JP4752518B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体後部のリヤクロスメンバとテールクロスメンバとの間に下方へ膨出する容器状の荷室フロアパネルを設けて収納スペースを形成した車体後部構造に関する。
従来、ワゴン車等の車体後部には、図3に示すように、前後方向に延在する左右のリヤサイドメンバ1,1と、左右のリヤサイドメンバ1,1間を車幅方向に架けわたしたリヤクロスメンバ2、およびテールクロスメンバ4とで囲まれた部位に、車室フロアよりも下方へ膨出する容器状の荷室フロアパネル3(図4)を設けてスペアタイヤ等を収納する収納スペースSを設けたものがある(例えば、下記特許文献1参照。)。
特許文献1では、収納スペースSの横幅を拡大するため、左右のリヤサイドメンバ1,1は、リヤホイールを避けてやや車体中央寄りに設置された前側のサイドメンバ一般部1aに対して、その後端から車外側かつ斜め後方へ湾曲する湾曲部11を介して車外側へ斜めに延びるキック部10を設け、更にキック部10後端から後方へ向けて湾曲延設せしめ、左右のリヤサイドメンバ1,1の後半部間の設置幅が拡大されている。
図4は従来の代表的な収納スペース構造を示す前後方向の(図3のT−T線に沿う)縦断面図を示す。リヤクロスメンバ2は、断面逆ハット形をなすメンバ部材20を車室フロアパネル6の下面に結合してメンバ部材20と車室フロアパネル6とからなる閉断面構造をなす。リヤクロスメンバ2内には、車室フロアに折り畳み収納可能に載置されたリヤシートRの後端下方の位置に、車室フロアパネル6の下面に重ね合わせた金属厚板からなるシートリテーナ5が設けられている。リヤクロスメンバ2は、シートリテーナ5から車室フロア上へ立設せしめたシートアンカ51にリヤシートR後端の係合手段を係合せしめてこれを支持する。
荷室フロアパネル3は下方へ膨出する容器状をなし、その前部起立部31の上縁にはこれから屈曲して前方へ延びる延出部32が形成されている。荷室フロアパネル3は延出部32を車室フロアパネル6の後端縁61とメンバ部材20の後部上縁フランジ25と一体に、かつ一部では上記後端縁61および上記フランジ25とともにシートリテーナ5と一体に、上下からスポット溶接結合している。また荷室フロアパネル3はその後部起立部33の上縁がインナパネルとアウタパネルとからなる閉断面のテールクロスメンバ4の下縁結合部と一体に結合されている。図4中、7はリヤバンパである。
特開2001−55163号公報
しかしながら、従来の収納スペース構造では、荷室フロアパネル3の延出部32を車室フロアパネル6の後端縁61とメンバ部材20の後部上縁フランジ25などと上下に重ね合わせて溶接するので、リヤクロスメンバ2と荷室フロアパネル3の前部起立部31との間に、下方より溶接工具を入れる作業スペースBが必要で、その分、収納スペースSの前後長Aが制約される。そこで本発明はリヤクロスメンバとテールクロスメンバとの間に設置される荷室フロアパネルの収納スペースの前後長を最大限に拡大できる車体後部構造を実現することを課題としてなされたものである。
本発明は、車体後部の前後位置に配設されたリヤクロスメンバとテールクロスメンバとの間に下方へ膨出する容器状の荷室フロアパネルを備えた車体後部構造であって、上記荷室フロアパネルにはその前部起立部の上縁から屈曲して前斜め上方へ傾斜状に延びる延出部を形成し、該延出部の前端を車室フロアパネルの後縁と連結せしめ、上記延出部の下面に、前面部と下面部とからなる断面ほぼL字形のメンバ部材を設け、該メンバ部材の上記前面部の上縁を上記延出部の下面に結合せしめ、上記下面部の後縁を上記前部起立部の上縁前面に結合せしめるとともに、上記延出部の上面に、上面部と後面部とからなる断面ほぼ逆L字形で車室シートを支持するシートリテーナを設け、該シートリテーナの上面部の前縁を上記延出部の前端部の上面に結合せしめ、上記後面部の下縁を上記前部起立部の上縁後面に結合せしめて、上記リヤクロスメンバを上記メンバ部材と上記延出部とからなる閉断面と、上記延出部と上記シートリテーナとからなる閉断面とで2層の閉断面構造とし、ほぼ垂直面をなす上記シートリテーナの後面部の後面に沿って車室シートのシートアンカを重ね合わせ結合せしめた。
本発明によれば、従来構造のようにメンバ部材と荷室フロアパネルとの間に作業スペースを設けなくてもよく、その分、荷室フロアパネルで形成する収納スペースの前後長を拡大でき、リヤクロスメンバを2層の閉断面構造としたので、リヤクロスメンバの剛性を強化することができ、かつ、リヤクロスメンバの構成するシートリテーナの垂直面を利用して作業性よく、車室シートのシートアンカを取り付けることができる。
図3に示す左右のリヤサイドメンバ1,1と、左右のリヤサイドメンバ1,1の間を車幅方向に架けわたしたリヤクロスメンバ2、およびテールクロスメンバ4とで囲まれた部位に車室フロアよりも下方へ膨出する容器状の収納スペースSを形成した車体後部構造において、本発明を達成するに先立って収納スペースS拡大する目的で発明者らが案出した構造を参考例として説明する。
図1は図3のT−T線に沿う参考例の縦断面図を示す。収納スペースSは、車室フロアパネル6よりも下方へ膨出する容器状の荷室フロアパネル3で形成される。荷室フロアパネル3は、その底面部30の前縁から湾曲して上方へほぼ垂直に立ち上がる前部起立部31の上縁には、該上縁から屈曲して前方へほぼ水平に延び、前部起立部31の上端部とで断面ほぼ逆L字形をなす延出部32が形成してある。延出部32は左右のリヤサイドメンバ1,1の湾曲部11,11間(図3)の車幅方向全長にわたって形成してある。延出部32は車室フロアパネル6とほぼ面一となるように延出部32の前端縁を車室フロアパネル6の後端縁と上下に重ね合わせて溶接結合してある。
延出部32の上方位置には、車室フロアパネル6に折り畳み収納可能に設置されたリヤシート(車室シート)Rの後端が配置され、延出部32の下面にはリヤシートRの後端に対応する位置に、上記下面に沿って金属厚板からなるシートリテーナ5が重ね合わされ結合してある。シートリテーナ5には延出部32を貫通するシートアンカ51が立設してあり、該シートアンカ51にリヤシートR後端の係合部材を着脱可能に係合せしめてリヤシートRの後端を支持する。
更に、延出部32の下方には、リヤクロスメンバ2を構成するメンバ部材20が設けてある。メンバ部材20は起立状の前面部21と、前面部21の下縁から屈曲して後方へ延びる下面部22とで断面ほぼL字形をなし、延出部32と車幅方向の長さがほぼ同一寸法をなす。
メンバ部材20には、その前面部21の上縁から前方へ向けて屈曲せしめた上縁フランジ23が形成してある。メンバ部材20は、上縁フランジを延出部32の下面およびシートリテーナ5の上面部下面に下方から重ね合わせて上下方向に溶接結合するとともに、下面部22の後縁から下方へ向けて屈曲せしめた後縁フランジ24が荷室フロアパネル3の前部起立部31の前面に前方から重ね合わせて前後方向に溶接結合してある。このように、断面L字形のメンバ部材20と、これとは対称形状の断面逆L字形の荷室フロアパネル3の延出部32および前部起立部31の上端部とで四角形の閉断面をなすリヤクロスメンバ2を構成している。リヤクロスメンバ2の左右の両側端は、延出部32の両端およびメンバ部材20の両端がそれぞれ、左右のリヤサイドメンバ1,1の湾曲部11に結合してある。
尚、荷室フロアパネル3は、その底面部30の後縁から上方へ屈曲せしめた後縁フランジ301が、インナパネル41とアウタパネル42とで閉断面をなすテールクロスメンバ4の上記インナパネル41から下方へ延設せしめた延設部の下縁に結合してある。また図は省略したが、荷室フロアパネル3は、底面部30の左右の両側縁から起立する左右の側部起立部の上縁がそれぞれ左右のリヤサイドメンバ1,1(図3)の車内面に結合してある。また荷室フロアパネル3で形成した収納スペースSの上部開口は、車室フロアパネル6および延出部32と面一に開閉可能に設置したカバー板S1により塞ぐようにしている。図中、7はリヤバンパである。
参考例の構造によれば、閉断面構造をなすリヤクロスメンバ2を、断面逆L字形をなす荷室フロアパネル3の前部起立部31およびその上端の延出部32と、断面L字形のメンバ部材20とで構成し、メンバ部材20の後縁フランジ24と荷室フロアパネル3の前部起立部31とを前後方向に溶接結合したので、従来構造のようにメンバ部材20と荷室フロアパネル3との間に結合用の作業スペースを設けなくてすみ、荷室フロアパネル3の前端上部でクロスメンバ2の一部を構成したから、荷室フロアパネル3で形成する収納スペースSの前後長Aを拡大できる。
次に、図2に基づいて本発明の実施形態を説明する。尚、本実施形態は上記参考例を更に発展させたもので、基本構造は上記参考例のそれとほぼ同一で、相違点を中心に説明し、図において同一部材を同一符号で表し、これらの説明を省略する。荷室フロアパネル3の前部起立部31の上縁には、上縁から屈曲して前方かつ斜め上方へ延びる傾斜部321と、傾斜部321の上縁から前方へ屈曲する水平部322とからなる延出部320が形成してある。延出部320は水平部322が車室フロアパネル6の後端縁と上下に重ね合わせて溶接結合してある。
延出部320の下面には断面ほぼL字形のメンバ部材20が設けてある。メンバ部材20のその前面部21の上縁フランジ23を延出部320の水平部322の下面に下方から重ね合わせて上下方向に溶接結合するとともに、下面部22の後縁フランジ24が荷室フロアパネル3の前部起立部31の上縁前面に前方から重ね合わせて前後方向に溶接結合してある。
また延出部320の上面には、上面部52とその後縁から下方へ屈曲する後面部53とで断面ほぼ逆L字形をなすシートリテーナ50が設けてある。シートリテーナ50の全長は延出部320の車幅方向の全長とほぼ同一寸法をなす。シートリテーナ50はその上面部52の前縁をメンバ部材20の上縁フランジ23と延出部320の水平部322との結合部に上方から重ね合わせてこれらと一体に溶接結合するとともに、後面部53の下縁がメンバ部材20の後縁フランジ24と荷室フロアパネル3の前部起立部31との結合部に後方から重ね合わせてこれらと一体に溶接結合してある。これによりリヤクロスメンバ2は、メンバ部材20と荷室フロアパネル3の延出部320とからなる閉断面、および延出部320とシートリテーナ50とからなる閉断面とで2層の閉断面構造としてある。シートリテーナ50にはほぼ垂直面をなす後面部53の後面に沿って重ね合わせてシートアンカ51が溶接結合してあり、リヤシートRの後端を支持する。
本実施形態によれば、上記参考例と同様、収納スペースSの前後長を拡大する効果を奏する。また、荷室フロアパネル3の延出部320とメンバ部材20およびシートリテーナ50とでリヤクロスメンバ2を2層の断面構造としたので、リヤクロスメンバ2の剛性を強化できる。
本発明に関する参考例の車体後部構造の実施形態を示すもので、図3のT−T線に沿う縦断面図である。 本発明の実施形態の図1に対応する縦断面図である。 本発明を適用する車体後部構造の要部平面図である。 従来の車体後部構造の縦断面図である。
符号の説明
2 リヤクロスメンバ
20 メンバ部材
21 前面部
22 下面部
23 上縁フランジ(上縁)
24 後縁フランジ(後縁)
3 荷室フロアパネル
31 前部起立部
32,320 延出部
321 傾斜部
4 テールクロスメンバ
5,50 シートリテーナ
52 上面部
53 後面部
51 シートアンカ
6 車室フロアパネル
R リヤシート(車室シート)

Claims (1)

  1. 車体後部の前後位置に配設されたリヤクロスメンバとテールクロスメンバとの間に下方へ膨出する容器状の荷室フロアパネルを備えた車体後部構造であって、
    上記荷室フロアパネルにはその前部起立部の上縁から屈曲して前斜め上方へ傾斜状に延びる延出部を形成し、該延出部の前端を車室フロアパネルの後縁と連結せしめ、
    上記延出部の下面に、前面部と下面部とからなる断面ほぼL字形のメンバ部材を設け、該メンバ部材の上記前面部の上縁を上記延出部の下面に結合せしめ、上記下面部の後縁を上記前部起立部の上縁前面に結合せしめるとともに、
    上記延出部の上面に、上面部と後面部とからなる断面ほぼ逆L字形で車室シートを支持するシートリテーナを設け、該シートリテーナの上面部の前縁を上記延出部の前端部の上面に結合せしめ、上記後面部の下縁を上記前部起立部の上縁後面に結合せしめて、
    上記リヤクロスメンバを上記メンバ部材と上記延出部とからなる閉断面と、上記延出部と上記シートリテーナとからなる閉断面とで2層の閉断面構造とし、
    ほぼ垂直面をなす上記シートリテーナの後面部の後面に沿って車室シートのシートアンカを重ね合わせ結合せしめたことを特徴とする車体後部構造。
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