチュエータの駆動速度が急に増加することによる事故の防止をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業機の油圧駆動制御装置の実施形態を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る作業機の油圧駆動制御装置の他の実施形態を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る作業機の油圧駆動制御装置の他の実施形態の油圧回路を説明する説明図である。
【図4】本発明に係る作業機の油圧駆動制御装置の他の実施形態を説明する説明図である。
【図5】移動式クレーン車を説明する説明図である。
【図6】従来の作業機の油圧駆動制御装置を説明する説明図である。
【図7】従来の作業機の油圧駆動制御装置の油圧回路を説明する説明図である。
【符号の説明】
6 油圧モータ(第1油圧アクチュエータ)
6a ウインチ操作手段(第1操作手段)
6b ウインチ制御出力手段(第1制御出力手段)
6c ウインチ用制御弁(第1制御弁)
5 起伏シリンダ(第2油圧アクチュエータ)
5a 起伏操作手段(第2操作手段)
5b 起伏制御出力手段(第2制御出力手段)
5c 起伏用制御弁(第2制御弁)
10 伸縮シリンダ(第2油圧アクチュエータ)
10a 伸縮操作手段(第2操作手段)
10b 伸縮制御出力手段(第2制御出力手段)
10c 伸縮用制御弁(第2制御弁)
11 第1油圧ポンプ(第1油圧源)
12 第2油圧ポンプ(第2油圧源)
15 シーケンス弁(切換弁)
40 余剰油量増加判別手段
45 合流流量規制手段
46 合流流量規制手段
Claims (1)
- 第1油圧アクチュエータを駆動制御するための第1制御弁に第1操作手段からの操作信号に基づいて第1制御信号を出力する第1制御出力手段と、第2油圧アクチュエータを駆動制御するための第2制御弁に第2操作手段からの操作信号に基づいて第2制御信号を出力する第2制御出力手段と、前記第1制御弁を経て第1油圧アクチュエータに圧油を供給する第1油圧源と、前記第2制御弁を経て第2油圧アクチュエータに圧油を供給する第2油圧源と、前記第2制御弁の前段の油路から第1制御弁の前段を切換弁を介して接続するバイパス油路とを備え、第2油圧源に余剰油が発生する場合には前記切換弁により前記バイパス油路を経て当該余剰油を第1油圧源に合流させるようにした作業機の油圧駆動制御装置において、
前記第2油圧源からの吐出油量と第2油圧アクチュエータへの供給油量とにより第2油圧源からの余剰油量を算出する余剰油量算出手段と、余剰油量算出手段で求めた余剰油量を単位時間当たりの増加量として求める増加量算出手段とからなる余剰油量増加判別手段と、前記第1油圧アクチュエータに供給される余剰油量または合流油量の制御をする合流油量規制手段とを設け、合流油量規制手段は、余剰油量増加判別手段からの信号により余剰油量の単位時間当たりの増加量に応じて余剰油量または合流油量を一時規制しその後徐々に元に復帰させるよう制御することを特徴とする作業機の油圧駆動制御装置。
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