画像形成装置では、感光体ドラムなどの潜像担持体を回転駆動するために、潜像担持体の端部に潜像担持体ギアを取り付ける場合がある。このように構成された装置においては、潜像担持体ギアの偏心による影響を受けてしまう。そこで、本願発明者は潜像担持体ギアの偏心による影響を考察し、その影響を抑制するための具体的な実施形態を検討した。以下、潜像担持体ギアの偏心による影響と対策に関する考察を説明した後で、本発明にかかる実施形態について説明する。
A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策
潜像担持体ギアの偏心による影響は潜像担持体の回転速度に現れる。より具体的には、その回転速度が周期的に変動する。その結果、実際に形成される画像の位置が予め設計した位置、いわゆる理想位置からずれてしまい、画像品質を低下させてしまう。この点を明らかにするために、潜像担持体の周長にわたって複数の位相検出用マークを等間隔で形成した場合について検討する。
図1は潜像担持体ギアの偏心が生じている状態での位相検出用マークの実測位置と理想位置との関係を示す図である。ここでは、一定周期(標準周期)で出力される同期信号に基づき主走査方向xの長さが7mmで、かつ副走査方向yの長さが1mmの矩形状の位相検出用マークを中間転写ベルトなどの転写媒体16上に形成した。また、ここで使用した潜像担持体の周長が約78mmであったため、27個の位相検出用マークMK(1)、MK(2)、…、MK(27)を副走査方向yに2mm間隔で形成した。潜像担持体ギアに偏心が生じていない場合には、各位相検出用マークMK(1)、MK(2)、…はいわゆる理想位置に形成されることとなり、隣り合うマークの間隔は一定となる。しかしながら、実際の装置では潜像担持体ギアの偏心は不可避であり、偏心により同図(b)に示すように理想位置から位置誤差だけずれた位置に位相検出用マークが形成されることがある。また、位置誤差の変動を同期信号の間隔を基準として考えると、同期信号の間隔、つまり同期周期が潜像担持体ギアの偏心により変動することを意味する。これら位置誤差は各位相検出用マークMK(1)、MK(2)、…をマーク検出センサ18で検出し、センサ18から出力されるマーク検出信号を分析することで検出することができる。その検出結果の一例が図2に示すグラフである。
図2は潜像担持体ギアの偏心に伴う位相検出用マークの理想位置からの位置誤差を示すグラフである。同図では、第1番目のマークMK(1)については理想位置と実測位置とを一致させており、その他のマークMK(2)〜MK(27)について位置誤差(=理想位置−実測位置)を求めている。そして、各マークMK(2)〜MK(27)の位置誤差を転写媒体上におけるマークMK(1)からの距離に応じてプロットした。同図からわかるように、潜像担持体ギアの偏心特性については振幅と位相とで特定することができる。つまり、同図に示す実測例では、位置誤差の平均値は約(−42μm)であり、振幅は約40μm、角度換算での位相(位相角)は約235゜となっている。このように、振幅と位相角とにより潜像担持体ギアの偏心特性を特定することができる。この偏心特性をさらに詳しく検討すると、図2の偏心特性から次のことがわかる。すなわち、マークMK(1)からの距離が短い領域(距離:0〜20mm)では、位置誤差が次第に大きくなっており、図1(b)に示すように、マークのピッチP12,P23,P34,…が次第に大きくなっている。そして、その次の領域(距離:20〜40mm)では位置誤差の変動が小さくなり、最大振幅位置(距離:約30mm)近傍ではマークのピッチは標準ピッチとなり、その前後においても標準ピッチからのズレも小さくなっている。それ以降も上記と同様となっている。これらのことから明らかなように、図2の偏心特性をピッチ特性に変換することで隣接するマークの位置関係が明らかになる。つまり、図2中の偏心特性に対して微分処理を施すことによりピッチ特性が得られる(図3中の曲線)。なお、同図における直線は標準ピッチである。
このように潜像担持体ギアの偏心によりマークMK(1),MK(2),…のピッチが変化することから、本願発明者は当該変化に応じた制御を考え出した。すなわち、当該変化と逆方向に同期信号の周期を制御することで潜像担持体ギアの偏心をキャンセルして位置誤差を抑制することができるとの知見を本願発明者は得た。より具体的には、ピッチ特性を反転された特性(図4中の曲線)で同期信号の周期を変化させた。そして、図4の曲線で示す特性で同期信号の周期を変化させながら、位相検出用マークMK(1)〜MK(27)を形成して位置誤差を求めた。その結果、図5に示すように、位置誤差を大幅に抑えることができた。
そこで、本願発明では、潜像担持体ギアの偏心特性を示す位相データ(振幅および位相角)を検出するとともに、その位相データに基づき同期信号の周期を補正することで潜像担持体への潜像の書込位置を調整して画像品質の向上を図っている。以下、具体的な実施形態を示して本願発明の内容をさらに詳しく説明する。
B.第1実施形態
図6は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。この装置1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成するカラー印字処理、およびブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する単色印字処理を選択的に実行する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)がメインコントローラ(図示省略)に与えられると、このメインコントローラからの指令に応じてエンジンコントローラ(図示省略)がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート(記録材)Sに画像形成指令に対応する画像を形成する。
図6において、本実施形態の画像形成装置1は、ハウジング本体2と、ハウジング本体2の前面(同図の右手側面)に開閉自在に装着された第1の開閉部材3と、ハウジング本体2の上面に開閉自在に装着された第2の開閉部材(排紙トレイを兼用している)4とを有している。また、第1の開閉部材3には、開閉蓋3aがハウジング本体2の前面に開閉自在に装着されている。なお、この開閉蓋3aは第1の開閉部材3と連動して、または独立して開閉可能となっている。
ハウジング本体2内には、電源回路基板、メインコントローラおよびエンジンコントローラを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット6、転写ベルトユニット9および給紙ユニット10もハウジング本体2内に配設されている。一方、第1の開閉部材3側には、定着ユニット12が配設されている。なお、この実施形態では、画像形成ユニット6および給紙ユニット10内の消耗品は、ハウジング本体2に対して着脱自在に構成されている。そして、これらの消耗品および転写ベルトユニット9については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
転写ベルトユニット9は、ハウジング本体2の下方に配設される駆動ローラ14と、駆動ローラ14の斜め上方に配設される従動ローラ15と、この2本のローラ14、15間に張架されて図示矢印方向D16へ循環駆動される中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の表面に当接されるベルトクリーナ17とを備えている。この従動ローラ15は駆動ローラ14に対して斜め上方(図6中の左手上方)に配置されている。このため、中間転写ベルト16は傾斜状態のまま方向D16に回転移動する。また、中間転写ベルト16を駆動した際のベルト搬送方向D16が下向き(図6の右下向き)になるベルト面16aは下方に位置している。本実施形態においては、ベルト面16aがベルト駆動時のベルト張り面(駆動ローラ14により引っ張られる面)となっており、各色の感光体ドラム(像担持体)20の周速よりも遅い周速を有している。このように中間転写ベルト16の周速を各感光体ドラム20の周速よりも遅くなるように設定することで、感光体ドラム20は中間転写ベルト16に回転を抑える向きに引っ張られるようにして駆動している。
駆動ローラ14は、2次転写ローラ19のバックアップローラを兼ねている。駆動ローラ14の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が100kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラ19を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ14に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシートSが進入する際の衝撃が中間転写ベルト16に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
また、本実施形態においては、駆動ローラ14の径を従動ローラ15の径より小さくしている。これにより、2次転写後のシートSがシートS自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ローラ15をベルトクリーナ17のバックアップローラとして兼用させている。このベルトクリーナ17は、搬送方向下向きのベルト面16a側に設けられており、図6に示すように、残留トナーを除去するクリーニングブレード17aと、除去したトナーを搬送するトナー搬送部材とを備えている。そして、クリーニングブレード17aは従動ローラ15への中間転写ベルト16の巻きかけ部において中間転写ベルト16に当接して2次転写後に中間転写ベルト16の表面に残留しているトナーをクリーニング除去する。
駆動ローラ14および従動ローラ15は転写ベルトユニット9の支持フレーム(図示省略)に回転自在に支持されている。また、中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16a裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの感光体ドラム20に対向して1次転写ローラ21が設けられている。これら4つの1次転写ローラ21は上記支持フレームに対して回転自在に軸支され、図示を省略する1次転写バイアス発生部と電気的に接続されており、適当なタイミングで1次転写バイアス発生部から1次転写バイアスが印加される。
上記支持フレームは、駆動ローラ14を回動中心としてハウジング本体2に対して回動自在となっている。そして、図示を省略するアクチュエータを作動させることで支持フレームが回動してイエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の画像形成ステーションY,M,Cの感光体ドラム20に対向して配置された1次転写ローラ21が感光体ドラム20に向かって近接し、また感光体ドラム20から離間移動する。このため、イエロー、マゼンタおよびシアン用の1次転写ローラ21が感光体ドラム20に向かって近接移動すると、中間転写ベルト16を挟んで該感光体ドラム20に当接する(図6中の実線)。そして、この当接位置が1次転写位置となっており、該1次転写位置でトナー像が中間転写ベルト16に転写される。逆に、イエロー、マゼンタおよびシアン用の1次転写ローラ21が感光体ドラム20から離間移動すると、画像形成ステーションY,M,Cの感光体ドラム20と中間転写ベルト16とは互いに離間する(図6中の破線)。一方、ブラック(K)の画像形成ステーションKの感光体ドラム20に対向して配置された1次転写ローラ21については、中間転写ベルト16を挟んで該感光体ドラム20に当接されたまま回転するように構成されている。したがって、図6の実線で示すように、全1次転写ローラ21を感光体ドラム20側に位置させることでカラー印字処理が実行可能となる。一方、同図の破線で示すように、ブラック用の1次転写ローラ21を残して他の1次転写ローラ21を感光体ドラム20から離間させることでモノクロ印字処理のみを実行しつつ中間転写ベルト16が画像形成ステーションY,M,Cから離間してイエロー、マゼンタおよびシアン色については非印字状態とすることができる。なお、ブラック用の1次転写ローラ21についても、必要に応じて感光体ドラム20から離間移動させるように構成してもよい。
また、転写ベルトユニット9の支持フレームには、駆動ローラ14に近接してマーク検出センサ18が設置されている。このマーク検出センサ18は、中間転写ベルト16上の各色トナー像の位置決めを行うとともに、各色トナー像の濃度を検出し、各色画像の色ずれや画像濃度を補正するためのセンサである。また、後述するようにして感光体ギアなどの潜像担持体ギアの位相データを求める際には、センサ18は中間転写ベルト(転写媒体)16上に形成される位相検出用マークを検出する。
画像形成ユニット6は、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イエロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。各画像形成ステーションY,M,C,Kには、本発明の「潜像担持体」に相当する感光体ドラム20が設けられている。また、各感光体ドラム20の周囲には、帯電部22、像書込部23、現像部24および感光体クリーナ25が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作が実行される。なお、図6において、画像形成ユニット6の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上、一部の画像形成ステーションのみに符号を付けて他の画像形成ステーションについては符号を省略する。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。さらに、この実施形態では、図7に示すように、各画像形成ステーションY,M,C,Kでは、上記した構成部品がカートリッジ本体32に取り付けられてカートリッジ化され、ステーションY,M,C,K毎にカートリッジとしてハウジング本体2に対して着脱自在となっている。
各画像形成ステーションY,M,C,Kをハウジング本体2に装着すると、感光体ドラム20は1次転写位置TR1で中間転写ベルト16の搬送方向下向きのベルト面16aに当接されるように配置されている。その結果、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ローラ14に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。
帯電部22は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム20の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム20の回転動作に伴って感光体ドラム20に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電位置で感光体ドラム20の表面を帯電させる。
像書込部23は、複数の有機EL(electroluminescence)素子を感光体ドラム20の軸方向(図6の紙面に対して垂直な方向)に列状に配列したラインヘッドを用いており、感光体ドラム20から離間配置されている。また、ラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトである。そのため、感光体ドラム20に対して近接配置が可能であり、装置全体を小型化できるという利点を有する。なお、ラインヘッドの構成および駆動制御については後で詳述する。
次に、現像部24の詳細について、画像形成ステーションKを代表して説明する。この現像部24は、トナーを貯留するトナー貯留容器26と、このトナー貯留容器26内に配設された2つのトナー撹拌供給部材28,29と、トナー撹拌供給部材29に近接配置された仕切部材30と、仕切部材30の上方に配設されたトナー供給ローラ31と、トナー供給ローラ31および感光体ドラム20に当接して所定の周速で図示矢印方向に回転する現像ローラ33と、現像ローラ33に当接される規制ブレード34とから構成されている。
そして、各現像部24では、トナー撹拌供給部材29により撹拌、運び上げられたトナーは、仕切部材30の上面に沿ってトナー供給ローラ31に供給される。また、こうして供給されたトナーは供給ローラ31を介して現像ローラ33の表面に供給される。そして、現像ローラ33に供給されたトナーは規制ブレード34により所定厚さの層厚に規制され、感光体ドラム20へと搬送される。そして、現像ローラ33と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ33に印加される現像バイアスによって、現像ローラ33と感光体ドラム20とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ33から感光体ドラム20に移動して、像書込部23により形成された静電潜像が顕像化される。
また、この実施形態では、感光体ドラム20の回転方向D20において1次転写位置TR1の下流側に、感光体ドラム20の表面に当接して感光体クリーナ25が設けられている。この感光体クリーナ25は、感光体ドラム20の表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム20の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
給紙ユニット10は、シートSが積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシートSを一枚ずつ給送するピックアップローラ36とからなる給紙部を備えている。第1の開閉部材3内には、2次転写領域TR2へのシートSの給紙タイミングを規定するレジストローラ対37と、駆動ローラ14および中間転写ベルト16に圧接される2次転写手段としての2次転写ローラ19と、定着ユニット12と、排紙ローラ対39と、両面プリント用搬送路40を備えている。
2次転写ローラ19は、中間転写ベルト16に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット12は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ45と、この加熱ローラ45を押圧付勢する加圧ローラ46とを有している。そして、シートSに2次転写された画像は、加熱ローラ45と加圧ローラ46で形成するニップ部で所定の温度でシートSに定着される。本実施形態においては、中間転写ベルト16の斜め上方に形成される空間、換言すれば、中間転写ベルト16に対して画像形成ユニット6と反対側の空間に定着ユニット12を配設することが可能になり、電装品ボックス5、画像形成ユニット6および中間転写ベルト16への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。
また、こうして定着処理を受けたシートSは排紙ローラ対39を経由してハウジング本体2の上面部に設けられた第2の開閉部材(排紙トレイ)4に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排紙ローラ対39後方の反転位置まで搬送されてきた時点で排紙ローラ対39の回転方向を反転し、これによりシートSは両面プリント用搬送路40に沿って搬送される。そして、レジストローラ対37の手前で再び搬送経路に乗せられるが、このとき、2次転写領域TR2において中間転写ベルト16と当接して画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
図8は中間転写ベルトと各色の感光体ドラムとの配置関係を示す模式図である。この実施形態にかかる画像形成装置1では、4色の感光体ドラム20が設けられているが、ブラック用の感光体ドラム20Kを回転駆動するための駆動モータ50Kと、イエロー、マゼンタおよびシアン用の感光体ドラム20Y,20M,20Cを回転駆動するための駆動モータ50CLとが設けられている。この駆動モータ50Kの回転軸にはモータピニオン51Kが取り付けられるとともに、このモータピニオン51Kに対してアイドラギア52Kが歯合配置されている。また、このアイドラギア52Kに対して別のアイドラギア53Kが歯合配置されている。このアイドラギア53Kと同軸にアイドラギア54Kが取り付けられており、駆動モータ50Kの回転駆動力がモータピニオン51Kおよびアイドラギア52Kを介してアイドラギア53Kに伝達されると、アイドラギア53K,54Kが一体的に回転する。これらモータ50K、モータピニオン51Kおよびギア52K〜54Kはハウジング本体2に固定配置されている。これに対し、感光体ギア55Kはブラック色の画像形成ステーションKとともに移動可能となっている。すなわち、画像形成ステーションKでは、図7および図8に示すように感光体ドラム20Kの端部において、感光体ドラム20Kの回転軸と同軸に感光体ギア55Kが取り付けられている。そして、画像形成ステーションKがハウジング本体2に装着されると、感光体ギア55Kがアイドラギア54Kと歯合する。このため、駆動モータ50Kを制御することでモータ50Kで発生した回転駆動力が感光体ドラム20Kに与えられて感光体ドラム20Kが副走査方向D20に回転駆動する。
一方、駆動モータ50CLには、モータピニオン51CLが取り付けられるとともに、このモータピニオン51CLに対してアイドラギア52CLが歯合配置されている。そして、このアイドラギア52CLのブラック側(図8の右下側)でアイドラギア53Aがアイドラギア52CLと歯合配置されるとともに、マゼンタ側(図8の左上側)でアイドラギア53Bがアイドラギア52CLと歯合配置されている。そして、一方のアイドラギア53Aには、アイドラギア54Cが同軸に取り付けられている。もう一方のアイドラギア53Bには、アイドラギア54Mが同軸に取り付けられるとともに、アイドラギア53Bのイエロー側(図8の左上側)でアイドラギア53Cがアイドラギア53Bと歯合配置されている。さらに、そのアイドラギア53Cには、別のアイドラギア53Dが歯合配置されている。そして、アイドラギア35Dには、アイドラギア54Yが同軸に取り付けられている。このように複数のギアを組み合わせて輪列を構成することによって、駆動モータ50CLの回転駆動力は各アイドラギア54Y,54M,54Cに同時に伝達される。これらモータ50CL、モータピニオン51CLおよびギア群についても、ブラック側と同様に、ハウジング本体2に固定配置されている。さらに、イエロー、マゼンタおよびシアンの感光体ギア55Y,55M,55Cについても、ブラック側と同様に、画像形成ステーションY,M,Cとともに移動可能となっている。このように、本実施形態では、感光体ギア55Y,55M,55C,55Kは感光体ドラム(潜像担持体)20Y,20M,20C,20Kに直結されており、本発明の「潜像担持体ギア」に相当している。
また、この実施形態では、感光体ドラム20の回転軸に直結された感光体ギア55は感光体ドラム20(20Y,20M,20C,20K)の直径よりも小口径となっており、その外周部に位相検出用突起56が位相基準として突設されている。そして、上記のようにして画像形成ステーション(Y、M,C,K)がハウジング本体2に装着されると、ハウジング本体2に固定配置された位相センサ57(57Y,57M,57C,57K)により検出可能となる。各位相センサ57は、感光体ギア55の位相検出用突起56の回転軌跡に向けて光を照射する投光部と、位相検出用突起56により反射された光を受光し、該受光量に対応した信号を出力する受光部とを有している。このため、感光体ギア55に設けられた位相検出用突起56が位相センサ57を通過するたびにパルス信号が次に説明するエンジンコントローラに設けられた位相測定部に出力される。
図9は図6の画像形成装置の主要な電気構成を示すブロック図である。この装置1では、メインコントローラ51とエンジンコントローラ52とが設けられている。メインコントローラ51はCPU511、画像データ用メモリ512および露光制御部513を備えている。このメインコントローラ51では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)が与えられると、CPU511がその画像形成指令に応じた制御信号をエンジンコントローラ52に与えるとともに、その画像形成指令に含まれる画像データを画像データ用メモリ512に一時的に記憶する。また、露光制御部513は後述するようにして周期補正された同期信号Hsyncを受け取り、この同期信号Hsyncに応じたタイミングで像書込部23のラインヘッドに画像信号VSGを与える。
図10は有機EL素子を用いたラインヘッドの概略斜視図である。同図においては、像書込部23に設けるラインヘッドの細部が示されている。各像書込部23のラインヘッド232では、複数の有機EL素子233が主走査方向Xに列状(2列千鳥状)に配列された状態で長尺のハウジング中に保持されている。この像書込部23は、ガラス基板234上に有機EL素子233からなる素子列の発光部を載置し、同じガラス基板234上に形成されたTFT(=Thin Film Transistor)235により駆動される。すなわち、露光制御部513から画像信号が与えられると、該画像信号に基づきTFT235が作動して有機EL素子233が発光する。屈折率分布型ロッドレンズアレイ236は結像光学系を構成し、発光部の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズ237を俵積みしている。ハウジングは、ガラス基板234の周囲を覆い、感光体ドラム20に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズ237から感光体ドラム20に光線を射出する。これによって、画像信号に対応して感光体ドラム20に潜像が形成される。したがって、露光制御部513からの画像信号VSGの出力タイミングを制御することでライン潜像の書込位置を調整可能となっている。このように、この実施形態では、CPU521が本発明の「タイミング制御部」としての機能を担っている。
図9に戻って説明を続ける。また、CPU521は画像形成ステーションY,M,C,Kに設けられた不揮発性メモリ61Y,61M,61C,61Kと電気的に接続されている。すなわち、メモリ61Y,61M,61C,61Kの各々は図7に示すようにカートリッジ本体32の側面部に固着されており、ステーションに関する情報(感光体ギア55の位相データを含む)を記憶している。そして、ハウジング本体2へのステーションの装着によりメモリ61Y,61M,61C,61KとCPU521との間で情報の伝送が可能となっている。なお、メモリ61Y,61M,61C,61KとCPU521との電気的な接続方式としては、接触方式でも、無線方式でもよい。この点に関しては、CPU521および露光制御部513と、各像書込部23との間の電気的接続においても同様である。
また、位相測定部522は上記したように各位相センサ57(57Y,57M,57C,57K)と電気的に接続されており、各位相センサ57から出力された検出信号を受信可能となっている。また、位相測定部522はマーク検出センサ18とも電気的に接続されており、センサ18からの出力信号を受信可能となっている。このように2種類のセンサからの出力信号に基づき位相測定部522は感光体ギア55の偏心に関連する位相データ(振幅および位相角)を検出し、CPU521に出力する。このように、本実施形態では位相測定部522が本発明の「位相検出部」として機能している。
さらに、不揮発性メモリ523はエンジン部EGを制御するための制御データを記憶するとともに、CPU521における演算結果やその他のデータを一時的に記憶する。その記憶内容のひとつとして、同期信号Hsyncを周期補正するための補正データが感光体ギア55の位相データに対応させて補正テーブルとしてメモリ523に記憶されており、本発明の「記憶手段」として機能している。すなわち、このメモリ523では、図11に示すように、位相データを構成する振幅および位相角で決まる補正値(振幅,位相角)がデータテーブル形式で記憶されている。これらの補正値(振幅,位相角)の各々は感光体ドラム20が1周する間に出力する同期信号Hsyncの周期を示しており、例えば補正値(40,210)として図12に示す補正データを設定することができる。これにより、感光体ドラム(潜像担持体)20への潜像の書込位置が調整されて画像品質の向上が図られる。以下、図6に示す画像形成装置における動作について図13を参照しつつ説明する。
図13は感光体ドラムへの潜像の書込位置を調整する動作を示すフローチャートである。この実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令(印字指令)がメインコントローラ51に与えられると、画像形成前に、各トナー色ごとに感光体ギア55の位相データに基づき補正データがロードされる。そして、補正データに基づく周期で出力される同期信号に同期して画像信号がラインヘッド232に与えられて画像形成が実行される。したがって、ハウジング本体2に装着されたステーションY,M,C,Kの各々に対して感光体ギア55の位相データを予め設定しておく必要がある。そこで、この実施形態では、ステーションが新品カートリッジであるか否かを判断する(ステップS1)。そして、新品カートリッジである場合には、次に説明する位相データ算出処理が実行される、つまり該ステーションに装備された感光体ギア55の位相データが求められて不揮発性メモリ61に記憶される(ステップS2〜S8)。一方、既に位相データが求めれているステーションについては位相データ算出処理を行うことなくステップS9に進む。
位相データ算出処理のステップS2では、新品カートリッジと判断された画像形成ステーションに対応するモータが駆動されて該ステーションを構成する感光体ドラム20の回転が開始される。例えば、ブラックのステーションKが新品カートリッジであると判断された際には駆動モータ50Kが駆動され、イエロー、マゼンタまたはシアンのステーションY,M,Cが新品カートリッジであると判断された際には駆動モータ50CLが駆動される。このように位相データの導出が必要なステーションにステップS2〜S8が実行される。
感光体ドラム20の回転が開始されると、やがて該感光体ギア55に設けられた位相検出用突起56が位相センサ57を通過してパルス信号が位相測定部522に出力される。これによって位相基準となる位相検出用突起56が検出され(ステップS3)、位相検出用マークの形成が行われる(ステップS4)。この実施形態では、「A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策」の項での位相検出用マークと同様にして、27個の位相検出用マークMK(1)〜MK(27)が中間転写ベルト16上に形成される(図1参照)。そして、これらの位相検出用マークMK(1)、MK(2)、…がマーク検出センサ18を通過する毎にマーク検出センサ18からマーク検出信号が位相測定部522に出力される。こうして、感光体ドラム20の周長の間に形成された位相検出用マークMK(1)〜MK(27)が検出され、これと同時に感光体ドラム20の回転を停止する(ステップS6)。なお、この実施形態では、マークの形成態様を「A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策」の項での説明と一致させているが、マークの個数、形状などについては任意である。
これに続くステップS7では、位相測定部522が上記した検出信号に基づき感光体ギア55の位相データを求める。より具体的には、「A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策」の項で説明したと同様に、マークMK(2)〜MK(27)について位置誤差(=理想位置−実測位置)が求められる。そして、それらの位置誤差が中間転写ベルト16上におけるマークMK(1)からの距離に対応付けられて、図2と同様の感光体ギア55の偏心特性が求められる。そこで、偏心特性を特徴付ける振幅情報と位相情報とが算出される。なお、こうして求められた位相データ(振幅情報と位相情報)は位相データ算出処理の実行対象となった画像形成ステーションの不揮発性メモリ61に書き込まれて記憶される(ステップS8)。また、該位相データは画像形成のためにエンジンコントローラ52のメモリ523にも一時的に記憶される。
このように、この実施形態では、新品カートリッジであるために感光体ギア55の位相データが不明である場合には、位相検出用マークMK(1)〜MK(27)を形成するとともに、これらのマークMK(1)〜MK(27)を読取ることで感光体ギア55の位相データを求めている。したがって、感光体ギア55の偏心特性を確実に求めることができる。しかも、こうして求めた位相データについてはカートリッジ本体32に取り付けた不揮発性メモリ61に記憶しているため、これ以降においては上記した位相データ算出処理(ステップS2〜S8)は不要となる。もちろん、該画像形成ステーションをハウジング本体2から取り外した後に、元の装置に再装着する場合や他の装置に装着する場合も、位相データ算出処理を行うことなく、次のステップS9に進むことができる。
上記位相データ算出処理が完了する、またはステップS1で「NO」と判断されると、ステップS9に進んで、各画像形成ステーションのメモリ61から位相データが読み出される。位相データは上記したように振幅情報と位相情報(位相角)とを含んでおり、これらにより感光体ギア55の偏心特性が特定される。そこで、この実施形態では、上記したように偏心の影響を抑制するための補正データと位相データとが関連付けられた補正テーブルから、位相データで決まる補正値(振幅,位相角)を補正データとして取り出す(ステップS10)。この補正データは感光体ドラム20が1周する間に出力する同期信号Hsyncの周期を示しており、例えば位相データを構成する振幅および位相角がそれぞれ「40」、「210」である場合には、例えば図12に示す補正データがロードされる。
次のステップS11では、すべてのモータ50K,50CLが駆動されて全感光体ドラム20の回転が開始される。そして、各ステーションでは、位相基準となる位相検出用突起56が検出された(ステップS12)後、ステップS10でロードされた補正データに基づき周期補正済の同期信号HsyncがCPU521から露光制御部513に出力される(ステップS13)。そして、露光制御部513は画像信号VSGを周期補正済の同期信号Hsyncに同期させながらラインヘッド232に出力する(ステップS14)。一方、ラインヘッド232では、シリアルに送られてくる画像信号VSGに対応して一方端部の有機EL素子233から順番に発光して感光体ドラム20上にライン潜像が形成される。このようなライン潜像形成処理(ステップS13,S14)はステップS15で画像形成終了と判断されるまで繰り返される。こうして、各画像形成ステーションにおいて2次元潜像が感光体ドラム20に形成されるとともに該潜像が現像処理されてトナー像が形成された後、それらのトナー像が中間転写ベルト16上で相互に重ね合わさせてカラー画像が形成される。そして、ステップS15で画像形成終了と判断されると、全感光体ドラム20の回転が停止される(ステップS16)。
以上のように、この実施形態によれば、感光体ギア55の偏心に応じて同期信号Hsyncの周期を補正し、これによって感光体ドラム20へのライン潜像の書込位置を調整しているので、偏心の影響を抑制することができ、その結果、画像品質を向上させることができる。また、同期信号Hsyncの周期を補正することは、感光体ギア55と感光体ドラム20とを一体的に構成した装置において画像品質をさらに向上させる上で非常に優れている。すなわち、感光体ギア55と感光体ドラム20とを一体化した画像形成ステーションを用いたタンデム装置では、各ステーション間で感光体ギア55の偏心特性が相互に異なることがあり、感光体ドラム20間での回転位相関係を調整したとしても画質向上を図ることができない場合がある。これに対し、上記実施形態では感光体ドラム20毎に感光体ギア55の位相データに基づく補正を行っている。そのため、各ステーション間で感光体ギア55の偏心特性が相互に異なっている装置においても、感光体ギア55の偏心による影響を確実に抑制することができる。
また、感光体ギア55の位相データについては、装置1への新品カートリッジの装着前に測定しておき、不揮発性メモリ61に記憶させてもよい。この場合には、位相データ算出処理(ステップS2〜S8)は不要となる。しかしながら、カートリッジ(画像形成ステーション)単体について位相データを事前の測定するためには、専用の測定装置を利用する必要があり、コスト的にも作業性の面からも非効率である。これに対し、上記実施形態では、新品カートリッジに対して位相データ算出処理(ステップS2〜S8)を実行して位相データを装置内で自動的に求めているため、事前の測定を省略することができ、効率的に位相データを求めることができる。
また、上記実施形態では、位相データを振幅情報と位相情報(位相角)で構成する一方、偏心の影響を抑制するための補正データと位相データとを関連付けて補正テーブルに記憶している。そして、上記のようにして求められた位相データに対応する補正データ、つまり補正値(振幅,位相角)を取り出している。したがって、毎回「A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策」の項で説明したと同一の手順を踏むことなく、補正データを得ることができ、画像形成に要する時間を短縮するとともに、制御の簡素化を図ることができる。
C.第2実施形態
ところで、上記第1実施形態では、複数の有機EL素子233を主走査方向Xに列状(2列千鳥状)に配列したラインヘッド232を用いているが、ラインヘッドの構成はこれに限定されるものではない。例えば図14に示す多重露光方式のラインヘッドを有する画像形成装置に対しても本発明を適用することができ、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
図14は第2実施形態におけるラインヘッドの構成を示す図である。この第2実施形態にかかるラインヘッド232には、複数の有機EL素子233を主走査方向Xに列状(1列直線状)に配列した素子列238a〜238cが複数列(この実施形態では3列)副走査方向D20に設けられている。つまり、ラインヘッド232では、2次元配列構造が採用されている。また、各素子列238a〜238cに対応してシフトレジスタ回路239a〜239cが設けられており、露光制御部513から出力された画像信号VSGの転送・保持・素子への出力を実行する。すなわち、この実施形態では、素子列を構成する有機EL素子233の素子数Nに対応する画像信号を「1ライン分の画像信号」とし、露光制御部513は周期補正された同期信号Hsyncに同期して1ライン分の画像信号VSGをシフトレジスタ回路239aに出力する。一方、画像信号VSGを受け取ったシフトレジスタ回路239aは先頭の素子列238aを構成する有機EL素子233を発光させて所定の光量で感光体ドラム20上の画素を露光する。
また、感光体ドラム20の副走査方向D20への移動により先頭の素子列238aの有機EL素子で露光された画素が次の素子列238bと対向する位置に移動する。このタイミングでシフトレジスタ回路239aに入力された画像信号VSGをシフトレジスタ回路239bに転送する。このシフトレジスタ回路239bは、中央の素子列238bに画像信号VSGを出力して有機EL素子233を発光させる。このため、先頭の素子列238aの有機EL素子233で露光された画素は、同じ強さの光量で再度露光される。このようにして、感光体ドラム20を副走査方向D20に移動させながらシフトレジスタ回路239a〜239cで順次画像信号VSGを転送し、続いて有機EL素子233に画像信号VSGを出力して異なる素子列の有機EL素子233で同一画素を順次露光する。
このため、図14の実施形態では画素は単一の有機EL素子で露光される場合の5倍の光量で露光されることになり、必要な輝度を高速で取得することができる。また、この実施形態では、周期補正された同期信号Hsyncの同期して露光制御部513からの画像信号VSGを出力して書込タイミングを調整しているため、先頭の素子列238aで書き込まれる潜像位置は副走査方向D20においてほぼ等ピッチとなる。したがって、素子列238a〜238cの間隔を上記ピッチに対応させておくと、感光体ギア55の偏心により感光体ドラム20の回転速度に周期性が存在したとしても、各素子列238a〜238cで露光される画素を高精度に重ね合わせることができ、画像品質を高めることができる。上記のように、この実施形態では、各素子列を構成するN個(N≧2)の有機EL素子233に対応した画像信号を1ライン分とし、露光制御部513から出力される1ライン分の画像信号VSGに基づき素子列が副走査方向D20における配列順序で、しかも相互に異なる露光タイミングで同一位置にライン潜像を形成することによって多重露光を行っている。そこで、補正された同期信号Hsyncの周期に対応して露光タイミングを調整しながら多重露光を実行することで上記作用効果が得られる。
D.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、「A.潜像担持体ギアの偏心による影響と対策」の項で説明したようにマークのピッチの変化(例えば図3で示すピッチ特性)と逆方向に同期信号Hsyncの周期を補正している。つまり、マークMKのピッチが均一になるように補正データを設定しているが、図1の実測マークMKが理想位置に位置するように補正データを設定してもよい。
また、上記実施形態では、位相データ算出処理(ステップS2〜S8)を実行して位相測定部522により位相データを検出しているが、すべてのカートリッジについて感光体ギア55の位相データを事前に測定しておき、不揮発性メモリ61から読み出すことで位相データを検出するように構成してもよい。この場合、メモリ61から位相データを読み出すCPU521が本発明の「位相検出部」に相当する。
さらに、上記各実施形態は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーを用いてカラー画像を形成する装置に本発明を適用したものであるが、カラー形成方式(タンデム方式、4サイクル方式など)、トナー色の種類および数については上記に限定されるものでなく、複数の有機EL素子を列状に配列したラインヘッドを用いて画像を形成する画像形成装置全般に適用することができる。
1…画像形成装置、 18…マーク検出センサ、 20,20Y,20M,20C,20K…感光体ドラム(潜像担持体)、 23…像書込部、 55,55Y,55M,55C,55K…感光体ギア(潜像担持体ギア)、 232…ラインヘッド、 233…有機EL素子、 238a〜238c…素子列、 513…露光制御部、 521…CPU(タイミング制御部、位相検出部)、 522…位相測定部(位相検出部)、 523…不揮発性メモリ(記憶手段)、D20…副走査方向、 Hsync…同期信号、 VSG…画像信号、 X,x…主走査方向、 y…副走査方向