JP4747913B2 - カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、カラー液晶表示装置および固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを構成するフィルタセグメントの形成に用いられるカラーフィルタ用着色組成物、ならびに該カラーフィルタ用着色組成物を用いて得られるカラーフィルタに関する。
現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。しかし一般に、微細な顔料粒子をワニスのような顔料担体に分散させ、安定な分散体を得ることは難しく、分散体は往々にして経時で顔料粒子の凝集などにより高粘度化し、チキソトロピック性を示すようになる。このような組成物の粘度上昇、流動性不良は、製造作業上の問題や製品価値に種々の問題を引き起こす。例えば、カラーフィルタのフィルタセグメントの形成は、一般にモノマーおよび樹脂を含む担体に顔料が分散されている着色組成物をガラス等の透明基板上に塗布することで行われているが、高粘度、流動性不良の着色組成物を用いると塗布性不良、レベリング不良などにより、膜厚の均一な塗膜を得ることができず好ましくない。
さらに近年の基板の大型化に伴い、塗布方法としてダイコート法が検討されている。ダイコート法は、従来のスピンコート法に比べ、塗布膜厚の均一性に優れ、塗布液の無駄が少なく、塗布ヘッド先端まで、塗布液の供給回路がすべて密閉系であるという長所を有する。しかしながら、ダイコート法では、ヘッド先端のスリット開口部において塗布液が外気に曝されているため、ヘッド先端で塗布液の乾燥、固化が起こりやすく、塗布液の固化物がスリットノズルの詰まりや透明基板上に塗布した塗膜の縦スジムラ(塗布方向の縦状の塗布スジ)の発生原因となる。
また、塗布液の固化物がヘッド先端部から脱離し、塗布した塗膜に異物として持ち込まれる等の塗布品質低下を招くという欠点がある。これを避けるため、乾燥析出したカラーフィルタ用着色組成物が、カラーフィルタ用着色組成物に接触した際に速やかに溶解する適性(以下、乾燥再溶解性という)が求められている。
このような問題を改善するために、界面活性剤や樹脂型分散剤などの分散剤を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。しかし、これらの分散剤を用いることで、塗膜の強度低下や現像性、ガラス等の透明基板への密着性、耐久性が低下するという問題が起こっており、カラーフィルタ用着色組成物の安定性および乾燥再溶解性に優れ、さらに塗膜とガラス等の透明基板との間で強固な密着性を与えるという双方を両立させることは困難であった。
特開2003−294935号公報 特開2001−164142号公報
そこで本発明は、安定性に優れ、さらにダイコート方式の塗布装置の塗布液吐出口先端部において固化した際に自己溶解性に優れ、塗膜とガラス等の透明基板との間での強固な密着性を有する、高品質なカラーフィルタ用着色組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、塗膜とガラス等の透明基板との間での強固な密着性を有する、高品質なカラーフィルタを提供することを目的とする。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ビニル系重合体主鎖内に、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含むビニル系分散剤(A)と、顔料と、モノマーを含む顔料担体とを含有することを特徴とする。
式(1)
Figure 0004747913
[上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、
1は−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、若しくは−CH2O−であり、
2は一般式:
−(−Ra1−O−)m1
(式中、Ra1は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm1は1〜50の整数である)
で表される基であり、
3は一般式:
−(−CO−Rb1−O−)m2
(式中、Rb1は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm2は0〜20の整数である)
で表される基であり、
1は一般式(2)あるいは一般式(3)で表される基である。
式(2)
Figure 0004747913
〔上記式(2)において、A1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、A1〜A3のうちの1つが−COORc(但し、Rcは、炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、またはA1〜A3の3つが−COOHであり、kは1または2である〕
式(3)
Figure 0004747913
〔上記式(3)において、A5〜A7のうち1つは水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、A5〜A7のうち1つは−COORd(但し、Rdは炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、またはA5〜A7の3つが−COOHであり、
2は直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、式:
Figure 0004747913
で表される基、または式:
Figure 0004747913
で表される基である〕。}
また、本発明のカラーフィルタは、前記カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記ビニル系分散剤(A)を含有するため、ダイコート方式の塗布装置の塗布液吐出口先端部において固化した際にも自己溶解性に優れ、低粘度、高流動性でありながら、ガラス等の透明基板との間で強固な密着性を有する塗膜を形成することができる。
まず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物について説明する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ビニル系重合体主鎖内に、前記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含むビニル系分散剤(A)と、顔料と、モノマーを含む顔料担体とから構成される。特に、前記ビニル系分散剤(A)を含有することが最大の特徴である。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)は、ビニル系重合体主鎖内に、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含む構造を有する。
一般に、顔料分散剤は顔料に吸着する部位と、顔料担体に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と顔料担体への親和性がともに非常に重要である。前記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)において、一般式(2)又は一般式(3)で表されるY1は、芳香族環の環構成炭素原子に直接結合するカルボキシル基を2個又は3個有しており、この芳香族環の環構成炭素原子に直接結合する複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位となる。しかしながら、Y1がカルボキシル基1個をのみ有する場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)は、ビニル系重合体の1分子に対して一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を平均0.3個以上3.0個以下含むことが重要である。更に好ましくは0.35個以上2.0個以下、最も好ましくは0.4個以上1.5個以下である。0.3個より少ない場合、顔料に吸着する部位が少なく、結果として分散能力が低下する。また、3.0個より多い場合、顔料に吸着する部位が多くなりすぎて、逆に分散性の低下を招く場合がある。
一般式(1)中で、着色組成物の安定性の観点から、X1は、−COO−であることが好ましく、Ra1は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状プロピレン基、又は直鎖状若しくは分岐状ブチレン基)であることが好ましく、m1は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb1は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m2は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。特に、Y1は、一般式(2)で表される基であることが好ましく、更に好ましくは、一般式(2)中、A1〜A3の全てが−COOHであり、kが1であるか、A1〜A3のうちの1つが水素原子であり、他の2つが−COOHである組合せであり、kが1である場合である。また、Y1は、一般式(3)で表される基であることもでき、この場合、R2は、−COOCH2CH2OCO−、又は式:
Figure 0004747913
で表される基であることが好ましく、A5〜A7のうち1つは−COORd(但し、Rdは、炭素原子数6〜10の直鎖又は分岐アルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであることが好ましい。
本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)としては、下記一般式(4)で示されるビニル系重合体が好ましい。
式(4)
Figure 0004747913
〔上記式(4)において、Gは、前記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)であり、
10およびR11は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、
12は、芳香族基または-CO−X8−R13(ただし、X8は、−O−若しくは−NH−であり、R13は、水素原子または炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、前記R13は、置換基として芳香族基を有していることができる)であり、
5は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、若しくは−CH2O−であり、
6は、一般式:
−(−Ra2−O−)m3
(式中、Ra2は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm3は1〜50の整数である)で表される基であり、
7は、一般式:
−(−CO−Rb4−O−)m4
(式中、Rb2は、炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、そしてm4は0〜20の整数である)で表される基であり、
一般式(4)中の前記カルボキシル基含有単位(G)、−X5−X6−X7−Hを含む水酸基含有単位(J)、及び−C(R11)(R12)−を含む主鎖構成単位(K)は、ランダム型またはブロック型で含まれていることができ、
一般式(4)中に含まれている前記カルボキシル基含有単位(G)、前記水酸基含有単位(J)、および主鎖構成単位(K)は、それらが複数個で存在する場合は、相互に同一または異なっていることができ、
そしてp1、p2、およびp3はビニル系分散剤(A)の1分子あたりの各構成単位の平均個数を示し、p1は0.3以上3.0以下であり、p2は0以上180以下であり、p3は6以上250以下である。〕
従って、本発明で用いる好ましい前記ビニル系分散剤(A)は、前記一般式(4)又は下記一般式(4a):
−〔G〕p1−〔J〕p2−〔K〕p3− (4a)
で表される共重合体である。ここで、Gは、前記一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)であり、Jは、下記一般式(4j)で表される水酸基含有単位であり、Kは、下記一般式(4k)で表される主鎖構成単位であり、p1は0.3以上3.0以下(好ましくは0.35以上2.0以下、更に好ましくは0.4以上1.5以下)、p2は0以上180以下(好ましくは0.05以上50以下)、p3は6以上250以下(好ましくは10個以上100個以下)である。また、前記一般式(4a)において、カルボキシル基含有単位(G)と水酸基含有単位(J)と主鎖構成単位(K)とは、それぞれ、ブロック共重合形式又はランダム共重合形式で存在することができる。更に、前記カルボキシル基含有単位(G)、前記水酸基含有単位(J)、及び主鎖構成単位(K)は、前記一般式(4a)中に、それぞれ複数個で存在することができる。この場合は、それぞれの単位が相互に同一又は異なっていることができる。例えば、主鎖構成単位(K)が2種又はそれ以上の構造の構成単位を含んでいることができる。
一般式(4j):
Figure 0004747913
〔一般式(4j)中、R10、X5、X6、及びX7は、前記と同じ意味である〕
一般式(4k):
Figure 0004747913
〔一般式(4k)中、R11及びR12は、前記と同じ意味である〕
前記一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)に含まれる水酸基含有単位(J)おいて、X5は−COO−であることが好ましく、Ra2は炭素原子数1〜4の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基又は直鎖状若しくは分岐状のブチレン基)であることが好ましく、m3は1〜10であることが好ましく(更に好ましくは1〜3)、Rb2は、ペンタメチレン基であることが好ましく、m4は0〜5であることが好ましい(更に好ましくは0〜3)。
前記一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)は、前記主鎖構成単位(K)として、R11がメチル基であり、R12が−CO−O−CH2−Ar(但し、Arは芳香族基、特にはフェニル基である)である主鎖構成単位(K1)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K1)は、ビニル重合体一分子あたり平均で1以上100以下の量で有していることが好ましく、この態様の前記ビニル系分散剤(A)は、分散能力に優れる。
更に、前記一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)は、前記主鎖構成単位(K)として、R11がメチル基であり、R12が−CO−O−R13(但し、R13は炭素原子数2〜10の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である)である主鎖構成単位(K2)を含むことが好ましい。この主鎖構成単位(K2)は、前記ビニル系分散剤(A)内において、前記主鎖構成単位(K1)と共存するのが、より好ましい。
更にまた、前記一般式(4)又は一般式(4a)で表される本発明で用いる前記ビニル系分散剤(a)は、前記主鎖構成単位(K)として、R11が水素原子であり、R12が芳香族基(特に、フェニル基)である主鎖構成単位(K3)を、それ単独で、あるいは前記主鎖構成単位(K1)及び/又は前記主鎖構成単位(K2)と併存させて含むことが好ましい。更に、前記主鎖構成単位(K)として、R11が水素原子であり、R12がカルボキシル基である主鎖構成単位(K4)を、前記主鎖構成単位(K1)、主鎖構成単位(K2)、及び/又は主鎖構成単位(K3)と併存させて含むこともできる。
前記主鎖構成単位(K1)と前記主鎖構成単位(K2)とを併存させる場合、それらの比率(K1/K2)は、例えば、0.01〜100、好ましくは0.1〜10であることができる。また、前記主鎖構成単位(K3)を前記主鎖構成単位(K1)及び/又は前記主鎖構成単位(K2)と併存させる場合、その比率〔K3/(K1+K2)〕は、例えば、0.01〜10、好ましくは0.05〜2であることができる。更に、前記主鎖構成単位(K4)を、それ以外の前記主鎖構成単位(K)と併存させる場合、その比率〔K4/K〕は、例えば、0〜0.1、好ましくは0〜0.01であることができる。
前記一般式(4)で示されるビニル系分散剤(A)の主鎖の末端は、公知のエチレン性不飽和単量体の重合方法、又は重合過程で考えられる構造、例えば、重合開始剤由来、連鎖移動剤由来、溶剤由来、又はエチレン性不飽和単量体由来の化学構造などを有してよい。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)では、一般式(4)においてR6がカルボキシル基(−COOH)である主鎖構成単位(K)を、主鎖構成単位(K)の少なくとも1部分として含むことができる。但し、カルボキシル基を有する主鎖構成単位(K)の含有量が多すぎると分散性能が低下することから、カルボキシル基含有主鎖構成単位(K)の量は、カルボキシル基含有単位(G)の個数の0倍〜4倍、更には0倍〜2倍の範囲であることが好ましい。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)の数平均分子量は、500以上20000以下であることが好ましく、更に好ましくは1000以上10000以下、最も好ましくは1500以上8000以下である。数平均分子量が500未満であっても、20000を超えても分散性、又は流動性の低下を招く場合がある。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)は、後述する製造方法によって調製することができる。後述する製造方法によれば、前記ビニル系分散剤(A)だけでなく、前記ビニル系分散剤(A)を包含する広範な構造を有するビニル系分散剤を製造することができる。すなわち、後述する製造方法において、特定の出発材料を選択することによって、本発明で用いる前記ビニル系分散剤(A)を調製することができる。
本発明で用いるビニル系分散剤(A)の製造方法としては、以下の製造方法1〜3を挙げることができる。
製造方法1:
(A)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)とを予め反応させたエチレン性不飽和単量体を製造する工程、
(B)該エチレン性不飽和単量体と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合せしめる工程からなる。
製造方法2:
(C)水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合する工程、
(D)該共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を反応せしめる工程からなる。
製造方法3:
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合しながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を同時に反応せしめる。
前記製造方法で使用される水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(または3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(または3または4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイドおよび/またはラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−、または1,3−ブチレンオキサイド、およびこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン、およびこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
トリカルボン酸無水物(M3)としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族トリカルボン酸無水物、または多環式トリカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物〔(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)など〕、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、前記製造方法では、後述するテトラカルボン酸無水物(M4)において1分子あたりに酸無水物が2つ存在するテトラカルボン酸二無水物に対し、1分子のうちの1個の酸無水物を炭素原子数1〜18のアルコールあるいは炭素原子数5〜18のシクロアルコール(例えばメタノール、エタノール、直鎖状若しくは分岐状のプロパノール、直鎖状若しくは分岐状のブタノール、直鎖状若しくは分岐状のペンタノール若しくはシクロペンタノール、直鎖状若しくは分岐状のヘキサノール若しくはシクロヘキサノール、直鎖状若しくは分岐状のヘプタノール若しくはシクロヘプタノール、直鎖状若しくは分岐状のオクタノール若しくはシクロオクタノール、直鎖状若しくは分岐状のノナノール若しくはシクロノナノール、直鎖状若しくは分岐状のデカノール若しくはシクロデカノール、直鎖状若しくは分岐状のドデカノール若しくはシクロドデカノール、直鎖状若しくは分岐状のミリスチルアルコール若しくはシクロミリスチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のセチルアルコール若しくはシクロセチルアルコール、直鎖状若しくは分岐状のステアリルアルコール若しくはシクロステアリルアルコールなどが挙げられる)で開環したテトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物も、トリカルボン酸無水物(M3)として用いることができる。本明細書では、脂肪族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、脂肪族トリカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸モノエステルモノ無水物は、芳香族トリカルボン酸無水物、多環式テトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物は、多環式トリカルボン酸無水物として説明する。これらテトラカルボン酸無水物モノエステルモノ無水物の具体例は、後述するテトラカルボン酸無水物から当業者には自明である。
テトラカルボン酸無水物(M4)としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸無水物、芳香族テトラカルボン酸無水物、または多環式テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などを挙げることができる。
芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物などを挙げることができる。
多環式テトラカルボン酸無水物としては、例えば、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物などを挙げることができる。なお、テトラカルボン酸無水物は、一無水物でも二無水物でもどちらでもよい。
上記のうち、芳香族トリカルボン酸無水物、または芳香族テトラカルボン酸無水物を用いるのが好ましく、更に好ましくはトリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物が好ましく、更に好ましくはトリメリット酸無水物である。
前記製造方法1について更に詳細に説明する。
前記製造方法1では、まず水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)とを反応せしめる工程Aを行う。この工程Aは、単量体が熱重合してしまわないように、乾燥空気を反応装置内に流しながら、重合禁止剤を添加して、80℃〜150℃で行うのが好ましい。より好ましくは90℃〜130℃である。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
工程Aで水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とトリカルボン酸無水物(M3)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/トリカルボン酸無水物(M3)のモル数」が0.8以上10以下であることが好ましい。より好ましくは0.9以上5以下、更に好ましくは0.95以上2以下である。0.8未満であると、トリカルボン酸無水物(M3)が残存するため好ましくない。10を超えると、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が大量に残り、後の工程Bで共重合できる他のエチレン性不飽和単量体の量が減り好ましくない。
工程Aで水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸無水物(M4)とを反応させる場合、反応比率は「水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)のモル数/テトラカルボン酸無水物(M4)のモル数」が0.9以上1.1以下であることが好ましい。より好ましくは1である。0.9未満であると、テトラカルボン酸無水物(M4)が多く残存するため好ましくない。1.1を超えると1つのテトラカルボン酸無水物(M4)に2つ水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)が付加した化合物が多くでき、工程Bでゲル化する場合があり好ましくない。
工程Aでは触媒を用いてもかまわない。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
更に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とテトラカルボン酸無水物(M4)を上記比率で反応させた後、この時点で残存する酸無水物を水または炭素原子数1〜18のアルコールで開環させ(工程Aa)、不要なテトラカルボン酸無水物(M4)の除去を容易にすることができる。
続いて、製造方法1では、工程Aで合成したエチレン性不飽和単量体と、他のエチレン性不飽和単量体とを共重合せしめる工程Bを行う。
工程Aで用いる他のエチレン性不飽和単量体としては、芳香族基で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)(工程Aで残存したものを含む)から選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
非置換のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のブチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のヘプチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のノニル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のデシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のドデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のミリスチル(メタ)アクリレート、シクロミリスチル(メタ)アクリレート、直鎖状若しくは分岐状のセチル(メタ)アクリレート、シクロセチル(メタ)アクリレート、及び直鎖状若しくは分岐状のステアリル(メタ)アクリレート、またはシクロステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
非置換のN−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−プロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ブチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロペンチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘプチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ノニル(メタ)アクリルアミド、N−シクロオクチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−デシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロドデシル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロミリスチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−セチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロセチル(メタ)アクリルアミド、直鎖状若しくは分岐状のN−ステアリル(メタ)アクリルアミド、またはN−シクロステアリル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。芳香族環で置換されたアルキル(メタ)アクリレートとしては、N−ベンジル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートを示し、(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミドまたはアクリルアミドを示す。
工程Bでは、反応容器を窒素置換しながら重合開始剤を用い、50℃〜150℃で重合するのが好ましい。重合開始剤としては、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらのうちアゾ化合物が使用されるのが好ましい。重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部使用される。
工程Bでは、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、α−メチルスチレン二量体が挙げられる。
工程Bでは、溶剤を使用することが好ましい。溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;キシレン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類などを用いることができる。
工程Aの後で、工程Aaを行っていない場合、工程Bの後に残存する酸無水物を水または炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程Bb)。工程Aa、若しくは工程Bbでは、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水または炭素原子数1〜18のアルコールのモル数は、0.9倍以上5倍以下(好ましくは1倍以上2倍以下)であることが好ましい。0.9倍未満では反応性の高い無水環が多く残り、5倍を超えると水または炭素原子数1〜18のアルコールが多く残存し、どちらにしても、インキや塗料へ用途展開した場合、問題となる場合がある。但し、残存する酸無水物のモル数に対し、反応させる水または炭素原子数1〜18のアルコールを1倍を超えて反応させた場合は、反応後残存する水または炭素原子数1〜18のアルコールを加熱、または減圧して取り除くことができる。反応工程Aa、若しくは工程Bbは80〜150℃で行うことが好ましい。
次に、前記製造方法2について詳細に説明する。
前記製造方法2では、まず、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合する工程Cを行う。他のエチレン性不飽和単量体としては、製造方法1の工程Bで例示した芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート、芳香族環で置換されていてもよい炭素原子数1〜18のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、及びスチレンから選択されるエチレン性不飽和単量体が共重合されるのが好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)と他のエチレン性不飽和単量体との共重合比は、重合後の一分子に平均で少なくとも0.3個以上177個以下の水酸基が入るように決められる。
工程Cでの、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程Bと同様であることが好ましい。
続いて、製造方法2では、工程Cで得られた共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させる工程Dを行う。工程Dでは、窒素または乾燥空気を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましい。ここで、製造方法1の工程Aで例示した触媒を用いることもできる。
製造方法2の工程Dでは、トリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)のうち、トリカルボン酸無水物(M3)が使用されるのが好ましい。テトラカルボン酸無水物(M4)を使用するとゲル化する場合がある。テトラカルボン酸無水物(M4)を使用した場合で、無水環が残存する場合は製造方法1の工程Bbと同じ方法により、水または炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程Dd)。
次に、前記製造方法3について詳細に説明する。
前記製造方法3では、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)を他のエチレン性不飽和単量体と共重合しながら、該水酸基にトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を同時に反応せしめる。反応は、窒素を反応容器に流しながら、80℃〜150℃で行うことが好ましく、水酸基と酸無水物の反応の触媒としては製造方法1の工程Aに示したもの、重合開始剤の種類、連鎖移動剤の種類、溶剤の種類、量、反応温度などの重合条件は、製造方法1の工程Bで示したものが好ましい。
製造方法3で用いる他のエチレン性不飽和単量体とは、製造方法2の工程Cで用いる化合物と同じものを示す。製造方法3の場合、トリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)のうちトリカルボン酸無水物(M3)が使用されるのが好ましい。特に、テトラカルボン酸ジ無水物を使用するとゲル化する場合がある。テトラカルボン酸ジ無水物を使用した場合で、無水環が残存する場合は製造方法1の工程Bbと同じ方法により、水または炭素原子数1〜18のアルコールで開環させることができる(工程Ee)。
これら製造方法1〜3により、本発明で用いるビニル系分散剤(A)を製造することができる。このうち、製造方法2が分散剤一分子中のカルボキシル基含有単位(G)の個数を制御するのが容易である点で好ましい。製造方法2の工程Cで得られた共重合物の数平均分子量を予め測ることができ、その値に合わせてトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させる量を決定できる。例えば、製造方法2でビニル系分散剤(A)を製造するには、工程Cで得られた共重合物の数平均分子量を測定し、その測定値が[X]であった場合、樹脂[X]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)を反応させればよい。
製造方法1または3により、本発明で用いるビニル系分散剤(A)を製造する場合は、最終的に得られるビニル系分散剤(A)の数平均分子量[Y]と、トリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)の仕込みモル数とから逆算して、結果としてビニル系分散剤(A)が[Y]gに対して0.3モル以上3.0モル以下のトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)が反応させられていればよい。
前記製造方法でビニル系分散剤(A)を製造する場合、使用されるトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)として選択されるのは、芳香族トリカルボン酸無水物または芳香族テトラカルボン酸無水物である。このうち、好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物であり、更にはトリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物が好ましく、最も好ましくはトリメリット酸無水物である。
製造方法1〜3のどの方法においてもビニル系分散剤(A)を製造する場合、他のエチレン性不飽和単量体として、分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートと、ベンジル(メタ)アクリレートと、必要に応じ水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(h)とが共重合されるのが好ましい。更に、ビニル系分散剤(A)の一分子中に分岐を有してもよい非置換の炭素原子数1〜12のアルキル(メタ)アクリレートが1〜50個、ベンジル(メタ)アクリレートが1〜50個共重合されるのが好ましい。
また、本発明で用いるビニル系分散剤(A)には、これまで例示した以外の種々のエチレン性不飽和単量体も分散性を妨げない範囲で共重合させることが可能であり、例えば、イソシアナト基、ブロックイソシアナト基、アルコキシシリル基、3〜5員環の環状エーテル基などの熱架橋性基を有するエチレン性不飽和単量体や、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。但し、カルボキシル基を有する単量体、例えばメタクリル酸やアクリル酸は、製造方法1〜3のどの方法においてもビニル系分散剤(A)に存在するトリカルボン酸無水物(M3)またはテトラカルボン酸無水物(M4)のモル数の0〜4倍、更には0〜2倍の使用範囲であることが分散性の観点(低粘度化、保存安定性)から好ましい。
列挙した前記出発材料から適宜選択した出発材料を用いることによって、前記製造方法により、で用いるビニル系分散剤(A)を調製することができる。
カラーフィルタ用着色組成物におけるビニル系分散剤(A)の含有量は、顔料100重量部に対し好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。ビニル系分散剤(A)の含有量が0.01重量部より少ないと分散効果が不十分となり、100重量部を超えるとこれも分散性が悪くなる場合がある。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含有される顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、カラーフィルタ用着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。赤色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等の黄色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。
オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等のオレンジ色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。緑色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。青色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等の青色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red 144、146、177、169、81等の紫色顔料および赤色顔料を単独でまたは混合して用いることができる。マゼンタ色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
カラーフィルタ用着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることもできる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含有されるモノマーを含む顔料担体は、モノマーのみ、あるいはモノマーと透明樹脂との混合物より構成される。本発明において、モノマーとは、活性エネルギー線の照射により硬化して透明樹脂を生成する、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を意味し、モノマーには、一般にオリゴマーと呼ばれている平均分子量1000未満程度の低重合体で、エチレン性不飽和二重結合を有するものも含む。
モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
また、顔料担体には、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてアルカリ現像によりフィルタセグメントを形成させる場合には、アルカリ可溶型非感光性樹脂を含有させることが好ましい。アルカリ可溶型非感光性樹脂とは、アルカリ水溶液に溶解しラジカルにより架橋しない樹脂であり、例えば、カルボキシル基、スルホン基などの酸性官能基を有する重量平均分子量1000〜500000、好ましくは5000〜100000の樹脂が挙げられる。アルカリ可溶型非感光性樹脂として具体的には、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体などが挙げられる。なかでも、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性官能基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、さらに、塩基性基を有する分散剤を含有することが好ましい。
顔料の分散に優れた塩基性基を有する分散剤は、分散後の顔料の再凝集を抑制する効果が大きいので、そのような顔料の分散に優れた分散剤を用いて、顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。本発明におけるカラーフィルタ用着色組成物に塩基性基を有する分散剤を含有させることは、ビニル系分散剤(A)が顔料に対しより良好な吸着/配向面を形成することができるため好ましい。
塩基性基を有する分散剤の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜15重量部である。塩基性基を有する分散剤の配合量が1重量部より少ないと、分散効果が不十分となり、40重量部より多いと、これも分散に影響を及ぼすことがある。
塩基性基を有する分散剤としては、塩基性基を有する樹脂型分散剤や界面活性剤、色素誘導体などが挙げられる。なかでも、顔料に対しより良好な吸着/配向を形成する塩基性基を有する色素誘導体が好ましい。
塩基性基を有する樹脂型分散剤としては、例えば、塩基性高分子化合物、脂肪族ポリアミン/ポリエステルグラフト重合体などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
塩基性基を有する界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
塩基性基を有する色素誘導体とは、有機色素に塩基性置換基を導入した化合物であり、有機色素としては、例えば、ジケトピロロピロール系、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ペリノン系、ペリレン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、スレン系、金属錯体系などの色素が挙げられる。また、色素誘導体を構成する有機色素には、一般に色素と呼ばれていないアクリドン系、ナフタレン系、トリアジン系などの淡黄色化合物も含まれる。
塩基性置換基としては、例えば、アミン部位、イミン部位、アンモニウム部位、アミド部位、イミド部位、ウレタン結合部位などを有する置換基が挙げられる。なかでも、下記式(5)〜(7)で示される群から選ばれる少なくとも1つの塩基性基が好ましい。
Figure 0004747913
(上記式において、X4は直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、若しくは−CH2−であり、nは1〜10の整数を表し、R3 およびR4 はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素原子数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR3 とR4とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環残基を表す。R5は炭素原子数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素原子数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R6 、R7 、R8 、およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素原子数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。Y2は直接結合または-NR10−Z−NR11−を表す。R10およびR11はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素原子数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。Zは炭素原子数1〜36の置換されていてもよいアルキレン基、炭素原子数2〜36の置換されていてもよいアルケニレン基、または置換されていてもよいフェニレン基を表す。Pは式(9)で示される置換基または式(10)で示される置換基を表す。Qは水酸基、アルコキシル基、式(9)で示される置換基、または式(10)で示される置換基を表す。なお、式(9)および式(10)において、X4、R3〜R9、およびnは、式(5)〜式(8)におけるX4、R3〜R9、およびnと同じである。)
Figure 0004747913
上記式(5)〜(8)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジ ン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエ チルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性基を有する色素誘導体の具体例を、化合物番号を付して以下に示すが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0004747913
Figure 0004747913
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
カラーフィルタ用着色組成物には、該着色組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
また、カラーフィルタ用着色組成物には、着色組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
顔料は、フィルタセグメントをフォトリソグラフィー法により形成する場合には、カラーフィルタ用着色組成物中に1.5〜15重量%の割合で含有されることが好ましい。また、フィルタセグメントを印刷法により形成する場合には、カラーフィルタ用着色組成物中に1.5〜45重量%の割合で含有されることが好ましい。また、顔料は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
カラーフィルタ用着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材は、一般的には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて顔料を微細に分散して製造することができる。このとき、分散剤(A)、色素誘導体、その他の樹脂、添加剤は、すべての成分を混合してから分散してもよく、初めに顔料と色素誘導体のみ、あるいは、色素誘導体と分散剤(A)のみ、あるいは、顔料と色素誘導体と分散剤(A)のみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。また、数種類の顔料を別々に顔料担体に分散したものを混合して製造することもできる。光重合開始剤は、カラーフィルタ用着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製したカラーフィルタ用着色組成物に後から加えてもよい。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。顔料を顔料担体中に分散する際には、本発明をより効果的にする塩基性基を有する分散剤に加えて、適宜、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散剤を併用することができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するものである。カラーフィルタとしては、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備するもの、またはマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するものが挙げられる。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製したカラーフィルタ用着色組成物を、ガラス等の透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように、より好ましくは0.2〜5μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してカラーフィルタを製造することができる。
さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に印刷法、電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明におけるカラーフィルタ用着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
また、転写法は、剥離性の転写ベースシートあるいは転写胴の表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の透明基板に転写させる方法である。
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などが形成される。
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
実施例に先立ち、レジスト材塗布基板のコントラスト比の測定法について説明する。
レジスト材塗布基板を2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側から液晶ディスプレー用バックライト・ユニットを用いて光を照射する。バックライト・ユニットから出た光は、1枚目の偏光板を通過して偏光され、ついでレジスト材塗布基板を通過し、2枚目の偏光板に到達する。1枚目の偏光板と2枚目の偏光板の偏光面が平行であれば、光は2枚目の偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は2枚目の偏光板により遮断される。しかし、1枚目の偏光板によって偏光された光が、レジスト材塗布基板を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは2枚目の偏光板を透過する光量が減り、偏向板が直行のときは2枚目の偏光板を光の一部が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と直行のときの輝度との比をコントラスト比とする。
コントラスト比=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
従って、レジスト材塗布膜中の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計は株式会社トプコン社製の色彩輝度計BM−5A、偏光板はサンリツ社製の偏光フィルムLLC2−92−18を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てて測定を行った。
次に、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液1およびビニル系分散剤(A1〜13)の製造方法について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
[アクリル樹脂溶液の製造例]
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、n−ブチルメタクリレート55.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
[ビニル系分散剤の製造例1]
工程(A)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に無水トリメリット酸192.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130.4部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で5時間反応させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートにトリメリット酸が付加したエチレン性不飽和単量体(a1)を得た。
工程(B)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート38.5部、ベンジルメタクリレート46.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.2部、エチレン性不飽和単量体(a1)13.2部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート8部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した(ビニル系分散剤の製造例1の工程B)。
このようにして数平均分子量が2450であり、1分子あたりのエチレン性不飽和単量体(a1)の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤A1を得た。
[ビニル系分散剤の製造例2]
工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メトキシプロピルアセテート60部を仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート48部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート12部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。
このようにして、数平均分子量が3800であり、1分子中の水酸基の平均個数3.5個であるビニル系樹脂中間体(C1)を得た。
工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、アクリル系樹脂中間体(C1)を固形分で100部、無水トリメリット酸2.5部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。
このようにして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散剤A2を得た。
[ビニル系分散剤の製造例3]
上記ビニル系分散剤の製造例2の工程(D)において、無水トリメリット酸の仕込み量を3.5部とすること以外は同様にして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.7個のビニル系分散剤A3を得た。
[ビニル系分散剤の製造例4]
上記ビニル系分散剤の製造例2の工程(D)において、無水トリメリット酸の仕込み量を5.1部とすること以外は同様にして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個のビニル系分散剤A4を得た。
[ビニル系分散剤の製造例5]
上記ビニル系分散剤の製造例2の工程(D)において、無水トリメリット酸の仕込み量を7.1部とすること以外は、同様にして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.4個のビニル系分散剤A5を得た。
[ビニル系分散剤の製造例6]
上記ビニル系分散剤の製造例2の工程(D)において、無水トリメリット酸の仕込み量を10.1部とすること以外は同様にして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が2.0個のビニル系分散剤A6を得た。
[ビニル系分散剤の製造例7]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート41.9部、ベンジルメタクリレート50.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6.8部、無水トリメリット酸1.2部、メトキシプロピルアセテート40部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量15400、1分子中のトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個のビニル系分散剤A7を得た。
[ビニル系分散剤の製造例8]
工程(A)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に無水ピロメリット酸218.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート130.1部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3部を仕込み、乾燥空気を流しながら100℃で5時間反応させ、2−ヒドロキシエチルメタクリレートにピロメリット酸が付加したエチレン性不飽和単量体(a8’)を得た。
工程(Aa)
上記工程(A)で得られたエチレン性不飽和単量体(a8’)に水36部を加え、90℃で5時間反応させることにより、前記エチレン性不飽和単量体(a8’)に残存する酸無水物を加水分解した。続いて、残存する水を減圧して取り除き、エチレン性不飽和単量体(a8)を得た。
工程(B)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート84.6部、ベンジルメタクリレート46.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.7部、エチレン性不飽和単量体(a8)14.7部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。
このようにして数平均分子量が4000であり、1分子あたりのエチレン性不飽和単量体(a8)の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散樹脂A8を得た。
[ビニル系分散剤の製造例9]
工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、2−エチルヘキシルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート68.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.7部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4800、1分子中の水酸基の平均個数0.5個のビニル系樹脂中間体(C2)を得た。
工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート100部、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル4.3部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃に昇温した。滴下槽からビニル系樹脂中間体(C2)100部(固形分)を2時間かけて反応槽に滴下し、適下終了後、100℃で4時間反応させた。
工程(Dd)
その後、2−エチルヘキシルアルコール10部を加え、90℃で5時間反応させ、残存する無水環をアルコール分解し、エチレングリコールジトリメリット酸骨格の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散樹脂A9を得た。
[ビニル系分散剤の製造例10]
上記ビニル系分散剤の製造例9の工程(D)において、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル4.8部の代わりに9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物6.0部を用いたこと以外は同様にして、1分子あたりの9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレンの平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が0.5個のビニル系分散樹脂A10を得た。
[ビニル系分散剤の製造例11]
工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート21.2部、2−エチルヘキシルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート30部、スチレン10部、プラクセルFM−2D(2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトンを2モル付加させた水酸基を有するエチレン性不飽和単量体;ダイセル化学工業社製)8部、アクリル酸0.8部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート5部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量5500、1分子中の水酸基の平均個数1.2個のビニル系樹脂中間体(C3)を得た。
工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にアクリル系樹脂中間体(C3)100部(固形分)、無水トリメリット酸3.5部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤A11を得た。
[ビニル系分散剤の製造例12]
工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート22部、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート30部、スチレン10部、ブレンマーAE−200(2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルに、エチレンオキサイドを平均3.5モル付加させた水酸基を有するエチレン性不飽和単量体;日本油脂社製)8部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、反応を終了した。このようにして、数平均分子量4400、1分子中の水酸基の平均個数1.3個のビニル系樹脂中間体(C4)を得た。
工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にアクリル系樹脂中間体(C4)100部(固形分)、無水トリメリット酸4.4部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤A12を得た。
[ビニル系分散剤の製造例13]
工程(C)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテート60部を仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート37.6、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート10部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)2.4部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4900、1分子中の水酸基の平均個数1.0個のビニル系樹脂中間体(C5)を得た。
工程(D)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、アクリル系樹脂中間体(C5)100部(固形分)、無水トリメリット酸3.9部、及びジメチルベンジルアミン0.1部を仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、1分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(G)の平均個数)が1.0個であるビニル系分散剤A13を得た。
[比較分散剤1の製造例]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み、110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、n−ブチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、メタクリル酸5部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4000の比較分散剤1を得た。
[実施例1]
下記組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)にて2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して、赤色顔料分散体1を作製した。なお、ビニル系分散剤(A1)は事前にシクロヘキサノンに溶解して添加した。
赤色顔料1:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガフォアレッドB−CF」 (C.I. Pigment Red 254) 10.00部
分散剤A1 1.00部
アクリル樹脂溶液 35.00部
シクロヘキサノン 54.00部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、赤色着色組成物を得た。
赤色顔料分散体1 40.00部
アクリル樹脂溶液1 10.50部
モノマー:新中村化学社製「NKエステルATMPT」 4.50部
(トリメチロールプロパントリアクリレート)
光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」
2.00部
増感剤:保土ヶ谷化学社製「EAB−F」 0.20部
シクロヘキサノン 42.80部
[実施例2〜27、比較例1〜7]
顔料、ビニル系分散剤(A)、塩基性分散剤、アクリル樹脂溶液、および溶剤(シクロヘキサノン)を表1に示す割合(重量比)で配合し、実施例1 と同様にして顔料分散体を作製した。さらに、得られた顔料分散体を用いて、実施例1と同様にして各色レジスト組成物を得た。なお、固形のビニル系分散剤(A)については、事前にシクロヘキサノンに溶解して添加した。
Figure 0004747913
赤色顔料2:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」
(C.I. Pigment Red 177)
赤色顔料3:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガフォアレッドB−CF」
(C.I. Pigment Red 254) 6.50部
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」
(C.I. Pigment Red 177) 2.50部
ランクセス社製「E4GN−GT」 1.00部
(C.I. Pigment Yellow 150)
緑用顔料1:東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」 5.80部
(C.I. Pigment Green 36)
BASF社製「パリオトールエローD1819」 4.20部
(C.I. Pigment Yellow 139)
青用顔料1:BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」
(C.I. Pigment Blue 15:6)
黄用顔料1:BASF社製「パリオトールエローK0961HD」
(C.I. Pigment Yellow 138)
モノマー: 新中村化学社製「NKエステルATMPT」
(トリメチロールプロパントリアクリレート)
開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光重合開始剤「イルガキュア907」
増感剤:保土ヶ谷化学社製「EAB−F」
溶剤:シクロヘキサノン
化合物1、3、7、8: 明細書中で化合物番号を付して例示した色素誘導体
比較分散剤2:ビックケミー社製「BYK111」
比較分散剤3:アビシア社製「ソルスパーズ41000」
塩基性分散剤1:味の素ファインテクノ社製「PB−821」
[粘度安定性]
実施例および比較例で得られた各色着色組成物について、下記の方法により粘度安定性を評価した。
各色着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数20rpmという条件で測定した。この初期粘度および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出した。
(経時粘度変化率)=|〔(初期粘度)−(経時粘度)〕/(初期粘度)|×100
[コントラスト比]
実施例および比較例で得られた各色着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて500rpm、1000rpm、1500rpmの回転数で塗布し、膜厚3水準のレジスト塗布基板を得た。この塗布基板を、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて積算光量150mJで紫外線露光を行い、230℃で1時間加熱、放冷後、コントラスト比を測定した。ついで、塗膜のC光源での色度(Y,x,y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。膜厚3水準の基板のコントラスト比および色度測定結果から、赤色塗膜についてはx=0.64、青色塗膜についてはy=0.14、緑色塗膜についてはy=0.60、黄色塗膜についてはx=0.48におけるコントラスト比を、それぞれ近似法により求めた。
[密着性]
実施例および比較例で得られた各色着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に乾燥後の膜厚が2.0μmになる回転数にてスピンコーターを用いて塗布した基板を、70℃で20分乾燥後、幅100μmのストライプ状の開口部を有するフォトマスクを介して超高圧水銀ランプを用いて積算光量150mJで紫外線露光を行い、5%の炭酸ナトリウム水溶液で未露光部を洗い流し、230℃で30分加熱して、基板上に幅100μmのストライプ状のパターンを形成した。ガラスへの密着性に関する試験としては、得られた塗膜の耐薬品性についての評価を行った。試験方法としては、5%水酸化ナトリウム水溶液中に25℃で30分浸漬し、浸漬前後でのガラスへの密着性を目視で観察し、3段階で評価した。
○:全く剥離が認められない
△:わずかに剥離が認められる
×:剥離が認められる
[乾燥塗膜の縦スジムラおよびヘッド先端部から脱離したレジスト固化物の有無]
ダイコート方式の塗布装置を用いて、実施例および比較例で得られた各色着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に塗布し、得られた塗布基板を70℃で20分乾燥して、乾燥塗膜を形成し、塗膜上の縦スジムラ(塗布方向の縦状の塗布スジ)を目視観察により3段階で評価した。また、乾燥塗膜上における、ヘッド先端部から脱離した固化物の有無を目視観察により3段階で評価した。
縦スジムラ
○:全く縦スジムラが認められない
△:わずかに縦スジムラが認められる
×:顕著に縦スジムラが認められる
固化物
○:全く固化物が認められない
△:固化物1個以上10個未満
×:固化物10個以上
以上の結果を表2に示す。
Figure 0004747913
実施例1〜27で得られた着色組成物は、比較例1〜7で得られたものに比べて経時での安定性が優れており、乾燥再溶解性にも優れ、ガラス等の透明基板との間で強固な密着性を有していた。中でも、塩基性基を有する色素誘導体を用いた実施例2〜4、6〜17、20〜27で得られた着色組成物は、経時での安定性が良かった。さらに、ビニル系分散剤(A)の添加量が同じ場合には、ビニル系分散剤(A)として分散剤A2,3を用いた実施例6,7、21、24、27の着色組成物は、初期の粘度が非常に低粘度であるという特徴を示し、分散剤(A)として分散剤A1を用いた実施例3〜5,20,23,26の着色組成物は、塗膜のコントラスト比が高いという特徴を示した。

Claims (8)

  1. ビニル系重合体主鎖内に、一般式(1)で表されるカルボキシル基含有単位(G)を、ビニル系重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含むビニル系分散剤(A)と、顔料と、モノマーを含む顔料担体とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
    式(1)
    Figure 0004747913
    [上記式(1)において、R1は水素原子またはメチル基であり、
    1は−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、若しくは−CH2O−であり、
    2は一般式:
    −(−Ra1−O−)m1
    (式中、Ra1は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm1は1〜50の整数である)
    で表される基であり、
    3は一般式:
    −(−CO−Rb1−O−)m2
    (式中、Rb1は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm2は0〜20の整数である)
    で表される基であり、
    1は一般式(2)あるいは一般式(3)で表される基である。
    式(2)
    Figure 0004747913
    〔上記式(2)において、A1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、A1〜A3のうちの1つが−COORc(但し、Rcは、炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、またはA1〜A3の3つが−COOHであり、kは1または2である〕
    式(3)
    Figure 0004747913
    〔上記式(3)において、A5〜A7のうち1つは水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、A5〜A7のうち1つは−COORd(但し、Rdは炭素原子数1〜18のアルキル基である)であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、またはA5〜A7の3つが−COOHであり、
    2は直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、式:
    Figure 0004747913
    で表される基、または式:
    Figure 0004747913
    で表される基である〕。}
  2. 前記ビニル系分散剤(A)の一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)のY1が、一般式(2)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  3. 一般式(2)中のA1〜A3のうちの1つが水素原子であって、他の2つが−COOHである組合せであることを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  4. 前記ビニル系分散剤(A)が一般式(4)で示されるビニル系重合体であることを特徴とする請求項2または3に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
    式(4)
    Figure 0004747913
    〔上記式(4)において、Gは請求項1に記載の一般式(1)で示されるカルボキシル基含有単位(G)を示し、
    10およびR11はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、
    12は芳香族基または-CO−X8−R13(ただし、X8は−O−若しくは−NH−であり、R13は水素原子または炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、前記R13は置換基として芳香族基を有していることができる)であり、
    5は−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−、若しくは−CH2O−であり、
    6は一般式:
    −(−Ra2−O−)m3
    (式中、Ra2は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、または炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、そしてm3は1〜50の整数である)で表される基であり、
    7は一般式:
    −(−CO−Rb4−O−)m4
    (式中、Rb2は炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基であり、そしてm4は0〜20の整数である)で表される基であり、
    一般式(4)中の前記カルボキシル基含有単位(G)、−X5−X6−X7−Hを含む水酸基含有単位(J)、及び−C(R11)(R12)−を含む主鎖構成単位(K)は、ランダム型またはブロック型で含まれていることができ、
    一般式(4)中に含まれている前記カルボキシル基含有単位(G)、前記水酸基含有単位(J)、および主鎖構成単位(K)は、それらが複数個で存在する場合は、相互に同一または異なっていることができ、
    そしてp1、p2、およびp3はビニル系分散剤(A)の1分子あたりの各構成単位の平均個数を示し、p1は0.3以上3.0以下であり、p2は0以上180以下であり、p3は6以上250以下である。〕
  5. 前記ビニル系分散剤(A)の数平均分子量が500以上20000以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  6. さらに、塩基性基を有する分散剤を含有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  7. 前記塩基性基を有する分散剤が、塩基性基を有する色素誘導体であることを特徴とする請求項6記載のカラーフィルタ用着色組成物。
  8. 請求項1ないし7いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。

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