本発明の課題は、ブロックを連結プレートを用いて結合することで、過載荷重や地震および車輌の振動等によって生じる不等沈下を防ぎ、製品の機能をこれら過度的な荷重が作用するときにも発揮させる上で有効である。しかし、必要にして十分な精度を持つ接合部を現場の敷設作業で得ることはコンクリート製品と金属製品および工場製作と現場作業がそれぞれ持つ製作精度の基本的な相違により、非常に困難である。本発明は現場作業の精度の粗さを二重の連結プレートによって吸収し、工場製品の精度まで高め、信頼性の高い継手強度と敷設方法を得ようとするものである。
まず第1に、既設の水路構築用ブロック(以下「既設ブロック」とよぶ。)に接続する新設の水路構築用ブロック(以下「新設ブロック」とよぶ。)の双方の側壁端面には複数のナット型インサート(以下「インサート」とよぶ。)が埋設され、両ブロックの接合継目を跨いで取付けられる連結プレートは、両端にストッパーを持つ台座プレートと、ストッパー間に嵌合されるフラットプレートの2枚で構成される連結プレートからなり、それぞれのプレートには、円形の締着孔(以下「円形孔」とよぶ。)と各プレートの長手方向に横長の締着孔(以下「横長孔」とよぶ。)とが、各プレートの長辺と平行になる線上に一組穿設されており、台座プレートの円形孔にはフラットプレートの横長孔が組み合わされるように嵌合され、一の締着ボルトがフラットプレートの円形の締着孔から台座プレートの横長孔を挿通し、他の締着ボルトがフラットプレートの横長の締付孔から台座プレートの円形孔を挿通して、それぞれの締着ボルトがインサートに螺合されることを特徴とする水路の継手構造である。
第2に、既設ブロックと新設ブロックとが設置ライン上で接合する継目にあって、新設ブロックの外側の後方端面方向に向かって、既設ブロックの前方端面の外側底壁部から幅30mm〜100mm、長さ30mm〜100mmの2枚もしくは複数枚の帯状受台ベースプレートが突出されており、帯状受台ベースプレートは、あらかじめ成型時にブロック前方端面の外側底壁部に取付けられており、既設ブロック前方に突出した帯状受台ベースプレートの上に新設ブロック後方端面の底壁部が架設されることを特徴とする請求項1に記載の水路の継手構造である。
第1の課題解決手段による作用は次の通りである。双方の側壁端面に埋設固定された4〜16個の複数のインサートに両ブロックの接合継目を跨いで取付けられる連結プレートは、両端が略直角に起立したストッパーを持つ台座プレートと、該台座プレートのストッパー間の内法寸法より短く加工されたフラットプレートの2枚の組み合わせからなることを特徴とする連結プレートである。それぞれのプレートには円形と横長のボルト締着孔が穿設されている。台座プレートとフラットプレートに穿設されたインサートに取り付けるための締着ボルト締着孔は、円形孔と横長孔がそれぞれの締着孔に反対に重ね合うように組み合わされる。例えば、台座プレートの円形孔の上にはフラットプレートの横長孔が、台座プレートの横長孔の上にはフラットプレートの円形孔がそれぞれ重ね合わされる。該連結プレートの最小構成条件は、円形孔1個、横長孔1個が穿設された台座プレートに横長孔1個、円形孔1個が穿設されたフラットプレートを該台座プレートのストッパー間に嵌合し、2本の締着ボルトで2個のインサートに螺合された2ボルト2プレート継手構造(以下「2BP連結プレート」ととぶ。)である。さらに、強度・剛性と応力の伝達性能をより高めるために、台座プレートの一方のストッパーに近接した場所に上下2個の円形孔を穿設し、相対向するもう一方のストッパーに近接して上下2個の横長孔を穿設した合計4孔の上に、これまた左右一方には上下の横長孔が、相対する他方には上下の円形孔が穿設されたフラットプレートを、該台座プレートの2個の円形孔の上には該フラットプレートの2個の横長孔が、該台座プレート2個の横長孔には該フラットプレートの2個の円形孔が重なり合うように組み合わされ、4本の締着ボルトで4個のインサートに螺合された4ボルト2プレート継手構造(以下「4BP連結プレート」とよぶ。)等がある。これらを単独または複数、あるいは双方を組み合わせて用いることもできる。さらに締着孔を同様な方法で各プレートに6孔あるいは8孔以上に増設し、より強度・剛性を増した継手構造も可能である。なお、台座プレート、フラットプレートの組み合わせや構成は同じであるが締着孔の数が増えるに伴い双方のプレートの長さが長く幅広になり、材厚も大きくなる。
例えば、予期せぬ過大な荷重や地震等で、ブロックラインの或るスパンに不等沈下や曲げ沈下等が発生すると、ブロック上側の連結プレート継手部材は圧縮応力を、下側は引張応力で抵抗する。2BP連結プレートにおいて、ブロック下側に生じる引張力は、台座プレートと、台座プレートのストッパー間に嵌合されるフラットプレートの2つの円形孔とに台座プレートの外側(既設ブロック側)ストッパーにフラットプレートの端面がスライド、当接し、2本の締着ボルトに伝えアンカー筋がこれを支える。上側に作用する圧縮力は、前記下側の引張力の反対の作用となり、台座プレートに嵌合されるフラットプレート端面の当接する方向は反対となる。すなわち台座プレートの内側(継目方向側)ストッパーに、フラットプレートの端面がスライド、当接し、2本の締着ボルトに伝えアンカー筋がこれを支える。沈下および隆起に伴って生じる回転変位に対しては、上下に取付けられた連結プレートの台座プレートの両ストッパーの上下に、フラットプレートが回転角をもって当接し、締着ボルトとアンカー筋によって負担されるため、ブロック接合天端部の圧壊防止と沈下等の変位を最小限に抑制することができる。
2BP連結プレートによる継手構造において、各部材の適度な遊隙間隔が応力の集中を防ぎ、分散させる重要な要素となる。1枚目の台座プレートのストッパー間に嵌合される2枚目のフラットプレートの円形孔は、1枚目の台座プレートの横長孔を円形孔の機能に変換させる。1枚目の台座プレートの円形孔は2枚目のフラットプレートの横長孔による変位量を円形孔と、1枚目の台座プレートと2枚目のフラットプレートの間に設けられた遊隙間隔の範囲に抑止する。1枚目の台座プレートの左右両端に突設されたストッパーは、2枚目のフラットプレートとの遊隙間隔はブロック変位(スライドまたは回転)拘束あるいは各応力の分散および平均化、接合作業時の調整作用の役割を果たすことができる。
1枚目の台座プレートの左右のストッパーの内法寸法と、嵌合する2枚目のフラットプレートは長さ方向で2mm〜20mm前後の遊隙間隔が保てるように、また円形の締着孔と締着用ボルトの遊隙間隔も2mm前後の精度で製作される。これらの遊隙間隔はブロック敷設ライン上に発生する振動、地震や地盤沈下による変形で生じる上下への変位、水平方向への抜出し変位、回転変位等に対して絶対に変位しないような強固な拘束はしない。その理由は継手部に強い拘束力を与えると局部的に応力が集中しブロック端部の圧壊作用力として働く事になるからである。したがってこのような事を防ぐために最小の変位を許容することで応力の集中を防止し、分散および平均化作用力に変換させてブロックラインの機能を維持することができる。
2枚から成る連結プレートを構成する台座プレート、フラットプレートに穿設された円形孔と横長孔の遊隙間隔とが相互に連動するため、柔軟でかつ粘り強い拘束力を持つ継手構造となる。ブロックラインの或るスパンで、局所的に強い不等沈下作用を受けると垂直変位と同時に圧縮力および引張力が作用し、回転モーメントが生じる。この時2枚目のフラットプレートの左右直角端部の上側と下側が各々1枚目の台座プレートの左右に突設されたストッパーに変位角をもって当接する。この回転変位をストッパーで押さえる事ができる。2枚目のフラットプレートの形状は長方形でありかつ両端面が直角に加工されている。またストッパーの突設高さはフラットプレートの材厚よりも1.2倍〜2.0倍高く製作される。
ストッパーの突設高さの設定理由は、フラットプレートを介しストッパーに作用する引張力、圧縮力、回転力を支える重要な構成要素であることは前記のとおりであるが、特に何らかの原因で台座プレート、フラットプレートの変形や締着ボルトの螺合に不具合が起き、弛んで浮き上がり、ストッパーに当接せずにフラットプレートの端面がストッパーから外れ、当接機能を失うことを防止するためには一定の高さが必要であるからである。
また、前述4BP連結プレートの作用を説明すると、2BP連結プレートの継手構造の違いは4本のボルトと2枚の幅広プレートから成り、それぞれのプレートにも4個の締着孔が穿設されている。4BP連結プレートの構成は次のとおりである。1枚目のプレートは左右両端に突設した縦長のストッパーを持つ。台座プレートには円形の締着孔が上下2個相対して、長辺と平行になる線上に横長の締着孔2個が上下に穿設されている。2枚目のプレートはフラット状で1枚目の台座プレートの2個のストッパーの間に嵌合される。4BP連結プレートは2BP連結プレートと比べて、プレートの形状、大きさ、面積は2倍以上と幅広が特徴である。したがって4BP連結プレートによる継手構造は特に圧縮力および引張力にはもとより、せん断作用には構造的、機能的特性から水平変位、上下変位、回転変位に対する応力が大きい。よって接合部での不等沈下、曲げ沈下、特にせん断沈下(ズレ)に4本のボルトと幅広の連結プレートが大きな応力となって回転変位とせん断沈下を防止する機能を有し、性能が高く安定した継手構造を得ることができる。
さらに第2の課題解決手段による作用は次の通りである。既設されたブロックはブロックラインにならい、高さと通りが確定されている。既設ブロックの前方端面の外側底壁部から突出されている帯状受台ベースプレートも同じくブロック本体が前記したように高さと通りが整えられた状態にある。したがって接続される新設ブロックの後方端面の底壁部をベースプレート上に仮置きした時点で、新設ブロックの高さ、通りの調整確認を行うことができる。高さ調整が必要な時は新設ブロックを吊り上げ、均し調整を行い、本敷設が可能となる。帯状受台ベースプレート上の新設ブロックを既設ブロックの前方端面に所定位置まで押付ける。帯状受台ベースプレートは、敷設時の押付けを正確、敏速に行うための重要なガイドレールとしての機能も果たす。また連結、接合作業時における新設ブロックの上下のズレ等の変位がないため、素早く押付けた後、台座プレートとフラットプレートの組み合わせから成る連結プレートを締着ボルトを用いてナット型インサートに螺子込み、螺合され連結接合が終了する。
上述したように各種水路等に用いられるコンクリート二次製品を、構造的に必要な強度を持った接合方法によって連結して用いることは、一時的な過載荷重や地震力が作用したとき、ブロックラインの破損を防止して機能を保持するうえで有効である。しかし、鉄鋼等の金属を用いた機械的継手に許容される施工上必要な遊隙間隔の寸法は、接合に用いるファスナーの寸法によるが、直径10mmから24mm程度のボルトを用いた場合には0.5mmから2.0mmである。遊隙間隔が大きいと継手部に過大な力が加わった時の変形が大きく結合性能を大きく損なうことになる。これに対しブロック等の現場作業で必要とする遊隙間隔は数10mmである。この相違がブロックの連結をする上で大きな障害となっている。本発明の継手構造では現場作業でブロックの位置を確定するまで台座プレートの横長孔の寸法に応じた遊隙間隔があり、位置決めの後フラットプレートを嵌合、締着ボルトを螺合する。以上の方法は最も効果が期待できるものである。また、台座プレートの横長孔上下周面あるいは天端にはナット型インサートとフラットプレートの円形孔の納まり位置を示すラインを複数の刻線を施すことで敷設時の効率、正確性を確保する方法もある。また、ブロックの前方端面の外側底壁部に複数の帯状受台ベースプレートを備えたブロックを併せて用いることで、連結、接合作業を効率よく行う事ができる継手構造である。本継手構造は自由勾配側溝ブロックを用いた敷設工事の工程省略、工期短縮を図るために、自由勾配側溝ブロックと基礎一体型勾配付底版ブロックの組み立て一体化に使用することもできる。
本発明の請求項1の実施の形態について図1〜図26に基づいて説明する。図1に示す実施例では、2BP連結プレート2を用いた分解斜視図である。既設ブロック1A、新設ブロック1Bの側壁端面に埋設固定されたナット型インサート5a、5bには各々アンカー筋17a、17bが溶接されている。継目11を跨いで取付けられる連結プレート32を構成する台座プレート7Aとフラットプレート8Aの4種類の部材が示されている。台座プレート7Aには既設ブロック1A側に円形孔12aが、新設ブロック1B側には横長孔13aが穿設されている。また台座プレート7Aの両端は縦長突条にストッパー26a、26bが間に、嵌合されるフラットプレート8Aにも既設ブロック1A側には横長孔13bが台座プレート7Aの円形孔12aに組み合わされる。また、新設ブロック1B側には円形孔12bが台座プレート7Aの横長孔13aに組み合わさるよう締着孔が穿設されている。これらの孔を挿通し、ナット型インサート5a、5bに螺合する2本の締着ボルト16a、16bの2本で連結、接合されることを示している。(ワッシャーは図示していない。)2BP連結プレート2の取付ける位置は既設ブロック1A、新設ブロック1Bの上下あるいは下端面が効果的である。
図2に示した実施例では、4BP連結プレート4を用いた施工前の要部分解斜視図である。既設ブロック1A、新設ブロック1Bの側壁端面に埋設固定されたナット型インサート6a、6b、6c、6dの4本には各々アンカー筋17a、17b、17c、17dが溶接されている。継目11を跨いで取付けられる連結プレート33を構成する台座プレート9Aとフラットプレート10Aの4種類の部材が示されている。台座プレート9Aには既設ブロック1A側に円形孔14a、14bの2孔が、新設ブロック1B側には上下に横長孔15a、15bの2孔の合計4孔が穿設されている。また台座プレート9Aの両端は縦長突条にストッパー27a、27bが設けられている。台座プレート9Aのストッパー27a、27b間に嵌合されるフラットプレート10Aにも既設ブロック1A側上下に横長孔15c、15dが台座プレート9Aの円形孔14a、14bに組み合わされるよう、また新設ブロック1B側にはフラットプレート10Aの円形孔14c、14dが台座プレート9Aの横長孔15a、15bに組み合わさるよう締着孔が穿設されている。これらの孔を挿通し、ナット型インサート6a、6b、6c、6dに螺合する締着ボルト16a、16b、16c、16dの4本で連結、接合されることを示している。(ワッシャーは図示していない。)4BP連結プレート4はせん断沈下、不等沈下に極めて有効に機能する継手構造である。4BP連結プレート4の取付け位置は既設ブロック1A、新設ブロック1Bの継目を跨いで下端面あるいは中央付近が効果的である。また、2BP連結プレート2と組み合わせて用いることができる。
図3〜図5に示す実施例では、図1、図2で説明した2BP連結プレート2と4BP連結プレート4は締着ボルト数が異なるだけで基本的に近い機能を持つ継手構造ゆえ、2BP連結プレート2の実施例をもって説明する。図3は台座プレート7Aの平面図である。台座プレート7Aの長さLは製品の大小や重量、荷重、基礎強度で異なるが、最小長さで100mm以上、最大で500mmを想定したものである。幅は2BP連結プレート2でh=h1、40mm以上、4BP連結プレート4ではh=h1、80mm以上が望ましい。ストッパー26a、26b間の長さL1は台座プレート長さLよりストッパーの厚さt×2を差し引いた長さとする。フラットプレート嵌合長さL2はストッパー26a、26b間の長さL1より2mmから20mm程度短く製作されなければならない。すなわち必要とする遊び空隙距離である。最大締着ボルト中心間距離L3は、既設ブロック1Aのナット型インサート5aと、新設ブロック1Bのナット型インサート5bとの台座プレート7Aを仮セットしたときの最大距離であり、締着ボルト中心間距離L4は所定位置すなわちナット型インサート5a、5bの設定距離であり、台座プレート7Aの円形孔12aとフラットプレート8Aの円形孔12bとの中心間距離であり、かつ継目11の遊隙間隔を考慮した距離である。締着ボルト最短中心間距離L5は継目11の遊隙間隔が20mmから2mmに狭まったときの距離で、この距離は地震、沈下等の変位による縦断方向の伸縮許容幅で、この距離が作用応力の集中を防ぎ分散、平均化作用の要因となる。L6は継目11の最大開き距離である。すなわち最大締着ボルト中心間距離L3から締着中心間距離L4を引いた距離で、敷設時の最大継目遊隙間隔である。L7はボルト中心間距離L4よりボルト最短距離L5を引いた距離で継目開き許容幅である。L8は横長孔の最大距離であり、L9は台座プレートのストッパー間に嵌合するフラットプレート8Aとの最大遊隙間隔である。dは締着ボルト直径より0.5mmから2.0mm余裕をもって大きく穿設される。締着ボルト径、台座プレート7A、9A、フラットプレート8A、10Aの厚さは連結プレートの長さL、幅h、h1との相関によって決定されるものである。
図4は、フラットプレート8Aの平面図である。台座プレート7Aのストッパー26a、26bの間に嵌合されているプレートで、横長孔13bと円形孔12bが穿設されている。横長孔13bと円形孔12bの孔形状と寸法は台座プレート7Aと同じである。フラットプレート8Aの材厚は台座プレート7Aの材厚と原則同じであるが好ましい。L2はフラットプレート8A長さで台座プレート7Aのストッパー26a、26b間距離L1より2mmから20mm短く製作される。
図5は台座プレート7Aのストッパー26a、26bの間にフラットプレート8Aが嵌合し一組の連結プレート32が構成された状態を示すものである。台座プレート7Aの円形孔12aの上にはフラットプレート8Aの横長孔13bが、台座プレート7Aの横長孔13bに上にはフラットプレート8Aの円形孔12aが組み合わされている状態を示すA−A’線断面図である。
図6に示す実施例では、図2の実施例と異なる締着孔の配列の4BP連結プレート4の台座プレート9Aとフラットプレート10Aに穿設された締着孔の配置の状態を示す平面図である。台座プレート9Aの左側ストッパー27a側の上下締着孔の配置は上側には横長孔15a、その下側には円形孔14aが、右側ストッパー27b側の上側には円形孔14b、下側には横長孔15bが穿設されている。フラットプレート10Aには台座プレート9Aの締着孔と反対の組み合わせとなるように各孔形の締着孔が配置されている。それぞれ異なる孔形の締着孔を持つ台座プレート9Aとフラットプレート10Aとの組み合わされた連結プレート32を用いて連結接合することもできる。
図7から図12に示す実施例では、2BP連結プレート2の継手構造を用いて、既設ブロック1Aと新設ブロック1Bとの連結結合開始から終了までの工程を要部正面図で示すものである。図7に示した実施例では台座プレート7Aを継目11を跨いでブロック1Aとブロック1Bに密着させる。密着にあたってブロック1Aのナット型インサート5aの螺子孔に円形孔12aが、ブロック1Bのナット型インサート5bの螺子孔には横長孔13aの右端部で組合され、締着ボルト16a、16bの締め込み可能の状態を示すものである。図8は既設ブロック1Aと新設ブロック1Bのそれぞれのナット型インサート5a、5bに台座プレート7Aの円形孔12aには締着ボルト16aが、横長孔13aには締着ボルト16bがそれぞれ挿通し螺子込まれ仮セットされる。それぞれの締着ボルト16a、16bの螺子込み量はフラットプレート8Aを台座プレート7Aに嵌合させるため一時取外すが、それを考慮し1/2から1/3程度でよい。図9は台座プレート7Aが仮セットされた状態でブロック1Bがブロック1A側に所定位置まで押し込まれ、継目11が止水性能を十分に果たす位置であることを示すものである。図10はブロック1Bが所定の位置に移動し納まり、ブロック1A、ブロック1Bのナット型インサート5a、5bに螺子込まれた締着ボルト16a、16bがいったん取り外された状態を示すものである。図11は台座プレート7Aのストッパー26a、26bの間にフラットプレート8Aが嵌合され台座プレート7Aの円形孔12a横長孔13aと、フラットプレート8Aの横長孔13b、円形孔12b、そしてブロック1Aのナット型インサート孔5a、ブロック1Bのナット型インサート孔5bの相通孔が一致した状態を示すものである。図12は図11から最終工程に進行、締着ボルト16a、16bが再びブロック1A、ブロック1Bのナット型インサート5a、5bに螺子込まれて連結プレート32が既設ブロック1A、新設ブロック1B側面に密着固定され一連の連結接合工程が終了した状態を示すものである。
以上の実施例に示す連結接合工程の手順は、4BP連結プレート4あるいは6BP連結プレートにおいても同じである。また4BP連結プレート4と2BP連結プレート2との組み合わせによる連結接合工程においてもなんら変わることがない。
図13の(A)、(B)、(C)に基づき説明する。(A)は2BP連結プレート2における台座プレート7Aとフラットプレート8Aとがあらかじめ工場又は現場で組み合わされて一組の連結プレート32となった平面図である。台座プレート7Aに穿設された円形孔12aには実線で、横長孔13aは点線で示されている。台座プレート7Aのストッパー26a、26bの間に嵌合されたフラットプレート8Aにも穿設された横長孔13b、円形孔12bが実線で示されている。台座プレート7Aの円形孔12aとフラットプレート8Aの横長孔13bあるいは台座プレート7Aの横長孔13aとフラットプレート8Aの円形孔12bのそれぞれの組み合わせの関連を示したものである。これらの組み合わせの状態はブロック1A、ブロック1Bのそれぞれのナット型インサート5a、5bの間隔が所定位置に納まった状態にある締着孔の組み合わせ状態を示すものである。(B)は(A)で示した連結プレート32の平面図A−A’線断面図であり、台座プレート7A、フラットプレート8Aと穿設された締着孔の状態を示すものである。(C)は(A)で示した連結プレート32の平面図B−B’線断面図である。フラットプレート8Aの厚さとストッパー26a、26bの高さの相対性と各締着孔の組み合わせ状態を示したものである。
図14の(A)は4BP連結プレート4における台座プレート9Aとフラットプレート10Aとがあらかじめ工場又は現場で組み合わされて一組の連結プレート33となった平面図である。台座プレート9Aに穿設された円形孔14a、14bは実線で、横長孔15a、15dは点線で示されている。台座プレート9Aのストッパー27a、27bの間に嵌合されたフラットプレート10Aにも穿設された各締着孔、横長孔15e、15d、円形孔14c、14dが実線で示されている。台座プレート9Aの円形孔14a、14bとフラットプレート10Aの横長孔15c、15dあるいは台座プレート9Aの横長孔15a、15bとフラットプレート10Aの円形孔14c、15dのそれぞれの組み合わせの関連を示したものである。これらの組み合わせの状態は既設ブロック1A、新設ブロック1Bのそれぞれのナット型インサート6a、6b、6c、6dの間隔が所定位置に納まった状態にある締着孔の組み合わせ状態を示すものである。(B)は(A)で示した接合プレート33の平面図A−A’線断面図であり、台座プレート9A、フラットプレート10Aと穿設された各締着孔の状態を示すものである。(C)は(A)で示した接合プレート33の平面図B−B’線断面図である。フラットプレート10Aの厚さとストッパー27a、27bの高さの相対性と各締着孔の組み合わせ状態を示したものである。
図15〜図18あらかじめ組み合わされた台座プレート7Aとフラットプレート8Aからなる連結プレート32を、既設ブロック1A、新設ブロック1Bの側壁端面に埋設固定されたナット型インサートに、あらかじめ工場で締着ボルト16aによって仮セットによる取付けをおこなった状態で現場に搬入し、敷設ブロックライン上で既設ブロック1Aと新設ブロック1Bとの連結接合の開始から終了までの工程を示す要部正面図である。図15は既設ブロック1Aの前部側壁端面に埋設固定されたナット型インサート5aに工場であらかじめ装着された連結プレート32をもつ状態を示し、右側には新設ブロック8Aの後部側壁端面に埋設固定されたナット型インサート5bに連結接合する直前の状態である。継目11も所定の間隔が保持されている。図16は新設ブロック1Bが既設ブロック1Aに押し込まれ、継目11が止水性能が保持される位置に移動した状態を示す。図17は既設ブロック1Aに仮セットされた連結プレート32が時計回りあるいは反時計回りに回動され、新設ブロック1Bのナット型インサート孔に合致した位置にあるかを確認、微調整を行った後、締着ボルト16Bが螺子込み可能な状態を示す。図18は連結プレート32を既設ブロック1A、新設ブロック1Bの側壁面に密着固定させるため締着ボルト16a、16bを螺合し、既設ブロック1Aと新設ブロック1Bとの連結接合工程終了を示すものである。
図19〜図20はあらかじめ組み合わされた台座プレート7Aとフラットプレート8Aからなる連結プレート32を、現場で既設ブロック1Aと新設ブロック1Bとが所定の連結接合位置に納まった後に連結プレート32を取付ける連結接合工程を示す要部正面図である。図19は連結プレート32が既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの継目を跨いで両ブロックのナット型インサート5a、5bにあてがわれた状態を示す。この時点でも新設ブロック1Bを以って微調整を行うことができる。図20は連結プレート32を既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの側壁面に密着固定させるため締着ボルト16a、16bを螺子込み螺合され、既設ブロック1Aと新設ブロック1Bとの連結接合工程の終了状態を示すものである。
図21〜図26は敷設時の継目間隔の調整をスムーズに行うための実施形態である。図21は既設ブロック1Aと新設ブロック1Bの継目11を跨いで、既設ブロック1Aのナット型インサート5aと台座プレート7Aの円形孔12aとが重ね合わされ一方の横長孔13aは新設ブロック1Bのナット型インサート5bに図に示すように当てられる。台座プレート7Aの横長孔13aの上側周面に縦線で2本のラインが刻線されている。図22は台座プレート7Aの円形孔12aを挿通し、既設ブロック1Aのナット型インサート5aに締着ボルト16aが30%〜50%螺子込まれている。一方新設ブロック1Bのナット型インサート5bには締着ボルト16bが外れない程度すなわちLL、LRの2本のライン刻線を確認できる深さまでの螺子込みとなる。図23は既設ブロック1Aの端面に新設ブロック8Aの端面との継目が所定位置に納まるよう、新設ブロック1Bが押し込まれる。押し込みにあたっては台座プレート7A上に刻線されているLL、LRの2本のライン刻線を目印に行う。図24に示す実施例では締着ボルト16bをいったん取り外し、ナット型インサートと2本のライン刻線の間に納まっているかの確認と微調整を行った後の状態を示すものである。図25は図24で確認後にフラットプレート8Aが台座プレート7Aのストッパー26a、26b間に嵌合され、ナット型インサート5b、台座プレート7Aの横長孔13a、フラットプレート8Aの円形孔13bの3つの孔が全て挿通できる状態を示している。図26は締着ボルト16a、16bがナット型インサートに連結プレート32の各孔を挿通し、螺子込まれ、螺合した状態を示す。以上がLL、LRの2本のライン刻線を有する台座プレート7Aを用いた連結接合工程を示す要部正面図である。(天端面のLL、LRラインは図示していない)
本発明の請求項2の実施形態について図27〜図32に基づき説明する。図27に示した実施例では、蓋付落蓋式側溝ブロック24の前方端面の外側底壁部18a、18bに取付け固定された帯状受台ベースプレート20a、20bにはそれぞれアンカー筋21a、21bが溶接されている。アンカー筋の径、長さ、本数またはベースプレートの厚さ、突出し長さ等はブロックの大きさ、重さの大小、形状、荷重等によって決められている。また帯状受台ベースプレートの取付け枚数は2枚に限定されたものではなく、種々の条件によって決定されるものである。図28に示した実施例では、2BP連結プレート2によるものであって、敷き均された砂の上に敷設された既設ブロック24Aの前方端面の外側底壁部18から帯状受台ベースプレート20が突出した状態を示し、次の工程を待つ要部正面図である。図29に示した実施例では新設ブロック24Bが重機等で帯状受台ベースプレート20上に設置される状態を示す要部正面図であり、図30に示した実施例では既設ブロック24Aから突出している帯状受台ベースプレート20上に新設ブロック24Bの後方端面の底壁部19が設置され、僅かに押し込まれ移動した状態である。この段階で新設ブロック24Bの両側面の通りと高さを確認し、調整が必要な場合には新設ブロック24Bを吊り上げ、敷砂面22を再調整し、新設ブロック24Bを設置、通り・高さを確認された状態を示す要部正面図である。図31に示した実施例では、既設ブロック24A端面に新設ブロック24Bが所定の継目11間隔になるまで押し付けられ、接合プレート32が取付けられる直前の状態を示す要部正面図である。図32に示した実施例では押し付けられた所定位置に納まり、既設ブロック24Aと新設24Bの継目を跨いで取付けられる連結プレート32が上下2段に取付けられて各締着ボルト16a、16bが螺合密着固定され、一連の連結接合工程終了の状態を示す要部正面図である。
本発明の請求項1および請求項2の継手構造を適宜、組み合わせて蓋付落蓋式側溝ブロック24の敷設における各種連結接合方法の実施例を図33〜図46で要部正面図をもって説明する。(締着ボルト螺合は図示していない。)図33はブロック24の側壁端面に埋設固定されるナット型インサート5および6の位置を示す。連結プレート32および連結プレート33は荷重、製品の形状の大小等の条件でその取付け位置が決定される。また帯状受台ベースプレート20a、20bがこの実施例では2枚取付けられている。さらに蓋版押さえ側壁部34をナット型インサートに挿通させて蓋版23に埋設固定させ、蓋版23を後打ちコンクリートで打設充填することで、ブロックと蓋版を一体とすることもできる。(いずれもナット型インサートとアンカー筋は図示していない。)
図34は2BP連結プレート2と帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、上側1段の連結接合タイプである。比較的小型ブロックで載荷荷重の小さい条件のブロックライン敷設に適している。図35は4BP連結プレート4と帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、上側1段の連結接合タイプである。市街地等の出入口・横断部に適しており、特にせん断沈下の耐力が大きい。図36は4BP連結プレート4と帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、中央付近部での連結接合タイプである。市街地等の出入口・横断部に適しており、特にせん断沈下の防止効果が大きい。図37は2BP連結プレート2の上下2段による連結接合と帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、比較的側壁の高いブロックと軟弱地盤のブロックライン敷設に適している。図38は2BP連結プレート2を上側に、4BP連結プレート4を下側の上下2段による連結接合を帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、不等沈下、せん断沈下の防止効果が極めて大きい。従って大型ブロックや載荷荷重たとえば車輌による影響の大きいブロックラインの敷設に適している。図39は4BP連結プレート4を上側に、2BP連結プレート2を下側の上下2段による連結接合と帯状受台ベースプレート20とを組み合わせた実施例で、杭スパン支持による杭支点上の連結接合に適している。(いずれも締着ボルトは図示していない。)
図40は4BP連結プレート4を単独で中央付近部で連結接合したタイプである。比較的敷設条件の良いブロックラインでの実施例である。図41は2BP連結プレート2の単独上下2段による連結接合タイプである。比較的敷設条件の良いブロックラインでの実施例である。尚、敷設条件の良し悪しとはブロックラインの左右のスペースの広さや地下水位の高低等をいうものである。図42は2BP連結プレート2を上側に、4BP連結プレート4を下側に、上下2段複合による連結接合タイプであり、敷設条件の悪い場合の敷設実施例である。以上に示す実施例に限定されるものではなく、ブロックの形状、大きさ、重さ、基礎地盤強度の条件に則し連結接合位置、締着ボルト数等を自在に組み合わせて、接合部の継手補強ができる。また開示さていないがアンカー筋の配置方法、本数、長さ等も条件に合致した方法を選択し実施することができる。(いずれも締着ボルトは図示していない。)
図43は図2に示した4BP連結プレート4による継手構造を用いて2個の基礎一体型勾配付底版ブロック28A、28Bと2個の自由勾配側溝ブロック25A、25の4個とが同時に連結接合された実施例を示す要部正面図である。図44は図43の実施例におけるA−A’線断面図である。敷き均された敷砂22の上にアンカー筋21a、21bで固定された帯状受台ベースプレート20a、20bをもつ基礎一体型勾配付底版ブロック28Aの片口受面40には、止水と高さ調整モルタル30を施した後、自由勾配側溝ブロック25Aを設置、両側面に連結接合された台座プレート9Aの円形孔14a、14bとフラットプレート10Aの横長孔15a、15bに締着ボルト16a、16bを挿通し、自由勾配側溝ブロック25Aの両側面下端面に埋設固定されたナット型インサート6a、6bと基礎一体型勾配付底版ブロック28A、28B側面中央に埋設固定されたナット型インサート6a、6bに螺子込み、双方が連結接合された状態を示すものである。
なお、4BP連結プレート4による連結接合工程において、台座プレート9Aとフラットプレート10Aの2枚のプレートをあらかじめ組み合わせ、一組の連結プレート33として2個の自由勾配側溝ブロック25A、25Bと2個の基礎一体型勾配付底版ブロック28A、28Bを所定位置、高さ、通り等の組み合わせ調整の後に、4点同時に連結接合することもできる
図45〜図46は2BP連結プレート2を自由勾配側溝ブロック25の敷設工程の省工程化のために、接地圧低減用基礎一体波型勾配付底版ブロック29A、29Bに使用した一実施例である。図45は連結プレート32を用いて基礎一体波型勾配付底版ブロック29A、29Bを連結結合した上に自由勾配側溝ブロック25A、25Bが敷設された状態を示す要部正面図である。図46は図45の要部正面図のA−A’線断面図である。接地圧低減用基礎一体波型勾配付底版ブロック29A、29Bの底壁は、上部からの荷重による接地圧を減少させるために45°の角度を持つ三角形状となっている。接地圧を減少させることで基礎に作用する荷重を小さくすることができるため、継手部の負荷が減少し、2BP連結プレート2単独使用でも使用条件の幅を広げる事が可能となり、コスト縮減が図られる。
以上のように各種側溝ブロックの継手補強だけではなく、プレキャスト車道版、プレキャスト歩道版の連結接合による補強に用いることもできる。