JP2007268452A - 溶液濃縮装置及び方法 - Google Patents

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幸祐 片井
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宏昌 田中
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Abstract

【課題】フラッシュ濃縮法において、凝縮分離した溶媒へのドープ混入を防止する。
【解決手段】容器50の下部にフラッシュ部54を、上部に濃縮部55を設ける。フラッシュ部54にフラッシュノズル45を設け、濃縮ドープ56内にノズル本体45bを位置させる。フラッシュノズル45を、分岐部45aにより8個のノズル本体45bに分岐させる。8個のノズル本体45bとすることにより、ノズル本体45bの1個当たりの前記溶液の流速を2000mol/(m2 ・s)以下にする。ノズル本体45bからのフラッシュ蒸発量が規制されることにより、フラッシュ蒸発の際の飛沫が抑制され、凝縮部55へのドープ混入が抑制される。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶液濃縮装置及び方法に関し、更に詳しくはポリマー溶液をフラッシュ蒸発法により濃縮する溶液濃縮装置及び方法に関するものである。
溶液製膜方法により、例えばセルロースアシレートフィルムを製造する場合に、ポリマー溶液(以下、ドープと称する)の調製は、溶解時間の短縮や、未溶解物の残存減少のため、分散溶解時のポリマー濃度(以下、低濃度ドープと称する)を流延時の濃度以下に下げて溶解し易くすることが、しばしば行われる。低濃度ドープは、濃縮工程により所定の濃度(以下、高濃度ドープと称する)に濃縮されて、高濃度ドープとして流延される。ドープの濃縮方法は、従来フラッシュ濃縮法や薄膜式蒸発濃縮法により行われていた。中でも、フラッシュ濃縮法、特に、特許文献1に記載されているスプレーフラッシュ蒸発法を用いたフラッシュ濃縮法は、図8に示すように、ろ過装置152でろ過された低濃度ドープ147をノズル148から容器141内に放出する際に、液の微粒子化が起こり、それに伴う蒸発液の表面積の増加により高い蒸発性能が得られる。濃縮ドープ144から揮発した気化溶媒144bは、配管150を介して凝縮器149に送られて、ここで凝縮されて回収される。また、濃縮されたドープ144は高濃度ドープ151としてろ過装置153に送られた後に、フィルム製膜ラインに供給される。容器141には、モータ146により回転される攪拌翼145と、ジャケット142が設けられており、ジャケット142内には媒体143が流される。
しかしながら、上記のスプレーフラッシュ蒸発法を用いた溶液濃縮装置では、濃縮ドープ144の液面144aの上方でノズル148により低濃度ドープ147を放出するため、凝縮面141aに微粒子液147aが飛散付着し、溶液が乾燥した後に溶質による皮張り147bが発生しやすいという欠点があった。この皮張り147bの発生は、溶液の組成比が変化すると共に容器141内の汚染が生じるために問題となる。また、容器内面に接している濃縮ドープ144が乾燥することがないように、内面温度をドープの沸点より下げる必要があるが、従来のフラッシュ濃縮法では、内面温度を下げると、ドープ144から気化した溶媒(以下、気化溶媒と称する)144bが内面で再凝縮して、濃縮ドープ144に混入し、ドープを希釈してしまい濃縮効率が低下するという問題がある。さらには、均一に溶媒を気化させるためには、液を放出するための十分な空間と液表面積が必要となり、容器141が大型化してしまう問題がある。
これに対して、本発明者は、特許文献2で示すように、フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルにより前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した溶液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮装置を提案している。この溶液濃縮装置によれば、皮張りの抑制と効率のよい濃縮が可能になる。
米国特許第4,414,341号 特開2004−66136号公報
しかしながら、特許文献2の溶液濃縮装置では、濃縮ドープ内でフラッシュガスを放出する際に、濃縮ドープが液面から跳ねて、凝縮部で分離された溶媒に混入してしまうコンタミネーションの問題がある。また、溶液中でフラッシュ蒸発を行う際に、溶液の沸点を超えたノズル外表面に、容器内の溶液が接触すると、接触した溶液が沸騰し、固形分がノズル外表面に固着してしまう。この固着した固形分は時間が経つと、容器内で溶液中に剥がれ落ち、溶液中の異物になる。この異物はフラッシュ濃縮後の下流工程で、ろ過の負荷増大につながるという問題がある。さらには、濃縮装置を停止すると、この停止中に、ノズル内に溶媒ガスが滞留し、沸点以上となったノズル内表面にてノズル内部の溶液が乾燥し、ノズルが閉塞してしまうと問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、凝縮部で分離された溶媒に溶液が混入してしまうコンタミネーションの発生と、溶液中での異物の発生とを抑えるとともに、ノズルの閉塞を防止するようにした溶液濃縮装置及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の溶液濃縮装置は、フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルの出口から前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮装置において、前記ノズルの出口1個当たり前記溶液から最終的に気化する溶媒量を、以下の数式(1)により規定される量X以下とすることを特徴とする。
X=1.5×(to/tb)×(Pb/Po) (mol/s)・・・(1)
ただし、to:273(K)、tb:溶液の沸点(K)、Po:1.01×105(Pa)、Pb:容器内圧(Pa)。
また、本発明は、前記ノズル出口からの溶液の流速を10mol/(m2 ・s)以上2000mol/(m2 ・s)以下とすることを特徴とする。前記凝縮部は受け器を備え、前記溶液の気液界面位置から前記受け器までの高さをHとしたときに、前記溶媒量Xと高さHとの関係を、
X<0.3(mol/s)のとき、0.1m≦H≦2.0mとし、
0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.5m≦H≦2mとし、
0.6(mol/s)<Xのとき、1.0m≦H≦2.0mとすることを特徴とする。また、前記溶液の気液界面の面積をSとしたときに、前記溶媒量Xと面積Sとの関係を、
X<0.3(mol/s)のとき、0.008m2 ≦S≦7.0m2 とし、
0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.7m2 ≦S≦7.0m2 とし、
0.6(mol/s)<Xのとき、1.7m2 ≦S≦7.0m2 とすることを特徴とする。
また、前記ノズル出口を複数備え、これら複数の出口の開口中心間ピッチを100mm以上にしている。また、前記ノズルは圧力調整バルブを前記容器外に備え、前記圧力調整バルブから前記出口までのノズル内圧を検出する。また、前記ノズルと容器内溶液との接触面温度を溶液の沸点+2℃未満とする。前記ノズルは外表面に断熱部材を有する。また、前記断熱部材によるノズル管壁の内側基準総括伝熱係数を1.0W/m2 K以下としている。また、前記断熱部材は、内管及び外管からなる二重管構造による断熱層から構成され、前記内管及び外管の隙間を5mm以上30mm以内とし、前記容器のノズル貫通部からノズル先端までの間で内管及び外管の隙間内には隙間保持部材を持たない構造になっている。
本発明の溶液濃縮装置は、前記容器で濃縮された溶液を前記ノズルに戻す循環路と、この循環路中の溶液を冷却する冷却部とからなる冷却循環部を備え、前記冷却循環部はノズルへの送液を停止しているときに作動して前記ノズルに滞留した溶媒ガスを溶液に置換することを特徴とする。
本発明の溶液濃縮方法は、フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルの出口から前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮方法であって、前記ノズルの出口1個当たり前記溶液から最終的に気化する溶媒量を、以下の数式(1)により規定される量X以下とすることを特徴とする。
X=1.5×(to/tb)×(Pb/Po) (mol/s)・・・(1)
ただし、to:273(K)、tb:溶液の沸点(K)、Po:1.01×105(Pa)、Pb:容器内圧(Pa)。そして、前記ノズル出口からの溶液の流速を10mol/(m2 ・s)以上2000mol/(m2 ・s)以下とする。
本発明によれば、フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルの出口から前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮装置において、toを273(K)、tbを溶液の沸点(K)、Poを1.01×105(Pa)、Pbを容器内圧(Pa)としたときに、前記ノズルの出口1個当たり前記溶液から最終的に気化する溶媒量を、以下の数式(1)
X=1.5×(to/tb)×(Pb/Po) (mol/s)・・・(1)
により規定される量X以下としたから、フラッシュ蒸発の際に液面から溶液が跳ねて飛沫となり、この飛沫が凝縮部に混入することが防止される。これにより、分離した溶媒中に溶液が混入することがなくなる。したがって、次の蒸発精製工程などで固形物の析出トラブルの発生が無くなり、溶媒精製が容易になる。
また、ノズル出口からの溶液の流速を10mol/(m2 ・s)以上2000mol/(m2 ・s)以下とすることにより、同様にして飛沫の発生及び飛散が抑えられ、分離した溶媒中への溶液混入を抑制することができる。10mol/(m2 ・s)未満では、ノズル先端部に泡が成長しやすくなり、泡と溶液との接触時間が長くなるため、濃縮効率が低下する。また、2000mol/(m2 ・s)を超えると、液面からの飛沫の飛散が激しくなる。
複数の出口の開口中心間ピッチを100mm以上にすることにより、泡同士がつながって増大することがなくなり、飛沫の発生が抑えられる。このピッチは広ければ広い程よいが、ピッチを大きくしてしまうと、容器容量の増大を招くため、好ましくは、100mm以上500mm以下である。
前記ノズルは圧力調整バルブを前記容器外に備え、前記圧力調整バルブからノズル開口までのノズル内圧を検出することにより、ノズル詰まりを自動判定することができ、迅速な対応が図れる。また、ノズルと容器内溶液との接触面温度を溶液の沸点+2℃未満とすることにより、ノズル外表面での溶液の沸騰を抑制することができ、溶液中の固形分の固着を防止することができる。
前記ノズルは外表面に断熱部材を有することにより、ノズルと容器内溶液との接触面温度を溶液の沸点+2℃に保持することができる。また、前記断熱部材によるノズル管壁の内側基準総括伝熱係数を1.0W/m2 K以下とすることにより、効率良く断熱することができる。
前記断熱部材を、内管及び外管からなる二重管構造による断熱層から構成し、前記内管及び外管の隙間を5mm以上30mm以内とすることにより、効率よく断熱することができる。5mm未満では断熱効果が低下し、30mmを超えると容積が増大してしまう他に、断熱効果はそれほど変わりがなくなる。また、容器をノズルが貫通する部分からノズル出口までの間で、内管及び外管の隙間内には隙間保持部材を持たない構造にすることにより、隙間保持部材が伝熱部材となることがなく、断熱効果が低下することがなくなる。
容器で濃縮された溶液をノズルに戻す循環路と、この循環路中の溶液を冷却する冷却部とからなる冷却循環部を備え、前記冷却循環部はノズルへの送液を停止しているときに作動して前記ノズルに滞留した溶媒ガスを溶液に置換することにより、ノズル内で溶媒ガスが滞留し、沸点以上となったノズル内表面にてノズル内部の溶液が乾燥して固着することがなくなり、ノズルへの送液を停止して濃縮を中断した状態でもノズルが閉塞してしまうことがなくなる。
以下、本発明に用いられるドープを構成する溶質(ポリマー及び添加剤)と溶媒について説明する。次に、本発明の溶液濃縮方法を用いたドープ製造方法、そのドープを用いた溶液製膜方法、製膜されたフィルム、フィルムを用いた光学用製品の順で説明する。なお、ドープには、セルローストリアセテート(以下、TACと称する)溶液(ドープ)を用いた例により説明を行うが、本発明はその溶液に限定されるものではない。例えば、TACを他のポリマーに代えたポリマー溶液(ドープ)の濃縮にも本発明は適用することが可能である。また、溶媒に溶解し難い低分子化合物(モノマー)やオリゴマーを溶質として用いて、低濃度溶液を調製した後に、本発明に係る溶液濃縮方法により濃縮し、高濃度溶液を製造することも可能である。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されない。本発明に用いられるポリマーとしては、1種以上の適当な有機あるいは無機の溶媒に溶解し、その溶液を製膜に供することができるものであれば特に制限はない。このようなポリマーの例としては、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル、芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系高分子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらポリマーのうちで、セルロースエステルを用いることが好ましい。また、セルロースエステルの中では、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に、セルロースアセテートを使用することが好ましい。さらに、このセルロースアセテートの中では、その平均酢化度が57.5ないし62.5%のセルローストリアセテート(TAC)を使用することが最も好ましい。酢化度とは、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。本発明では、セルロースアシレート粒子を使用し、使用する粒子の90重量%以上が0.1ないし4mmの粒子径、好ましくは1ないし4mmを有する。また、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上、最も好ましくは99重量%以上の粒子が0.1ないし4mmの粒子径を有する。さらに、使用する粒子の50重量%以上が2ないし3mmの粒子径を有することが好ましい。より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上の粒子が2ないし3mmの粒子径を有する。セルロースアシレートの粒子形状は、なるべく球に近い形状を有することが好ましい。
[添加剤]
本発明で用いられる添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤などがある。可塑剤としては、リン酸エステル系(例えば、トリフェニルフォスフェート(以下、TPPと称する)、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート(以下、DBPと称する)、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェートなど)、フタル酸エステル系(例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、グリコール酸エステル系(例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(以下、エチルフタリルグリコールエチルエステルとも称する)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど)、アセテート系(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアセテート、ジトリメチロールプロパンテトラアセテートなど)及びその他の可塑剤を用いることができる。
ドープには、紫外線吸収剤を添加することもできる。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物及びその他の紫外線吸収剤を用いることができる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。さらにドープには、必要に応じて種々の添加剤、例えば、離型剤、剥離促進剤、フッ素系界面活性剤などをドープの調製前から調製後のいずれかの段階で添加してもよい。
[溶媒]
本発明に用いられる溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類などがあるが、特に限定されない。溶媒は、市販品の純度であれば、特に制限される要因はない。溶媒は、単独(100重量%)で使用しても良いし、炭素数1ないし6のアルコール、ケトン、エステル、エーテルを混合して使用するものでもよい。使用可能な溶媒の例には、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、メチルホルメート、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルアセテートなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノールなど)などが挙げられる。なお、用いる溶媒を、予め脱水処理しておくことが好ましい。また、本発明に用いられる溶媒として、酢酸メチルを用いることが環境保護の点から好ましい。酢酸メチルを単独で用いても良いし、他の溶媒を混合した混合溶媒として用いても良い。さらに、本発明は皮張りの発生を抑えることと特徴とするため、皮張りの発生しやすい溶媒と溶質の組合せ、すなわち溶解度が低い溶媒と溶質の組合せに対して特にその効果を発揮する。特にポリマーにTACを用いた際に、溶解能力が劣る酢酸メチルを主溶媒とした場合に、特にその効果を顕著に得ることができる。
[ドープ製造方法]
図1に本発明に係る溶液濃縮方法に用いられるドープ製造ライン10を示すが、本発明に係る溶液濃縮方法に用いられる溶液製造ラインは、図示した形態に限定されるものではない。ドープの製造は、始めに溶媒タンク11からバルブ12を開き、溶媒を溶解タンク13に送る。次に、計量器14に仕込まれているTACを溶解タンク13に計量しながら送り込む。
さらに、添加剤タンク15から添加剤溶液をバルブ16の開閉操作を行って必要量を溶解タンク13に送り込む。添加剤は、溶液として送り込む方法以外にも、例えば、添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で溶解タンク13に送り込んでもよい。また、添加剤が固体の場合には、計量器を用いて溶解タンク13に送り込んでもよい。添加剤の種類は1種類に限定されない。その場合には、添加剤タンク15に複数種類の添加剤を仕込む方法や、多数の添加剤タンクを用いて、それぞれ独立した配管により溶解タンクに送り込む方法などを用いてもよい。
溶解タンク13に、溶媒、TAC、可塑剤の順に投入しているが、投入順序は適宜変更してよい。例えば、TACを計量し、溶解タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液してもよい。また、添加剤は必ずしも溶解タンク13に予め送り込む必要はなく、後の工程でTACと溶媒とを混合したドープに混合してもよい。
溶解タンク13は、ジャケット17、アンカー翼からなる攪拌翼19a、ディゾルバータイプの偏芯攪拌軸19bを有する。ジャケット17には媒体が循環して流され、溶解タンク13内の溶媒などの温度が一定温度に調整される。また、攪拌翼19aはモータ18aにより回転され、偏芯攪拌軸19bはモータ18bにより回転される。これら攪拌翼19a,偏芯攪拌軸19により、溶解タンク13内の溶質を溶媒に溶解させ、粗溶解溶液20が得られる。
粗溶解溶液20は調製タンク21に送られる。調製タンク21は、ジャケット22、モータ23、攪拌翼24、及び凝縮器(コンデンサ)25を備えている。凝縮器25は、気化した溶媒を液体に戻す。粗溶解溶液20は、ポンプ26により、流量計27、分析計28を通過した後に、加熱装置29に送られる。粗溶解溶液20は、加熱されることにより溶解が進行し、低濃度ドープ30となる。この低濃度ドープ30は、温度計31を通った後に、切替バルブ(3方バルブ)32により、調製タンク21に戻される。
気化した溶媒は、コンデンサ25により液化して調製タンク21に戻される。ポンプ26による粗溶解溶液20の送液流量は、流量計27の流量値に基づき調節され、最適な量にされる。分析計28は、例えば近赤外線プロセス分析計が用いられる。この分析計28により、濃縮する前の低濃度ドープ30の組成比が測定される。加熱装置29は、静止型混合器を有する多管式熱交換器が用いられる。加熱温度は、温度計31で測定された値に基づき調整される。なお、濃縮する前の低濃度ドープ30は、ポリマー濃度が5重量%〜30重量%、温度30℃における粘度が0.1Pa・s〜100Pa・s、温度30℃における残存気体量が10mg/L〜500mg/L、温度が50℃〜180℃、の各数値範囲内であることが好ましいが、それらの数値範囲に限定されるものではない。
温度計31で計測される低濃度ドープ30の温度が定常値に達すると、温度計31の指示により切替バルブ32により流路が切り替わる。低濃度ドープ30は、切替バルブ32を通り、ろ過装置40,圧力計41,温度計42,調節バルブ43を通り、溶液濃縮装置44内にフラッシュノズル45から送られて、フラッシュ蒸発されて高濃度ドープとなる。溶液濃縮装置44を用いた本発明の溶液濃縮方法について、図2ないし図5を参照して、後に詳細に説明する。なお、濃縮前の低濃度ドープの製造方法は、前述したものに限定されるものではない。例えば、図1ではドープ製造ライン10を用いて連続式で行っているが、低濃度ドープをバッチ式で製造し、バッチ単位で溶液濃縮装置44内にフラッシュ蒸発させてもよい。
[溶液濃縮方法]
図2に示すように、溶液濃縮装置44は、容器50と、この容器50を覆う第1ジャケット51、第2ジャケット52、第3ジャケット53とを有する。各ジャケット51〜53には独立した配管が設けられており、各配管を介し媒体が供給される。この媒体の循環により容器50の各部分が適正な温度条件に制御される。容器50は、フラッシュ部54とその上部に設けられる凝縮部55とから構成されている。媒体は、ジャケット51,52には加熱用を用い、ジャケット53には冷却用を用いることで、フラッシュ部54を加熱し、凝縮部55を冷却している。フラッシュ部54と凝縮部55とは、別体として作製した後に、装置本体として組み合わせたものであっても、一体として作製されたものであっても良い。
凝縮部55は、円錐状に形成されている。そして、傾斜した円錐状の凝縮面55aによって、凝縮溶媒57bを重力により回収する。凝縮部55の下部には受け器58が設けられている。受け器58は、フラッシュ部54の内壁から延設された側板58aと底板58bとから構成されており、環状に形成されている。
フラッシュノズル45は、濃縮ドープ56内に位置するように容器50に水平に取り付けられる。そして、図1に示すように、圧力計41によりバルブ43の開閉を制御して、一定圧力でフラッシュノズル45から低濃度ドープ30をフラッシュ蒸発させる。低濃度ドープ30のフラッシュにより濃縮ドープ56の溶媒の気化が激しく生じて、濃縮ドープ56は、高濃度ドープとなる。
図3はフラッシュノズル45の容器50内への配置例を示しており、フラッシュノズル45を下から見た平面図を示している。図4は、フラッシュノズル45の分岐部45aを示すもので、外管47の一部を切り欠いて示している。図5は、図4におけるV−V 線断面図である。図3〜図5に示すように、フラッシュノズル45は、内管46と外管47との二重構造になっている。内管46及び外管47は、本実施形態では、7個のT字型分岐配管部材(ティ)46a,47aや、L字型配管部材(エルボ)46b,47b、パイプ46c,47c、キャップ47d、レジューサなどを用いて溶接により一体化して構成されている。分岐部45aは8個のノズル本体(出口)45bを有する。各ノズル本体45bは、2×4に並べて配置されている。
フラッシュノズル45の基部にはフランジが固定されており、取付部45cとされている。この取付部45cは容器50側の取付部50aに取り付けられる。
ノズル本体45bの本数や配置例は、容器50の容量や低濃度ドープ30の送液量に応じて決定される。ノズル本体45bの個数や配置例は図示例のものに限定されず、適宜変更してよい。例えば、2×4の配置例に変えて、3×4や4×4の配置例としてもよい。また、マトリックス配置に代えて、環状に配置してもよい。環状配置の場合には、一重に限られず、二重または多重に配置してよい。また、内管46及び外管47の材質は、SUS304,SUS316,SUS316L,ハステロイC(登録商標),チタンなどが用いられる。
本実施形態では、8本のノズル本体45bを設けることにより、各ノズル本体45bからの低濃度ドープ30の流量を2000mol/(m2 ・s)以下に抑えることができる。これによって、フラッシュ蒸発を効率よく行いつつ、濃縮ドープ56の液面(気液界面)56aから飛沫が凝縮部55に飛ぶことがなくなり、凝縮部55への濃縮ドープ56の混入が抑えられる。また、各ノズル本体45bからの低濃度ドープ30の流量が2000mol/(m2 ・s)を超えると、液面56aから濃縮ドープ56が飛沫となって飛び易く、この飛沫によって凝縮部55に濃縮ドープが混入してしまう。また、容液の流量が10mol/(m2 ・s)未満であると、ノズル先端部に泡が成長しやすくなり、泡と溶液との接触時間が長くなるため、濃縮効率が低下し、効率のよいフラッシュ蒸発を行うことができない。
複数のノズル本体45bの中心間ピッチP1,P2は特に限定されないが、100mm以上500mm以下にすることが好ましい。特に好ましくは、150以上400mm以下の範囲内である。100mm未満では、ノズル本体45bからの泡同士がつながって増大し飛沫が発生し易くなり、各飛沫が凝縮面55aまで飛び易くなる。したがって、凝縮した溶媒中への濃縮ドープ56の混入が発生する。また、ピッチPが500mmを超えると、飛沫の発生及び飛散防止効果は上がるものの、容器容量の増大を招くため好ましくない。
図4及び図5に示すように、フラッシュノズル45の内管46及び外管47は、ティ46a,47aやエルボ46b,47b、パイプ46c,47c等の配管部材を溶接することによって構成されており、内管46及び外管47の間にはスペーサを配置することのない構成になっている。すなわち、各ノズル本体45bの先端と、フラッシュノズル45が容器50を貫通する取付部45cのみで、内管46と外管47とは溶接されており、スペーサなどの隙間保持部材を持たないので、この部分から熱が伝わることがなくなる。内管46及び外管47との隙間内には、空気、アルゴンガスなどが封入あるいは通気される。また、必要に応じて真空にしてもよい。更には、隙間保持部材を入れてもよく、この場合には、その熱伝導率を0.01W/mKとすることが好ましい。
このように、内管46及び外管47からなる二重管構造によって断熱層が構成される。内管46及び外管47の隙間は特に限定されないが、好ましくは5mm以上30mm以内である。隙間が5mm未満では断熱性を確保することが困難となり、30mmを超えると、フラッシュノズル45の全体容積が増えるのみで断熱効果はそれほど上がることがなく、無駄となるからである。このように、内管46と外管47とからなる二重管構造による断熱層とすることにより、ノズル45と容器50内の溶液との接触面温度を溶液の沸点+2℃未満とすることができる。特に、断熱部材によって、ノズル45の管壁の内側基準総括伝熱係数を1.0W/m2 K以下とすることにより、沸点を超えたノズル内部溶液からの伝熱によるノズル外表面の加熱を抑制することができ、溶液の沸騰による溶液中の固形分の固着を防止することができる。また、外管の外表面と濃縮ドープとの接触面は、バフ研磨200番以上とすることが好ましい。これにより、ノズル表面の溶液流動を阻害することなく、ノズル表面からの伝熱による溶液の加熱を抑制することができる。
なお、断熱効果を持たせる代わりに、内管46と外管47との間に媒体を循環させてもよい。また、隙間を三重構造にして、内側隙間と外側隙間にそれぞれ温度を変えた媒体を循環させ、中間隙間は断熱層としてもよい。また、二重管構造や多重管構造にする代わりに、または加えて、ドープの溶剤に侵されない材質によりノズル外表面をライニング加工してもよい。
図2に示すように、液面56aから前記受け器58の側板58aの上端縁までの高さHは、前記数式(1)による溶媒量Xに基づき、以下のように規定することが好ましい。
X<0.3(mol/s)のとき、0.1m≦H≦2.0mとし、
0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.5m≦H≦2mとし、
0.6(mol/s)<Xのとき、1.0m≦H≦2.0mとする。
高さHが所定値よりも小さいと凝縮溶媒への溶液の混入が起こりやすく、また、高さHが所定値よりも大きいと、容器内部壁面への気化溶媒の凝縮量が増加し、濃縮溶液を希釈するため、濃縮効率が低下する。
また、図3にハッチングで示す液面の面積Sは、前記数式(1)による溶媒量Xに基づき、以下のように規定することが好ましい。
X<0.3(mol/s)のとき、0.008m2 ≦S≦7.0m2 とし、
0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.7m2 ≦S≦7.0m2 とし、
0.6(mol/s)<Xのとき、1.7m2 ≦S≦7.0m2 とする。
液面の面積が所定値よりも小さいと、容器内部壁面の影響を受けて、ノズルから発生した泡同士がつながりやすくなり、溶液が液面から跳ねやすくなる。また、面積Sが所定値よりも大きいと、容器内の溶液の流動混合が弱くなり、濃度分布が発生しやすくなる。
図1に示すように、調節バルブ43とフラッシュノズル45との間には圧力計72が取り付けられており、この圧力計72の信号に基づき詰まり判定部73により圧力を監視することにより、フラッシュノズル45の詰まりが検出される。すなわち、圧力計72による検出圧力が一定値よりも低下した場合には詰まり判定部73によって、フラッシュノズル45の詰まりと判定され、アラームが出される。
また、ポンプ66と流量計70との間には、冷却循環部74が設けられている。冷却循環部74は、冷却器75とこれの下流に配置されるスタティックミキサ76と切替バルブ77a,77b,77c,及び流量調節バルブ77dとから構成される。この冷却循環部74は、フラッシュ蒸発が中断される場合に、容器50からの高濃度ドープ67をフラッシュノズル45に送って循環させる。また、フラッシュノズル45を通過するドープが溶液の沸点+2℃を超えないように、冷却器75によってポンプ66からのドープを冷却する。切替バルブ77a,77b,77cは、フラッシュ蒸発が中断される場合に切替操作が行われ、フィルム製膜ライン80に向けて送られている高濃度ドープ67をフラッシュノズル45に戻し、フラッシュノズル45と容器50との間でこの冷却循環部74を介して、高濃度ドープ67を循環させる。このような冷却循環部74を有することにより、フラッシュ蒸発を一時中断する場合に、ノズル45内に溶媒ガスが滞留し、沸点以上となったノズル内表面にてノズル内部の溶液が乾燥することによるノズル45の閉塞の発生が抑えられる。
低濃度ドープ30を溶液濃縮装置44に送液(フラッシュ蒸発)する際の圧力は、低濃度ドープ30を構成している溶媒のその温度における飽和蒸気圧(MPa)〜その飽和蒸気圧(MPa)+5(MPa)の範囲であることが、濃縮ドープを効率良く濃縮することができ、好ましい。飽和蒸気圧以下では、溶媒の沸騰が起こり、皮張りなどが発生する場合がある。また、溶液の温度が沸点まで下がり、フラッシュ蒸発のための熱量が不十分となり、凝縮効率が下がる。さらに、飽和蒸気圧(MPa)+5(MPa)以上では、必要以上に設備の耐圧構造を要することになり、コストなどの点で不利になる。しかしながら、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
気化した溶媒(以下、気化溶媒と称する)57aが凝縮部55の凝縮面55aに達すると、凝縮して液体(以下、凝縮溶媒と称する)57bとなる。凝縮溶媒57bは、凝縮面55aの表面張力により玉状あるいは濡れ広がり、重力により凝縮面55aに沿って下方に落ちてきて、受け器58に溜まる。受け器58に溜まった溶媒57は、配管60、調節バルブ61、流量計62を通り、回収タンク63で回収する。その後に、溶媒57は、蒸発精製設備64に送られて精製された後に、溶媒として再利用される。また、容器50には、その内の圧力を測定する圧力計59が取り付けられて、その値に基づいて、容器50内の圧力を一定の圧力に保つように低濃度ドープのフラッシュ蒸発量の制御や、フラッシュ部54,凝縮部55の温度制御などが行われる。なお、凝縮面55aの表面張力が好ましい値となるように、容器50の内壁の材質はSUS304,SUS316,SUS316L,ハステロイC(登録商標),チタン(登録商標)などから形成されていることが好ましい。また、凝縮面55aには、液を回収する方向に向けた突条や溝を設けると、凝縮面の表面張力によりフラッシュ部に凝縮液を落下させることなく、回収することができるようになり、より好ましい。
濃縮ドープ56の液面56aは、液面検出センサ65により測定され、その値がポンプ66に取り付けられているコントローラ66aに送られる。コントローラ66aによりポンプ66の送液量を調整しつつ、溶液濃縮装置44から高濃度ドープ67を抜き出す。容器50の容量は、濃縮ドープ56の流量に応じて平均滞留時間が0.5分〜40分の範囲になるように決めることが好ましい。この場合に、容器50内で、気体の容積(ガスホールドアップ)が3%〜60%であることが好ましい。なお、ガスホールドアップは、ガスと溶液との体積の和(Vg)と溶液の体積(VL)とから、{(Vg−VL)/Vg}×100(%)で定義される。これらの範囲内であると、低濃度ドープ30を濃縮ドープ56として容器50内に溜め、濃縮ドープ56から発生した気化溶媒57aを溶媒57として効率良く取り出すことが可能となり、また、溶液濃縮装置44の設置場所の確保も容易である。さらに、本発明によれば、濃縮ドープ56が溶液濃縮装置44内に滞留している平均時間が、0.5分〜20分の範囲と極めて短くなるためにドープの変性を招くおそれもほとんど無くなる。なお、本発明において、用いられる溶液濃縮装置44は、前述した各数値範囲に限定されるものではない。
図2に示すように液面56aが容器50と接している部分56bが、液面56aの変動により最も皮張りが発生し易い箇所である。そこで、フラッシュ部54に取り付けられている2つのジャケット51,52を用いて温度制御をより厳密に行うことが好ましい。すなわち、第1ジャケット51の媒体は、濃縮ドープ56が気化し易いように加熱媒体を流す。第2ジャケット52の媒体は、濃縮ドープ56中の溶媒が容器50内で気液平衡に達しない温度となる加熱媒体を用いると、気化溶媒57aが付着しても気化することが抑制されるために、皮張りの発生が生じるおそれがなくなる。なお、本発明においては、ドープが混合溶媒から調製されているときには、最も気液平衡温度が低い溶媒を基準とする。第3ジャケット53には、凝縮面55aで、気化溶媒57aが凝縮して液化し易い温度になるように冷却媒体を流す。
このようにジャケット毎に媒体を変えることにより、容器50の内壁面を複数の温度条件で保持することができ、効率良くドープの濃縮を行うことが可能になる。具体的には、第1ジャケット51の媒体を20℃〜70℃、第2ジャケット52の媒体を10℃〜60℃、第3の媒体を−10℃〜20℃の範囲内からそれぞれ基準温度となるものを用いて、それら各媒体の温度の変動幅は、±1℃とすることにより、ドープの濃縮条件の変化が抑制される。なお、図2では、3区分に温度条件を変更したものを示したが、本発明は3区分に限定されず、2区分や4区分以上に温度条件を変えてもよい。
容器50の気相部分の絶対圧力が、500hPa〜1100hPaの範囲で行うと、濃縮ドープ56中からのガス(気泡)の浮上及び分離が効率良く行われ好ましいが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。また、近赤外プロセス分析計69を用いて高濃度ドープ67の組成比を分析して、目的とする組成比になっていることを確認する。さらに、高濃度ドープ67は、流量計70,2次ろ過装置71を通した後にフィルム製膜ライン80で用いられる。なお、2次ろ過装置71には図示しない圧力計が設けられている。また、本発明に用いられる分析計28,69は、近赤外線プロセス分析計に限定されるものではない。例えば、超音波伝播速度測定計など公知の分析計を用いることも可能である。
濃縮した後の高濃度ドープ67は、ポリマー濃度が12重量%〜40重量%、温度30℃における粘度が1Pa・s〜200Pa・s、温度30℃における残存気体量が1mg/L〜200mg/L、温度が20℃〜60℃、の各数値範囲内であることが好ましいが、それらの数値範囲に限定されるものではない。また、本発明の溶液濃縮方法を一度行った際に、高濃度ドープ67のポリマー濃度と低濃度ドープ30のポリマー濃度との差が、1重量%〜15重量%であることが、効率良く濃縮が行えると共に、ドープの品質が劣化することが抑制されるために好ましいが、これらの数値範囲に限定されるものではない。
前述したように、濃縮前の低濃度ドープ30の粘性は、30℃で、0.1Pa・s〜100Pa・sと低粘性であることが好ましく、ドープ製造ライン10中での送液を容易に行うことが可能である。しかし、この低濃度ドープ30のままで、図7に示すフィルム製膜ライン80を用いて製膜を行うと、ゲル膜89中の溶媒量が多いために、自己支持性を有するフィルムを得るためには、流延バンドを長くして、乾燥時間を延ばす必要が生じる。そこで、本発明の溶液濃縮方法を用いて濃縮を行い、粘性を高くする(1Pa・s〜200Pa・sが好ましい)ことにより、ゲル膜の粘性を高めることが可能となる。したがって、ゲル膜が、自己支持性を有するフィルムになる時間を短縮することが可能となり、コストダウンと共に、装置の小型化を図ることができる。
低濃度ドープ30の流量は、ポンプ26の下流側に取り付けられた流量計27(図1参照)で測定され、その測定値に従い送液量が調整されている。また、濃縮後の高濃度ドープ67は、液面(図2参照)56aが一定になるように液面検出センサ65で検知し、その値に基づいてコントローラ66aがポンプ66を制御する。
低濃度ドープ30がろ過装置40に送液される際に、所定ろ過圧力に到達するまでのろ過量(濃縮前定速ろ過固形分量)V0と、高濃度ドープ67が2次ろ過装置71に送液される際に、所定ろ過圧力に到達するまでの固形分のろ過量(濃縮後定速ろ過固形分量)V1とする。このときに、
ろ過量変化率(%)={(V0−V1)/V0}×100・・・(1)
で算出されるろ過寿命変化率が50%以下であることが好ましい。具体的には、低濃度ドープ30の流量は、60kg/hr〜1200kg/hr、高濃度ドープ67の流量は、59kg/hr〜1190kg/hrの範囲でそれぞれ定速にする。そして、ろ過装置40が、所定ろ過圧力(PL )に達するまでのろ過量V0と、2次ろ過装置71が所定ろ過圧力(PH )に達するまでのろ過量V1とを測定する。なお、本発明においてろ過装置40の濃縮前定速ろ過固形分量V0は、100kg/m2 〜20000kg/m2 の範囲であることが好ましい。また、2次ろ過装置71の濃縮後定速ろ過固形分量V1は、60kg/m2 〜20000kg/m2 の範囲であることが好ましい。また、ろ過装置40の所定ろ過圧力(PL )は、0.5MPa〜2.0MPa、2次ろ過装置71の所定ろ過圧力(PH )は、0.5MPa〜3.0MPaの範囲であることが好ましい。なお、本発明に用いられるろ過装置40,71の性能は、前述した各数値範囲に限定されるものではない。
これらの各条件を制御することにより容器50内での皮張りの発生が抑制されて、皮張りの混入による2次ろ過装置71のろ過負荷の変化を確認することができる。ろ過負荷について図6を用いて説明する。図6の横軸には2次ろ過装置の濃縮後ろ過量V1(g/cm2 )を示している。また、縦軸には、2次ろ過装置の初期圧力(P0 )に対する運転時の圧力(PH )の圧力比(PH /Po )を示している。本発明の溶液濃縮方法を行って得られたデータを〇でプロットし、実線で結んだ。また、先に説明した従来の溶液濃縮方法に用いられる装置140の下流側に設けられた2次ろ過装置153を用いて行った実験データは、△でプロットし破線で結んだ。図6から明らかなように本発明では装置140内での皮張りの発生が抑制されているため、急激な圧力変動が生じていない。しかしながら、従来の方法では、多量の皮張りが装置140内に発生し、その皮張りが高濃度ドープ中に混入して、2次ろ過装置153のフィルタ(図示しない)の目詰まりが起こり、急激に圧力比の上昇が生じる。従来は、このようなフィルタの目詰まりが生じると、図示しない他の2次ろ過装置に切り替えることで対応していた。しかしながら、2次ろ過装置を切り替えるため、切り替えにともなう流量変動によって、組成比などを均一に保った状態での高濃度ドープの連続的な製造が困難であった。また、ろ過装置内の残ドープのロスも増加する。さらに、洗浄のための溶剤,時間が余計に必要となる。しかしながら、本発明によれば、ろ過量V1を増大することが可能であるため、2次ろ過装置を切り替える時間を大幅に延長することが可能となる。
[溶液製膜方法]
図7にフィルム製膜ライン80を示す。前述した高濃度ドープ67が仕込まれているドープ用タンク81は、ポンプ82とろ過装置83とを介して流延ダイ84に接続している。また、ドープ用タンク81には、モータ(図示しない)により回転する攪拌翼85が取り付けられ、高濃度ドープ67を常に均一にしている。この段階の高濃度ドープ67に対し、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を混合してもよい。
流延ダイ84の下方には、回転ローラ86,87に掛け渡された流延バンド88が設けられており、この流延バンド88は、図示しない駆動装置により回転ローラ86,87が回転するに伴い回転する。高濃度ドープ67は、ドープ用タンク81からポンプ82により送液され、ろ過装置83で不純物が除去された後に流延ダイ84に送られる。流延ダイ84により高濃度ドープ67を流延バンド88上に流延し、ゲル膜89を形成する。ゲル膜89は流延バンド88で搬送されながら自己支持性を有するまでゲル化され、剥取ローラ90によって流延バンド88から剥ぎ取られフィルム91を形成する。
フィルム91は、テンタ92により搬送されながら乾燥される。なお、テンタでは、少なくともフィルム幅方向での延伸が行われる。図7では、無端支持体である流延バンド88上に高濃度ドープ67を流延したが、本発明は図示した形態に限定されずに、例えば、回転ドラムに流延する溶液製膜方法にも適用することができる。
テンタ92から乾燥ゾーン93に送られたフィルム91は、複数のローラ94に巻き掛けられて搬送されながら乾燥する。乾燥後のフィルム91は、冷却ゾーン95で冷却された後に、巻取機96に巻き取られる。なお、冷却ゾーン95から送り出されたフィルム91は、巻き取られる前に耳切処理やナーリング付与が行われる。
上記実施形態では、流延ダイを1基用いた単層流延法について説明したが、本発明の溶液製膜方法は、単層流延法に限定されるものではない。例えば、マルチマニホールド流延ダイや、フィードブロックを有する流延ダイを用いて複数の層を共流延して製膜してもよい。また、複数の流延ダイを用いて逐次流延法により製膜してもよい。
本発明に用いられる溶媒は、溶液濃縮の前後で、組成を変化させてもよく、あるいは組成を変化させなくともよい。組成を変化させる場合には、高沸点溶媒(例えば、n−ブタノール,メタノールなど)を含む混合溶媒に溶質を溶解させ、低濃度ドープを得る。流延剥取時には、メタノールやn−ブタノールなどの貧溶媒が必要であるが、これらはドープの溶解性を悪化させるものである。したがって、低濃度ドープではできるだけ少なくし、濃縮後には比率を上げることが好ましい。本発明に係る濃縮法の低沸点溶媒が気化し易く、高沸点溶媒が残り易いことを利用する。
また、本発明に用いられる溶媒に混合溶媒を用いた場合には、溶質を溶解しやすい良溶媒と、溶解し難い貧溶媒とを組み合わせることが好ましい。低濃度ドープを作製する際には、溶解時間の短縮化を図るために、良溶媒の組成比が高いものを用いる。また、溶質にポリマーを用いた場合には、貧溶媒はポリマーを溶解できず、膨潤させることが多い。本発明の溶液濃縮方法を用いて良溶媒を選択的に除去することにより、相対的に貧溶媒の組成比が高い高濃度ドープを得ることが可能となる。この高濃度ドープを図7に示したフィルム製膜ライン80を用いて流延すると、流延バンド88上でポリマーが膨潤したゲル膜89が得られやすくなり、自己支持性を有するフィルム91になる時間を短縮することが可能となる。
[フィルム及び製品]
得られたフィルム91からその幅方向に5cm2 のサンプルを5点採取する。それらサンプルをクロスニコル下で観察し、輝点欠陥の数の平均値を基準値以下とする。また、低濃度ドープ30から製膜されるフィルムも基準値以下となるようにドープ製造方法、溶液濃縮方法、溶液製膜方法の各条件を規定する。これにより、容器50内における皮張りの発生が抑制されたことを確認することができる。例えば、本発明において、基準値を異物のサイズが20μm以上のものは0個/5cm2 とし、10μm以上20μm未満のものは10個/5cm2 とし、5μm以上10μm未満のものは10個/5cm2 とする。低濃度ドープ、高濃度ドープそれぞれから製膜されたフィルムがこの基準値以下となっていれば、実用上ドープ製造時に特性が変化しないドープを製造することが可能であることが分かる。そして、その高濃度ドープからは問題が生じないフィルムを効率良く得ることが可能になる。なお、本発明において前記基準値は、前述したものに限定されず、目的とするフィルムが必要とする性能を有するように、変更することも可能である。
前述した溶液製膜方法で製膜されたフィルムは、偏光板保護膜として用いることができる。この偏光板保護膜をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、フィルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に積層させた反射防止膜などの光機能製膜として用いることもできる。これら製品から、液晶表示装置の一部を構成することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。また、説明において、実施例1で詳細に説明し、比較例1,2については、実施例1と同じ点については説明を省略している。
[実施例1]
図1に示したように内容積が10000Lのステンレス製溶解タンク13に、下記に示すドープの原料をよく攪拌・分散しつつTAC粉体(フレーク)を徐々に計量器14を用いて添加し、全体が7000kgになるように仕込んだ。なお、溶媒であるジクロロメタン、メタノール、エタノール及び1−ブタノールは、すべてその含水率が0.2重量%以下のものを利用した。
実施例1では、ドープの原料として、下記に示すものを用いた。
TAC粒子(置換度2.83、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、ジクロロメタン溶液中の6質量%の粘度 305mPa・s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体) 17重量部
ジクロロメタン 63重量部
メタノール 5重量部
エタノール 5重量部
1−ブタノール 5重量部
可塑剤(ジペンタエリスリトールヘキサアセテート) 1.2重量部
可塑剤(TPP) 1.2重量部
UV剤a:(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン
0.2重量部
UV剤b:2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−tert- ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.2重量部
UV剤c:2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール 0.2重量部
1225OCH2 CH2 OP(=O)(OK)2 0.4重量部
微粒子(シリカ(粒径20nm)、モース硬度 約7) 0.05重量部
分散の開始温度は20℃であり、最終到達温度は35℃となるようにジャケット17内の媒体を調整して、TACが膨潤した粗溶解溶液20を得た。粗溶解溶液20を調製タンク21に送液して、ポンプ26により加熱装置29に移液するときに、近赤外線プロセス分析計(横河電機社製 HR−800型)28を用いて低濃度ドープ30の組成を計測したところ、TAC濃度は17重量%であった。そして、低濃度ドープ30を加熱装置29により80℃まで昇温した。
温度計31の指示により熱交換器29の出口の温度が80℃に達した後に切替バルブ32を切り替え、低濃度ドープ30をろ過装置40、圧力計41、温度計42を経てフラッシュノズル45から溶液濃縮装置44にフラッシュ蒸発した。フラッシュノズルは図3〜図5に示すような分岐部45aにより8本のノズル本体45bを有するフラッシュノズル45を用いた。そして、低濃度ドープ30を、温度80℃(温度計42による測定)、圧力1.1MPa(圧力計41による測定)になるように熱交換器29および調節バルブ43によりそれぞれ調節した。また、低濃度ドープ30の流量は、100L/minとし、その粘度は20Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、低濃度ドープ30中に含まれる溶存気体量(30℃,101.3kPaでの測定値)は、150mg/Lであった。
容器50の材質にはSUS316Lを用いた。容器50内の容量は、5000L、濃縮ドープ56の最大容量は3000L(通常は2000L)、凝縮面55aの表面積は9m2 のものを用いた。液面検出センサ65により液面56aを検出しながら、コントローラ66aによりポンプ66を制御することにより液面56aを一定の高さに保持した。このときの濃縮ドープ56の容量は、2000Lであった。また、第3ジャケット53には、7℃の冷却水を通液した。このとき、冷媒入口温度は7℃、冷媒出口温度10℃、冷媒流量1m3 /minであった。容器50内で蒸発した気化溶媒57aを凝縮面55aで凝縮し凝縮溶媒57bとした。凝縮溶媒57bは、凝縮面55aを流下して受け器58から配管60を使って重力送液し、調節バルブ61により流量を一定に保ちながら回収タンク63に捕集した。
圧力計59で計測した容器50内の気相の圧力は、大気圧よりも約1kPa低く(装置本体内気相絶対圧;1010hPa)し、液面56aの振れは±20mm以下となるようにフラッシュ蒸発を制御した。フラッシュ部54に取り付けられている第2ジャケット52内に送液する媒体には、温度が35℃の水を用いて、装置本体接液部の内壁温度を35℃とした。フラッシュ蒸発している際の吐出圧力の振れは±0.1MPa以内となるように調節バルブ43を用いて調節した。ドープ製造ライン10中の流量変動を流量計27,70で計測し、±1%以下となるように送液を調整した。
図3〜図5に示すように、フラッシュノズル45は、50Aのパイプを内管46とし80Aのパイプを外管47としてジャケットを構成し、8本のノズル本体45bに分岐させた。内管46と外管47との隙間には空気を入れて、空気による断熱層とした。気化溶媒に相当する流量は、0.65mol/sであった。また、ノズル表面の内側基準総括伝熱係数は0.5W/m2 Kであった。
得られた高濃度ドープ67のTAC濃度を近赤外プロセス分析計69により測定したところ、21重量%であった。また、高濃度ドープの温度は38℃、粘度は60Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であった。溶液濃縮装置44からの抜き出し流量は84L/minとした。さらに、この高濃度ドープの沸点は40℃であり、溶存気体量(30℃,101.3kPaで測定)は20mg/Lであった。装置本体内でのドープの平均滞留時間は25minであった。ろ過装置40が所定圧力(PL )1.0MPaに達したときに、ろ過固形分量V0が1500kg/m2 であった。また、2次ろ過装置71が所定圧力(PH )2.0MPaに達したときに、ろ過固形分量V1が1400kg/m2 であった。ろ過量変化率は7%であった。凝縮溶媒中の固形物コンタミ量を測定したところ、20ppmであった。測定は、120℃で100mLの凝縮溶媒を8時間加熱し、残滓の重量を測定した。凝縮溶媒の蒸留精製にあたっては問題はなかった。また、図1に示す冷却循環部74によって、高濃度ドープを冷却したものをフラッシュノズル45に戻して冷却循環部74により循環させる循環冷却を行った。この循環冷却によって濃縮停止中にノズルが閉塞することはなかった。
(フィルムの製造)
図7に示すフィルム製膜ライン80を用いて高濃度ドープ67を流延ダイ84から20℃の回転ローラ86,87により移動している流延バンド88上に流延速度を100m/minとし、乾燥後のフィルム91の膜厚が80μmとなるように流延した。ゲル膜89として流延バンド88上で3分間移動させ、剥取ローラ90によりフィルム91として剥ぎ取った。フィルム91をテンタ92により延伸させながら乾燥した。さらに、フィルム91を100℃〜150℃の温度範囲に温調されている乾燥ゾーン93に送った。フィルム91をローラ94に巻き掛けられながら10分間搬送した。続いて、冷却ゾーン95に送り込み、フィルム91の温度を室温まで下げた後に、巻取機96に巻き取った。
得られたフィルム91の厚さ方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ15nmであった。本発明の溶液製膜方法により得られたフィルムは、光学特性に優れたものであることが分かった。なお、厚さ方向のレターデーション値Rthとは、下記式(2)で表される。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・(2)
前記式中のnx,ny,nzは、それぞれ横方向(フィルムの幅方向),縦方向(フィルムの流延方向)、フィルムの厚さ方向の屈折率を表しており、エリプソメータ(偏光解析計)を用い、波長は632.nmで測定された値である。また、dは、フィルムの平均厚さ(nm)を示している。
[比較例1]
実施例1におけるフラッシュノズル45に代えて、分岐部45aを持たないノズル本体が1個のフラッシュノズルを用い、且つ断熱構造を持たないものとした。また、冷却循環部74を持たない構造とした。それ以外は実施例1と同じ条件でフラッシュ蒸発を行った。フラッシュノズルへの低濃度ドープの流量は11000mol/(m2 ・s)であった。その結果、凝縮溶媒に2000ppmの固形物成分が混入し、蒸留精製工程にて固形物の析出トラブルが発生した。さらに、500時間の連続運転を行ったところ、ノズル外表面に固形物が固着し、剥がれた固形物が濃縮ドープ56中に混入した。その結果、500時間までは二次ろ過装置71が所定圧力(2.0MPa)に達したときのろ過固形分量V0が1400kg/m2 で、ろ過量変化率が7%であったが、500時間以降は、ろ過固形分量V0が720kg/m2 に低下し、ろ過量変化率が52%となった。また、濃縮装置の運転停止を繰り返したところ、10回に1回の割合でノズルの閉塞が発生した。
[比較例2]
比較例2では、図8に示した従来の溶液濃縮装置140を用いて、低濃度ドープ147をフラッシュ蒸発させて高濃度ドープ144を作製した。容器141内のドープ144の容量は7000L、凝縮面141aの面積は12m2 ,材質はSUS316Lである。実施例1と同じ条件で、溶解タンクに原料を仕込み、低濃度ドープ147を得た。低濃度ドープ147は、温度80℃、圧力1.1MPa、流量は2.5L/minであり、粘度は20Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)であり、溶存気体量は、150mg/Lであった。低濃度ドープ147のTAC濃度は17重量%であった。ジャケット142の媒体143には、温度が35℃の水を用い、接液部の温度を35℃とした。そして、低濃度ドープ147をろ過装置152によりろ過した後に液面144aに向けてフラッシュ蒸発させた。このときの容器141内の気相の絶対圧力は1200hPaであった。
得られた高濃度ドープ151のTAC濃度は、21重量%であった。また、高濃度ドープ151の温度は38℃、粘度は60Pa・s(ドープの温度を30℃として回転式粘度計により測定)、沸点は40℃、溶存気体量10mg/L、ドープの装置本体内平均滞留時間は83minであった。溶液濃縮装置140からの抜き出し流量は84L/minであった。そして、2次ろ過装置153によりろ過した後に、フィルムを製膜した。得られたフィルムの厚さ方向のレターデーション値(Rth)を測定したところ16nmであった。また、ドープ製造ラインを運転中にろ過装置152が所定圧力(PL )1.0MPaに達したときに、ろ過固形分量V0が1500kg/m2 であった。また、2次ろ過装置153が所定圧力(PH )2.0MPaに達したときに、ろ過固形分量V1が700kg/m2 であった。ろ過量変化率は、53%であり、容器141内には多量の皮張りが発生した。
[反射防止膜の作製及び評価]
実施例1で製膜されたフィルムを用いて、反射防止膜を作製し、それらの評価を行った。
(防眩層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125g、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(MPSMA、住友精化(株)製)125gを、439gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50重量%/50重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)5.0gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)3.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.60であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)10gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Aを調製した。
(防眩層用塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン104.1g、メチルエチルケトン61.3gの混合溶媒に、エアディスパで攪拌しながら酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7886A、JSR(株)製)217.0gを添加した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)5gを添加して、高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌、分散した後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Bを調製した。
(防眩層用塗布液Cの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7115、JSR(株)製)199g、および酸化ジルコニウム分散物含有ハードコート塗布液(デソライトKZ−7161、JSR(株)製)19gを、52gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)10gを加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.61であった。さらに、この溶液に平均粒径2μmの架橋ポリスチレン粒子(商品名:SX−200H、綜研化学(株)製)20gを80gのメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54重量%/46重量%の混合溶媒に高速ディスパにて5000rpmで1時間攪拌分散した分散液29gを添加、攪拌した後に、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して防眩層の塗布液Cを調製した。
(ハードコート層用塗布液Dの調製)
紫外線硬化性ハードコート組成物(デソライトKZ−7689、72重量%、JSR(株)製)250gを62gのメチルエチルケトンおよび88gのシクロヘキサノンに溶解した溶液を加えた。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗布層の屈折率は1.53であった。さらに、この溶液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過してハードコート層の塗布液Dを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(TN−049、JSR(株)製)20093gにMEK−ST(平均粒径10nm〜20nm、固形分濃度30重量%のSiO2 ゾルのMEK(メチルエチルケトン)分散物、日産化学(株)製)8g、およびメチルエチルケトン100gを添加、攪拌の後に径径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
実施例1で作製した80μmの厚さのTACフィルム上にバーコータを用いて前記ハードコート層用塗布液Dを塗布し、120℃で乾燥の後、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2 、照射量300mJ/cm2 の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmのハードコート層を形成した。その上に、バーコータを用いて上記防眩層用塗布液Aを塗布し、上記ハードコート層と同条件にて乾燥、紫外線硬化して、厚さ約1.5μmの防眩層を形成した。さらに、その上に上記低屈折率層用塗布液をバーコータにて塗布し、80℃で乾燥の後に、さらに120℃で10分間熱架橋し、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成した。得られた反射防止膜について、下記に記した評価を行った。
(1)鏡面反射率及び積分反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5°の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。鏡面反射率は、5%以下であれば、実用上問題がない。また、積分反射率は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターILV−471を装着して、380nm〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出した。積分反射率は10%以下であれば実用上問題がない。
(2)ヘイズ
得られた反射防止膜のヘイズをヘイズメータ MODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。ヘイズは、15%以下であれば実用上問題はない。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重で、n=5の評価において傷が全く認められない(〇)、n=5の評価において傷が1または2つ(△)、n=5の評価において傷が3つ以上(×)の3段階評価を行った。
(4)接触角測定
表面の耐汚染性の指標として、反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。接触角は、90°〜180°の範囲であれば実用上問題がない。
(5)色味
前述して測定された鏡面反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5°入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。色味は、それぞれの空間においてL*が0〜+15、a*が0〜+20、b*が−30〜0の範囲であれば、実用上問題がない。
(6)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は反射防止膜を25℃、相対湿度60%RHで2時間調湿した後に、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minで測定した値を用いた。動摩擦係数は、0.15以下であれば実用上問題が生じない。
(7)防眩性評価
作成した反射防止膜にルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2 )を映し、その反射像のボケの程度を蛍光灯の輪郭が全くわからない(◎)、蛍光灯の輪郭がわずかにわかる(〇)、蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別可能である(△)、蛍光灯がほとんどぼけない(×)の基準で評価した。
(8)塗布層の面状評価
反射防止膜の塗布層の表面を目視で観察し、その面状を塗布層表面は平滑である(◎)、塗布層表面は平滑であるが、少し異物が見られる(〇)、塗布層表面に弱い凹凸が見られ、異物の存在がはっきり観察される(△)、塗布層表面に凹凸が見られ異物が多数見られる(×)の4段階で評価した。
次に実施例1のフィルムを用いて、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Bに代え、その他の条件は同じにした反射防止膜を作製した。また、防眩層用塗布液Aを防眩層用塗布液Cに代え、その他の条件は同じにした反射防止膜も作製した。作製した全ての反射防止膜についても、前述した評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
Figure 2007268452
表1から本発明の溶液濃縮方法を用いて得られたドープから溶液製膜されたフィルムによる反射防止膜は、防眩性、反射防止性に優れ、且つ色味が弱く、また、鉛筆硬度、指紋付着性、動摩擦係数のような膜物性を反映する評価の結果も良好であった。
[偏光板の作製及び評価]
偏光板はポリビニルアルコールを延伸してヨウ素を吸着させた偏光素子の両面に、実施例1で得られたフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼合し作成した。この偏光板を60℃、90%RHの雰囲気下で500時間暴露した。
分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め次式に基づき偏光度Pを決定した。
P=((Yp−Yc)/(Yp+Yc)1/2)×100 (%)
実施例1から製造されたフィルムを用いて構成された偏光板のいずれにおいても偏光度は99.6%以上であり、十分な耐久性が認められた。そこで、本発明の溶液濃縮方法を用いて得られたドープから溶液製膜されたフィルムは、偏光板保護膜(偏光板保護フィルム)に用いることが好ましく、製作された偏光板は光学特性に優れていることが分かった。
次に、実施例1で製膜されたフィルムを用いて防眩性反射防止偏光板を作成した。この偏光板を用いて反射防止層を最表層に配置した液晶表示装置を作成したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有し、指紋付も良好であった。そこで、本発明の溶液濃縮方法により製膜されたフィルムは、光学機能性膜として優れた性質を有し、その膜を液晶表示装置の一部として用いることが好ましいことが分かった。
本発明の溶液濃縮方法を用いるドープ製造ラインの概略図である。 本発明の溶液濃縮装置の概略を示す断面図である。 溶液濃縮装置内へのフラッシュノズルを下から見た状態の平面図である。 外管の一部を切り欠いて示すフラッシュノズルの平面図である。 図4におけるV−V 線断面図である。 ろ過装置のろ過量と圧力比との関係を示すグラフである。 フィルム製膜ラインを示す概略図である。 従来のフラッシュ蒸発法による溶液濃縮装置の概略を示す断面図である。
符号の説明
10 ドープ製造ライン
40 ろ過装置
43 調節バルブ
44 溶液濃縮装置
45 フラッシュノズル
45a 分岐部
45b ノズル本体
45c 取付部
46 内管
47 外管
50 溶液濃縮装置本体
51,52,53 ジャケット
55a 凝縮面
56 濃縮ドープ
56a 液面
57 溶媒
57a 気化溶媒
57b 凝縮溶媒
65 液面検出センサ
66 ポンプ
66a コントローラ
67 高濃度ドープ
71 2次ろ過装置
72 圧力計
73 詰まり判定部
74 冷却循環部
80 フィルム製膜ライン
91 フィルム

Claims (13)

  1. フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルの出口から前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮装置において、
    前記ノズルの出口1個当たり前記溶液から最終的に気化する溶媒量を、以下の数式(1)により規定される量X以下とすることを特徴とする溶液濃縮装置。
    X=1.5×(to/tb)×(Pb/Po) (mol/s)・・・(1)
    ただし、to:273(K)、tb:溶液の沸点(K)、Po:1.01×105 (Pa)、Pb:容器内圧(Pa)。
  2. 前記ノズル出口からの溶液の流速を10mol/(m2 ・s)以上2000mol/(m2 ・s)以下とすることを特徴とする請求項1記載の溶液濃縮装置。
  3. 前記凝縮部は受け器を備え、前記溶液の気液界面位置から前記受け器までの高さをHとしたときに、前記溶媒量Xと高さHとの関係を、
    X<0.3(mol/s)のとき、0.1m≦H≦2.0mとし、
    0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.5m≦H≦2mとし、
    0.6(mol/s)<Xのとき、1.0m≦H≦2.0mとすることを特徴とする請求項1または2記載の溶液濃縮装置。
  4. 前記溶液の気液界面の面積をSとしたときに、前記溶媒量Xと面積Sとの関係を、
    X<0.3(mol/s)のとき、0.008m2 ≦S≦7.0m2 とし、
    0.3(mol/s)≦X≦0.6(mol/s)のとき、0.7m2 ≦S≦7.0m2 とし、
    0.6(mol/s)<Xのとき、1.7m2 ≦S≦7.0m2 とすることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶液濃縮装置。
  5. 前記ノズル出口を複数備え、これら複数の出口の開口中心間ピッチを100mm以上にすることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の溶液濃縮装置。
  6. 前記ノズルは圧力調整バルブを前記容器外に備え、前記圧力調整バルブから前記出口までのノズル内圧を検出することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の溶液濃縮装置。
  7. 前記ノズルと容器内溶液との接触面温度を溶液の沸点+2℃未満とすることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の溶液濃縮装置。
  8. 前記ノズルは外表面に断熱部材を有することを特徴とする請求項7記載の溶液濃縮装置。
  9. 前記断熱部材によるノズル管壁の内側基準総括伝熱係数を1.0W/m2 K以下とすることを特徴とする請求項8記載の溶液濃縮装置。
  10. 前記断熱部材は、内管及び外管からなる二重管構造による断熱層から構成され、前記内管及び外管の隙間を5mm以上30mm以内とし、前記ノズルが容器を貫通する部分から前記出口までの間で内管及び外管の隙間内には空気またはアルゴンガスのみが封入されることを特徴とする請求項8または9記載の溶液濃縮装置。
  11. 前記容器で濃縮された溶液を前記ノズルに戻す循環路と、この循環路中の溶液を冷却する冷却部とからなる冷却循環部を備え、前記冷却循環部はノズルへの送液を停止しているときに作動して前記ノズルに滞留した溶媒ガス及び溶液を、冷却された溶液に置換することを特徴とする請求項1ないし10いずれか1項記載の溶液濃縮装置。
  12. フラッシュ部と凝縮部とからなる容器内に、ノズルの出口から前記フラッシュ部内の溶液中に溶液を送り、フラッシュ蒸発法により溶液から気化した溶媒を前記凝縮部で凝縮し、この凝縮した液と、前記フラッシュ蒸発法により濃縮された溶液とを前記容器から分離して取りだす溶液濃縮方法において、
    前記ノズルの出口1個当たり前記溶液から最終的に気化する溶媒量を、以下の数式(1)により規定される量X以下とすることを特徴とする溶液濃縮方法。
    X=1.5×(to/tb)×(Pb/Po) (mol/s)・・・(1)
    ただし、to:273(K)、tb:溶液の沸点(K)、Po:1.01×105(Pa)、Pb:容器内圧(Pa)。
  13. 前記ノズル出口からの溶液の流速を10mol/(m2 ・s)以上2000mol/(m2 ・s)以下とすることを特徴とする請求項12記載の溶液濃縮方法。
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