JP2007313944A - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ベルト層の金属コードとの接着性、耐劣化性及び耐疲労性が最大限に発揮された耐久性に優れた重荷重用空気入りタイヤ。
【解決手段】 金属コードとコーティングゴムからなるベルト層を有し、該ベルト層をインシュレーション法を用いた金属コード表面被覆層、ベルト交錯層中心部、交錯層端部の3部材から構成し、3部材をそれぞれの部材の性能に適した少なくとも2種類の異なるゴム組成物から形成した重荷重用空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は、重荷重用空気入りタイヤに関する。特に金属コードを含むベルト層を備え、金属コードと該コードを被覆するゴムとの接着性を維持しつつ耐劣化性、耐クリープを向上させた重荷重用空気入りタイヤに関するものである。
近年、自動車の足廻りを支えるタイヤに限らず、ベルト、ホース等のゴム製品には金属製の補強材が必要に応じて使用されている。タイヤでは、カーカス及びベルトの少なくとも一方の補強材料としてスチールコードを用いたスチールコード補強タイヤが、広く用いられるようになってきた。スチールコード補強タイヤにおいては、スチールコードと該コードを被覆するゴムとの接着性を確保することが重要であり、この接着性が低下するとカーカス及び/又はベルトの耐久性が低下し、ひいてはタイヤの耐久性に問題が生じることが知られており、接着性を向上せたゴム組成物が提案されている(特許文献1及び2)。また、ゴムとの接着性を高めるため、スチールコードには黄銅、亜鉛等でメッキを施し、ゴム組成物には接着促進剤としてコバルト塩等を配合することが行われている。
このような接着性改良ゴム組成物の提案にもかかわらず、昨今、タイヤの寿命が延びてきたため、タイヤに要求されるシビアリティが増し、スチールコードとゴムとの接着性に加え、荷重走行、高速走行等での使用により発生したスチールコードとゴム間の亀裂の進行を抑制することが必要となってきた。スチールコードを被覆するゴム中を進行する亀裂は、タイヤの走行に伴う発熱によってゴムが、高温に曝される等の環境劣化の他に、機械的疲労によってゴム自身の耐疲労破壊性が低下することによって発生すると考えられている。そのため、スチールコードを被覆するゴムの耐疲労破壊性を改善するために、ゴム自身の耐熱劣化性を向上させると共に、外力によるゴム製品の変形量を小さくすることが必要であり、そのためにはゴム組成物を高弾性化する対策が有効である。
具体的には、耐熱劣化性向上のために、該ゴムに硫黄の配合量を減じたゴム組成物を用いることが考えられる。一方、スチールコードを被覆するゴムの剛性を向上させ入力歪みを低減して、ゴムの耐疲労破壊性を改善する方策としては、具体的には、該ゴムにカーボンブラックや硫黄の配合量を増量したゴム組成物を用いる方法がある。
しかしながら、硫黄の配合量を減じたゴム組成物は、耐熱劣化性が向上するものの、剛性が低下し、該ゴム組成物をスチールコードを被覆するゴムに適用した場合、該ゴムにかかる入力歪みが増大し、結果として、耐疲労破壊性が低下し、更には、スチールコードとゴムとの初期接着性や耐熱寿命も悪化してしまう。また、隣接部材の入力歪みも増大するため、隣接部材の耐疲労破壊性までもが低下してしまう。
一方、硫黄の配合量を増量したゴム組成物は、剛性が向上し、該ゴム組成物をスチールコードを被覆するゴムに適用した場合、該ゴムにかかる入力歪みが低減され、さらに、スチールコードとゴムとの初期接着性や耐熱寿命も向上するものの、ゴム自身の耐熱劣化性が低下するため、結果として、ゴムの耐疲労破壊性が低下してしまう。また、カーボンブラックの配合量を増量すると、低発熱性の悪化や未加硫時の粘度上昇による作業性の悪化をもたらす。
従って、硫黄やカーボンブックの配合量を調整して、スチールコードとゴムとの初期接着性や耐熱寿命を維持しつつ、該ゴムの入力歪みの低減と耐熱劣化性の向上とを同時に達成してゴムの耐疲労破壊性を改善することは難しかった。
一方、ゴム組成物を高弾性化して剛性を向上させる手段として、未変性のフェノール樹脂や、トールオイル又はカシューオイル等の不飽和油、或いはキシレン又はメシチレン等の芳香族炭化水素で変性したフェノール樹脂を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4)。しかしながら、未変性フェノール樹脂や変性フェノール樹脂は、通常使用される極性の低いゴム成分に対して分散性が低く、その結果、フェノール樹脂の偏在した部分がゴム組成物中に存在して破壊の基点となるため、耐疲労破壊性を充分に向上させることができなかった。
このように、スチールコードとの接着性、耐劣化性及び高弾性のバランスがとれたベルト層を単一のゴム組成物で構成し、満足できる耐久性を有するタイヤを得ることは困難であるのが実情である。
特開平7−32810号公報 特開平4−53845号公報 特開平5−98081号公報 特開2001−226528号公報
本発明は、斯かる実情に鑑み、スチールコードとの接着性、耐劣化性及び高弾性のバランスを重視し、それぞれの性能を最大限に発揮した耐久性に優れた重荷重用空気入りタイヤを提供しようとするものである。
本発明は、金属補強材(金属コード)と該コードを被覆するコーティングゴムからなるベルト層を備えたトラック、バス等に用いられる重荷重用空気入りタイヤであり、このようなタイヤのベルト層には、以下のような3つの性能が要求される。
(1)タイヤの形状確保(径方向への拡大抑制)のための高弾性と耐クリープ性
(2)長期使用時の劣化が少ないこと(耐劣化性が高い)
(3)金属コードと被覆ゴムとの接着性がよいこと
これらの性能が満たされない場合、走行時の性能変化及び環境劣化や機械的疲労によりベルト故障を起こす可能性が高い。
本発明は、上記の性能を最大限に発揮できるよう、インシュレーション法を用いてベルト層を構成する部材を3つに分割し、各部分に要求される性能を満たすよう、少なくとも2種以上のゴム組成物、特にそれぞれの部材に特化したゴム組成物を用いることでベルト故障に対する耐久性を向上させるものである。即ち、インシュレーション法により、接着性能に優れたゴム組成物で金属コード表面を直接被覆し、交錯層の中心部及び端部には耐劣化性、耐亀裂性を有するゴム組成物を1種又は2種、特に中心部には耐劣化性、耐剥離性に優れたゴム組成物、そして交錯層端部には高弾性、耐亀裂性を有するゴム組成物を適用することでタイヤの耐久性を向上させるものである。
従来のスチールコードを挟み込む方法では、上記性能を同時に満たすことはできなかったが、インシュレーション法を用いて3部分に分けることで、コード表面被覆用以外のゴム組成物に接着性能は必要なくなり、環境に影響を及ぼすコバルトの使用量を低減することもできる。
本発明によれば、インシュレーション法を用いてベルト層の構成を3部分に分割し、それぞれに適したゴム組成物で構成することで耐久性に優れた重荷重用空気入りタイヤが得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。
図1はタイヤのベルト層の構成を示すものである。図1中、符号11は補強材料としてのスチールコード、12はスチールコード表面を被覆するインシュレートゴム、13は交錯層中心部、14は交錯層端部である。
本発明では、各部に要求される性能に適した特性を有するゴム組成物を使用する。
タイヤのベルト層に用いる金属コードの材質としては、スチール、銅、アルミニウム、ステンレス、真鍮等を挙げることができ、スチールコード、特にブラスコートされ、加硫ゴムとの接着性が高められたスチールコードが好ましい。コーテイング処理の方法は特に制限されず、通常の方法、例えばメッキ処理法、各種CVD法、PVD法等を利用することができる。
本発明に係るゴム組成物は、従来タイヤに使用されるゴム組成物をベースに上記スチールコード表面を被覆するインシュレートゴム、交錯層中心部、交錯層端部の各部に要求される特性に応じて添加剤を配合したものである。
本発明の各ゴム組成物のゴム成分は、特に限定されないが、天然ゴム及び合成ゴムから選択される。また両者を混合使用しても良い。合成ゴムは、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、特に、ジエン系ゴムが好ましく、中でもスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びブチルゴムから少なくとも1種を適宜選択することが好ましい。
ゴム組成物は、天然ゴムを主成分として用いることが望ましく、天然ゴムの割合は耐破壊性や補強材(スチールコード)との接着性の点でゴム分率(質量%)の50乃至100質量%であることが好ましく、特に60乃至100質量%が好ましく、更には100質量%であることが好ましい。上記天然ゴム以外の合成ゴムは50質量%以下の割合でブレンド使用することが望ましく、50質量%を超える使用は耐破壊性やスチールコードとの接着を低下させる。
本発明に係る各ゴム組成物にあっては、上記ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを40質量部以上、更には40乃至100質量部、特に50乃至100質量部配合することが好ましい。カーボンブラックの量が少なくなると、弾性率が低下する。また、カーボンブラックの量が多くなると加硫ゴム組成物の低発熱性が低下し、粘度が上昇して加工性が悪くなる。
カーボンブラックは、通常ゴム業界で用いられるものから適宜選択することができ、例えば、SRF、GPF、FER、HAF、ISAF等を挙げることができるが、中でもGPF、HAFが物性とコストのバランスの面から好ましい。
本発明には、金属補強材との接着性を高めて、ベルト層に使用されている従来のゴム組成物を上記3部材のいずれにも使用でき、いずれか1つ又は2つの部材に使用するか、または、いずれの部材にも使わず、それぞれの部材用に特化したゴム組成物を使用することができる。好ましくは、それぞれに特化したゴム組成物の使用である。
従来のスチールコード等の金属補強材に加硫接着させる接着性のゴム組成物(以下、ゴム組成物kという)は、ゴム成分100質量部に対して硫黄を7.0質量部以下に配合することが好ましい。特に、3.0〜7.0質量部の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0質量部の範囲である。硫黄を7.0質量部以上配合すると、上述したように耐老化性が低下する。硫黄を3.0質量部未満の範囲で配合すると、初期接着性が不十分になる。
ゴム組成物kは、接着性を向上させるため接着プロモーターとして、ゴム成分100質量部に対して有機酸コバルト塩を1.0質量部以下に配合することが好ましい。特に、0.05〜1.0質量部の範囲、更に好ましくは0.3〜0.8質量部の範囲である。有機酸コバルト塩を1.0質量部以上配合すると、上述したように耐老化性が低下する。有機酸コバルト塩を0.05質量部未満の範囲で配合すると、初期接着性が不十分になる。
上記コバルト有機酸塩としては、ナフテン酸コバルト、ロジン酸コバルト、或いは炭素数が5乃至20程度の直鎖状或いは分岐鎖のモノカルボン酸コバルト塩等を挙げることができる。
次に、各部材用に特化したゴム組成物について説明する。
金属コード表面を直接被覆するゴム組成物(以下、ゴム組成物aという)は、該コードとの接着性がよいことが重要である。そのため、上記の従来のゴム組成物kに比べて硫黄をより多く配合する。硫黄の配合量はゴム成分100質量部に対して、6〜8質量部とする。さらに、接着性を上げるため、接着プロモーターである上記有機酸コバルト塩をゴム成分100質量部に対して、0.5〜5.0質量部、好ましくは0.7〜4.0質量部添加する。有機コバルト塩をこのように大量に配合したゴム組成物だけでベルト層を構成すると耐熱老化性が悪化するが、本発明では、金属コード(部材A)をインシュレーション法で被覆するインシュレートゴムにのみ使用するので、耐熱老化性に悪影響を及ぼすことはなく、金属コードとの接着性の向上によりタイヤの耐久性を上げることができる。
本発明では、上記ゴム組成物a又はゴム組成物kを金属コードにインシュレーション法で被覆する。被覆には、通常のインシュレーターを使用することができ、インシュレートされたゴム組成物の厚みは、0.1〜3.0mmが好ましく、0.5〜2.0mmの範囲が更に好ましい。
ベルト層の交錯層中心部(部材B)は、タイヤが使用されている時、発熱により劣化を起こし易い。従って、部材Bを構成するゴム組成物bは、耐劣化性が高く、インシュレートされた金属コードとの耐剥離性に優れていることが必要である。ゴムの劣化を抑制するため、接着プロモーター(有機コバルト塩等)はゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以下、好ましくは0とし、硫黄の添加量も少なくする。ゴム組成物bには、ある程度の接着性を持ち、かつ、耐熱劣化性を高くする目的で、耐熱架橋剤として1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物(NaOS−S−(CH−S−SONa・2HO:以下、HTSという)をゴム成分100質量部に対して、0.3〜2.0質量部、好ましくは0.5〜1.5質量部配合する。配合量が0.3質量部未満では、長時間加硫による耐熱性の低下を抑制できないことがあり、2.0質量部を超えると、耐亀裂性が低下する傾向があることに加え、加硫後のゴム組成物中にHTSが未反応のまま残存する傾向があるため、耐熱架橋剤が安定な架橋形態を形成できず、充分に耐熱老化性を改善できないことがある。
HTSは、硫黄架橋と比較して熱的に安定な架橋構造を与える耐熱架橋剤である。HTSは、熱によりラジカル開裂し、構造式[・S−(CH−S・]のラジカルを発生し、ポリマー中の二重結合と反応する。
ゴム組成物bでは、HTSを加えることから、硫黄の配合量を上記ゴム組成物aやkに比べて減らすことができ、ゴム組成物100質量部に対して4.0質量部以下、好ましくは2.0〜3.5質量部でよい。
次に、交錯層端部(部材C)に使用するゴム組成物(ゴム組成物c)であるが、この部材に特に要求される性能は、耐亀裂性及びタイヤ使用時にかかる歪に対する耐性、即ち耐クリープ性である。亀裂を抑え、耐亀裂性を持たせるため、ゴム組成物cはトランス結合の含有量82〜98質量%で重量平均分子量30000〜200000のトランスポリブタジエンをゴム成分100質量部あたり、2〜5質量部配合したゴム組成物とする。トランスポリブタジエンの配合により、端部に使用するゴムの伸張結晶性を調整することができ、クリープ量を低減し、径成長の抑制をする。これはゴムの発熱性を下げ、劣化を防止する。
トランスポリブタジエンは、市販品を用いても、合成により得られたものを用いてもよい。その製造方法は、例えば溶媒中でブタジエンモノマーをランタントリス(ノニルフェノキシド)/n−ブチルリチウム触媒、ニッケルボロアシレート/トリブチルアルミニウム/トリフェニルホスファイト/トリフルオロ酢酸の4元触媒などに接触させて重合する方法を挙げることができる。
さらに、本発明に係る各ゴム組成物は、上述した配合剤の他にゴム工業で通常使用されている種々の配合剤、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤、老化防止剤、加硫促進剤、酸化亜鉛等の加工助剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤などを添加することができる。
本発明では、重荷重用空気入りタイヤのベルト層を3つの部材にわけて、それぞれの部材ごとに求められる性能に適したゴム組成物を使用する。部材Aには上記ゴム組成物a又はゴム組成物kaを、部材Bには上記ゴム組成物b又はゴム組成物kを、部材Cには上記ゴム組成物c又はゴム組成物kを使用するが、3部材ともゴム組成物k使用することはなく、少なくとも2種類以上で構成する。最も好ましいのは、ゴム組成物a、b、cの3種類をその特性に応じて使用したものである。
以上の如く構成されるベルト層を有する重荷重用空気入りタイヤにあっては、金属補強材との間の接着力が従来以上に十分に維持されるだけでなく、環境ストレスを与えられても、十分な耐久性が維持されるものである。
本発明に係る各ゴム組成物は、例えばバンバリーミキサー等の密閉式混練機、オープンロール等の混練機を用いて混練することによって得られ、インシュレーション又は成形加工後、加硫を行い、タイヤのベルトコーティング用ゴム、つまり、スチールコードコーティング用ゴムとして好適に使用すると、その走行時或いは荷重付加走行時等にタイヤに発熱が生じても耐劣化性、耐亀裂性の高い耐久性に優れた重荷重用空気入りタイヤが得られる。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部、一対のサイドウォール部、一対のビード部、実質平行に配置されたコードにより補強されたカーカス層及びベルト層を有する。そして、ベルト層を構成するプライを構成するゴム組成物に特性に応じて上記の各ゴム組成物を使用する。
次に、本発明に係る空気入りタイヤの1例について図2に従って簡単に説明する。
即ち、図2に示す実施態様の重荷重用のタイヤ1にあっては、ビードコア2が埋設された一対のビード部3と、これらビード部3からほぼ半径方向外側に向かって延びる一対のサイドウォール部4と、これらサイドウォール部4の半径方向外端同士を連ねるトレッド部5とを有している。タイヤ1は一方のビード部3から他方のビード部3まで延びるカーカス層6によって補強されている。
また、トレッドの内側にはベルト層7が配設されている。カーカス層6はタイヤの子午線方向に実質平行に配された有機繊維コードで補強されたプライの一層からなり、ベルト層7は実質平行に配置されたスチールコードで補強され、本発明のゴム組成物で被覆されたプライの2層からなる。
このように構成される本発明に係る空気入りタイヤにあっては、ベルト層のスチールコードを直接被覆するゴム組成物として上記のゴム組成物a又はkを用いているため、スチールコードに対する接着性能が高くなり、また、環境ストレス(高温、高湿)によっても接着性能が低下しない。さらにベルト層の他不文の部分には別のゴム組成物を用いているため、タイヤの耐ヒートセパレーション性の問題が解消され、また耐ヒートセパレーション性を低下させることもない。このようなことから、タイヤは走行中、荷重走行中等にバースト等を起こす虞がない。
尚、本発明の空気入りタイヤの内部には空気のほかに、窒素等の不活性ガスを充填することができる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するか、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
トランスポリブタジエンの製造
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器にシクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン50gを注入し、これにランタントリス(ノニルフェノキシド)0.3ミリモルを加えた。これに続いてn−ブチルリチウム(BuLi)0.9ミリモルを加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈殿は見られず均一に透明であった。重合転化率は、約95%であった。重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し白色粉末の重合体を得た。この重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。この後、重合系にさらに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロピルアルコール5質量%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行い、さらに常法に従い乾燥して重合体を得た。
重合体:
分子量(Mw):64000、 分子量分布(Mw/Mn):1.3
1,4−トランス含量:92%、 1,2−ビニル含量:5%
ゴム組成物の調製
表1に示す配合処方で各ゴム組成物を調製し、145℃×45分加硫したゴム組成物について、下記の方法で100%伸長時の引張応力値(100%Modと記載する)、耐クリープ性、耐疲労性、耐劣化性、接着耐久性を測定した。結果は従来のゴム組成物kでの測定値を100としてゴム組成物a、b、cに対する測定値を指数化して表1に示す。いずれの特性も数値が大きい方が優れている。
各特性の測定方法
(1)100%Modの測定
JIS6251−1993に従い、3号標準試験片の100%伸長時のモジュラスを測定する。
(2)耐クリープ性
JIS3号試験片をクリーブ試験機(島津製作所製)にて定荷重モードでクリープ量を測定する。
(3)耐疲労性
JIS3号試験片を80℃、窒素雰囲気下、定振幅歪入力(20%)にて7日間疲労させた後、定荷重モード(荷重1.5kg、周波数5Hz)で繰り返し引張り試験を行い、破断までの繰り返し引張り回数を求めた。
(4)耐劣化性
JIS3号試験片の劣化前の破壊強度と空気中にて80℃で4日間劣化後の破壊強度を測定し、劣化後の値に対する劣化前の値の比を求めた。
(5)接着耐久性
スチールコード(素線径1.07mm)を1.5mm間隔で平行に並べ、このスチールコードを上下両側から各ゴム組成物でコーティングして、これを145℃×30分の条件で加硫してサンプルを作製した。サンプルを湿度80%、温度80℃中で10日間劣化させた後、スチールコードを引き抜き、そのゴム被覆状態を目視で観測し、被覆率を測定した。
Figure 2007313944
実施例1〜7、従来例及び比較例1〜3
上記のように調製した各ゴム組成物を表2及び表3に示すように、スチールコードのインシュレートゴム、交錯層中心部、交錯層端部に適用してベルト層を形成し、該ベルト層を備えたサイズ11R22.5のラジアルタイヤを常法により試作し、その接着耐久性、劣化耐久性、亀裂耐久性、剥離耐久性及び耐径成長性抑制を下記の方法で評価した。従来のゴム組成物kを全ての部材に使用してベルト層を形成したものを備えたタイヤを従来例として、各評価特性の基準(100)とし、これに対する指数で評価結果を表す。結果を表2及び表3に示す。
各性能の評価方法
成形、加硫した供試タイヤを正規内圧、正規荷重で、40℃の雰囲気下、速度60km/hrk条件でドラムテストを行った。
(1)接着耐久性
上記条件でドラムテストを5日間行い、終了後ベルト層を取り出し、交錯層中のスチールコードを引き抜き、そのゴム被覆状態を目視で観測し被覆率を測定した。
(2)劣化耐久性
上記条件でドラムテストを5日間行い、終了後ベルト層を取り出し、交錯層のコーティングゴムの破断伸度(EB)を測定した。
(3)亀裂耐久性
上記条件で、サイドフォース15kN加え、ドラムテストを2日間行い、終了後ベルト層を取り出し、ベルト層端上の亀裂進展長さを測定した。
(4)剥離耐久性
上記条件でドラムテストを5日間行い、終了後ベルト層を取り出し、交錯層部分を切り出したサンプルをオートグラフ引張り試験機(東洋精機社製)にて、引速度50mm/minで引っ張った時の25mm当たりの強力値(N/25mm)を測定した。
(5)耐径成長性抑制
上記条件でドラムテストを2日間行い、終了後タイヤの周方向の周長変化(mm)を測定した。
Figure 2007313944
Figure 2007313944
以上の結果から、ベルト層を一種のゴム組成物だけで形成すると、ゴム組成物a、b、cいずれのゴム組成物を使用しても従来から使われているゴム組成物kに比べ、劣る特性があるが、本発明のようにベルト層を3部材にわけて、少なくとも1部材にその部材に特化したゴム組成物を使用すれば、従来のタイヤに比べて耐久性に優れたタイヤが得られ、特に3部材それぞれに特化したゴム組成物を使用したタイヤは全ての評価項目において極めて優れた特性を示すことが判る。
本発明のベルト層を備えたタイヤは耐劣化性、耐疲労性に優れ、重荷重車両のタイヤとして利用できる。
は、本発明のベルト層の断面の概略図である。 は、空気入りタイヤの断面概略図である。
符号の説明
1タイヤ
2ビードコア
3ビード部
4サイドウォール部
5トレッド部
6カーカス層
7ベルト層
11スチールコード
12インシュレートゴム
13交錯層中心部
14交錯層端部

Claims (8)

  1. 金属コードとコーティングゴムからなるベルト層を有し、該ベルト層をインシュレーション法を用いた金属コード表面被覆層、ベルト交錯層中心部、交錯層端部の3部材から構成し、3部材を少なくとも2種類の異なるゴム組成物から形成した重荷重用空気入りタイヤ。
  2. 金属コード表面被覆層に用いるゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して接着プロモーターを0.5〜5.0質量部及び硫黄を6.0〜8.0質量部含有したゴム組成物である請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. ベルト交錯層中心部に用いるゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して接着プロモーターを0.5質量部以下、1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物を0.3〜2.0質量部及び硫黄を4.0質量部以下含有したゴム組成物である請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  4. ベルト交錯層端部に用いるゴム組成物が、トランス結合含有量82〜98質量%かつ重量平均分子量30000〜200000であるトランスポリブタジエンをゴム成分100質量部に対して2〜5質量部含有したゴム組成物である請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  5. ベルト交錯層中心部に用いるゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して接着プロモーターを0.5質量部以下、1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物を0.3〜2.0質量部及び硫黄を4.0質量部以下含有したゴム組成物である請求項2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  6. ベルト交錯層端部に用いるゴム組成物が、トランス結合含有量82〜98質量%かつ重量平均分子量30000〜200000であるトランスポリブタジエンをゴム成分100質量部に対して2〜5質量部含有したゴム組成物である請求項2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  7. ベルト交錯層端部に用いるゴム組成物が、トランス結合含有量82〜98質量%かつ重量平均分子量30000〜200000であるトランスポリブタジエンをゴム成分100質量部に対して2〜5質量部含有したゴム組成物である請求項3に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  8. ベルト交錯層端部に用いるゴム組成物が、トランス結合含有量82〜98質量%かつ重量平均分子量30000〜200000であるトランスポリブタジエンをゴム成分100質量部に対して2〜5質量部含有したゴム組成物である請求項5に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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