JP4752587B2 - 永久磁石埋設型回転電機及びカーエアコン用モータ並びに密閉型電動圧縮機 - Google Patents

永久磁石埋設型回転電機及びカーエアコン用モータ並びに密閉型電動圧縮機 Download PDF

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Description

本発明は、巻き線を施された固定子の内側で回転する回転子の内部に複数の永久磁石が磁極として埋設されている永久磁石埋設型回転電機及びカーエアコン用モータ並びに密閉型電動圧縮機に関する。
この種の永久磁石埋設型回転電機(例えば特許文献1〜4参照)では、回転子の内部に複数の永久磁石が回転子の周方向に隣り合うように埋設されており、回転子の周方向に隣り合う一対の永久磁石の磁極が互いに異なるようにしてある。隣り合う一対の永久磁石の間(磁極切り替わり部)付近には急激な磁束密度変動が発生するため、トルク脈動が生じ、これが振動、騒音をもたらす。
特許文献1では、トルク脈動を抑制するために、回転子の半径が周方向で隣り合う永久磁石の間(磁極切り替わり部)で最小となり、かつ磁極中心部の位置で最大となるように、回転子の外周形状を正弦波変化させた形状としている。
特許文献2では、回転子の半径が周方向で隣り合う永久磁石の間(磁極切り替わり部)で最小となり、かつ磁極中心部付近の位置で最大となるように、磁極中心部付近に対応する回転子の外周形状を外向きに突出した円弧形状としている。
特許文献3では、磁極中心部付近に対応する回転子の外周形状を回転子の回転中心と同心の円周部とし、隣り合う永久磁石の磁極端部付近の位置に対応する回転子の外周形状を溝形状としている。
特許文献4では、主磁極部と補助磁極部とが周方向に交互に配置されており、主磁極部に対応する第1の曲線部分と、補助磁極部に対応する第2の曲線部分とを交互に接続して、回転子の外周部が形成されている。そして第2の曲線部分の曲率が第1の曲線部分の曲率より大きくされており、第1,2の曲線部分に円弧を採用した例が開示されている。
特開2001−69701号公報 特開2002−95194号公報 特開2002−136011号公報 特開2004−260972号公報
しかし、特許文献1,2のモータでは、固定子側のティースと回転子の外周との間の空隙の最小は、磁極中心部に対応する回転子の横断面外周上の点部分のみとなるため、トルク定数(単位電流当たりの出力可能トルク)が外周半径一定の回転子と比べて小さくなってしまうという欠点がある。
特許文献3のモータでは、固定子側のティースと回転子の外周との間の空隙が円周部と溝形状の部分とで大きく変化するため、トルク脈動を抑制することが難しい。又、溝形状が深いと、トルク定数が特許文献1,2のモータの場合よりも更に小さくなってしまう。
特許文献4のモータでは、該文献4の図1に示すように、ロータ主磁極間の鉄心部を広くしてあるので、リラクタンストルクを利用し易い構造となっており、出力トルクの平均値の低下を抑制しつつ、音や振動を低減できる技術が開示されている。
本発明は、出力トルクの平均値の低下を抑制すると共に、該主磁極間の鉄心部が狭くなるという、リラクタンストルクを出力トルクの平均値の向上に利用しない構成とし、極間を広く取ることによるトルク脈動〔以下、トルクリップル(出力トルクの変動幅)と称する〕の悪化を抑制しつつ、さらに、トルク波形を高次数化させることにより、トルクリップルを低減させて、音や振動を低減させることができる永久磁石埋設型回転電機及びカーエアコン用モータ並びに密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。
本発明は、環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻き線が施されており、前記固定子の内側で回転する回転子の内部に複数の永久磁石が埋設されている永久磁石埋設型回転電機を対象とし、請求項1の発明は、前記永久磁石の磁極中心部に対応する前記回転子の外周が前記回転子の回転中心と同心の円周面形状の円周部であり、前記永久磁石に対応する前記各円周部は、互いに離れており、隣り合う一対の前記円周部は、前記円周部を含む仮想の円周面よりも内側において半径方向の外側へ向けて凸の凸形状部で結ばれており、前記凸形状部は、半径方向の外側へ向けて凸の角部を複数有していることを特徴とする。好適な例では、前記複数の永久磁石は、周方向に交互に異なる極性となるように埋設されている。好適な例では、前記永久磁石埋設型回転電機における極数は、6に設定されており、好適な例では、前記永久磁石埋設型回転電機におけるスロット数は、18に設定されている。
固定子側のティースと回転子の外周との間の空隙は、回転子の外周の一部である円周部が外周の他の部分よりも小さくなる(つまり、外周全体の中で最小となる)。そのため、外周半径一定の回転子における外周とティースとの間の空隙と、本発明の円周部とティースとの間の空隙とが同じである場合には、本発明の回転電機におけるトルク低下は、外周半径一定の回転子を用いた回転電機と比べても僅かである。回転子の外周を直線的にカットしたものなどに対してもトルクの低下は少ない。凸形状部は、磁束変動を滑らかにし、複数の角部が出力トルクの波形を高次数化する。
好適な例では、前記複数の角部は、複数の直線を繋いで形成されている。
ここにおける直線は、回転子の回転中心軸線に対して直交する仮想平面と、回転子の外周面とが交差したときに得られる交差線のうち、凸形状部上において得られる交差直線のことである。直線によって角部を形成する構成は、簡便である。
好適な例では、前記凸形状部は、2つの角部を有し、前記2つの角部は、3つの直線を繋いで形成されている。好適な例では、前記2つの角部は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称の関係にある。
出力トルクをフーリエ級数展開した場合、3つの直線を繋いで形成された凸形状部を有する回転子では、出力トルクの基本次数成分におけるトルクリップルは、円弧の凸形状部を有する従来の回転子の場合よりも小さい。つまり、3つの直線を繋いで形成された凸形状部は、回転子の外周面での磁束変動を滑らかにすることに寄与し、トルクリップルが抑制される。
好適な例では、前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線の一方の長さは、前記仮想の円周面に交わる位置まで前記両側の直線の一方を中央の直線側へ延長した延長線よりも長く、前記両側の直線の他方の長さは、前記仮想の円周面に交わる位置まで前記他方を中央の直線側へ延長した延長線よりも長い。
このような構成は、出力トルクの基本次数成分を高次数化する上で好ましい。
好適な例では、前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称であり、前記回転子の回転中心を中心とした前記円周部の角度幅をAとし、前記永久磁石埋設型回転電機における極数をpとし、前記両側の直線のそれぞれの両端が前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅をθcとし、前記円周部の半径をRとし、前記凸形状部から前記回転子の回転中心に至る最小距離と半径Rとの差を深さDhとし、Dhr=Dh×25.5/Rとすると、角度幅Aは、下記の式(a1),(a2),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a1),(a2)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b1),(b2),(b3)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ下記の式(b4),(b5),(b6),(ex2)の全てを満たすように設定されている。
Ao≦〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)
−(−18.9×Dhr+12.7)〕°・・・(a1)
Ao<〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)〕° ・・・(a2)
θco≦10°・・・(b1)
θco≦(−0.5×Ao+16)°・・・(b2)
θco≦(2.5×Ao−30)° ・・・(b3)
〔60−Ao−2×acos(1−Dhr/25.5)〕°/2<θco
・・・(b4)
〔−0.5×Ao+(−14.1×Dhr+26.7)〕°≦θco
・・・(b5)
θco<(60−Ao)°/2・・・(b6)
A=Ao×6/p ・・・(ex1)
θc=θco×6/p・・・(ex2)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。例えばp=12の場合には、式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6)におけるAo,θcoがA×p/6=A×12/6=A×2及びθc×p/6=θc×12/6=θc×2に置き換えられる。つまり、式(ex1),(ex2)の換算を行い、A,θcを設定角度幅として用いる。
acos(1−Dhr/25.5)は、(1−Dhr/25.5)という値をもたらすcosσにおける角度σを表す。このような範囲で角度幅A,θcを設定すれば、外周半径が一定の従来の回転子に比べて、トルクリップル(出力トルクの変動幅の大きさ)を出力トルクの平均値で割った値(トルクリップル率)が小さくなる。
請求項7では、請求項6において、角度幅Aは、下記の式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ前記式(ex1)を満たすように設定されており、式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b7)及び前記式(ex2)の全てを満たすように設定されている。
Dhr≦1.2mmの範囲において、
22°≦Ao≦〔−10×Dhr+37〕°(Dhr≦0.5の場合)
・・・(a3)
(−21.4×Dhr+32.8)°≦Ao≦(−10×Dhr+37)°
(0.5<Dhr≦0.8の場合)・・・(a4)
(−38.75×Dhr+46.5)°≦Ao≦(−27.5×Dhr+51)°
(0.8<Dhrの場合)・・・(a5)
θco≦〔(−2.5×Dhr+2.5)×(Ao−16°)+10〕°
・・・(b7)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a3),(a4),(a5),(b7)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a3),(a4),(a5),(b7)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。つまり、式(ex1),(ex2)の換算を行い、A,θcを設定角度幅として用いる。このような範囲で角度幅A,θcを設定すれば、トルクリップル(出力トルクの変動幅の大きさ)の基本次数成分を外周半径一定のロータの場合よりも0.7倍以下にすることができる。
好適な例では、前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称であり、前記回転子の回転中心を中心とした前記円周部の角度幅をAとし、前記永久磁石埋設型回転電機における極数をpとし、前記両側の直線の両端が前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅をθcとし、前記円周部の半径をRとし、前記凸形状部から前記回転子の回転中心に至る最小距離と半径Rとの差を深さDhとし、Dhr=Dh×25.5/Rとすると、角度幅Aは、下記の式(a6),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a6)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b8),(b9),(ex2)の全てを満たすように設定されている請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
Dhr≦0.5mmの範囲において、
(−2.5×Dhr+27.25)°≦Ao≦(−2.5×Dhr+30.25)°
・・・(a6)
(−12.5×Dhr+15.25)°≦θco≦
(−12.5×Dhr+18.25)°・・・(b8)
θco<(60―Ao)°/2 ・・・(b9)
A=Ao×6/p ・・・(ex1)
θc=θco×6/p・・・(ex2)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a6),(b8),b9)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a6),(b8),b9)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。このような範囲で角度幅A,θcを設定すれば、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(例えば、6極18スロットならば18次)成分の大きさを基本次数の倍の次数(例えば、6極18スロットならば36次)成分以下とすることができる。
好適な例では、前記永久磁石は、前記回転子に設けられた収容孔に収容されており、隣り合う一対の前記収容孔のうちの一方の収容孔側の起点と、隣り合う一対の前記収容孔のうちの他方の収容孔側の起点とが前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅のうち、最大の角度幅をブリッジ間角度Θbとすると、ブリッジ間角度Θbは、0<Θb≦10°の範囲で設定されており、前記一方の収容孔側の起点は、前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線の一方を平行移動して前記一方の収容孔の形成壁面と接する点と、前記凸形状部の中央の直線を平行移動して前記一方の収容孔の形成壁面と接する点とのうち、前記両側の直線の一方が移動した距離と、前記中央の直線が移動した距離との短い方の点であり、前記他方の収容孔側の起点は、前記凸形状部の両側の直線の他方を平行移動して前記他方の収容孔の形成壁面と接する点と、前記凸形状部の中央の直線を平行移動して前記他方の収容孔の形成壁面と接する点とのうち、前記両側の直線の他方が移動した距離と、前記中央の直線が移動した距離との短い方の点である。
ブリッジ間角度Θbを0<Θb≦10°の範囲で設定する構成は、トルクリップル率を抑制する上で好ましい。
好適な例では、前記凸形状部は、複数の直線と、前記回転子の半径方向の外側へ向けて凸の凸曲線とで形成され、隣り合う一対の前記直線は、前記凸曲線で繋がれている。
隣り合う一対の直線を凸曲線で繋いだ構成は、回転子の外周面での磁束変動を滑らかにすることに寄与し、トルクリップルが抑制される。
好適な例では、前記複数の円周部は、等ピッチで配設されている。
円周部を等ピッチで配設した構成は、トルクの低下防止及びトルクリップルの抑制の上で好適な構成である。
好適な例では、前記ティースと前記回転子の外周との間の空隙の大きさは、隣り合う一対の前記永久磁石の間に位置する磁極切り替わり部に対応する空隙が最も大きい。
磁極切り替わり部に対応する空隙を最も大きくした構成は、急激な磁束密度変動を緩和し、トルクリップルの抑制に寄与する。
好適な例では、前記固定子の巻き線方式は、波巻きであり、振動抑制に有利である。
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の永久磁石埋設型回転電機をカーエアコン用モータとして用いた。
請求項18の発明は、回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する密閉型電動圧縮機において、請求項17に記載のカーエアコン用モータを前記回転電機として用いた。
車載用の密閉型電動圧縮機では、騒音及び振動を低減したい上に、出力トルクを下げたくないという要求が厳しい。本発明の永久磁石埋設型回転電機は、これらの要求に好適である。
本発明の永久磁石埋設型回転電機及びカーエアコン用モータ並びに密閉型電動圧縮機は、トルクの低下を防止でき、しかもトルクリップルも一層抑制できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図29に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、固定子11は、環状のコア12と、コア12の内周に複数配列されたティース121間のスロット122に施されたコイル13とからなる。本実施形態では、ティース121及びスロット122の個数は、18個である。スロット122は、環状の固定子11の周方向に等ピッチで配列されている。図2に示すように、コア12は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板14を積層して構成されている。又、スロット122に施されたコイル13は、波巻きで巻かれている。
一般的に、極数をp(整数)、相数をm(整数)、毎極毎相あたりのスロット数をq(0.5,1,1.5,2,2.5・・・というように0.5飛び)、固定子のスロット数をKとした場合、下記の関係式が成立する。
K=q×p×m
例えば、3相、q=1の場合には、スロット数Kと極数pとの関係は、4極12スロット、6極18スロット、8極24スロット等となる。又、例えば、3相、q=1.5の場合には、スロット数Kと極数pとの関係は、4極18スロット、6極27スロット、8極36スロット等となる。
上記例示の中で、6極18スロットを有する波巻きを取り上げて図3,4で説明する。固定子11における波巻きは、図4に示すように、インバータ10のU相の端子101に接続されるU相コイル線(符合13Uで示す)は、第1のスロット(符合122Uで示す)の群に通されている。インバータ10のV相の端子102に接続されるU相コイル線(符合13Vで示す)は、第2のスロット(符合122Vで示す)の群に通されており、インバータ10のW相の端子103に接続されるW相コイル線(符合13Wで示す)は、第3のスロット(符合122Wで示す)の群に通されている。各コイル線13U,13V,13Wの実線部分は、固定子11の手前の端面側に配線された部分であり、各コイル線13U,13V,13Wの破線部分は、固定子11の向こう側の端面側に配線された部分である。各コイル線13U,13V,13Wの実線部分と破線部分との繋ぎ部分は、スロット122U,122V,122Wを通っている部分である。符合Nは、各コイル線13U,13V,13Wの終端を結線した中性点である。
図1(a)に示すように、回転子15は、コア16と、コア16内に埋設された複数(本実施形態では6個)の平板形状の永久磁石17A,17Bとからなる。複数の永久磁石17A,17Bは、全て同形同大である。固定子11の周方向に等ピッチに配列された複数(18個)のスロット122のピッチの角度幅(回転子15の回転中心Cを中心とする角度幅)θは、20°である。
図2に示すように、コア16は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板18を積層して構成されている。コア16の中心部には軸孔161が貫設されている。軸孔161には出力軸(図示略)が通されて固定される。
図1(a)に示すように、永久磁石17A,17Bは、軸孔161の方向にコア16に貫設された収容孔162に嵌入されており、永久磁石17A,17Bは、回転子15の周方向に隣り合うようにコア16内に磁極として埋設されている。回転子15の周方向に隣り合う一対の永久磁石17A,17Bの磁極は、互いに異なっている。つまり、複数の永久磁石17A,17Bは、周方向に交互に異なる極性となるように埋設されている。
永久磁石17A,17Bの磁極端部171と磁極端部172との間の中間位置にある磁極中心部173を通る回転子15の半径線151A,151Bは、平板形状の永久磁石17A,17Bに対して直交する。回転子15の回転中心Cに繋がる半径線151A,151Bは、回転中心Cを中心とする等角度間隔(60°)の位置にある。又、永久磁石17A,17Bは、回転子15の回転中心Cから等距離の位置にあり、永久磁石17A,17Bは、回転子15の周方向に等ピッチに配列されている。
収容孔162の両端(磁極端部172,173の近傍)には空間163が設けられている。収容孔162に永久磁石17A,17Bが収容された状態では、永久磁石17A,17Bの両端側に磁路短絡防止用の空間163が残される。
図1(b)に示すように、半径線151A,151Bを含む角度幅Aにおける回転子15の外周は、回転中心Cを中心とする半径Rの円周部19A,19Bに形成されている。半径線151Aは、円周部19Aの周方向における中心位置191と交差しており、半径線151Bは、円周部19Bの周方向における中心位置191と交差している。つまり、円周部19A,19Bの端縁192を通る半径線152と半径線151A,151Bとの間の角度幅は、円周部19A,19Bの端縁193を通る半径線153と半径線151A,151Bとの間の角度幅に等しい。
円周部19A,19Bの周方向における中心位置191は、半径線151A,151B上にあり、半径線151A,151Bは、回転中心Cを中心とする等角度間隔(60°)の位置にある。つまり、円周部19A,19Bは、周方向に等ピッチに配列されており、円周部19A,19Bは、永久磁石17A,17Bの磁極中心部173に対応している。
永久磁石17Aに対応する円周部19Aと、永久磁石17Bに対応する円周部19Bとは、離れており、隣り合う円周部19Aと円周部19Bとは、回転子15の半径方向の外側へ凸の凸形状部20によって結ばれている。
円周部19Aの端縁193(又は192)と円周部19Bの端縁192(又は193)とに繋がる凸形状部20は、端縁192と端縁193とを結ぶ平面Hに対して平行な第1平面H1と、第1平面H1の一側縁と端縁192とを結ぶ第2平面H2と、第1平面H1の他側縁と端縁193とを結ぶ第3平面H3とを繋いで形成されている。図1(b)では、平面H、第1平面H1、第2平面H2及び第3平面H3は、回転中心Cの軸線(以下、回転中心軸線Cと記すこともある)に対して直交する仮想平面(紙面)との交差部分(つまり交差直線)として表されている。以下においては、平面Hを直線Hに、第1平面H1を第1直線H1に、第2平面H2を第2直線H2に、第3平面H3を第3直線H3に置き換えて記すこともある。
隣り合う第1直線H1と第2直線H2とは、回転子15の半径方向の外側に向けて凸の鈍角形状の角部H11を形成し、隣り合う第1直線H1と第3直線H3とは、回転子15の半径方向の外側に向けて凸の鈍角形状の角部H12を形成する。
凸形状部20の第1直線H1の中央は、永久磁石17Aと永久磁石17Bとの間に位置する磁極切り替わり部164に対応する。つまり、ティース121と回転子15の外周との間の空隙の大きさ(つまり、円周部19A,19Bを含む仮想の円周面Eと回転子15の外周との間の間隔)は、隣り合う一対の永久磁石17A,17Bの間に位置する磁極切り替わり部164に対応する空隙Gが最も大きい。つまり、回転子15の半径は、空隙Gに対応する部分で最小である。
図5における直線154は、中間位置201(凸形状部20上において円周部19A,19Bの端縁192と端縁193との間の真ん中の位置)と、回転中心Cとを結ぶ線であって、凸形状部20から回転子15の回転中心Cに至る最小距離となる線である。つまり、直線154は、凸形状部20を周方向に2等分割し、且つ凸形状部20から回転子15の回転中心Cに至る最小距離となる線である。以下においては、直線154を最小距離線154あるいは2等分割線154と記すこともある。
以下、最小距離線154の長さを最小距離Hr〔図5に図示〕と記す。Dhは、中間位置201と、端縁192,193の間における仮想の円周面Eを2等分割する中間位置190との直線距離を表す。中間位置190は、最小距離線154の延長線上にあり、Dhは、円周部19A,19Bの半径Rと最小距離Hrとの差を表す。
第1直線H1は、最小距離線154に対して前記仮想平面内で直交し、且つ中間位置190から半径方向へ差Dhだけ離れた直線である。以下、Dhを深さDhと記す。第1直線H1の中間位置201から第1直線H1の両側の端縁(角部H11,H12)に至る距離は、同じである。従って、回転中心Cを中心とした第2直線H2の角度幅と、回転中心Cを中心とした第3直線H3の角度幅とは、同じ角度幅θcとなる。
凸形状部20は、円周部19A,19Bを含む半径Rの仮想の円周面Eよりも内側、かつ端縁192と端縁193とを結ぶ直線Hよりも外側の範囲内で回転子15の半径方向の外側へ向けて突出している。つまり、凸形状部20は、仮想の円周面Eと直線Hとの間の領域内(仮想の円周面E上及び直線H上を除く)で回転子15の半径方向の外側へ向けて突出している。つまり、角部H11,H12(第1直線H1の両側の端縁)は、仮想の円周面Eよりも半径方向の内側に位置し、且つ直線Hよりも半径方向の外側に位置する。そして、第2直線H2と第3直線H3とは、凸形状部20を周方向に2等分割する2等分割線154に関して鏡映対称(左右対称)の関係にあり、一対の角部H11,H12は、2等分割線154に関して鏡映対称(左右対)の関係にある。
3つの直線H1,H2,H3のうち、両側の直線H2,H3の長さは、円周部19A,19Bに一致する仮想の円周面Eに交わる位置E2,E3まで直線H2,H3を中央の直線H1側へ延長した延長線H21,H31〔図6に図示〕よりも長い。
第1直線H1、第2直線H2及び第3直線H3を繋いで形成された各凸形状部20は、いずれも同形同大である。
図6に示すDmaxは、中間位置Hoと中間位置190との直線距離を表し、半径Rと最小距離Rminとの差を表す。以下、Dmaxを仮想最大差Dmaxと記す。仮想最大差Dmax=R×{1−cos(〔(360°/p)−A〕/2)}であり、深さDhは、仮想最大差Dmaxよりも小さい。
図6に示すように、点204は、回転中心軸線Cから永久磁石17A側の空間163の形成壁面と交差して第1直線H1に至る直線155と、第1直線H1との交点である。点205は、回転中心軸線Cから永久磁石17B側の空間163の形成壁面と交差して第1直線H1に至る直線156と、第1直線H1との交点である。永久磁石17A側の収容孔162の一部である空間163の形成壁面上にある点165と、第1直線H1上の点204とを結ぶ線Br1は、回転中心軸線Cから永久磁石17A側の空間163の形成壁面と交差して第1直線H1に至る直線の一部である。永久磁石17B側の収容孔162の一部である空間163の形成壁面上にある点166と、第1直線H1上の点205とを結ぶ線Br2は、回転中心軸線Cから永久磁石17B側の空間163の形成壁面と交差して第1直線H1に至る直線の一部である。以下、点165をBr1の起点165と記し、点166をBr2の起点166と記す。
起点165,166は、以下のように規定される。直線H1を平行移動して永久磁石17A側の収容孔162の形成壁面と接する点(仮に、H01と記す)と、直線H3を平行移動して永久磁石17A側の収容孔162の形成壁面と接する点(仮に、H30と記す)とがある。それらの2点H01,H30の内、直線H1と点H01との間の距離と、直線H3と点H30との間の距離との短い方の点が起点165として採用される。又、直線H1を平行移動して永久磁石17B側の収容孔162の形成壁面と接する点(仮にH02と記す)と、直線H2を平行移動して永久磁石17B側の収容孔162の形成壁面と接する点(仮に、H20と記す)とがある。それらの2点H02,H20の内、直線H1と点H02との間の距離と、直線H2と点H20との間の距離との短い方の点が起点166として採用される。図6には、直線H1,H2,H3を平行移動した例が示してある。
Bmin1は、点165と点204との直線距離を表し、Bmin2は、点166と点205との直線距離を表し、Bmin1=Bmin2である。
図5,6に示すΘbは、回転中心CとBr1の起点165とを結ぶ直線155と、回転中心CとBr2の起点166とを結ぶ直線156との間の角度幅を表す。つまり、Θbは、隣り合う一対の収容孔162の一方と凸形状部20との間のBr1に対応する前記一方の収容孔162側の起点165と、隣り合う一対の収容孔162の他方と凸形状部20との間のBr2に対応する前記他方の収容孔162側の起点166とが回転子15の回転中心Cを中心としてなす角度幅を表す。以下、Θbをブリッジ間角度Θbと記す。
なお、収容孔162(空間163)の形状によっては、前記した点H01、点H30、点H02、あるいは点H20が複数あるいは無数に存在する場合がある。このような場合には角度幅Θbが複数あるいは無数に存在することになる。ここにおけるブリッジ間角度Θbとは、隣り合う一対の空間163の一方(永久磁石17A側の空間163)と凸形状部20との間のBr1に対応する前記一方の空間163側の起点165と、隣り合う一対の空間163の他方(永久磁石17B側の空間163)と凸形状部20との間のBr2に対応する前記他方の空間163側の起点166とが回転子15の回転中心Cを中心としてなす角度幅のうち、最大の角度幅を表す。
図7(a)の棒グラフは、本実施形態の回転子15、図21(a),(b),(c),(d)に示す回転子21,22,23,24を用いた各場合におけるトルク定数をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示す。トルク定数とは、出力トルクの平均値を電流の実効値で割った値のことである。図7(b)の棒グラフは、本実施形態の回転子15、及び回転子21,22,23,24を用いた各場合におけるトルクリップルをFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示す。トルクリップルとは、出力トルクの変動幅の大きさのことである。固定子11は、各回転子21,22,23,24のいずれの場合も、本実施形態の場合と同じ構成である。又、永久磁石17A,17Bの配置及び大きさは、各回転子21,22,23,24のいずれの場合も本実施形態の場合と同じである。
これらのFEM(有限要素法)解析によって求めた例における共通の解析条件は、永久磁石17A,17Bの幅17W〔図5に図示〕がコア16(回転子15)の円周部19A,19Bの半径Rよりも小さいこと、及び、エアギャップg〔円周部19A,19Bとティース121との間の間隙の大きさであって図5に図示〕=0.5mm、極数p=6、スロット122の個数=p×3(=18)である。
図21(a)における回転子21の外周は、半径Rの仮想の円周面Eである。図21(b)における回転子22の外周は、半径Rの円周部19A,19Bと、隣り合う円周部19Aと円周部19Bとを結ぶ平面H(直線H)とからなる。図21(c)における回転子23の外周は、半径Rの円周部19A,19Bと、隣り合う円周部19Aと円周部19Bとを結ぶ凹形状部231とからなる。凹形状部231は、平面Hよりも内側に凹む円弧面である。図21(d)における回転子24の外周は、回転子24の半径が隣り合う永久磁石17A,17Bの間の磁極切り替わり部164の位置で最小となり、かつ磁極端部171,172の間の磁極中心部173で最大となるように、正弦波形状の周面(正弦波形状部241)を繋いだ形状である。半径線151A,151Bの長さは、Rである。回転子24の半径の最小は、回転子22の最小半径よりも大きく、回転子15の最小距離Hrよりも小さくしてある。
図7(a)のグラフにおける棒B1は、図21(a)における回転子21の場合のトルク定数を1として表している。図7(a)のグラフにおける棒Boは、本実施形態の回転子15の場合のトルク定数を棒B1に対する比率として表している。図7(a)のグラフにおける棒B2は、図21(b)における回転子22の場合のトルク定数を棒B1に対する比率として表している。図7(a)のグラフにおける棒B3は、図21(c)における回転子23の場合のトルク定数を棒B1に対する比率として表している。図7(a)のグラフにおける棒B4は、図21(d)における回転子24の場合のトルク定数を棒B1に対する比率として表している。
図7(b)のグラフにおける棒D1は、回転子21の場合のトルクリップルを1として表している。図7(b)のグラフにおける棒Doは、本実施形態の回転子15の場合のトルクリップルを棒D1に対する比率として表している。図7(b)のグラフにおける棒D2は、回転子22の場合のトルクリップルを棒D1に対する比率として表している。図7(b)のグラフにおける棒D3は、回転子23の場合のトルク定数を棒D1に対する比率として表している。図7(b)のグラフにおける棒D4は、回転子24の場合のトルク定数を棒D1に対する比率として表している。
図8(a)のグラフは、回転子の回転位置と、1つのティース121に働く力との関係を示す。波形Δと横軸とは、横軸上の始端と終端との角度間隔が40°の2等辺三角形を形成している。全てのティース121に関するこのような波形Δを合成すると、図8(b)のグラフにおける直線TΔが得られる。つまり、1つのティース121に働く力が波形Δで表される力であれば、出力トルクは、一定となり、トルクリップは、零となる。
図8(a)のグラフにおける波形Eλは、図21(a)の回転子21を用いた場合に、回転子21の回転位置と、1つのティース121に働く力との関係を示す。全てのティース121に関するこのような波形Eλを合成すると、図8(b)のグラフにおける合成波形Teが得られる。つまり、1つのティース121に働く力が波形Eλで表される力であれば、トルクリップルが零ではない出力トルクがもたらされる。つまり、波形Eλの形状を波形Δの形状に近づければ近づけるほど、トルクリップルを小さくすることができる。
回転子15を用いて前記した共通の解析条件、ブリッジ間角度Θb=5.2°の条件のもとにFEM解析した結果におけるトルクリップル率Riは、図21(a)の回転子21を用いて前記した共通の解析条件、ブリッジ間角度Θb=10°の条件のもとにFEM解析した結果におけるトルクリップル率よりも小さい。以下、図21(a)の回転子21を用いて前記した共通の解析条件、ブリッジ間角度Θb=5.2°の条件のもとにFEM解析した結果におけるトルクリップル率Riに対する或るトルクリップル率Rxの比率Rx/Riをトルクリップル率比と言うことにする。トルクリップル率比Rx/Riは、トルクリップル率Rxに正比例する。
図9(a)のグラフにおける曲線Z1は、角度幅A=28°、角度幅θc=13°、ブリッジ間角度Θbを5.2°とした場合の回転子15の外周面における磁束密度の分布を表す。横軸は、磁極切り替わり部164に対応する凸形状部20の中間位置201と、隣の凸形状部20の中間位置201との間の角度位置を表し、縦軸は、磁束密度を表す。中間位置201の角度位置は、0°又は60°である。図9(c)のグラフにおけるEλ1は、ブリッジ間角度Θbを5.2°とした場合に、回転子15の回転位置と、1つのティース121に働く力との関係を示す。
図9(b)のグラフにおける曲線Z2は、角度幅A=28°、角度幅θc=13°、ブリッジ間角度Θbを12°とした場合の回転子15の外周面における磁束密度の分布を表す。横軸は、磁極切り替わり部164に対応する凸形状部20の中間位置201と、隣の凸形状部20の中間位置201との間の角度位置を表し、縦軸は、磁束密度を表す。図9(d)のグラフにおけるEλ2は、ブリッジ間角度Θbを12°とした場合に、回転子15の回転位置と、1つのティース121に働く力との関係を示す。
図9(a),(b),(c),(d)は、いずれもFEM解析によって得た結果である。図9(a)では、磁束密度が零となる回転子15の外周面の領域(回転子15の外周面位置という横軸上で零よりも大きい範囲の領域)はないが、図9(b)では、磁束密度が零となる回転子15の外周面の領域が存在する。曲線Eλ1は、曲線Eλ2に比べて、波形Δの形状に近い。つまり、磁束密度の分布において零となる領域がない場合(以下、補助磁極がない状態と言う)では、磁束密度の分布において零となる領域がある場合(以下、補助磁極がある状態と言う)に比べて、トルクリップルが小さくなる。
図1(b)に図示する角度幅φは、永久磁石17A側の磁路短絡防止用の空間163と、これに隣り合う永久磁石17B側の磁路短絡防止用の空間163との間の回転中心Cを中心とした角度幅である。つまり、角度幅φは、隣り合う一対の空間163に線接触する半径線157,158(回転中心Cを中心とする半径線)間の角度である。角度幅φの大きさは、ブリッジ間角度Θbの大きさ以下である。角度幅φを10°とした場合にも、補助磁極がない状態となることがFEM解析よって確かめられている。つまり、ブリッジ間角度Θbを10°とした場合にも、補助磁極がない状態となる。
補助磁極がある状態では、出力トルクの平均値に対するリラクタンストルクの占める割合(以下、リラクタンストルク使用率という)は、補助磁極がない状態に対して、向上する。図10のグラフにおけるFEM解析結果によれば、ブリッジ間角度Θbが10°を越えると、リラクタンストルク使用率が急峻に上昇していることがわかる。図10のグラフにおける黒点は、実データである。
つまり、補助磁極がある状態でリラクタンストルクを有効に活用する構成(例えば、特許文献4の図1に開示のような構成)では、1つのチィースに働く力Eλが歪んでしまい、波形Δの形状から懸け離れ、トルクリップルが悪化してしまう。
本発明では、補助磁極がない状態とし、これによりリラクタンストルクによる出力トルクの平均値の向上が少ない状態として、1つのチィースに働く力Eλを波形Δに近づけてトルクリップルの低減を図っている。
図11のグラフは、ブリッジ間角度Θbに応じたトルクリップル率比Rx/Riの変化を示す。角度幅Aは28°、角度幅θcは13°である。図11は、FEM解析によって得た結果であり、図11のグラフにおける黒点は、実データである。図11のグラフからすると、ブリッジ間角度Θbを10°以下にすれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下になる。
ブリッジ間角度Θbを10°以下とすることで、主磁石幅を大きく取ることができ、出力トルクの平均値の低下を抑制することができる。
図12(a)は、凸形状部20を用いた場合の出力トルクをフーリエ級数展開して得られる特定の次数におけるトルクリップルの次数成分比を示す棒グラフである。ブリッジ間角度Θbは、5.2°に設定されており、角度幅Aは、28°に設定されている。深さDhは、0.3mmに設定されており、角度幅θcは、13°に設定されている。
図12(b)は、図17における回転子25の場合の出力トルクをフーリエ級数展開して得られる特定の次数におけるトルクリップルの次数成分比を示す棒グラフである。ブリッジ間角度Θbは、5.2°に設定されており、角度幅Aは、26°に設定されている。深さDhは、0.5mmに設定されている。図12(a),(b)は、FEM解析によって得た結果である。
図17に示す回転子25の外周面は、隣り合う円周部19Aと円周部19Bとを凸形状部26によって結んで形成されている。凸形状部26は、回転子15の半径方向の外側へ凸の形状となっている。
円周部19Aの端縁193(又は192)と円周部19Bの端縁192(又は193)とに繋がる凸形状部26は、円周部19A,19Bの半径Rよりも大きい半径の円弧周面である。各凸形状部26は、いずれも同形同大である。従って、凸形状部26は、円周部19A,19Bを含む半径Rの仮想の円周面Eよりも内側、かつ端縁192と端縁193とを結ぶ平面Hよりも外側の範囲内で回転子15の半径方向の外側へ向けて突出している。つまり、凸形状部26は、仮想の円周面Eと平面Hとの間の領域内(仮想の円周面E上及び平面H上を除く)で回転子15の半径方向の外側へ向けて突出している。
凸形状部26の中央部は、永久磁石17Aと永久磁石17Bとの間に位置する磁極切り替わり部164に対応する。つまり、ティース121と回転子25の外周との間の空隙の大きさ(つまり、仮想の円周面Eと回転子25の外周との間の間隔)は、隣り合う一対の永久磁石17A,17Bの間に位置する磁極切り替わり部164に対応する空隙Gが最も大きい。つまり、回転子25の半径は、空隙Gに対応する部分で最小である。
図12(a)における棒L1は、基本次数(=18)におけるトルクリップルの次数成分比を示す。棒L2は、基本次数の2倍の次数(=36)におけるトルクリップルの次数成分比を示し、棒L3は、基本次数の3倍の次数(=54)におけるトルクリップルの次数成分比を示す。
図12(b)における棒L4は、基本次数(=18)におけるトルクリップルの次数成分比を示す。棒L5は、基本次数の2倍の次数(=36)におけるトルクリップルの次数成分比を示し、棒L6は、基本次数の3倍の次数(=54)におけるトルクリップルの次数成分比を示す。なお、棒L4におけるトルクリップルの次数成分比を1としている。
図12(a),(b)のFEM解析結果によれば、トルクリップルを大きく左右する基本次数(=18)における次数成分は、凸形状部20を有する回転子15の方が図17における回転子25の場合よりも小さい。
図13は、単一のティース121に関するリラクタンストルクの変化を示すグラフである。曲線Qr11は、凸形状部20を有する回転子15を用いた場合のリラクタンストルクの変化を示し、曲線Qr21は、図17における回転子25を用いた場合のリラクタンストルクの変化を示す。
図14(a)のグラフにおける曲線Qr12は、個々のティース121(18個)に関する図13の曲線Qr11を合成して得られた合成リラクタンストルクの変化を示す。曲線Qr22は、個々のティース121(18個)に関する図13の曲線Qr21を合成して得られた合成リラクタンストルクの変化を示す。
図14(b)のグラフにおける曲線Qm1は、回転子15を用いた場合の永久磁石17A,17Bに関するトルク(以下、磁石トルクという)の変化を示すグラフである。曲線Qm2は、回転子25を用いた場合の永久磁石17A,17Bに関する磁石トルクの変化を示すグラフである。
図14(c)のグラフにおける曲線Q1rmは、図14(a)の曲線Qr12と、図14(b)の曲線Qm1とを合成したトルク波形である。図14(c)のグラフにおける曲線Q2rmは、図14(a)の曲線Qr22と、図14(b)の曲線Qm2とを合成したトルク波形である。つまり、曲線Q1rmは、凸形状部20を有する回転子15を用いた場合にFEM解析によって得られるトルク波形であり、曲線Q2rmは、図17の回転子25を用いた場合にFEM解析によって得られるトルク波形である。図16のグラフにおける曲線Ξは、図21(a)の回転子21を用いた場合にFEM解析によって得られるトルク波形である。トルク波形の曲線Q1rmにおけるトルクリップルと、トルク波形の曲線Ξにおけるトルクリップルとの違いは、明白である。
曲線Q1rm,Q2rmを比較してみると、曲線Q1rmによって表されるトルクリップルが曲線Q2rmによって表されるトルクリップルよりも小さいことがわかる。この違いは、図14(a)の曲線Qr12における盛り上がり部Qro12の盛り上がり程度と、曲線Qr22における盛り上がり部Qro22の盛り上がり程度との違いに基づく。盛り上がり部Qro12,Qro22の盛り上がり程度の違いは、エアギャップgh1〔凸形状部20とティース121との間の間隙の大きさであって図6に図示〕の変化と、エアギャップgh2(凸形状部26とティース121との間の間隙の大きさであって図17に図示)の変化との違いに主として起因する。
図15(a)のグラフにおける曲線Gh1は、エアギャップgh1の変化を示し、図15(b)のグラフにおける曲線Gh2は、エアギャップgh2の変化を示す。曲線Gh2で表されるエアギャップgh2の変化は、単調増大から極大へ移行した後に単調減少へ移行するパターンである。曲線Gh1で表されるエアギャップgh1の変化は、単調減少から単調増大へ急激に反転する一対の反転部hoを有するパターンである。一対の反転部hoは、角部H11,H12の存在によってもたらされる。つまり、角部H11,H12の存在が曲線Qr12における盛り上がり部Qro12の盛り上がりを大きくする。
このような盛り上がり部Qro12を有する合成リラクタンストルクの曲線Qr12と、磁石トルクの曲線Qm1との合成は、図14(c)に曲線Q1rmで示すように、トルクリップルを低減させる。盛り上がり部Qro22を有する合成リラクタンストルクの曲線Qr22と、磁石トルクの曲線Qm2との合成も、図14(c)に曲線Q2rmで示すように、トルクリップルを低減させる。しかし、図14(c)に曲線Q1rmで示されるトルクリップルの低減程度は、図14(c)に曲線Q2rmで示されるトルクリップルの低減程度に比べて、小さい。
曲線Q1rmにおけるトルクリップルと曲線Q2rmにおけるトルクリップルとの違いについて、図18〜図20に基づいて以下に詳細に説明する。
曲線Q1rmにおけるトルクリップルと曲線Q2rmにおけるトルクリップルとが違う理由は、以下の二点である。
〈1〉リラクタンストルクにおける基本次数(18次)の成分の振幅と、磁石トルクにおける基本次数(18次)の成分の振幅との差は、曲線Q1rmの方が曲線Q2rmよりも小さい。
〈2〉リラクタンストルクにおける基本次数(18次)の成分の位相と、磁石トルクにおける基本次数(18次)の成分の位相との差は、曲線Q1rmの方が曲線Q2rmよりも逆位相に近い。
図18(a)のグラフにおける曲線Π1は、回転子15を用いた場合の磁石トルクにおける基本次数(18次)の成分の波形を表し、曲線Π2は、回転子15を用いた場合のリラクタンストルクにおける基本次数(18次)の成分の波形を表す。曲線Π1は、横軸(回転位置)と左側の縦軸TL(トルクの大きさ)とによって表される座標上にあり、曲線Π2は、横軸(回転位置)と右側の縦軸TR(トルクの大きさ)とによって表される座標上にある。
図18(b)のグラフにおける曲線Ω1は、回転子25(図17参照)を用いた場合の磁石トルクにおける基本次数(18次)の成分の波形を表し、曲線Ω2は、回転子25を用いた場合のリラクタンストルクにおける基本次数(18次)の成分の波形を表す。曲線Ω1は、横軸(回転位置)と左側の縦軸TL(トルクの大きさ)とによって表される座標上にあり、曲線Ω2は、横軸(回転位置)と右側の縦軸TR(トルクの大きさ)とによって表される座標上にある。
前記した〈1〉,〈2〉の理由(特徴)は、回転子15を用いた場合の図18(a)の曲線Π1,Π2と、回転子25を用いた場合の図18(b)の曲線Ω1,Ω2とを比較すれば明らかである。
回転子15を用いた場合の合成リラクタンストルクの波形Qr12〔図14(a)参照〕は、前記した〈1〉,〈2〉の特徴を備えている。そのため、合成リラクタンストルクの波形Qr12と磁石トルクの曲線Qm1とを合成すれば、基本次数(18次)成分が打ち消されて36次成分が残り、高次数化が顕著に成されている。
回転子25を用いた場合の合成リラクタンストルクの波形Qr22〔図14(a)参照〕の場合、前記した〈1〉,〈2〉の特徴により、合成リラクタンストルクの波形Qr22と磁石トルクの曲線Qm2とを合成すれば、基本次数(18次)成分の打ち消され度合いが小さく、曲線Q2rmのトルクリップルが曲線Q1rmに比べて大きくなってしまう。
前記した理由〈1〉について詳細に説明する。
回転子25を用いた場合には、エアギャップ変化は、図15(b)に示すように滑らかな変化となる。又、外に凸な円弧にて極間部が構成されているため、リラクタンストルク変動は滑らかで小さなものとなり、波長の基調となる回転18次成分は、磁石トルク波形の回転基本次数(18次)の成分波形の振幅に対して一般的に小さくなる。角部H11,H12を備えた回転子15を用いた場合には、角部H11,H12が存在することによってエアギャップgh1が図15(a)に示すようになる。このようなエアギャップ変化が合成リラクタンストルクの18次成分及び36次成分を際だたせる。
図19(a)における棒グラフは、曲線Qr12のフーリエ級数展開の結果を示し、図19(b)における棒グラフは、曲線Qr22のフーリエ級数展開の結果を示す。棒Bo1は、曲線Qr12をフーリエ級数展開して得られた18次成分の大きさを表し、棒Bo2は、曲線Qr12をフーリエ級数展開して得られた36次成分の大きさを表す。棒B51は、曲線Qr22をフーリエ級数展開して得られた18次成分の大きさを表し、棒B52は、曲線Qr22をフーリエ級数展開して得られた36次成分の大きさを表す。図19(a),(b)から明らかなように、曲線Qr12における18次成分は、曲線Qr22における18次成分よりも大きく、曲線Qr12における36次成分は、曲線Qr22における36次成分よりも大きい。この結果は、リラクタンストルクにおける基本次数(18次)の成分の振幅が磁石トルクにおける基本次数(18次)の成分の振幅と同等になるのに有利に作用する。
次に、前記した理由〈2〉について詳細に説明する。
リラクタンストルクにおける18次成分の波形の位相は、盛り上がり部Qro12の発生位置によって調整することができる。例えば、図20(d)における波形Π6と図20(e)における波形Π7とを考える。波形Π6は、図20(a)の正弦波Π3に図20(b)の波形Π4を足し合わせて生成したモデル波形であり、波形Π7は、図20(a)の正弦波Π3に図20(c)の波形Π5を足し合わせて生成したモデル波形である。図20(d),(e)における波形Π6,Π7は、同じ正弦波Π3に対して発生位置の異なる盛り上がり部Qroを有する波形である。
図20(f)における波形Π8は、図20(d)の波形Π6から18次成分波形を取り出した波形であり、図20(f)における波形Π9は、図20(e)の波形Π7から18次成分波形を取り出した波形である。図20(f)から明らかなように、18次成分波形Π8の位相と18次成分波形Π9の位相とは、異なる。つまり、盛り上がり部Qroの位置を変えることにより、18次成分波形Π8,Π9の位相を調整することができる。つまり、角部H11,H12の位置を適切に設定することにより、リラクタンストルクの18次成分を磁石トルクの18次成分の逆位相に調整することができる。
角部H11,H12を有しない回転子25では、18次成分及び36次成分を際だたせることはできず、又、リラクタンストルクの18次成分の位相を調整することはできず、回転子15の場合のように顕著な高次数化は達成できない。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)図7(a)のグラフから明らかなように、本実施形態の回転子15の場合におけるトルク定数は、外周が半径一定(=R)の回転子21の場合におけるトルク定数とあまり変わらない。又、本実施形態の回転子15の場合におけるトルク定数は、回転子22,23,24の各場合におけるトルク定数よりも大きい。つまり、回転子22,23,24の各場合におけるトルクの低下は、本実施形態の回転子15の場合よりも大きく、特に回転子23,24の各場合におけるトルクの低下が著しい。
図7(b)のグラフから明らかなように、本実施形態の回転子15の場合におけるトルクリップルは、外周が半径一定(=R)の回転子21の場合におけるトルクリップルに比べて大きく低下している。又、回転子22,23,24の各場合におけるトルクリップルも、回転子21の場合におけるトルクリップルに比べて小さいが、本実施形態の回転子15の場合におけるトルクリップルは、回転子22,23の各場合におけるトルクリップルと比べても小さい。回転子24におけるトルクリップルは、本実施形態の回転子15の場合におけるトルクリップルと同程度の大きさであるが、図7(a)のグラフから明らかなように回転子24の場合におけるトルクは、本実施形態の回転子15の場合に比べて大きく落ちる。
図7(a),(b)のFEM解析結果から明らかなように、本実施形態の回転子15は、トルクの大きさ及びトルクリップルの抑制に関して、他の回転子21,22,23,24よりも優れている。固定子11側のティース121と回転子15の外周との間の空隙を円周部19A,19Bの全体にわたって最小とする構成は、トルクの低下の回避に寄与する。回転子15の外周面での磁束変動を滑らかにする凸形状部20は、トルクリップルの抑制に寄与すると共に、トルクの低下の回避にも寄与する。つまり、トルクの大きさ及びトルクリップルの抑制に関して、本実施形態の回転子15が他の回転子21,22,23,24よりも優れているという結果は、離れて隣り合う円周部19A,19Bを凸形状部20によって結ぶという構成によってもたらされる。
(2)凸形状部20は、3つの直線H1,H2,H3を繋いで形成されている。図7(b)のFEM解析結果から明らかなように、一対の角部H11,H12をもたらすように3つの直線H1,H2,H3を繋いで形成された凸形状部20は、トルクリップルの抑制に好適である。
(3)図14(c)に示すように、角部H11,H12を有する凸形状部20を備えた回転子15、及び円弧形状の凸形状部26を備えた回転子25は、いずれも、磁石トルクと合成リラクタンストルクとの合成によって、出力トルクの波形の高次数化をもたらしている。しかし、出力トルクの高次数化によるトルクリップルの低減効果は、角部H11,H12を有する凸形状部20を備えた回転子15の方が円弧形状の凸形状部26を備えた回転子25よりも高い。
つまり、出力トルクをフーリエ級数展開した場合、図12(a),(b)のグラフから明らかなように、3つの直線H1,H2,H3を繋いで形成された凸形状部20を有する回転子15は、出力トルクの基本次数成分におけるトルクリップルに関して、凸形状部26を有する回転子25の回転子の場合よりも小さい。つまり、一対の角部H11,H12を有する凸形状部20は、回転子15の外周面での磁束変動を滑らかにすることに寄与し、トルクリップルが抑制される。
(4)3つの直線H1,H2,H3のうち、両側の直線H2,H3の長さは、延長線H21,H31〔図6に図示〕よりも長い。つまり、このような構成が図15(a)に曲線Gh1で示すエアギャップgh1の変化をもたらす。直線H2,H3を延長線H21,H31よりも長くした構成は、出力トルクの基本次数成分のトルクリップルを低減するように高次数化する上で有利である。
(5)ブリッジ間角度Θbを0<Θb≦10°の範囲で設定する構成では、補助磁極がない状態となり、トルクリップル率比Rx/Riが1以下となる。従って、トルクリップル(出力トルクの変動幅の大きさ)を出力トルクの平均値で割った値(トルクリップル率)が小さくなる。つまり、ブリッジ間角度Θbを0<Θb≦10°の範囲で設定する構成は、補助磁極がない状態をもたらしてトルクリップル(出力トルクの変動幅の大きさ)を抑制する上で好ましい。
(6)図7(a),(b)の解析結果は、円周部19A,19Bが周方向に等ピッチで配設されていることを前提にして得られている。つまり、複数の円周部19A,19Bを等ピッチで配設した構成は、トルクの低下防止及びトルクリップルの抑制の上で好適な構成である。
(7)ティース121と回転子15の外周との間の最大の空隙は、隣り合う一対の永久磁石17A,17Bの間に位置する磁極切り替わり部164に対応する空隙Gである。磁極切り替わり部164に対応する空隙Gを最も大きくした構成は、急激な磁束密度変動を緩和してトルクリップルの抑制に寄与する。
(8)固定子11の巻き線方式を三相の波巻きとした構成は、振動抑制に有利である。
次に、トルクリップル率比Rx/Riが1以下となる角度幅A,θcの範囲について図22〜図24に基づいて説明する。
(9)ブリッジ間角度Θb=5.2°は、トルクリップル率の低減効果を十分に引き出し、かつ磁極間の強度を確保する上で、最適である。
図24のグラフは、回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示す。横軸は、角度幅θcの値を示し、縦軸は、トルクリップル率比Rx/Riの値を示す。グラフ中の黒点は、FEM解析によって得られた実データである。
図24のグラフにおける実データΓ1(1)及び実データ群Γ1(2),Γ1(3),Γ1(4),Γ1(6),Γ1(10),Γ1(13)は、この順に角度幅A=14°,16°,18°,20°,24°,28°,32°とした条件、前記共通の解析条件、及び半径Rに対する深さDh=0.7mmの比率Dh/R=0.028〔=0.7/R=0.7mm/25.5mm〕とした条件のもとに得られたデータである。
図23(a)のグラフは、図24のグラフに基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図23(a)における横軸は、角度幅Aを示し、縦軸は、角度幅θcを示す。図23(a)に黒点で示す実データ群は、実データΓ1(1)及び実データ群Γ1(2),Γ1(3),Γ1(4),Γ1(6),Γ1(10),Γ1(13)のうち、トルクリップル率比Rx/Riが1以下となる実データのみを表している。直線J4は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕と直線H(平面H)とによって特定される角度幅Aの最大値Amax(4)を表す。最大値Amax(4)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。
直線αは、角度幅Aによって特定される角度幅θcの上限を表す。つまり、直線αは、直線αを含む上側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの上限を表す。以下、直線αを上限線αと記す。上限線αは、次式(3)によって表される。
θc=(60−A)°/2・・・(3)
図22(a),(b),(c)及び図23(b),(c)のグラフは、角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めたデータ(図24のグラフに相当するデータであって、図示はしないが、確認されているデータ)に基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図22(a)のグラフは、深さDh=0.1mmの場合に対応し、図22(b)のグラフは、深さDh=0.3mmの場合に対応する。図22(c)のグラフは、深さDh=0.5mmの場合に対応する。図23(b)のグラフは、深さDh=1.0mmの場合に対応し、図23(c)のグラフは、深さDh=1.2mmの場合に対応する。半径Rは、いずれも25.5mmである。
図22(a)における直線J1は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕と直線H(平面H)とによって特定される角度幅Aの最大値Amax(1)を表す。図22(b)における直線J2は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕と直線H(平面H)とによって特定される角度幅Aの最大値Amax(2)を表す。図22(c)における直線J3は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕と直線H(平面H)とによって特定される角度幅Aの最大値Amax(3)を表す。
図22(a)における最大値Amax(1)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。図22(b)における最大値Amax(2)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.006〔=0.3/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。図22(c)における最大値Amax(3)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。
図23(a)における最大値Amax(4)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。図23(b)における最大値Amax(5)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。図23(c)における最大値Amax(6)は、これより小さい角度幅Aと、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕とによって凸形状部20を形成できるが、これ以上の大きさの角度幅Aと、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕とによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅Aの上限を表す。
最大値Amax(1),Amax(2),Amax(3),Amax(4),Amax(5),Amax(6)を最大値Amaxと総称すると、最大値Amaxは、次式(4)で表される。
Amax=〔60−2×acos(1−Dh/R)〕°
・・・(4)
最大値Amaxは、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕のときに最大値Amax(1)を表し、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕のときに最大値Amax(2)を表す。又、最大値Amaxは、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕のときに最大値Amax(3)を表し、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕のときに最大値Amax(4)を表す。又、最大値Amaxは、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕のときに最大値Amax(5)を表し、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕のときに最大値Amax(6)を表す。
図22(a)における直線β1は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β1は、直線β1を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図22(a)に示す直線ξ1は、直線β1よりも上側にある。
図22(b)における直線β2は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.0126〔=0.3/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β2は、直線β2を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図22(b)に示す直線ξ2は、直線β2よりも上側にある。
図22(c)における直線β3は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β3は、直線β3を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図22(c)に示す直線ξ3は、直線β3よりも上側にある。
図23(a)における直線β4は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β4は、直線β4を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図23(a)に示す直線ξ4は、直線β4よりも上側にある。
図23(b)における直線β5は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.039〔=1/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β5は、直線β5を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図23(b)に示す直線ξ5は、直線β1よりも下側にある。
図23(c)における直線β6は、半径Rに対する深さDhの比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕と角度幅Aとによって特定される角度幅θcの下限を表す。つまり、直線β6は、直線β6を含む下側の領域における角度幅θcによっては、凸形状部20を形成できないという角度幅θcの下限を表す。図23(c)に示す直線ξ6は、直線β6よりも下側にある。
以下、直線β1,β2,β3,β4,β5,β6を下限線β1,β2,β3,β4,β5,β6と記す。下限線β1,β2,β3,β4,β5,β6は、以下の式(5)によって表される。
θc=〔60−A−2×acos(1−Dh/R)〕°/2
・・・(5)
acos(1−Dh/R)は、(1−Dh/R)という値をもたらすcosσにおける角度σを表す。式(5)は、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕のときに下限線β1を表し、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕のときに下限線β2を表し、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕のときに下限線β3を表す。又、式(5)は、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕のときに下限線β4を表し、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕のときに下限線β5を表し、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕のときに下限線β6を表す。
直線ξ1,ξ2,ξ3,ξ4,ξ5,ξ6は、以下の式(6)によって表される。
θc=〔−0.5×A+(−14.1×Dh+26.7)〕°
・・・(6)
式(6)は、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕のときに直線ξ1を表し、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕のときに直線ξ2を表し、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕のときに直線ξ3を表す。又、式(6)は、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕のときに直線ξ4を表し、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕のときに直線ξ5を表し、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕のときに直線ξ6を表す。
図22(a)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線ε1との間(直線δoよりも右側、且つ直線ε1よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと下限線βとの間(上限線αよりも下側、且つ下限線β1よりも上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。
図22(b)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線ε2との間(直線δoよりも右側、且つ直線ε2よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと下限線βとの間(上限線αよりも下側、且つ下限線β2よりも上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。
図22(c)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線ε3との間(直線δoよりも右側、且つ直線ε3よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと下限線βとの間(上限線αよりも下側、且つ下限線β3よりも上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。
直線zoがある図23(a)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線ε4との間(直線δoよりも右側、且つ直線ε4よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと下限線βとの間(上限線αよりも下側、且つ下限線β4よりも上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。直線zoは、次式(7−1)で表され、直線δoは、次式(7−2)で表される。
θc=10° ・・・(7−1)
θc=(2.5×A−30)°・・・(7−2)
直線zo,z1がある図23(b)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.039〔=1/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線J5との間(直線δoよりも右側、且つ直線J5よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと直線ξ5との間(上限線αよりも下側、且つ直線ξ5を含む上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。直線z1は、次式(8)で表される。
θc=(−0.5×A+16)°・・・(8)
直線zo,z1がある図23(c)では、斜線領域で示すように、比率Dh/R=0.047〔=1.2/R〕の場合における角度幅Aを直線δoと直線J6との間(直線δoよりも右側、且つ直線J6よりも左側の領域)に制限し、且つ角度幅θcを上限線αと直線ξ6との間(上限線αよりも下側、且つ直線ξ6を含む上側の領域)に制限すれば、トルクリップル率比Rx/Riは、1以下となる。
図22(a),(b),(c)及び図23(a)では、直線ε1,ε2,ε3,ε4で表される角度A(ε1),A(ε2),A(ε3),A(ε4)を角度A(ε)として総称すると、角度A(ε)は、次式(9)で表される。
A(ε)=〔60−2×acos(1−Dh/R)
−(−18.9×Dh+12.7)〕°
=〔Amax−(−18.9×Dh+12.7)〕°・・・(9)
角度A(ε)は、比率Dh/R=0.004〔=0.1/R〕のときに角度A(ε1)を表し、比率Dh/R=0.012〔=0.3/R〕のときに角度A(ε2)を表し、比率Dh/R=0.02〔=0.5/R〕のときに角度A(ε3)を表し、比率Dh/R=0.028〔=0.7/R〕のときに角度A(ε4)を表す。
角度A(ε4)を表す式では、(−18.9×Dh+12.7)が負の値となり、Amax−(−18.9×Dh+12.7)の値がAmaxよりも大きくなる。そこで、Amax−(−18.9×Dh+12.7)の値がAmax以上となる場合には、角度幅Aは、Amax未満とする。つまり、Amax−(−18.9×Dh+12.7)の値がAmax以上となる場合には、式(9)は、次式(9−1)に置き換えられる。
A(ε)=Amax・・・(9−1)
つまり、角度幅Aが次式(10)を満たし、且つ角度幅θcが次式(11)を満たせば、トルクリップル率比Rx/Riが1以下となる。
A≦〔60−2×acos(1−Dh/R)
−(−18.9×Dh+12.7)〕°
=〔Amax−(−18.9×Dh+12.7)〕°
且つ
A<〔60−2×acos(1−Dh/R)〕°=Amax
・・・(10)
〔60−A−2×acos(1−Dh/R)〕°/2
=(Amax−A)°/2<θc<(60−A)°/2・・・(11)
以上の式(3)〜(6),(7−1),(7−2),(8),(9),(9−1),(10),(11)から総合すると、下記の式(a11),(a21)で表される範囲で角度幅Aを設定すると共に、下記の式(b11),(b21),(b31),(b41),(b51),(b61)で表される範囲で角度幅θcを設定すれば、トルクリップル率比Rx/Riを1以下とすることができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a11),(a21)の全てを満たすように設定されており、式(a11),(a21)を満たす角度幅Aにおいて、角度幅θcは、下記の式(b11),(b21),(b31)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ下記の式(b41),(b51),(b61)のうちの全てを満たすように設定されている。
A≦〔60−2×acos(1−Dh/R)
−(−18.9×Dh+12.7)〕°・・・(a11)
A<〔60−2×acos(1−Dh/R)〕° ・・・(a21)
θc≦10°・・・(b11)
θc≦(−0.5×A+16)°・・・(b21)
θc≦(2.5×A−30)° ・・・(b31)
〔60−A−2×acos(1−Dh/R)〕°/2<θc・・・(b41)
〔−0.5×A+(−14.1×Dh+26.7)〕°≦θc・・・(b51)
θc<(60−A)°/2 ・・・(b61)
式(a11),(a21),(b11),(b21),(b31),(b41),(b51),(b61)は、R=25.5mm及び極数p=6の場合に対応するものであるが、半径Rが25.5mmでない場合、あるいは極数pが6でない場合にも、Dhr=Dh×25.5/Rとすることによって、式(a11),(a21),(b11),(b21),(b31),(b41),(b51),(b61)を次式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6),(ex1),(ex2)に拡張することができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a1),(a2),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a11),(a21)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b1),(b2),(b3)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ下記の式(b4),(b5),(b6),(ex2)のうちの全てを満たすように設定されている。
Ao≦〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)
−(−18.9×Dhr+12.7)〕°・・・(a1)
Ao<〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)〕° ・・・(a2)
θco≦10°・・・(b1)
θco≦(−0.5×Ao+16)°・・・(b2)
θco≦(2.5×Ao−30)° ・・・(b3)
〔60−Ao−2×acos(1−Dhr/25.5)〕°/2<θco
・・・(b4)
〔−0.5×Ao+(−14.1×Dhr+26.7)〕°≦θco・・・(b5)
θco<(60−Ao)°/2・・・(b6)
A=Ao×6/p ・・・(ex1)
θc=θco×6/p・・・(ex2)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a1),(a2),(b1),(b2),(b3),(b4),(b5),(b6)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。つまり、式(ex1),(ex2)の換算を行い、A,θcを設定角度幅として用いる。
次に、図22及び図23の範囲において、基本次数(18次)成分が回転子21の場合に比べて0.7倍以下となる角度幅A,θcの範囲について図25〜図27に基づいて説明する。図26,27において図22,23の場合と同じ直線には同じ符合が用いてある。
図25のグラフは、回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示す。グラフ中の黒点は、FEM解析によって得られた実データである。
図25のグラフにおける実データΓ2(2)及び実データ群Γ2(3),Γ2(4),Γ2(5),Γ2(6),Γ2(10)、Γ2(12),Γ2(13)は、この順に角度幅A=16°,18°,20°,22°,24°,28°,30°,32°とした条件、前記共通の解析条件、及び半径Rに対する深さDh=0.7mmの比率Dh/R=0.028〔=0.7/R=0.7mm/25.5mm〕とした条件のもとに得られたデータである。
図27(a)のグラフは、図25のグラフに基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図27(a)に黒点で示す実データ群は、実データΓ2(2)及び実データ群Γ2(3),Γ2(4),Γ2(5),Γ2(6),Γ2(10)、Γ2(12),Γ2(13)のうち、基本次数(18次)成分が回転子21の場合に比べて0.7倍以下となる実データのみを表している。直線x4,y4,z2は、基本次数(18次)成分を回転子21の場合に比べて0.7倍以下に制限するために設定された直線である。
図26(a),(b),(c)及び図27(b),(c)のグラフは、角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めたデータ(図25のグラフに相当するデータであって、図示はしないが、確認されているデータ)に基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図26(a)のグラフは、深さDh=0.1mmの場合に対応し、図26(b)のグラフは、深さDh=0.3mmの場合に対応する。図26(c)のグラフは、深さDh=0.5mmの場合に対応する。図27(b)のグラフは、深さDh=1.0mmの場合に対応し、図27(c)のグラフは、深さDh=1.2mmの場合に対応する。半径Rは、いずれも25.5mmである。
図26(a)に示す直線x1,y1、図26(b)に示す直線x1,y2、図26(c)に示す直線x1,y3、図27(b)に示す直線x5,y5、及び図27(c)に示す直線y6は、基本次数(18次)成分を回転子21の場合に比べて0.7倍以下に制限するために設定された直線である。図26(a),(b),(c)及び図27(a),(b),(c)における斜線領域は、基本次数(18次)成分が回転子21の場合に比べて0.7倍以下となる領域である。
前記した式(a11),(a21),(b11),(b21),(b31),(b41),(b51),(b61)の条件において、直線x1は、次式(12)によって表される。
A=22°(Dh≦0.5の場合)・・・(12)
直線x4は、次式(13)によって表される。
(−21.4×Dh+32.8)°=A(0.5<Dh≦0.8の場合)
・・・(13)
直線x5は、次式(14)によって表される。
(−38.75×Dh+46.5)°=A(0.8<Dhの場合)・・・(14)
直線y1,y2,y3,y4は、次式(15)によって表される。
A=(−10×Dh+37)°(Dh≦0.8の場合)・・・(15)
直線y5,y6は、次式(16)によって表される。
A=(−27.5×Dh+51)°(0.8<Dhの場合)・・・(16)
直線z2,z3,z4は、次式(17)で表される。
θc=〔(−2.5×Dh+2.5)×(A−16)+10〕°
・・・(17)
以上の式(12)〜(17)から総合すると、下記の式(a31),(a41),(a51)で表される範囲で角度幅Aを設定すると共に、下記の式(b71)で表される範囲で角度幅θcを設定すれば、基本次数(18次)成分を回転子21の場合に比べて0.7倍以下とすることができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a31),(a41),(a51)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ式(ex1)を満たすように設定されており、式(a31),(a41),(a51)のうちのいずれか1つを満たす角度幅Aにおいて、角度幅θcは、下記の式(b71)及び式(ex2)の全てを満たすように設定されている。
Dh≦1.2mmの範囲において、
22°≦A≦(−10×Dh+37)°(Dh≦0.5の場合) ・・・(a31)
(−21.4×Dh+32.8)°≦A≦(−10×Dh+37)°
(0.5<Dh≦0.8の場合)・・・(a41)
(−38.75×Dh+46.5)°≦A≦(−27.5×Dh+51)°
(0.8<Dhの場合)・・・(a51)
θc≦〔(−2.5×Dh+2.5)×(A−16)+10〕° ・・・(b71)
式(a31),(a41),(a51),(b71)は、R=25.5mm及び極数p=6の場合に対応するものであるが、半径Rが25.5mmでない場合、あるいは極数pが6でない場合にも、Dhr=Dh×25.5/Rとすることによって、式(a31),(a41),(a51),(b71)を次式(a3),(a4),(a5),(b7),(ex1),(ex2)に拡張することができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ下記の式(ex1)を満たすように設定されており、式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b7)及び式(ex2)を満たすように設定されている。
Dhr≦1.2mmの範囲において、
22°≦Ao≦〔−10×Dhr+37〕°(Dhr≦0.5の場合)
・・・(a3)
(−21.4×Dhr+32.8)°≦Ao≦(−10×Dhr+37)°
(0.5<Dhr≦0.8の場合)・・・(a4)
(−38.75×Dhr+46.5)°≦Ao≦(−27.5×Dhr+51)°
(0.8<Dhrの場合)・・・(a5)
θco≦〔(−2.5×Dhr+2.5)×(Ao−16°)+10〕°
・・・(b7)
A=Ao×6/p ・・・(ex1)
θc=θco×6/p・・・(ex2)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a3),(a4),(a5),(b7)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a3),(a4),(a5),(b7)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。つまり、式(ex1),(ex2)の換算を行い、A,θcを設定角度幅として用いる。
次に、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(例えば、6極18スロットならば18次)成分の大きさを基本次数の倍の次数(例えば、6極18スロットならば36次)成分以下となる角度幅A,θcの範囲について図28及び図29に基づいて説明する。図28において図26,27の場合と同じ直線には同じ符合が用いてある。
図29のグラフは、回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップルの18次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riと、トルクリップルの36次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riとの差の変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示す。グラフ中の黒点は、FEM解析によって得られた実データである。
図29のグラフにおける実データ群Γ3(7),Γ3(8),Γ3(9),Γ3(10),Γ3(11),Γ3(12)は、この順に角度幅A=25°,26°,27°,28°,29°,30°とした条件、前記共通の解析条件、及び半径Rに対する深さDh=0.5mmの比率Dh/R=0.02〔=0.5/R=0.5mm/25.5mm〕とした条件のもとに得られたデータである。
図28(c)のグラフは、図29のグラフに基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図28(c)に黒点で示す実データ群は、実データ群Γ3(7),Γ3(8),Γ3(9),Γ3(10),Γ3(11),Γ3(12)のうち、トルクリップルの18次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riがトルクリップルの36次成分におけるトルクリップル率比Rx/Ri以下となる実データのみを表している。直線w31,w32,w33,w34は、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(18次成分)成分の大きさを36次成分の大きさ以下に制限するために設定された直線である。
図28(a),(b)のグラフは、トルクリップルの18次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riと、トルクリップルの36次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riとの差の変化をFEM(有限要素法)解析によって求めたデータ(図29のグラフに相当するデータであって、図示はしないが、確認されているデータ)に基づいて角度幅A,θcの適正範囲を決定するために用意された説明図である。図28(a)のグラフは、深さDh=0.1mmの場合に対応し、図28(b)のグラフは、深さDh=0.3mmの場合に対応する。半径Rは、いずれも25.5mmである。
図28(a)における直線w11,w12,w13,w14は、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(18次成分)成分の大きさを36次成分の大きさ以下に制限するために設定された直線である。図28(b)における直線w21,w22,w23,w24は、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(18次成分)成分の大きさを36次成分の大きさ以下に制限するために設定された直線である。図28(a),(b),(c)における斜線領域は、出力トルクのトルクリップルにおける18次成分の大きさが36次成分の大きさ以下となる領域である。
直線w11,w21,w31は、次式(18)で表される。
(−2.5×Dh+27.25)°=A・・・(18)
直線w12,w22,w32は、次式(19)で表される。
A=(−2.5×Dh+30.25)°・・・(19)
直線w13,w23,w33は、次式(20)で表される。
(−12.5×Dh+18.25)°=θc・・・(20)
直線w14,w24,w34は、次式(21)で表される。
(−12.5×Dh+15.25)°=θc・・・(21)
以上の式(18)〜(21)から総合すると、下記の式(a61)で表される範囲で角度幅Aを設定すると共に、下記の式(b81),(b91)で表される範囲で角度幅θcを設定すれば、出力トルクのトルクリップルにおける基本次数(例えば、6極18スロットならば18次)成分の大きさを基本次数の倍の次数(例えば、6極18スロットならば36次)成分以下にすることができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a61),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a61)を満たす角度幅Aにおいて角度幅θcは、下記の式(b81),(b91),(ex2)の全てを満たすように設定されている。
Dh≦0.5mmの範囲において、
(−2.5×Dh+27.25)°≦A≦(−2.5×Dh+30.25)°
・・・(a61)
(−12.5×Dh+15.25)°≦θc≦(−12.5×Dh+18.25)°
・・・(b81)
θc<(60―A)°/2 ・・・(b91)
式(a61),(b81),(b91)は、R=25.5mm及び極数p=6の場合に対応するものであるが、半径Rが25.5mmでない場合、あるいは極数pが6でない場合にも、Dhr=Dh×25.5/Rとすることによって、式(a61),(b81),(b91)を次式(a6),(b8),(b9),(ex1),(ex2)に拡張することができる。この場合、角度幅Aは、下記の式(a6),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a6)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b8),(b9),(ex2)の全てを満たすように設定されている。
Dhr≦0.5mmの範囲において、
(−2.5×Dhr+27.25)°≦Ao≦(−2.5×Dhr+30.25)°
・・・(a6)
(−12.5×Dhr+15.25)°≦θco≦
(−12.5×Dhr+18.25)°・・・(b8)
θco<(60―Ao)°/2 ・・・(b9)
A=Ao×6/p ・・・(ex1)
θc=θco×6/p・・・(ex2)
式(ex1),(ex2)は、p≠6の場合には、式(a6),(b8),(b9)で設定される角度幅Ao,θcoの範囲に対して、角度幅A,θcに設定するための換算式である。つまり、p=6以外の場合、式(a6),(b8),(b9)におけるAo,θcoは、式(ex1),(ex2)によって、A×p/6,θc×p/6に置き換えられる。つまり、式(ex1),(ex2)の換算を行い、A,θcを設定角度幅として用いる。
次に、図30(a),(b),(c)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第2の実施形態では、隣り合う直線H1と直線H2とは、回転子15の半径方向の外側へ向けて凸の凸曲線ψで繋がれており、隣り合う直線H1と直線H3とは、回転子15の半径方向の外側へ向けて凸の凸曲線ψで繋がれている。本実施形態では、凸曲線ψは、半径が仮想最大差Dmax以下の円ψoの一部である。
隣り合う一対の直線H1,H2及び隣り合う一対の直線H1,H3を凸曲線ψで繋いだ構成は、回転子15の外周面での磁束変動を滑らかにすることに寄与し、トルクリップルが抑制される。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
(1)凸形状部の形状を4つ以上の平面を繋いで形成した凸多角形状としてもよい。
(2)永久磁石の個数を6個以外の複数個にしてもよい。
(3)4極12スロット、6極27スロット、8極24スロット等の回転電機に本発明を適用してもよく、これらの場合にも同様の効果が得られる。
(4)固定子における巻き線方式は、分布巻きであってもよく、この場合にも同様の効果が得られる。
(5)6極9スロット等の集中巻きの回転電機に本発明を適用してもよく、この場合にも同様の効果が得られる。
(6)隣り合う永久磁石の極性がN−N−S−S−N−N−S−S−・・・となるように、一対の永久磁石をV字型に、かつ対の永久磁石を複数対埋め込んだ回転子を備える回転電機に本発明を適用してもよい。
(7)図31に示すように、密閉型の電動圧縮機30に本発明を適用してもよい。電動圧縮機30は、スクロール型電動圧縮機であり、回転電機Mは、カーエアコン用モータとして用いられている。回転電機Mを構成する回転子15は、回転軸32に止着されており、回転電機Mを構成する固定子11は、モータハウジング35の内周面に固定されている。電動圧縮機30を構成する可動スクロール31は、回転電機Mを構成する回転軸32の回転によって旋回(圧縮動作)し、圧縮動作体としての可動スクロール31と固定スクロール33との間の圧縮室34が容積減少する。図示しない外部冷媒回路からモータハウジング35内へ導入された冷媒は、吸入ポート36を経由して圧縮室34へ吸入される。圧縮室34内の冷媒は、吐出ポート37から吐出弁38を押し退けて吐出室39へ吐出される。吐出室39内の冷媒は、外部冷媒回路へ流出してモータハウジング35内へ還流する。
低脈動(低振動)に優れた本発明の回転電機Mは、密閉型の電動圧縮機30への適用に好適である。つまり、車載用の密閉型電動圧縮機では、騒音及び振動を低減したい上に、出力トルクの平均値を下げたくないという要求が厳しいが、永久磁石埋設型の回転電機Mは、これらの要求に好適である。
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
〔1〕環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻き線が施されており、前記固定子の内側で回転する回転子の内部に複数の永久磁石が埋設されている永久磁石埋設型回転電機において、
前記永久磁石の磁極中心部に対応する前記回転子の外周が前記回転子の回転中心と同心の円周面形状の円周部であり、前記永久磁石に対応する前記各円周部は、互いに離れており、隣り合う一対の前記円周部は、前記円周部を含む円周面よりも内側において半径方向の外側へ向けて凸の凸形状部で結ばれており、前記凸形状部は、半径方向の外側へ向けて凸の角部を複数有しており、前記凸形状部は、出力トルクの波形を高次数化する永久磁石埋設型回転電機。
〔2〕前記凸形状部は、出力トルクの基本次数成分を高次数化する前記〔1〕項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
〔3〕永久磁石は、平板形状であり、平板形状の永久磁石は、回転子の半径線と直交する請求項1乃至請求項16、前記〔1〕,〔2〕項のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
〔4〕複数の永久磁石は、回転中心から等距離の位置にある請求項1乃至請求項16、前記〔1〕〜〔3〕項のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
〔5〕前記Θbは、5.2°である請求項9に記載の永久磁石埋設型回転電機。
第1の実施形態を示し、(a)は、固定子及び回転子の正断面図。(b)は、部分拡大正断面図。 固定子及び回転子の側断面図。 固定子の斜視図。 波巻きを説明するための簡略図。 部分断面図。 部分拡大断面図。 (a)は、回転子15,21,22,23,24を用いた各場合におけるトルク定数をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示すグラフ。(b)は、回転子15,21,22,23,24を用いた各場合におけるトルクリップルをFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示すグラフ。 (a)は、ティースに働く力を説明するためのグラフ。(b)は、トルク変動を説明するためのグラフ。 (a),(b)は、補助磁極を説明するためのグラフ。(c)は、図9(a)においてティースに働く力を説明するためのグラフ。(d)は、図9(b)においてティースに働く力を説明するためのグラフ。 リラクタンストルク利用率を表すグラフ。 ブリッジ間角度Θbとトルクリップル率比Rx/Riとの関係を示すグラフ。 (a),(b)は、トルクリップルの次数成分比を示す棒グラフ 単一のティースに関するリラクタンストルクの変化を示すグラフ (a)は、合成リラクタンストルクの変化を示すグラフ。(b)は、磁石トルクの変化を示すグラフ。(c)は、合成トルク波形を示すグラフ。 (a),(b)は、エアギャップの変化を示すグラフ。 回転子21を用いた場合の出力トルクの変動を示すグラフ。 回転子25の部分断面図。 (a),(b)は、曲線Q1rmにおけるトルクリップルと曲線Q2rmにおけるトルクリップルとの違いを説明するためのグラフ。 (a),(b)は、曲線Q1rmにおけるトルクリップルと曲線Q2rmにおけるトルクリップルとの違いを説明するためのグラフ。 (a),(b),(c),(d),(e),(f)は、曲線Q1rmにおけるトルクリップルと曲線Q2rmにおけるトルクリップルとの違いを説明するためのグラフ。 (a)は、回転子21を示す部分正断面図。(b)は、回転子22を示す部分正断面図。(c)は、回転子23を示す部分正断面図。(d)は、回転子24を示す部分正断面図。 (a),(b),(c)は、トルクリップル率比Rx/Riを1以下とする角度幅A,θcの適正範囲の決定を説明するためのグラフ。 (a),(b),(c)は、トルクリップル率比Rx/Riを1以下とする角度幅A,θcの適正範囲の決定を説明するためのグラフ。 回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示すグラフ。 回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップル率比Rx/Riの変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示すグラフ。 (a),(b),(c)は、18次成分を0.7倍以下とする角度幅A,θcの適正範囲の決定を説明するためのグラフ。 (a),(b),(c)は、18次成分を0.7倍以下とする角度幅A,θcの適正範囲の決定を説明するためのグラフ。 (a),(b),(c)は、トルクリップルにおける基本次数(18次成分)成分の大きさを36次成分の大きさ以下とする角度幅A,θcの適正範囲の決定を説明するためのグラフ。 回転子15を用いて角度幅θcを変化させた場合のトルクリップルの18次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riと、トルクリップルの36次成分におけるトルクリップル率比Rx/Riとの差の変化をFEM(有限要素法)解析によって求めた例を示すグラフ。 第2の実施形態を示し、(a)は、部分断面図。(b),(c)は部分拡大図。 別の実施形態を示す圧縮機全体の側断面図。
符号の説明
11…固定子。121…ティース。122,122U,122V,122W…スロット。13…巻き線。15,15C…回転子。162…収容孔。164…磁極切り替わり部。17A,17B…永久磁石。173…磁極中心部。19A,19B…円周部。20,20C…凸形状部。C…回転中心(回転中心軸線)。E…円周面。G…空隙。Br1,Br2…。Θb…ブリッジ間角度。165,166…起点。A,θc…角度幅。p…極数。R…半径。Hr…最小距離。Dh…差(深さ)。H1…第1直線。H2…第2直線。H3…第3直線。H11,H12…角部。ψ=凸曲線。K…スロット数。

Claims (18)

  1. 環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻き線が施されており、前記固定子の内側で回転する回転子の内部に複数の永久磁石が埋設されている永久磁石埋設型回転電機において、
    前記永久磁石の磁極中心部に対応する前記回転子の外周が前記回転子の回転中心と同心の円周面形状の円周部であり、前記永久磁石に対応する前記各円周部は、互いに離れており、隣り合う一対の前記円周部は、前記円周部を含む仮想の円周面よりも内側において半径方向の外側へ向けて凸の凸形状部で結ばれており、前記凸形状部は、半径方向の外側へ向けて凸の角部を複数有している永久磁石埋設型回転電機。
  2. 前記複数の角部は、複数の直線を繋いで形成されている請求項1に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  3. 前記凸形状部は、2つの角部を有し、前記2つの角部は、3つの直線を繋いで形成されている請求項2に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  4. 前記2つの角部は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称である請求項3に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  5. 前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線の一方の長さは、前記仮想の円周面に交わる位置まで前記両側の直線の一方を中央の直線側へ延長した延長線よりも長く、前記両側の直線の他方の長さは、前記仮想の円周面に交わる位置まで前記他方を中央の直線側へ延長した延長線よりも長い請求項4に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  6. 前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称であり、前記回転子の回転中心を中心とした前記円周部の角度幅をAとし、前記永久磁石埋設型回転電機における極数をpとし、前記両側の直線のそれぞれの両端が前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅をθcとし、前記円周部の半径をRとし、前記凸形状部から前記回転子の回転中心に至る最小距離と半径Rとの差を深さDhとし、Dhr=Dh×25.5/Rとすると、角度幅Aは、下記の式(a1),(a2),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a1),(a2)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b1),(b2),(b3)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ下記の式(b4),(b5),(b6),(ex2)の全てを満たすように設定されている請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
    Ao≦〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)
    −(−18.9×Dhr+12.7)〕°・・・(a1)
    Ao<〔60−2×acos(1−Dhr/25.5)〕° ・・・(a2)
    θco≦10°・・・(b1)
    θco≦(−0.5×Ao+16)°・・・(b2)
    θco≦(2.5×Ao−30)° ・・・(b3)
    〔60−Ao−2×acos(1−Dhr/25.5)〕°/2<θco
    ・・・(b4)
    〔−0.5×Ao+(−14.1×Dhr+26.7)〕°≦θco
    ・・・(b5)
    θco<(60−Ao)°/2・・・(b6)
    A=Ao×6/p ・・・(ex1)
    θc=θco×6/p・・・(ex2)
  7. 角度幅Aは、下記の式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たすように、且つ前記式(ex1)を満たすように設定されており、式(a3),(a4),(a5)のうちのいずれか1つを満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b7)及び前記式(ex2)の全てを満たすように設定されている請求項6に記載の永久磁石埋設型回転電機。
    Dhr≦1.2mmの範囲において、
    22°≦Ao≦〔−10×Dhr+37〕°(Dhr≦0.5の場合)
    ・・・(a3)
    (−21.4×Dhr+32.8)°≦Ao≦(−10×Dhr+37)°
    (0.5<Dhr≦0.8の場合)・・・(a4)
    (−38.75×Dhr+46.5)°≦Ao≦(−27.5×Dhr+51)°
    (0.8<Dhrの場合)・・・(a5)
    θco≦〔(−2.5×Dhr+2.5)×(Ao−16°)+10〕°
    ・・・(b7)
  8. 前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線は、前記凸形状部を周方向に2等分割する2等分割線に関して鏡映対称であり、前記回転子の回転中心を中心とした前記円周部の角度幅をAとし、前記永久磁石埋設型回転電機における極数をpとし、前記両側の直線の両端が前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅をθcとし、前記円周部の半径をRとし、前記凸形状部から前記回転子の回転中心に至る最小距離と半径Rとの差を深さDhとし、Dhr=Dh×25.5/Rとすると、角度幅Aは、下記の式(a6),(ex1)の全てを満たすように設定されており、式(a6)を満たす角度幅Aoにおいて、角度幅θcは、下記の式(b8),(b9),(ex2)の全てを満たすように設定されている請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
    Dhr≦0.5mmの範囲において、
    (−2.5×Dhr+27.25)°≦Ao≦(−2.5×Dhr+30.25)°
    ・・・(a6)
    (−12.5×Dhr+15.25)°≦θco≦
    (−12.5×Dhr+18.25)°・・・(b8)
    θco<(60―Ao)°/2 ・・・(b9)
    A=Ao×6/p ・・・(ex1)
    θc=θco×6/p・・・(ex2)
  9. 前記永久磁石は、前記回転子に設けられた収容孔に収容されており、隣り合う一対の前記収容孔のうちの一方の収容孔側の起点と、隣り合う一対の前記収容孔のうちの他方の収容孔側の起点とが前記回転子の回転中心を中心としてなす角度幅のうち、最大の角度幅をブリッジ間角度Θbとすると、ブリッジ間角度Θbは、0<Θb≦10°の範囲で設定されており、前記一方の収容孔側の起点は、前記3つの直線を繋いで形成される前記凸形状部の両側の直線の一方を平行移動して前記一方の収容孔の形成壁面と接する点と、前記凸形状部の中央の直線を平行移動して前記一方の収容孔の形成壁面と接する点とのうち、前記両側の直線の一方が移動した距離と、前記中央の直線が移動した距離との短い方の点であり、前記他方の収容孔側の起点は、前記凸形状部の両側の直線の他方を平行移動して前記他方の収容孔の形成壁面と接する点と、前記凸形状部の中央の直線を平行移動して前記他方の収容孔の形成壁面と接する点とのうち、前記両側の直線の他方が移動した距離と、前記中央の直線が移動した距離との短い方の点である請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  10. 前記凸形状部は、複数の直線と、前記回転子の半径方向の外側へ向けて凸の凸曲線とで形成され、隣り合う一対の前記直線は、前記凸曲線で繋がれている請求項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  11. 前記複数の永久磁石は、周方向に交互に異なる極性となるように埋設されている請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  12. 前記複数の円周部は、等ピッチで配設されている請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  13. 前記ティースと前記回転子の外周との間の空隙の大きさは、隣り合う一対の前記永久磁石の間に位置する磁極切り替わり部に対応する空隙が最も大きい請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  14. 前記固定子における巻き線方式は、波巻きである請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  15. 前記永久磁石埋設型回転電機における極数は、6に設定されている請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  16. 前記永久磁石埋設型回転電機におけるスロット数は、18に設定されている請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の永久磁石埋設型回転電機。
  17. 請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の永久磁石埋設型回転電機をカーエアコン用モータとして用いたカーエアコン用モータ。
  18. 回転電機によって駆動される回転軸の回転に基づく圧縮動作体の圧縮動作によって圧縮室内のガスを圧縮して吐出する密閉型電動圧縮機において、
    請求項17に記載のカーエアコン用モータを前記回転電機として用いた密閉型電動圧縮機。
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