JP4757040B2 - ポリ乳酸組成物製の繊維からなる不織布 - Google Patents
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Description
前記した合成繊維は、一般には自然環境では安定で、分解しにくいため、使用後に一部は回収されて再利用されているものの、大半は焼却処分されている。焼却によって発生する炭酸ガスは、地球の温暖化の原因の一つになっており、またポリハロゲン化ビニル繊維のようなハロゲンを含有する重合体からなる繊維、アクリル繊維などの窒素などのヘテロ原子を有する重合体からなる繊維は焼却により有害ガスが発生し易い。
また、石油系資源には限りがあり、石油系資源の供給量が低減したり、石油系資源が枯渇したときには、石油系資源を原料とする合成繊維は、製造コストの大幅な上昇を招き易く、場合によっては製造が困難になることが予想されている。
さらに、有限な石油系資源を用いずに、繰り返して生産可能な資源を原料として製造することができ、しかも従来汎用の熱可塑性合成繊維などと同じように溶融紡糸によって製造することのできる繊維についての研究、開発が近年進められている。
ポリ乳酸は、通常、乳酸2分子間の脱水縮合・環化物であるラクチドの開環重合、乳酸の直接重合などにより製造されている。ポリ乳酸の製造原料である乳酸は、繰り返して生産が可能な植物に由来する原料、例えば穀類、豆類、イモ類などに含まれる炭水化物(澱粉など)を分解して得られる糖、サトウキビなどに含まれる糖を原料として用いて、それを乳酸発酵させることによって製造することができる。
ポリ乳酸は、生分解性であり、使用後に自然環境下に放置したり、土中に埋めたときに徐々に分解する。また、使用済みのポリ乳酸を焼却した場合には石油系資源を原料とするプラスチックと同様に炭酸ガスが発生する。しかしながら、ポリ乳酸の原料となる植物はその生育時、特に植物体内に炭水化物などを形成するための光合成時に、空気中の炭酸ガスを利用(吸収)するため、ポリ乳酸の焼却によって発生した炭酸ガスはポリ乳酸の原料となる植物によって吸収されるという炭酸ガスの発生−消費サイクルが成り立ち、結局、トータルではポリ乳酸を焼却しても大気中の炭酸ガスの増加は生じず、地球環境に優しい材料であるといえる。かかる点で、焼却処分すると一方的に炭酸ガスを発生する石油系資源を原料とするプラスチックに比べて大きな長所を有している。
しかも、特許文献1および2には、ポリ乳酸製繊維またはポリ乳酸組成物製繊維からなる不織布の乾熱収縮率に着目した記載は全くなされておらず、そのため当該不織布の熱収縮率の低減についても一切記載されていない。
さらに、本発明者らは、その際に、ポリ乳酸組成物に用いるポリオレフィンとしてはポリプロピレンを用いるのが好ましいこと、不織布を形成する繊維の平均繊維径および目付を特定の範囲にすることが好ましいこと、また前記した不織布ではその結晶化発熱ピーク温度が100℃以下になっていて、それによって20%以下の低い乾熱収縮率が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1) メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kgで測定)が3g/10分以上のポリ乳酸と、メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kgで測定)が250g/10分以上のポリプロピレンを、当該ポリ乳酸:当該ポリプロピレン=50:50〜99:1の質量比で含有するポリ乳酸組成物より形成した繊維からなる不織布であって、100℃での乾熱収縮率が20%以下であることを特徴とする不織布である。
(2) 示差走査熱分析において、100℃以下に結晶化発熱ピークを有する前記(1)の不織布;および、
(3)平均繊維径が0.1〜50μmおよび目付が0.1〜300g/m2のメルトブローン不織布である前記(1)または(2)の不織布;
である。
そして、本発明は、
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの不織布を用いてなるフィルターである。
本発明の不織布は、生分解性のポリ乳酸から主として形成されているために、使用後は微生物によって分解させて処理することができる。
本発明の不織布の主体をなすポリ乳酸は、石油系資源によらず、光合成によって繰り返して生産が可能な植物を原料として得られるために、本発明の不織布は、地球資源の枯渇や自然環境の悪化防止の点からも有用である。
本発明の不織布は、植物を原料として得られる安全性の高いポリ乳酸から主として形成されているために、コーヒーフィルター、ティーパックフィルターなどの食品材料用のフィルターとして有効に使用でき、さらにはマスクフィルター、エアフィルター、液体フィルターなどの各種フィルター、他の素材(例えばポリ乳酸のみからなる不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布など)と積層および/または複合した各種複合シート(例えば農業用シート、建材シートなど)、プリーツフィルター、作業着、キャップなどの用途にも有効に使用することができる。
本発明の不織布は、ポリ乳酸を主体とするポリ乳酸組成物から形成した繊維から製造されている。
乳酸には、L−乳酸、D−乳酸およびL−乳酸とD−乳酸の混合体(ラセミ体)が存在し、ポリ(L−乳酸)単独重合体およびポリ(D−乳酸)単独重合体の融点は一般に180℃程度である。ポリ乳酸におけるL−乳酸およびD−乳酸の共重合比率を調整することで、ポリ乳酸の融点、結晶性などを調整することができる。
ポリ乳酸としては、結晶性のポリ乳酸、非結晶性ポリ乳酸およびそれらの混合物のいずれもが使用でき、そのうちでも結晶性のポリ乳酸を用いることが、不織布の乾熱収縮率が一層小さくなる点から望ましい。一般的には、ポリ乳酸におけるL−乳酸の含有率を高くするほど結晶性が高くなる。
ポリ乳酸が含有していてもよい他の共重合単位としては、例えば、グリコール、ジカルボン酸、乳酸以外のヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどに由来する構造単位を挙げることができる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキサイドを付加したグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール類;シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカンジオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、ピバロラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2オンなどのラクトン;などに由来する構造単位を挙げることができる。本発明で用いるポリ乳酸(A)、必要に応じて、前記した他の共重合単位の1種または2種以上を有していることができる。
ポリプロピレンとして、MFR(230℃、2.16kg)が前記した250g/10分以上のものを使用することで、相溶化剤を特に用いなくてもポリ乳酸とポリプロピレンとが良好に混合して、乾熱収縮率の小さい不織布を円滑に得ることができる。
ポリ乳酸とポリプロピレンの合計質量に基づいて、ポリ乳酸の割合が50質量%未満であると(ポリプロピレンの割合が50質量%を超えると)、石油系資源に由来せずに植物に由来し、且つ生分解性に優れる不織布を提供するという本発明の目的から外れたものとなる。
ポリ乳酸とポリプロピレンの合計質量に基づいて、ポリ乳酸の割合が99質量%を超えると(ポリプロピレンの割合が1質量%未満であると)、乾熱収縮率の小さい不織布が得られなくなる。
また、ポリプロピレンを配合せずに非結晶性のポリ乳酸のみを用いて製造したメルトブローン不織布では、DSCにおいて結晶化ピークがブロードにしか発現せず、シャープな結晶化発熱ピーク温度はなく、その乾熱収縮率は一般に30%以上と高い値であったが、非結晶性のポリ乳酸にMFR(230℃、2.16kg)が250g/10分以上のポリプロピレンをポリ乳酸に対して等量以下で配合したポリ乳酸組成物を用いてメルトブローン不織布を製造することで、DSCにおいて100℃以下の結晶化発熱ピークがシャープに発現すると共に、不織布の乾熱収縮率が20%以下に大きく低減した。
これは、もともと配向結晶化の少ないポリ乳酸製のメルトブローン不織布において、ポリ乳酸にMFR(230℃、2.16kg)が250g/10分以上のポリオレフィン(特にポリプロピレン)を等量以下の割合で配合したポリ乳酸組成物を用いることで、不織布を製造する際の結晶化速度が速くなり、結晶化が部分的に促進されることで、不織布の乾熱収縮率の低下が達成されたものと推測される。
ここで、本明細書でいう「不織布のDSCによる結晶化発熱ピーク」とは、JIS K7121に従って、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した時の結晶化発熱ピークをいい、その詳細は以下の実施例に記載するとおりである。
ここで、本明細書でいう不織布を形成する繊維の平均繊維径は、不織布を電子顕微鏡にて写真撮影し(倍率1000倍)、写真中の任意の未融着繊維50本の径を測定して、その平均値を採ったときの平均繊維径をいう。
ここで、本願明細書でいう不織布の目付は、不織布から一辺が20cmの正方形の試験片を採取し、その試験片についてJIS L 1096に準拠して、幅方向に沿って3カ所の目付を測定して、その平均値として得られる目付をいう。
そのうちでも、本発明の不織布は、メルトブローン不織布であることが、乾熱収縮率が20%以下の不織布が得られ易く、製造が容易であり、細繊維よりなる不織布が得られ易いなどの点から好ましい。
メルトブローン法によって本発明の不織布を製造する場合は、従来から知られているメルトブローン法による不織布の製造技術に準じて製造することができる。
例えば、上記特定のMFRを有するポリ乳酸とポリプロピレンを本発明で規定する上記特定の比率で含有するポリ乳酸組成物を、メルトブローン不織布製造装置に供給して、そのエクストルーダーで140〜220℃で溶融した後、複数の紡糸孔が一列に配列した口金から温度230〜300℃で吐出すると同時に紡糸孔の近傍に設けたスリットから230〜300℃の加熱空気を噴出させて吐出した繊維を細化し、それを下方に位置するネットコンベアなどの上に捕集することによって製造することができる。
さらに、短繊維ステープルを用いる場合は、上記したポリ乳酸組成物を溶融紡糸装置に供給して通常の溶融紡糸法と同様にして200〜250℃で溶融紡糸し、口金から紡出された繊維を冷却しつつ引き取りロールで1000〜5000m/分で引き取って多数のフィラメントを製造し、該多数のフィラメントを集束してトウにし、そのトウを加熱延伸した後、必要に応じて捲縮処理、その後に所定長さの短繊維に切断し、該短繊維から所定の厚さの不織ウエブをつくり、その不織ウエブをニードルパンチングにより絡合したり、熱ロールによる圧着や接着剤で短繊維同士を接合させて不織布とする方法などを採用することができる。
以下の例において、ポリ乳酸およびポリプロピレンのMFR、不織布を形成する繊維の平均繊維径、不織布の目付、不織布の乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度および融点は、以下の方法で測定した。
MFRの測定装置(宝工業株式会社製「L244」)を使用して、JIS K 7210に従って、温度190℃および荷重2.16kgの条件下でポリ乳酸のMFRを測定した。
(2)ポリプロピレンのMFR:
MFRの測定装置(宝工業株式会社製「L244」)を使用して、JIS K 7210に従って、温度230℃および荷重2.16kgの条件下でポリプロピレンのMFRを測定した。
不織布を電子顕微鏡にて写真撮影し(倍率1000倍)、写真中の任意の未融着繊維50本の径を測定して、その平均値を採って平均繊維径とした。
(4)不織布の目付:
不織布から一辺が20cmの正方形の試験片を採取し、JIS L 1096に準拠して、試験片の幅方向に沿って3カ所の目付を測定し、その平均値を採って不織布の目付とした。
不織布から、幅5cm×長さ30cmの試験片を切り出し、その試験片を温度100℃の恒温オーブン内に入れて1分間放置して加熱した後、オーブンから取り出し、室温に冷却し、下記の数式から幅方向および長さ方向の乾熱収縮率をそれぞれ求めた。
不織布の乾熱収縮率(%)={(A0−A1)/A0}×100
[式中、A0は、オーブンに入れる前の試験片の幅寸法または長さ寸法(cm)、A1は恒温オーブン内で1分間加熱した後に取り出して室温に冷却したときの試験片の幅寸法または長さ寸法(cm)を示す。]
不織布から約6mgの試料を採取し、DSC装置(株式会社島津製作所製「DSC−60A」)を使用して、JIS K 7121に従って、昇温速度10℃/分の条件下に測定を行なってDSC曲線を描き、そのDSC曲線から結晶化発熱ピーク(Tch)(℃)および融点(Tm)(℃)を求めた。
(1) ポリ乳酸[ネイチャーワークス社製、MFR(190℃、2.16kg)=60g/10分、D−乳酸の共重合割合=1.4モル%]のペレットを60℃で5時間乾燥した。
(2) ポリプロピレン[MFR(230℃、2.16kg)=900g/10分]のペレットを60℃で5時間乾燥した。
(3) 上記(1)の乾燥後のポリ乳酸ペレットと上記(2)の乾燥後のポリプロピレンを80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを、メルトブローン不織布製造装置に供給して、そのエクストルーダーで200℃で溶融した後、紡糸孔数が1300孔/mの口金から紡糸温度240℃および吐出量270g/mで吐出すると同時に紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度240℃、圧力0.4MPa(4.0kg/cm2)の熱風を噴出させて吐出した繊維を細化し、それを口金の15cm下方に位置するネットコンベア上に捕集して、メルトブローン不織布を製造した。
メルトブローン不織布の製造に当っては、ショット(ポリマー塊)および風綿の発生がなく、良好な工程性であった。
(4) 上記(3)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例1で使用したのと同じポリ乳酸のペレットを60℃で5時間乾燥したものと、実施例1で使用したのと同じポリプロピレンのペレットを60℃で5時間乾燥したものを、90:10の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。メルトブローン不織布の製造に当っては、ショットおよび風綿の発生がなく、良好な工程性であった。
(2) 上記(1)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ポリ乳酸[ネイチャーワークス社製、MFR(190℃、2.16kg)=8g/10分、D−乳酸の共重合割合=4モル%]のペレットを60℃で5時間乾燥した。
(2) 上記(1)の乾燥後のポリ乳酸のペレットと、実施例1で使用したのと同じポリプロピレンのペレットを60℃で5時間乾燥したものを、80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。メルトブローン不織布の製造に当っては、ショットおよび風綿の発生がなく、良好な工程性であった。
(3) 上記(2)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) ポリ乳酸[ネイチャーワークス社製、MFR(190℃、2.16kg)=18g/10分、D−乳酸の共重合割合=1.4モル%]のペレットを60℃で5時間乾燥した。
(2) 上記(1)の乾燥後のポリ乳酸のペレットと、実施例1で使用したのと同じポリプロピレンのペレットを60℃で5時間乾燥したものを、80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。メルトブローン不織布の製造に当っては、ショットおよび風綿の発生がなく、良好な工程性であった。
(3) 上記(2)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例1で使用したのと同じポリ乳酸のペレットを60℃で5時間乾燥したものと、ポリプロピレン[MFR(230℃、2.16kg)=300g/10分]のペレットを60℃で5時間乾燥したものを、80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。メルトブローン不織布の製造に当っては、ショットおよび風綿の発生がなく、良好な工程性であった。
(2) 上記(1)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(1) 実施例1で使用したのと同じポリ乳酸のペレット[MFR(190℃、2.16kg)=60g/10分]を60℃で5時間乾燥したものを単独で使用して、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。
(2) 上記(1)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(1) 実施例3で使用したのと同じポリ乳酸のペレット[MFR(190℃、2.16kg)=8g/10分]を60℃で5時間乾燥したものを単独で使用して、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。
(2) 上記(1)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(1) 実施例1で使用したのと同じポリ乳酸のペレットを60℃で5時間乾燥したものと、ポリプロピレン[MFR(230℃、2.16kg)=50g/10分]のペレットを60℃で5時間乾燥したものを、80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造した。
(2) 上記(1)で得られたメルトブローン不織布の平均繊維径、目付、乾熱収縮率並びに結晶化発熱ピーク温度(Tch)および融点(Tm)を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
実施例1で使用したのと同じポリ乳酸のペレットを60℃で5時間乾燥したものと、ポリブチレンテレフタレートのペレットを60℃で5時間乾燥したものを、80:20の質量比で混合した後、その混合ペレットを用いて、実施例1の(3)と同様にしてメルトブローン不織布を製造しようとしたところ、ショットが発生して、メルトブローン不織布を製造することができなかった。
それに対して、ポリプロピレンを配合せずに、ポリ乳酸を用いて製造した比較例1および2の不織布、ポリ乳酸にポリブチレンテレフタレートを配合して製造した比較例3の不織布、およびポリ乳酸にMFR(230℃、2.16kg)が250g/10分よりも小さいポリプロピレンを配合して製造した不織布は、いずれも100℃での乾熱収縮率が大きく、加熱加工時に変形したり、寸法変化を生じ易い。
Claims (4)
- メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kgで測定)が3g/10分以上のポリ乳酸と、メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kgで測定)が250g/10分以上のポリプロピレンを、当該ポリ乳酸:当該ポリプロピレン=50:50〜99:1の質量比で含有するポリ乳酸組成物より形成した繊維からなる不織布であって、100℃での乾熱収縮率が20%以下であることを特徴とする不織布。
- 示差走査熱分析において100℃以下に結晶化発熱ピークを有する請求項1に記載の不織布。
- 平均繊維径が0.1〜50μmおよび目付が0.1〜300g/m2のメルトブローン不織布である請求項1または2に記載の不織布。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布を用いてなるフィルター。
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