JP4756132B2 - 炭素質皮膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子堆積構造を有する炭素質皮膜及び規則的に並んだ独特な形状の穴を有するメソ構造の炭素質皮膜、並びに溶融塩の電解により陰極表面上にこれら炭素質皮膜を製造する方法に関する。
アルミニウム箔上に形成された炭素皮膜はコンデンサー、キャパシター用の電極材料として用いられている。また、銅箔上に形成された炭素皮膜はリチウムイオン二次電池負極材料として用いられている。これらのように、金属薄板上に形成された炭素皮膜はエネルギー蓄積デバイス用電極材料として幅広く用いられている。
金属薄板状に炭素皮膜を形成する従来の製造方法としては、カーボン材料をドクターブレード法などにより金属薄板上に塗布する方法や、予めカーボン材料をシート状に形成した後に金属薄板に接着する方法が知られている。
しかしながら、従来の製造方法では、金属薄板上に直接カーボン皮膜を形成できないために、いくつかの工程を経てカーボン皮膜を形成していることから生産性が良いものではない。また、カーボン材料を多量の分散媒体・結着剤でペースト状にしているために、流動性の低い材料を加工する工程上の工夫が必要である(例えば特許文献1参照)。また、電極として用いられるカーボン材料が結着剤により覆われるために有効に利用できないこと、カーボン材料と金属薄板との電気的接触を良くするための導電剤が不可欠であることが、電極性能向上における問題となっている。
これを解決するため、溶融塩化物中での炭酸イオンの陰極還元反応を利用すると、陰極のアルミニウム板をカーボン被覆する方法が知られている。しかしながら、より性能の高い、生産性の向上したカーボンと金属薄板との一体形成技術が望まれていた。
特開2004−51447号公報
本発明は、特異な構造を有する炭素質皮膜の製造方法、及び規則的な穴を有する炭素質皮膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、溶融塩中で炭酸イオンを電解して陰極の金属材料表面に炭素質皮膜を形成する際に、(1)電位変動波形を制御しながら電解を行うことによって、炭素質粒子の堆積構造を有する炭素質皮膜を製造できること、並びに(2)電位を定電位とし長時間電解を行うことによって、下端が半球状の逆円錐台状の穴が規則的に並んだメソ構造の炭素質皮膜を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の製造方法及び炭素質皮膜に係るものである。
項1.金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する炭素質皮膜の製造方法であって、電位変動波形を制御しながら電解を行うことを特徴とする炭素質皮膜の製造方法。
項2.電解電位の波形が、矩形波状、三角波形状及び正弦波形状からなる群から選択される少なくとも1種の波形である項1に記載の炭素質皮膜の製造方法。
項3.電解の平均電位がカソード限界電位基準で0.7〜1.2Vである項1又は2に記載の炭素質皮膜の製造方法。
項4.金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する炭素質皮膜の製造方法であって、電極に印加する電解電位が定電位であり、設定電位がカソード限界電位基準で0.7〜1.2Vであり、電解時間が20〜150時間であり、通電電気量が陰極の面積に対して300〜3000C/cmであることを特徴とする炭素質皮膜の製造方法。
項5.炭酸塩を除いた溶融塩に対する炭酸塩の濃度が0.001〜5モル%である項1〜4のいずれかに記載の炭素質皮膜の製造方法。
項6.炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸バリウムからなる少なくとも1種である項1〜5のいずれかに記載の炭素質皮膜の製造方法。
項7.陰極の金属材料がチタン、ジルコニウム、ステンレス、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、クロム、白金、コバルト、ニッケル、銅、金及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属である項1〜6のいずれかに記載の炭素質皮膜の製造方法。
項8.金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、該緻密な薄膜の金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子堆積構造を有する炭素質皮膜。
項9.金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子が集合してメソ構造を形成し、該メソ構造において逆円錐台状の穴が規則的に並び、該穴の下端が半球状であり、該穴の最大径が1〜200μmであり、また炭素質皮膜の金属と接する面から逆円錐台状の穴の底までの厚みが 0.005〜50μmである炭素質皮膜。
上記のように、本発明の炭素質皮膜は、金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、該緻密な薄膜の金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子堆積構造を有する。本明細書において、この炭素質皮膜を炭素質皮膜1と称することがある。また、炭素質皮膜1は、金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する際に、電位変動波形を制御しながら電解を行うことにより製造することができる。本明細書において、この製造方法を製造方法1と称することがある。
さらに、本発明の別の炭素質皮膜は、金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子が集合してメソ構造を形成し、該メソ構造において逆円錐台状の穴が規則的に並び、該穴の下端が半球状であり、該穴の最大径が1〜200μmであり、また炭素質皮膜の金属と接する面から逆円錐台状の穴の底までの厚みが 0.005〜50μmである。本明細書において、この炭素質皮膜を炭素質皮膜2と称することがある。また、炭素質皮膜2は、金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する際に、電極に印加する電解電位を定電位とし、電解時間を20〜150時間とすることにより製造することができる。本明細書において、この製造方法を製造方法2と称することがある。
1.炭素質皮膜1及び製造方法1
本発明の製造方法1では炭酸塩を含有する溶融塩中における炭酸イオンの電解において電極に印加する電位の変動波形を制御する。このようなプロセスは通常、電解浴中で行うことができる。電位変動波形の制御とは、電解の間に電極に印加する電位を変動させることをいい、電位を一定とする定電位制御とは異なる。
炭酸塩は電解により陰極上に形成される炭素質皮膜の原料となる。炭酸塩は通常、溶融塩の形態で使用される。炭酸塩としては、通常、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩などが1種単独又は2種以上で使用される。好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸バリウムであり、より好ましい炭酸塩は、炭酸カリウムである。
これら炭酸塩は溶融塩中で電解される。溶融塩としては、通常、アルカリ金属のハロゲン化物、水酸化物等、アルカリ土類金属のハロゲン化物、水酸化物等などが1種単独又は2種以上で使用される。アルカリ金属のハロゲン化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物が挙げられる。アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物が挙げられる。好ましい溶融塩は、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ金属ヨウ化物であり、より好ましいものは、アルカリ金属塩化物である。アルカリ金属塩化物の中でも、特に下記に示すアルカリ金属塩化物溶融塩が好ましい。
塩化リチウム:塩化カリウム=35〜100mol%:65〜0mol%、好ましくは55〜65mol%:45〜35mol%。
塩化リチウム:塩化カリウム=30〜70mol%:70〜30mol%、好ましくは45〜55mol%:55〜45mol%。
塩化リチウム:塩化カリウム:塩化セシウム=57.5:13.3:29.2mol%。
炭酸塩を除いた溶融塩に対する炭酸塩の濃度は通常0.001〜5モル%、好ましくは0.1〜1.5モル%、より好ましくは0.2〜1モル%である。なお、炭酸塩の濃度が低いと緻密な炭素質皮膜が得られやすくなる傾向がある。
また、溶融塩には、必要に応じて、上記の塩の他に溶解補助剤、電解補助剤などの溶融塩電解に使用される添加物を添加してもよく、その添加量は溶融塩の組成、電解温度、電流密度、通電量などの電解条件に応じて適宜設定すればよい。
一方、電極としては陽極及び陰極が必須であり、必要に応じて参照極を使用することができる。陽極としては、溶融塩電解において通常使用される陽極材料を使用することができる。例えばグラッシーカーボン、グラファイト、導電性セラミクスなどである。陽極の形状、大きさなどは特に制限されない。
陰極としては、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、1B族、2B族及び3B 族からなる群から選択される少なくとも1種の金属が使用できる。好ましくは、アルミニウム、銅、チタン、ジルコニウム、ステンレス、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、クロム、白金、コバルト、ニッケル、金などであり、より好ましくはアルミニウム、銅、ニッケルである。陰極の形状及び大きさも特に制限されないが、凹凸のある複雑な形状の金属を陰極として使用すると、凹凸に沿った形状の炭素質皮膜を有する金属を得ることができる。従って、陰極表面に形成される炭素質皮膜と一体化した金属として利用される場合には、電解の時点から利用目的に適した形状及び大きさとすることが望ましい。また、必要に応じて、電解前に陰極表面に対して脱脂処理、化学研磨(例えば水酸化ナトリウム水溶液処理)、機械研磨などの前処理をすることもできる。
参照極は電位を正確に把握するために有用である。したがって、参照極を用い、電位を正確に把握することによって、炭素質皮膜の形成速度、膜形状等をより正確に制御することが可能となる。参照極の材料としては、溶融塩電解において通常使用される参照極材料を使用することができる。例えばAg+/Ag電極などが使用できる。
電極に印加する電位の平均電位は、カソード限界電位を基準として、通常0.7〜1.2V、好ましくは0.8〜1.1Vである。なお、カソード限界電位とは、ニッケル線を電極として大電流を印加することで、溶融塩中のアルカリ金属やアルカリ土類金属を析出させた場合に、この析出金属と浴中のイオンとが示す平衡電位である。平均電位がこの範囲にあると炭素質皮膜に含まれるLiなどの不純物が減少し、より均質な炭素質皮膜を得ることができる。電位変動波形制御における電位の波形としては、通常、矩形波状、三角波形状、正弦波形状などを1種単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、電解における最低電位と最高電位の差は通常、0.01〜0.6V、好ましくは0.1〜0.5V、より好ましくは0.1〜0.4Vである。波形の一周期(周波数)は通常0.01〜300 sec(100〜0.0033Hz)、好ましくは1〜100 sec(1〜0.01 Hz)である。
電解温度は特に制限されず、溶融塩の融点、炭素質皮膜の形成状況などに応じて適宜設定することができる。通常、250〜700℃、好ましくは400〜500℃である。電解は、通常大気圧下で行うが、加圧、減圧条件下でも可能である。電解の雰囲気としては、通常、窒素、アルゴン、ネオン、炭酸ガスなどが使用される。電解時間は、溶融塩の種類又は濃度、温度、通電量などに応じて適宜設定すればよく、通常、0.1〜100時間、好ましくは5〜50時間である。
また、必要に応じて、電位変動波形制御しながら電解を行う前に予備的な電解(予備電解)を行うこともできる。予備電解によって、金属板と炭素質皮膜との密着性の向上、緻密な薄膜の緻密性の向上などの効果が得られる。予備電解は、定電位電解であっても電位変動電解であっても良い。定電位電解における定電位及び変動電位電解における平均電位は、その後の本電解における平均電位より小さければ良いが、0.05〜0.3V小さいことが好ましい。例えば、予備電解における上記定電位及び平均電位は0.4〜1.15Vであることが好ましく、0.4〜0.9Vであることがより好ましく、0.7〜0.8Vであることがより一層好ましい。また、予備電解における電解時間は通常1〜1800秒、好ましくは5〜600秒である。
以下、図1を参照しながら、本発明の製造方法1の一例について説明する。
電気炉(1)内に、ホルダー(3)を設置し、該ホルダー内に電解槽としての高純度アルミナるつぼ(2)を設置する。該ホルダー内にはアルゴン等の雰囲気ガスを導入するための導入管(4)、排出するための(5)排気管が備えられており、これらの管を通して、雰囲気ガスを循環させる。るつぼ内にはアルカリ金属ハロゲン化物などを溶融させた溶融塩を溶媒(6)とする。るつぼ内には熱電対(7)が備えられており、この熱電対で溶媒の温度を測定し、必要に応じて電気炉の温度を調節し、溶媒の温度を調整する。雰囲気ガスを循環させた状態で溶媒中に炭素質皮膜の原料となる炭酸カリウムなどの炭酸塩を添加し、溶融塩とする。次いでるつぼ内に備えられた陽極(8)、陰極(9)及び参照極(10)に電気化学測定装置(11)を接続し、電位、電流等を制御して電解を行い、陰極表面に炭素質皮膜を形成させる。陰極表面に形成された炭素質皮膜を加熱処理すると、水分等が排除され、より均質性が向上する。
本発明の炭素質皮膜1は、上記製造方法1によって製造することができ、金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、該緻密な薄膜の金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子堆積構造を有する。また、炭素質皮膜1は上記の製造方法1によって得ることができる。金属板は製造方法1の陰極材料である。炭素質皮膜1は金属板と接していた面において炭素質粒子が密になった緻密な薄膜を有し、該薄膜は、金属板と接していた面から通常0.005〜10μm、好ましくは0.05〜5μm程度の高さを有する。炭素質粒子堆積構造は、炭素質粒子が集合し、魚卵(例えばたらの卵の集合であるたらこ)状、団子状などのやや塊となった形状である。なお、従来の定電位短時間電解により得られる炭素質皮膜は、やや緻密な薄膜上に炭素質粒子が集合して形成された、嵩高くなった樹枝状の構造を有し、該樹枝状の構造は本発明皮膜の有する炭素質粒子堆積構造と比較して相対的に炭素質密度の低い皮膜であった。炭素質粒子体積構造の密度は、通常、0.23〜1.6 g/cm、好ましくは0.4〜1.3 g/cmである。また、緻密な薄膜の密度は、通常、1.1〜2.2 g/cm、好ましくは1.4〜2.2 g/cmである。また、炭素質皮膜1全体の厚さは特に限定されないが通常1〜500μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。
炭素質皮膜1は金属板との密着性に優れるため、特に金属板と一体で炭素質皮膜が使用される分野において有用である。例えば、金属の腐食防止、摺動性の向上、耐摩耗性の向上、潤滑性の向上などに有用である。
2.炭素質皮膜2及び製造方法2
本発明の製造方法2では、陰極表面に炭素質皮膜を形成する炭素質皮膜の製造において、金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解する際に、電極に印加する電解電位が定電位であり、設定電位がカソード限界電位基準で0.7〜1.2Vであり、電解時間が20〜150時間であり、通電電気量が陰極の面積に対して300〜3000C/cmであることを特徴とする。このようなプロセスは通常、電解浴中で行うことができる。定電位とは電解の間に電極に印加する電位を一定とすることをいう。
炭酸塩は電解により陰極上に形成される炭素質皮膜の原料となる。炭酸塩は通常、溶融塩の形態で使用される。炭酸塩としては、通常、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩が1種単独又は2種以上で使用される。好ましい炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸バリウムであり、より好ましい炭酸塩は、炭酸カリウムである。
これら炭酸塩は溶融塩中で電解される。溶融塩としては、通常、アルカリ金属のハロゲン化物、水酸化物等、アルカリ土類金属のハロゲン化物、水酸化物等などが1種単独又は2種以上で使用される。アルカリ金属のハロゲン化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物が挙げられる。アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物が挙げられる。好ましい溶融塩は、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ金属ヨウ化物であり、より好ましいものは、アルカリ金属塩化物である。アルカリ金属塩化物の中でも、特に下記に示すアルカリ金属塩化物溶融塩が好ましい。
塩化リチウム:塩化カリウム=35〜100mol%:65〜0mol%、好ましくは55〜65mol%:45〜35mol%。
塩化リチウム:塩化カリウム=30〜70mol%:70〜30mol%、好ましくは45〜55mol%:55〜45mol%。
塩化リチウム:塩化カリウム:塩化セシウム=57.5:13.3:29.2mol%。
炭酸塩を除いた溶融塩に対する炭酸塩の濃度は通常0.001〜5モル%、好ましくは0.05〜1.5モル%、より好ましくは0.1〜1モル%である。なお、炭酸塩の濃度が低いと緻密な炭素質皮膜が得られやすくなる傾向がある。
また、溶融塩には、必要に応じて、上記の塩の他に溶解補助剤、電解補助剤などの溶融塩電解に使用される添加物を添加してもよく、その添加量は溶融塩の組成、電解温度、電流密度、通電量などの電解条件に応じて適宜設定すればよい。
一方、電極としては陽極及び陰極が必須であり、必要に応じて参照極を使用することができる。陽極としては、溶融塩電解において通常使用される陽極材料を使用することができる。例えばグラッシーカーボン、グラファイト、導電性セラミクスなどである。陽極の形状、大きさなどは特に制限されない。
陰極としては、4A族、5A族、6A族、7A族、8族、1B族、2B族及び3B族からなる群から選択される少なくとも1種の金属が使用できる。好ましくは、アルミニウム、銅、チタン、ジルコニウム、ステンレス、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、クロム、白金、コバルト、ニッケル、金などであり、より好ましくはアルミニウム、銅、ニッケルであり、よりいっそう好ましくは銅である。陰極の形状及び大きさも特に制限されないが、凹凸のある複雑な形状の金属を陰極として使用すると、凹凸に沿った形状の炭素質皮膜を有する金属を得ることができる。従って、陰極表面に形成される炭素質皮膜と一体化した金属として利用される場合には、電解の時点から利用目的に適した形状及び大きさとすることが望ましい。また、必要に応じて、電解前に陰極表面に対して脱脂処理、化学研磨(例えば水酸化ナトリウム水溶液処理)、機械研磨などの前処理をすることもできる。
参照極は電位を正確に把握するために有用である。したがって、参照極を用い、電位を正確に把握することによって、炭素質皮膜の形成速度、膜形状等をより正確に制御することが可能となる。参照極の材料としては、溶融塩電解において通常使用される参照極材料を使用することができる。例えばAg+/Ag電極などが使用できる。
電極に印加する電位は一定であり、カソード限界電位を基準として、通常0.75〜1.2V、好ましくは0.85〜1.1Vである。電位がこの範囲にあると炭素質皮膜に含まれるLiなどの不純物が減少し、より均質な炭素質皮膜を得ることができる。
また、電解の際の通電電気量は陰極の面積に対して、通常300〜3000C/cm、好ましくは700〜1500C/cmである。
電解温度は特に制限されず、溶融塩の融点、炭素質皮膜の形成状況などに応じて適宜設定することができる。通常、250〜700℃、好ましくは400〜500℃である。電解は、通常大気圧下で行うが、加圧、減圧条件下でも可能である。電解の雰囲気としては、通常、窒素、アルゴン、ネオン、炭酸ガスなどが使用される。電解時間は、重要であり、溶融塩の種類又は濃度、温度、通電量などに応じて適宜変更可能であるが、通常、20〜150時間、好ましくは40〜100時間である。電解時間が長くなりすぎると、得られる炭素質皮膜2の穴(下端が半球状の逆円錐台状の穴)が小さくなることがある。
また、必要に応じて、電位変動波形制御しながら電解を行う前に予備的な電解(予備電解)を行うこともできる。予備電解によって、金属板と炭素質皮膜との密着性の向上、緻密な薄膜の緻密性の向上などの効果が得られる。予備電解は、定電位電解であっても電位変動電解であっても良い。定電位電解における定電位及び変動電位電解における平均電位は、その後の本電解における平均電位より小さければ良いが、0.05〜0.3V小さいことが好ましい。例えば、予備電解における上記定電位及び平均電位は0.4〜1.15Vであることが好ましく、0.4〜0.9Vであることがより好ましく、0.7〜0.8Vであることがより一層好ましい。また、予備電解における電解時間は通常1〜1800秒、好ましくは5〜600秒である。
以下、図1を参照しながら、本発明の製造方法2の一例について説明する。
電気炉(1)内に、ホルダー(3)を設置し、該ホルダー内に電解槽としての高純度アルミナるつぼ(2)を設置する。該ホルダー内にはアルゴン等の雰囲気ガスを導入するための導入管(4)、排出するための(5)排気管が備えられており、これらの管を通して、雰囲気ガスを循環させる。るつぼ内にはアルカリ金属ハロゲン化物などを溶融させた溶融塩を溶媒(6)とする。るつぼ内には熱電対(7)が備えられており、この熱電対で溶媒の温度を測定し、必要に応じて電気炉の温度を調節し、溶媒の温度を調整する。雰囲気ガスを循環させた状態で溶媒中に炭素質皮膜の原料となる炭酸カリウムなどの炭酸塩を添加し、溶融塩とする。次いでるつぼ内に備えられた陽極(8)、陰極(9)及び参照極(10)に電気化学測定装置(11)を接続し、電位を一定に制御して長時間電解を行い、陰極表面に炭素質皮膜を形成させる。陰極表面に形成された炭素質皮膜を焼成すると、水分等が排除され、より均質性が向上する。
本発明の炭素質皮膜2は、上記製造方法2によって製造することができ、金属板上に形成された炭素質皮膜であって、炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの緻密な薄膜を有し、金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該緻密な薄膜上に炭素質粒子が集合してメソ構造を形成し、該メソ構造において逆円錐台状の穴が規則的に並び、該穴の下端が半球状であり、該穴の最大径が1〜200μmであり、また炭素質皮膜の金属と接する面から逆円錐台状の穴の底までの厚みが 0.005〜50μmである(図7上段)。ここで、メソ構造とは、多孔質炭素粒子により形成された上記の穴を有する炭素質皮膜をいう。金属板は製造方法2の陰極材料である。炭素質皮膜2は金属板と接していた面において炭素質粒子が密になった緻密な薄膜を有し、該薄膜は、金属板と接していた面から通常0.005〜10μm、好ましくは0.05〜5μm程度の高さを有する。炭素質皮膜2では、薄膜上のメソ構造に上記の穴が規則的にならんでいる。また穴の底部はメソ構造を貫通し薄膜に達することもある。この穴は、円錐台の上面を半球状とし、これを上下逆さまにして半球状部分を前記薄膜側に向けた形状となっている(図7下段)。したがって、穴の下部から上部にかけて徐々に穴の最大径が大きくなっている。よってこの穴を上から下(薄膜側)に切断すると切断面はアルファベットのUの形状や、Vの形状の谷部分が丸みを帯びた形状と似ている。この最大径は通常1〜200μm、好ましくは30〜150μm、より好ましくは50〜100μmである。穴の深さは1〜300μm、好ましくは20〜150μmである。この穴は1mmあたり通常10〜1000個、好ましくは50〜300個存在する。炭素質皮膜2の厚さは通常10〜500μm、好ましくは150〜300μmである。
炭素質皮膜2は金属板との密着性に優れ、特異な穴を有するため、特に金属板と一体で炭素質皮膜が使用される分野、ナノ粒子製造のためのアレイなどとして有用である。例えば、ポーラスアルミナを利用したナノホールアレイによるナノ粒子の製造のように、強磁性体、金属、半導体などをこの穴に埋め込むことで高密度磁気記録媒体や、高輝度電界発光素子などを形成できる。また、金属の腐食防止、摺動性の向上、耐摩耗性の向上、潤滑性の向上などにも有用である。
本発明の炭素質皮膜1は、従来の炭素質皮膜と比較して比表面積や電気二重層容量が大幅に増加する。また、本発明の炭素質皮膜2は、規則的に整列した穴を有するためナノホールアレイとして利用することができる。
本発明の炭素質皮膜1及び2は、従来の炭素質皮膜が使用されていた用途に使用できる。例えば、触媒、電極、発熱体、構造体、ガスケット、断熱体、放熱板、耐食性シール材、電機用ブラシ、X線又は中性子線モノクロメータ、原子炉用減速材、電池用セパレータ、金属の腐食防止などとして有用である。炭素質皮膜1は、特に触媒、電極に有用であり、炭素質皮膜2は、特に電極、構造体、放熱板に有用である。
また、本発明の製造方法1によれば炭素質粒子堆積構造を有する上記炭素質皮膜1を製造でき、製造方法2によれば特異な穴を規則的に並んだ構造を有する上記炭素質皮膜2を製造できる。さらに、本発明の製造方法1及び2によれば、凹凸などのある複雑な形状の金属表面に密着性、平滑性、均質性に優れた炭素質皮膜を形成することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1
電解浴中で、共晶組成にて混合したLiCl(58.5モル%)及びKCl(41.5モル%)からなる300gの混合物を200℃で真空乾燥させた後、アルゴン雰囲気中450℃で溶融させ溶媒とした。この溶媒にKCOを0.50モル%となるように添加し、得られた溶融物を電解用の溶融塩とした。陰極としては、5NのNaOH水溶液で表面を化学研磨した50μm厚のアルミニウム箔を使用し、陽極としてはグラッシーカーボンを使用し、参照極としては、Ag+/Ag電極を使用した。450℃を維持しながら陰極に対し、Li/Liを基準とした最低電位を0.80V、最大電位を1.00Vとし、10mV/秒で電位をスイープして印加し、18時間電解を行った。電解後、溶融塩から陰極を引き上げ、陰極表面上に得られた炭素質皮膜を蒸留水で洗浄し、次いでエタノールで洗浄し、炭素質皮膜を有するアルミニウム箔を得た。得られたアルミニウム箔を切断し得られた断面を走査電子顕微鏡で観察した。なお、電解による製造時には基板を炭素質皮膜が覆っており剥離はなかった。観察結果を図2に示す。図2上段の写真は炭素質皮膜の断面を写した写真である。厚さ数μmの緻密な薄膜の上に粒子状炭素の集合体が100μm程度の高さで魚卵状で存在している。図2下段は薄膜上部に存在する粒子状炭素の集合体を拡大した写真であり、1〜2μm程度のサイズの粒子が多くみられる。
実施例2
最低電位を0.90V、最大電位を1.10Vとし、電解時間を19.4時間とした以外は実施例1と同様にして炭素質皮膜を製造し、剥離させて得られた断面を走査電子顕微鏡で観察した。なお、電解による製造時には基板を炭素質皮膜が覆っており剥離はなかった。観察結果を図3に示す。図3上段は、図2上段とは異なり、上半分程度の白色がかった部分が基板側であり、下半分のやや白色がかったところが成長した炭素質皮膜部分である。厚さ数μmの緻密な薄膜の上に粒子状炭素の集合体が100μm程度の高さで魚卵状で存在していた。図3下段は緻密な薄膜上部に存在する粒子状炭素の集合体を拡大した写真であり、0.5〜1μm程度のサイズの粒子が多くみられた。
実施例3
#600の研磨紙により表面処理した1.0mm厚のアルミニウム板を陰極として使用し、KCO濃度を0.20モル%、最大電位を1.2Vとし、電解時間を18.7時間とした以外は実施例1と同様にして炭素質皮膜を製造し、その断面を走査電子顕微鏡で観察した。観察結果を図4に示す。なお、図4上段では、基板から炭素質皮膜が剥離しているがこれは顕微鏡撮影のためアルミニウム板を180°折り曲げた際に剥離したものであり、電解による製造時には基板を炭素質皮膜が覆っており剥離はなかった。厚さ10μm弱の緻密な薄膜が観察された。図4下段は緻密な薄膜上部に存在する粒子状炭素の集合体を拡大した写真であり、数100nm程度のサイズの粒子が多くみられた。
実施例4
#600の研磨紙により表面処理した1.0mm厚のアルミニウム板を陰極として使用し、KCO濃度を0.20モル%、最低電位を0.75V、最大電位を1.2Vとし、電解時間を17.7時間とした以外は実施例1と同様にして炭素質皮膜を製造し、その表面を走査電子顕微鏡で観察した。観察結果を図5に示す。なお、図5上段では、基板から炭素質皮膜が剥離しているがこれは顕微鏡撮影のためアルミニウム板を180°折り曲げた際に剥離したものであり、電解による製造時には基板を炭素質皮膜が覆っており剥離はなかった。厚さ5μm程度の緻密な薄膜が観察された。図5下段は緻密な薄膜上部に存在する粒子状炭素の集合体を拡大した写真であり、数μm程度のサイズの粒子が多くみられた。
実施例5
#600の研磨紙により表面処理した1.0mm厚のアルミニウム板を陰極として使用し、KCO濃度を0.20モル%、最低電位を0.72V、最大電位を1.2Vとし、電解時間を17.2時間とした以外は実施例1と同様にして炭素質皮膜を製造し、その断面を走査電子顕微鏡で観察した。観察結果を図6に示す。なお、図6上段では、基板から炭素質皮膜が剥離しているがこれは顕微鏡撮影のためアルミニウム板を180°折り曲げた際に剥離したものであり、電解による製造時には基板を炭素質皮膜が覆っており剥離はなかった。厚さ10μm弱程度の緻密な薄膜が観察された。図5下段は緻密な薄膜上部に存在する粒子状炭素の集合体を拡大した写真であり、1μm程度のサイズの粒子が多くみられた。
実施例6
電位を定常の1.00Vとし、陰極として#600の研磨紙により表面処理した1.0mm厚の銅板を使用し、KCO濃度を0.20モル%、電解時間を90時間とした以外は実施例1と同様にして炭素質皮膜を製造し、その表面を走査電子顕微鏡で観察した。観察結果を図7〜図9に示す。なお、図7上段では、基板上に、規則的に並んだ穴を有する特異な炭素質皮膜が形成されていることが観察された。図7下段では、緻密な薄膜の厚さが数10μmであることが観察された。また、50〜80μm程度の径で100μm程度の深さの穴が多いことが観察された。
比較例1
電位を1.00V、電解時間を24.0時間とした以外は実施例6と同様にして炭素質皮膜を製造し、その断面を走査電子顕微鏡で観察した。観察結果を図10に示す。厚さ5μm程度の薄膜上に、炭素質粒子が不規則に集合し、嵩高い構造を有する粒子集合体がまばらに存在している様子が観察された。
本発明により得られる炭素質皮膜は、従来の炭素質皮膜が使用されていた用途に使用できる。例えば、電極、発熱体、構造体、ガスケット、断熱体、放熱板、耐食性シール材、電機用ブラシ、X線又は中性子線モノクロメータ、原子炉用減速材、電池用セパレータ、金属の腐食防止などとして有用である。
溶融塩電解装置の概略図である。 実施例1において得られた炭素質皮膜の断面写真(上段)及び炭素粒子(下段)である。 実施例2において得られた炭素質皮膜の断面写真(上段)及び炭素粒子(下段)である。 実施例3において得られた炭素質皮膜の表面写真(上段)及び炭素粒子(下段)である。 実施例4において得られた炭素質皮膜の表面写真(上段)及び炭素粒子(下段)である。 実施例5において得られた炭素質皮膜の表面写真(上段)及び炭素粒子(下段)である。 実施例6において得られた炭素質皮膜の表面写真(上段)及び該炭素質皮膜の断面写真(下段)である。 実施例6において得られた炭素質皮膜の表面写真(上段)及びさらに拡大した表面写真である(下段)。 実施例6において得られた炭素質皮膜の断面写真(上段及び下段)。上段の写真では、写真下方が金属板と接していた面である。下段の写真では、写真斜め左上方が金属板と接していた面である。 比較例2において得られた炭素質皮膜の断面写真である。
符号の説明
1 電気炉
2 るつぼ
3 ホルダー
4 導入管
5 排気管
6 溶媒
7 熱電対
8 陽極
9 陰極
10 参照極
11 電気化学測定装置

Claims (6)

  1. 下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする金属板上に形成された炭素質皮膜。
    (1)該炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの薄膜を有し、該薄膜の金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該薄膜上に炭素質粒子堆積構造を有する
    (2)該炭素質被膜が、金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する炭素質皮膜の製造方法において、電位変動波形を制御しながら電解を行い、電解電位の波形が、矩形波状、三角波形状及び正弦波形状からなる群から選択される少なくとも1種の波形であり、電解の平均電位がカソード限界電位基準で0.7〜1.2Vであることを特徴とする製造方法によって得られたものである
  2. カーボンの薄膜の密度が、1.4〜2.2g/cm であり、炭素質粒子体積構造の密度が、0.23〜1.6g/cm である請求項1に記載の炭素質被膜。
  3. 下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする金属板上に形成された炭素質皮膜。
    (1)該炭素質皮膜の金属と接する面において、金属基板の表面を覆ったカーボンの薄膜を有し、金属面からの高さが0.005〜10μmであり、該薄膜上に炭素質粒子が集合してメソ構造を形成し、該メソ構造において逆円錐台状の穴が規則的に並び、該穴の下端が半球状であり、該穴の最大径が1〜200μmであり、また炭素質皮膜の金属と接する面から逆円錐台状の穴の底までの厚みが0.005〜50μmである
    (2)該炭素質被膜が、金属材料を陰極として炭酸塩を含有する溶融塩中で炭酸イオンを電解し、陰極表面に炭素質皮膜を形成する炭素質皮膜の製造方法において、電極に印加する電解電位が定電位であり、設定電位がカソード限界電位基準で0.7〜1.2Vであり、電解時間が20〜150時間であり、通電電気量が陰極の面積に対して300〜3000C/cm であることを特徴とする製造方法によって得られたものである
  4. 炭酸塩を除いた溶融塩に対する炭酸塩の濃度が0.001〜5モル%である請求項1〜のいずれかに記載の炭素質皮膜。
  5. 炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項に記載の炭素質皮膜。
  6. 陰極の金属材料がチタン、ジルコニウム、ステンレス、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、クロム、白金、コバルト、ニッケル、銅、金及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属である請求項1〜5のいずれかに記載の炭素質皮膜。
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