JP4752224B2 - 微粒子層の形成方法及びスクリーン - Google Patents

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本発明は、例えば親水性微粒子からなるフォトニック結晶層のような親水性微粒子層を形成するための技術に関するものであり、特に、酸化チタンの超親水性を利用した新規な微粒子層の形成方法及びこの微粒子層を有するスクリーンに関する。
従来、プロジェクタから投射される光を反射して画像を表示する反射型スクリーンとしては、可視部波長領域のすべての光を反射又は散乱する、波長特性のない、白地のスクリーンが用いられている。この白地のスクリーンでは、画像に関係のない光(外部光)がスクリーンに入射した場合、画像と同様に反射又は散乱される。その結果、外部光が画像に重なって観察者の目に入り、画像のコントラストを劣化させる原因になる。
このため、プロジェクタから白地のスクリーンに画像を投射する場合には、外部光を制限した暗室内で投射するのが一般的である。しかしながら、画像表示が暗室内に限定されることは、スクリーンを用いる表示システムの有用性を著しく損ない、用途を大きく制限することになる。また、暗室内で投射したとしても、スクリーンからの反射光が暗室内で散乱されてスクリーンに再入射する光、外部から漏れてくる光、及び非常灯など暗室内に残存する光等の外部光の反射によって、画像のコントラストは低下し、画像の暗黒部をスクリーン上で真の暗部として表示することができない。
また、CRTプロジェクタや液晶プロジェクタ等には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色光をスクリーンに投射し、スクリーン上で混色して各種の色を表示するプロジェクタがある。このようなプロジェクタにおいては、用いられる各3原色光のスペクトル半値幅(FWHM)が60〜100nmと広いため、表現できる色度図上の色再現範囲が狭くなり、正確な色調を再現することが難しいという問題がある。
このような状況から、特定の可視光を反射する、波長特性を持つスクリーンが提案されている(例えば、特許文献1等を参照)。前記波長特性を持つスクリーンでは、表面に、可視光のうちの3原色光近傍の狭い波長領域の光のみを選択的に反射する反射層が設けられ、その厚み方向下部に、反射層を透過してきた可視光を吸収する吸収層が設けられている。上記のスクリーンに画像を表示する場合には、プロジェクタ等から、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色光をスクリーンに投射し、スクリーン上での混色によって種々の色をもつ画像を形成する。これら3原色光は、スクリーンに設けられた反射層によって反射され、観察者の目に届き、画像として知覚される。
一方、外部光には様々な波長の光が含まれていて、その大部分は、反射層が反射できる3原色光近傍の波長領域を外れた光である。このため、上記のスクリーンに外部光が入射しても、その大部分は反射層によって反射されず、吸収層に吸収されるので、外部光が画像に重なって観察者の目に入ることはほとんどない。この結果、外部光によるコントラストの劣化がわずかになり、画像の暗黒部をスクリーン上に真の暗部として表示することができる。また、照明のある室内や野外等、暗室外でのスクリーン表示も可能になる。
上記のように、特許文献1記載のスクリーンは、スクリーン自体が波長によって光を選別するフィルタとしての作用を示すので、次に記す理由で、画像の色再現性も改善される。すなわち、CRTプロジェクタや液晶プロジェクタから出射される各3原色光のスペクトル半値幅は、上述したように広い。しかし、これらの光が上記のスクリーンに入射すると、3原色光とその近傍の狭い波長領域の光のみが選択的に反射され、これら以外の光はすべて吸収される。この結果、スクリーンから反射される各3原色光は、スペクトル半値幅の狭い、色純度の良い光に改善される。したがって、これらの3原色光の混色によって形成される画像の色再現範囲は拡大し、色調もより正確に再現される。
特開2003−330119
ところで、前記特許文献1記載のスクリーンでは、特定の波長領域の光のみを選択的に反射する反射層として、1μm以下の微粒子を自己組織化により規則的に配列した微粒子層(いわゆるフォトニック結晶層)を基材の表面に形成しており、したがって、この微粒子層を形成する技術が、特性を左右する鍵となる。
従来、例えばプロジェクタスクリーン用にシリカ微粒子でフォトニック結晶を作製する場合、基材には、例えばマット加工した黒色ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いている。しかしながら、マット加工した黒色ポリエチレンテレフタレートフィルムの水に対する接触角は70度程度であり、水に対する親和性が十分とは言い難く、形成される微粒子層において結晶性が不十分となり、平坦性も損なわれるという問題がある。
前記問題を解消するために、例えば基材上に紫外線反射シリカ微粒子を下塗りしてから赤色、緑色、青色の各色の光を反射する微粒子層を形成することも行われているが、結晶性に関しては十分とは言えず、また、紫外線反射シリカ微粒子からなる下塗りとの界面で剥離するおそれもある。また、スクリーンサイズを1枚のフィルムで作製するには、高価な大型設備が必要になる等の問題もある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明は、例えば引き上げ法により微粒子層を基材上に形成する場合に、メニスカス力を強めることができ、欠陥のない結晶性に優れた微粒子層を形成することが可能な微粒子層の形成方法及びスクリーンを提供することを目的とする。また、本発明は、微粒子層の不用意な剥離の心配がなく、信頼性の高い微粒子層を形成することが可能な微粒子層の形成方法及びスクリーンを提供することを目的とする。さらに本発明は、例えばプロジェクタスクリーン用等の用途において、面積の大きな微粒子層を小型の設備で簡単に作製することができる微粒子層の形成方法及びこの微粒子層を有するスクリーンを提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の微粒子層の形成方法は、少なくとも表面が有機物により構成される透明な支持基材上に、酸化チタン層、無機紫外光遮断層、酸化チタン層を順次形成し、支持基材に対して光照射しながら親水性粒子を付着させ、親水性微粒子層を形成し、親水性微粒子層の形成の後、微粒子層と接して転写用基材を配するとともに、支持基材の裏面側から光照射し、親水性微粒子層を支持基材から剥離して転写用基材上に転写する。また、本発明のスクリーンは、基材と、基材上に形成された微粒子層とからなり、微粒子層は、基材側から親水性粒子層、酸化チタン層、無機紫外光遮断層、及び、酸化チタン層が形成されることを特徴とする。
支持基材の表面に酸化チタン(チタニア)層を形成し、ここに光照射すると、表面に超親水性が付与される。この状態で親水性微粒子層の形成を行えば、前記超親水性によって親水性微粒子の形成面に対する吸着力(引き上げ法の場合にはメニスカス力)が強まり、欠陥の少ない結晶性に優れた親水性微粒子層(フォトニック結晶)が形成される。形成される親水性微粒子層と基材表面に形成される酸化チタン層とは、前記超親水性により互いに親和性が保たれ、例えば不用意に剥離することはない。
また、本発明の微粒子層の形成方法においては、形成した微粒子層を他の基材に転写することもでき、これを規定したのが請求項4記載の発明である。すなわち、少なくとも表面が有機物により構成される透明な支持基材上に、酸化チタン層、無機紫外光遮断層、酸化チタン層を順次形成し、前記と同様にして親水性微粒子層の形成の後、前記微粒子層と接して転写用基材を配するとともに、支持基材の裏面側から光照射し、親水性微粒子層を支持基材から剥離して前記転写用基材上に転写することを特徴とする。
酸化チタン層に光照射した場合、前記超親水性が発揮される他、有機物を分解する機能も発現する。前記のように、支持基材の表面を有機物により構成しておき、親水性微粒子層形成後に、支持基材の裏面側から光照射すれば、前記有機物が分解され、酸化チタン層と有機物との界面で剥離が生ずる。この現象を利用することで、形成した親水性微粒子層を他の基材(転写用基材)上に容易に転写でき、基材上に微粒子層が形成されたスクリーンを提供することができる。また、例えば小型の設備でスクリーンサイズに対応可能となる。
本発明によれば、欠陥のない結晶性に優れた微粒子層を形成することが可能である。また、本発明によれば、微粒子層の不用意な剥離の心配がなく、信頼性の高い微粒子層を形成することが可能である。さらに、本発明によれば、転写を利用することにより、例えばプロジェクタスクリーン用等の用途において、面積の大きな微粒子層を小型の設備で簡単に作製することが可能である。
以下、本発明を適用した微粒子層の形成方法及びスクリーンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態は、単純に基材上に微粒子層を形成する場合の例である。微粒子層を形成するには、先ず、図1(a)に示すように、表面に酸化チタン層2を形成した支持基材1を準備する。酸化チタン層2は、例えば酸化チタン溶液を支持基材1上に塗布し、乾燥することで、容易に形成することができる。
前記酸化チタン層2形成の後、この酸化チタン層2に対して光照射し、図1(b)に示すように、酸化チタン層2上に親水性微粒子層3を形成する。
親水性微粒子層3は、任意の親水性微粒子により形成することができるが、例えばプロジェクタスクリーン等を考えた場合、シリカ微粒子の自己組織化膜(フォトニック結晶層)とする。フォトニック結晶とは、屈折率(誘電率)が互いに大きく異なる透明な媒質(例えば、二種類の透明媒質)を光の波長程度の周期、例えば数百〜1000数百nmの周期で規則正しく配置した人工結晶であり、周期構造を持つ次元数に応じて、一次元フォトニック結晶、二次元フォトニック結晶、三次元フォトニック結晶と呼ばれる。このフォトニック結晶は、周期構造を有し、光を反射する機能を有する。シリカ微粒子の規則配列構造は、フォトニック結晶の一種と考えることができる。
前記親水性微粒子層3は、引き上げ法やスプレーによる塗布法等、規則配列構造を形成することができれば、基本的にはどのような方法により堆積させても良いが、典型的には、自己組織化技術を用いて容易に堆積させることができる。
例えば、親水性微粒子が分散された水溶液を用い、この水溶液中で微粒子をゆっくり堆積させることにより、微粒子が自己組織化により規則的に配列する。そこで、この自己組織化技術を用いて、酸化チタン層2が形成された支持基材1上に親水性微粒子層を順次、規則配列で積層することができる。
親水性微粒子を規則配列で積層するには、例えば自然沈降法(例えば、増田ほか(2001)マテリアルインテグレーション14、37−44)や、浸漬引き上げ単粒子膜作製法(単粒子膜引き上げ法)(例えば、永山(1995)粉体工学32、476−485)等が考えられる。自然沈降法では、低濃度の微粒子溶液を基材上に滴下するか、低濃度の微粒子溶液中に基板を立てる。このとき、基板上に沈降した微粒子が溶媒の蒸発によって基材上に自己組織的に結晶化する。自然沈降法はこの工程を通して基材上に微粒子の三次元結晶の薄膜を得る方法である。
単粒子膜引き上げ法は、低濃度の微粒子溶液中に浸漬した基材を気相中に引き上げることにより微粒子単層の二次元結晶の薄膜を得る工程を利用した方法である。この工程を繰り返すことにより、微粒子単層の薄膜を積層し、任意の厚さの三次元結晶の薄膜を得ることができる。
あるいは、引き上げ回転法を用いることも可能である。単粒子膜引き上げ法では、一度の浸漬と引き上げの工程で単層の二次元結晶薄膜しか得られないのに対して、引き上げ回転法では高濃度の微粒子溶液を用いることによって、単粒子膜引き上げ法と同様の一度の浸漬と引き上げの工程で三次元結晶薄膜を得ることができる。これにより、自然沈降法と同様に三次元結晶を得ることができる。そして、基板の回転により、単粒子膜引き上げ法のように、面内の厚さむらを軽減することができる。また、作製工程に要する時間を大幅に減らすことができる。
前記いずれの方法においても、支持基材1上に酸化チタン層2を形成しておき、その表面に光照射して超親水性を付与しておくことにより、親水性微粒子に対する吸着力が著しく強まる。例えば、引き上げ法の場合、単粒子膜のメニスカス力が強まる。その結果、欠陥の少ない結晶性に優れた親水性微粒子層3(フォトニック結晶層)が形成される。
また、形成された親水性微粒子層3と酸化チタン層2とは、互いに高い親和性をもって結合した形になり、これらの界面で不用意に剥離することはない。
一方、酸化チタン層2と支持基材1の界面について言えば、支持基材1が無機材料によって形成されている場合には問題とならないが、支持基材1が有機物によって形成されている場合には、前記光照射によって酸化チタン層2と支持基材1の界面で剥離が生ずる可能性がある。
したがって、支持基材1が有機物により形成される場合には、支持基材1の表面を無機物によって保護することが好ましい。具体的には、図2に示すように、支持基材1表面に先ず無機保護層4を形成し、この上に酸化チタン層2を形成する。その後、前記と同様に、酸化チタン層2に対して光照射を行い、親水性微粒子層3を形成する。無機保護層4の構成材料としては、例えばシリカ微粒子やカーボン粒子等が使用可能である。
(第2の実施形態)
本実施形態は、親水性微粒子層を支持基材から転写用基材上へ転写する例である。酸化チタン層により超親水性を付与して親水性微粒子層を形成する点では、先の実施形態と同様であるが、本実施形態では、酸化チタン層に対する光照射による有機物の分解を利用して形成した親水性微粒子層の剥離を行い、速やかに転写用基材上に転写する。
本実施形態における親水性微粒子層の転写形成プロセスを図3に示す。先ず、本実施形態では、図3(a)に示すように、支持基材11上に、第1の酸化チタン層12、無機紫外光遮断層13、及び第2の酸化チタン層14を順次形成する。支持基材11としては、ここでは少なくとも表面が有機物により構成される透明な支持基材を用いる。具体的には、各種プラスチックシート等の透明有機物基材や、ガラス等の透明無機物基材上に有機物層を形成した基材等を挙げることができる。
ここで、第1の酸化チタン層12は、支持基材11から形成した親水性微粒子層を剥離するために利用し、第2の酸化チタン層14は、親水性微粒子層形成時に表面に超親水性を付与するために利用する。一方、前記無機紫外光遮断層13は、前記各酸化チタン層12,13に光照射する際に、他の酸化チタン層に光が照射されないようにこれを遮断する。例えば、酸化チタン層12に光照射する際に、酸化チタン層14に紫外光が照射されないようにする。
前記無機紫外光遮断層13は、紫外光を遮断し得る材料(紫外光遮断物質)で形成すればよく、その種類は問わない。かかる紫外光遮断物質を用い、紫外光を十分に遮断するに足る膜厚で無機紫外光遮断層13を形成する。ただし、紫外光遮断物質は無機物である必要がある。有機物であると、前記酸化チタン層12,14により分解され、酸化チタン層12と無機紫外光遮断層13の界面、あるいは酸化チタン層14と無機紫外光遮断層13の界面で剥離するおそれが生ずる。
以上のように支持基材11上に、第1の酸化チタン層12、無機紫外光遮断層13、及び第2の酸化チタン層14を形成した後、先ず、前記第2の酸化チタン層14側から光照射を行い、図3(b)に示すように、この第2の酸化チタン層14上に親水性微粒子層15を形成する。親水性微粒子層15の形成方法は、先の第1の実施形態と同様である。
この親水性微粒子層15の形成に際しては、前記の通り、第2の酸化チタン層14に光照射を行うが、このとき照射される光は、前記無機紫外光遮断層13の働きにより遮断され、第1の酸化チタン層12に照射されることはない。この時点で第1の酸化チタン層12に光照射されると、第1の酸化チタン層12の作用により有機物(支持基材11)が分解され、第1の酸化チタン層12と支持基材11の界面で剥離が生ずるおそれがある。前記無機紫外光遮断層13を形成しておけば、この第1の酸化チタン層12と支持基材11との界面での剥離を回避することができる。
前記親水性微粒子層15の形成の後、図3(c)に示すように、親水性微粒子層15に重ねて転写用基材16を配する。転写用基材16には、任意の材料を使用することができ、透明な基材であってもよいし、遮光性の基材であってもよい。例えばプロジェクタ用スクリーンを作製する場合には、光拡散フィルム等を用いることができる。
この時、転写用基材16の親水性微粒子層15と接する面には、接着剤や粘着剤、両面接着フィルム、両面粘着フォルム等を形成しておき、前記親水性微粒子層15を転写用基剤16の表面に接着固定するようにすることが好ましい。
次に、図3(d)に示すように、前記転写用基剤16を重ねた状態で、支持基材11の裏面側、すなわち前記第1の酸化チタン層12や無機紫外光遮断層13、第2の酸化チタン層14が形成される面とは反対側の面から光照射を行う。
前記支持基材11の裏面側から光照射を行うと、前記第1の酸化チタン層12が活性化され、有機物である支持基材11表面を分解する。その結果、支持基材11と第1の酸化チタン層12の界面で剥離が生じ、図3(e)に示すように、親水性微粒子層15は、支持基材11上から転写用基材16上へと転写される。
本実施形態によれば、第1の酸化チタン層12に紫外光を照射し、支持基材11の表面の有機物を分解することで親水性微粒子層15を剥離するようにしているので、剥離に際して親水性微粒子層15に力を加える必要がなく、例えばフォトニック結晶である場合に、粒子の配列を乱すことなく剥離することが可能である。また、支持基材11に平面性の良いガラス基板を使用し、転写用基材16にプラスチックフィルム等を使用すれば、親水性微粒子層15を精度良く形成できるというガラス基板の利点と、柔軟性のある巻き取り可能なスクリーン等の形成が可能になるという利点を併せて有することになる。
(第3の実施形態)
本実施形態は、プロジェクタ用スクリーンの作製に応用した例である。親水性微粒子層の形成方法は、先の第1の実施形態や第2の実施形態と同様であり、転写方法は先の第2の実施形態と同様である。
先ず、支持基材11上に第1の酸化チタン層12、無機紫外光遮断層13、第2の酸化チタン層14を形成し、第1の実施形態や第2の実施形態に準じて親水性微粒子層15を形成する。この時、親水性微粒子層15は、図4に示すように、例えば赤色の光を選択的に反射する微粒子層15a、緑色の光を選択的に反射する微粒子層15b、青色の光を選択的に反射する微粒子層15cの3層構造とする。
プロジェクタ用スクリーンにおいて、赤、緑および青の三原色に対応した波長の光を同時に反射することができるようにするためには、微粒子の直径、またはフォトニック結晶や誘電体多層膜の周期が3種類存在する構造とする。微粒子としては種々のものを用いることが可能であり、必要に応じて選ぶことができるが、好適には、シリカまたはシリカと同じ屈折率を持つ微粒子が用いられる。ここで、シリカの屈折率は、形成時の条件などにもよるが、一般には1.36〜1.47の範囲にある。この場合、典型的には、微粒子の材料によらず、微粒子の屈折率をnとすると、赤色反射用として269×(1.36/n)nm以上、314×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子、緑色反射用として224×(1.36/n)nm以上、251×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子、青色反射用として202×(1.36/n)nm以上、224×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子が用いられ、より典型的には、赤色反射用として278×(1.36/n)nm以上、305×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子、緑色反射用として224×(1.36/n)nm以上、237×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子、青色反射用として208×(1.36/n)nm以上、217×(1.36/n)nm以下の直径の微粒子が用いられる。これらの赤色反射用の微粒子、緑色反射用の微粒子および青色反射用の微粒子は、必要に応じて、互いに異なる材料のものを用いても良い。赤、緑および青の三原色に対応した波長の光を同時に反射することができるようにするためには、前記の通り、基材上に、赤色反射用、緑色反射用、及び青色反射用のフォトニック結晶または微粒子層を積層する。
支持基材11上に前記3層構造を有する親水性微粒子層15を形成した後、先の第2の実施形態と同様、転写用基材16上に親水性微粒子層15を転写するが、例えばプロジェクタ用スクリーンのように大画面のものでは、スクリーンのサイズの親水性微粒子層を一括して形成し、転写することは困難である。また、大型の設備も必要となる。
そこで、本実施形態では、転写用基材16よりも面積の小さな支持基材11上に親水性微粒子層15を形成し、これを複数作製して転写用基材16上に並べて転写することとする。具体的には、図5(a)に示すように、1枚の転写用基材16に対して、複数枚、ここでは3枚の支持基材11を用意し、これら支持基材11の上に親水性微粒子層15を形成する。なお、この図5においては、前記第1の酸化チタン層12、無機紫外光遮断層13、第2の酸化チタン層14については、図示は省略している。
転写用基材16としては、例えば光拡散フィルムを用い、その表面に接着剤や粘着剤、両面接着フィルム、両面粘着フォルム等を形成しておく。そして、図5(b)に示すように、3枚の支持基材11を親水性微粒子層15が転写用基材16と対向するように並べて貼り合わせ、支持基材11の裏面側から光照射を行い、支持基材11を剥離、除去する。転写用基材16への親水性微粒子層15の転写状態を図5(c)に示す。
前記のように、1枚の転写用基材に対して複数の支持基材上に形成した微粒子層を転写すれば、大面積化が容易であり、小型の設備で大型のプロジェクタ用スクリーンを作製することができる。なお、この場合、転写用基材の縦横長を支持基材の縦横長の略整数倍とすることで、効率的な転写が可能になる。
次に、本発明者らは、前述の方法に準じて実際にプロジェクタ用スクリーンを作製したので、これを具体的な実施例として開示する。
1m×0.59mの大きさを有する透明PETフィルムを支持基材として用い、この上に酸化チタン溶液を塗布、乾燥して第1の酸化チタン層を形成した。この酸化チタン層上に平均粒径100nmのシリカ粒子を塗布して無機紫外光遮断層を形成し、さらに再度酸化チタン溶液を塗布、乾燥して第2の酸化チタン層を形成した。
次に、前記第2の酸化チタン層に紫外光を照射し、この上に粒径220nmのシリカ粒子を引き上げ法で塗布、乾燥し、噴霧法でポリビニルアルコール(PVA)を塗布、乾燥した。続いて、この上に粒径250nmのシリカ粒子を引き上げ法で塗布、乾燥し、噴霧法でポリビニルアルコール(PVA)を塗布、乾燥した。さらに、この上に粒径320nmのシリカ粒子を引き上げ法で塗布、乾燥し、噴霧法でポリビニルアルコール(PVA)を塗布、乾燥した。これにより、赤色反射用、緑色反射用、及び青色反射用の微粒子層が形成された。これを3枚作製した。
一方、1m×1.78mの大きさの光拡散フィルムを転写用基材として用意し、表面に両面粘着フィルムを貼り付けた後、そこに先に作製した3枚の親水性微粒子層付き支持基材を隙間無く貼り合わせた。
そして、透明PETフィルム側から紫外光を照射し、支持基材である透明PETフィルムを剥離、除去した。透明PETフィルムを剥離後、両面粘着フィルムを貼り付けた黒色塩化ビニルフィルムを貼り付け、プロジェクタ用スクリーンを完成した。
このプロジェクタ用スクリーンは、黒色塩化ビニルフィルムを支持体とし、その表面に前記赤色反射用、緑色反射用、及び青色反射用の微粒子層が3層構成で形成され、最前面(投射側表面)に光拡散フィルムが配された構成となる。
第1の実施形態による微粒子層形成プロセスを示すものであり、(a)は酸化チタン層形成工程を示す図、(b)は親水性微粒子層形成工程を示す図である。 支持基材上に保護層を形成した例における層構成を示す図である。 第2の実施形態による微粒子層転写形成プロセスを示すものであり、(a)は支持基材上への3層形成工程を示す図、(b)は親水性微粒子層形成工程を示す図、(c)は転写用基材重ね合わせ状態を示す図、(d)は第1の酸化チタン層への光照射工程を示す図、(e)は支持基材剥離工程を示す図である。 3層構造とした親水性微粒子層を形成した例における層構成を示す図である。 プロジェクタ用スクリーンの作製工程を示すものであり、(a)は親水性微粒子層を形成した複数の支持基材の配置例を示す斜視図、(b)は転写用基材である光拡散フィルムへの支持基材の貼り合わせ状態を示す斜視図、(c)は転写用基材への親水性微粒子層の転写状態を示す斜視図である。
符号の説明
1,11 支持基材、2 酸化チタン層、3,15 親水性微粒子層、4 無機保護層、12 第1の酸化チタン層、13 無機紫外光遮断層、14 第2の酸化チタン層、16 転写用基材

Claims (13)

  1. 少なくとも表面が有機物により構成される透明な支持基材上に、酸化チタン層、無機紫外光遮断層、酸化チタン層を順次形成し、
    前記支持基材に対して光照射しながら親水性粒子を付着させ、親水性微粒子層を形成し、
    前記親水性微粒子層の形成の後、前記微粒子層と接して転写用基材を配するとともに、支持基材の裏面側から光照射し、親水性微粒子層を支持基材から剥離して前記転写用基材上に転写する微粒子層の形成方法。
  2. 前記支持基材は、透明有機物基材、または透明無機物基材上に有機物層を形成した基材である請求項1記載の微粒子層の形成方法。
  3. 前記転写用基材上に複数の支持基材上に形成した親水性微粒子層を並べて転写する請求項1又は2記載の微粒子層の形成方法。
  4. 前記転写用基材の縦横長は、前記支持基材の縦横長の略整数倍であることを特徴とする請求項3記載の微粒子層の形成方法。
  5. 前記親水性微粒子層は、親水性微粒子のフォトニック結晶層である請求項1乃至4のいずれか1項記載の微粒子層の形成方法。
  6. 前記転写用基材に光拡散性を有する基材を用い、前記親水性微粒子層の転写によりプロジェクタ用スクリーンとする請求項5記載の微粒子層の形成方法。
  7. 前記親水性微粒子を3層構成とし、各層にそれぞれ赤色、緑色、青色を反射する特性を持たせる請求項6記載の微粒子層の形成方法。
  8. 前記転写用基材に、可撓性を有する基材を用いる請求項6又は7記載の微粒子層の形成方法。
  9. 基材と、
    前記基材上に形成された微粒子層とからなり、
    前記微粒子層は、前記基材側から親水性粒子層、酸化チタン層、無機紫外光遮断層、及び、酸化チタン層が形成され
    クリーン。
  10. 前記親水性微粒子層が親水性微粒子のフォトニック結晶層である請求項9記載のスクリーン。
  11. 前記親水性微粒子層が、赤色の光を選択的に反射する微粒子層と、緑色の光を選択的に反射する微粒子層と、青色の光を選択的に反射する微粒子層とからなる請求項10記載のスクリーン。
  12. 前記基材が光拡散フィルムである請求項11記載のスクリーン。
  13. 前記基材上に、前記微粒子層が複数枚並べられている請求項9記載のスクリーン。
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