石油・石油化学、化学、鉄鋼などのプロセスプラントで導入されているプロセス制御は、フィードバック制御を中心として行われている。当該プロセス制御には、空気式アクチュエータを駆動部とする空気式コントロールバルブ(以下、バルブ)が広く使用されている。当該バルブは、バルブステム等により構成され、管内を流れる気体の出入り調整を行う。
バルブの特性改善や調節計からの信号変換器として、ポジショナや電空変換器(電空変換装置)が使用されている。ポジショナはバルブステムの位置を制御する。電空変換装置はバルブを駆動する駆動圧力を制御する。また、ポジショナは電空ポジショナと空空ポジショナとに分類される。電空ポジショナは電気式調節計の操作信号を入力としてバルブを駆動するポジショナである。空空ポジショナは空気信号を入力としてバルブを駆動するポジショナである。また、電空変換装置は、制御機器からの操作信号(電流信号)を、空空ポジショナを動作するのに必要な空気信号に変換する。電空変換装置は、バルブを直接動作させる用途に用いられる場合もある。
図6にバルブを駆動するバルブポジショナ80のブロック図を示す。バルブポジショナ80はバルブ87のバルブステム87Aの位置を制御する。ここで、バルブステム87Aとはバルブ87を支持している棒の部分のことをいう。バルブステム87Aの変位によりバルブ87の開度が制御される。図6に示すバルブポジショナ80は、MAU(Media Access Unit)81と、フィールドバスモデム82と、制御手段83と、D/A(Digital/Analog)変換手段84と、I/P(電流/圧力)モジュール85と、コントロールリレー86と、バルブ87と、位置センサ88と、A/D(Analog/Digital)変換手段89と、を備えて構成される。また、バルブ87は、バルブステム87Aを備える。
制御手段83は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)等により構成され、バルブポジショナ80の各部を中央制御する。制御手段83は、ROMに記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。ROMには、第1の演算プログラムが記憶される。ここで、第1の演算プログラムとは、目標値信号SV1と位置信号PV1の偏差信号Error1を演算する処理のことをいう。
制御手段83は、第1の演算プログラムにより、フィールドバスFBからの目標値信号SV1と位置信号PV1の偏差信号Error1を演算する。そして、当該偏差信号Error1が0となるように、ノズル背圧Pnを制御する。ここで、フィールドバスFBとは、デジタル信号による送信および受信の双方向通信が可能な通信方式のことをいう。目標値信号SV1とは、バルブステム87Aの位置の目標値を示す信号のことをいう。位置信号PV1とは、バルブ87の開度に対応した電気信号のことをいう。ノズル背圧Pnとは、コントロールリレー86に供給される空気圧のことをいう
MAU81は、信号の送受信装置である。ここで、信号とは目標値信号SV1と位置信号PV1とのことをいう。フィールドバスモデム82は、信号を変復調する装置である。D/A変換手段84は、制御手段83から出力された偏差信号Error1をデジタル信号からアナログ信号へ変換する。D/A変換手段84は、入力電流信号Inを出力する。ここで、入力電流信号Inとは、I/Pモジュール85に入力される電流信号のことをいう。
I/P(電流/圧力)モジュール85は、トルクモーターより構成され、入力電流信号Inに対応するノズル背圧Pnを出力する。また、I/Pモジュール85には、供給圧Psが供給されており、入力電流信号Inに対応するノズル背圧Pnに変換する。コントロールリレー86は、ノズル背圧Pnを増幅した駆動出力圧Poを出力する。ここで、駆動出力圧Poとは、バルブを駆動する空気圧のことをいう。駆動出力圧はコントロールリレー86から出力される。また、コントロールリレー86には、供給圧Psが供給されており、ノズル背圧Pnに対応する駆動出力圧Poに変換する。そして、駆動出力圧Poに基づいて、バルブステム87Aが変位し、バルブ87の開度が制御される。
位置センサ88は、バルブステム87Aの操作変位を検出する。A/D変換手段89は、位置センサ88から出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する。
次に、図6のバルブポジショナ80で行われる、位置制御について説明する。ここで、位置制御とは、バルブステム87Aの位置を制御することである。まず、フィールドバスFBからバルブステム87Aの位置の目標値信号SV1が与えられる。当該目標値信号SV1はMAU81、フィールドバスモデム82を介して制御手段83へ送信される。制御手段83では、目標値信号SV1と位置信号PV1の偏差信号Error1が演算される。当該偏差信号Error1はD/A変換手段84、図示しないV/I変換手段を介して、入力電流信号InとしてI/Pモジュール85へ入力される。そして、I/Pモジュール85の出力であるノズル背圧Pnがコントロールリレー86に供給される。
そして、コントロールリレー86の出力である駆動出力圧Poが、バルブ87に供給される。駆動出力圧Poがバルブ87に供給されると、バルブステム87Aが変位する。バルブステム87Aの変位は位置センサ88により検知され、電気信号として出力される。出力された信号はA/D変換手段89を介して位置信号PV1として制御手段83へフィードバックされる。そして、制御手段83により目標値信号SV1と位置信号PV1との偏差が演算される。この偏差が0になるように、ノズル背圧Pnが制御される。
次に、図7にバルブ又は空空ポジショナを駆動する電空変換装置90のブロック図を示す。図7に示す電空変換装置90は、MAU91と、フィールドバスモデム92と、制御手段93と、D/A変換手段94と、I/Pモジュール95と、コントロールリレー96と、バルブ/空空ポジショナ97と、圧力センサ98と、A/D変換手段99と、を備えて構成される。MAU91、フィールドバスモデム92、D/A変換手段94、I/Pモジュール95、コントロールリレー96、A/D変換手段99は、それぞれ、バルブポジショナ80のMAU81、フィールドバスモデム82、D/A変換手段84、I/Pモジュール85、コントロールリレー86、A/D変換手段89と同様である。以下、バルブポジショナ80と異なる部分を主として説明する。
制御手段93は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)等により構成され、電空変換装置90の各部を中央制御する。制御手段93は、ROMに記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。特に、ROMには、第2の演算プログラムが記憶される。ここで、第2の演算プログラムとは、目標値信号SV2と駆動圧信号PV2の偏差信号Error2を演算する処理のことをいう。
制御手段93は、第2の演算プログラムにより、フィールドバスFBからの目標値信号SV2と駆動圧信号PV2の偏差信号Error2を演算する。そして、当該偏差信号Error2が0となるように、ノズル背圧Pnを制御する。ここで、目標値信号SV2とは、駆動出力圧Poの目標値のことをいう。駆動圧信号PV2とは、駆動出力圧Poを電気信号へ変換した信号のことをいう。
バルブ/空空ポジショナ97は電空変換装置90の制御対象である。バルブ/空空ポジショナ97は制御対象がバルブ又は空空ポジショナのどちらか1つであることを示す。また、圧力センサ98は、駆動出力圧Poを駆動圧信号PV2に変換する。
次に、図7の電空変換装置90で行われる圧力制御について説明する。ここで、圧力制御とは駆動出力圧Poの圧力を制御することである。まず、フィールドバスから駆動出力圧Poの目標値信号SV2が与えられる。この目標値信号SV2はMAU91、フィールドバスモデム92を介して制御手段93へ送信される。制御手段93では、目標値信号SV2と駆動圧信号PV2の偏差信号Error2が演算される。当該偏差信号Error2は、D/A変換手段94、図示しないV/I変換手段を介して、入力電流信号InとしてI/Pモジュール95へ入力される。そして、I/Pモジュール95からの空気圧信号であるノズル背圧Pnはコントロールリレー96に供給される。
そして、コントロールリレー96の出力である駆動出力圧Poは、空空ポジショナ97と、圧力センサ98とに供給される。圧力センサ98は、駆動出力圧Poを駆動圧信号PV2へ変換する。そして、駆動圧信号PV2はA/D変換手段99を介して制御手段93へフィードバックされる。そして、制御手段93により目標値信号SV2と駆動圧信号PV2との偏差が演算される。そして、当該偏差が0になるように、ノズル背圧Pnが制御される。
上述のような、バルブポジショナ80及び電空変換装置90を併用する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。図8は特許文献1に記載された電空ポジショナ200(バルブポジショナ)の一例を示す構成ブロック図である。
図8は、信号変換回路202と、差動増幅器203と、電空変換回路204と、圧力変換器205と、調節弁206と、ステム207と、バルブ208と、弁開度検出器209と、演算回路210と、比較演算器211と、スイッチSWと、を備えて構成される。
信号変換回路202は、バルブの開度を制御するための電流信号Ioを電圧信号Voに変換する回路である。差動増幅器203は、信号変換回路202から出力された電圧信号Voと帰還信号Vfとが入力され、これらの偏差(偏差信号)Vdを演算する。電空変換回路204は、偏差信号Vdを駆動出力圧Poに変換する回路である。圧力変換器205は駆動出力圧Poを対応する圧力信号Vaに変換する。調節弁206は駆動出力圧Poに対応してステム207を変位させ、バルブ208の弁開度を制御する。弁開度検出器209は、バルブ208の弁開度に対応する弁開度信号Vsを出力する。スイッチSWは、弁開度信号Vsと圧力信号Vaとのどちらか一方を演算回路210へ出力する。比較演算器211は弁開度信号Vsと圧力信号Vaとを比較する。演算回路210は帰還信号Vfを演算する。
次に、図8に示す従来例のスイッチ切替え動作を簡単に説明する。比較演算器211には圧力信号Vaと弁開度信号Vsとが入力され、これらの差に対応してスイッチSWを切替える。例えば、|圧力信号C1・Va−弁開度信号C2・Vs|≦K1(K1は定数、C1とC2は定数或いは関数)の関係にあるときは、弁開度検出器は正常と判断される。そして、スイッチSWを弁開度検出器209側に切替えて弁開度信号Vsを演算回路210に出力するように切替える。したがってこの場合はバルブポジショナとして動作する。
|圧力信号C1・Va−弁開度信号C2・Vs|>K2(K2は定数)の関係にあるときは、弁開度検出器209は異常と判断される。そして、スイッチSWを圧力変換器205側に切替えて圧力信号Vaを演算回路210に出力するように切替える。したがって、この場合は電空変換器(電空変換装置)として動作する。
このようにして、上述の電空ポジショナ201は、バルブポジショナ及び電空変換装置としての機能を併用することができる。したがって、弁開度検出器210の故障・破損などに起因する異常を検知することができる。例えば、弁開度検出器210の異常の際には弁開度検出器210を切り離して、調節弁の制御を継続させることができる。
特許第3223433号明細書
しかし、上記の従来技術は、バルブポジショナと電空変換装置のそれぞれの使用時における増幅度(ゲイン)特性を考慮した使用がされていない。ここで、ゲイン特性とは、バルブポジショナ80及び電空変換装置90の構成要素であるコントロールリレー及びI/Pモジュールの入出力特性のことをいう。以下、図9〜図11を参照してバルブポジショナ80と電空変換装置90とのゲイン特性の違いについて説明する。
図9(A)は、コントロールリレーの入出力特性を示した図である。縦軸に駆動出力圧Po、横軸にノズル背圧Pnを示す。ここで、バルブを駆動するのに必要なコントロールリレーの出力圧範囲(以下「スプリングレンジ」)をΔPoとする。コントロールリレーのゲインが高い場合のノズル背圧はΔPn1となる。また、コントロールリレーのゲインが低い場合のノズル背圧はΔPn2となる。同様に図9(B)の縦軸は駆動出力圧Po、横軸はノズル背圧Pnを示す。ここで、ノズル背圧Pnが一定の場合、コントロールリレーのゲインが高い場合の駆動出力圧PoはΔPo1となる。また、コントロールリレーのゲインが低い場合の駆動出力圧PoはΔPo2となる。
図10は、I/Pモジュールの入出力特性を示した図である。縦軸にノズル背圧Pn、横軸に入力電流信号Inを示す。ここで、コントロールリレーのゲインが高い場合のノズル背圧範囲をΔPn1(図10のΔPn1と同様)とする。また、コントロールリレーのゲインが低い場合のノズル背圧範囲をΔPn2(図10のΔPn2と同様)とする。図11は、図10と同様にI/Pモジュールの入出力特性を示した図である。ここで、コントロールリレーのゲインΔPを一定とする。この場合、I/Pモジュールのゲインが高い場合の電流スパンは、ΔI3となる。また、I/Pモジュールのゲインが低い場合の電流スパンはΔI4となる。
次に図9〜図11を参照して、バルブポジショナの構成要素としてのコントロールリレー及びI/Pモジュールに求められる特性について説明する。まず、バルブポジショナ80のI/Pモジュールの特性について説明する。バルブポジショナのI/Pモジュールは、十分な分解能により微小圧力の制御を行う必要がある。十分な分解能により制御を行うには、電流スパンを広くする必要がある。電流スパンが広いと、精度の高い電流制御が可能となる。ここで、図11に示すように、ΔI4(低ゲイン)の方がΔI3(高ゲイン)よりも電流スパンは大きい。したがって、十分な分解能により制御を行うには、I/Pモジュールは低ゲインにする必要がある。
次に、バルブポジショナ80の構成要素としてのコントロールリレーの特性について説明する。上述の通り、バルブポジショナ80のI/Pモジュールは低ゲインである必要がある。また、駆動出力圧Poの使用される範囲が広く(1.4〜7.0[kgf/cm2])、少ない電流スパンでI/Pモジュールを駆動する必要がある。ここで、I/Pモジュールの電流スパンがΔI4(低ゲイン)であり、ノズル背圧がΔPnの場合を想定する。この場合、図9(B)に示すように、コントロールリレーのゲインが高い場合は、駆動出力圧PoはΔPo1となる。また、コントロールリレーのゲインが低い場合は、駆動出力圧PoはΔPo2となる。即ち、コントロールリレーのゲインが高い方が、駆動出力圧Poの使用される範囲が広くなる。また、図9(A)で駆動出力圧Poを一定とすると、コントロールリレーが高ゲインの場合のノズル背圧はΔPn1、コントロールリレーが低ゲインの場合は、ΔPn2となる。ここで、図10よりコントロールリレーのゲインが高い場合(ΔPn1)、電流スパンはΔI1となる。即ち、コントロールリレーのゲインが高ければ、少ない電流スパンでI/Pモジュールを駆動することができる。したがって、コントロールリレーは高ゲインが必要とされる。
次に、電空変換装置90の構成要素としてのコントロールリレーおよびI/Pモジュールに求められる特性について説明する。まず、電空変換装置のコントロールリレーの特性について説明する。電空変換装置のコントロールリレーは、空空ポジショナへ入力する空気圧として使用する場合がある。このとき、コントロールリレーのゲインが高いと、ハンチングを起こすことがある。ここで、ハンチングとは、駆動出力圧Poが周期的に変化して、安定状態にならない現象のことをいう。また、コントロールリレーのゲインが高いと、コントロールリレー独特の非線形要素である不感帯の制御系に与える影響が強くなる。不感帯の制御系に与える影響を抑えるには、ノズル背圧範囲をできるだけ広く取る必要がある。ここで、図10に示すように、ΔPn2(低ゲイン)の方がΔPn1(高ゲイン)よりもノズル背圧範囲が広い。したがって、電空変換装置90のコントロールリレーは低ゲインにする必要がある。
次に、電空変換装置のI/Pモジュールの特性について説明する。ここで、上述の通り、電空変換装置のコントロールリレーは低ゲインが求められる。よって、図10に示すΔI2のように、I/Pモジュールの電流スパンは広くなる。しかし、I/Pモジュールへの供給電流は消費電力を抑えるために限られている。したがって、電空変換装置のI/Pモジュールは、高ゲインが必要とされる。
上述した内容をまとめた表を図12に示す。図12に示すように、バルブポジショナのコントロールゲインは高ゲイン(高増幅度)が必要とされる。これに対して、電空変換装置のコントロールゲインは低ゲイン(低増幅度)が必要とされる。また、バルブポジショナのI/Pモジュールは低ゲイン(低増幅度)が必要とされる。これに対して、電空変換装置のI/Pモジュールは高ゲイン(高増幅度)が必要とされる。また、バルブポジショナの制御アルゴリズムはバルブステムの位置を測定することにより位置制御を行う。これに対して、電空変換装置の制御アルゴリズムは負容量での圧力を測定することにより圧力制御を行う。つまり、バルブポジショナと電空変換装置とでは、ゲイン特性及び制御対象が異なる。したがって、バルブポジショナと電空変換装置の機能を併用する電空変換システムを実現することは困難であった。当該電空変換システムを実現するには、制御対象(位置制御又は圧力制御)に応じてコントロールリレー及びI/Pモジュールのゲイン(増幅度)を切替える要請がある。
したがって、本発明の課題は、位置制御又は圧力制御に応じて増幅度を適切に切替えることのできる電空変換システムを実現することである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の電空変換システムは、
駆動出力圧に応じて位置が変化するバルブステムの位置制御又は駆動出力圧に応じたバルブの圧力制御を行う電空変換システムであって、
入力電流信号に応じて空気圧を出力する電空変換手段と、
前記空気圧に応じて前記駆動出力圧を出力する圧力増幅手段と、
前記位置制御又は前記圧力制御を選択し、選択した制御に応じて前記電空変換手段の増幅度を切替える第1の増幅度切替手段と、
前記位置制御又は前記圧力制御を選択し、選択した制御に応じて前記圧力増幅手段の増幅度を切替える第2の増幅度切替手段と、
前記圧力制御の場合に前記駆動出力圧を駆動圧信号として検出する圧力検出手段と、
前記位置制御の場合に前記バルブステムの位置を検出し、当該位置を位置信号として検出する位置検出手段と、
前記駆動圧信号又は前記位置信号と、前記位置制御又は前記圧力制御を行う制御信号とに基づいて前記入力電流信号を生成して、当該入力電流信号を前記電空変換手段に入力する制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電空変換システムにおいて、
前記第1の増幅度切替手段は、
前記位置制御を選択した場合に前記電空変換手段の増幅度を低増幅度に切替え、前記圧力制御を選択した場合に前記電空変換手段の増幅度を高増幅度に切替え、
前記第2の増幅度切替手段は、
前記位置制御を選択した場合に前記圧力増幅手段の増幅度を高増幅度に切替え、前記圧力制御を選択した場合に前記圧力増幅手段の増幅度を低増幅度に切替えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電空変換システムにおいて、
前記第2の増幅度切替手段は、
選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電空変換システムにおいて、
前記第1の増幅度切替手段は、
選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電空変換システムにおいて、
外部機器と通信接続した通信手段を更に備え、
前記第1の増幅度切替手段は、
前記通信手段を介して前記外部機器から受信した切替制御信号に基づいて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明の電空変換システムの制御方法は、
駆動出力圧に応じて位置が変化するバルブステムの位置制御又は駆動出力圧に応じたバルブの圧力制御を行う電空変換システムの制御方法であって、
入力電流信号に応じて空気圧を電空変換手段により出力する電空変換工程と、
前記空気圧に応じて前記駆動出力圧を圧力増幅手段により出力する圧力増幅工程と、
前記位置制御又は前記圧力制御を選択し、選択した制御に応じて前記電空変換手段の増幅度を第1の増幅度切替手段により切替える第1の増幅度切替工程と、
前記位置制御又は前記圧力制御を選択し、選択した制御に応じて前記圧力増幅手段の増幅度を第2の増幅度切替手段により切替える第2の増幅度切替工程と、
前記圧力制御の場合に前記駆動出力圧を駆動圧信号として検出する圧力検出工程と、
前記位置制御の場合に前記バルブステムの位置を検出し、当該位置を位置信号として検出する位置検出工程と、
前記駆動圧信号又は前記位置信号と、前記位置制御又は前記圧力制御を行う制御信号とに基づいて前記入力電流信号を生成して、当該入力電流信号を前記電空変換手段に入力する制御工程と、を含むことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電空システムの制御方法において、
前記第1の増幅度切替工程は、
前記位置制御を選択した場合に前記電空変換手段の増幅度を低増幅度に切替え、前記圧力制御を選択した場合に前記電空変換手段の増幅度を高増幅度に切替える工程であり、
前記第2の増幅度切替工程は、
前記位置制御を選択した場合に前記圧力増幅手段の増幅度を高増幅度に切替え、前記圧力制御を選択した場合に前記圧力増幅手段の増幅度を低増幅度に切替えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の電空変換システムの制御方法において、
前記第2の増幅度切替工程は、
選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項6又は7に記載の電空変換システムの制御方法において、
前記第1の増幅度切替工程は、
選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項6又は7に記載の電空変換システムの制御方法において、
前記第1の増幅度切替工程は、
外部機器と通信接続した通信接続手段を介して前記外部機器から受信した切替制御信号に基づいて増幅度を切替えることを特徴とする。
請求項1、6に記載の発明によれば、第1の増幅度切替手段又は第2の増幅度切替手段により電空変換手段又は圧力増幅手段の増幅度を切替えることができる。これにより、位置制御又は圧力制御に応じて電空変換手段又は圧力増幅手段の増幅度を適切に切替えることができる。
請求項2、7に記載の発明によれば、第1の増幅度切替手段は、位置制御を選択した場合、電空変換手段の増幅度を低増幅度に切替えることができる。また、圧力制御を選択した場合、電空変換手段の増幅度を高増幅度に切替えることができる。また、第2の増幅度切替手段は、位置制御を選択した場合、圧力増幅手段の増幅度を高増幅度に切替えることができる。また、圧力制御を選択した場合、圧力増幅手段の増幅度を低増幅度に切替えることができる。したがって、位置制御又は圧力制御に応じて電空変換手段又は圧力増幅手段の増幅度を適切に切替えることができる。
請求項3、8に記載の発明によれば、第2の増幅度切替手段は、選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることができる。
請求項4、9に記載の発明によれば、第1の増幅度切替手段は、選択情報の操作入力信号に応じて増幅度を切替えることができる。
請求項5、10に記載の発明によれば、第1の増幅度切替手段は、通信手段を介して外部機器から受信した切替制御信号に基づいて増幅度を切替えることができる。
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1〜図5を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。まず、図1を参照して本実施の形態の装置構成を説明する。図1は本実施の形態のハイブリッドバルブポジショナ100の構成を示すブロック図である。電空変換システムとしてのハイブリッドバルブポジショナ100は、位置制御と圧力制御を行うことができる。ここで、位置制御とは、バルブステム22Aの位置を制御することである。また、圧力制御とは、駆動出力圧Poの圧力を制御することである。ハイブリッドバルブポジショナ100は、通信手段としてのMAU11と、フィールドバスモデム12と、制御手段13と、D/A(Digital/Analog)変換手段14と、電空変換手段としてのI/Pモジュール15と、第1の増幅度切替手段としての切替手段16と、第2の増幅度切替手段としてのメタルシール17と、圧力増幅手段としてのコントロールリレー18と、圧力検出手段としての圧力センサ19と、位置検出手段としての位置センサ20と、A/D変換手段21と、バルブ22と、バルブ/空空ポジショナ23と、を備えて構成される。また、バルブ22はバルブステム22Aを備える。ハイブリッドバルブポジショナ100は、バルブポジショナ80として使用する場合は、バルブ22のバルブステム22Aの位置を制御する。また、電空変換装置90として使用する場合は、バルブ/空空ポジショナ23に供給する駆動出力圧Poを制御する。MAU11、フィールドバスモデム12、D/A変換手段14、I/Pモジュール15、コントロールリレー18、位置センサ20、A/D変換手段21、バルブ22は、それぞれバルブポジショナ80のMAU81、フィールドバスモデム82、D/A変換手段84、I/Pモジュール85、コントロールリレー86、位置センサ88、A/D変換手段89、バルブ87と同様である。また、圧力センサ19、バルブ/空空ポジショナ23は電空変換装置90の圧力センサ98、バルブ/空空ポジショナ97と同様である。
また、ハイブリッドバルブポジショナ100をバルブポジショナ80として使用する場合は、MAU11と、フィールドバスモデム12と、制御手段13と、D/A変換手段14と、I/Pモジュール15と、切替手段16と、メタルシール17と、コントロールリレー18と、位置センサ20と、A/D変換手段21と、バルブ22と、を備える。また、ハイブリッドバルブポジショナ100を電空変換装置として使用する場合は、MAU11と、フィールドバスモデム12と、制御手段13と、D/A変換手段14と、I/Pモジュール15と、切替手段16と、メタルシール17と、コントロールリレー18と、圧力センサ19と、A/D変換手段21と、バルブ/空空ポジショナ23と、を備える。
制御手段13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)等により構成され、ハイブリッドバルブポジショナ100の各部を中央制御する。制御手段13は、ROMに記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。特に、ROMには、第3の演算プログラムが記憶される。ここで、第3の演算プログラムとは、上述したバルブポジショナ80の第1の演算プログラム、電空変換装置90の第2の演算プログラムのどちらかを実行するプログラムのことをいう。即ち、第3の演算プログラムは、第1の演算プログラム又は第2の演算プログラムのどちらかを選択して実行する。
制御手段13は、第3の演算プログラムにより、フィールドバスFBからの制御信号としての目標値信号SVと出力信号PVとの偏差信号Errorを演算する。そして、当該偏差信号Errorが0になるように、空気圧としてのノズル背圧Pnを制御する。ここで、ノズル背圧Pnとは、コントロールリレー17に供給される空気圧のことをいう。また、目標値信号SVは、上述のバルブポジショナ80の目標値信号SV1、電空変換装置90の目標値信号SV2のどちらかを援用する。即ち、SVとして、目標値信号SV1又は目標値信号SV2のどちらかが選択される。また、出力信号PVは、上述のバルブポジショナ80の位置信号PV1、電空変換装置90の駆動圧信号PV2のどちらかを援用する。即ち出力信号PVとして、位置信号PV1又は駆動圧信号PV2のどちらかが選択される。また、偏差信号Errorは、上述のバルブポジショナ80の偏差信号Error1、電空変換装置90の偏差信号Error2のどちらかを援用する。即ち、偏差信号Errorとして偏差信号Error1、偏差信号Error2のどちらかが選択される。
また、制御手段13は、制御アルゴリズムを選択する。ここで、制御アルゴリズムとは、バルブステムの位置22Aの位置制御を行うか、駆動出力圧Poの圧力制御を行うかの選択を行うことをいう。制御アルゴリズムの選択は、MAU11を介して図示しない外部機器から受信した切替制御信号G5により行うことができる。ここで、切替制御信号G5とは、制御アルゴリズムの切替選択を行う信号のことをいう。また、制御アルゴリズムの選択は、手動により外部スイッチ24からも入力することができる。この場合、外部スイッチ24からの選択情報の操作入力信号G4に基づいて、制御アルゴリズムの選択を行うことができる。ここで、選択情報とは、位置制御又は圧力制御を選択する情報のことをいう。また、操作入力信号G4とは、外部スイッチ24の操作により入力される信号のことをいう。
また、制御手段13は、切替手段16に切替制御信号G1を出力する。ここで、切替制御信号G1とは、I/Pモジュール15の増幅度(ゲイン)を切替える信号である。切替制御信号G1は、MAU11を介して図示しない外部機器から受信する。また、I/Pモジュール15のゲイン切替えは、手動により外部スイッチ25からも入力することが出来る。この場合、外部スイッチ25からの選択情報の操作入力信号G2に基づいて、I/Pモジュール15のゲインを切替選択することができる。ここで、選択情報とは、位置制御の場合は低ゲイン、圧力制御の場合は高ゲインを選択する情報のことをいう。また、操作入力信号G2とは、外部スイッチ25の操作により入力される信号のことをいう。
MAU11は、信号の送受信装置である。フィールドバスモデム12は、信号を変復調する装置である。D/A変換手段14は、制御手段13から出力された偏差信号Errorをデジタル信号からアナログ信号へ変換する。D/A変換手段14は、入力電流信号Inを出力する。
I/Pモジュール15は、トルクモーターにより構成され、入力電流信号Inに対応するノズル背圧Pnを出力する。また、I/Pモジュール15には、供給圧Psが供給されており、入力電流信号Inに対応するノズル背圧Pnに変換する。
切替手段16は、複数のコイルから少なくとも1個のコイルを選択し、選択されたコイルを直列に接続する。切替手段16の動作については後述する。メタルシール17は、ステンレス等より構成され、金属の弾力性を利用したシールである。メタルシール17による開閉により、コントロールリレー18の各部屋にかかる圧力を部分的に変更する。メタルシール17の動作については、後述する。メタルシール17の開閉を切替える選択情報の操作入力信号G3は、手動により外部スイッチ26から入力することが出来る。この場合、外部スイッチ26からの選択情報の操作入力信号G3に基づいて、コントロールリレー18の増幅度(ゲイン)を切替えることができる。ここで、選択情報とは、位置制御の場合は高ゲイン、圧力制御の場合は低ゲインを選択する情報のことをいう。また、操作入力信号G3とは、外部スイッチ26の操作により入力される信号のことをいう。
コントロールリレー18は、ノズル背圧Pnを増幅した駆動出力圧Poを出力する。コントロールリレー18には、供給圧Psが供給されており、ノズル背圧Pnに対応する駆動出力圧Poに変換する。制御対象がバルブ22の場合は、駆動出力圧Poに基づいて、バルブステム22Aが変位し、バルブ22の開度が制御される。制御対象が空空ポジショナ23の場合は、空空ポジショナ23及び圧力センサ19へ駆動出力圧Poが供給される。
圧力センサ19は、駆動出力圧Poを出力信号PVに変換する。位置センサ20は、バルブステム22Aの操作変位を検出する。A/D変換手段21は電空変換装置90の場合、圧力センサ19から出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する。また、バルブポジショナ80の場合、位置センサ20から出力されたアナログ信号をデジタル信号へ変換する。
次に、図2〜図4を参照して、I/Pモジュール15のゲイン切替えについて説明する。図2は、I/Pモジュール15の構造図及び切替手段16を示した図である。図3はゲインの種類を示した図である。図4は切替手段16を示した図である。
まず、図2を参照して、I/Pモジュール15の構造図及び切替手段16を説明する。図2のI/Pモジュール15は、上部側のハウジング31と、下部側のハウジング32と、ポールピース33と、ノズル34と、永久磁石35と、可動部材36と、配管37と、絞り38と、導管39と、排気孔40と、ポールピース41と、第1のコイル42と、第2のコイル43と、を備えて構成される。切替手段16はI/Pモジュール15の第1のコイル、第2のコイルを切替える手段である。切替手段16については、後述する。
ハウジング31,32はいずれも純鉄、フェライト系のステンレス、パーマロイなどの軟磁性の材料で出来ている。ハウジング31は、その外形部が円筒状をなしており、その中心部に軟磁性で出来た円柱状のポールピース33が内側に向かって形成されている。さらに、このボールピース33の中央部には内外部に貫通するノズル34が形成されている。
ポールピース33を囲んでドーナツ状の永久磁石35が、ハウジング31の内面に形成されている。永久磁石35はその軸方向に、例えばハウジング31と固着される側がN極、その反対側がS極に磁化されている。この永久磁石35は、磁化方向の長さをあまり長くとる必要がないように、エネルギー積の大きなサマリウム−コバルト磁石、或いは鉄−ネオジウム磁石などが適している。
永久磁石35のハウジング31と固着された側とは反対側には、ダイアフラム状の可動部材36がポールピース33とは所定の間隙長Lg1を保持して、例えば永久磁石35の吸引力により固定されており、外部からの力により上下方向に撓む。
可動部材36は、例えば析出硬化系のステンレス鋼、鉄−ニッケル合金、鉄−クロム−コバルト合金などのバネ特性と、特に飽和磁束密度の高い磁気特性との両方の特性を持った磁性バネ材料で構成される。可動部材36は、永久磁石35によりS極又はN極のみの片極に磁化されている。
ノズル34は、配管37を介して絞り38と接続され、この絞り38には外部から供給圧Psが供給され、絞り38で生じたノズル背圧Pnを導管39を介して取り出す。さらに、ハウジング31には外部と連通する排気孔40が形成されている。
下部側のハウジング32は、その外径部が円筒状をなしており、ハウジング31の外径部と一体に固定されている。その中心部には軟磁性の材料で出来た円柱状のポールピース41が可動部材36と所定の間隙長Lg2を保持して固定されている。そして、このポールピース41の回りには電流信号Iを流す第1、第2のコイル42、43が巻かれている。第1のコイル、第2のコイル42、43はそれぞれ独立していて、配線はつながっていなく、この場合は巻き数が同じである。
即ち、図3に示すように、第1、第2のコイル42、43の組み合わせにより、ゲイン1、ゲイン2の2種類のゲインが得られる。
I/Pモジュール15のゲインはコイルの巻き数に依存している。即ち、低いゲインの場合には、第1のコイル42もしくは第2のコイル43のみの1個を用い、高いゲインの場合には、第1のコイル42と第2のコイル43を直列で用いる。切替手段16は、複数のコイル42、43から少なくとも1個を選択し、選択されたコイルを直列に接続する。
次に、図4を参照して切替手段16の動作を説明する。切替手段16は、ゲイン1を選択する場合には、スイッチSW1の可動接点1aを固定接点1cに接続し、スイッチSW2の可動接点2aを固定接点2cに接続する。ゲイン2を選択する場合には、スイッチSW1の可動接点1aを固定接点1bに接続し、スイッチSW2の可動接点2aを固定接点2bに接続する。
以上の構成において、第1のコイル42、第2のコイル43への電流を変化させることにより可動部材36の両側のエアー・ギャップの磁束を変化させ、それにより可動部材36とノズル34との間隙をコントロールする。間隙が変化すると空気の漏れ量が変わることによりノズル背圧Pnが変化する。
次に、図5を参照して、コントロールリレー18のゲイン切替えについて説明する。図5(A)のコントロールリレー18は排気弁61と、入力ダイアフラム62と、可動部63と、フィードバックダイアフラム64と、給気弁65と、ポペット66と、バネ67と、ブリード孔68と、を備えて構成される。
図5(A)中、CP61に示すようなノズル背圧Pnの圧力が上昇した場合、入力ダイアフラム62は図面右側に凸状態になるように変形して可動部63を押す。そして、排気弁61に接するポペット66を押す。
バネ67により保持されているポペット66に一定以上の圧力が加わるとポペット66は図面右側に凸状態になるようにして変形して可動部63を押す。そして、排気弁61に接するポペット66を押す。
一方、図5(A)中、CP61に示すようなノズル背圧Pnの圧力が上昇した場合、入力ダイアフラム62は図面右側に凸状態になるように変形して可動部63を押す。そして、排気弁61に接するポペット66を押す。
バネ67により保持されているポペット66に一定以上の圧力が加わるとポペット66は図面右側に移動する。そして、給気弁65とポペット66との間に隙間が生じて、図6中SP61に供給されている供給圧が、図5(A)中、OP61に示す出力圧側に流れ込み出力圧が上昇する。
他方、図5(A)中、CP61に示すようなノズル背圧Pnの圧力が低下した場合、入力ダイアフラム62は図面右側に凸状態になるように変形して可動部63を図面左側に引っ張る。
このため、排気弁61とバネ67により保持されているポペット66との間に隙間が生じる。そして、図5(A)中、OP61に示す出力圧側の圧力が図5(A)中、HL61に示す可動部63に設けられた穴から図5(A)中、VE61に示す排気側に流れ込んで出力圧が低下する。
この結果、コントロールリレー55に供給するノズル背圧Pnを調整することにより、出力圧(制御圧力)を制御することが可能になる。図5(B)は、図5(A)を詳細に示した図である。図5(B)に示すコントロールリレー18のそれぞれの部屋につながる流路は、メタルシール17によって変更することができる。これにより、部分的にコントロールリレー18の部屋の圧力を切替え、力のつりあいにより機能するダイアフラムの組み合わせを変更することができる。即ち、メタルシール17によりコントロールリレー18のゲインを切替えることができる。
次に、図1を参照して、ハイブリッドバルブポジショナ100におけるI/Pモジュール15及びコントロールリレー18のゲインを切替える動作を説明する。まず、I/Pモジュール15のゲインを切替える動作を説明する。
まず、フィールドバスにより、I/Pモジュール15のゲインを切替える信号が送信される。そして、MAU11、フィールドバスモデム12を介して、制御手段13から切替手段16に切替制御信号G1が送られる。そして、切替手段16のスイッチSW1、SW2が切替わることによりI/Pモジュール15のコイル42、43の組み合わせが変更される。
次に、コントロールリレー18のゲインを切替える動作を説明する。まず、外部スイッチ26から操作入力信号G3がメタルシール17に入力される。そして、コントロールリレー18のそれぞれの部屋につながる流路がメタルシール17により変更される。これにより、コントロールリレー18のゲインが切替えられる。
例えば、ハイブリッドバルブポジショナ100を電空変換装置90として用いるときの動作について説明する。図12より、I/Pモジュール15は高ゲイン、コントロールリレー18は低ゲインが要求される。よって、フィールドバスによりI/Pモジュール15を高ゲインに切替える信号が送信される。そして、MAU11、フィールドバスモデム12を介して、制御手段13から切替手段16に切替制御信号G1が送られる。切替手段16では、図4のゲイン2(高ゲイン)が選択されるように、スイッチSW1の可動接点1aが固定接点1bに接続される。また、スイッチSW2の可動接点2aが固定接点2bに接続される。したがって、I/Pモジュール15は高ゲインとなる。そして、I/Pモジュール15からノズル背圧Pnが出力される。当該ノズル背圧Pnはコントロールリレー18に入力される。コントロールリレー18は図12より低ゲインである必要がある。よって、外部スイッチ26により、コントロールリレー18が低ゲインとなるように操作入力信号G3が手動により入力される。この場合、図5のコントロールリレー18のそれぞれの部屋につながる流路がメタルシール17により変更される。そして、コントロールリレー18は低ゲインとなり、駆動出力圧Poが出力される。駆動出力圧Poは、空空ポジショナ23及び圧力センサ19に供給される。そして、圧力センサ19から出力信号PVが出力され、A/D変換手段21を介して制御手段13へフィードバックされる。
また、ハイブリッドバルブポジショナ100をバルブポジショナ80として用いるときは、I/Pモジュール15は低ゲイン、コントロールリレー18は高ゲインとなるように制御が行われる。
以上、本実施の形態によれば、切替手段16又はメタルシール17によりI/Pモジュール15又はコントロールリレー18のゲインを切替えることができる。これにより、バルブステム22Aの位置制御又は駆動出力圧Poの圧力制御に応じてI/Pモジュール15又はコントロールリレー18のゲインを適切に切替えることができる。
また、切替手段16は、バルブステム22Aの位置制御を選択した場合、I/Pモジュール15のゲインを低ゲインに切替えることができる。また、駆動出力圧Poの圧力制御を選択した場合、I/Pモジュール15のゲインを高ゲインに切替えることができる。また、メタルシール17は、バルブステム22Aの位置制御を選択した場合、コントロールリレー18のゲインを高ゲインに切替えることができる。また、駆動出力圧Poの圧力制御を選択した場合、コントロールリレー18のゲインを低ゲインに切替えることができる。したがって、バルブステム22Aの位置制御又は駆動出力圧Poの圧力制御に応じてI/Pモジュール15又はコントロールリレー18のゲインを適切に切替えることができる。
また、メタルシール17は、選択情報の操作入力信号G3に応じてゲインを切替えることができる。
また、切替手段16は、選択情報の操作入力信号G2に応じてゲインを切替えることができる。
また、切替手段16は、MAU11を介して外部機器から受信した切替制御信号G1に基づいてゲインを切替えることができる。
また、バルブステム22Aの位置制御に精度を必要としない場合は、電空変換装置90としてバルブ23を直接制御することができる。また、保用品が1種類で済むために計装コストを抑えることができる。また、最初に電空変換装置90として動作させた後に、バルブポジショナとして動作させることができるので、制御性が向上しバルブ診断機能などを有効に活用することができる。
その他、本実施の形態におけるハイブリッドバルブポジショナ100の細部構造及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。