JP4748898B2 - 大型車両用ラジアルタイヤ及びゴム組成物 - Google Patents

大型車両用ラジアルタイヤ及びゴム組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型車両用ラジアルタイヤ及びゴム組成物に関するものであり、特に耐久性を向上させた大型建設車両用ラジアルタイヤ、及びタイヤのベルト層等に好適に使用できる長時間の加硫でも高弾性を維持するゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、大型車両用ラジアルタイヤ内部には、リング状のタイヤ本体の子午線方向に沿って埋設されるカーカス層と、一部のカーカス層の外側に重畳される、即ちタイヤ接地面側に重畳されるベルト層とが配させている。ベルト層は通常、スチールコードと、スチールコードのコーティングゴムとからなる層の複数層で形成され、タイヤに耐荷重性、耐牽引性等を付与している。また、ベルト層については種々の機械的構造、或いはゴム成分構成等を換える工夫がなされ、タイヤの耐荷重性、耐牽引性、耐カット性等を維持しながら耐ヒートセパレーション性や耐カットセパレーション性を高めるような提案がなされている。
例えば、ベルト層を5層以上の構造とし、主幹層と保護層とに分け、保護層に特定のコーティングゴムを用いることにより、タイヤ全体の耐ヒートセパレーション性及び耐カットセパレーション性を改良したタイヤが提案されている(特開平7−32815号公報)。またベルト層を幅の異なる4層に構成し、構成層のスチールコードの断面形状に傾斜方向性を持たせ、その隣接層を異なる幅に応じて適宜配すると共に、スチールコードの傾斜同方向或いは逆方向に適宜配してベルト層を構成することにより、タイヤの耐摩耗性能、牽引性能、耐カット性能等を維持しながら耐セパレーション性を向上させたものが提案されている(特開平5−8607号公報、特開平6−127213号公報)。
【0003】
ところで、上述するようにスチールコードと該スチールコードのコーティングゴムとからなるベルト層を有する大型車両用ラジアルタイヤの該コーティングゴムには、特に次の2点が少なくとも要求される。それは、ラジアル構造に伴うベルトのたが締めによるタイヤ形状確保に必要な高弾性と、タイヤの耐久性向上のための耐亀裂性である。従来、コーティングゴムのイオウ架橋の度合、該ゴムへのカーボンブラック添加量を制御することにより、この2つの性能を何とか確保している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、昨今、車両、特に建設車両の大型化に伴い、それに用いるタイヤも更なる大型化が求められている。タイヤが大型化すると、タイヤ製造工程における加硫時間が長時間となる。この場合、特に従来のイオウ架橋法を用いる場合、耐熱性が不十分であるため、コーティングゴム性能の悪化、特に弾性率の低下を招くこととなる。
【0005】
一方、例えばカーボンブラックなどの充填剤の添加量を増加させることにより、長時間の加硫を行った場合でも、弾性率の低下を抑えられる長時間加硫可能なゴム組成物が知られている。しかしながら、このゴム組成物は、その耐発熱性を低下させてしまい、発熱に起因するタイヤの故障増加が懸念される。同様に、加硫促進剤を増量することにより、弾性率の低下を抑えることができるが、タイヤの耐亀裂性、耐久性等を低下させる虞がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前記課題を解決するために、長時間の加硫によっても高弾性を維持し、且つ耐久性を有するゴム組成物、及び該ゴム組成物からなるベルト層を具備し、耐発熱性、耐久性及び耐亀裂性を有する大型車両用ラジアルタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討した結果、トランスポリブタジエンと耐熱性架橋剤であるN,N’-ジフェニルメタンビスマレイミドとを併用し、かつ該耐熱性架橋剤をある特定の比率でゴム組成物に用いることにより、長時間加硫工程を実施しても優れた高弾性を維持し、ベルト層を具備する大型車両用ラジアルタイヤにかかるゴム組成物を使用すると、該タイヤの耐発熱性、耐久性及び耐亀裂性が極めて高まることを見出し、下記(1)乃至(10)に記載の発明を想到するに至ったものである。
【0008】
(1)スチールコードと該スチールコードのコーティングゴムとからなるベルト層を有する大型車両用ラジアルタイヤであって、前記コーティングゴムは、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%であること、及び前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82モル%以上であり且つ質量平均分子量が3×10 4 から20×10 4 であることを特徴とする大型車両用ラジアルタイヤ。
【0009】
(2)前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり5質量部以下である前記(1)記載のタイヤ。
(3)前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドが前記ゴム成分100質量部あたり0.3乃至7.5質量部である前記(1)又は(2)記載のタイヤ。
【0010】
(4)前記コーティングゴムは、加硫後、100%伸長時の引張応力が3.5MPa(メガパスカル)以上であり、かつ25℃で歪2%の条件下で測定したときのtanδが0.200以下である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のタイヤ。
(5)前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82乃至98モル%である前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のタイヤ。
【0011】
(6)イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%であること、及び前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82モル%以上であり且つ質量平均分子量が3×10 4 から20×10 4 であることを特徴とする長時間加硫可能なゴム組成物。
【0012】
(7)前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり5質量部以下である前記(6)記載のゴム組成物。
(8)前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドが前記ゴム成分100質量部あたり0.3乃至7.5質量部である前記(6)記載のゴム組成物。
【0013】
(9)加硫後、100%伸長時の引張応力が3.5MPa(メガパスカル)以上であり、かつ25℃で歪2%の条件下で測定したときのtanδが0.200以下である前記(6)乃至(8)のいずれかに記載のゴム組成物。
(10)前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82乃至98モル%である前記(6)乃至(9)のいずれかに記載のゴム組成物。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る大型車両用ラジアルタイヤ及びそれに用いるゴム組成物の好ましい実施の形態を詳述する。尚、本発明に係る大型車両用ラジアルタイヤ及びそれに用いるゴム組成物は以下の実施形態又は実施例に限るものではない。
本発明は、スチールコードと該スチールコードのコーティングゴムとからなるベルト層を有する大型車両用ラジアルタイヤに関するものである。そして、本発明に係る大型車両用ラジアルタイヤの前記コーティングゴムは、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%である。
【0015】
かかる大型車両用ラジアルタイヤを説明する前に先ず、かかるベルト層に用いられるコーティングゴム、即ち、加硫工程が長時間実施されたとしても高弾性を維持しうる本発明に係るゴム組成物について詳述する。
尚、本発明のゴム組成物は前記大型車両用ラジアルタイヤにおけるコーティングゴムとして最適であるが、これらの用途に限ることはなく、加硫工程、特に長時間の加硫工程が施されるような工程を含むゴム製品のゴム組成物として好ましいものである。
【0016】
本発明に係るゴム組成物は、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他のゴム成分、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、その他のブタジエンゴムを併用することができる。
【0017】
即ち、本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分とN,N’-ジフェニルメタンビスマレイミド(以下、「BMI」と略記する)とを有してなる。このうち、ゴム成分は、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなる。
本発明に用いられるイソプレンゴムは一般に入手できるすべての天然ゴム及び合成イソプレンを用いることができるが、天然ゴムを用いるのが好ましい。イソプレンゴムは、ゴム成分100質量部中、90乃至99質量部、好ましくは95乃至99質量部であるのがよい。
【0018】
本発明に用いられるトランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82乃至98モル%であり、好ましくは86乃至98%であるのがよい。このトランス結合含量が高いほど、イソプレンゴムの伸張結晶性の促進効果を高くする傾向が生じる。一方、この含量が低すぎると、イソプレンゴムの伸張結晶性を阻害する傾向が生じ、好ましくない。なお、この含量が98モル%を越えるものは合成上、困難であるので範囲外としているが、将来的に98モル%を越えるものが合成可能であれば、その範囲も本発明に含まれる。
【0019】
また、このトランスポリブタジエンの質量平均分子量は3×104乃至20×104であり、好ましくは5×104乃至15×104であるのがよい。分子量がこの範囲にあると、コーティングゴム用ゴム組成物の未加硫時の加工性と加硫時の物性バランスがよい。一方、分子量が低くなると弾性率が低下する傾向があり、分子量が高くなると作業性が低下する傾向がある。
【0020】
さらに、トランスポリブタジエンの配合量は、ゴム成分100質量部中、0.3乃至7.5質量部、好ましくは0.5乃至4質量部である。配合量が0.3質量部未満では、長時間加硫による耐熱性の改良効果が十分でないことがあり、ゴム組成物の未加硫時の加工性が悪化する傾向がある。一方、配合量が7.5質量部を超えると、耐発熱性が低下する傾向があり、イソプレンゴムとの相溶性が十分に得られず、耐亀裂性が悪化することがある。
【0021】
本発明で用いられるトランスポリブタジエンは、市販品を用いても、合成により得られたものを用いてもよい。その製造方法を例示すれば、溶媒中でブタジエンモノマーを、ニッケルボロアシレート、トリブチルアルミニウム、トリフェニルホスファイト、トリフルオロ酢酸の4元系触媒に接触させて重合する方法を挙げることができる。
【0022】
また、本発明に用いるゴム組成物は、以下の式で表されるN,N’-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI)を有してなる。なお、BMIは、イオウ架橋と比較して、熱的に安定な架橋構造を与えるため、耐熱架橋剤として知られている。
【0023】
【化1】
Figure 0004748898
【0024】
前記BMIとゴム成分中に含まれるトランスポリブタジエンとの配合量の総量はゴム成分100質量部に対して10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下である。
前記BMIの量がトランスポリブタジエンとの総量部数が10質量部を超えると、耐亀裂性が低下する傾向があり、加硫後のゴム組成物中にBMIが未反応のまま残存する傾向が生じ、その結果、BMIの特徴である安定な架橋形態を生成して、耐熱老化性を高める効果が損なわれることがある。
【0025】
また前記BMIの量は、ゴム成分100質量部に対して、0.3乃至7.5質量部、好ましくは0.5乃至4質量部であるのがよい。
前記BMIの量が7.5質量部を超えると、耐亀裂性が低下する傾向があり、加硫後のゴム組成物中にBMIが未反応のまま残存する傾向が生じ、その結果、BMIの特徴である安定な架橋形態を生成して、耐熱老化性を高める効果が損なわれることがある。前記BMIの量がゴム成分100質量部に対して0.3質量部未満になると、長時間加硫による耐熱性の抑制効果が十分にでないことがある。
【0026】
更に、本発明のゴム組成物にあっては、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%の範囲である。
前記配合量率のバランスが前記範囲内から外れると、タイヤのtanδが大きくなりヒステリシスロスが大となるため、100%伸長時の引張応力が高いわりには耐亀裂性の向上などが十分に見られない。
【0027】
本発明に用いられるゴム組成物は、前記ゴム成分及びBMIの他に、ゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。例えば、種々の成分として、充填剤(例えば、カーボンブラック及びシリカ等の補強性充填剤;並びに炭酸カルシウム及び炭酸カルシウムなどの無機充填剤);加硫促進剤;老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤等の添加剤を挙げることができる。なお、加硫促進剤として、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)及びCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系加硫促進剤;TT(テトラメチルチウラムスルフィド)等のチウラム系加硫促進剤;並びにDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。
【0028】
前記イソプレンゴム及びトランスポリブタジエンからなるゴム成分を有してなるゴム組成物は、次のような特性を有するのがよい。即ち、加硫後、100%伸長時の引張応力が3.5MPa(メガパスカル)以上、好ましくは3.5乃至4.0MPaであるのがよい。なお、引張応力の測定は、JIS K6301−1995に準拠して測定するのがよい。
前記引張応力が小さすぎると、コーティングゴムとして用いた場合、タイヤの車両ベルトゴムの入力である定応力時のベルト層の歪み等を増大させて、耐亀裂性の低下を招く傾向が生じる。
【0029】
また、イソプレンゴム及びトランスポリブタジエンからなるゴム成分を有してなるゴム組成物は、温度25℃で歪み2%の条件下で測定したときのtanδが0.200以下、好ましくは0.16乃至0.2、より好ましくは0.18乃至0.2であるのがよい。なお、tanδは、ヒステリシスロスの指標であり、tanδが大きいほど、高ヒステリシスロスであり、発熱量が多くなる。即ち、tanδが大きくなると、ゴム組成物の耐発熱性が低下する傾向にある。なお、tanδの測定は、例えば粘弾性測定装置(東洋精機社製スペクトロメーター)を用いて、周波数:52Hzという条件で行うことができる。
【0030】
従って、本発明に係る大型車両用ラジアルタイヤは、上述のゴム組成物からなるコーティングゴムを用いるものであり、即ち、コーティングゴムと該コーティングゴムをコーティングしたスチールコードとからなるベルト層を有するものである。
また、スチールコードは、従来からタイヤ業界において用いられているスチールコードであれば、どのようなものを用いてもよい。尚、本発明のベルト層は、前記スチールコード及びコーティングゴムの他に、他の層を有していてもよい。
本発明のベルト層を有するラジアルタイヤは、大型車両、特に大型建設車両に用いられるタイヤであるが、その他の車両に用いても構わない。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0032】
(トランスポリブタジエンの調製)
温度計、攪拌装置、加圧装置、注入注出口を備えたステンレス製反応容器を用意し、この容器内を窒素ガスで置換した。この容器にブタジエン/ヘキサン溶液(23.7質量%ブタジエン)4086g;0.84mol/Lニッケルボロアシレート(以下、NiOBと称する)のヘキサン溶液12.0ml;0.62mol/Lトリブチルアルミニウム(以下、TIBALと称する)ヘキサン溶液49ml;トリフェニルホスファイト(以下、TPPと称する)のヘキサン溶液(TPPの原液2.64mlをヘキサン25mlで溶解したもの)約27ml;及びトリフルオロ酢酸(以下、TFAと称する)のヘキサン溶液(TFA15.6mlをヘキサン25mlで溶解したもの)約40mlを注入し、均一に混合し、80℃で6時間重合反応を行った。なお、触媒のモル比は、NiOB/TIBAL/TPP/TFA=1/3/1/20であった。
【0033】
その後、過剰のイソプロパノールと老化防止剤の入った容器に、この溶液を注入し、重合を停止し再沈した。さらに、これをろ過し、50℃にて真空乾燥し、結晶性トランスポリブタジエン(以下、「TR−BR」と略記する)を得た。得られたTR−BRのトランス結合含有量は92%、質量平均分子量3.2×104であった。
【0034】
(実施例1乃至4並びに比較例1乃至比較例10)
表1記載の組成にしたがって、各成分を混練し、145℃で60分間加硫を行い、得られた加硫物の物性を評価した。なお、TR−BRは、上述で得たものを用いた。評価に際して、以下の1)100%伸長時の引張応力、2)tanδ、及び3)耐亀裂性を測定した。次にそれぞれの測定条件等を記載する。
【0035】
1)100%伸長時の引張応力(100%MOD)
試料として得られた加硫物をJIS K6301−1995に従って測定した。
【0036】
2)tanδ
得られた加硫物の試験片について、粘弾性測定装置(東洋精機社製スペクトロメーター)を用い、温度25℃;歪み2%;及び周波数52Hzの条件下で測定した。
【0037】
3)耐亀裂性
試料として、その形状をダンベル型の3号試験片(JIS#3)に切り出した。この試料を用いて、クリープ試験機(島津製作所製)で定荷重モードテストを行った。その際の破断回数を、比較例1の結果を100として、実施例1乃至4、並びに比較例2乃至10の値を指数表示した。
これら前記1)乃至3)の測定結果も共に表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004748898
【0039】
前記表1より、実施例1乃至4のゴム組成物は、100%伸長率、tanδ、及び耐亀裂性に優れていることが判る。また、比較例1乃至7に示すように、トランスポリブタジエン及びN,N’-ジフェニルメタンビスマレイミドの両者又は少なくとも一方を欠くゴム組成物は上記性能を全て満たすことが無いことが判る。更に、比較例10に示すように、トランスポリブタジエン及びN,N’-ジフェニルメタンビスマレイミドの総量が10重量を超えるものは、返って耐亀裂性が悪くなることが判る。また、トランスポリブタジエンが両者の総量の25重量%未満であっても、75重量%を超えても耐亀裂性が十分に改善しないことが比較例8及び9より判る。
【0040】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、前記コーティングゴムであるゴム組成物は、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%であることより、長時間の加硫によっても高弾性を維持し、このようなゴム組成物からなるベルト層を具備する大型車両用ラジアルタイヤは、耐発熱性及び耐亀裂性が優れたものとなる。

Claims (10)

  1. スチールコードと該スチールコードのコーティングゴムとからなるベルト層を有する大型車両用ラジアルタイヤであって、前記コーティングゴムは、イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%であること、及び前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82モル%以上であり且つ質量平均分子量が3×10 4 から20×10 4 であることを特徴とする大型車両用ラジアルタイヤ。
  2. 前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり5質量部以下である請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドが前記ゴム成分100質量部あたり0.3乃至7.5質量部である請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. 前記コーティングゴムは、加硫後、100%伸長時の引張応力が3.5MPa(メガパスカル)以上であり、かつ25℃で歪2%の条件下で測定したときのtanδが0.200以下である請求項1から3のいずれか1項記載のタイヤ。
  5. 前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82乃至98モル%である請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のタイヤ。
  6. イソプレンゴムとトランスポリブタジエンとからなるゴム成分100質量部、及びN,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドを配合してなり、該N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり10質量部以下であり、かつ、前記トランスポリブタジエンの配合量が前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの両者の総量の25質量%から75質量%であること、及び前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82モル%以上であり且つ質量平均分子量が3×10 4 から20×10 4 であることを特徴とする長時間加硫可能なゴム組成物。
  7. 前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドと前記トランスポリブタジエンとの配合量の総量が前記ゴム成分100質量部あたり5質量部以下である請求項6記載のゴム組成物。
  8. 前記N,N’−ジフェニルメタンビスマレイミドが前記ゴム成分100質量部あたり0.3乃至7.5質量部である請求項6記載のゴム組成物。
  9. 加硫後、100%伸長時の引張応力が3.5MPa(メガパスカル)以上であり、かつ25℃で歪2%の条件下で測定したときのtanδが0.200以下である請求項6から8のいずれか1項記載のゴム組成物。
  10. 前記トランスポリブタジエンは、そのトランス結合含有量が82乃至98モル%である請求項6乃至請求項9のいずれか1項記載のゴム組成物。
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