JP4754098B2 - 液晶化合物と同様な化学構造を持ち、電子輸送性el素子として応用可能なビオロゲン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

液晶化合物と同様な化学構造を持ち、電子輸送性el素子として応用可能なビオロゲン誘導体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス材料として有用な液晶化合物と同様な基本骨格を持ち、高分子化可能で、優れた電子輸送性を期待できる新規なビオロゲン誘導体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無機蛍光体を発光材料として用いた無機エレクトロルミネッセンス素子は、例えばバックライトとしての面状光源やフラットパネルディスプレイ等の表示装置に用いられているが、発光させるには高電圧の交流が必要であった。近年、Tangらは有機蛍光色素を発光層とし、これと電子写真の感光体等に用いられている有機電荷輸送化合物とを積層した二重構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と呼ぶ。)を作成した(特開昭59−194393号公報)。有機EL素子は、無機エレクトロルミネッセンス素子に比べ、低電圧駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特徴があることから素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸送化合物について、数多くの化合物が提案されている。
【0003】
この有機EL素子は、有機発光層を2つの電極で挟んだ構造であり、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが発光層中で再結合して光を発する。この有機EL素子には、2つのタイプがあり、一つは、タン(C.W.Tang)らによって発表された蛍光色素を電荷輸送層中に添加したもの(J.Appl.phys.,65,3610.1989)、もう一つは、蛍光色素を単独に用いるものである(Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269,1988)。
後者の素子は、蛍光色素が電荷の一つである正孔のみを輸送する正孔輸送層および/あるいは電子のみを輸送する電子輸送層とが積層しているような場合に発光効率が向上することが知られている。有機EL素子に使用される正孔輸送材料は、トリフェニルアミン誘導体を中心として多種多様な材料が知られているにも関わらず、以外にも電子輸送材料に関する提案は少ない。
【0004】
これまでに提案されている電子輸送材料としては、例えば、オキシン誘導体の金属錯体(特開昭59−194393号公報)、オキサジアゾール環を複数持つ化合物(特開平06−145658号公報、特開平06−92947号公報、特開平05−152072号公報、特開平05−202011号公報、特開平06−136359号公報)、キノキサリン誘導体(特開平06−207169号公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されているこれらの化合物を用いた有機EL素子は、輝度、寿命、発光効率の点で未だ充分ではない。
従って、本発明の目的は、液晶化合物と同様な基本骨格を持ち、高分子化可能で優れた電子輸送性を期待できる有機EL材料として有用な新規なビオロゲン誘導体およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる実情において、有機EL材料として有用な新規化合物について鋭意研究を重ねた結果、前記一般式(1)で表されるビオロゲン誘導体は、青色発光をなし、また、基本構造に三環のビオロゲン系共役コアを持ち、このコア部分の共役系は+のチャージを2個持った電子密度の低い共役系であるので優れた電子輸送性が期待できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の第1の発明は、下記一般式(1)
【化7】
(式中、R1は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は−CH −C −から選ばれる基を示し、1及びX2はハロゲン原子を示す。)で表されることを特徴とするビオロゲン誘導体を提供するものである。
【0008】
また、本発明の第2の発明は、下記一般式(2)
【化8】
で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンと、下記一般式(3)
【化9】
(式中、R2、A、X1は前記第1の発明の定義と同義。)で表されるハロゲン化物とを反応させて、下記一般式(4)
【化10】
(R2、A、X1は前記第1の発明の定義と同義。)で表されるピリジニウム誘導体を得た後、次いで、得られた一般式(4)で表されるピリジニウム誘導体と、下記一般式(5)
【化11】
(式中、R1、X2は前記第1の発明の定義と同義。)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させることを特徴とする下記一般式(1)
【化12】
(式中、R1、R2、A、X1、X2は前記第1の発明の定義と同義。)で表されるビオロゲン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の前記一般式(1)で表されるビオロゲン誘導体(以下、化合物(1)という)の式中、R1は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等の直鎖状、分岐状の炭素数1〜22のアルキル基である。R2は、水素原子又はメチル基を示す。Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は−CH −C −から選ばれる基を示し、アルキレン基は直鎖状または分岐状のどちらでもよい。このアルキレン基としては例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられる
【0010】
本発明の化合物(1)において、X1及びX2は、Cl、Br、I素等のハロゲン原子を示し、X1とX2は、同一であっても異なっていてもよい。
【0011】
次に、化合物(1)の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、基本的に以下の第二工程からなるものである。
【0012】
<第一工程>
第一工程は、下記の反応式(A)
【化13】
(式中、R2、A、X1は前記と同義。)で示される反応により、前記一般式(4)で表されるピリジニウム誘導体を製造する工程である。
【0013】
第一工程で用いる原料の一般式(2)で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンは、公知の方法を用いて製造することができ、その一例を示せば、下記反応式(B)
【化14】
で表される反応がある。
【0014】
即ち、原料の一般式(2)で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンは、4−ピコリン(一般式(6))、テレフタルアルデヒド(一般式(5))、無水酢酸中(一般式(7))とを通常8:2:4のモル比で、窒素雰囲気下、140℃で還流下に60時間程度反応させることにより容易に製造することができる。
【0015】
また、第一工程で用いるもう一方の原料の一般式(3)で表されるハロゲン化物は、公知の方法を用いて製造することができ、その一例を示せば、下記反応式(C)
【化15】
(式中、R2及びAは前記と同義。X1はハロゲン原子を示す。)で表される反応により、アルコール類(一般式(8))と、ハロゲン化燐(一般式(9))とを等モルで、ピリジン等の塩基の存在下にベンゼン等の溶媒中で20℃で18時間程度反応させることにより容易に目的とする前記一般式(3)で表されるハロゲン化物を製造することができる。なお、かかる反応は、フェノチアジン等の重合禁止剤の存在下に反応を行うことが好ましい。また、例えば、4−ビニルベンジルクロライドは東京化成工業から市販されている。
【0016】
この第一工程における一般式(3)及び一般式(9)における式中のX1は、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子である。
【0017】
第一工程の反応は、前記一般式(2)で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンと前記一般式(3)で表されるハロゲン化物とを、溶媒中で反応させる。
【0018】
前記一般式(2)で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンの添加量は、前記一般式(3)で表されるハロゲン化物に対して、1.01倍モル以上、好ましくは1.1〜1.3倍モルである。
反応溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、水等の1種又は2種以上で用いられる。
反応温度は、特に制限はないが、還流下に反応させることが好ましく、例えば、反応溶媒としてジメチルホルムアミドを用いる場合、110℃程度の温度で充分である。反応時間は5時間以上、好ましくは50〜80時間である。
【0019】
反応終了後、抽出、洗浄、カラムクロマトグラフィーでの精製、更に、抽出、脱水等の精製等の諸操作を経て前記一般式(4)で表されるピリジニウム誘導体を得る。
【0020】
<第二工程>
第二工程は、下記の反応式(D)
【化16】
(式中、R1、X1、R2、X2、Aは前記と同義。)で表される反応により前記一般式(1)で表されるビオロゲン誘導体を製造する工程である。
【0021】
この第二工程の反応は、反応溶媒中で行うことが好ましく、反応溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、水等の1種又は2種以上で用いられる。
【0022】
前記一般式(4)で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンと、前記一般式(5)で表されるハロゲン化アルキルとのモル比は、4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジン1に対して、通常1〜10、好ましくは4〜6である。
反応温度は、通常50〜200℃、好ましくは100〜150℃で、反応時間は5時間以上、好ましくは50〜80時間である。
【0023】
反応終了後、再結晶、洗浄等の精製の諸操作を経て前記一般式(1)で表されるビオロゲン誘導体を得る。
【0024】
かくして得られる化合物(1)は、、有機EL材料として有用な新規化合物であり、青色発光をなし、また、基本構造に三環のビオロゲン系共役コアを持ち、このコア部分の共役系は+のチャージを2個持った電子密度の低い共役系であるので優れた電子輸送性が期待できることから、電子輸送性EL素子等の電子輸送材料として有用である。
【0025】
また、本発明の前記一般式(1)で表される液晶化合物と同様な化学構造を持ち、電子輸送性EL素子として応用可能なビオロゲン誘導体は、該化合物(1)をモノマーのままで電子輸送材料として用いることができることは勿論であるが、該化合物(1)にはポリマー化可能な基を有していることから、例えば、該化合物(1)のホモ重合体、共重合体、架橋剤により架橋されている高分子化合物、或いは、ヒドロシリル基を有する高分子化合物に化合物(1)を付加反応させて用いることもできる。
【0026】
即ち、高分子化合物に、少なくとも下記一般式(10)又は下記一般式(11)
【化17】
【化18】
(式中、R1、R2、A、X1、X2は前記と同義。)で表される繰り返し構造を含有させるものである。
【0027】
高分子化合物の、共重合体成分として、アクリル酸、メタクリル酸又はスチレン等から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。共重合体の場合は、上記一般式(10)又は一般式(11)で表される繰り返し単位は、共重合体中50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。
これらの重合体の分子量は、数平均分子量が1000〜数千万の範囲、好ましくは数万〜数百万の範囲である。
【0028】
また、これらの重合体は以下の方法で製造することができる。例えば化合物(1)のホモ重合体、共重合体、或いは架橋剤に架橋されている高分子量の化合物を製造するには、所望のモノマー又は所望のモノマーと架橋剤とを重合開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法等のラジカル重合法により重合反応を行うことにより容易に製造することができる。
また、ヒドロシリル基を有する高分子化合物に化合物(1)を付加反応させて得られる高分子量の化合物を製造するには、ヒドロシリル基を有する高分子化合物と化合物(1)とを、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンの錯体、白金とビニルシロキサン錯体等の白金系触媒、ウィルキンソン錯体、ロジウムとカルボニルの錯体等のロジウム系触媒等の存在下に反応を行うことにより容易に製造することができる。
【0029】
本発明の化合物(1)、又はこの化合物(1)を含有する高分子化合物は、該化合物を含有する組成物として用いることができる。かかる組成物は、化合物(1)を少なくとも30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有する組成物とすることが好ましい。かかる組成物中の他の成分としては、スメクチック相あるいはネマチック相を示す液晶化合物等が挙げられる。
このような組成物は、化合物(1)、又はこの化合物(1)を含有する高分子化合物と所望の上記成分とを溶媒に溶解した後、溶媒を加熱溶融するか、又はスパッタリング、真空蒸着等を行うことにより調製することができる。
【0030】
本発明の化合物(1)、この化合物(1)を含有する高分子化合物、或いは、これらを含有する組成物は、液晶状態の分子配向を利用して用いることが特に好ましい。
即ち、化合物(1)、この化合物(1)を含有する高分子化合物、或いは、これらの組成物は、これらのものが溶解可能な溶媒に高濃度で溶解させたリオトロピック液晶(濃度転移型液晶)状態、リオトロピック液晶状態の分子配向を維持したままで溶媒を除いた状態で用いることが好ましく、また、スメクチック相あるいはネマチック相を示す液晶化合物との組成物としたものは、スメクチック相やネマチック相の液晶状態として用いるか、また、スメクチック相からの降温過程で相転移で生じる固体状態、具体的には、結晶相、ガラス状態、不定形固体で用いることが好ましい。
【0031】
本発明の化合物(1)、この化合物(1)を含有する高分子化合物、それらの組成物としたものは、該化合物(1)が基本構造に三環のビオロゲン系共役コアを持ち、このコア部分の共役系は+のチャージを2個持った電子密度の低い共役系であるので優れた電子輸送性が期待できことから、例えば、陽極、正孔輸送層、発光層及び陰極が順に積層された有機EL素子、或いは、陽極、発光層、電子輸送層及び陰極が順に積層された有機EL素子において、発光層、電子輸送層、正孔輸送層に少なくとも、本発明の化合物(1)、この化合物(1)を含有する高分子化合物、或いは、これらの組成物をITOのような電極表面上にスピンコート法、LB法、ディップ法などにより固定化し、例えば、電子輸送層又は正孔輸送層とし、上述したとおり液晶状態の分子配向を維持した状態で有機EL素子に用いることにより、該有機EL素子は優れた輝度、寿命、発光効率となることが期待できる。
即ち、従来の有機化合物を用いた電子輸送の機構は、図1に示すが如く、有機化合物中の電子の移動は不規則に隣接する分子間の電子授受によるホッピング機構であるが、これに対して、本発明の化合物(1)を、例えば、スメクチック相を有する化合物との組成物とし、該組成物をスメクチック相の液晶状態で用いた場合には、図2に示すが如く層状配列を持った配向をとり、該化合物の共役部分が蜜に重なった状態で電子授受が行われることから効率的な電子輸送を行うことができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜3
<第一工程で用いる原料の10−ブロモ−1−デセンの合成>
10−デセン−1―オール15.6g(0.1モル)とピリジン0.8g(0.01モル)、フェノチアジン0.1gを乾燥ベンゼン100ml中に溶解した。次に三臭化リン27.0g(0.1モル)を溶解したベンゼン溶液100mlを氷冷下でゆっくり滴下した後、室温で18時間攪拌した。その後、反応液を氷水中に注ぎ、ジエチルエーテル300mlで抽出した。ここで得たエーテル−ベンゼン混合液は無水硫酸ナトリウムで一晩脱水した。次に吸引ろ過により硫酸ナトリウムを除き、エーテル−ベンゼンを減圧除去し、残さを減圧蒸留して目的とする9−ブロモ−1−デセン8.1g(収率43.3%)を得た。
【0034】
<同定データ>
・留出温度;69〜75℃(1mmHg)
・FT-IR(KBr、cm-1):
3010(アルケンC-H伸縮振動)、2854〜2927(C-H伸縮振動)、1641(C=C伸縮振動)、1456(C-H面内変角)、647〜669(C-H面外変角)
1H-NMR(δ、CDCl3):
1.0〜2.2(m,14H、−(CH2)7−)、3.3〜3.5(d,2H、Br−CH2)、4.8〜5.2(d,2H,CH2=CH−)、5.5〜6.2(m,1H,−C=C)
【0035】
<第一工程で用いる原料の4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンの合成>
4−ピコリン7.46g(80mモル)とテレフタルアルデヒド2.68g(20mモル)を無水酢酸4.08(40mモル)に溶解させ、窒素雰囲気下、140℃で60時間反応させた。80℃に冷却後、熱湯を注ぎ攪拌した。室温に冷却後、析出したこげ茶色の沈澱を濾別し、洗浄液がpH7になるまで水で洗浄した。得られた沈澱をpH10の炭酸ナトリウム水溶液中に投入し24時間攪拌した。これをクロロホルムで抽出し、溶液を濃縮しジエチルエーテルで再沈澱した。次に、この沈澱をエタノールに溶解し、不溶分を除きエタノールを減圧除去した後、クロロホルム−ヘキサンで再沈澱することにより目的物2.89g(収率45.1%)を得た。
【0036】
<同定データ>
・融点;264〜267℃
・FT-IR(KBr、cm-1):
3023〜2918(芳香族C-H伸縮)、1591(C=C環伸縮)、1504(C=N環伸縮)、831(C-H面外変角)
1H-NMR(δ、DMSO−d6):
7.0〜7.3(d,4H、−CH=CH−)、7.4(d,4H、aromatic)、7.6(s、4H)、8.6(d,4H)
・元素分析
理論値;C 84.47%、H 5.67%、N 9.85%、C/N 8.58%
測定値;C 84.14%、H 5.92%、N 9.94%、C/N 8.46%
・MSスペクトル;M+=284
【0037】
第一工程
<ピリジニウム誘導体の合成>
上記で調製した4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジン0.71g(2.5mモル)と上記で調製した10−ブロモ−1−デセン0.44g(2.0mモル)をアンプル管中で10mlのDMFに溶解した。これを封管し、110℃で72時間反応させた後、濾過し、DMFを減圧除去した。次に、ジエチルエーテルで数回洗浄し、カラムクロマトグラフィー(ワコーゲル C−300、40g、MeOH:CHCl3=1:20)により分離し、得られた精製物を少量のメタノールに溶解し、水で抽出した。次に遠心分離機により沈澱を集め、水を減圧除去した後、150mlのクロロホルムに溶解し無水硫酸ナトリウムで脱水した。濾過後、クロロホルムを減圧除去し、ジエチルエーテルで洗浄し乾燥し、下記一般式(12)で表される目的物ピジニウム誘導体0.08g(収率8%)を得た。
【化19】
なお、一般式(12)中の数字は、1H−NMRのHの帰属の位置を示す。
【0038】
<同定データ>
・FT-IR(KBr、cm-1):
2925(C-H伸縮)2854(アルケンC-H伸縮)、1620〜1710(C=C、C=N環伸縮)、1466(C-H変角)、858(C-H面外変角)
1H-NMR(δ、DMSO−d6):
1.5〜2.1(m,14H、−(CH27−)、4.6〜4.7(t,2H、5)、5.0〜5.1(m,2H、7)、5.8〜5.9(m,1H,6)、8.0〜8.3(m,12H,1,2,aromatic,−CH=CH-)、8.4(d,2H,4)、9.1〜9.2(d,2H,3)
・元素分析
理論値;C 71.56%、H 7.01%、N 5.57%、C/N 12.85%
測定値;C 72.28%、H 7.05%、N 5.92%、C/N 12.22%
【0039】
第二工程
<ビオロゲン誘導体の合成>
第一工程で得られたピリジニウム誘導体0.037g(0.0073mモル)を10mlのDMFに溶解し、次に一般式CnH2n+1Brで表される1−ブロモアルカン0.07g(n=8、0.365mモル)、0.08g(n=10、0.365mモル)、0.09g(n=12、0.365mモル)を徐々に滴下した。窒素雰囲気下、110℃で70時間反応させた後、反応溶液を濃縮し、アセトニトリルでそれぞれ再結晶し、次に析出物をジエチルエーテルで洗浄し下記一般式(13)で表されるビオロゲン誘導体をそれぞれ得た。
【化20】
なお、一般式(13)中の数値は、1H−NMRのHの帰属の位置を示す。
【0040】
<一般式(13)中のn=8の化合物>
収量0.037g、収率72.5%
また、同定データとして1H−NMR(DMSO−d6)分析データを表1にFT−IR(KBr)の分析データを表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
<一般式(13)中のn=10の化合物>
収量0.043g、収率81.4%
また、同定データとして1H−NMR(DMSO−d6)分析データを表3にFT−IR(KBr)の分析データを表4に示す。また、励起波長が387nmでの蛍光スペクトルを図3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
<一般式(13)中のn=12の化合物>
収量0.022g、収率39.4%
また、同定データとして1H−NMR(DMSO−d6)分析データを表5にFT−IR(KBr)の分析データを表6に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
実施例4〜実施例5
第一工程
<ピリジウム誘導体の合成>
実施例1〜3と同様に調製した4,4‘−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジン0.71g(2.5mモル)を10mlのDMFに溶解させた。これに4−ビニルベンジルクロライド0.27g(1.75mモル)(東京化成工業社製)を5mlのDMFに溶解した溶液を徐々に滴下した。窒素雰囲気下、70℃で24時間反応させた後、反応液を濃縮し水で抽出した。この水溶液を減圧除去し水を除き、ジエチルエーテルで洗浄することにより下記一般式(14)で表されるピリジニウム誘導体0.16g(収率20.86%)を得た。
【化21】
なお、一般式(14)中の数値は、1H−NMRのHの帰属の位置を示す。
【0050】
<同定データ>
・FT-IR(KBr、cm-1):
3037(芳香族C-H伸縮)、2920(脂肪族C-H伸縮)、1407〜1616(C=C、C=N環伸縮)、833(C-H面外変角)
1H-NMR(δ、DMSO−d6):
9.1〜9.2(d,2H、3)、8.7〜8.8(d,2H,1)、8.3(d,2H,4)、7.5〜8.0(m,14H,2,aromatic,−CH=CH−)、6.8(m,1H,−CH=C)、5.8(s,2H,N+−CH2−)、5.3,6.0(d,2H,−C=CH2
・元素分析
理論値;C 79.70%、H 5.77%、N 6.41%、C/N 12.43%
測定値;C 76.54%、H 5.98%、N 6.15%、C/N 12.45%
【0051】
第二工程
<ビオロゲン誘導体の合成>
第一工程で得られたピリジウム誘導体を5mlのDMFに溶解し、次に一般式CnH2n+1Clで表される1−クロロアルカン0.13g(n=10、0.75mモル)、0.15g(n=12、0.75mモル)をそれぞれ徐々に滴下した。窒素雰囲気下、110℃で75時間反応させた後、反応溶液を濃縮し、アセトニトリルでそれぞれ再結晶し、次に析出物をジエチルエーテルで洗浄し下記一般式(15)で表されるビオロゲン誘導体をそれぞれ得た。
【化22】
一般式(15)の式中の数値は1H−NMRのHの帰属の位置を示す。
【0052】
<一般式(15)中のn=10の化合物>
収量0.03g、収率25.9%
また、同定データとして1H−NMR(DMSO−D6)分析データを表7にFT−IR(KBr)の分析データを表8に示す。
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
<一般式(15)中のn=12の化合物>
収量0.07g、収率58.3%
また、同定データとして1H−NMR(DMSO−D6)分析データを表9にFT−IR(KBr)の分析データを表10に示す。また、励起波長が387nmでの蛍光スペクトルを図4に示す。
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明の前記一般式(1)で表されるビオロゲン誘導体は、液晶化合物と同様な基本骨格を持ち、高分子化可能で優れた電子輸送性を期待できる新規な化合物であり、有機EL材料としての用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の有機化合物の電子輸送能の機構を示す概略図。
【図2】 本発明の液晶化合物と同様な化学構造を持ち、電子輸送性EL素子として応用可能なビオロゲン誘導体を、スメクチック相を有する液晶化合物との混合物を、スメクチック液晶状態で用いた際の電子輸送の機構を示す概略図。
【図3】 実施例で得られた一般式(13)中のn=10の化合物の励起波長が387nmでの蛍光スペクトルを示す図。
【図4】 実施例で得られた一般式(15)中のn=12の化合物の励起波長が387nmでの蛍光スペクトルを示す図。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    (式中、R1は、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R2は水素原子又はメチル基、Aは炭素数1〜18のアルキレン基又は−CH −C −から選ばれる基を示し、1及びX2はハロゲン原子を示す。)で表されることを特徴とするビオロゲン誘導体。
  2. 下記一般式(2)
    で表される4,4’−p−(フェニレンビスビニレン)ビピリジンと、下記一般式(3)
    (式中、R2、A、X1前記請求項1に記載の定義と同じ。)で表されるハロゲン化物とを反応させて、下記一般式(4)
    (R2、A、X1は前記請求項1に記載の定義と同じ。)で表されるピリジニウム誘導体を得た後、次いで、得られた一般式(4)で表されるピリジニウム誘導体と、下記一般式(5)
    (式中、R1、X2は前記請求項1に記載の定義と同じ。)で表されるハロゲン化アルキルとを反応させることを特徴とする下記一般式(1)
    (式中、R1、R2、A、X1、X2は前記請求項1に記載の定義と同じ。)で表されるビオロゲン誘導体の製造方法。
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