JP4752771B2 - アンテナ構造の不要波放射抑制方法およびアンテナ構造およびそれを備えた無線通信装置 - Google Patents

アンテナ構造の不要波放射抑制方法およびアンテナ構造およびそれを備えた無線通信装置 Download PDF

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Description

本発明は、携帯型電話機等の無線通信装置に組み込まれるアンテナ構造の不要波放射抑制方法およびアンテナ構造およびそれを備えた無線通信装置に関するものである。
アンテナ構造の一つとして、無線通信を行う放射電極の共振周波数を切り換えることが可能な周波数切り換え可能タイプのアンテナ構造がある。その周波数切り換え可能タイプのアンテナ構造の一構成例を図6(a)に示されるモデル図を利用して簡単に説明する。そのアンテナ構造40は、給電放射電極41と、当該給電放射電極41に電気的に接続される周波数切り換え用回路42とを有して構成されている。給電放射電極41は、例えば無線通信装置に設けられている無線通信用回路(高周波回路(図示せず))に電気的に接続され、一般的に知られているように、LC共振動作によりアンテナとして機能するものである。なお、図6はアンテナの共振状態のみの説明図であり、入出力端をどのように付与するかについては図示を省略している。
周波数切り換え用回路42は、給電放射電極41に接続されているインダクタンス成分を有する回路部43と、当該回路部43に並列に設けられる短絡通路44と、当該短絡通路44に介設されているスイッチ素子45とを有して構成されている。そのスイッチ素子45がオフ状態のときには短絡通路44には電流が通電せず回路部43に電流が通電するので、回路部43が持つインダクタンス成分が給電放射電極41に付与される。また、スイッチ素子45がオン状態のときには、短絡通路44に電流が通電し回路部43には電流が殆ど通電しないので、回路部43のインダクタンス成分は給電放射電極41には付与されない状態となる。
給電放射電極41の共振周波数は、当該給電放射電極41が持つインダクタンス成分の大きさと容量成分の大きさとに基づいて決定されるものである。このため、周波数切り換え用回路42から給電放射電極41にインダクタンス成分が付与されている状態と付与されていない状態とでは、そのインダクタンス成分の大きさに応じた分、給電放射電極41の共振周波数は異なる値となる。つまり、周波数切り換え用回路42から給電放射電極41にインダクタンス成分が付与されていない状態のときには、例えば、給電放射電極41は図6(b)に示すような共振周波数F1を持ち図6(b)の実線Aに示すようなリターンロス特性の共振モードで共振動作を行うのに対して、周波数切り換え用回路42から給電放射電極41にインダクタンス成分が付与されている状態のときには、例えば、給電放射電極41の共振周波数は図6(b)に示す共振周波数F2に切り換わって給電放射電極41は図6(b)の鎖線Bに示すようなリターンロス特性の共振モードで共振動作を行う。
給電放射電極41の共振周波数が切り換わらない構成の場合には、例えば、図6(b)に示す周波数帯D1を使用した無線通信と、周波数帯D2を使用した無線通信とのうちの一方の無線通信しか行えない。これに対して、上記のような給電放射電極41の共振周波数を切り換える構成を備えることによって、周波数帯D1を使用した無線通信と、周波数帯D2を使用した無線通信との両方の無線通信を行うことが可能となる。換言すれば、アンテナ構造40の無線通信の周波数帯域の広帯域化を図ることができる。
特開2000−114856号公報 国際公開第2005/069439号パンフレット
ところで、周波数切り換え用回路42のスイッチ素子45として、例えばPINダイオード等の非線形素子であるスイッチ素子が用いられることがある。本発明者は、そのスイッチ素子に起因した高周波の不要波(ノイズ)が給電放射電極41から再放射されている事態に気付いた。その不要波は、例えば、無線通信装置においてアンテナ構造が設けられている周辺の回路にノイズとして混入しS/N比を劣化させるというように回路動作に悪影響を与える等の問題を発生させてしまう。また、上記不要波は無線通信装置の外部にも放射されて無線通信装置の周囲の機器の回路動作に悪影響を与えるという問題発生の虞もある。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、周波数切り換え用回路のスイッチ素子に起因した不要波の放射を抑制するためのアンテナ構造の不要波放射抑制方法およびアンテナ構造およびそれを備えた無線通信装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明のアンテナ構造の不要波放射抑制方法は、
無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
を有するアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
給電放射電極は、当該給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である高次共振周波数とを有しており、
この給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、高次共振周波数が無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制することを特徴としている。
また、この発明のアンテナ構造の不要波放射抑制方法は、
無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
給電放射電極と間隔を介して配置され給電放射電極との電磁結合により給電放射電極との複共振状態を作り出す無給電放射電極と、
インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を無給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて無給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
を有するアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
無給電放射電極は、当該無給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である無給電側の基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である無給電側の高次共振周波数とを有しており、
この無給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、無給電側の高次共振周波数が無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が無給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制することを特徴としている。
さらに、この発明のアンテナ構造の一つの構成は、
無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
を有するアンテナ構造であって、
給電放射電極は、当該給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である高次共振周波数とを有しており、
給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えて、該高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化の調整により、前記給電放射電極における高次共振周波数は、無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように調整されており、この高次共振周波数のずれ量の調整は、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が、予め定めた許容限界値以下に抑制されるように調整されていることを特徴としている。
さらに、この発明のアンテナ構造の別の一つの構成は、
無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
給電放射電極と間隔を介して配置され給電放射電極との電磁結合により給電放射電極との複共振状態を作り出す無給電放射電極と、
インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を無給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて無給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
を有するアンテナ構造であって、
無給電放射電極は、当該無給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である無給電側の基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である無給電側の高次共振周波数とを有しており、
無給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えて、該高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化の調整により、前記無給電側の高次共振周波数は、無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように調整されており、この無給電側の高次共振周波数のずれ量の調整は、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が、予め定めた許容限界値以下に抑制されるように調整されていることを特徴としている。
さらにまた、この発明の無線通信装置は、この発明において特有な構成を持つアンテナ構造が設けられていることを特徴としている。
アンテナ構造の給電放射電極に接続される周波数切り換え用回路のスイッチ素子に起因した不要波は次に示すように給電放射電極から再放射される。つまり、非線形素子のスイッチ素子は、オフ状態のときに交流の電力が印加されると、その電力の周波数の整数倍の不要波(歪波)が発生するという性質がある。また、給電放射電極は、基本共振周波数と、一般的には基本共振周波数の整数倍の周波数を持つ高次共振周波数とを持つ。一般的には、給電放射電極による無線通信は給電放射電極の基本共振モードを利用して行われる。つまり、給電放射電極の基本共振周波数が無線通信用の信号の周波数と同様になるように給電放射電極は形成される。
このため、無線通信用回路から給電放射電極に例えば無線送信用の信号が伝達され、かつ、スイッチ素子がオフ状態である場合には、給電放射電極に接続されている周波数切り換え用回路のスイッチ素子に、無線送信用の信号に基づいた無線通信システムの送信帯周波数を持つ電力が印加され、これにより、周波数切り換え用回路のスイッチ素子から、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ不要波が発生する。給電放射電極の高次共振周波数が無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数であると、その送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ不要波は、給電放射電極の高次共振モードの共振動作によって再放射されてしまう。
この発明では、給電放射電極の高次共振周波数を送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数に調整している。このため、周波数切り換え用回路のスイッチ素子がオフ状態であるときに、電力印加によって送信帯周波数の整数倍の周波数の不要波が発生しても、給電放射電極の高次共振周波数は送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となっているので、スイッチ素子に起因した不要波が給電放射電極から高次共振モードの共振によって再放射される事態発生を防止することができる。
また、無給電放射電極が設けられ、当該無給電放射電極に周波数切り換え用回路が接続される場合にも同様であり、この発明では、無給電放射電極の高次共振周波数を送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数に調整している。このため、周波数切り換え用回路のスイッチ素子がオフ状態であるときに、電力印加によってスイッチ素子から送信帯周波数の整数倍の周波数の不要波が発生しても、無給電放射電極の高次共振周波数は送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となっているので、スイッチ素子に起因した不要波が無給電放射電極から高次共振モードの共振によって再放射される事態発生を防止することができる。
上記のように周波数切り換え用回路のスイッチ素子に起因した不要波が給電放射電極又は無給電放射電極から再放射されることを抑制できるので、不要波放射に起因して引き起こされる様々な問題を回避することができる。
給電放射電極にスリットが形成されている場合には、例えば、高調波制御手段はスリットにより構成され、スリットの切り込み長さ又はスリット幅を調整することで簡単に給電放射電極の高次共振周波数を調整できる。また、給電放射電極が誘電体の基体に形成されている場合には、給電放射電極における予め定められた高次共振周波数調整用部位が設けられている基体部分の誘電率の調整によって給電放射電極の高次共振周波数を調整することにより、前述したようなスリットのみを利用した高次共振周波数の調整よりも給電放射電極の高次共振周波数の可変調整可能な範囲が広くなる。このため、スイッチ素子に起因した不要波の給電放射電極からの放射量を抑制するための高次共振周波数の調整が容易となって、スイッチ素子に起因した不要波の再放射をより抑制し易くなる。
無給電放射電極の高次共振周波数を上記同様にスリットを利用したり、基体の誘電率を利用して周波数調整を行う場合にも上記同様の効果を得ることができる。
この発明のアンテナ構造が設けられている無線通信装置にあっては、スイッチ素子に起因した不要波のアンテナ構造からの放射が抑制できるので、アンテナ構造の周囲の回路が上記不要波に起因したノイズのためにS/N比が劣化したり、あるいは、誤動作する等の問題発生が回避されて、回路動作に対する信頼性を高めた無線通信装置を提供することができる。
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
図1(a)には第1実施形態例のアンテナ構造が模式的な斜視図により示されている。第1実施形態例のアンテナ構造1は、無線通信装置(例えば携帯型の無線通信装置)の回路基板2に搭載される誘電体の基体3と、基体3に設けられている給電放射電極4と、給電放射電極4に電気的に接続されている周波数切り換え用回路5とを有して構成されている。
この第1実施形態例では、基体3は直方体状と成している。図1(b)にはその基体3の模式的な展開図が示されている。給電放射電極4はλ/4タイプの放射電極であり、基体3の上面3uと前端面3fと側面3sの複数の面に渡って形成されている。この給電放射電極4にはスリット7が形成されている。スリット7は、給電放射電極4の一端部4aから他端部4bに向かう伸長形成部位を有するものである。このスリット7を介して隣り合っている給電放射電極部分の一方側の一端部4aは、無線通信装置に設けられている無線通信用回路8に電気的に接続される給電端Qと成し、他方側の給電放射電極部分の一端部4aは開放端Kと成しており、給電放射電極4は、給電端Qからスリット7を迂回して開放端Kに向かうループ形状と成している。
周波数切り換え用回路5は、この第1実施形態例では、インダクタ13と、スイッチ素子であるPINダイオード14とを有して構成されている。インダクタ13は、その一端側が給電放射電極4の給電端Qに接続され、他端側がグランドに接地されている。PINダイオード14は、そのカソード側をグランド側にしてインダクタ13に並列に設けられている。PINダイオード14には、当該ダイオード14のオン・オフ動作を制御するための電圧の印加手段(図示せず)が電気的に接続されている。例えば、無線通信装置の制御回路によってその電圧の印加手段が制御されてPINダイオード14のオン・オフ動作が制御される。周波数切り換え用回路5は上記のように構成されている。この周波数切り換え用回路5のPINダイオード14がオフ状態のときには、インダクタ13に電流が通電する状態であり、これにより、インダクタ13のインダクタンス成分が給電放射電極4に付与される。また、PINダイオード14がオン状態のときには、インダクタ13よりもPINダイオード14に電流が通電しインダクタ13には殆ど電流が通電しないので、インダクタ13のインダクタンス成分は給電放射電極4に付与されない。
上記のように、周波数切り換え用回路5は、インダクタンス成分を付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子であるPINダイオード14のオン・オフ動作によって切り換えている。この周波数切り換え用回路5の切り換え動作によって、給電放射電極4の電気長がインダクタ13のインダクタンス成分の大きさに応じて切り換わって、給電放射電極4の共振周波数が切り換わる。
ところで、給電放射電極4は複数の共振モードを持ち、それら共振モードのうちの最も周波数の低い共振モードである基本共振モードは、当該基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードよりも帯域幅が広く一般的に無線通信に優先的に利用される。このため、基本共振モードの共振動作によって無線通信を行うことができるように給電放射電極4を形成することが好ましい。このことを考慮して、給電放射電極4や周波数切り換え用回路5は例えば次に示すように設計される。
例えば、アンテナ構造1の無線通信用の周波数帯として、図2に示すような二つの周波数帯U1,U2が設定されている場合には、例えば、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14がオン状態でインダクタ13のインダクタンス成分が付与されていない状態のときに、給電放射電極4が図2の鎖線Aに示すようなリターンロス特性を有して無線通信用の周波数帯U1に対応すべく給電放射電極4が共振周波数Fonの基本共振モードで共振動作を行うように給電放射電極4の給電端Qから開放端Kまでの電気長が設計される。また、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14がオフ状態でインダクタ13のインダクタンス成分が付与されている状態のときに、給電放射電極4が図2の実線Bに示すようなリターンロス特性を有して無線通信用の周波数帯U2に対応すべく給電放射電極4が共振周波数Foffの基本共振モードの共振動作を行うように給電放射電極4自身が持つ電気長に付与されるインダクタ13のインダクタンス成分の大きさが設計される。
このように設計することにより、周波数切り換え用回路5の切り換え動作によって給電放射電極4の共振周波数が切り換わって設定の無線通信用の二つの周波数帯U1、U2に対応することができる。しかし、周波数切り換え用回路5を設けたために、次に示すような問題発生の虞があることから、この第1実施形態例では、その問題発生を抑制するための特有な構成を有している。
すなわち、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14は非線形素子であるために、オフ状態であるときに交流電力が印加されると、その電力の周波数の整数倍の周波数を持つ不要波(歪波)が発生する。この第1実施形態例では、PINダイオード14には、オフ状態のときに、図2の実線Cに示されるような電気特性を持つ信号(キャリア電力(例えば、+33dBm))に基づいた周波数Foffの送信電力が印加される。このため、PINダイオード14から周波数Foffの整数倍の周波数Fn(つまり、Fn=2Foff,3Foff,4Foff,...)を持つ不要波(歪波)が発生する。
一般的には、給電放射電極4の高次共振モードの共振周波数(高次共振周波数)は、基本共振モードの共振周波数(基本共振周波数)の整数倍(例えば(2n+1)倍(n=1,2,3,...))となっており、PINダイオード14に起因した不要波の周波数とほぼ一致した周波数である。このため、例えば図2の点線Dに示すようなリターンロス特性を持つ高次共振モードの共振動作が、PINダイオード14に起因した不要波と重なる。この給電放射電極の高次共振モードの共振動作と、不要波との重なりにより、PINダイオード14に起因した図2の点線Eに示すような不要波が給電放射電極4から再放射されてしまう虞がある。無線通信用回路8から給電放射電極4に印加される無線送信用の信号は例えば+33dBm程度の大きさというように大きいので、その送信用の信号に基づいた電力がオフ状態のPINダイオード14に印加すると、当該PINダイオード14に起因して給電放射電極4から再放射されてしまう不要波は無視できない程に大きいものである。
この第1実施形態例では、その不要波再放射の問題を防止すべく、給電放射電極4の高次共振周波数は、無線通信システムの送信帯周波数(PINダイオード14がオフ状態のときの基本共振周波数Foffとほぼ一致した周波数)の整数倍の周波数からずれた例えば図2に示す周波数Fpに調整されている。これにより、PINダイオード14に起因した不要波と、給電放射電極4の高次共振モードの共振動作との重なりを防ぎ、不要波の再放射を抑制することができる。ただ、給電放射電極4の高次共振周波数を、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数としても、給電放射電極4の高次共振モードの共振の広がりに起因して不要波の再放射を全く無くすことは難しい。このことから、この第1実施形態例では、不要波放射量の許容限界値Spとして公規格に基づいて−30dBm(キャリア電力に対しては−63dBc)が定められており、図2の実線Gに示すように不要波の最大放射量が、その許容限界値Sp以下となるように、給電放射電極4の高次共振周波数の調整が行われている。具体的には、送信帯周波数の整数倍の周波数(基本共振周波数Foffの整数倍の周波数)において、リターンロス量がどの程度抑えられているか(リターンロスが抑えられている=リターンロスが取れていない=アンテナとして放射しない)というリターンロス限界値以上となるように調整される。換言すれば、送信帯周波数(基本共振周波数Foff)の整数倍の周波数に対する給電放射電極4の高次共振周波数のずれ量の調整は、不要波の最大放射量が許容限界値Sp以下に抑制されるように調整されている。
その給電放射電極4の高次共振周波数の具体的な調整手法の例を次に述べる。すなわち、給電放射電極4の高次共振周波数を、送信帯周波数(基本共振周波数Foff)の整数倍の周波数からずらすためには、周波数調整による基本共振周波数の変化量を小さく抑えながら、高次共振周波数を可変調整する必要がある。このため、基本共振周波数よりも高次共振周波数の決定に大きく関与する給電放射電極部分を調整することで給電放射電極4の高次共振周波数の調整を行う。この調整手法には複数の手法があり、それら手法の何れか一つあるいは複数の手法の組み合わせによって給電放射電極4の高次共振周波数が調整される。
例えば、図1(c)には、給電放射電極4における基本共振モードにおける電圧分布(実線α参照)と、高次共振モードにおける電圧分布(実線β参照)とが示されている。この図1(c)に示されているが(高周波分布では裏表である電流分布も同時に存在することは知られており)、その最大領域は特異領域であり、基本共振モードのそれとはずれている。このために、その高次共振モードにおける高次共振モードにおける特異領域と基本共振モードにおけるそれとのずれを利用して、高次共振周波数のみをずらしている。例えば、その高次共振モードにおける特異領域の形状を例えばミアンダ状にする等の形状の可変調整により行ったり、あるいは、その高次共振モードにおける電圧分布最大領域Zpの給電放射電極部分(高次共振周波数調整用部位)が形成されている基体3の部位の誘電率を可変調整する等の複数の手法がある。それら手法のうちの一つあるいは複数の組み合わせによって、給電放射電極4の基本共振周波数を殆ど変化させることなく、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14に起因した不要波の最大放射量が設定の許容限界量である−30dBm以下となるように給電放射電極4の高次共振周波数を調整することができる。すなわち、高次共振モードにおける特異域の給電放射電極部分(高次共振周波数調整用部位)や、高次共振周波数調整用部位が形成されている基体部分により高調波制御手段が構成されている。
また、例えば、スリット7を介して隣接配置されている給電放射電極部分間には静電容量が形成される。この静電容量は基本共振周波数よりも高次共振周波数の決定に大きく関与する。このことから、スリット7の切り込み長さや、スリット幅や、スリット形状や、スリット7の形成領域が配設されている基体部分の誘電率を調整して、スリット7に形成されている静電容量の大きさを可変調整することにより、給電放射電極4の基本共振周波数を殆ど変化させることなく、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14に起因した不要波の最大放射量が設定の許容限界量である−30dBm以下となるように給電放射電極4の高次共振周波数を調整することができる。すなわち、この場合には、スリット7により高調波制御手段が構成されている。
この第1実施形態例のアンテナ構造1は、上記のような周波数の調整手法によって給電放射電極4の高次共振周波数をずらす調整を行っていることから、周波数切り換え用回路5のPINダイオード14に起因した不要波の再放射量が小さく抑制されている。このため、アンテナ構造1からの不要波の放射に起因した様々な問題を防止することができ、アンテナ構造1に対する信頼性を高めることができる。なお、この第1実施形態例では、不要波放射量の許容限界値Spとして−30dBmが設定されていたが、許容限界値Spは、例えば、不要波がアンテナ構造1の周囲の回路に与える影響の大きさ等を考慮した適宜な値に設定されるものであり、−30dBmに限定されるものではない。
また、図1に示す例では、周波数切り換え用回路5は、PINダイオード14のオン・オフ動作によってインダクタ13のインダクタンス成分を給電放射電極4に付与する状態と付与しない状態とを切り換えて、給電放射電極4の共振周波数を切り換える構成を備えていたが、例えば、周波数切り換え用回路5は、例えば図3に示されるように、容量装荷用電極16と、グランド接地用通路17と、PINダイオード18とを有して構成されていてもよい。容量装荷用電極16は、図3の例では、基体3の後端面3bに形成されており、給電放射電極4の他端部4bとの間に容量を形成するように配置されている。グランド接地用通路17は、容量装荷用電極16を回路基板2に形成されているグランド電極に電気的に接続させるための導通路である。PINダイオード18は、カソード側をグランド側にしてグランド接地用通路17に介設されている。このPINダイオード18には、当該PINダイオード18のオン・オフ動作を制御するための電圧の印加手段(図示せず)が電気的に接続される。例えば、無線通信装置の制御回路によってその電圧の印加手段が制御されてPINダイオード18のオン・オフ動作が制御される。PINダイオード18がオン状態のときには、容量装荷用電極16がグランドに接地されている状態であるので、給電放射電極4の他端部4bと容量装荷用電極16(グランド)との間の容量が給電放射電極4に付与される。PINダイオード18がオフ状態のときには、容量装荷用電極16は電気的に浮いた状態となって給電放射電極4には容量装荷用電極16に基づいた容量は付与されない。このように容量が付与される状態と付与されない状態とがPINダイオード18のオン・オフ動作によって切り換わることにより、給電放射電極4の電気長が切り換わって給電放射電極4の共振周波数を切り換えることができる。
図3に示されるような周波数切り換え用回路5が設けられている場合にも、PINダイオード18に起因した不要波の再放射の虞があることから、前述同様に、給電放射電極4の高次共振周波数が調整される。この高次共振周波数の調整により、周波数切り換え用回路5のPINダイオード18に起因した不要波の最大放射量を許容限界値である例えば−30dBm以下に小さく抑えることができる。
さらに、周波数切り換え用回路5は、スイッチ素子のオン・オフ動作の切り換えによって、インダクタンス成分と容量成分の両方が給電放射電極4に付与されている状態と付与されていない状態とを切り換える回路構成を備えていてもよい。
以下に、第2実施形態例を説明する。なお、この第2実施形態例の説明において、第1実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
この第2実施形態例では、図4(a)の斜視図および図4(b)の基体3の展開図に示されるように、基体3には給電放射電極4が設けられると共に、無給電放射電極20が設けられている。図4(a)、(b)に示される給電放射電極4は、図1に示される給電放射電極4と同様にスリット7が形成されており、スリット7を介して隣接配置されている給電放射電極部分の一方側の一端部4aが無線通信用回路8に電気的に接続される給電端Qと成し、他端側の給電放射電極部分の一端部4aが開放端Kと成しており、給電放射電極4は、給電端Qからスリット7を迂回して開放端Kに至るループ形状と成している。また、この給電放射電極4は、無線通信用回路8側とのインピーダンス整合を図るために給電端Qの近傍領域を接地させる構成を備えている。
無給電放射電極20は、給電放射電極4と間隔を介して隣接配置され給電放射電極4との電磁結合により給電放射電極4と複共振状態を作り出すものである。当該無給電放射電極20には、一端部20aから他端部20bに向かう方向に伸長形成される伸長形成部位を有するスリット21が形成されている。このスリット21を介して隣接配置されている無給電放射電極部分の一方側の一端部20aはグランドに接地されるグランド接地端Gと成し、他方側の無給電放射電極部分の一端部20aは開放端Kと成している。無給電放射電極20は、グランド接地端Gからスリット21を迂回して開放端Kに向かうループ形状と成している。この無給電放射電極20に周波数切り換え用回路22が接続されている。この周波数切り換え用回路22は、図1に示した周波数切り換え用回路5と同様な回路構成を有していてPINダイオード等のスイッチ素子のオン・オフ動作によってインダクタンス成分を無給電放射電極20に付与する状態と付与しない状態とを切り換える構成を備えていてもよいし、図3に示した周波数切り換え用回路5と同様な回路構成を有していてPINダイオード等のスイッチ素子のオン・オフ動作によって容量成分を無給電放射電極20に付与する状態と付与しない状態とを切り換える構成を備えていてもよいし、スイッチ素子のオン・オフ動作によってインダクタンス成分と容量成分の両方を無給電放射電極20に付与する状態と付与しない状態とを切り換える構成を備えていてもよい。この周波数切り換え用回路22の切り換え動作によって、例えば、無給電放射電極20の基本共振周波数(無給電側の基本共振周波数)を図4(c)に示す周波数fonと周波数foffの一方に択一的に切り換えることができる。なお、図4(c)において、実線Aは周波数切り換え用回路22のスイッチ素子がオフ状態であるときのアンテナ構造1のリターンロス特性であり、複共振の低い方の共振が無給電放射電極20の共振で、高い方の共振が給電放射電極4の共振である。鎖線Bは周波数切り換え用回路22のスイッチ素子がオン状態であるときのアンテナ構造1のリターンロス特性であり、複共振の低い方の共振が給電放射電極の共振で、高い方の共振が無給電放射電極の共振である。また、点線Xで囲んだ領域内のリターンロスはスイッチ素子のオフ時の給電放射電極4の共振動作に基づいたものであり、点線Yで囲んだ領域内のリターンロスはスイッチ素子のオフ時の無給電放射電極20の高次共振モードの共振動作に基づいたものである。
上記周波数切り換え用回路22のスイッチ素子に起因した不要波が第1実施形態例に述べたと同様な現象によって無給電放射電極20から再放射される虞がある。そこで、この第2実施形態例では、周波数切り換え用回路22が接続されている無給電放射電極20において、無給電側の高次共振周波数を無線通信システムの送信帯周波数(無給電側の基本共振周波数foff)の整数倍の周波数fn(fn=2foff,3foff,4foff,・・・)からずらして周波数切り換え用回路22のスイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が許容限界値である例えば−30dBm以下となるように無給電放射電極20の高次共振周波数の調整が行われている。この無給電側の高次共振周波数の調整手法は、第1実施形態例で述べた給電放射電極4の高次共振周波数の調整手法と同様である。ここでは、その詳細な説明は省略する。
なお、給電放射電極4と無給電放射電極20は電磁結合していることから、周波数切り換え用回路22のスイッチ素子に起因した不要波の周波数と、給電放射電極4の高次共振モードの高次共振周波数とが近接していると、その不要波と、給電放射電極4の高次共振モードの共振動作とが重なって不要波が給電放射電極4から再放射される虞がある。このような場合には、不要波の最大放射量が許容限界値である例えば−30dBm以下となるように給電放射電極4の高次共振周波数の調整も行われる。
以下に、第3実施形態例を説明する。この第3実施形態例は無線通信装置に関するものである。この第3実施形態例の無線通信装置は、第1又は第2の各実施形態例に示したアンテナ構造1のうちの何れか一方が設けられている。それ以外の無線通信装置の構成には様々な構成があり、ここでは、その何れの構成を採用してもよく、その説明は省略する。また、アンテナ構造1の説明は第1又は第2の実施形態例で述べたのでその説明は省略する。
なお、この発明は第1〜第3の各実施形態例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、給電放射電極4や無給電放射電極20の形状は図1や図4の形態に限定されるものではなく、予め定められた無線通信用の周波数帯や、放射電極4,20の形成可能な面積(大きさ)等を考慮した適宜な形状を採り得るものである。例えば、スリットが無い形状であってもよい。また、分岐放射電極が形成されている形状であってもよい。
また、第1〜第3の各実施形態例では、給電放射電極4や無給電放射電極20は基体3に形成されていたが、例えば、回路基板2の基板面に形成されていてもよいし、回路基板2が収容される筐体の内壁面に形成されていてもよい。さらに、第1〜第3の各実施形態例では、周波数切り換え用回路5,22は回路基板2に形成されていたが、周波数切り換え用回路5,22は、給電放射電極4や無給電放射電極20と同様に基体3に形成されていてもよい。
さらに、第1〜第3の各実施形態例では、周波数切り換え用回路5,22は、図1や図3に示されるような回路構成を有していたが、周波数切り換え用回路5,22の回路構成は、インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方あるいは両方を給電放射電極4又は無給電放射電極20に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えることができれば、図1や図3の回路構成に限定されるものではなく、適宜な回路構成を採り得るものである。
さらに、第2実施形態例では、給電放射電極4と無給電放射電極20が設けられている場合に、無給電放射電極20に周波数切り換え用回路22が接続されていたが、給電放射電極4と無給電放射電極20が設けられている場合に、給電放射電極4に周波数切り換え用回路5が接続されている構成であってもよく、この場合には、第1実施形態例と同様に、周波数切り換え用回路5のスイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するために給電放射電極4の高次共振周波数は送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数に調整されて、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が許容限界値である例えば−30dBm以下に抑制されている構成とする。また、不要波放射に無給電放射電極20が大きく関与している場合には、給電放射電極4の高次共振周波数の調整だけでなく、無給電放射電極20の高次共振周波数の調整をも行って、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が許容限界値である例えば−30dBm以下に抑制されている構成とする。
さらに、給電放射電極4と無給電放射電極20が設けられている場合に、給電放射電極4と無給電放射電極20の両方にそれぞれ周波数切り換え用回路5,22が接続されている構成としてもよい。この場合にも、第1と第2の各実施形態例と同様に、給電放射電極4および無給電放射電極20の各高次共振周波数は、それぞれ、不要波放射を抑制すべく周波数調整が行われて、周波数切り換え用回路5,22のスイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が許容限界値である例えば−30dBm以下に抑制されている構成とする。
さらに、図5に示されるようなアンテナ構造1としてもよい。つまり、図5の例に示されるアンテナ構造1は、例えば850MHz帯というような低い方の周波数帯と、例えば1900MHz帯というような高い方の周波数帯との異なる2つの周波数帯での無線通信に対応可能なものである。当該アンテナ構造1は、低い方の周波数帯での無線通信を行う低側のアンテナ部26と、高い方の周波数帯での無線通信を行う高側のアンテナ部27とを有している。低側のアンテナ部26と、高側のアンテナ部27とは、それぞれ、別個独立の基体29,30を有し、各基体29,30には、それぞれ、給電放射電極31,32と、無給電放射電極33,34とが形成されている。それら給電放射電極31,32と無給電放射電極33,34とのうちの少なくとも一つには、例えば前述したような周波数切り換え用回路5,22と同様な構成を持つ周波数切り換え用回路(図示せず)が接続されて共振周波数が切り換わる構成となっている。その周波数切り換え用回路が接続されている給電放射電極あるいは無給電放射電極の高次共振周波数は、周波数切り換え用回路を構成するスイッチ素子に起因した不要波放射の問題を抑制すべく送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数に調整されて、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量は許容限界値である例えば−30dBm以下に抑制されている。なお、周波数切り換え用回路が接続されていない給電放射電極あるいは無給電放射電極であっても周波数切り換え用回路のスイッチ素子に起因した不要波と高次共振モードの共振動作とが重なって不要波放射の虞がある場合には、その不要波放射の虞がある給電放射電極あるいは無給電放射電極も不要波放射を抑制すべく高次共振周波数の調整が行われる。また、低側のアンテナ部26の給電放射電極31や無給電放射電極33の高次共振周波数の調整に関しては、その低側のアンテナ部26の給電放射電極31や無給電放射電極33の高次共振モードの共振動作と、高側のアンテナ部27の給電放射電極32や無給電放射電極34の基本共振モードの共振動作との干渉を避けることも考慮して、給電放射電極31や無給電放射電極33の高次共振周波数の調整が行われる。
図5に示すアンテナ構造1では、低側のアンテナ部26と、高側のアンテナ部27とはそれぞれ別個独立の基体29,30を有していたが、低側のアンテナ部26と高側のアンテナ部27をそれぞれ構成する給電放射電極31,32および無給電放射電極33,34は全て共通の基体に形成されていてもよいし、回路基板2に形成されていてもよいし、回路基板2が収容される筐体の内壁面に形成されていてもよい。また、低側のアンテナ部26を構成する給電放射電極31および無給電放射電極33は基体に形成され、高側のアンテナ部27を構成する給電放射電極32および無給電放射電極34は回路基板2に形成される構成としてもよいし、低側のアンテナ部26を構成する給電放射電極31および無給電放射電極33は回路基板2に形成され、高側のアンテナ部27を構成する給電放射電極32および無給電放射電極34は基体に形成される構成としてもよい。このように、給電放射電極と無給電放射電極の配設場所は特に限定されるものではない。
さらに、図5に示すアンテナ構造1では、低側のアンテナ部26と、高側のアンテナ部27とは、それぞれ、両方共に、給電放射電極と無給電放射電極を有していたが、例えば低側のアンテナ部26と高側のアンテナ部27とのうちの一方又は両方において給電放射電極だけで要求の周波数帯域幅を得ることができる場合には、無給電放射電極を省略してもよい。
さらに、図5では、互いに異なる二つの周波数帯での無線通信が可能な構成であったが、例えば、少なくとも給電放射電極を有する三つ以上のアンテナ部が設けられていて互いに異なる三つ以上の無線通信システムにそれぞれ対応可能な構成とし、それら三つ以上のアンテナ部の少なくとも一つの給電放射電極あるいは無給電放射電極には前記周波数切り換え用回路5,22と同様な構成を持つ周波数切り換え用回路が接続されている構成としてもよい。この場合には、その周波数切り換え用回路を構成するスイッチ素子に起因した不要波放射の問題を抑制すべく、給電放射電極あるいは無給電放射電極の高次共振周波数は、送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数に調整されて、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量は許容限界値である例えば−30dBm以下に抑制される。
さらに、上述した各例では、周波数切り換え用回路のスイッチ素子としてPINダイオードが設けられていたが、周波数切り換え用回路のスイッチ素子はPINダイオードに限定されるものではなく、例えば、ショットキーバリアダイオードやバリキャップダイオード等のダイオードや、SPDT(SinglePole-Dual-Throw)スイッチであるGaAsスイッチ素子や、強誘電体スイッチ素子や、MEMS(Micro-Electro-Mechanical-System)スイッチ素子等の他のスイッチ素子を設けてもよい。
第1実施形態例のアンテナ構造を説明するための図である。 図1のアンテナ構造のリターンロス特性の一例を表すと共に、不要波放射抑制のための共振周波数調整を説明するために使用する図である。 周波数切り換え用回路のその他の回路構成例を説明するための図である。 第2実施形態例のアンテナ構造を説明するための図である。 その他の実施形態例を説明するための図である。 従来例の一つを説明するための図である。
符号の説明
1 アンテナ構造
2 回路基板
3 基体
4 給電放射電極
5,22 周波数切り換え用回路
7,21 スリット
20 無給電放射電極

Claims (16)

  1. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
    を有するアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
    給電放射電極は、当該給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である高次共振周波数とを有しており、
    この給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、高次共振周波数が無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制することを特徴とするアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  2. 給電放射電極には、当該電極の一端部から他端部に向かう伸長形成部位を有するスリットが形成されており、そのスリットを介して隣接配置されている給電放射電極部分の一方側の上記一端部は無線通信用回路に電気的に接続される給電端と成し、他方側の給電放射電極部分の上記一端部は開放端と成しており、給電放射電極は、給電端からスリットを迂回して開放端に向かうループ形状と成しており、
    高調波制御手段は上記スリットにより構成されており、給電放射電極の高次共振周波数が無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数からずれてスイッチ素子に起因した不要波放射を抑制できる周波数になるべく上記スリットの切り込み長さ又はスリット幅を調整することを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  3. 給電放射電極は誘電体から成る基体に設けられている構成と成し、給電放射電極の一部が高次共振周波数調整用部位として予め定められており、高調波制御手段は、その高次共振周波数調整用部位と成す給電放射電極部分が設けられている基体部分により構成されており、給電放射電極の高次共振周波数が無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数からずれてスイッチ素子に起因した不要波放射を抑制できる周波数になるべく上記高次共振周波数調整用部位が設けられている基体部分の誘電率を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  4. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
    給電放射電極と間隔を介して配置され給電放射電極との電磁結合により給電放射電極との複共振状態を作り出す無給電放射電極と、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を無給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて無給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
    を有するアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
    無給電放射電極は、当該無給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である無給電側の基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である無給電側の高次共振周波数とを有しており、
    この無給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、無給電側の高次共振周波数が無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が無給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制することを特徴とするアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  5. 無給電放射電極には、当該電極の一端部から他端部に向かう伸長形成部位を有するスリットが形成されており、そのスリットを介して隣接配置されている無給電放射電極部分の一方側の上記一端部はグランドに電気的に接続されるグランド接地端と成し、他方側の無給電放射電極部分の上記一端部は開放端と成しており、無給電放射電極は、グランド接地端からスリットを迂回して開放端に向かうループ形状と成しており、
    高調波制御手段は上記スリットにより構成されており、無給電側の高次共振周波数が無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数からずれてスイッチ素子に起因した不要波放射を抑制できる周波数になるべく上記スリットの切り込み長さ又はスリット幅を調整することを特徴とする請求項4記載のアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  6. 無給電放射電極は誘電体から成る基体に設けられている構成と成し、この無給電放射電極の一部が高次共振周波数調整用部位として予め定められており、高調波制御手段はその高次共振周波数調整用部位と成す無給電放射電極部分が設けられている基体部分により構成されており、無給電側の高次共振周波数が無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数からずれてスイッチ素子に起因した不要波放射を抑制できる周波数になるべく上記高次共振周波数調整用部位が設けられている基体部分の誘電率を調整することを特徴とする請求項4又は請求項5記載のアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  7. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能して予め定められた異なる二つの周波数帯のうちの高い方の周波数帯での無線通信を行う高側の給電放射電極と、低い方の周波数帯での無線通信を行う低側の給電放射電極とを少なくとも有し、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路が、少なくとも上記低側の給電放射電極に接続されている構成を備えているアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
    上記各給電放射電極は、それぞれ、給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である高次共振周波数とを有しており、
    少なくとも低側の給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、低側の給電放射電極の高次共振周波数が、上記低い方の周波数帯における送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように、かつ、低側の給電放射電極の高次共振モードの共振動作と高側の給電放射電極の基本共振モードの共振動作との干渉を防止する周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、上記低い方の周波数帯における送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が低側の給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制すると共に、低側の給電放射電極の高次共振モードの共振動作と高側の給電放射電極の基本共振モードの共振動作との干渉が回避されていることを特徴とするアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  8. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能して予め定められた異なる二つの周波数帯のうちの高い方の周波数帯での無線通信を行う高側の給電放射電極と、低い方の周波数帯での無線通信を行う低側の給電放射電極とを少なくとも有すると共に、低側の給電放射電極と間隔を介して配置され低側の給電放射電極との電磁結合により低側の給電放射電極との複共振状態を作り出す低側の無給電放射電極を有し、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を低側の無給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて低側の無給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路が設けられている構成を備えているアンテナ構造の上記スイッチ素子に起因した不要波放射を抑制するための方法であって、
    上記無給電放射電極は、当該無給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である無給電側の基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である無給電側の高次共振周波数とを有しており、
    上記低側の無給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えており、低側の無給電放射電極の高次共振周波数が、上記低い方の周波数帯における送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように、かつ、低側の無給電放射電極の高次共振モードの共振動作と高側の給電放射電極の基本共振モードの共振動作との干渉を防止する周波数となるように上記高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化を調整して、上記低い方の周波数帯における送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波が低側の無給電放射電極の高次共振モードの共振動作により放射される事態を抑制すると共に、低側の無給電放射電極の高次共振モードの共振動作と高側の給電放射電極の基本共振モードの共振動作との干渉が回避されていることを特徴とするアンテナ構造の不要波放射抑制方法。
  9. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
    を有するアンテナ構造であって、
    給電放射電極は、当該給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である高次共振周波数とを有しており、
    給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えて、該高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化の調整により、前記給電放射電極における高次共振周波数は、無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように調整されており、この高次共振周波数のずれ量の調整は、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が、予め定めた許容限界値以下に抑制されるように調整されていることを特徴とするアンテナ構造。
  10. 給電放射電極には、当該電極の一端部から他端部に向かう伸長形成部位を有するスリットが形成されており、そのスリットを介して隣接配置されている給電放射電極部分の一方側の上記一端部は無線通信用回路に電気的に接続される給電端と成し、他方側の給電放射電極部分の上記一端部は開放端と成しており、給電放射電極は、給電端からスリットを迂回して開放端に向かうループ形状と成しており、
    給電放射電極における高次共振周波数は、上記スリットの切り込み長さ又はスリット幅の調整により、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が予め定めた許容限界値以下に抑制される周波数に調整されていることを特徴とする請求項9記載のアンテナ構造。
  11. 給電放射電極は誘電体から成る基体に設けられている構成と成しており、
    給電放射電極における高次共振周波数は、予め高次共振周波数調整用部位として定められた給電放射電極部分が設けられている基体部分の誘電率の調整によって、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が予め定めた許容限界値以下に抑制される周波数に調整されていることを特徴とする請求項9又は請求項10記載のアンテナ構造。
  12. 無線通信用回路に電気的に接続しLC共振動作によりアンテナとして機能する給電放射電極と、
    給電放射電極と間隔を介して配置され給電放射電極との電磁結合により給電放射電極との複共振状態を作り出す無給電放射電極と、
    インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を持つ回路部と、スイッチ素子とを有して上記インダクタンス成分と容量成分とのうちの一方又は両方を無給電放射電極に付与する状態と付与しない状態とをスイッチ素子のオン・オフ動作によって切り換えて無給電放射電極のLC共振の共振周波数を切り換える周波数切り換え用回路と、
    を有するアンテナ構造であって、
    無給電放射電極は、当該無給電放射電極が持つ複数の共振モードのうちの最も周波数の低い基本共振モードの共振周波数である無給電側の基本共振周波数と、基本共振モードよりも周波数の高い高次共振モードの共振周波数である無給電側の高次共振周波数とを有しており、
    無給電放射電極は、前記高次共振モードの高周波分布における特異領域に対し局部的に他部位との電磁界結合量を変化させる、あるいは局部的に単位長さ当たりの電気長を変化させる高調波制御手段を備えて、該高調波制御手段の前記他部位との電磁界結合量の変化あるいは前記単位長さ当たりの電気長の変化の調整により、前記無給電側の高次共振周波数は、無線通信システムの予め定められた送信帯周波数の整数倍の周波数からずれた周波数となるように調整されており、この無給電側の高次共振周波数のずれ量の調整は、無線通信システムの送信帯周波数の整数倍の周波数を持つ上記スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が、予め定めた許容限界値以下に抑制されるように調整されていることを特徴とするアンテナ構造。
  13. 無給電放射電極には、当該電極の一端部から他端部に向かう伸長形成部位を有するスリットが形成されており、そのスリットを介して隣接配置されている無給電放射電極部分の一方側の上記一端部はグランドに電気的に接続されるグランド接地端と成し、他方側の無給電放射電極部分の上記一端部は開放端と成しており、無給電放射電極は、グランド接地端からスリットを迂回して開放端に向かうループ形状と成しており、
    無給電側の高次共振周波数は、上記スリットの切り込み長さ又はスリット幅の調整により、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が予め定めた許容限界値以下に抑制される周波数に調整されていることを特徴とする請求項12記載のアンテナ構造。
  14. 無給電放射電極は誘電体から成る基体に設けられている構成と成しており、
    無給電側の高次共振周波数は、予め高次共振周波数調整用部位として定められた無給電放射電極部分が設けられている基体部分の誘電率の調整によって、スイッチ素子に起因した不要波の最大放射量が予め定めた許容限界値以下に抑制される周波数に調整されていることを特徴とする請求項12又は請求項13記載のアンテナ構造。
  15. 許容限界値は−30dBmであることを特徴とする請求項9乃至請求項14の何れか一つに記載のアンテナ構造。
  16. 請求項9乃至請求項15の何れか一つに記載のアンテナ構造が設けられていることを特徴としている無線通信装置。
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