JP4751302B2 - 電位差式センサ及び分析用素子 - Google Patents

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Description

本発明は,生体物質を酵素等を用いて選択的に酸化還元反応させ,その際生じる表面電位を測定することにより,生体物質を高感度に測定することのできるセンサおよび分析素子に関する。
健康診断における血液検査は,健康状態を把握し病気の早期発見を行うために有効である。健康診断での血液検査では,多数の試料を多項目にわたって分析するため,大型の生化学自動分析装置が用いられている。生化学自動分析装置は,高価である上に専門の技師が操作を行う必要があるため,大規模な病院や検査センタには導入されているが,一般の病院には設置されていない。そのため,一般の病院で検査を行なうと,結果が出るまでには,通常は数日を要する。健康診断の場合,多くは半年や一年に一回といった頻度のためこの時間差は問題とならない。しかし,緊急を要する場合にはその場で検査を行う必要がある。例えば,手術中では,血中電解質である,ナトリウム,カリウム,塩素や,酸素分圧,炭酸ガス分圧,グルコース,尿素窒素,ヘマトクリット等のモニターが必要である。また,腎不全における透析では,クレアチニンを測定している。このような緊急検査装置以外に,一般の病院で健康状態を調べるために,直ぐに検査を行ないたい要望がある。この要望に応える装置が,その場検査装置であり,検査項目やスループットは生化学自動分析装置に及ばないが,必要なときにその場で検査できるという利点がある。測定項目には,電解質,グルコース,コレステロール,乳酸,尿素窒素,クレアチニンなどがある。電解質以外のグルコース,コレステロール,乳酸,尿素窒素,クレアチニン等の一般化学の測定は,酵素電極法が用いられている。
酵素電極法とは,測定対象物を酵素反応を用いて電極で測定可能な物質に変換し,その物質を電極上で電流変化,あるいは電位変化として測定し,間接的に測定対象物質の濃度を測定する方法である。例えば,血糖値を測定するグルコースセンサでは,測定対象物質であるグルコースをグルコースオキシダーゼで酸化し,グルコノラクトンを生成する。この酸化反応によって酸素が消費されて過酸化水素水が生成する。酸素と過酸化水素水は,共に酸化還元活性物質であるため,酸素電極,あるいは過酸化水素水を測定する電極を用いて電極に流れる電流を測定することにより,測定対象物質であるグルコース濃度を測定することができる。しかし,グルコースが高濃度の場合には,血中の溶存酸素濃度(分圧)が足りずに反応が律速されてしまうことがある。その対策として,酸素の代わりに別の酸化還元物質を用いる場合もある。同様な原理で他の化学物質も測定可能である。このようなタイプのセンサは一般に電流式酵素センサと呼ばれている。
電流式酵素センサでは,金や白金などでできた作用電極と対向電極,作用電極の電位を一定に保つための参照電極が溶液中に配置され,溶液中には酵素と酸化還元物質が共存する。作用電極,対向電極,参照電極は,ポテンショスタットのような電流測定装置に接続され,作用電極と対向電極間に電圧を印加した際に変化する電流値を測定できるようになっている。溶液中に測定対象物質を含む試料(例えば,血液)が添加されると酵素の働きにより測定対象が酸化され,同時に酸化状態の酸化還元物質が還元される。作用電極に,酸化還元物質を酸化可能な一定電圧を印加しておくと,還元状態の酸化還元物質は作用電極上で酸化され,還元状態の酸化還元物質濃度に応じた電流が流れる。このようにして,酵素による測定対象物質の酸化反応を電流として検出することができ,間接的に測定対象物質の濃度を測定できる。その際,測定対象物質の濃度に応じた電流値が得られるように,すなわち反応系において測定対象濃度が律速となるように,十分な濃度の酵素,十分な濃度の酸化還元物質,十分な大きさの作用電極が必要である。
電流式酵素センサでは,主に酵素の再利用を目的として,酵素を膜上に固定化してある。しかし,酵素を固定化すると,酵素と測定対象および酵素と酸化還元物質の反応効率が低下するため,酵素と共に酸化還元物質を作用電極表面の膜上に固定してある(Adv. Mater. 5 (1993) 912-915)。酵素と酸化還元物質を共に電極表面の膜上に固定化することで,酵素から酸化還元物質への電荷の移動効率の低下を抑制できると考えられている。また,酵素と酸化還元物質の固定化膜を多層にすることで,単層膜の場合に比べて感度の向上が見られ,さらに酵素と測定対象の反応効率の低下を抑制できている。
血糖値を測定するグルコースセンサでは,必要とされる測定感度はそれほど高くないため,数滴の血液量で測定可能である。しかし,一般的な測定項目を有するその場検査向け測定装置では,測定感度を維持するために,より多くの血液量が必要である。例えば,その場検査装置として開発されたi-Stat(Clin. Chem. 39/2 (1993) 283-287)は,65μl程度の血液量を必要としていた。電極面積を小さくすることによって血液量を減らすことができるが,電流式酵素センサでは電極面積を小さくすると信号(すなわち,電流値)が減少するめ,単純に電極面積を小さくすることは困難であった。
信号が電極面積に依存しない電気的測定法を用いた酵素センサとして,電位差式酵素センサが知られている。電位差式酵素センサは,金や白金などでできた作用電極と参照電極で構成され,測定溶液中に酵素と酸化還元物質が存在する(特表平9-500727号公報)。また,作用電極と参照電極は,電圧を測定する装置に接続されている。測定溶液中に測定対象物質が添加されると,酵素反応により測定対象物質が酸化され,同時に酸化状態の酸化還元物質が還元される。その際に生じる作用電極の表面電位は次のネルンストの式に従う。
Figure 0004751302
E:作用電極の表面電位
E0:酸化還元物質の標準電位
R:気体定数
T:絶対温度
n:酸化還元物質の酸化型と還元型の電荷の差
F:ファラデー定数
Cox:酸化還元物質の酸化型の濃度
Cred:酸化還元物質の還元型の濃度
上式から分かるように,表面電位変化は電極面積に依存しない。さらに,電流式酵素センサのように作用電極に外部から電圧を印加しないため,測定を妨害する化学反応が生じにくい。また,上式のように濃度の対数で電圧が変化するため,低濃度領域でも高濃度領域と同等のS/N比で測定でき,電流式酵素センサに比べて広いダイナミックレンジが得られると考えられてきた。
特表平9-500727号公報 Adv. Mater. 5 (1993) 912-915 Clin. Chem. 39/2 (1993) 283-287
しかし,従来の電位差式酵素センサでは,作用電極と測定溶液の間の絶縁性に関する考慮がなされておらず,実際の測定では電極表面でのリーク電流の影響を受け,特に低濃度領域において感度が低下してしまい,ダイナミックレンジが狭くなり,さらに応答速度が低下する問題があった。
本発明の目的は,実際の測定で問題となる電極表面でのリーク電流を抑制し,ダイナミックレンジ及び応答速度を改善した,電位差式センサを提供することにある。
上記目的を達成するために,本発明では作用電極表面に例えば炭素鎖のような電気を流さない絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定化し,測定対象と酵素の反応で生成された酸化物質もしくは還元物質と作用電極表面の酸化還元物質の反応に伴う表面電位の変化を測定する。さらに,電位差測定装置として,作用電極と同一基板上に形成された絶縁ゲート電界効果トランジスタを用いる。
本発明によると,作用電極の表面に絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定することにより,溶液中の酸化物質や還元物質に対して応答する性質を有し,かつ,溶液との絶縁性が高い作用電極を得ることができる。この絶縁性の向上により電極表面でのリーク電流を抑制し,特に低濃度領域における感度を向上させ,ダイナミックレンジを広げることができると共に,応答速度を速くすることができる。また,従来は電位差による繰り返しの測定ができなかった過酸化水素やチオール化合物を,電位差により繰り返し測定することができる。そして,酸化還元物質のみかけの濃度が溶液の量に依存しないため,血液量に依存せずに測定が可能になる。電位差測定装置として,作用電極と同一基板上に形成された絶縁ゲート電界効果トランジスタを用いることで,リーク電流を低減することができ,さらにダイナミックレンジを広げ,応答速度を改善することができる。また,酸化還元物質を作用電極上に同一の長さの絶縁性分子で固定化することで,絶縁性を持ち,かつ固定化した酸化還元物質の状態変化が均一に作用電極の表面電位に影響を及ぼすようにすることができる。
以下,図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は,本発明による電位差式酵素センサの一例を示すブロック図である。本実施例の計測システムは,測定部101,信号処理回路102,及びデータ処理装置103から構成される。測定部101は,電位差計測装置104,参照電極105,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器106,測定セル107を備える。測定セル107内の測定溶液111中には,酵素108,絶縁性分子110を介して酸化還元物質109が固定化された金電極112,参照電極105が配置されている。ここでは,酵素として酸化・還元を行なうオキシダーゼを用いたが,酵素反応により酸化物質もしくは還元物質を生じる酵素であれば問題ない。例えば,アセチルチオコリンを加水分解し,還元物質であるチオール化合物を生成するアセチルコリンエステラーゼを用いることもできる。
測定手順は以下の通りである。測定セル107内の測定溶液111中に試料溶液注入器106を用いて試料溶液を注入する。試料溶液中の測定対象は酵素108の働きによって酸化され,この反応に伴い,試料溶液中の溶存酸素が過酸化水素に還元される。生成した過酸化水素は酸化還元物質109と反応し,酸化還元物質109を酸化する。その結果,金電極112上の電位が変化する。測定は,試料溶液注入器106による試料溶液注入前後で変化する参照電極105と金電極112との間の電位差を電位差計測装置104によりリアルタイムで計測し,信号処理回路102及びデータ処理装置103で記録することで行う。金電極112上の電位の変化速度は,過酸化水素の生成速度,すなわち,測定対象の酸化の反応速度に依存し,測定対象の酸化の反応速度は測定対象の濃度に依存する。そのため,参照電極105と金電極112との間の電位差の変化速度を測定することにより,測定対象の濃度を得ることができる。
参照電極105と金電極112との間の電位差の変化速度と同様に,ある一定時間中の参照電極105と金電極112との間の電位差の変化量は,測定対象の濃度に依存する。そのため,試料溶液注入前もしくは試料溶液注入直後の電位差と試料溶液注入の一定時間後の電位差との変化量を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。また,試料溶液注入前の参照電極105と金電極112との間の電位差の再現性が測定で要求される精度よりも高ければ,試料溶液注入の一定時間後の電位差を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。
酸化還元物質109は,過酸化水素などの酸化物質を測定する場合には,あらかじめ還元状態になっていることが望ましい。還元状態にするには,フェロシアン化カリウム,チオ硫酸ナトリウム,Dithiothreitol(DTT)などの還元剤で処理をするか,ポテンショスタットを用いて還元電位を印加する。還元処理をしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。同様に,チオール化合物などの還元物質を測定する場合には,あらかじめ酸化状態になっていることが望ましい。酸化状態にするには,フェリシアン化カリウム,過マンガン酸カリウム,過酸化水素などの酸化剤で処理をするか,ポテンショスタットを用いて酸化電位を印加する。酸化処理をしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。
絶縁性分子110としてアルカンチオールを用いることが好ましい。アルカンチオールを用いることで容易に金や銀などの貴金属表面に絶縁性の高い単分子膜を形成することができる。尚,絶縁性の観点からアルカンチオールのアルキル鎖は炭素鎖が6以上であることが望ましい。
参照電極105は,測定溶液111中の金電極112の表面で起こる平衡反応あるいは化学反応に基づく電位変化を安定に測定するために,基準となる電位を与える。通常は参照電極としては,飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極,あるいは甘こう(カロメル)電極が用いられるが,疑似電極として銀・塩化銀電極のみを使用してもよい。
金電極112に代えて,銀等の他の貴金属やカーボンからなる電極を用いてもよい。
試料溶液注入前に測定溶液111は存在せず,試料溶液注入器106から供給される試料溶液がその役割を担ってもよい。その際,酵素108は予め凍結乾燥等により固体化しておき,試料溶液注入器106から供給された試料溶液により溶解すればよい。
酵素108の働きによる測定対象の酸化還元のために,測定対象の前処理用の酵素や酸化還元反応を行うための基質を用いることもある。
測定対象に応じた酵素108および前処理用の酵素を表1に例示する。
Figure 0004751302
図2は,本発明による電位差式酵素センサの一例を示すブロック図である。本実施例の計測システムは,測定部201,信号処理回路202,及びデータ処理装置203から構成される。測定部201は,電位差計測装置204,参照電極205,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器206,測定セル207を備える。測定セル207内の測定溶液212中には,酵素208,金電極213上に固定されていない水溶性の酸化還元物質209,絶縁性分子211を介して酸化還元物質210が固定化された金電極213,参照電極205が配置されている。
測定手順は以下の通りである。測定セル207内の測定溶液212中に試料溶液注入器206を用いて試料溶液を注入する。試料溶液中の測定対象は酵素208の働きによって酸化され,この反応に伴い,試料溶液中の酸化還元物質209が還元される。生成した還元状態の酸化還元物質209は金電極213上に固定された酸化還元物質210と反応し,酸化還元物質210を酸化する。その結果,金電極213上の電位が変化する。測定は,試料溶液注入器206による試料溶液注入前後で変化する参照電極205と金電極213との間の電位差を電位差計測装置204によりリアルタイムで計測し,信号処理回路202及びデータ処理装置203で記録することで行う。金電極213上の電位の変化速度は,還元状態の酸化還元物質209の生成速度,すなわち,測定対象の酸化の反応速度に依存し,測定対象の酸化の反応速度は測定対象の濃度に依存する。そのため,参照電極205と金電極213との間の電位差の変化速度を測定することにより,測定対象の濃度を得ることができる。
参照電極205と金電極213との間の電位差の変化速度と同様に,ある一定時間中の参照電極205と金電極213との間の電位差の変化量は,測定対象の濃度に依存する。そのため,試料溶液注入前もしくは試料溶液注入直後の電位差と試料溶液注入の一定時間後の電位差との変化量を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。また,試料溶液注入前の参照電極205と金電極213との間の電位差の再現性が測定で要求される精度よりも高ければ,試料溶液注入の一定時間後の電位差を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。
測定対象の酸化反応を測定する場合には,酸化還元物質209はあらかじめ酸化状態になっていることが望ましい。酸化状態にしておくことで,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。もしくは,酸化還元物質209は酸化還元状態の比が既知であり,還元状態の量が測定対象の量よりも少ないことが望ましい。例えば,測定対象濃度1mMの場合,測定対象注入前は,酸化還元物質濃度10mM,酸化状態:還元状態=99:1とする。測定対象注入後,測定対象の酸化に伴い,酸化還元物質比は,酸化状態:還元状態=89:11となる。この比の変化を,ネルンストの式に従う表面電位の変化として検出することができる。同様に,測定対象の還元反応を測定する場合には,酸化還元物質209はあらかじめ還元状態になっていることが望ましい。還元状態にしておくことで,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。もしくは,酸化還元物質209は酸化還元状態の比が既知であり,酸化状態の量が測定対象の量よりも少ないことが望ましい。
酸化還元物質209は,複数の酸化還元物質の混合であることが好ましい場合もある。例えば,コレステロール脱水素酵素によるコレステロールの酸化反応では,ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NAD)は電子受容体として働くが,フェリシアンは電子受容体としては働きにくい。一方,金電極213上に固定された酸化還元物質210にフェロセンを用いた場合,フェロセンとNADの間では酸化還元反応は生じにくく,NADの還元を電位変化として測定することは難しい。しかし,フェロセンとフェリシアンの間では酸化還元反応が生じるため,フェリシアンの還元を電位変化として測定することができる。この場合,酸化還元物質209としてNADとフェリシアンを混合したものを用いることで,NADとフェリシアンの間で平衡反応が生じて,NADの還元をフェリシアンの還元を介して電位変化として測定することができる。
絶縁性分子211としては,アルカンチオールを用いることが好ましい。アルカンチオールを用いることで容易に金や銀などの貴金属表面に絶縁性の高い単分子膜を形成することができる。尚,絶縁性の観点からアルカンチオールのアルキル鎖は炭素鎖が6以上であることが望ましい。
参照電極205は,測定溶液212中の金電極213の表面で起こる平衡反応あるいは化学反応に基づく電位変化を安定に測定するために,基準となる電位を与える。通常は参照電極としては,飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極,あるいは甘こう(カロメル)電極が用いられるが,疑似電極として銀・塩化銀電極のみを使用してもよい。
金電極213に代えて,銀等の他の貴金属やカーボンからなる電極を用いてもよい。
試料溶液注入前に測定溶液212は存在せず,試料溶液注入器206から供給される試料溶液がその役割を担ってもよい。その際,酵素208および酸化還元物質209は予め凍結乾燥等により固体化しておき,試料溶液注入器206から供給された試料溶液により溶解すればよい。
酵素208の働きによる測定対象の酸化還元のために,測定対象の前処理用の酵素や酸化還元反応を行うための基質を用いることもある。
測定対象に応じた酵素208は,表1に例示したものに加えて,表2に例示したものを用いることができる。
Figure 0004751302
図3は,本発明によるFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)センサを用いた電位差式酵素センサの一例を示すブロック図である。本実施例の計測システムは,測定部301,信号処理回路302,及びデータ処理装置303から構成される。測定部301は,絶縁ゲート電界効果トランジスタ304,参照電極307,電源308,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器309,測定セル310を備える。絶縁ゲート電界効果トランジスタ304は,ソース305,ドレイン306,ゲートと電気的に接続された金電極315を備える。測定セル310内の測定溶液314中には,酵素311,絶縁性分子313を介して酸化還元物質312が固定化された金電極315,参照電極307が配置されている。ここでは,酵素として酸化・還元を行なうオキシダーゼを用いたが,酵素反応により酸化物質もしくは還元物質を生じる酵素であれば問題ない。例えば,アセチルチオコリンを加水分解し,還元物質であるチオール化合物を生成するアセチルコリンエステラーゼを用いることもできる。
測定手順は以下の通りである。電源308から一定の電圧を印加しておく。測定セル310内の測定溶液314中に試料溶液注入器309を用いて試料溶液を注入する。試料溶液中の測定対象は酵素311の働きによって酸化され,この反応に伴い,試料溶液中の溶存酸素が過酸化水素に還元される。生成した過酸化水素は酸化還元物質312と反応し,酸化還元物質312を酸化する。その結果,金電極315上の電位が変化する。測定は,試料溶液注入器309による試料溶液注入前後で変化する,絶縁ゲート電界効果トランジス304内のソース305,ドレイン306間の電流の直流成分をリアルタイムでモニターし,信号処理回路302及びデータ処理装置303で記録することで行う。ソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の変化速度は,金電極315上の電位に依存し,金電極315上の電位は過酸化水素の生成速度,すなわち,測定対象の酸化の反応速度に依存し,測定対象の酸化の反応速度は測定対象の濃度に依存する。そのため,ソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の変化速度を測定することにより,測定対象の濃度を得ることができる。
ソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の変化速度と同様に,ある一定時間中のソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の変化量は,測定対象の濃度に依存する。そのため,試料溶液注入前もしくは試料溶液注入直後と試料溶液注入の一定時間後のソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の変化量を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。また,試料溶液注入前のソース305,ドレイン306間の電流の直流成分の再現性が測定で要求される精度よりも高ければ,試料溶液注入の一定時間後のソース305,ドレイン306間の電流の直流成分を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。
酸化還元物質312は,過酸化水素などの酸化物質を測定する場合には,あらかじめ還元状態になっていることが望ましい。還元状態にするには,フェロシアン化カリウム,チオ硫酸ナトリウム,Dithiothreitol(DTT)などの還元剤で処理をする。還元状態にしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。同様に,チオール化合物などの還元物質を測定する場合には,あらかじめ酸化状態になっていることが望ましい。酸化状態にするには,フェリシアン化カリウム,過マンガン酸カリウム,過酸化水素などの酸化剤で処理をする。酸化処理をしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。
酵素311の働きにより測定対象が酸化や還元され,その結果,酸化還元物質312の酸化還元状態が変化すれば,前述のように過酸化水素を介しても,図2で示したように別の酸化還元物質を介しても,また,何らかの酸化還元物質を介さずに,測定対象の酸化還元により酸化還元物質312の酸化還元物質の酸化還元状態が直接変化させられてもよい。
絶縁性分子313としては,アルカンチオールを用いることが好ましい。アルカンチオールを用いることで容易に金や銀などの貴金属表面に絶縁性の高い単分子膜を形成することができる。尚,絶縁性の観点からアルカンチオールのアルキル鎖は炭素鎖が6以上であることが望ましい。
参照電極307は,測定溶液314中の金電極315の表面で起こる平衡反応あるいは化学反応に基づく電位変化を安定に測定するために,基準となる電位を与える。通常は参照電極としては,飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極,あるいは甘こう(カロメル)電極が用いられるが,疑似電極として銀・塩化銀電極のみを使用してもよい。
金電極315に代えて,銀等の他の貴金属からなる電極を用いてもよい。
試料溶液注入前に測定溶液314は存在せず,試料溶液注入器309から供給される試料溶液がその役割を担ってもよい。その際,酵素311は予め凍結乾燥等により固体化しておき,試料溶液注入器309から供給された試料溶液により溶解すればよい。
電源308は,好ましくは交流成分を含む電源である。直流成分に1KHz以上の交流電圧を重畳することで,金電極315の表面電位の安定化が期待できる。
酵素311の働きによる測定対象の酸化還元のために,測定対象の前処理用の酵素や酸化還元反応を行うための基質を用いることもある。
測定対象に応じた酵素311として表1,表2に例示したものを用いることができる。
図4は,本発明によるFETセンサを用いた電位差式酵素センサの一例を示すブロック図である。本実施例の計測システムは,測定部401,信号処理回路402,及びデータ処理装置403から構成される。測定部401は,絶縁ゲート電界効果トランジスタ404,電源407,擬似参照電極408,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器410,測定セル411を備える。絶縁ゲート電界効果トランジスタ404は,ソース405,ドレイン406,ゲートと電気的に接続された金電極417を備える。測定セル411内には,血球分離膜412,夾雑物分離膜413,酵素414,絶縁性分子416を介して酸化還元物質415が固定化された金電極417,擬似参照電極408,基準電圧用溶液を含有するゲル409が配置されている。ここでは,酵素として酸化・還元を行なうオキシダーゼを用いたが,酵素反応により酸化物質もしくは還元物質を生じる酵素であれば問題ない。例えば,アセチルチオコリンを加水分解し,還元物質であるチオール化合物を生成するアセチルコリンエステラーゼを用いることもできる。
測定手順は以下の通りである。電源407から,一定の電圧を印加しておく。測定セル411中に試料溶液注入器410を用いて血液などの試料溶液を注入する。試料溶液中の血球は血球分離膜412によって除去され,試料溶液中のアスコルビン酸などの表面電位に影響を及ぼす夾雑物は夾雑物分離膜413によって除去される。これら分離膜を透過した液体は酵素414を溶解する。試料溶液中の測定対象は酵素414の働きによって酸化され,この反応に伴い,試料溶液中の溶存酸素が過酸化水素に還元される。生成した過酸化水素は酸化還元物質415と反応し,酸化還元物質415を酸化する。その結果,金電極417上の電位が変化する。測定は,絶縁ゲート電界効果トランジス404内のソース405,ドレイン406間の電流の直流成分をリアルタイムでモニターし,信号処理回路402及びデータ処理装置403で記録することで行う。ソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の変化速度は,金電極417上の電位に依存し,金電極417上の電位は過酸化水素の生成速度,すなわち,測定対象の酸化の反応速度に依存し,測定対象の酸化の反応速度は測定対象の濃度に依存する。そのため,ソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の変化速度を測定することにより,測定対象の濃度を得ることができる。
試料溶液として尿を用いる場合は,好ましくは尿を希釈し,測定セル411中に試料溶液注入器410を用いて注入する。その場合,血球分離膜412は不要となるが,代わりにタンパク質除去膜を用いることが好ましい。
ソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の変化速度と同様に,ある一定時間中のソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の変化量は,測定対象の濃度に依存する。そのため,試料溶液注入前もしくは試料溶液注入直後と試料溶液注入の一定時間後のソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の変化量を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。また,試料溶液注入前のソース405,ドレイン406間の電流の直流成分の再現性が測定で要求される精度よりも高ければ,試料溶液注入の一定時間後のソース405,ドレイン406間の電流の直流成分を測定することで,測定対象の濃度を得ることができる。
酸化還元物質415は,過酸化水素などの酸化物質を測定する場合には,あらかじめ還元状態になっていることが望ましい。還元状態にするには,フェロシアン化カリウム,チオ硫酸ナトリウム,Dithiothreitol(DTT)などの還元剤で処理をする。還元状態にしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。同様に,チオール化合物などの還元物質を測定する場合には,あらかじめ酸化状態になっていることが望ましい。酸化状態にするには,フェリシアン化カリウム,過マンガン酸カリウム,過酸化水素などの酸化剤で処理をする。酸化処理をしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。
酵素414の働きにより測定対象が酸化や還元され,その結果,酸化還元物質415の酸化還元状態が変化すれば,前述のように過酸化水素を介しても,図2で示したように別の酸化還元物質を介しても,また,何らかの酸化還元物質を介さずに,測定対象の酸化還元により酸化還元物質415の酸化還元物質の酸化還元状態が直接変化させられてもよい。
絶縁性分子416としては,アルカンチオールを用いることが好ましい。アルカンチオールを用いることで容易に金や銀などの貴金属表面に絶縁性の高い単分子膜を形成することができる。尚,絶縁性の観点からアルカンチオールのアルキル鎖は炭素鎖が6以上であることが望ましい。
擬似参照電極408には,好ましくは,銀塩化銀電極もしくは銀塩化銀ペーストを塗布した電極がよい。また,電界効果トランジスタ404と擬似参照電極408を同一基板上に形成することで,装置全体を小さくすることができる。基準電圧用溶液を含有するゲル409は,測定中の擬似参照電極408の電位の変動を測定で要求される精度よりも小さく保つために用いる。例えば,擬似参照電極408に銀塩化銀電極を用いる場合は,塩化カリウム水溶液などを含有するゲルを用いることが好ましい。また,基準電圧用溶液を含有するゲル409に代えて,親水性フッ素系樹脂膜や多孔質膜を用いることができる。尚,基準電圧用溶液を含有するゲル409を用いなくても擬似参照電極408の電位の変動が測定で要求される精度よりも小さければ,基準電圧用溶液を含有するゲル409を用いなくてもよい。
金電極417に代えて,銀等の他の貴金属からなる電極を用いてもよい。
電源407は,好ましくは交流成分を含む電源である。直流成分に1KHz以上の交流電圧を重畳することで,金電極417の表面電位の安定化が期待できる。
酵素414の働きによる測定対象の酸化還元のために,測定対象の前処理用の酵素や酸化還元反応を行うための基質を用いることもある。
測定対象に応じた酵素414として表1,表2に例示したものを用いることができる。
図5は,本発明によるFETセンサを用いた複数項目を同時に測定できる電位差式酵素センサの一例を示すブロック図である。本実施例の計測システムは,測定部501,信号処理回路502,及びデータ処理装置503から構成される。測定部501は,絶縁ゲート電界効果トランジスタ504,擬似参照電極512,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器514,測定セル515を備える。絶縁ゲート電界効果トランジスタ504は,ソース505,ドレイン507,ゲートと電気的に接続された金電極506,およびソース508,ドレイン510,ゲートと電気的に接続された金電極509の組み合わせを複数備える。測定セル515内には,血球分離膜516,夾雑物分離膜517,擬似参照電極512,基準電圧用溶液を含有するゲル513およびそれぞれの金電極506,509に対応した,酵素518,絶縁性分子520を介して金電極506に固定化された酸化還元物質519,および酵素521,絶縁性分子523を介して金電極509に固定化された酸化還元物質522が配置されている。それぞれの金電極506,509,酵素518,521,絶縁性分子520,523を介して金電極506,509に固定化された酸化還元物質519,521は,分離壁524によって分離されている。ここでは,酵素として酸化・還元を行なうオキシダーゼを用いたが,酵素反応により酸化物質もしくは還元物質を生じる酵素であれば問題ない。例えば,アセチルチオコリンを加水分解し,還元物質であるチオール化合物を生成するアセチルコリンエステラーゼを用いることもできる。
測定手順は以下の通りである。電源511から,一定の電圧を印加しておく。測定セル515中に試料溶液注入器514を用いて血液などの試料溶液を注入する。試料溶液中の血球は血球分離膜516によって除去され,試料溶液中のアスコルビン酸などの表面電位に影響を及ぼす夾雑物は夾雑物分離膜517によって除去される。これら分離膜を透過した液体は酵素518,521を溶解する。試料溶液中の測定対象は酵素518,521の働きによって酸化され,この反応に伴い,試料溶液中の溶存酸素が過酸化水素に還元される。酵素518で生成した過酸化水素は酸化還元物質519と,酵素521で生成した過酸化水素は酸化還元物質522と反応し,酸化還元物質519,522を酸化する。その結果,金電極506,509上の電位が変化する。測定は,絶縁ゲート電界効果トランジス504内のソース505,ドレイン507間,もしくは,ソース508,ドレイン510間の電流の直流成分をリアルタイムでモニターし,信号処理回路502及びデータ処理装置503で記録することで行う。ソース505,ドレイン507間の電流の直流成分の変化速度は,金電極506上の電位に依存し,金電極506上の電位は過酸化水素の生成速度,すなわち,酵素518に対応した測定対象の酸化の反応速度に依存し,測定対象の酸化の反応速度は測定対象の濃度に依存する。そのため,ソース505,ドレイン507間の電流の直流成分の変化速度を測定することにより,酵素518に対応した測定対象の濃度を得ることができる。同様にして,ソース508,ドレイン510間の電流の直流成分の変化速度を測定することにより,酵素521に対応した測定対象の濃度を得ることができる。
試料溶液として尿を用いる場合は,好ましくは尿を希釈し,測定セル515中に試料溶液注入器514を用いて注入する。その場合,血球分離膜516は不要となるが,代わりにタンパク質除去膜を用いることが好ましい。
分離壁524の役割は,溶解した酵素518,521が混ざり合うことを防ぎ,クロストークを生じさせないようにするためにある。分離壁524として,親水性フッ素系樹脂膜や多孔質膜を用いることが好ましい。分離壁を用いる代わりに,高分子膜に酵素を固定化し,酸化還元物質上に高分子膜を配置することによっても同様の効果が得られる。
酸化還元物質519,522は,過酸化水素などの酸化物質を測定する場合には,あらかじめ還元状態になっていることが望ましい。還元状態にするには,フェロシアン化カリウム,チオ硫酸ナトリウム,Dithiothreitol(DTT)などの還元剤で処理をする。還元状態にしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。同様に,チオール化合物などの還元物質を測定する場合には,あらかじめ酸化状態になっていることが望ましい。酸化状態にするには,フェリシアン化カリウム,過マンガン酸カリウム,過酸化水素などの酸化剤で処理をする。酸化処理をしておくことで,試料溶液注入前の電位を安定化し,さらに,低濃度での感度を向上させダイナミックレンジを広げることができる。
酵素518,521の働きにより測定対象が酸化や還元され,その結果,酸化還元物質519,522の酸化還元状態が変化すれば,前述のように過酸化水素を介しても,図2で示したように別の酸化還元物質を介しても,また,何らかの酸化還元物質を介さずに,測定対象の酸化還元により酸化還元物質519,522の酸化還元物質の酸化還元状態が直接変化させられてもよい。
絶縁性分子520,523としては,アルカンチオールを用いることが好ましい。アルカンチオールを用いることで容易に金や銀などの貴金属表面に絶縁性の高い単分子膜を形成することができる。尚,絶縁性の観点からアルカンチオールのアルキル鎖は炭素鎖が6以上であることが望ましい。
擬似参照電極512には,好ましくは,銀塩化銀電極もしくは銀塩化銀ペーストを塗布した電極がよい。また,電界効果トランジスタ504と擬似参照電極512を同一基板上に形成することで,装置全体を小さくすることができる。基準電圧用溶液を含有するゲル513は,測定中の擬似参照電極512の電位の変動を測定で要求される精度よりも小さく保つために用いる。例えば,擬似参照電極512に銀塩化銀電極を用いる場合は,塩化カリウム水溶液などを含有するゲルを用いることが好ましい。また,基準電圧用溶液を含有するゲル513に代えて,親水性フッ素系樹脂膜や多孔質膜を用いることができる。尚,基準電圧用溶液を含有するゲル513を用いなくても擬似参照電極512の電位の変動が測定で要求される精度よりも小さければ,基準電圧用溶液を含有するゲル513を用いなくてもよい。
金電極506,509に代えて,銀等の他の貴金属からなる電極を用いてもよい。
電源511は,好ましくは交流成分を含む電源である。直流成分に1KHz以上の交流電圧を重畳することで,金電極506,509の表面電位の安定化が期待できる。
酵素518,521の働きによる測定対象の酸化還元のために,測定対象の前処理用の酵素や酸化還元反応を行うための基質を用いることもある。
測定対象に応じた酵素518,521として表1,表2に例示したものを用いることができる。
ここでは,2組の酵素,金電極などからなる2項目を同時に測定できる装置を説明したが,同様にして,3項目を同時に測定できる装置も構築することができる。
図6は,本発明によるFETセンサを用いた電位差式酵素センサに使用する分析素子の構造の一例を示す図である。図6(a),(b)は,各々断面構造及び平面構造を表わしている。絶縁ゲート電界効果トランジスタ601は,シリコン基板の表面にソース602,ドレイン603,及びゲート絶縁物604を形成し,金電極605を設けてある。金電極605と絶縁ゲート電界効果トランジスタのゲート606を導電性配線607で接続してある。好ましくは,絶縁ゲート電界効果トランジスタは,シリコン酸化物を絶縁膜として用いる金属酸化物半導体(Metal-oxide semiconductor)電界効果トランジスタ(FET)であるが,薄膜トランジスタ(TFT)を用いても問題はない。本構造を採用することにより,金電極605を任意の場所に,かつ任意の大きさに形成でき,測定対象の試料溶液量に応じて測定セルの容積を変更することができる。本発明で使用する絶縁ゲート電界効果トランジスタは,SiO2(厚さ;17.5nm)を用いた絶縁層を有するデプレション型FETであり,金電極を400μm×400μmの大きさで作製してある。通常の測定は,水溶液を使用するため,本素子は溶液中で動作しなければならない。溶液中で測定する場合には,電気化学反応を起こし難い−0.5〜0.5Vの電極電位範囲で動作することが必要である。そのため,本実施例ではデプレション型nチャネルFETの作製条件,すなわち閾値電圧(Vt)調整用イオン打ち込み条件を調整し,FETの閾値電圧を−0.5V付近に設定してある。なお,金電極に代えて,銀等の他の貴金属からなる電極を用いてもよい。同一基板上に2つ以上のFETセンサを有する素子は,図6のFETセンサを同一基板上に複数形成することにより作成する。その際に問題となるFETセンサ間のクロストークは,SOI(Silicon on Insulator)構造とすることで低減できる。
本発明による絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を,他の実施例を用いて説明する。図7(a)は未処理の作用電極を用いた場合の評価系を,図7(b)は絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定した場合の評価系を示している。未処理の作用電極を用いた場合の評価系は,電位差計測装置701,参照電極702,測定セル703を備える。測定セル703内には測定溶液704,金電極705,参照電極702が配置されている。絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定した場合の評価系は,電位差計測装置711,参照電極712,測定セル713を備える。測定セル713内には,測定溶液716,酸化還元物質714が絶縁性分子715を介して固定化された金電極717,参照電極712が配置されている。
図8は,図7の評価系を用いて測定した,測定溶液中の酸化還元物質濃度比の対数(フェリシアン化カリウム濃度とフェロシアン化カリウム濃度の比の対数)に対する参照電極と金電極の間の電位差を示している。図8中の△のプロットは,図7(a)の評価系を用いて測定した結果を,図8中の白丸のプロットは,図7(b)の評価系を用いて測定した結果を示している。参照電極702,712に,飽和塩化カリウム水溶液を内部溶液に使用している銀・塩化銀参照電極を用いた。絶縁性分子715を介して固定化された酸化還元物質714には,11−フェロセニル−1−ウンデカンチオール(11−FUT)を用いた。測定溶液704,716には,フェリシアン化カリウムとフェロシアン化カリウムの合計の濃度を10μMとした0.1M 硫酸ナトリウム水溶液を用いた。測定温度は25℃とした。酸化還元物質濃度比の対数が−1〜3の範囲では,△のプロット,白丸のプロットのどちらも58mVの直線でよくフィッティングでき,ネルンストの式に従い電圧が生じていることが分かる。しかし,△のプロットは,酸化還元物質濃度比の対数が−2以下と4以上では直線から外れてきていて,直線でフィッティングされた電圧の範囲は134〜409mVであり,これは4.7桁の濃度範囲に相当する。一方,白丸のプロットは,直線でフィッティングされた電圧の範囲は80〜442mVであり,これは6.2桁の濃度範囲に相当する。すなわち,作用電極表面に絶縁性酸化還元物質を介して酸化還元物質を固定することで,ダイナミックレンジが1.5桁向上した。
作用電極表面に絶縁性分子を固定化しないと,作用電極と測定溶液間の絶縁性は低い。そのため,電極表面のリーク電流の影響により,測定対象物濃度の微小な変化を捉えることができない。一方,作用電極表面に絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定化することによって,作用電極と測定溶液間の絶縁性が高まり,電極表面のリーク電流が減少し,測定対象物のより微小な変化を捉えることができるようになる。その際,酸化還元物質を作用電極表面に同一の長さの絶縁性分子で固定化することで,絶縁性を持ち,かつ酸化還元物質の状態変化が均一に作用電極の表面電位に影響を及ぼすようにすることができる。
本発明による絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を,他の実施例を用いて説明する。図9は,未処理の金電極と絶縁性分子を固定化した金電極のボルタモグラムを示している。ポテンショスタットには,電気化学アナライザーALS Model 611Bを用いた。参照電極として,飽和塩化カリウム水溶液を内部溶液に使用している銀・塩化銀参照電極を用いた。対向電極として,白金線を用いた。溶液には,0.1M硫酸ナトリウム水溶液を用いた。このボルタモグラムにおいて,掃引方向で変化する電流値は電極表面の静電容量を,印加電圧に対する電流値の傾きは電極表面の抵抗を示している。未処理の金電極に比べて,絶縁性分子として11−ヒドロキシ−1−ヘキサンチオール(11−HUT)を固定化した金電極では,印加電圧に対する電流値の傾きは小さくなった。これは,電極表面に絶縁性分子を固定化したことにより,電極表面の絶縁性が高くなったことを意味している。また,未処理の金電極に比べて,絶縁性分子として11−HUTを固定化した金電極では,電流の絶対値が小さくなっている。これは,未処理の金電極では電極表面に電気二重層といわれる一分子程度の層が存在し,14μF/cm2の大きな静電容量が発生しているのに対し,電極表面に絶縁性分子が固定化されたことで,絶縁性分子の長さである2nm程度の絶縁層が形成され,静電容量が2.3μF/cm2に減少したためである。このように,電極表面に絶縁性分子を固定することで,電極表面の抵抗値が増大し,静電容量が減少した。この結果,リーク電流が低減し,さらに,充電電流も低減し,より微小な酸化還元物質濃度の変化を捉えることができるようになった。
本発明による絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を,他の実施例を用いて説明する。図10は,絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定した場合の評価系を示している。本評価系は,電位差計測装置801,参照電極802,測定物質を含有する試料溶液を供給する試料溶液注入器803,測定セル804を備える。測定セル804内の測定溶液807中には,酸化還元物質805が絶縁性分子806を介して固定化された金電極808,参照電極802が配置されている。
図11は,図10の評価系を用いて測定した,測定物質を注入した際の参照電極と金電極の間の電位差の時間変化を示している。参照電極802に飽和塩化カリウム水溶液を内部溶液に使用している銀・塩化銀参照電極を使用した。絶縁性分子806を介して固定化された酸化還元物質805には,(a)6−フェロセニル−1−ヘキサンチオール,(b)8−フェロセニル−オクタンチオール,(c)11−FUTを用いた。試料溶液注入器内の試料溶液には,フェロシアン化カリウム水溶液を用いた。測定溶液807に0.1M硫酸ナトリウム水溶液を用いた。図11の横軸は,試料溶液注入時を0とした時間を,縦軸は,試料溶液注入直前の電圧を1,注入100秒後の電圧を0として規格化した参照電極と金電極間の電位差を示している。試料溶液注入によって電位が0.1になるまでの時間,すなわち90%の電位変化に要する時間を緩和時間とすると,緩和時間は(a)>(b)>(c)の順番であった。すなわち,絶縁性分子806の長さが長いほど,緩和時間が短かった。絶縁性分子806の長さが長いほど,作用電極と測定溶液間の絶縁性は高い。すなわち,絶縁性が高いほど応答速度が速くなっている。
本発明による作用電極に絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定した電位差式センサを用いて,過酸化水素を測定した結果を図12に示す。本実施例では,図7(b)に示す装置構成で計測した。絶縁物質を介して金電極に固定された酸化還元物質には11−FUTを,測定溶液には0.1M硫酸ナトリウム水溶液を,参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。図12の横軸は過酸化水素濃度,縦軸は電位差を示していて,過酸化水素濃度に応じた電位が発生している。これは,過酸化水素によって金電極表面に固定化された酸化還元物質が酸化されたためである。
本発明による電位差式酵素センサを用いてグルコース濃度を測定した結果を図13に示す。本実施例では,図2に示す装置構成で計測した。一般的に,グルコースが高濃度の場合には,血中の溶存酸素濃度(分圧)が足りずに反応が律速されてしまうため,酸素の代わりの別の酸化還元物質としてフェリシアン化カリウムを用いた。絶縁物質を介して固定された酸化還元物質には11−FUTを,測定溶液には0.1MpH7.4リン酸緩衝液(PBS)溶液を,酵素にはグルコースオキシダーゼを,水溶性酸化還元物質にはフェロシアン化カリウムを,参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。試料溶液には,1,10,100,1000mg/dlのグルコース水溶液を用いた。横軸はグルコース濃度,縦軸は測定対象注入前と注入100秒後の電位差を示していて,グルコース濃度に応じた電位が発生している。これは,グルコースオキシダーゼの働きで,グルコースとフェリシアン化カリウムが反応し,グルコノラクトンとフェロシアン化カリウムが生成し,フェロシアン化カリウムにより金電極上に固定化されたフェロセンが還元されたためである。
本発明による電位差式酵素センサを用いてコレステロールを測定した結果を図14に示す。本実施例では,図1に示す装置構成で計測した。絶縁物質を介して固定された酸化還元物質には11−FUTを用いた。参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。測定溶液として,20μlの0.046〜100mg/dlコレステロール溶液(2%Triton X-100水溶液に溶解)と,10μlの3mg/mlNAD溶液(0.3M Tris−HCl(pH8.5)水溶液に溶解)と,3μlの100mMフェリシアン化カリウム水溶液と,1μlの100U/mlジアホラーゼ水溶液の混合液を用いた。試料溶液注入器を用いて1μlの10mg/mlコレステロール脱水素酵素を注入し,注入600秒後の参照電極と金電極間の電位差を,図14にプロットした。コレステロール濃度(横軸)に対してスロープ感度60mVが得られ,コレステロール濃度に応じた電位が1〜100mg/dlの範囲で生じていることが分かる。本測定では,コレステロール脱水素酵素の働きでコレステロール+NAD→コレステノン+NADHの反応が生じ,ジアホラーゼの働きでNADH+フェリシアン→NAD+フェロシアンの反応が生じ,金電極表面でフェロシアン+フェロセン(酸化型)→フェリシアン+フェロセン(還元型)の反応が生じた結果,コレステロール濃度に応じて金電極の表面電位が変化した。本原理を用いることで,コレステロール濃度を電位変化として測定することができる。
本発明による電位差式酵素センサを用いてヘモグロビンA1Cをプロテアーゼ酵素処理して得られるFru-Val-Hisペプチドを測定した結果を図15に示す。本実施例では,図2に示す装置構成で計測した。絶縁物質を介して固定された酸化還元物質には11−FUTを,測定溶液にはPBS溶液を,酵素にはFructosyl-peptide Oxidase(FPOX)を,水溶性酸化還元物質には1mMフェロシアン化カリウムを,参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。試料溶液には,Fru-Val-Hisペプチド基質水溶液を用いた。横軸は基質の最終濃度,縦軸は測定対象注入前と注入600秒後の電位差を示していて,基質の濃度に応じた電位が発生している。そのときのスロープ感度は約60mVであり,ネルンストの式に従って電位が発生していることがわかる。
本発明による作用電極に絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定した電位差式センサを用いて,コリンエステラーゼ活性を測定した結果を図16に示す。本実施例では,図7(b)に示す装置構成で計測した。絶縁物質を介して金電極に固定された酸化還元物質には11−FUTを,測定溶液にはアセチルチオコリンを1mg/ml(5.06mM)の濃度で含むPBS(リン酸緩衝液)を,参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。試料溶液としてアセチルコリンエステラーゼ溶液を用いた。試料溶液を測定溶液中に注入すると,試料溶液中のアセチルコリンエステラーゼによってアセチルチオコリンがチオコリンと酢酸に分解される。チオコリンが生成されると,チオコリンは作用電極上に固定化されたフェロセンに対して還元剤として作用するため,作用電極の表面電位は低下する。一方,アセチルチオコリンは末端にチオール基を有していないため,還元剤として作用せず,作用電極の表面電位に影響を及ぼさない。従って,試料溶液中のアセチルコリンエステラーゼ活性に応じて電位が低下する。図16は,横軸に試料溶液中のアセチルコリンエステラーゼ活性を,縦軸に試料溶液注入直後の電位変化速度をプロットした。アセチルコリンエステラーゼ活性に比例した電位変化速度が観測された。この結果から,電位変化速度から未知のアセチルコリンエステラーゼ濃度を求めることができる。電位変化速度以外に,電位差の変化量を用いることもでき,その場合はコリンエステラーゼ活性の対数に比例した電位差の変化量が得られるため,より広いダイナミックレンジが得られる。
他の応用例として,アセチルコリンエステラーゼの作用を阻害する有機リン系農薬の測定を行うことができる。十分量のアセチルチオコリンを含む溶液を測定溶液に,一定量のアセチルコリンエステラーゼと測定対象を含む溶液を試料溶液に用いる。測定対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害の農薬が含まれていると,アセチルコリンエステラーゼによるアセチルチオコリンの分解速度が低下する。そのため,アセチルチオコリンの分解速度,すなわち電位変化速度から,測定対象中に含まれているアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害する有機リン系農薬の濃度を測定することができる。
絶縁物質を介して酸化還元物質を固定した金電極の代わりに未処理の金電極を用いた場合でも,チオコリンの金電極表面への結合による電位変化を測定することができる。しかし,その場合,金電極は使い捨てとなる。一方,本発明の絶縁物質を介して酸化還元物質を固定した金電極を用いると,チオコリンは金電極表面に結合しないため,洗浄し再生することで,複数回使用することができる。再生には,酸化物質であるフェリシアン化カリウムや過酸化水素を用いることが好ましい。
本発明による作用電極に絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定したFETセンサを用いて,チオール化合物である4−ヒドロキシ−1−ブタンチオール(4−HBT)の濃度を繰り返し測定した結果を図17に示す。絶縁物質を介して金電極に固定された酸化還元物質には11−FUTを,測定溶液には4−HBT溶液(PBSに溶解)を,参照電極には飽和塩化カリウムを内部溶液に使用している銀・塩化銀電極を用いた。測定の前に,5%過酸化水素水で3回洗浄してから,4−HBT濃度10-7M,10-6M,10-5M,10-4M,10-3M,10-2M,10-1Mの順に測定した。その結果を,図17(a)「1回目」に示す。4−HBT濃度が高くなるにつれて,ドレイン電流値が減少した。これは,4−HBTにより金電極表面に固定化されたフェロセンが還元され,金電極表面電位が低下したためである。再び,5%過酸化水素水で3回洗浄してから,同様に4−HBT濃度を変化させ測定した。その結果を,図17(a)「2回目」に示す。「1回目」と同様に,4−HBT濃度に応じたドレイン電流値が観測された。同様にして,「3回目」,「4回目」を測定したところ,やはり同様な結果が得られた。別途測定したFETのゲート電圧(VG)−ドレイン電流(ID)特性から金電極の表面電位に変換し,10-7Mを基準にして電圧の低下分(−ΔV)をプロットした(図17(b))。いずれの測定においても,4−HBT濃度に依存した電位変化が観測され,過酸化水素などの酸化剤で洗浄することで固定された酸化還元物質が酸化状態になり,繰り返しチオール化合物を測定できることが確認された。絶縁物質を介して酸化還元物質を固定した金電極の代わりに未処理の金電極を用いた場合でも,チオール化合物の金電極表面への結合による電位変化からチオール化合物濃度を測定することができる。しかし,その場合,金電極は使い捨てとなる。一方,本発明の絶縁物質を介して酸化還元物質を固定した金電極を用いると,チオール化合物は金電極表面に結合しないため,洗浄し再生することで,複数回使用することができる。
図18は,本発明によるFETセンサを用いた免疫分析システムの例を示すブロック図である。この分析システムは,測定部901,信号処理回路902,データ処理装置903,及びチオール化合物生成反応のための反応容器904から構成される。測定部901内には,絶縁ゲート電界効果トランジスタ905,参照電極906,参照電極906に高周波電圧を印加する電源907,反応容器904内の溶液を供給するチオール化合物溶液注入器908が設けられている。測定セル909内の反応溶液910中には,絶縁ゲート電界効果トランジスタ905上に形成された金電極913,参照電極906が配置されている。金電極には,絶縁性物質912を介して酸化還元物質911が固定されている。チオール化合物生成反応のための反応容器904内には,抗体916が抗体固定板917上に固定化されている。尚,抗体916を直接反応容器904の内部に固定化してもよい。
測定手順は以下の通りである。チオール化合物生成反応のための反応容器904に試料溶液を注入し,試料溶液中の抗原と抗体916を結合させる。一定時間後,反応容器904に酵素標識抗体溶液を注入し,抗原・抗体反応を起こし,抗体-抗原-酵素標識抗体を形成させる。その後,結合した酵素標識抗体と遊離の酵素標識抗体を,反応容器904内の溶液交換及び反応容器904の洗浄により分離する。反応容器904内の溶液交換・洗浄後,標識酵素の基質を注入すると,基質は酵素により分解され,チオール化合物が生成する。一定時間反応後,生成したチオール化合物を,チオール化合物溶液注入器908を用いて測定セル909内の反応溶液910に導入する。測定セル909内の反応溶液910に導入されたチオール化合物は,絶縁ゲート電界効果トランジスタ905上に形成された金電極913に固定された酸化還元物質911と反応し,酸化還元物質911を還元する。その結果,金電極913上の電位が変化する。測定は,チオール化合物溶液注入器908による生成したチオール化合物の注入前後で変化する絶縁ゲート電界効果トランジスタ905内のソース914,ドレイン915間の電流をリアルタイムでモニターし,信号処理回路902及びデータ処理装置903で記録することで行う。金電極913上の電位は,酸化還元物質911の酸化状態と還元状態の比によって決まるため,金電極913にはチオール化合物の濃度に依存した電位が発生する。そのため,金電極913の電位によって変化するソース914−ドレイン915間の電流値を測定することにより,結合した標識酵素の量,すなわち試料溶液中の抗原量を得ることができる。
本発明の装置を用いた酵素免疫測定法について以下に説明する。本実施例では,従来の免疫分析で一般的に用いられているサンドイッチ法を用いて,抗体に標識した酵素などを通して間接的に抗原量を測定した。予めプレート上に固定化した抗体と試料中の抗原との反応後,酵素標識抗体を加えて,抗体-抗原-酵素標識抗体を形成させた。その後,結合した酵素標識抗体と遊離の酵素標識抗体及び遊離の抗原を分離し,結合した酵素標識抗体の酵素と基質のサイクリック反応の生成物であるチオール化合物をFETセンサで測定した。本実施例で使用した試料及び試薬を以下に示す。
固定化抗体:Interleukin 1a (IL−1β)抗体
試料: Human plasma
測定対象:IL−1β
酵素標識抗体:アセチルコリンエステラーゼ(AChE): IL−1βFab’ Conjugate
基質:2.5mM アセチルチオコリン(Acetylthiocholine)
反応溶液:PBS
尚,ここで使用した反応条件や試薬濃度は単なる一例であり,装置構成及び測定対象に応じて適宜変更できる。
測定手順は以下の通りである。最初,IL−1βの抗体が固定化されたプレートのウエルに100μLの試料溶液(Human plasma)及び100μLの酵素標識抗体(AChE:IL−1βFab’ Conjugate)を加えて,プレートをプラスチックフィルムでカバーして4℃で一晩反応させる。その後,プレートのウエルの溶液を捨てて,洗浄バッファーで5〜6回洗浄する。アセチルコリンエステラーゼの基質であるアセチルチオコリン溶液を各ウエルに添加して,約20分間反応させる。反応により生じたチオール化合物が含まれた反応溶液をFETセンサの浸漬した反応セルに導入して,チオール化合物と金電極に固定された酸化還元物質との酸化還元反応による金電極上の電位変化を測定することにより,生じたチオール化合物の濃度を得る。生成したチオール化合物の濃度は,抗体−抗原−酵素標識抗体の酵素濃度に比例するため,抗原量を定量することができる。
FETセンサによる測定の際には,絶縁性分子を介して固定化された酸化還元物質として11−FUTを,参照電極としてAg/AgCl参照電極を使用した。参照電極には,中心電圧100mV,振幅電圧100mV,周波数1MHzの交流電圧を印加した。ソース−ドレイン間に1.0Vを印加し,測定開始1分後のドレイン電流値を記録した。この操作を,抗原であるIL−1β濃度10,30,100,300,1000,3000,5000pg/mlについて順番に行った。その後,5%過酸化水素水でFETセンサを洗浄し,再び上記のIL−1β濃度について測定を行った。本測定を3回行った結果を,図19(a)に示す。各測定において,IL−1β濃度が高くなるとドレイン電流値が低くなる相関が得られ,いずれの測定でも同様の結果が得られた。この結果を,別途測定したFETのゲート電圧(VG)−ドレイン電流(ID)特性を用いて金電極の表面電位に変換し,IL−1β濃度10pg/mlを基準にして,電位の低下分(−ΔV)をプロットした(図19(b))。いずれの測定においても,IL−1β濃度に依存した電位変化が観測され,過酸化水素などの酸化剤で洗浄することで固定された酸化還元物質が酸化状態になり,繰り返しチオール化合物すなわち抗原濃度を測定できることが確認された。
本発明による電位差式酵素センサの一例を示すブロック図。 本発明による電位差式酵素センサの一例を示すブロック図。 本発明によるFETセンサを用いた電位差式酵素センサの一例を示すブロック図。 本発明によるFETセンサを用いた電位差式酵素センサの一例を示すブロック図。 本発明によるFETセンサを用いた複数項目を同時に測定できる電位差式酵素センサの一例を示すブロック図。 本発明によるFETセンサを用いた電位差式酵素センサに使用する分析素子の構造の一例を示す図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの評価系の説明図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を示す図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を示す図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定した場合の評価系を示す図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を作用電極表面に固定することの効果を示す図。 絶縁性分子を介して酸化還元物質を固定した作用電極を用いて,過酸化水素を測定した結果を示す図。 本発明による電位差式酵素センサを用いてグルコース濃度を測定した結果を示す図。 本発明による電位差式酵素センサを用いてコレステロールを測定した結果を示す図。 本発明による電位差式センサを用いてFru-Val-His基質を測定した結果を示す図。 本発明による電位差式センサを用いてコリンエステラーゼ活性を測定した結果を示す図。 本発明によるFETセンサを用いてチオール化合物を繰り返し測定した結果を示す図。 本発明によるFETセンサを用いた酵素免疫測定装置の一例を示すブロック図。 本発明によるFETセンサを用いてIL−1βを繰り返し測定した結果を示す図。
符号の説明
101,201,301,401,501,901…測定部
102,202,302,402,502,902…信号処理回路
103,203,303,403,503,903…データ処理装置
104,204,701,711…電位差計測装置
105,205,307,702,712,804,906…参照電極
106,206,309,410,514,703,713,806,908…試料溶液注入器
107,207,310,411,515,704,714,807,909…測定セル
108,208,311,414,518,521…酵素
109,210,312,415,519,522,715,809,911…酸化還元物質
110,211,313,416,520,523,716,810,912…絶縁性分子
111,212,314,706,717,808,811,910…測定溶液
112,213,315,417,507,509,605,707,718,812,913…金電極
209,705…水溶性の酸化還元物質
304,404,504,601,801,905…絶縁ゲート電界効果トランジスタ
305,405,505,508,602,802,914…ソース
306,406,506,510,603,803,915…ドレイン
308,407,511,805,907…電源
408,512…擬似参照電極
409,513…基準電圧用溶液を含有するゲル
412,516…血球分離膜
413,517…夾雑物分離膜
524…分離壁
604…ゲート絶縁物
606…ゲート
607…導電性配線
904…反応容器
916…抗体
917…抗体固定板

Claims (18)

  1. 液体が導入される容器と,
    前記容器中の液体に接触する作用電極と,
    前記容器中の液体と接触する参照電極と,
    前記作用電極と前記参照電極との間の電位差を測定する電位差計とを備え,
    前記作用電極に絶縁性分子を介して酸化還元物質が固定化されていることを特徴とする電位差式センサ。
  2. 請求項1記載の電位差式センサにおいて,前記酸化還元物質はフェロセンであることを特徴とする電位差式センサ。
  3. 請求項1記載の電位差式センサにおいて,前記絶縁性分子は炭素鎖であることを特徴とする電位差式センサ。
  4. 請求項1記載の電位差式センサにおいて,前記作用電極はカーボンもしくは貴金属製であることを特徴とする電位差式センサ。
  5. 請求項1記載の電位差式センサにおいて,前記液体は測定対象物を含み、前記測定対象物を酸化もしくは還元するための酵素を前記容器の中に有することを特徴とする電位差式センサ。
  6. 請求項1記載の電位差式センサにおいて,前記液体は測定対象物を含み、前記測定対象物は血液,尿等の生体試料に含まれる成分であることを特徴とする電位差式センサ。
  7. 液体が導入される容器と,
    電界効果トランジスタと,
    前記電界効果トランジスタのゲートと配線で接続され,前記容器中の液体と接触する電極と,
    前記容器中の液体と接触する参照電極と,
    前記電極と前記参照電極との間に電圧を印加する電源と,
    前記電界効果トランジスタの出力を検出する検出部とを備え,
    前記電極に絶縁性分子を介して酸化還元物質が固定化されていることを特徴とする電位差式センサ。
  8. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記酸化還元物質はフェロセンであることを特徴とする電位差式センサ。
  9. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記絶縁性分子は炭素鎖であることを特徴とする電位差式センサ。
  10. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記電極はカーボンもしくは貴金属製であることを特徴とする電位差式センサ。
  11. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記液体は測定対象物を含み、前記測定対象物を酸化もしくは還元するための酵素を前記容器の中に有することを特徴とする電位差式センサ。
  12. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記液体は測定対象物を含み、前記測定対象物は血液,尿等の生体試料中に含まれる成分であることを特徴とする電位差式センサ。
  13. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記電源は交流電圧を印加することを特徴とする電位差式センサ。
  14. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記参照電極は前記電界効果トランジスタと同一基板上に形成されていることを特徴とする電位差式センサ。
  15. 請求項7記載の電位差式センサにおいて,前記電界効果トランジスタと前記電極の組が同一基板上に複数設けられていることを特徴とする電位差式センサ。
  16. 電界効果トランジスタと,
    絶縁性分子を介して酸化還元物質が表面上に固定化された電極とを有し,
    前記電界効果トランジスタのゲートと前記電極が導電性配線で接続されていることを特徴とする分析用素子。
  17. 請求項16記載の分析用素子において,前記電界効果トランジスタと前記電極の組が同一基板上に複数設けられていることを特徴とする分析用素子。
  18. 請求項16記載の分析用素子において,前記電極はカーボンもしくは貴金属製であることを特徴とする分析用素子。
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