以下に本発明の好適な一実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
尚、後述する説明では本願出願人が特開平9−151856号公報において提案したペリスタリックフィンガ方式であって、各フィンガにより輸液チューブを上流側と下流側のみ完全に潰した閉塞状態にする一方で、閉塞された途中部位については完全に潰さないようにすることで、輸液チューブの肉厚の影響をなくした精度の良い送液を行う輸液方式を前提にしている。
しかしながら、この方法に限定されず、完全に潰すことで輸液チューブの蠕動運動を行うように構成されたペリスタリックフィンガ方式の輸液ポンプまたは他の方式の輸液装置である回転ローラを備えたディスクにより輸液チューブを押圧して輸液を行うローラ式輸液ポンプ等の輸液装置にも適宜適用できることは言うまでもない。
図1は、本発明の一実施形態の専用クランプ1、汎用クランプを点滴筒6の出口管7に予めセットした後に透明バッグ中に収納し、滅菌処理後に封印して準備される専用輸液セット4と汎用輸液セット5の正面図である。本図において、図示のように各セット4、5を一部重ねているので専用クランプ1についてのみ図示されているが汎用クランプ101についても同様にセットされる。
また、専用クランプ1と汎用クランプ101をセットした専用輸液セット4と汎用輸液セット5の双方を用いる場合に限らず、いずれかのセット4、5を使用して輸液装置に装填して使用する場合もあることは言うまでもない。しかしながら以下の説明では双方のセットを使用できる場合について主に述べる。
図1において、専用輸液セット4の透明バッグの内部には後述する指定の輸液装置に装填して使用する場合において輸液精度が保証できるように外形寸法、肉厚、材質、硬度などが厳密に管理されて製造された長さ約2m、外形約5mmの透明のビニル製の専用輸液チューブ2が巻かれた状態で内蔵されている。この専用輸液チューブ2の一端には、透明樹脂製の点滴筒6が、また、他端にはコネクタ13が接続されている。この点滴筒6には後述する輸液バッグに穿刺される破線図示のびん針8が接続される一方で、点滴筒6の出口管7(破線図示)には専用クランプ1が図示のように予めセットされている。
びん針8にはキャップ9が、またコネクタ13にもキャップ14が被せられており、滅菌状態を保つとともに使用時に各キャップを外し、コネクタ13に対して同封された破線図示の穿刺針15をキャップ16を外した後に圧入してセットできるように準備されている。後述する輸液方向から見てこのコネクタ13の上流側にはローラクレンメ10がセットされている。このローラクレンメ10は横断面が略四角形の樹脂製であり、図示のように輸液チューブ2を挿通した後に左右壁において一部が斜めに穿設された左右溝12で回転自在に支持されるローラ12を設けている。このローラ12を図示の位置から矢印方向に回転移動すると、輸液チューブ2とローラ12の外周面との間の距離が狭くなり最終的に閉塞状態にできるように構成されている。したがってこのローラクレンメ10は輸液開始後に開放位置にセットされ輸液終了後に閉塞位置にセットされる。
以上が専用輸液セット4に梱包される内容であるが、汎用輸液セット5についても略同じ内容のものがセットされる。ただし、この汎用輸液セット5の輸液チューブ3は輸液精度の保証ができない製造工程で製造されたものであり、点滴筒6内の点滴数(例えば15滴で1ml)をカウントする点滴検出装置とともに使用することを前提として準備される。したがって、汎用輸液セット5は点滴検出装置に接続する分面倒であるので専用輸液セット4よりも安価に提供される。以上が各セットの内容であるがこの他にも、びん針の近くに懸垂時に力を受け止める補助バンドを設ける場合、空気ベントフィルターを設ける場合、三方弁を接続する場合、ゴムキャップを設けシリンジから薬液を注入する分岐管を接続する場合など多くのセットがある。
以上の各セットにおいて、従来のセットとの比較で特徴的な点は専用クランプ1が輸液チューブより太い外径の点滴筒の出口管7に対して直角方向に固定されており、使用時において輸液チューブ側に移動できるようにした点である。このように予め専用クランプ1あるいは汎用クランプ101をセットしておくことで、各セットの搬送時におけるクランプの移動を効果的に防止できかつ輸液チューブの変形やバックを破らないようにできることになる。
次に、図2(a)は、樹脂射出成型後の専用クランプ1または汎用クランプ101を使用状態にした後に、輸液チューブ2、3をチューブ閉塞部分で開放状態にする様子を示すために一部を透視して示した外観斜視図、(b)は同じく輸液チューブ2、3をチューブ閉塞部分で閉塞状態にする様子を一部を透視して示した外観斜視図である。
先ず、図2(a)において、クランプ1、101は、繰り返し弾性変形可能なエンジニアリングプラスチックであるナイロン系のポリアセタール樹脂(登録商標であるジュラコン)から一体樹脂形成されると良い。また、輸液チューブ2、3を閉塞するための一方の閉塞部21を形成した主基部20と、輸液チューブ2、3を閉塞する他方の閉塞部31を形成するとともに、この主基部20から弾性支持部33を介して解除方向に自然状態で移動付勢されるように延設される副基部34とが図示のように一体成型されている。
また、主基部20と副基部34とを係止することで、図2(b)に図示のような閉塞状態にするとともに、外周面よりも奥側に位置する押圧面41aを押圧することで、図2(b)の状態から待機位置に戻されて解除状態にするための係止部が一体成型される。
ここで、クランプ1、101は上記の樹脂成型品に限らず、使用樹脂の種類は特に焼却処分時に有毒ガスを発生しない種類が望ましく、さらに金属製、厚手の紙あるいはこれらを組み合わせたものでも良い。
図示のように所定の板厚20tの面に直交する方向に曲げられない板状に形成された主基部20からは、図示のように第1の弾性支持部33が一体成型されており、これに連続して副基部34がさらに一体成型されている。この第1の弾性支持部33は板厚33tの方向に弾性変形できるように円弧形状または曲面状に形成されており、図2(a)の矢印F1方向に外力が加わることで主基部20に形成された一方の閉塞部21に向けて他方の閉塞部31が移動して輸液チューブ2、3を閉塞するように構成されている。
所定板厚20tの両面を有する第1の延設部22が主基部20から図示のように連続形成されている。一方、この第1の延設部22において上記の一方の閉塞部21に向けて爪状の第1の係止部23が形成されている。また、この第1の延設部22の上下面には傾斜面と垂直面とから形成される第2の係止部24、24が形成されている。
また、副基部34から連続形成される円弧状の第2の弾性支持部40は、自然状態では上記の他方の閉塞部31から常時離れるように移動付勢されて延設されている。この第2の弾性支持部40の端部からは、上記の第1の延設部22を間に潜入させ、かつ第1の延設部22より小さな外周面において押圧面41a、41aを夫々有した一対の第2の延設部41(上側を二点鎖線で、下側を破線で図示した)が一体成型されている。さらに一対の第2の延設部41、41の間には上記の第1の係止部23に係止するために傾斜面と垂直面とを有する第3の係止部43が補強を兼ねて一体成型されている。また、一対の第2の延設部41、41の対向面には上記の第2の係止部24、24に同時に係止する第4の係止部44、44が一体成型されている。
以上の構成により、副基部34が矢印F1方向に外力により移動されることで、図2(b)に図示するように第1の係止部23と第3の係止部43とが係止されて輸液チューブ2、3の閉塞状態が維持されることになる。
一方、押圧面41a、41aを矢印F2方向に同時に押圧することで、円弧状の第2の弾性支持部40が奥側に移動される。この結果、第3の係止部43が奥側に移動され、第1の係止部23との間の係止状態が解除される。また、この動作に合い前後して第1の弾性支持部33の有する弾性戻り力により副基部34が、図2(a)に図示する位置に復帰され、上下の第2の係止部24、24と第4の係止部44、44とが係止する待機位置に戻される。以上で輸液チューブ2、3の解除状態が維持されることとなる。
ここで、各係止部の配設位置および個数は上記に限定されず適宜設定可能であることは言うまでもない。
続いて、図3(a)は図2(a)の専用クランプ1の係止の構成部分を一部透視して示した外観斜視図、(b)は図2(a)の専用クランプ1により輸液チューブ2、3を閉塞した様子を示すために輸液チューブの長手方向の中心面に沿って破断して示した断面図、(c)は輸液チューブを開放した様子を示した断面図である。
先ず、図3(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、本図では第1の延設部22を上下の第2の延設部41、41の間に潜入させることで待機位置にする前の樹脂射出成型後の様子を示している。
すなわち、クランプ1、101を樹脂射出成型するときに、係止状態では成型できないことから図示の状態で成型金型から取り出し、その後上記のように待機位置にセットするようにしている。さらにまた、成型金型において極力アンダー部ができないように配慮している。
本図において、第2の係止部24、24に同時に係止する第4の係止部44、44は押圧面41a、41aに略直交するように段差形状に奥側に向けて一体成型されている。さらに、第1の延設部22において後述するクランプ装填手段への過剰な挿入を規制する規制部25が図示のように上下面から一体成型されている。この規制部25を図示のように形成することで、上下から把持したときに指先が痛くならないように配慮している。
次に、図3(b)において上記の一方の閉塞部21と他方の閉塞部31の横断面形状は角度θが45度から90度の範囲の所定角度の鋭角の山形に形成されるとともに、輸液チューブ2、3を閉塞状態にしたときに、頂点間の距離である間隙Tがゼロになるのではなく、輸液チューブの肉厚部同士が図示のように内部で互いに当接するように形成されている。また、解除状態になると、図3(c)に図示のように完全に開放する位置に移動して薬液を下流側に送液できるように構成されている。
以上がクランプの基本的な構成および動作である。
次に、図4(a)は樹脂射出成型後の専用クランプ1を前方斜め上から見た外観斜視図、図4(b)は専用クランプ1を後方斜め上から見た外観斜視図である。また、図5(a)は樹脂射出成型後の専用クランプ1の正面図、図5(b)は、樹脂射出成型後の汎用クランプ101の正面図である。
図4と図5(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、閉塞部21、31からは輸液チューブの位置ずれを防止するための案内部20a、38、35、28が夫々の端部に形成されている。また、案内部38、35、28には輸液チューブの折れ曲がりを規制するための突起部29、36が上下面に夫々形成されている。さらに、主基部20の長手方向に沿って第1の延設部22とは逆方向になるようにクランプ装填手段に挿入される挿入ガイド部26が形成されており、この挿入ガイド部26において図示のような小さい谷形状の第1の凹部26aである検出片が先端に面取り形状を有して形成されている。
また、主基部20の長手方向に沿って第1の延設部22とは逆方向でありかつ垂直になるように補強ガイド部30が形成されている。そして、副基部34の長手方向に沿って第2の弾性支持部40から逆方向に補強リブ37が形成されている。
この補強ガイド部30は板状の主基部20に対して直交する壁として形成されており、補強と後述するクランプ装填手段への装填時の案内部材として機能するようにしている。また、補強リブ37は副基部34の補強と後述する回動アーム部材の摺接面としての機能を達成するように構成されている。
次に、図5(b)の汎用クランプ101において専用クランプ1と大きく異なる構成として検出片となる第2の凹部27aを形成した挿入ガイド部27が専用クランプ1の全長より1.5mmほど長くなるように形成されている。また、案内部38と、この案内部38に形成される突起部29は大きくなるように形成されている。さらに、図中の寸法(mm)で図示した実寸法を有するように樹脂射出成型されて準備される。
次に、図6(a)は樹脂射出成型後の専用クランプ1を待機位置に係止することで使用状態にした後の左側面図、(b)は同じく右側面図、(c)は待機位置に移動される前の上面図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図6(a)、(b)において突起部29、29と突起部36が幅寸法4mmの副基部より突出している。また、第1の延設部22は左右一対の第2の延設部41、41の間に入り込んだ状態になっている。また第2の弾性支持部40の幅寸法は7mmである。
続いて図6(c)において、第2の係止部24、24の頂点間の距離は3.8mmであり、第2の延設部41、41の内側面に形成された第4の係止部44、44間の距離である3.3mmより0.5mm分大きく設定されており、待機位置に移動したときに第4の係止部44、44間が広がるように弾性変形して図2で示した係止状態にできるように構成されている。
続いて、図7(a)は図6(a)の樹脂射出成型後の専用クランプ1におけるX−X線矢視断面図、(b)は汎用クランプ101を使用状態にした後の平面図、(c)は汎用クランプ101を輸液チューブを閉塞する閉塞状態にした後の断面図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図7(a)において第1の案内部28は第2の案内部35と重なるように形成されている。また、図7(b)において、汎用クランプ101は汎用輸液チューブ3を閉塞部21、31の間における解除状態で保持した後に、図7(c)に図示のように第1の係止部23と第3の係止部43が係止されると破線で示された汎用輸液チューブ3が閉塞されることになる。この係止状態を解除するためには一対の第2の延設部41、41の押圧面41aを押圧することで、第1の係止部と第3の係止部との係止が解除されて第2の係止部と第4の係止部とが係止する待機位置に戻されることになる。
以上のように各クランプ1、101は、弾性変形可能な樹脂材料から一体射出成型された後に待機位置になるように係止部が係止されるが、識別を容易にするために例えば専用クランプ1を白色に、汎用クランプ101を橙色にして別色に樹脂成型すると良い。
図8(a)は専用クランプ1を輸液チューブを閉塞する閉塞状態にした外観斜視図、(b)は比較のために示した断面図、(c)は図8(a)のX−X線矢視断面図である。
先ず、図8(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、検出片となる挿入ガイド部26にはRFID(ICタグ)45が接着などで固定されている。このタグ45を上記の凹部に代えて検出するようにしても良い。また、一対の第2の延設部41、41はクランプ装填手段への装填の際の被把持部となることから挿入矢印を立体形成した把持部を一体成型している。
次に、図8(b)において閉塞状態にされた輸液チューブ2、3を装填方向の斜め方向に指先で上下から把持すると輸液チューブが前後方向に移動してしまい閉塞部21、31での閉塞状態に緩みが発生して液漏れを発生することが確認された。
これに対して図8(c)に図示のように上記の突起部29、29と突起部36、36を設ける場合には、輸液チューブ2、3を図示のような斜め方向に指先で上下から把持しても閉塞部21、31に直交する状態が維持できるので閉塞状態に緩みが発生せず液漏れの発生を防止できることが確認された。
図9(a)は専用クランプ1の閉塞試験結果を示す図表、(b)は汎用クランプ101の閉塞試験結果を示す図表である。
本図表から、専用クランプ1は閉塞部21、31の間隙が0.88から0.60mmにおいて指先で把持されたときに輸液チューブの硬化で閉塞状態を維持することが困難となる低温の摂氏5度で圧力が20kパスカルの条件下で斜め方向に把持された場合であっても一切の漏れが発生しないことが確認された。
また、条件Aの輸液装置にセット後に取り外した後の試験では閉塞部21、31の間隙が0.92から0.75mmの範囲で漏洩せず、条件Bである完全に輸液装置に装填後にドアを閉じ、再度ドアを明けて取り出し後に漏洩試験を行ったところ閉塞部21、31の間隙が0.92から0.71mmの範囲で漏洩しないことが確認できた。
一方、汎用クランプ101では閉塞部21、31の間隙が0.77から0.57mmにおいて指先で把持されたときに、摂氏5度の20kパスカルの条件で斜め方向に把持された場合において一切の漏れが発生しないことが確認された。
また、条件Aの輸液装置にセット後に取り外した後の試験では閉塞部21、31の間隙が0.81から0.62mmの範囲で漏洩せず、条件Bである完全に輸液装置に装填後にドアを閉じ、再度ドアを明けて取り出し後に漏洩試験を行ったところ閉塞部21、31の間隙が0.81から0.57mmの範囲で漏洩しないことが確認できた。以上の試験結果から、ナースなどが思わず斜めに把持した場合でも漏洩しないようにできることが確認された。
図10は、輸液チューブ2、3を閉塞する閉塞状態にした専用クランプ1、汎用クランプ101を床上に落下させた様子を示す動作説明図である。本図において、ハッチングで示した床面またはナースの身体の一部にクランプが衝撃力をもって触れると第2の延設部41の押圧面41aよりも先に第1の延設部22が当接する状態になる。
したがって、思わず落としたりした場合や、激しく取り扱った場合に身体に触れたときでも輸液チューブの閉塞状態が解除される虞がない。このようにして安全性の確保に万全を期している。
次に、図11は輸液装置200に輸液チューブ2、3を装填し、ドア204を閉じた状態を示した正面図である。図では輸液チューブ2、3の途中部位を図示のようにセットした後に、ドア204を閉じてから、ドアロックレバー207の操作により輸液が開始できるようにした状態が示されている。
本図において、輸液装置200のドア204の前面側に設けられる操作スイッチパネルが図示されている。輸液チューブ2、3は図1で述べたセットから取り出されて最上流側には所定の薬液を貯蔵した輸液バッグ46にびん針を穿刺して接続されており、輸液チューブ2、3の途中部位を図示のように輸液装置200にセットする。また、輸液チューブ2のさらに下流側のローラクレンメ10を介して接続される静脈刺針の穿刺針15を患者の静脈に刺針することで、薬液の注入を行なう。
このローラクレンメ10は、クランプ1、101と同じ機能を果たすものであるが、しばしば閉塞されることが忘れられるために、クランプ1、101が必要となる。輸液バッグ46は不図示のスタンドポールに吊るされる一方で、点滴筒6は点滴で光軸が遮られることでカウントを行う点滴筒センサ47にセットされる。特に汎用輸液チューブ3を使用する場合にはカウントを行うことが必須条件となる。以上のセット後に例えばベッド上に横たわる患者に対する精度の高い輸液が行われる。
また、表示部は所謂7セグメント数字表示部が全て「8」となる表示となっているが、これは数値及びエラー、「−」などが表示されることを示している。一方、輸液装置200の本体の基部となるとともに、本体外周縁部の形状部を形成した本体ベースはアルミダイキャスト製又は剛性を有する樹脂製であり必要な強度と精度を確保する一方で、この本体ベースの左側縁部をその回動中心として開閉自在にドア204を設け、このドア204の前面に図示のように操作スイッチと表示部とを配設して小型化を実現にしている。すなわち、操作スイッチ類を配置したキーパネル部209と、表示部208とが枠印刷により上下方向に大別して設けられている。これらキーパネル部209と表示部208は透明樹脂フィルムの裏面上に所定項目が印刷されるとともに、エンボス加工により前方に円形に突起するように加工された樹脂フィルムで、不図示の各キートップ部分を覆うように接着されて固定されていて、薬液などが装置の内部に進入することを防止している。
また、上記の各スイッチキーは共通の基板上に実装され、また表示部208のLEDは、自己発光して夜間でも表示が見え易いようにしている。各スイッチキーと表示装置及びランプ類は後述する制御部に対してフレキシブルケーブルを介して接続されており、このケーブルから電力供給及び駆動信号等を伝達する。このようにして、ドア化粧カバーを設けたドア204の開閉動作にともなう電力供給及び信号伝達が支障なく行えるように構成されている。また、このドア204に設けられるキーパネル部209と表示部208はTTLレベルの電気信号のみを扱う。
次に、各スイッチの機能について述べると、図示の左下隅に配設される電源スイッチ215はメイン電源の「入/切」時に使用されるものであり、所定秒(およそ2秒以上)押し続けることで、電源入りとなり、再度所定秒(約3秒以上)押しつづけることで電源切れとなるように制御されており、不用意に電源の入れ切れ(オン・オフ)ができないようにして思わぬ事故防止を図っている。この右隣りのバッテリランプ216は図示のように3段階に表示する緑色発光ダイオードを設けており、電源のオン・オフに関係なく交流または専用の直流電源を接続しているときに点灯して、充電中であることを知らせるようにしており、充電中には充電量をまた内蔵バッテリー使用中には残量を3段階レベルでLEDにより表示するようにしている。
また、このバッテリーランプ216の上方には、商用電源か直流電源を使用しているときで、電源がオンの時のみ常時点灯する交流直流ランプ217が設けられている。この上には輸液中に押すことで内蔵のブザーが鳴り、輸液を強制停止するための停止消音スイッチ218が設けられている。この停止消音スイッチ218は警報音が鳴っているときに押すことで消音させることができ、また輸液の準備が整い開始可能な状態から所定秒(約2秒以上)押圧しつづけると「スタンバイモード」となり、開始忘れを注意するアラーム状態が解除される状態になる。このため、例えば手術室内において患者への刺針が完了した状態で待機するときに、輸液開始までの時間中にアラーム発生を行わないようにできるようにしている。この停止消音スイッチ218の左隣りには停止中に橙色で発光するダイオードが点滅するようにした停止表示ランプ221が停止消音スイッチ218と同じ枠で囲むようにして関連付けされて設けられている。
この停止消音スイッチ218の右隣りには開始スイッチ219が設けられており、この開始スイッチ219を押すことで内蔵のブザーが鳴り、輸液動作を開始し、開始表示ランプ220の緑色発光ダイオードが点滅して動作状態であることを表示するようにしている。この停止消音スイッチ218の左隣りには早送りスイッチ236が設けられており、これを押圧することで押圧している間は、設定された速度(mL/h)よりも早い送液を行なうようにして緊急事態に即応できるようにしている。
これら各スイッチの上方には、表示部208で囲まれた下方に位置する流量予定量表示部233の表示桁に対応する位置になるように設定手段であるアップダウンスイッチ222が図示のように上下に合計で3列分配置されており内蔵された不図示の6個のスイッチのオンにより、これらアップダウンスイッチ222の各桁数に対応した上下ボタンを停止状態で夫々押すことで流量と予定量の設定をできるようにしている。このときアップダウンスイッチ222の桁数に応じた列を押すことで0.1mL/h、1mL/h…単位で表示が変化し、流量設定範囲が最小の1.0〜最大の500mL/hに設定可能となるようにプログラムされている。
この流量予定量表示部233の上方には専用クランプ1が装填されたときに内蔵のランプが点灯する専用クランプ表示部239と汎用クランプ101が装填されたときに内蔵のランプが点灯する汎用クランプ表示部238が併設されている。
この流量予定量表示部233の上方には図示のように別枠印刷で囲まれた積算量予定量表示部223が配設されている。この予定量設定の範囲は同じくアップダウンスイッチ222の各桁数に対応した上下ボタンを押すことで、1〜9999mLの範囲で設定可能であり、1mL単位で設定するかまたはフリーに設定できるようにプログラムされており、その設定値を記憶するように構成されている。
また、輸液された積算量を、積算量表示範囲が0.0〜9999mLの範囲となるように0.1mL、又は1mL単位で表示するようにプログラムされている。これらの流量表示部233はLED表示であり、積算量予定量表示部223もLEDであるため、夜間乃至暗い部屋でも照明なしで見ることができる。
また、積算量予定量表示部223の上方には各種のアラーム文字を設けたアラーム表示部が別枠印刷で囲まれるように配設されている。このアラーム表示部は、「完了」の文字を点滅で表示する完了表示部224と、輸液チューブ2、3の閉塞異常が検出されて正常な輸液ができないときに「閉塞」の文字が点滅するようにして処置を促す閉塞異常表示部230と、ドア204が本体ベース3に対して完全に閉じていないときにその状態がドアスイッチで検出されたときに、「ドア」の文字を点滅させるドア開き表示部227と、輸液チューブ2、3中に所定長(10mm)以上の長さの気泡が混入したときに「気泡」の印刷文字を点滅表示するようにした気泡異常表示部228と、内蔵バッテリーの電圧が低下したときに「バッテリ」を点滅表示するようにしたバッテリ異常表示部229とが図示のように同じ印刷枠で囲まれるようにして設けられている。さらに、輸液チューブ2の閉塞検出警報圧力レベルを「H」の高い、「M」の中間、「L」の低いの3段階で緑色表示する発光ダイオードを図示のように左右方向に配設した閉塞圧設定表示部が設けられており、予め設定された閉塞検出警報圧力レベルを常時点灯表示するようにしている。これら発光ダイオードは同じ実装基板上に発光ダイオードが実装されており、上記のフレキシブルケーブルを介して電力供給を受けるようにしている。また、表示部208の最も上にクランプの装填を内蔵のランプ237aの点灯で表示するクランプ表示部237が設けられている。
ここで、破線で一部が示されたドアベース204aはアルミダイキャスト製または剛性のある樹脂製であり、デザイン上のポイントとなる曲面を側面と前面の間に形成するとともに、上面において凸状に突出形成された動作インジケータ206を設けている。この動作インジケータ206の内部には赤色と緑色に発光する発光ダイオードが内蔵されており、動作状態に応じて点灯するようにしている。すなわち、送液中と早送り中は点滅し、スタンバイ機能が働いている時は、赤色と緑色が交互に点滅して、輸液を即座に開始できる状態を遠方からも認識できるようにしている。
次に、図12(a)は輸液装置200のドア204を開いた状態を示した正面図、(b)は傾斜部材50の外観斜視図である。本図において輸液装置200のドア204を開いており説明のためにドア204は本体ベース203に対して略面一となるまで開かれた状態を示しているが、ドア204は所定角度の略105度まで開かれると停止するストッパーが設けられている。また、傾斜部材50はドア204に取り付ける前に斜め下方から見た図である。
図12(a)において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、輸液装置200は所定材質の樹脂材料からヒケや樹脂流れ痕などがないように特殊射出成形される本体化粧カバー212で本体ベース203の四隅を覆うようにして固定するように構成されており、この本体化粧カバー212を取り外すことで内部の全ての部位に簡単に近づけるようにした、保守組み立ての容易化を考慮している。
また、この本体化粧カバー212の上には持ち運びの際に把持するためのハンドル205が固定されている。本体ベース203は図示のように略中央部において上下方向に形成される溝部203mを一体形成しており、この溝部203m内に輸液チューブ2、3をセットするように構成されている。
さらに、この溝部203mの下方には合計で4個のネジをプラスドライバーで取り外すことで着脱可能に構成されたポンプ機構201が設けられており、このポンプ機構201が薬液などで汚染されて、フィンガ201a、201b、201c、201d、201eの動きが悪くなったときに、ポンプ機構201を本体ベース203から取り出し、所定洗剤で洗浄することで薬液を洗い流し、動きが正常に復帰できるように設計されている。このためにポンプ機構201に設けられる各フィンガは、耐薬液、薬品性に優れる、例えばポリアセタール樹脂材料等の熱可塑性樹脂から射出成形されている。
また、本体ベース203の下方には紙面前方に突出する一対の顎部203aが一体形成されており、ドア化粧カバーを設けたドア204を閉じたときにこの凸状部である顎部203aの上にドア化粧カバーの下方側面が位置することで、何らかの衝撃的な外力が加わったときに、この顎部203aで外力を受け止めるようにして、ドア化粧カバーとドア204には外力が加わらないように配慮されている。
また、本体ベース203の中間の右側にはフック259が固定されており、ドア204において回動自在に設けられたドアロックレバー207の係止部207aがこのフック259に対して係止されることで、ドア204を本体に対する固定状態に維持するようにしている。
また、溝部203mの最上流側に対向したドア204にはエラストマーから形成されるドアシールゴム266が配設されており、ドア204を閉じたときに本体ベース203は、図示の形状部203jとの間で接合シール面を形成するようにドアシールゴム266が変形するようにして、内部に薬液等が進入することを防止している。また、ドアシールゴム266は、ドア204に固定されるチューブ押え板267により脱落防止されて固定される。
上記の形状部203jの下方には気泡センサ260が配設されている。この気泡センサ260は、輸液チューブ2、3内部に混入する気泡の内で、チューブ内における長さが所定長さ(例えば、約10mm)となる所定量(約0.08cc)以上のものが検出されたときに、それ以降の動作を強制的に停止するためのものであり、この気泡検出部である気泡センサ260に対向する位置のドア側にはチューブ押え部267bがチューブ押え板267上に一体形成されており、ドア204を閉じたときに、輸液チューブ2、3を不動状態にすることで正確な気泡検出を行えるようにしている。
また、この気泡センサ260の下方にはポンプ機構201が位置しているが、このポンプ機構201の下方には閉塞センサ262が配設されており、これに対向するようにドア204に配設されたジンバル式の閉塞押え板269とともに、輸液チューブ2、3を紙面の前後方向に挟持するようにしている。この閉塞センサ262は永久磁石とこの永久磁石の移動位置をアナログ的に検出するためのピックアップとから構成されており、輸液チューブ2、3の閉塞状態にともなう内圧変化に応じて移動される永久磁石の位置を検出するように構成されている。このことから、閉塞押え板269は輸液チューブ2、3のあらゆる方向の内圧変化を規制しないようにする必要があるので、図示の円盤はバネ板(弾性部材)の端部において自由に可動できるように保持される。
一方、ポンプ機構201の動作原理は、装着された輸液チューブ2をフィンガ201a、201b、201c、201d、201eで押圧して、設定された時間あたりの流量で持続的に輸液するものであって、マイクロコンピュータ(CPU)に記憶した情報によりモーター回転信号を生成し、この回転信号によってモーターを回転させ、ポンプを駆動し、輸液の流量を調節するようにしている。各フインガは上流側から第1フィンガ、第2フィンガ、第3フィンガ、第4フィンガ、第5フィンガの夫々が図示のようにポンプベース内において紙面前後方向に往復駆動されるように内蔵されている。
図示のように第1フィンガと第4フィンガの形状は他の第2フィンガ、第3フィンガ、第5フィンガとは異なっている。すなわち第1フィンガと第4フィンガの幅寸法W1は他のフィンガの幅寸法W2より大きく設定されている。また、第1フィンガと第4フィンガの押圧面には凸部が形成されている。
このように、各フィンガを全て同じ形状にしないことで、上述したように本願出願人が特開平09−151856号公報において提案したペリスタリックフィンガ方式を実現可能にしている。
すなわち、第1フィンガと第4フィンガの押圧面に形成された凸部で輸液チューブ2、3を上流側と下流側のみ完全に圧閉し、他のフィンガ第2フィンガ、第3フィンガで途中部位を完全に潰さないようにすることで、輸液チューブの肉厚の影響をなくした高い精度の送液を可能にしている。また、第1フィンガと第4フィンガは輸液チューブ2を完全に圧閉するときに輸液チューブ2、3が左右に広がる状態になるので第1フィンガと第4フィンガの幅寸法W1は他のフィンガの幅寸法W2より大きくしている。尚、第5フィンガ201eは脈動を補正するためのものである。
また、通常の蠕動運動方式の場合には、全てのフィンガを第2フィンガ201bと同じ扁平なものにすることで完全に輸液チューブ2、3を潰すことで輸液チューブの蠕動運動を行うことができるようになる。
次に、ドア204は、本体ベース203に対して上下の一対のヒンジブロック265と破線図示のピン261により左側に向けて開くように構成されており、上述した表示部208、キーパネル部209、動作インジケータ206への通電などを、繰返し曲げに強いフレキシブルケーブル263で行うようにしている。そして、このドア204の略中央部位には上記のポンプ機構201に対向するようにして押圧板であるバックプレート機構230が配設されている。
このバックプレート機構230はポンプ機構201の各フィンガに対向するように設けられることで、フィンガによる押圧作用の受け面を形成するものであるが、紙面の前後方向に移動するように設けられており、何らかの過剰負荷が発生したときに紙面裏面側に向けて後退するようにして輸液チューブ2、3の損傷を防止する機能を備えている。また、上記の第1フィンガと第4フィンガは輸液チューブ2、3を完全に圧閉するので、これらのフィンガに対向するようにしてバックプレート部材231がバックプレートベース232とは個別に紙面の前後方向に移動するように設けられている。
一方、閉塞センサ262の下方には輸液チューブ閉塞機構を構成する可動輸液チューブ閉塞片51と固定輸液チューブ閉塞片52が設けられており、輸液チューブ閉塞解除部材55がドア204が閉じられることで移動されることで図示の解除位置に移動するように設けられている。
この可動輸液チューブ閉塞片51の下方にはクランプ装填手段の回動アーム部材53が設けられておりクランプの装填の際の他方の開口案内部を形成している。また、固定輸液チューブ閉塞片52の下方にはガイド部材54が固定されておりクランプ装填の際の一方の開口案内部を設けている。回動アーム部材53の下方には下方ガイド56が固定されている。
この輸液装置200の背面には、不図示の外部通信接続コネクタとヒューズホルダと交流電源コネクタ(レセプタクル)と不図示のメイン実装基板上に実装されたヒストリースイッチと直流コネクタなどが開口部を介して外部に出るように構成されている。
また、図12(b)において輸液装置200のドア204の内側下方に固定される傾斜部材50は、ドア204の内面にねじで固定されるとともに、後述する回動アーム部材53の摺接面53fを押圧する第1の傾斜面50cと、クランプ1、101の押圧面を押圧する第2の傾斜面50aと、第1の延設部22が入り込む溝部50bと、上記の第2の傾斜面50aに対向して配置されることで谷部を形成する第3の傾斜面50dとを所定樹脂材料である例えばポリアセタール樹脂を用いて図示のような形状に一体成型される。
次に、図13は輸液装置200に輸液チューブ2、3を装填し、ドア204を閉じた状態を示した要部断面図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、本体ベース203は、図中の破線図示のポンプ機構201を着脱可能に収容するための形状部203tを上記の顎部203aとともに一体形成している。
この顎部203aはドア204と同じかやや高く成形されており、ドア204を保護している。また、本体ベース203は各部材の取り付け基部となっており、アルミダイキャスト製の上板部材である上プレートを図示のように固定することで装置の上面フレーム部分を形成している。また、この上プレートの背面部分には厚さ1〜2mm前後の鉄板から加工される背面部材である背面プレートが、上プレートのネジ孔を設けた取付け部において2本のネジで固定されており装置背面側の背面フレーム部分を形成している。また、本体ベース203の下方部分と背面プレートの間には下板部材である下プレートがネジにより固定されており、装置の底面フレーム部分を形成している。こうして、本体ベース203と上プレートと背面プレートと下プレートとによる頑丈な閉構造の本体フレームが形成されている。または、上プレート、背面プレート、下プレート及び電池ケース241とが一体成型されていても構わない。
以上のように、十分な強度を有する本体ベース203を基準として上下と背面のプレートとで、内蔵される機構と基板とを取り囲むように構成するか、または一体化することにより、十分な剛性が確保される結果、万が一の落下時に機構と回路基板などを保護できるとともに、電磁波を遮断してこの影響についても最小にできるように配慮している。
本体ベース203の形状部203tの上下面部分にはカムシャフト248を回転自在に支持するベアリングを内蔵したベアリングブロックが固定されている。このカムシャフト248の上端の軸体には歯付きプーリ247が不図示のネジで固定されている。また、上プレートには出力軸において上記の歯付きプーリ247よりも小径または同じ大きさの歯付きプーリ241を不図示のネジにより固定したステッピングモータ240が固定されており、各プーリ間に張架される歯付きベルト242によりステッピングモータ240の回転力をカムシャフト248に伝達するように構成されている。また、各プーリのフランジは図示のように片側のみ設けるようにして歯付きベルトを組み付けるか交換するときにステッピングモータ240を取り外さずに着脱ができるようにしている。
また、カムシャフト248の外周面には上記の各フィンガに相当する偏芯カム形状部が精度を確保されてコンピュータ制御加工装置により一体加工されている。このカムシャフト248は精度が高いので、寸法精度の良い輸液チューブを用いれば、例えば流量精度±5%以内を保証できる。この一体型カムシャフト248は、SUS304などのステンレス鋼から機械切削加工される。さらに回転検出センサ246は、歯付きプーリ247の上側面に取り付けられた不図示のタイミングディスクを光学的に読み取ることで上記のカムシャフト248の回転位置と回転数を読み取るように設けられている。このために回転検出センサ246は、上プレートにおいて一体形成された取付け部に固定されている。
背面プレートは、図示のようにモータ240の背後に配設されるとともに電源コネクタ等を実装した裏面基板の取り付け基部となっている。また、バッテリユニットはモータ240の下方において上記の下プレートに形成された開口部を介して電池が交換可能になるように配置されている。このために、本体化粧カバーの底部を塞ぐための不図示の裏蓋が下プレートに対してネジ止めされるように設けられている。また、この裏蓋には装置全体をスタンドに固定するための固定ネジ孔部材が固定されている。
また、上記のポンプ機構201が形状部203tに対して4本のネジで固定された後には、後述するフィンガの小型ラジアルベアリングがカムシャフトのカム面に当接する状態になるように構成されている。また、上プレートは歯付きプーリを逃げる形状となっており、カムシャフトを固定した状態で上プレートを固定できるようにして組み立て時においてカムシャフトを組み立てた後であっても固定できるようにして、順番の不整合が生じないようにしている。バッテリーユニットは図示のような形状であり下プレートに固定される。一方、フレキシブルケーブル263は不図示のメイン実装基板から延設されており、本体ベース203の開口部を通過して現れるように構成されている。
また、プログラムを記憶するとともに所定の制御を司るメイン実装基板は上方に向かうように配設された複数のコネクタを設けており、このメイン実装基板をネジにより上プレートの側面に上方縁部を固定する。また、このメイン実装基板は、接地パターンを広く設定したり、各電子部品の実装パターンを配慮することで外部ノイズに対して強くなるように配慮されており、ノイズ発生のともなう機器が多数使用される手術室内での使用を可能にしている。
次に、図14(a)は専用クランプ1、汎用クランプ101をクランプ装填機構に装填する前の様子を正面斜め上から見た外観斜視図、(b)は装填した後のクランプ装填機構を正面斜め上から見た外観斜視図である。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、一方の開口案内部となるガイド部材54にはクランプ1、101の主基部に一体成型された補強ガイド部30に一致する形状および内寸法を形成した開口溝部54aが図示のように形成されている。また、この開口溝部54aの中央には中央溝部54bが形成されており、主基部が潜入された後に第1の延設部22に形成された規制部25がガイト部材54の表面54fで位置規制されてそれ以上の押し込みができないことを知らせるようにしている。
また、回動アーム部材53は第2の弾性支持部40の外周面に摺接および当接する山部が形成されておりクランプ挿入時のクリック感を得るようにしている。下方部材56とガイド部材54は同じ色の樹脂から樹脂成型された部品として準備され、図示のように輸液チューブ閉塞機構を構成する可動輸液チューブ閉塞片51と固定輸液チューブ閉塞片52の下方に固定される。
図15は、輸液チューブ2、3を専用クランプ1、汎用クランプ101を用いて閉塞状態にした後に、輸液装置200に装填する様子を斜め上から見た外観斜視図である。また、図16は輸液装置200の側面に設けられる操作説明書57である。
両図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、クランプ1、101が点滴筒6の出口管から外され輸液チューブ2,3の下方に移動されて閉塞状態にセットされる。
輸液装置200のドア204は開かれており、図16の説明書57を見ながらセットする。すなわちドア204を開き、チューブ閉塞機構を解除し、輸液チューブ2、3を溝部203mと輸液機構201の下方の赤く着色されたチューブガイド268の溝にセットし、クランプ1、101のいずれかをクランプ装填手段のガイド部材54と回動アーム部材53の間に挿入ガイド部を先にして奥まで入れる。これに続きドア204を閉めレバー207操作で本体に固定すると閉塞状態が解除されて解除状態になり輸液開始の準備が整うことになる。
以上のようにクランプ1、101は閉塞状態で落下すると衝撃力で閉塞状態が外れることがなくしかも、ドア204を閉じて閉塞が解除された後にクランプが図2(b)の状態から図2(a)に示した状態に一瞬で移動できるので各係止部が永久ひずみで戻らなくなることがなくなった。すなわちドア204を閉じて閉塞が解除されるときにクランプの永久ひずみが発生しない形状のクランプに変更し合わせてドア連動式のクランプ装填機構のアンチフリーフロー機構にした。また専用輸液セットと汎用輸液セットとの使い分けを考慮しているので専用輸液セットと汎用輸液セットの双方が使用可能になるようにし、検出結果は操作パネルに表示されるようにした。
また、輸液精度が10%保証される専用輸液セットの場合では輸液ポンプにそのまま装着して使用できるが、汎用輸液セットを使用する場合にはチューブ精度が保証されていないので光学式滴数カウンターである点滴筒センサ47で例えば15、20、60滴で1mlとして検出して、滴数をセットした状態で使用する「輸液セット切換スイッチを設けるようにしても良い。この滴数のセットを装置パネルから使用者が行う場合と、ICタグ、バーコードなどの自動検出で行うようにしている。
また、クランプ1、101の逆刺し防止用の壁部である補強ガイド部30を設けたので誤挿入を防止できる。さらにクランプをクランプ装填手段にセットする際の手がかりとなる段差部である規制部25をクランプに設けたのでセット時の目安になる。ただしセット時のクリック感は回動アーム部材の山部を乗り越えるときに得るようにした。さらに、取り外したときに看護師がクランプとチューブを同時に把持するとチューブが折れ曲がり閉塞が解除されリークが起こる場合があるがこれも突起部で防止された。また専用輸液セットと汎用輸液セットの双方にクランプ1、101を同梱し、かつクランプを着脱防止の形状にした使いきりタイプとすることでクランプを使いきりタイプとする。このことで逆方向装填された場合の逆流を防止する。また専用輸液セットと汎用輸液セットのクランプの色分け表示(白色、橙色)したので簡単に識別できる。
次に、クランプ装填機構について図17のクランプ装填機構を下方側から見た立体分解図と、図18(a)の専用クランプ1または汎用クランプ101の装填前のクランプ装填機構を模式的に示した底面図と、図18(b)の専用クランプ1をクランプ装填機構に装填した後の状態を模式的に示した底面図と図18(c)の汎用クランプ101をクランプ装填機構に装填した後の状態を模式的に示した底面図を参照して説明する。
このクランプ装填機構の機能は、図12(b)を参照して説明した輸液装置200のドア204の内側下方に固定される傾斜部材50が、ドア204の開閉動作により回動アーム部材53の摺接面53fを傾斜部材50の第1の傾斜面50cで押圧するとともに、クランプ1、101の押圧面41aの一方を第2の傾斜面50aで同時に押圧することで閉塞状態と解除状態にする第1の機能と、専用クランプ1と汎用クランプ101の装填状態を検出する第2の機能が挙げられる。
ここで、後述する構成はほんの一例であり機構はクランプ1、101の形状寸法に応じて適宜変更されることは言うまでもなく、上記の第1の機能と第2の機能を実現するための個別の機構として構成しても良く、専用クランプ1または汎用クランプ101のための専用クランプ装填機構として構成する場合には、装填状態を光学的またはICタグによりRF結合で検出するようにしても良い。
図17において、図14を参照して述べた破線図示のガイド部材54と、回動アーム部材53の間においてクランプ1、101を出入れするための開口部が形成される。輸液装置200の本体203に固定されるベース58は1〜1.5mmの厚さのステンレス板から図示の形状にプレス加工され、このベース58には、図示のように横方向の突起を形成した第1曲げ部58aと、ストッパーを形成する第2の曲げ部58cと、ガイド部材54から連続する第3の曲げ部58dと、センサ基板68の固定のための第4の曲げ部58kと本体へねじで固定するための取り付け穴部58gと、トーションバネ65の一端を固定する穴部58fとがプレス加工されている。
このベース58にはさらに、止め輪62を嵌合する溝部を形成した大きいスタッド軸体59と、同じく止め輪62を嵌合する溝部を形成した小さいスタッド軸体61とが垂直方向に圧入固定されている。
回動アーム部材53は樹脂材料から図示の形状になるように例えばPPS樹脂から一体樹脂成型して準備される。この回動アーム部材53は、上記のスタッド軸体59に挿入される貫通孔部53aを一端に形成し他端に上記の摺接面53fと山部53bとを形成し、さらに図面の右横面に摺接面53dを形成した本体53k(一部を破線図示)と、この本体53kから延設されるとともに突起部53gを内側面に形成した延設部53mとベース58に対して摺接する破線図示の摺接突起部53sを本体53kの裏面に一体形成している。この回動アーム部材53が上記のベース58のスタッド軸体59に対して貫通孔部53aが挿入された後に留め輪62がセットされ抜け防止され回動自在に軸支される。
圧縮コイルバネ60はベース58の突起部58aと、回動アーム部材53の突起部53gとの間に端部60a、60bが入るとともに予圧を発生するように自然状態で軽く圧縮されてセットされる。この結果、本体53kの摺接面53dが上記の第2の曲げ部58cに当接する状態で完成される。以上で、回動アーム部材53は圧縮コイルバネ60の圧縮力に抗して軸体59周りに反時計方向に回動される。
専用クランプと汎用クランプの判別手段は、上記のICタグを検出することで非接触かつ確実な検出ができる。図示の場合にはベース58の軸体61回りに回動自在に軸支されるディスク63を設け、このディスク63を各クランプの挿入で回動させ、回動位置を光学的に検出するように構成されている。このようにして限られた容積内でクランプの検出を可能にしている。
この円盤状のディスク63は光の透過を防止する黒色の樹脂製とするとともに回転中心の貫通孔部63aと外周面において切り欠き部63bと、凹部63cとトーションバネ65の他端65cが固定される切り欠き部63dとを形成している。このディスク63はトーションバネ65のコイル部分が縮径することで元に戻ろうとする弾性力が発生するように端部65b、65cが図示のようにセットされ、べース58の軸体61に挿入後に留め輪62で抜き防止し回動自在に軸支される。
この切り欠き部63bは専用クランプ1の第1の凹部26aまたは汎用クランプ101の第2の凹部27aが潜入して正逆方向の回転力が伝達されるとともに、各クランプを取り出すとトーションバネ65の戻ろうとする力と各凹部26a、27aの斜面が当接する力で初期位置に回動される。この結果、薬液付着により戻りずらくなった場合でも確実に初期位置に戻ることができる。
また、ディスク63の回転にともない凹部63cを検出する第1のセンサ67と第2の第2のセンサ66は、発光素子と受光素子を上記のディスク63を跨ぐようにセンサ基板68に固定されており、センサ基板68をベース58の曲げ部58kに固定している。このように光透過式の光学センサの他に磁気式などの検出原理のセンサでも良い。
次に、図18において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図18(a)に図示のように専用クランプ1または汎用クランプ101が装填される前は、ディスク63の凹部63cを検出する第1のセンサ67と第2の第2のセンサ66は各光軸が遮断されている。また切り欠き部63bは平行軸から約15度の位置で停止している。また、回動アーム部材53は摺接面53dが平行軸に直交する位置で停止するように圧縮コイルバネ60で付勢されている。
この状態から専用クランプ1または汎用クランプ101が開口部を構成する一方の開口部となるガイド部材54と他方の開口部となる回動アーム部材53の山部53bとの間に矢印方向にセットされることで、図18(b)に図示の状態または図18(c)に図示の状態になる。
すなわち専用クランプ1がクランプ装填機構に装填されると図18(b)に図示のようにディスク63の切り欠き部63bの当接面63b−1に専用クランプ1の挿入ガイド部26の先端が突き当たり、これに前後して第1の凹部26aが切り欠き部63bの山部63b−2が入りこみ、軸体61の回りを所定角分回動(回転)してディスク63が停止され、第1のセンサ67の光軸が遮蔽されないので凹部63cが検出されることとなる。このとき、山部53bは第2の弾性支持部40の外周面を乗り越えクリック感を与えるとともに規制部33aがストッパ部材58cに当接してそれ以上の挿入が防止される。
一方、図18(c)の汎用クランプ101をクランプ装填機構に装填した後の状態を模式的に示した底面図において、汎用クランプ101がクランプ装填機構に装填されると図示のようにディスク63の切り欠き部63bの当接面63b−1に汎用クランプ1の挿入ガイド部27の先端が突き当たり、これに前後して第2の凹部27aに切り欠き部63bの山部63b−2がより深い位置まで入りこむ。
以上のように、専用クランプの場合よりも挿入ガイド部27が長いために、ディスク63は、さらに所定角度の15度回転した位置で停止され、第2のセンサ66の光軸が遮蔽されないために凹部63cが検出されることとなる。このとき、同様に山部53bは第2の弾性支持部40の外周面を乗り越えクリック感を与えると規制部25がガイド部材54に当接してそれ以上の挿入が防止される。
以上の装填時において、回動アーム部材53はクランプの補強ガイド部30が摺接面53dに摺接しながら装填および抜き出しされる。この結果、圧縮コイルバネ60の圧縮力に抗して回動アーム部材53は反時計方向に少し回動されてホールド感を得るようにしている。
以上のように構成されるクランプ装填機構について図19(a)のドア204が開かれて専用クランプ1をクランプ装填機構に装填する前の状態を下方から見るとともに回動アーム部材53の本体53kをクロスハッチングで図示した断面図と、図19(b)の専用クランプ1をクランプ装填機構に装填した後の状態を示した断面図に基づき述べる。
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛して動作説明すると、ドア204が開かれると傾斜部材50の第1の傾斜面50cと第2の傾斜面50a、第3の傾斜面50dが図示のように大きく退避する。また、回動アーム部材53の本体53の摺接面53fはガイド部材54に対向して位置しており、これらの間に形成される開口部に向けて矢印方向に輸液チューブ2を閉塞状態にした専用クランプ1が挿入される。このとき回動アーム部材53の摺動面53dはクランプ1の補強リブ37に当接するので適度な抵抗を得ることができる。また、補強ガイド部30はガイド部材54の案内溝部にセットされることで表裏面を裏返えした状態での誤挿入が防止される。また、このときディスク63は図18(a)に図示したのと同じ位置に停止している。
これに続き、図19(b)においてクランプ装填機構に専用クランプ1をクリック感を得て上記のように装填することで、図18(b)に図示したのと同じ状態になる。この結果、センサ67からの電気信号により専用クランプ1が装填されたことを輸液装置200に知らせる。次に、ドア204が矢印方向に閉じられる。
図20(a)のドア204が閉じられて専用クランプ1と回動アーム部材53とが当接部材50で押圧される状態になる。すなわち、専用クランプ1の押圧面41aが傾斜部材50の第2の傾斜面50aで奥側の係止解除方向に押圧されて図2(b)に示したように解除され始める。これと同時に、回動アーム部材53の摺接面53fが傾斜部材50の第1の傾斜面50cで押されることで、圧縮コイルバネの圧縮力に抗して図示のように反時計方向に回動される。
続いて、図20(b)においてドア204がさらに閉じられて輸液装置との間でなす角度が1度前後になると、第2の傾斜面50aで専用クランプ1の押圧面41aがさらに押されて係止解除の直前の状態になる。
そして、図21(a)に図示のようにドア204が最後まで閉じられてロックされると専用クランプ1が解除されて輸液チューブの閉塞が解除される。このとき第1の延設部41の押圧面41aは、弾性力で傾斜部材50の谷部に落ち込み瞬間的に元の自然状態になることで永久歪が発生することがないようにしている。また、回動アーム部材53は上記のようにすでに待機位置に移動しているので専用クランプ1は補強リブ37を形成した副基部が回動アーム部材53側に変位する。以上で輸液が可能な状態になる。
以上のようにクランプの係止を解除するために必要な荷重を出す作用点を変更したことから、ドア204を軽い力で閉じることができるようになった。
この状態で上記のような蠕動運動による輸液が行われる。
この輸液の終了後に、図21(b)に示したようにドア204のロックが解除されて開き始められると、回動アーム部材53は傾斜部材50の第1の傾斜面50が摺接面53fから離れ始めることで専用クランプ1を右方向に押圧し始める。また、このとき傾斜部材50の第2の傾斜面50aは第1の延設部41の押圧面41aから離れ始める。
そして、図22(a)に図示のようにドア204がさらに開かれて角度8度前後になると回動アーム部材53が押圧位置に移動され専用クランプ1は係止状態と輸液チューブの閉塞状態に戻される。次に、図22(b)に図示のようドア204が開かれて取り出し可能な状態になる。
次に、図23(a)の専用クランプ1が取り出される状態を示した断面図において、看護師は専用クランプ1の把持部を上下からつまんで手前がわに引き出すが、このとき上記のようなホールド感を得ることができる。また、引き出すときに図23(b)に図示のようにディスク63が強制的に回動されることで元の初期位置に戻される。
以上のようにして専用輸液セットのクランプと汎用輸液セットのクランプの自動検出ができ、かつ、クランプ装填時の平行運動を回転運動に変換する非検出部となる切欠き部を設け、光透過式センサを2個併設し、かつトーションバネで待機位置にディスクを設けるようにして限られた空間に設置できるようになった。また、上記のようにクランプを引き出す際に、ディスクは切欠き部で元の位置に戻されるので、薬液付着(および乾燥後)によりトーションバネで戻らない状態となってしまっても強制的に元の位置に戻ることになり、次回の使用時に問題なく使用できる。
図24は、専用クランプ1または汎用クランプ101の自動検出のための動作説明のフローチャートである。本図において、ステップS1において図16を参照して説明したようにクランプと輸液チューブ他がセットされる。汎用輸液セットの場合には点滴筒を点滴検査プローブを備えた点滴装置にセットし、点滴装置を輸液装置に必ず接続する。
これに続き、ステップS2において、ドア204を開いたままで電源推知215を1秒間オンすることで初期化プログラムが作動して各手段の初期化及びセルフチェックが行われて、何らかの異常があるとアラームを発生してその後の動作を禁止する。
これに続きステップS3に進み専用クランプ1または汎用クランプ101がセットされてから、ステップS4でドア204が閉じられることで、クランプを解除状態にする。
続いてステップS5においてセンサ66、67により専用クランプ1であるかまたは汎用クランプ101であるかの検出が行われて、ステップS6で専用クランプ1であると判断された場合にはステップS7に進み専用クランプ1の表示をランプの点灯で知らせるととともに、ステップS8に進み輸液許可を実行して終了する。
一方、ステップS6で専用クランプ1ではなく汎用クランプ101がセットされていると判断されると、ステップS9に進み汎用クランプ101の表示をランプの点灯で知らせるととともに、ステッステップS10に進み点滴検出プローブが接続されているか否かの判断がされて接続されている場合にはステップS8に進み輸液許可を実行する。また、ステップS10で手順ミスなどから点滴検出プローブの接続を忘れた場合にはステップS11においてアラームを発生して接続を促す。
以上説明したように、本発明によれば、輸液チューブを予め挿通状態にする必要がなく、かつ閉塞状態を長時間に渡り維持できるクランプを提供できる。また、ドアの開閉動作のみで、クランプによる輸液チューブの閉塞状態の解除と、再度の閉塞状態にすることができる。さらに、一度セットされたクランプが輸液チューブから不用意に外れることのない、信頼性の高いクランプとクランプを用いた輸液装置を提供することができる。
次に、図25はドア204が開かれて専用クランプ1が閉塞状態になっている様子を図示した別実施形態の要部断面図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、ドア204は、本体ベース203に対して軸支部となるピン261により左側に向けて開くように構成されている。このドア204にはピン261の近傍に当接面204aが形成されている。
また、ベース部材であるベース58には軸体59が植設されており、回動部材である回動アーム部材53が上記のように軸体59周りに反時計方向に回動できるように設けられている。圧縮コイルバネ60は、ベース58の突起部58aと移動部材300の突起部300aとの間に端部60a、60bが入るようにして予圧を発生するように自然状態で圧縮されて図示のようにセットされる。
移動部材300は、例えば樹脂製であって、ドア204の当接面204aに対して当接する当接部301を先端に一体形成しており、圧縮バネ60の圧縮力に抗して移動されるように構成されている。また、ベース58の軸体303にその一端が回動自在に軸支されるとともに、その他端が移動部材300の軸体302において回動自在に軸支される第1のリンク部材305が移動部材300の裏面側に設けられている。さらに、回動アーム部材53には軸体304が固定されており、この軸体304にその一端が回動自在に軸支されるともに、その他端が移動部材300の軸体302に対して表面側に回動自在に軸支される第2のリンク部材306とが設けられている。これらのリンク部材305、306には圧縮力と引っ張り力が加わるので強度的に金属製が良い。また、リンク部材306には移動部材300の形状部310に合致する切り欠きが図示のように形成されており、図示の状態からそれ以上の移動ができないように規制されている。
図26は、図25の動作説明図であって、圧縮バネ60の矢印D1方向の圧縮力の作用により移動部材300は矢印D2方向に移動される。これに伴いリンク部材305、306が広がる方向に移動されてリンク部材306によって矢印D3方向に回動アーム部材53が移動されてクランプ1の閉塞状態を維持する。
これに続き、図27においてドア204が閉じられて専用クランプ1が開放状態になっている様子を図示した要部断面図において、ドア204が閉じられると移動部材300の当接部301がピン261から距離Lの当接面204aにおいて当接されて移動されることで図示のように回動アーム部材53が半時計周りに回動される。この結果、専用クランプ1が開放状態となる。すなわち、図28のドア204が閉じられて専用クランプ1が開放状態になっている様子を図示した別実施形態の要部断面図において、ドア204が閉じられると移動部材300が矢印D4方向に移動されて圧縮バネを矢印D5方向に圧縮移動させる。これに伴いリンク部材305、306が互いに近づく方向に移動されて矢印D7方向に回動アーム部材53が移動されることで上記の傾斜面の作用によりクランプ1が開放されるとともに、この状態が維持される。
以上のように構成することで、ドア204を閉じるときの操作力を小さくできることとなる。