JP4753553B2 - 移送方法及び溶液製膜方法 - Google Patents
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Description
c)前記熱伝達係数Hd(W・m-2・K-1)と、前記熱伝達係数Hm(W・m-2・K-1)とを
2<(Hm/Hd)<1000の関係とする、
d)前記ドープの0℃〜100℃における粘度Vd(Pa・s)と、
前記熱媒体の0℃〜100℃における粘度Vm(Pa・s)とを
10<(Vd/Vm)<106 の関係とする、
e)前記ドープの定圧比熱Cd(J・K-1・g-1)と、
前記熱媒体の定圧比熱Cm(J・K-1・g-1)とを
0.1<(Cd/Cm)<2の関係とする、
f)前記ドープが前記容器または管に滞留する時間Td(s)と、
前記熱媒体が前記熱媒体用流路に滞留する時間Tm(s)とを
0<(Tm/Td)<100の関係とする、
前記c)〜f)の実験条件を適宜選択することで、ドープの加温条件を最適なものとすることができる。
前記ドープ温度T(℃)を
g−1)前記溶媒の沸点Tbp(℃)以下(Tbp−30)℃以上に調整する、
g−2)前記溶媒に混合溶媒を用いた場合であって、前記混合溶媒を構成する各溶媒の沸点のうち最も低い沸点温度Tbpmin (℃)以下(Tbpmin −30)℃以上に調整する、
g−3)前記溶媒に用いられる混合溶媒が共沸混合物であって、
共沸点Tap(℃)以下(Tap−30)℃以上に調整する、
のいずれかの範囲にドープ温度T(℃)を調整することで、ポリマー会合体の発生を抑制でき、ゲル状物質,皮張りなどの異物の発生を防止できる。
本発明に用いられるポリマーは、特に限定されるものではない。具体的には、ポリアミド類, ポリオレフィン類, ノルボルネン類,ポリスチレン類,ポリカーボネート類,ポリスルホン類,ポリアクリル酸類,ポリメタクリル酸類,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Polyetheretherketone)類,ポリビニルアルコール類,ポリビニルアセテート類,セルロース誘導体(例えば、セルロースの低級脂肪酸エステル,セルロースアシレートなど)などが挙げられる。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン,クロロホルムなど),エステル類(例えば、蟻酸メチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸アミル,酢酸ブチルなど),エーテル類(例えば、ジオキサン,ジオキソラン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど),芳香族炭化水素類(例えば,ベンゼン,トルエン,キシレンなど),脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン,ヘプタンなど),アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど),ケトン類(例えば、シクロペンタノン,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなど)などが挙げられる。また、これら溶媒は、単独で用いても良いし、混合させた混合溶媒として用いても良い。
製膜されたフィルムの特性を好ましいものとするために、ドープ中に添加剤を添加しても良い。添加剤としては、可塑剤(トリフェニルホスフェート(以下、TPPと称する),ビフェニルジフェニルホスフェート,ジペンタエリスリトールヘキサアセテートなど),紫外線吸収剤(例えば、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物など),マット剤(例えば、二酸化ケイ素の微粒子など),増粘剤,オイルゲル化剤,レターデーション制御剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤はポリマーを溶媒に溶解させるときに添加しても良いし、溶液製膜を行っている際に、調製されたドープにインラインで混合させても良い。また、添加剤を添加する際に、添加剤のみを添加しても良いし、添加剤を溶媒に溶解させた添加剤溶液を添加しても良い。
ドープを冷却溶解法で製造する際には、始めにTACを溶媒により膨潤させ、膨潤液を作製する。膨潤液の液温は、10℃〜60℃の範囲が好ましく、通常は室温で行うことが、取り扱いの容易さから好ましい。ポリマーを溶媒中で均一に膨潤させるため、攪拌を行うことが好ましい。攪拌方法は、公知の方法を用いることができる。なお、攪拌時間は特に限定されないが、5分〜120分であることが好ましい。5分未満であると均一に膨潤しないおそれが生じる。また、120分より長いと生産性の低下を招くため好ましくない。このような場合には、溶媒の選択、混合溶媒を用いている際には、溶媒種類の選択,組成比の変更などを適宜行う。膨潤液に添加剤を添加しても良い。添加剤は、直接膨潤液に添加しても良いし、添加剤が溶解している添加剤溶液を膨潤液中に混合させても良い。
ドープ調製装置10の下流側には、ガスケット20を介して移送装置30がボルト21,22により締結されている。ドープ15を移送装置30で濾過装置(図示しない)まで移送する。図3の移送装置30は、シリンダ(管)31にフランジ32,33が取り付けられている。また、シリンダ31を覆うようにジャケット34が取り付けられ、熱媒体流路(以下、流路と称する)35が形成されている。ジャケット34には、熱媒体供給及び排出用に下流側開口部34aと上流側開口部34bとが形成されている。熱媒体36を下流側開口部34aから供給して、流路35を通して上流側開口部34bから送り出す向流であることが好ましいが、並流で供給しても良い。熱媒体36は配管37を通り、熱媒体調整装置38に送られ、温度調整などがなされる。その後に配管39を通り流路35に供給される循環式であることがコストの点から有利であるが、本発明ではその形態に限定されるものではない。
q1=Hm・A1・(T1−Ts)・・(1)
q2=Hd・A2・(Ts’−T2)・・(2)
q3=Ks・Alm・(Ts−Ts’)/L3・・(3)
なお、この場合のシリンダの熱伝導率Ksは、シリンダ内面31bの温度を基準温度として用いる。
q=(T1−T2)/{(1/Hm・A1)+(L3/Ks・Alm)+(1/Hd・A2)}・・(4)
となる。
q4=U・A2・(T1−T2)・・(5)
で示される。ここで、Uは、シリンダ内面面積A2(m2 )を基準とした総括伝熱係数(W/(m2 ・K))を意味し,T1は熱媒体平均温度であり、T2はドープ平均温度である。また、熱貫流伝熱速度q4=伝熱速度qであるから、式(4),(5)を整理して式(6)として示す。
1/(U・A2)=(1/Hm・A1)+(L3/Ks・Alm)+(1/Hd・A2)・・(6)となる。
1/U=(1/Hm)+(1/Hd)・・(7)
また、
R=(1/U);全熱抵抗
Rm=(1/Hm);熱媒体側熱抵抗
Rd=(1/Hd);ドープ側熱抵抗
とすると、
R=Rm+Rd・・(8)
式(8)が得られる。
a)総括伝熱係数U>10(W・m-2・K-1)
を満たすことにより熱抵抗が小さくなりシリンダ31の温度調整を容易に行うことができ、ドープ15の温度調整、特に保温を容易に行うことができる。
b)熱媒体側熱伝達係数Hm>ドープ側熱伝達係数Hd
さらに、熱媒体側熱伝達速度Hmとドープ側熱伝達速度Hdとは、
c)2<(Hm/Hd)<1000
の範囲であることが好ましい。熱媒体側熱伝達係数Hmとドープ側熱伝達係数Hdとの比(Hm/Hd)が2以下であると、シリンダ31に熱が充分に供給されず、ドープ15を加温できない場合が生じる。また、(Hm/Hd)が1000以上であると、総括伝熱係数Uが、熱媒体側熱伝達係数Hmのみで決まり、シリンダ31からドープ15への伝熱がほとんど生じないためドープ平均温度T2(℃)を一定に保持することが困難になる場合がある。熱伝達係数Hm,Hdの測定方法は、ポールハウゼンの近似式で行う。
d)10<(Vd/Vm)<106 とすることが好ましい。
(Vd/Vm)が10以下であると、ドープ15へ熱の供給を安定に行うことが困難になることがある。また、(Vd/Vm)が、106 以上であると、熱媒体36の熱がドープ15に伝わらない場合が生じる。また、ドープ平均温度T2(℃),熱媒体平均温度T1ともに0℃以上100℃以下であることが好ましい。
e)0.1<(Cd/Cm)<2の範囲とすることが好ましい。
(Cd/Cm)を2以上とすると、ドープ15の温度上昇に必要な熱量が大きくなり、熱媒体36が有している熱量ではドープ平均温度T2(℃)に必要な量に達しない場合がある。また、(Cd/Cm)を0.1以下とすると、熱媒体36の定圧比熱が大きくなり過ぎ、ドープ平均温度T2(℃)に温度を維持する熱量より過度の熱量を含みコスト高の原因となる。
f)1<(Tm/Td)<100
とすることが好ましい。
(Tm/Td)が1以下であると、ドープ15の移送装置30での滞留時間が長くなり過ぎ、熱供給がスムーズにいかず、ドープが保温されない場合が生じる。また、滞留している際に、ドープ15や熱媒体36から放熱が生じて、エネルギーの無駄が発生する。また、溶媒の沸点近くで加温している場合には、ドープの変成や揮発分(主に溶媒)の蒸発が生じて、ポリマーや添加剤が析出して、皮張り発生の原因となる場合がある。また、熱媒体36の流速を速くすると伝熱の制御は容易となる。しかしながら、熱媒体36の流速を(Tm/Td)が100以上となるようにすると、熱媒体流路36の耐圧性を上げる必要が生じコスト高の原因となる。
g−1);
(Tbp−30)≦T2(℃)≦Tbp
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tbp−15)≦T2(℃)≦Tbp
の範囲とする。沸点Tbp(℃)近傍の温度で保温することで、溶媒の溶解性の悪化に伴うポリマーなどの溶質の析出を防止でき皮張りの発生を抑制できる。また、ドープ温度を高温にすることによりドープ中に会合体の会合量が低下し、ゲル状物質の発生を抑制できる。また、溶媒の沸点以下とすることにより、溶媒の沸騰に伴う多量の溶媒の揮発を抑制でき、有機溶媒揮発に伴う溶質の析出を防止できる。
g−2);
(Tbpmin −30)≦T2(℃)≦Tbpmin
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tbpmin −15)≦T2(℃)≦Tbpmin
の範囲とする。
g−3);
(Tap−30)≦T2(℃)≦Tap
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tap−15)≦T2(℃)≦Tap
の範囲とする。なお、混合溶媒が共沸混合物である場合に、共沸点Tap(℃)が前記沸点Tbpmin (℃)よりも高い場合には、ドープ平均温度T2(℃)の基準温度には、前記Tbpmin (℃)を適用することがドープの変成が生じ難くなることから好ましい。
図7に示す保存装置70は、容器71にジャケット72が取り付けられ、熱媒体流路73が形成されている。また、容器71内に入れられたドープ74を均一にしておくための攪拌翼75及びその攪拌翼75を回転させるモータ76が取り付けられている。ドープ74は、配管77から容器71内に入れられる。配管77にもジャケット(図示しない)を取り付けて温度調整可能な構造のものを用いることが好ましい。熱媒体78は、図示しない供給装置によりジャケット72の開口部72aから熱媒体流路73に供給されて容器の外面(以下、容器外面と称する)71aとの間で熱伝達を行う。熱媒体78は、液体を用いることが熱伝導の点から好ましい。なお、ドープを保存する際にも、
a)総括伝熱係数U>10(W・m-2・K-1)
b)熱媒体側熱伝達係数Hm>ドープ側熱伝達係数Hd
c)2<(Hm/Hd)<1000
d)10<(Vd/Vm)<106
e)0.1<(Cd/Cm)<2
の条件に従い行うことで、ドープ温度を均一に保持できるために好ましい。
g−1);
(Tbp−30)≦T2(℃)≦Tbp
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tbp−15)≦T2(℃)≦Tbp
の範囲とする。
g−2);
(Tbpmin −30)≦T2(℃)≦Tbpmin
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tbpmin −15)≦T2(℃)≦Tbpmin
の範囲とする。
g−3);
(Tap−30)≦T2(℃)≦Tap
の範囲とすることが好ましく、より好ましくは
(Tap−15)≦T2(℃)≦Tap
の範囲とする。
保存装置70でもドープの溶媒の種類に応じて前記g−1)〜g−3)式のいずれかの条件下でドープ調製を行うことで、ドープに極大温度Tc(℃)を横切る履歴を残すことが無いか、2回以下とすることができる。
図10に示すフィルム製膜ライン100の流延ダイ101は、流延ベルト102上に配置されている。流延ベルト102は回転ローラ103,104が図示しない回転駆動装置により回転することに伴い無端走行する。流延ダイ101からドープを流延ベルト102上に流延する。このときのドープの流延幅は、2000mm以上が好ましく、より好ましくは1400mm以上とする。ドープは、流延ベルト102上で流延膜105となり、自己支持性を有するようになった後に、剥取ローラ106により支持されながら剥ぎ取られ軟膜107が得られる。なお、図10には、支持体に流延ベルトを用いたものを示すが、本発明に用いられる支持体はそれに限定されるものでなく、例えば流延ドラム(回転ドラム)などを用いても良い。
前述したいずれかの溶液製膜法により得られたフィルムは、ドープ中にゲル状物質や皮張りが無いため、光学特性に優れている。光学特性に優れたフィルムをベースフィルムとして用いるため、そのフィルムを用いて製造された保護フィルムも光学特性に優れている。さらに、偏光子を含有した偏光フィルムの両面に前記保護フィルムを貼付すると、光学特性に優れた偏光板を製造できる。さらに、フィルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に積層させた反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品(例えば、偏光板,光学補償フィルムなど)からは、液晶表示装置の一部を構成することもできる。さらに、フィルムベース上に感光層などを積層して写真感光材料を製造することもできる。
セルローストリアセテート(置換度2.83,粘度平均重合度320,含水率0.4質量%,ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度305mPa・s) 28質量部
酢酸メチル(沸点;56.9℃) 70質量部
シクロペンタノン(沸点;130℃) 5質量部
アセトン(沸点;56.1〜56.5℃) 5質量部
メタノール(沸点;64.65℃) 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1質量部
可塑剤B(トリフェニルフォスフェート) 1質量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
UV剤a:(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン 0.1質量部
UV剤b:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1質量部
UV剤c:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1質量部
C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
なお、UV剤とは、紫外線吸収剤を表わす。
セルローストリアセテート(置換度2.83,粘度平均重合度320,含水率0.4質量%,ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度305mPa・s) 25質量部
酢酸メチル 75質量部
シクロペンタノン 10質量部
アセトン 5質量部
メタノール 5質量部
エタノール 5質量部
可塑剤A(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1質量部
可塑剤B(TPP) 1質量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)) 0.1質量部
UV剤a:(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン 0.1質量部
UV剤b:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1質量部
UV剤c:2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.1質量部
C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 0.05質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)製)125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50重量%/50重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)5.0gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)3.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.60であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)10gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Aを調製した。
シクロヘキサノン24gとメチルエチルケトン24gとの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しながら酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)218gを添加した。さらに、カヤラッドDPHAを91g、イルガキュア(チバガイギー社製)10gを添加した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)5gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Bを調製した。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトZ−7401、JSR(株)製)218g、および酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7161、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散した分散液29gを添加、攪拌した後に、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Cを調製した。
紫外線硬化性ハードコート組成物(デソライトZ−7526、72重量%、JSR(株)製)250gを62gのメチルエチルケトンおよび88gのシクロヘキサノンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.53であった。さらに、この溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過してハードコート層の塗布液Dを調製した。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(TN−049、JSR(株)製)20093gにMEK−ST(平均粒径10nm〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのMEK(メチルエチルケトン)分散物、日産化学(株)製)8g、およびメチルエチルケトン100gを添加、攪拌の後に径径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5°の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。鏡面反射率は、5%以下であれば、実用上問題がない。また、積分反射率は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターILV−471を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出した。積分反射率は10%以下であれば実用上問題がない。
得られた反射防止膜のヘイズをヘイズメータ MODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。ヘイズは、15%以下であれば実用上問題はない。
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重で、n=5の評価において傷が全く認められない(○)、n=5の評価において傷が1または2つ(△)、n=5の評価において傷が3つ以上(×)の3段階評価を行った。
表面の耐汚染性の指標として、反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。接触角は、90°〜180°の範囲であれば実用上問題がない。
前述して測定された鏡面反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。色味は、それぞれの空間においてL*が0〜+15、a*が0〜+20、b*が−30〜0の範囲であれば、実用上問題がない。
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は反射防止膜を25℃、相対湿度60%RHで2時間調湿した後に、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minで測定した値を用いた。動摩擦係数は、0.15以下であれば実用上問題が生じない。
作成した反射防止膜にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2 )を映し、その反射像のボケの程度を蛍光灯の輪郭が全くわからない(◎)、蛍光灯の輪郭がわずかにわかる(○)、蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる(△)、蛍光灯がほとんどぼけない(×)の基準で評価した。
反射防止膜の塗布層の表面を目視で観察し、その面状を塗布層表面は平滑である(◎)、塗布層表面は平滑であるが、少し異物が見られる(○)、塗布層表面に弱い凹凸が見られ、異物の存在がはっきり観察される(△)、塗布層表面に凹凸が見られ異物が多数見られる(×)の4段階で評価した。
偏光板はポリビニルアルコールを延伸してヨウ素を吸着させた偏光素子の両面に、実験1ないし実験6で得られたそれぞれのフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼合し作成した。この偏光板を60℃、90%RHの雰囲気下で500時間暴露した。
P=√((Yp−Yc)/(Yp+Yc))×100 (%)
実験1ないし実験6から製造されたフィルムを用いて構成された偏光板のいずれにおいても偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。そこで、本発明の溶液濃縮方法を用いて得られたドープから溶液製膜方法により製膜されたフィルムは、偏光板保護膜(偏光板保護フィルム)に用いることが好ましく、製作された偏光板は光学特性に優れていることが分かった。
15,74 ドープ
18,36 熱媒体
30,50,60 移送装置
70 保存装置
100 フィルム製膜ライン
108 フィルム
L1 移送装置長さ
L2 熱媒体流路長さ
Hd ドープ側熱伝達係数
Hm 熱媒体側熱伝達係数
U 総括伝熱係数
Tc 会合量極大温度
Claims (2)
- セルロースアシレートと溶媒とを含むドープを移送する移送方法において、
(前記ドープ中で形成された前記セルロースアシレートの会合体の平均分子量)/(前記セルロースアシレートの平均分子量)で求める会合量と、前記ドープの温度との関係から、前記会合量が極大値となる前記ドープの温度Tcを求めて、前記温度Tcよりも高い温度領域を第1領域、低い温度領域を第2領域とするときに、
前記ドープが通る管と、この管の両端にそれぞれ配され、前記管に対応するようにJIS規格で規定される外径よりも大きな外径をもち、ボルト孔が形成されたフランジとを備えるとともに、一方の前記フランジから他方の前記フランジに亘って前記管の外周面との間に熱媒体の流路を形成するように前記管を覆うジャケットを備える移送手段により、前記熱媒体と前記ドープとの間で熱交換をすることにより、前記ドープの温度が前記第1領域と前記第2領域との一方から他方へ変化しないように前記ドープの温度を制御しながら前記ドープを移送することを特徴とするドープの移送方法。 - セルロースアシレートと溶媒とを含むドープからフィルムを製造する溶液製膜方法において、
(前記ドープ中で形成された前記セルロースアシレートの会合体の平均分子量)/(前記セルロースアシレートの平均分子量)で求める会合量と、前記ドープの温度との関係から、前記会合量が極大値となる前記ドープの温度Tcを求め、
前記温度Tcよりも高い温度領域を第1領域、低い温度領域を第2領域とするときに、
移送すべき前記ドープを通す管と、この管の両端にそれぞれ配され、前記管に対応するようにJIS規格で規定される外径よりも大きな外径をもち、ボルト孔が形成されたフランジとを備えるとともに、一方の前記フランジから他方の前記フランジに亘って前記管の外周面との間に熱媒体の流路を形成するように前記管を覆うジャケットを備える移送手段により、前記ドープと前記熱媒体との間で熱交換をすることにより、前記ドープの温度が前記第1領域と前記第2領域との一方から他方へ変化しないように前記ドープの温度を制御しながら前記ドープを移送し、
移送されてきた前記ドープを流延ダイから支持体上に流延して流延膜を形成する流延工程と、
前記支持体から剥ぎ取った前記流延膜を乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする溶液製膜方法。
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