JP5440603B2 - アンテナ及び無線通信装置 - Google Patents

Description

この発明は、携帯電話端末等の無線通信装置に用いられるアンテナ及びそれを備えた無線通信装置に関するものである。

単一のアンテナ素子を用い、制御電圧によって共振周波数をシフトさせるようにしたマルチバンド対応のアンテナが特許文献１に開示されている。ここで、特許文献１のアンテナについて説明する。

図１は特許文献１に示されているアンテナの斜視図である。アンテナ１は、無線通信装置の回路基板２に搭載される誘電体の基体３と、基体３に設けられている給電放射電極４と、給電放射電極４に電気的に接続されている周波数切り換え用回路５とを備えている。

給電放射電極４はλ／４タイプの放射電極であり、基体３の上面３ｕと前端面３ｆと側面３ｓの複数の面に亘って形成されている。この給電放射電極４にはスリット７が形成されていて、給電放射電極４は、給電端Ｑからスリット７を迂回して開放端Ｋに向かうループ形状を成している。

周波数切り換え用回路５は、インダクタ１３と、スイッチ素子であるＰＩＮダイオード１４とで構成されている。ＰＩＮダイオード１４には、当該ダイオード１４のオン・オフ動作を制御するための電圧の印加手段が電気的に接続される。周波数切り換え用回路５のＰＩＮダイオード１４がオフ状態のときには、インダクタ１３に電流が通電する状態であり、これにより、インダクタ１３のインダクタンス成分が給電放射電極４に付与される。また、ＰＩＮダイオード１４がオン状態のときには、インダクタ１３よりもＰＩＮダイオード１４に電流が通電しインダクタ１３には殆ど電流が通電しないので、インダクタ１３のインダクタンス成分は給電放射電極４に付与されない。

このように、周波数切り換え用回路５の切り換え動作によって、給電放射電極４の電気長がインダクタ１３のインダクタンス成分の大きさに応じて切り換わって、給電放射電極４の共振周波数が切り換わる。

一方、逆Ｆ形状のアンテナにおいて誘電体上に放射電極をスパイラル状に形成し、パターン幅を調整することで、高次モードの共振周波数を所望の値にシフトさせるようにしたアンテナが特許文献２に開示されている。

また、誘電体上に放射電極をループ状に形成し、開放端部を給電部に近接させることで容量結合させて、高次モードの共振周波数を可変制御するようにしたアンテナが特許文献３に開示されている。

特開２００８−１７７９３１号公報 特開２００４−７２６９９号公報 特開２００４−１９３８７５号公報

特許文献１はスプリアス輻射が発生する周波数帯に自身のアンテナで高次モードの共振がある状態において、高次モードの共振周波数を１つの放射電極内に設けたスリットでシフトさせ、反射損を増加させることでスプリアス輻射を低減させている。そのため、複数の放射電極を備えて構成されるマルチバンドアンテナには適用できない。

また、特許文献２，３は、共に電極間の容量を利用して自身の高次モードの共振周波数を制御して、使用周波数帯にシフトさせるだけであり、スプリアス輻射自体を低減するものではない。

さらに、特許文献１，２，３はいずれも自身が発生する高次モードを制御するものであり、他のアンテナから放射された電波を受信して発生されるスプリアス輻射を抑制することはできない。

ところで、周波数帯域の異なる複数の周波数帯域を利用する無線通信や放送受信を行う機器においては、利用する周波数帯域に応じて、及び無線通信回路や放送受信回路に対応して、個別のアンテナが備えられる。例えば地上波ディジタルＴＶ放送を受信可能な携帯電話端末においては、携帯電話用のアンテナと地上波ディジタルＴＶ放送受信用のアンテナが備えられる。

しかし、例えば通話用の通信電波が携帯電話用アンテナから送信されると、その電波を地上波ディジタルＴＶ放送受信用アンテナが受けて、地上波ディジタルＴＶ放送受信用アンテナの共振周波数制御回路に備えられている可変容量素子の非線形特性によって高調波が生じ、その高調波が携帯電話用アンテナから輻射される、という問題があった。

本発明の目的は、共振周波数制御回路を備えたアンテナが外部から電波を受けた際に生じる高調波信号の輻射（再放射）を抑制したアンテナ、及びそれを備えた無線通信装置を提供することにある。

前記課題を解決するためにこの発明のアンテナは、第１の放射電極及び第２の放射電極を有するアンテナ素子と、前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極と給電部との間に設けられ、前記第１の放射電極または前記第２の放射電極からの電圧印加により高調波を発生する、非線形特性を有する素子を含む共振周波数制御回路とを備え、
前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極は誘電体基体に形成され、
前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極は、対向によって容量を生じさせる櫛形部をそれぞれ備え、
前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極のインダクタンス成分と、前記櫛形部に生じるキャパシタンス成分とによりＬＣ共振回路が構成され、前記ＬＣ共振回路の共振周波数は、外部から入射される電波の周波数にほぼ等しいことを特徴とする。

前記第１の放射電極または前記第２の放射電極のうち少なくとも一方は前記共振周波数制御回路との接続部にメアンダライン状部を備えてもよい。

また、この発明の無線通信装置は、この発明において特有な構成を持つアンテナが筐体内に設けられて構成される。

この発明によれば、第１の放射電極と第２の放射電極との対向によって生じるキャパシタンスと、第１・第２の放射電極のインダクタンスとでＬＣ共振回路が構成され、外部から入射される電波は前記ＬＣ共振回路に閉じ込められて、共振周波数制御回路への入力が抑制される。その結果、高調波の発生が抑制されて、スプリアス輻射が低減される。

特許文献１に示されているアンテナの斜視図である。 この発明の実施形態に係るアンテナ１０１及びそれを備えた携帯電話端末等の無線通信装置の筐体内に組み込まれるアンテナの構成を示す等価的な回路図である。 図２に示したアンテナ１０１が設けられる無線通信装置の概略構成を示す図である。 図２・図３に示したアンテナ１０１のより具体的な構成を示す図であり、図４（Ａ）はアンテナ１０１の一部であるユニットの六面図、図４（Ｂ）は前記ユニットを実装する基板の主要部の平面図である。 図４に示したアンテナ１０１の構成を平面上に展開して表した図である。

この発明の実施形態に係るアンテナ及びそれを備えた無線通信装置の構成について、各図を参照して説明する。
図２は、この発明の実施形態に係るアンテナ及びそれを備えた携帯電話端末等の無線通信装置の筐体内に組み込まれるアンテナの構成を示す等価的な回路図である。

図２において、第１の放射電極２１と第２の放射電極２２はアンテナ素子を構成している。この第１の放射電極２１と第２の放射電極２２は、対向することによって容量を生じさせる櫛形部ＣＯＭを備えている。第１の放射電極２１及び第２の放射電極２２の先端は開放されていて、根元部に共振周波数制御回路３１が接続されている。この共振周波数制御回路３１と接地との間に給電回路（給電部）ＦＣ及び制御電圧発生回路ＣＣが設けられている。

図３は、図２に示したアンテナ１０１が設けられる無線通信装置（例えば携帯電話端末）の概略構成を示す図である。無線通信装置の筐体１００に地上波ディジタルＴＶ放送受信用のアンテナ１０１が設けられている。また筐体１００に通話用無線通信帯用のアンテナ１０２が設けられている。

このように二つのアンテナ１０１，１０２が同じ筐体内に配置されると、その二つのアンテナは近接するので、アンテナ１０２から通話用の通信電波が送信された際、その一部が地上波ディジタルＴＶ放送用のアンテナ１０１に入射される。その結果、図２に示した共振周波数制御回路３１内の可変容量素子のような非線形特性を有する素子によって、前記通話用無線通信帯の２次高調波信号や、それより高次の高調波信号が発生されようとする。

一方、第１の放射電極２１及び第２の放射電極２２のインダクタンス成分と、この２つの放射電極間で構成される櫛形部ＣＯＭに生じるキャパシタンス成分とによってＬＣ共振回路（タンク回路）が構成される。このＬＣ共振回路の共振周波数をアンテナ１０２から送信される通話用無線通信帯の周波数にほぼ等しくしておく。このことにより、前記アンテナ１０２からの電波が入射しても、その基本モードの共振周波数の電波を閉じ込めることになり、前記非線形特性を有する素子によって生じる高次モードの電波の放射（スプリアス輻射）電力を低減することができる。

また、可変容量素子として、可変容量ダイオードを用いた場合、印加される基本モードの電圧にほぼ比例して高調波電力を発生するが、前記ＬＣ共振回路の作用により、印加される基本モードの電圧を使用電圧内で飽和させることができる。そのため、発生する高調波電力が抑制できる。

図４は、図２・図３に示したアンテナ１０１のより具体的な構成を示す図であり、図４（Ａ）はアンテナ１０１の一部であるユニットの六面図である。図４（Ｂ）は前記ユニットを実装する基板の主要部の平面図である。

図４（Ａ）に示されるように、矩形板状の誘電体基体２０の下面にはユニット側第１放射電極２１Ｕが形成されている。また誘電体基体２０の下面には実装用の端子Ｐ３１〜Ｐ３５，Ｐ４１〜Ｐ４５がそれぞれ形成されている。これらの端子のうち端子Ｐ３３，Ｐ３４は前記ユニット側第１放射電極２１Ｕに導通している。

図４（Ｂ）に示されるように、基板３０の非グランド領域ＵＡには基板側第１放射電極２１Ｐが形成されている。また前記ユニットを実装するためのランドＰ１１〜Ｐ１５，Ｐ２１〜Ｐ２５がそれぞれ形成されている。これらのランドのうち、ランドＰ１１〜Ｐ１３は基板側第１放射電極２１Ｐの一部として形成されている。

前記ユニットの下面の端子Ｐ３１〜Ｐ３５は基板３０側のランドＰ１１〜Ｐ１５にそれぞれ対応して接続され、同様にユニット側の端子Ｐ４１〜Ｐ４５は基板３０側のランドＰ２１〜Ｐ２５にそれぞれ接続される。したがって基板側第１放射電極２１Ｐはユニット側第１放射電極２１Ｕと連続し、第１の放射電極として作用する。

図４（Ａ）に示されるように、ユニットの正面には回路パターンと複数のチップ部品で共振周波数制御回路３１が構成されている。（図４（Ａ）においては、共振周波数制御回路３１をボックス化して表している。）
また、前記ユニットの正面、上面、背面にかけてメアンダライン状の導体パターン２３ａ，２３ｂ，２３ｃが形成されている。

さらに前記ユニットの背面には第２の放射電極２２が形成されている。この第２の放射電極２２の一部は櫛形電極２２ａ，２２ｂとして形成されている。さらにユニットの背面にはユニットの下面に形成されているユニット側第１放射電極２１Ｕから延びる櫛形電極２１Ｕａ，２１Ｕｂが形成されている。
このようにして、前記櫛形電極２１Ｕａ，２１Ｕｂ及び２２ａ，２２ｂによって櫛形部ＣＯＭが構成されている。

図５は、図４に示したアンテナ１０１の構成を平面上に展開して表した図である。このように第１の放射電極（２１Ｐ，２１Ｕ）と第２の放射電極２２は、櫛形電極２１Ｕａ，２１Ｕｂと櫛形電極２２ａ，２２ｂとの対向によって容量を生じさせる櫛形部ＣＯＭを備える。また、第２の放射電極２２と共振周波数制御回路３１との間にメアンダライン状部２３が設けられていて、このメアンダライン状部２３によって第２の放射電極２２のインダクタンス成分が加算され共振周波数が定められる。例えば第１の放射電極の共振周波数は４７０ＭＨｚ、第２の放射電極の共振周波数は６８０ＭＨｚであり、この２つの放射電極を備えたことによって、例えば地上波ディジタルＴＶ放送である４７０ＭＨｚ〜７７０ＭＨｚ帯で利得を得ることができる。

共振周波数制御回路３１は、制御電圧発生回路ＣＣから与えられる制御電圧に応じて可変容量素子のキャパシタンスを制御し、第１の放射電極及び第２の放射電極の共振周波数を制御する。

以上に示した実施形態によれば、誘電体基体２０に櫛形対向電極を形成したので、その櫛形対向電極間に必要な容量を限られたスペースで確保することができ、全体に小型化できる。

また、メアンダライン状部２３の長さを定めることによって前記ＬＣ共振回路のインダクタンス成分を定めることができるので、必要なＬＣ共振回路の共振周波数を限られたスペース内で設定することができる。

ＣＣ…制御電圧発生回路
ＣＯＭ…櫛形部
ＦＣ…給電回路（給電部）
Ｐ１１〜Ｐ１５…ランド
Ｐ２１〜Ｐ２５…ランド
Ｐ３１〜Ｐ３５…端子
Ｐ４１〜Ｐ４５…端子
ＵＡ…非グランド領域
２０…誘電体基体
２１…第１の放射電極
２１Ｐ…基板側第１放射電極
２１Ｕ…ユニット側第１放射電極
２１Ｕａ，２１Ｕｂ…櫛形電極
２２…第２の放射電極
２２ａ，２２ｂ…櫛形電極
２３…メアンダライン状部
２３ａ，２３ｂ，２３ｃ…導体パターン
３０…基板
３１…共振周波数制御回路
１００…筐体
１０１，１０２…アンテナ

Claims (3)

1. 第１の放射電極及び第２の放射電極を有するアンテナ素子と、前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極と給電部との間に設けられ、前記第１の放射電極または前記第２の放射電極からの電圧印加により高調波を発生する、非線形特性を有する素子を含む共振周波数制御回路とを備え、
   前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極は誘電体基体に形成され、
   前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極は、対向によって容量を生じさせる櫛形部をそれぞれ備え、
   前記第１の放射電極及び前記第２の放射電極のインダクタンス成分と、前記櫛形部に生じるキャパシタンス成分とによりＬＣ共振回路が構成され、前記ＬＣ共振回路の共振周波数は、外部から入射される電波の周波数にほぼ等しいことを特徴とするアンテナ。
2. 前記第１の放射電極または前記第２の放射電極のうち少なくとも一方は前記共振周波数制御回路との接続部にメアンダライン状部を備えた請求項１に記載のアンテナ。
3. 請求項１または２に記載のアンテナと、該アンテナに近接し、前記外部から入射される電波を送信する別のアンテナとを筐体内に設けてなる無線通信装置。

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