JP4091781B2 - 分解性不織布およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、分解性不織布およびその製造方法に関する。詳しくは、特定の組成を有する乳酸系ポリマーの繊維からなるウエブを結合または交絡させて得られる、優れた寸法安定性を有する分解性不織布およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布とは、製編織しないでつくられた布状物のことである。さらに詳しくは、繊維状物質が塊状体を形成しているが繊維どうしが結合または交絡していないウェブと呼ばれるものを、その構成繊維を結合または交絡させることによってつくられた布状物であって、編織等が施されていない布状物である。
【0003】
従来、不織布は衣料芯地類、カーペット類、その他産業用資材として広く使われている。不織布を構成する繊維素材には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド類、レーヨン等のセルロース類等が用いられている。これらのポリマーを素材とする不織布およびその製造方法は、例えば、特開昭59−88961号公報、特開昭59−94660号公報等に記載されている。
【0004】
しかし、これらの繊維素材はいずれも自然環境下ではほとんど分解しないか、または非常に分解速度が低いものである。従って、これらの素材からつくられた従来の不織布は、使用後、例えば埋設処理された場合、半永久的に土中に残存することになる。また、海洋に投棄された場合は景観を損なったり、海洋生物の生活環境を破壊することがあり、廃棄物処理が大きな社会問題となっている。
また、焼却処理した場合は、有毒なガスを発生する等、地球環境を破壊する原因となる上、焼却炉の劣化を促進する働きがあるため問題が生じている。
【0005】
一方、生体吸収性および加水分解性を有するポリマーを繊維素材とする不織布が開発されている。例えば、特開昭63−95041号公報には、ポリグリコール酸、グリコール酸−乳酸共重合体等の生体吸収性ポリマーを溶融紡糸してマルチフィラメント糸をつくり、これより得たランダムウエブからつくられた不織布を素材とする医療用プレジェットが開示されている。そして、該不織布の製造例として、フェノール10に対し、トリクロロフェノール7の割合で混合した溶媒中に溶解し、これを190℃で3分間加熱した後、30℃まで冷却して測定した還元粘度(ηSP/C)が1.5であるポリグリコール酸チップを245℃で溶融紡糸し、延伸して12フィラメントで35デニールの糸とし、これを106℃で3時間熱処理した後、筒編機によりチューブ状のニットとし、このニットを4重に重ねたものをニードルパンチして編目が殆どわからない程度の不織布とする方法が記載されている。
【0006】
現在、不織布の製造方法として最も多く行われている方法の一つはスパンボンド法と呼ばれているもので、ポリマーを溶融押出して得られる繊維を直接スクリーンベルト等にとり、ウエブ化した後、熱エンボスロールで熱圧着して不織布を得る方法である。
【0007】
ポリグリコール酸からスパンボンド法により不織布を大量に製造する場合、次のような問題が生じる。すなわち、押出機から溶融押出したポリグリコール酸繊維は殆ど結晶部分をもたない非晶性(アモルファス)繊維であり、これをスクリーンベルト等にからめ取ってウエブ化したものを熱エンボスロールで圧着しただけでは充分な結晶化は起こらない。さらにポリグリコール酸繊維は非晶状態で長く放置すると室温でも次第に結晶化は進行する。従って、スパンボンド法により製造されたポリグリコール酸繊維から得られた不織布は、保管中または使用している間にポリグリコール酸の結晶化によるちぢみ、皺等が発生し問題となる。また、ポリグリコール酸は剛性が高いためポリグリコール酸繊維から得られた不織布は、必ずしも柔軟性に富む不織布ではなく、用途に制限がある。
【0008】
ポリグリコール酸と同様に分解性ポリマーとして使用されるものとしてポリ乳酸が挙げられる。ポリ乳酸から製造された不織布は、ポリグリコール酸から製造された不織布よりも柔軟性の点では改良されるが、ちぢみ、皺の発生があり寸法安定性の点で問題がある。
【0009】
ポリ乳酸から得られた分解性外科用繊維製品が知られている。例えば、特公昭41−2734号公報には、25℃において0.1重量%のベンゼン溶液において測定した固有粘度が少なくとも1.0である乳酸重合体のフィラメントからなり、かつ77℃の水中に5分間浸漬した場合のモノフィラメントの収縮率が15%以下であることを特徴とする吸収可能な外科用繊維製品(フィラメント)が開示されている。具体的には、上記固有粘度を有するポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)を溶融紡糸した後、60〜150℃において緊張下で0.5〜5分間熱処理し、次いで緊張下で室温まで冷却することにより引張強度に優れ、収縮率の小さな外科用縫合糸に適したフィラメントを製造する方法が記載されている。
ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)は結晶性が高いため、これらから得られたフィラメントの寸法安定性および引張強度を向上させるためには、上記のように緊張下における熱処理が必須の条件となる。
【0010】
一方、不織布は、外科用縫合糸のように極めて高度の引張強度を必要とせず、むしろ優れた寸法安定性が要求されるものである。不織布の寸法安定性を改善する目的でポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)から製造された不織布を熱処理する場合は、特公昭41−2734号公報に開示された上記方法のようにフィラメントを一次元的に緊張下で加熱するのではなく、不織布を二次元的に均一に緊張させた状態で加熱処理することが必要となり工程を煩雑、且つ大規模にすることとなり好ましい方法とはいえない。仮にかかる技術的煩雑さをいとわずに該不織布を熱処理した場合でも、ちぢみ、皺等の発生の問題は避け難く、ときには不織布が破断することさえあり好ましくない。
また、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)は結晶性が高いため、可塑剤等を添加して可塑化し、成形物に柔軟性を付与することが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、所定期間使用された後、廃棄された場合に自然環境下で分解されて消滅する不織布およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、寸法安定性が良好で、ちぢみ、皺等の発生や変形することのない不織布およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の組成を有する乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、該ウエブを資材として使用することにより、自然環境下で分解し、しかも寸法安定性に優れた不織布が得られることを見出し、本発明に到った。
【0013】
本発明は、以下の[1]〜[11]に記載した事項により特定される。
[1] 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、該ウエブから得られた分解性不織布であって、前記乳酸系ポリマーが、
▲1▼ L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)、
▲2▼ D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)、
▲3▼ L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、
▲4▼ D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
からなる群から選択された少なくとも一種のポリマーであることを特徴とする分解性不織布。
[2] 乳酸系ポリマーにおいて、
▲3▼ L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
(L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
(L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
であり、
▲4▼ D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
(D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
(D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
であることを特徴とする[1]に記載した分解性不織布。
[3] 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜100万であることを特徴とする[1]乃至[2]の何れかに記載した分解性不織布。
[4] 乳酸系ポリマー(ポリマーA)が、直接重合法で得られた乳酸系ポリマーであることを特徴とする[1]乃至[3]の何れかに記載した分解性不織布。[5] 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外線吸収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを含むことを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載した分解性不織布。
【0014】
[6] 乳酸系ポリマーの繊維からウエブを形成し、該ウエブから分解性不織布を得る分解性不織布の製造方法であって、
前記乳酸系ポリマーが、
▲1▼ L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)、
▲2▼ D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)、
▲3▼ L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、
▲4▼ D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
からなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする分解性不織布の製造方法。
[7] 乳酸系ポリマーにおいて、
▲3▼ L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
(L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
(L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
であり、
▲4▼ D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
(D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
(D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
であることを特徴とする[6]に記載した分解性不織布の製造方法。
[8] 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜100万であることを特徴とする[6]乃至[7]の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
[9] 乳酸系ポリマーが、直接重合法で得られた乳酸系ポリマーであることを特徴とする[6]乃至[8]の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
[10] 乳酸系ポリマーの繊維が、得られた繊維を延伸および加熱処理したものであることを特徴とする[6]乃至[9]の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
[11] 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外線吸収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを含むことを特徴とする[6]乃至[10]の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
【0015】
本発明の分解性不織布は、特定の組成を有する乳酸系ポリマーを紡糸した後ウエブを形成し、該ウエブを例えばサーマルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、ジェットボンド法、レジンボンド法等により結合することにより得られる。好ましくはサーマルボンド法である。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてポリマーの分子量とは、特に断りのない場合は重量平均分子量のことを指すものとする。
【0017】
本発明において、繊維素材として用いられる乳酸系ポリマーは、分子構造中に繰り返し単位として特定量のL−乳酸単位およびD−乳酸単位を有するポリ(DL−乳酸)、または、分子構造中に繰り返し単位として特定量の乳酸単位と他のヒドロキシカルボン酸単位を有する乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマーである。また、本発明において、繊維素材として用いられるポリ(DL−乳酸)とは、分子構造中に繰り返し単位としてL−乳酸単位とD−乳酸単位とを有するポリ乳酸のことであり、L−乳酸単位のみからなるポリ(L−乳酸)やD−乳酸単位のみからなるポリ(D−乳酸)とは構造が異なるポリマーである。
【0018】
具体的には、ポリ乳酸として、
▲1▼ L−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)、
▲2▼ D−乳酸単位80モル%を超えて有するポリ(DL−乳酸)
およびそれらの混合物が挙げられる。
また、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーとして、
▲3▼ L−乳酸単位を70モル%以上有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、
▲4▼ D−乳酸単位を70モル%以上有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
上記組成を有する乳酸系ポリマーは、L−乳酸単位のみからなるポリ(L−乳酸)やD−乳酸単位のみからなるポリ(D−乳酸)に比べて結晶性が低く、非晶領域から結晶領域への転移温度が10〜15℃程度高い。そのため、上記乳酸系ポリマーは、それを溶融紡糸してそのウエブから不織布を製造する際に、特に熱処理、焼きなまし等の煩雑な操作を行わなくとも長期にわたって初期の寸法を維持し、収縮したり皺が発生する等して不織布が変形することがない。
さらに、熱処理を施すことにより適度の結晶性を付与し得るので、皺、ちぢみ等の発生を最小限に抑えながら不織布の強度を向上させることが可能である。また、上記組成を有する乳酸系ポリマーは、可塑剤により可塑化され易いため、柔軟性に富んだ不織布を得ることが容易である。その上、融点を有するポリマーであるので加熱圧縮により繊維どうしを融着させることができ、不織布用素材として適している。
【0020】
上記乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーのコモノマーであるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が例示される。これらのコモノマーの内、グリコール酸およびヒドロキシカプロン酸が好ましい。
【0021】
本発明に用いる乳酸系ポリマーは、L−乳酸およびD−乳酸またはDL−乳酸を脱水重縮合させる方法、L−乳酸、D−乳酸またはDL−乳酸と他のヒドロキシカルボン酸を脱水共重縮合させる方法、または、乳酸類の環状二量体であるL−ラクチド、D−ラクチドまたはDL−ラクチドと他のヒドロキシカルボン酸の環状モノマーまたは環状二量体を開環共重合させる方法により得られる。
【0022】
脱水重縮合する場合は、上記乳酸または上記乳酸と他のヒドロキシカルボン酸を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水重縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重縮合する。
【0023】
開環重合する場合は、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、L−ラクチドとD−ラクチドの等モル混合物であるDL−ラクチド、DL−乳酸の環状二量体であるメソ−ラクチド、またはこれらのラクチドと他のヒドロキシカルボン酸の環状エステルとを開環重合する。他のヒドロキシカルボン酸の環状エステルとして、グリコール酸の二量体であるグリコリド、および、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。これらの内、グリコリドおよびε−カプロラクトンが好ましい。ポリ(DL−乳酸)を製造する場合は、L−ラクチドおよびD−ラクチドを特定の比率で混合するか、DL−ラクチドを用いるか、または、L−ラクチドおよび/またはD−ラクチドとDL−ラクチドを特定の比率で混合する等して、得られるポリ乳酸の結晶化度をある程度低くすることが好ましい。
【0024】
いずれの重合方法においても、上記組成を有する乳酸系ポリマーを得るためには、ポリマー組成に略等しい組成のモノマーを用いればよい。具体的には、例えば、L−乳酸単位を80モル%有するポリ(DL−乳酸)を製造する場合は、L−乳酸を80モル%とD−乳酸20モル%を混合したモノマーを用いるか、または、L−乳酸を60モル%とDL−乳酸(D/L=50/50)40モル%を混合したモノマーを用いて脱水重縮合すればよい。L−乳酸をL−ラクチド、D−乳酸をD−ラクチド、DL−乳酸をDL−ラクチドにそれぞれ置き換えて開環重合しても同様のポリマーが得られる。また、L−乳酸単位を70モル%有する(L−乳酸)−グリコール酸コポリマーを製造する場合は、L−乳酸を70モル%とグリコール酸30モル%を混合したモノマーを用いて脱水重縮合すればよい。L−乳酸をL−ラクチド、グリコール酸をグリコリドに置き換えて開環重合しても同様のポリマーが得られる。
【0025】
L−乳酸単位またはD−乳酸単位を100%有するポリ(L−乳酸)あるいはポリ(D−乳酸)の融点は約180℃程度であり、非晶状態から結晶状態への転移温度(Tc)は約90℃である。上記の開環重合により得られるポリ(DL−乳酸)の融点は、L−乳酸単位またはD−乳酸単位がゼロから20%に増加するにつれて、含有量1%当たり約3〜5℃の範囲で低下し、Tcは含有量1%当たり約1〜3℃上昇する。また、驚くべきことに特に上記脱水重縮合法により得られるポリ(DL−乳酸)は、L−乳酸単位が僅か1%程度(D−乳酸単位が99%程度)、またはD−乳酸単位が僅か1%程度(L−乳酸単位が99%程度)に過ぎない場合でも、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)に比べて融点は10〜20℃程度低下し、また、Tcは10〜15℃程度高くなる。また、最高到達結晶化度が約30〜40%程度に止まり、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)の最高到達結晶化度50〜60%に比べて低い。そのため、ポリ(DL−乳酸)繊維から製造された不織布は、熱処理等を施さなくとも経時的な寸法安定性が良好である。その上、熱処理を施すことにより強度の向上を図り得るので不織布用素材として好適である。上記組成を有する乳酸系コポリマーについても同様である。
【0026】
ポリ(DL−乳酸)中のL−乳酸単位とD−乳酸単位の組成は、例えば酵素を用いて測定する方法により求めることができる。すなわち、ポリ(DL−乳酸)をアルカリ水溶液で加水分解した後、得られた溶液中のL−乳酸をL−乳酸デヒドロゲナーゼとニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NADという)を作用させ、乳酸がピルビン酸に酸化される際に生成した、NADの還元物のNADHの量を吸光分析によりL−乳酸を定量し、一方、D−乳酸についても同様にD−乳酸デヒドロゲナーゼとNADを作用させD−乳酸の量を定量し、L−乳酸とD−乳酸の比を計算することにより求める方法である。他方、L−乳酸自体についてアルカリ水溶液中で加水分解してラセミ化が起こらないことを確認する。乳酸−ヒドロキシカルボン酸中のL−乳酸単位またはD−乳酸単位の定量も上記と同様にして定量可能である。
【0027】
本発明の分解性不織布に使用する乳酸系ポリマーの分子量には特に制限はないが、その分子量が低下すると紡糸が困難となるか、たとえ紡糸が可能であっても得られる繊維の強度が低下する。また、分子量が高くなると加工性が低下し紡糸が困難となる傾向を示す。これらの点を考慮すると、好ましい分子量は、1万以上、100万以下の範囲から選ばれる。特に好ましい分子量の範囲は3万以上、50万以下である。
【0028】
本発明の分解性不織布を構成する乳酸系ポリマーは、水中や土中のみならず、空気中の水分(湿気)によっても加水分解されていくので、該不織布を使用している期間においても空気中の水分や雨水等により加水分解されていく。そして、その加水分解される速度は、ポリマーの分子量や共重合体組成に依存する。従って、本発明の分解性不織布に用いる乳酸系ポリマーの最適な分子量や共重合体組成は、不織布の用途における最長の使用期間に合わせて、上記組成の範囲から乳酸系ポリマーに関する加水分解性データから考慮して決定される。
【0029】
例えば、本発明者らの知見に基づいて例示するならば、使用期間が半年以上である場合は、分子量が15万以上である上記組成のポリ(DL−乳酸)を素材繊維として用いるのがよい。使用期間が1カ月程度の場合は、分子量が5万以上の上記組成のポリ(DL−乳酸)が好ましく用いられる。
【0030】
原料繊維の紡糸方法は、公知の紡糸法が適用される。例えば、乳酸系ポリマーを、押出機を用いて溶融紡糸する溶融紡糸法、乳酸系ポリマーを溶媒に溶解し、溶液とした後、該溶液をノズルから貧溶媒中に吐出させる湿式紡糸法、該溶液をノズルから乾燥気体中に吐出させる乾式紡糸等が適用される。
湿式紡糸法または乾式紡糸法に用いられる溶媒として、トルエン、キシレン、クロロホルム、メチレンクロライド等が例示できる。また、湿式紡糸法に用いられる貧溶媒として、メタノール、ヘキサン、アセトン等が例示できる。
【0031】
溶融紡糸法には、一軸押出機、二軸押出機等公知の押出機を用いることができる。押出温度が低いと押出安定性が得難く、また過負荷に陥りやすい。押出温度が高いとポリマーの熱分解が激しくなり、分子量の低下、強度低下、着色等が起こる。これらの点を考慮すると、例えば、乳酸系ポリマーの押出温度は、好ましくは100〜280℃の範囲であり、更に好ましくは130〜250℃の範囲である。押出機の口金(ノズル)の口径は、必要とする繊維の直径(糸径)と、押出機の吐出速度や引き取り速度との関係によって適宜決定されるが、好ましくは口径0.1〜3.0mm程度である。
【0032】
いずれの紡糸法においても、紡糸後の繊維の延伸は必ずしも行う必要性はないが、延伸を行う場合には、1.1〜10倍、好ましくは2〜8倍に延伸する。延伸温度は、使用する乳酸系ポリマーの種類に応じて60〜210℃の範囲から選択される。繊維の好ましい糸径は、0.5〜40デニールである。また、好ましい繊維長は、0.5〜30cmである。
【0033】
得られた乳酸系ポリマーの繊維から、ウェブと呼ばれる繊維の塊状体を形成させる。ウェブの状態では繊維どうしが結合していないのでこのままでは不織布とはいえない。ウェブの製造方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、フラットカード機、ローラカード機、ガーネット機等を用いるカード式、メルトブローン式が挙げられる。また、乳酸系ポリマーを紡糸する際、紡糸機のノズルから繊維が出るときに高速空気を吹き付け、気流に直角な穴あきコンベア上に集めてウェブを形成させるスパンボンド式でもよい。
【0034】
乳酸系ポリマーの繊維からなるウェブから、本発明の分解性不織布を得るには公知の方法を用いることができる。例えば、針により交絡させるニードルパンチ法、糸により交絡させるステッチボンド法、水流により交絡させるジェットボンド法、熱により接着するサーマルボンド法、樹脂の接着を利用するレジンボンド法が挙げられる。これらの内、好ましい方法として下記(1)および(2)の方法が上げられる。
(1)乳酸系ポリマー繊維のウェブを、71℃〜融点未満の温度範囲で圧縮する方法。この方法で得られた不織布は、前述したように特に熱処理を施さなくとも長期にわたって変形、収縮の少ないものである。不織布の強度を向上させる等の目的で熱処理を施してもよい。熱処理温度は、80〜140℃が好ましい。80℃未満では充分な結晶化が起こり難く、強度の向上が望めない。140℃を超えると不織布が軟化または溶融するので変形、破損等が起こり易いので好ましくない。特に好ましくは90〜130℃である。
(2)乳酸系ポリマー繊維の主ウェブに、70℃以下の温度で溶融または軟化する低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブを所定の割合で混合し、室温〜70℃の温度範囲で圧縮する方法。
【0035】
上記(1)の方法に好ましく用いられる乳酸系ポリマー繊維のウェブ、および上記(2)の方法に好ましく用いられる乳酸系ポリマー繊維の主ウェブは、L−乳酸単位またはD−乳酸単位80モル%を超えてもつポリ(DL−乳酸)繊維、L−乳酸単位70モル%以上もつ(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維、および、D−乳酸単位を70モル%以上もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維から選ばれた少なくとも一種の分解性繊維から製造されたウェブである。
【0036】
上記(2)の方法は、(1)の方法で用いる乳酸系ポリマー繊維の主ウェブに、70℃以下の温度で溶融または軟化する低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブを添加、混合し、該低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブを室温〜70℃の温度範囲で溶融・軟化させ、主ウエブどうしを接着する方法である。この方法に用いる低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維の好ましいウェブとして、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が1:4〜4:1であるポリ(DL−乳酸)、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が任意である(DL−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカルボン酸単位を少なくとも30モル%もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカルボン酸単位を少なくとも30モル%有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、それらの混合物を主成分とする乳酸系ポリマーから得られた繊維のウェブが挙げられる。これらの(DL−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、ヒドロキシカルボン酸単位を少なくとも30モル%有する(D−乳酸)または(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーとして、(DL−乳酸)、(L−乳酸)または(D−乳酸)とグリコール酸またはヒドロキシカプロン酸とのコポリマーが好ましい。
【0037】
上記低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブの素材である低温熱可塑性乳酸系ポリマーは、それぞれのポリマー組成に略等しい組成のモノマーを用いて脱水重縮合または開環重合することにより得られる。例えば、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が1:4であるポリ(DL−乳酸)を製造する場合は、L−乳酸を20モル%とD−乳酸を80モル%とを混合して脱水重縮合するか、または、L−ラクチドを20モル%とD−ラクチドを80モル%とを混合して開環共重合することにより得られる。また、ヒドロキシカプロン酸単位を30モル%有する(D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマーを製造する場合は、(D−乳酸)70モル%とヒドロキシカプロン酸30モル%とを混合して脱水重縮合するか、または、D−ラクチド70モル%とε−カプロラクトン30モル%とを混合して開環重合することにより得られる。
【0038】
上記(2)の方法による場合、主ウエブとする乳酸系ポリマー繊維は、低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維と混合する前に延伸、熱処理されていることが好ましい。このことにより、混合ウエブを熱圧縮する際に圧縮温度を室温〜70℃の範囲で低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のみを溶融させることができる。
【0039】
上記(1)および(2)のいずれの方法においては、圧縮温度が低くなると繊維どうしの融着性が低下し、また高いと固いシート状となり、適度な風合いを有する柔らかい不織布が得難くなる。かかる観点から圧縮温度を上記範囲とすることが好ましい。また、上記の方法においては圧縮圧力は、1.1〜200kg/cm2の範囲から選択される。
【0040】
この低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブを混合して用いることにより、加熱圧縮温度を低下することが可能である。また、低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウエブのみを溶融させ、主ウエブを溶融させないで済むので得られる不織布は、柔軟性に富み、不織布の感触が風合いのよいものとなる利点がある。
【0041】
低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブは、上記主ウェブと同様にして紡糸、ウェブ化することができる。低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブの添加量が多いと、得られる不織布が固くなり、かつ、不織布の強度が低くなる傾向を示す。また、減少すると主ウェブの接着が不十分となり、良好な不織布が得難くなる。かかる観点から、低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブの量は、全ウェブの総重量の10〜60重量%の範囲から選択されることが好ましい。さらに好ましくは20〜40重量%である。
【0042】
本発明において、上記(2)の方法により不織布を製造する場合、前記のようにウエブを混合してもよいし、主ウエブの素材として使用される繊維に低温熱可塑性乳酸系ポリマーの繊維を混合した後、混合繊維をウエブ化し、それを結合または交絡することにより不織布とすることもできる。
【0043】
本発明に用いる上記組成の乳酸系ポリマーは、可塑剤により可塑化され易い。そのため、適度の風合と柔軟性がさらに改善された不織布を得るために乳酸系ポリマーに可塑剤を含有させることが好ましい。可塑剤として、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジイソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル等の低分子化合物、トリアセチン(グリセリントリアセテート)等の酢酸誘導体、重合度2〜10程度の乳酸オリゴマー、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートなどの高分子可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤の内、好ましい可塑剤として、トリアセチン、重合度2〜10程度の乳酸オリゴマー等が挙げられる。好ましい可塑剤含有量は乳酸系ポリマーに対し1〜35重量%であり、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0044】
また、本発明者らの知見によれば、乳酸系ポリマーは、屋外で使用した場合、通常屋内や暗所、あるいは生体内で使用した場合に比べて明らかに早く強度低下をきたし、脆化、破壊等の現象が期待したよりも早い時期に起こり得ることがわかっている。この好ましからぬ現象を抑制、防止するために、本発明の分解性不織布の基材繊維には、主成分となる乳酸系ポリマーに紫外線吸収剤や光安定剤を添加、混合したものが好ましい。
【0045】
紫外線吸収剤とは、破壊的な高エネルギーをもつ波長250〜380nmの範囲の紫外線を吸収し、非破壊的な波長に変えて再輻射するものであり、光安定剤とは、必ずしも紫外線を吸収するわけではなく、光劣化開始剤であるヒドロペルオキシドを非ラジカル的に分解したり、光分解で発生するラジカルを捕捉、除去したり等して何らかの機構で材料の光分解を抑制するものである。紫外線吸収剤と光安定剤との区別は明確でない場合もある。
【0046】
本発明に使用し得る紫外線吸収剤および光安定剤には、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸誘導体、
【0047】
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、
【0048】
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5 ’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2 ’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、
【0049】
ニッケル含有有機光安定剤、バリウム、ナトリウム、リン含有の有機・無機複合体、セミカルバゾン系光安定剤、商品名Sanshade等で知られる酸化亜鉛系紫外線安定剤や相乗効果剤、
【0050】
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、こはく酸メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
【0051】
ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン類が挙げられる。
【0052】
本発明で用いる紫外線吸収剤および/または光安定剤の量を減少すると、不織布を屋外で使用した場合の分解の促進を抑制する効果が低下し、また、増加すると乳酸系ポリマーが本来のもつ物性を損なうことになり易い。かかる観点から、紫外線吸収剤および/または光安定剤の添加量は、乳酸系ポリマーに対し0.001〜5重量%が好ましい。さらに好ましくは0.01〜2重量%である。
【0053】
乳酸系ポリマーに紫外線吸収剤および/または光安定剤を混合する方法としては、乳酸系ポリマーをクロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン等の溶媒に溶解するか、または、乳酸系ポリマーを100〜280℃に加熱溶融させ、所定量の紫外線吸収剤または光安定剤を添加、混合する方法が挙げられる。
【0054】
本発明に用いられる乳酸系ポリマー繊維は、乳酸系ポリマー単独からなる繊維、乳酸系ポリマーに可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤を配合した乳酸系ポリマー組成物の繊維だけでなく、必要に応じて熱安定剤、滑剤、酸化防止剤等を配合した乳酸系ポリマーの繊維であってもよい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。
尚、ポリ乳酸中のL−乳酸単位とD−乳酸単位との組成比、および、乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー中の乳酸単位と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸単位との組成比は以下の方法により測定した。
【0056】
<ポリ乳酸中のL−乳酸単位とD−乳酸単位との組成比の測定法>
ポリマーを5N水酸化ナトリウム水溶液中60℃で10時間保持して加水分解し、得られた溶液中のL−乳酸をL−乳酸デヒドロゲナーゼとニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下NADと略記する)を作用させ、乳酸がピルビン酸に酸化される際に生成するNADの還元型であるNADHの量を吸光分析により定量してL−乳酸量を求める。一方、D−乳酸についても同様にD−乳酸デヒドロゲナーゼとNADを作用させてD−乳酸量を求め、L−乳酸とD−乳酸の比を計算する。また、L−乳酸自体を5N水酸化ナトリウム水溶液中で10時間保持して、加水分解条件下で乳酸のラセミ化が起こらないことを確認する。
【0057】
<乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー中の乳酸単位と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸単位との組成比の測定法>
コポリマーを重水素化クロロホルムに溶解して核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定を行い、両単位の構造に由来するピークの強度比により決定する。
【0058】
<乳酸系ポリマーの製造例>
製造例1
表面をシラン処理したガラス製反応容器に、L−ラクチド、分子量調節剤としてラウリルアルコールおよび触媒としてオクタン酸第一スズをそれぞれ〔表1〕に示す量で仕込み、該容器内を減圧脱気して一昼夜乾燥した。該反応容器を減圧のまま密封し、〔表1〕に示す温度まで加熱して所定時間重合した。反応終了後、反応容器内容物を20倍量のクロロホルムに溶解し、さらにクロロホルムの5倍量のヘキサン中にこれを投入した。沈澱したポリマーを回収し乾燥し、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸をP−1という。得られたP−1の分子量は、クロロホルムを溶媒に用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下、GPCという)を用いて測定し、ポリスチレン換算にて算出した。
また、示差走査熱量計(DSC)を用いてP−1の融点およびガラス転移点(Tg)を測定した。P−1の重合条件、ならびに、P−1の分子量、L−乳酸単位とD−乳酸単位との組成比(以降、共重合体組成という)、融点およびガラス転移点(Tg)を〔表1〕に示す。
【0059】
製造例2〜7
L−ラクチド、DL−ラクチド(D−体/L−体のモル比;50/50)および/またはカプロラクトン、分子量調節剤としてラウリルアルコール、および触媒としてオクタン酸第一スズをそれぞれ〔表1〕に示す量で仕込み、且つ、〔表1〕に示す重合温度において〔表1〕に示す時間反応した以外は、製造例1と同様にして乳酸系ポリマーP−2〜P−7を得た。得られた乳酸系ポリマーの分子量、L−乳酸単位とD−乳酸単位とヒドロキシカルボン酸単位との組成比(以下、共重合体組成という)、融点およびTgを製造例1と同様にして測定した。乳酸系ポリマーの重合条件および測定結果を〔表1〕に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004091781
【0061】
製造例8
反応機に〔表2〕に示す量のL−乳酸を入れ、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫末0.06重量部を加え、150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末0.29重量部とジフェニルエーテル211重量部を加え、150℃/35mmHgで共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を、46重量部のモレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応機に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間反応を行いポリ乳酸溶液を得た。
この溶液に脱水したジフェニルエーテル440重量部を加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結晶を濾過し、100重量部のn−ヘキサンで3回洗浄して60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−塩酸120重量部とエタノール120重量部を加え、35℃で1時間攪拌した後濾過し、60℃/50mmHgで乾燥して、乳酸系ポリマーP−8を得た。得られた乳酸系ポリマーの分子量、共重合体組成、融点およびTgを製造例1と同様にして測定し、その測定結果を〔表2〕に示す。原料としてL−乳酸のみしか使用しなかったのにもかかわらず、生成したポリマーはD−乳酸単位を1%含有していた。
【0062】
製造例9〜10
〔表2〕に示す量のL−乳酸、DL−乳酸(D−体/L−体のモル比;50/50)および/またはグリコール酸を用いた以外、製造例8と同様にして乳酸系ポリマーP−9およびP−10を得た。得られた乳酸系ポリマーの分子量、共重合体組成、融点およびTgを製造例1と同様にして測定し、その結果を〔表2〕に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0004091781
【0064】
<可塑剤の製造例>
製造例11
反応機に入れたL−ラクチド1.8kgに乳酸水溶液(濃度87重量%)1.0kgを加え、100℃において、2時間加熱した。冷却したところ常温で粘りのある透明の液体が得られた。該オリゴマーをクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて重合度分布を測定した結果、乳酸および乳酸オリゴマーが含まれていた。平均重合度は2.8であった。以後LAオリゴマーと記す。
【0065】
実施例1〜7、比較例1〜6
製造例1〜6および8〜10で得られた乳酸系ポリマーP−1〜P−6およびP−8〜P−10に、可塑剤として市販のトリアセチンまたは製造例11で得られたLAオリゴマーを、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールをそれぞれ〔表3〕および〔表4〕に示す量加えて混合した後、スクリュー式小型押出機を用いて〔表3〕および〔表4〕に示す条件にて溶融押出し紡糸した。比較例1では、実施例1と同じ条件で紡糸を試みたが、スクリューにポリマーがつまり、押出しが不可能であった。得られた乳酸系ポリマー繊維をスクリーンにかきとってランダムウェブとし、〔表3〕および〔表4〕に示す条件で熱ロールにて圧縮し、分解性不織布を得た。
得られた分解性不織布には、繊維の形状が残っており、溶融してできるフィルムとは明らかに異なる布状形態を保ち、不織布の表裏を両手の指にてつかみ、布面に垂直な方向に引っ張っても解れたり、形態が崩れたりしなかった。
【0066】
実施例1〜2、5〜7および比較例2〜3、5〜6で得られた不織布(10×10cm)を厚さ5mmの2枚の鉄板にて挟持し、〔表3〕に示す温度において10分間熱処理を施した。その結果、実施例で得られた不織布は、ちぢみ、変形が観察されなかったのに対し、比較例で得られた不織布は、ちぢみ、変形が観察され、さらに軟化、溶融による構造変化が認められた。熱処理しない不織布および熱処理された不織布を1×10cmに切断し、引張試験機を用いて、チャック間距離4cm、引張速度10mm/minで室温において破断強度を測定した。熱処理された不織布の破断強度を熱処理しない不織布の破断強度で除することにより強度向上率(%)を算出した。得られた結果を〔表3〕および〔表4〕に示す。
【0067】
【表3】
Figure 0004091781
【0068】
【表4】
Figure 0004091781
【0069】
<不織布の外観評価>
製造直後および屋外で1ケ月間放置した後、上記と同様の外観検査を実施し、不織布の表裏を両手の指にてつかみ、布面に垂直な方向に引っ張っても解れたり、形態が崩れたりしないものを良好と評価し、その結果を〔表3〕および〔表4〕中に示した。
【0070】
<不織布の分解性評価>
得られた分解性不織布を18ケ月間土中に埋没、放置した後、クロロホルムに溶解し、GPC法によりポリスチレン換算の分子量を測定し、製造直後の分子量との差異を算出し、下記式により分子量保持率を求め、分解性を評価した。得られた結果を〔表3〕に示す。
DW(%)=100W1/W0
上記式において、
DW:分子量保持率(%)
0 :製造直前の分子量
1 :製造後、18ケ月間土中に放置した後の分子量
尚、〔表3〕中の*印は、不織布の分解が著しく、分子量の測定が困難であることを示す。
【0071】
調製例1〜6
製造例2および5〜9で得られた乳酸系ポリマーP−2およびP−5〜P−9に、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールをそれぞれ〔表5〕に示す量加え、スクリュー式小型押出機を用いて〔表5〕に示す条件にて溶融押出し紡糸して、乳酸系ポリマー繊維F−1〜F−6を得た。尚、調製例1〜3においては、連続式延伸機を用いて延伸し、次いで、所定温度の熱板間を連続的に通過させることにより熱処理を施した。延伸条件および熱処理条件を〔表5〕に示す。
【0072】
【表5】
Figure 0004091781
【0073】
実施例8〜10
調製例1〜3で得られた乳酸系ポリマー繊維F−1〜F−3を長さ約5cmの短繊維に切断したものと、調製例4〜6で得られた乳酸系ポリマー繊維F−4〜F−6を長さ約4cmの短繊維に切断したものとを〔表6〕に示す重量比で混合・撹拌し、ランダムなウェブを形成させた後、〔表6〕に示す条件で熱プレスして分解性不織布を得た。
得られた分解性不織布の特性を実施例1と同様にして評価し、その結果を〔表6〕に示す。尚、〔表6〕中の*印は、不織布の分解が著しく、分子量の測定が困難であることを示す。
【0074】
【表6】
Figure 0004091781
【0075】
実施例11
調製例2で得られた乳酸系ポリマー繊維F−2を長さ約4cmの短繊維に切断し、攪拌してランダムなウエブを形成した後、100℃の表面温度を有する織目調の彫刻を施したエンボスロールで軽く圧着し、巻き取った。巻き取った不織布は針深度11mm30P/cm2のニードルパンチを両面交互の6回かけて接合させた。得られた分解性不織布は繊維が交絡したタイプの良好な不織布であり、屋外に1カ月放置してもちぢみ、しわ等の変形はなかった。また、土中に18カ月放置したところ効果的に分解された。分子量保持率は72%であった。
【0076】
比較例7
市販のニードルパンチタイプの不織布(三井石油化学工業(株)製、商品名:タフネルPA−4021)を、18ケ月間土中に放置した後、ジクロロベンゼンに溶解し、実施例1と同様にして、分子量保持率を求めた。分子量保持率は、98%であり、殆ど分解していなかった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の分解性不織布は、所定期間は不織布としての一定の形状を保ち、使用後廃棄された場合、自然環境下で加水分解される。そのため、廃棄物として蓄積することがない。
また、本発明の分解性不織布は、特定の組成を有する乳酸系ポリマーを素材としているため、適度の結晶性を有し、寸法安定性に優れている。

Claims (6)

  1. 乳酸系ポリマー
    1)紡糸して繊維を得る工程、
    2)該繊維からウエブを形成する工程、および
    3)該ウエブを71℃〜融点未満の温度範囲で圧縮し、80〜140℃で熱処理する工程
    からなる分解性不織布の製造方法であって、前記乳酸系ポリマーが、
    (1)L−乳酸単位80モル%を超えて99モル%以下を有するポリ(DL−乳酸)、
    (2)D−乳酸単位80モル%を超えて99モル%以下を有するポリ(DL−乳酸)、
    (3)L−乳酸単位を70モル%以上、90モル%以下を有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、および、
    (4)D−乳酸単位を70モル%以上、90モル%以下を有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
    からなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする分解性不織布の製造方法。
  2. 乳酸系ポリマーにおいて、
    (3)L−乳酸単位を70モル%以上、90モル%以下を有する(L−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
    (L−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
    (L−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
    であり、
    (4)D−乳酸単位を70モル%以上、90モル%以下を有する(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマーが、
    (D−乳酸)−グリコール酸コポリマー、および/または、
    (D−乳酸)−ヒドロキシカプロン酸コポリマー
    であることを特徴とする請求項1に記載した分解性不織布の製造方法。
  3. 乳酸系ポリマーの分子量が、1万〜100万であることを特徴とする請求項1又は2に記載した分解性不織布の製造方法。
  4. 乳酸系ポリマーが、直接重合法で得られた乳酸系ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
  5. 乳酸系ポリマーの繊維が、得られた繊維を延伸および加熱処理したものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
  6. 乳酸系ポリマーの繊維が、可塑剤、紫外線吸収剤および光安定剤から選ばれた少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載した分解性不織布の製造方法。
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