JP4747428B2 - エポキシ系樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐リフロー信頼性及び成形性に優れ、特に半導体封止用として好適なエポキシ系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は耐熱性、耐湿性、電気特性および接着性などに優れており、さらに配合処方により種々の特性が付加できるため、塗料、接着剤、電気絶縁材料など工業材料として利用されている。
【0003】
例えば、半導体装置などの電子回路部品の封止方法として、従来より金属やセラミックスによるハーメッチックシールとフェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などによる樹脂封止が提案されており、一般にこのような封止に使用される樹脂を封止材樹脂と呼んでいる。その中でも、経済性、生産性、物性のバランスの点からエポキシ樹脂による樹脂封止が最も盛んに行われている。そして、エポキシ樹脂による封止方法は、エポキシ樹脂に硬化剤、充填材などを添加した組成物を用い、半導体素子を金型にセットしてトランスファー成型法などにより封止する方法が一般的に行われている。
【0004】
最近はプリント基板への半導体装置パッケージの実装において高密度化、自動化が進められており、従来のリードピンを基板の穴に挿入する“挿入実装法式”に代わり、基板表面に半導体装置パッケージを半田付けする“表面実装方式”が盛んになってきた。それに伴い、半導体装置パッケージも従来のDIP(デュアル・インライン・パッケージ)から、高密度実装・表面実装に適した薄型のFPP(フラット・プラスチック・パッケージ)に移行しつつある。その中でも最近では、微細加工技術の進歩により、厚さ2mm以下のTSOP、TQFP、LQFPが主流となりつつある。そのため湿度や温度など外部からの影響をいっそう受けやすくなり、半田耐熱性、高温信頼性、耐熱信頼性などの信頼性が今後ますます重要となってくる。
【0005】
表面実装においては、通常半田リフローによる実装が行われる。この方法では、基板の上に半導体装置パッケージを乗せ、これらを200℃以上の高温にさらし、基板にあらかじめつけられた半田を溶融させて半導体装置パッケージを基板表面に接着させる。このような実装方法では半導体装置パッケージ全体が高温にさらされるため封止樹脂の吸湿性が高いと封止樹脂と半導体チップ、あるいは封止樹脂とリードフレームの間の剥がれが生じたり、吸湿した水分が半田リフロー時に爆発的に膨張してクラックが生じるという現象が起こる。また薄型パッケージの場合、銀ペースト層が吸湿してリフロー時にシリコンチップまたはリードフレームとの界面から剥離し、パッケージ底部が押し下げられてパッケージ底部が膨らむ現象(膨れ特性)が起こり問題になっている。更に、近年では環境保護の点から鉛を含んでいない鉛フリー半田の使用が進んでいる。鉛フリー半田は融点が高く、そのためリフロー温度も上がることになりこれまで以上の耐リフロー信頼性が求められている。
【0006】
一般的に耐リフロー信頼性を向上させるには封止樹脂組成物中の充填材の割合を上げることが有効であることが知られていた。封止樹脂組成物中の樹脂成分を減らすことにより吸湿性が低下するからである。しかしながら、封止樹脂組成物中の充填材の割合をあまり大きくすると、硬化物の弾性率が増大することに起因する応力の増大により半導体部材との密着性が悪化し、リフロー時に剥離が発生するという問題が起こってしまう。また充填材の割合を増やすことにより流動性が悪化し、パッケージ未充填やステージシフトなどの問題が起こる。
【0007】
そのため、耐リフロー信頼性を向上する手段としてテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂を配合することが提案されている(特開平8―134183号公報)が、さらに耐リフロー信頼性、硬化性に優れる樹脂組成物が求められている。さらに耐リフロー信頼性、特に密着性に優れた樹脂組成物が求められている
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、より高温のリフロー温度において、耐リフロー信頼性に優れ、成型時の充填性に優れるエポキシ系樹脂組成物、及び該エポキシ系樹脂組成物で封止してなる半導体装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。 すなわち本発明は、主として次の構成を有する。すなわち、
「エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、充填材(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記充填材(C)の割合が樹脂組成物全体の88〜96重量%であり、かつエポキシ樹脂(A)が化学式(I)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(a)及び化学式(II)で表されるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂(b)を含有することを特徴とするエポキシ系樹脂組成物。」である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明においては 、エポキシ樹脂(A)が下記式(I)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(a)及び下記式(II)で表されるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂(b)を必須成分として含有することを特徴とする。
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
エポキシ樹脂に式(I)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(a)を含有させることにより粘度を下げることができ、成形性が大幅に向上する。さらに硬化物の弾性率が向上し膨れ特性が向上するが、エポキシ樹脂(a)の単独使用ではチップ表面の密着性が不十分である。
【0015】
一方、エポキシ樹脂に式(II)で表されるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ(b)を含有させることにより吸湿性を低下させることができ、膨れ特性が向上する。また、硬化物の弾性率を低下させることができ、高い密着性が得られ、さらには粘度が下げ成形性を向上する効果も得られるが、式(II)で表されるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂(b)の単独使用では硬化性が不十分である。すなわち式(I)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂(a)、式(II)で表されるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂(b)をそれぞれ単独使用しても総合的に優れる樹脂組成物は得られない。
【0016】
本発明においては、エポキシ樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)を併用することにより、膨れ特性、密着性、硬化性、成形性すべてにおいて優れる樹脂組成物を得ることができる。
【0017】
エポキシ樹脂(a)の含有量はエポキシ樹脂(A)全量に対して5〜95重量%が好ましい。5%以下であれば流動性が低下することがなく、95%以下であればチップ表面の密着性が低下することもない。 エポキシ樹脂(a)の含有量はエポキシ樹脂(A)全量に対して10〜90重量%がさらに好ましい。
【0018】
また、エポキシ樹脂(b)の含有量はエポキシ樹脂(A)全量に対して5〜95重量%が好ましい。5%以上であれば密着性が低下することがなく、95%以上であれば硬化性が低下することもない。エポキシ樹脂(b)の含有量はエポキシ樹脂(A)全量に対して10〜90重量%がさらに好ましい。
【0019】
エポキシ樹脂(a)のエポキシ樹脂(b)に対する配合比率は重量比で10/90〜90/10が好ましく、さらに好ましくは30/70〜70/30が良い。
【0020】
用途によっては上記エポキシ樹脂(a)および(b)以外のエポキシ樹脂を併用しても良い。その他のエポキシ樹脂としては1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般である。例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、 4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラエチルビフェニル、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラブチルビフェニルなどのビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。その他のエポキシ樹脂として2種以上用いても良い。
【0021】
エポキシ樹脂(A)の配合量はエポキシ樹脂組成物全体に対して通常0.5〜15重量%、特に1〜10重量%が好ましい。
【0022】
本発明における硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、それらの具体例としては、例えばフェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラックなどのノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノール樹脂、、ナフトールアラルキル樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物およびメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなどがあげられこれらを単独で用いても、2種以上の硬化剤を併用しても良い。硬化剤(B)の溶融粘度はICI(150℃)粘度で6Pa・s以下、さらには4Pa・s以下のものが特に好ましく使用される。
【0023】
硬化剤(B)としてはリフロー信頼性の点から下記化学式(III)で表されるフェノールアラルキル樹脂が特に好ましく使用される。
【0024】
【化6】
【0025】
硬化剤(B)の配合量はエポキシ樹脂組成物全体に対して通常0.5〜10重量%、特に1〜6重量%が好ましい。さらにはエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の配合比機械的性質、及び耐湿性も点からエポキシ樹脂(A)に対する硬化剤(B)の化学当量比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。
【0026】
また、本発明においてエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の硬化反応を促進するため硬化触媒を用いても良い。硬化触媒は硬化反応を促進するものであれば特に限定されず、たとえば2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、トリ(アセチルアセトナト)アルミニウムなどの有機金属化合物およびトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物があげられる。なかでも信頼性および成形性の点から有機ホスフィン化合物が好ましく、トリフェニルホスフィンが特に好ましく用いられる。
【0027】
これらの硬化触媒は、用途によっては二種以上を併用してもよく、その添加量はエポキシ樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が望ましい。
【0028】
本発明における充填材(C)としては、無機充填材が好ましく、具体的には非晶性シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタンや酸化アンチモンなどの金属酸化物、アスベスト、ガラス繊維およびガラス球などが挙げられるが、中でも非晶性シリカは線膨脹係数を低下させる効果が大きく、低応力化に有効ななため好ましく用いられる。形状としては、破砕状のものや球状のものが用いられ、流動性の点から球状のものが好ましく使用される。
【0029】
ここでいう非晶性シリカは、一般的には真比重が2.3以下のものを意味する。この非晶性シリカの製造においては石英を溶融して製造される(溶融シリカ)のが一般的であるが必ずしも溶融状態を経る必要はなく、公知の任意の製造方法を用いることができ、例えば結晶性シリカを溶融する方法および金属ケイ素の酸化による方法、アルコキシシランの加水分解など、各種原料からの合成方法が使用できる。
【0030】
充填材の粒径および粒度分布については、特に限定はないが、流動性、成形時のバリ低減の点から、平均粒径(メディアン径を意味する。以下同じ。)が5〜30μmの範囲にあることが特に好ましい。また、平均粒径または粒度分布の異なる充填材を2種以上組み合わせることもできる。
【0031】
本発明において、充填材(C)の割合が全樹脂組成物に対して88〜96重量%であることが必要である。充填剤(C)の含有量が88重量%未満であると封止樹脂の吸湿性が増加する傾向があり、また良好な耐リフロー信頼性が得られない。また96重量%を超えると接着性やパッケージ充填性が低下してしまう。耐リフロ−性の向上のため充填剤(C)の含有量は90〜96重量%であることが特に好ましい。
【0032】
封止材全体における充填材の割合を高めると難燃性が高くなり、従来使用されていた難燃剤を使用しなくても難燃性を維持することができる。このことにより、従来から難燃剤として使用してきたハロゲン成分を封止材成分に添加する必要がなくなり、環境保護の点で好ましい。
【0033】
また得られる半導体装置のソフトエラーの問題を回避するために、エポキシ樹脂組成物中のウラン、トリウムなどα線放出物質の濃度を、極めて少なく、具体的にはそれぞれ10ppb以下とすることが好ましい。
【0034】
本発明では、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を配合することができる。これらのカップリング剤で充填材を、他の構成成分とブレンドする以前に処理しておくことがより好ましい。カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましく使用され、シランカップリング剤としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基などの加水分解性基および有機基がケイ素原子に直結したもの、およびその部分加水分解縮合物が一般的に用いられる。シランカップリング剤中の有機基としては、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子、硫黄原子などによって置換された炭化水素基のものが使用される。 シランカップリング剤の具体的な例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、γ−(2,3−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−フェニルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−メチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−(N−エチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチルアミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(N−エチルアミノ)プロピルメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカトプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエチルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0035】
カップリング剤の配合割合としてはエポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜2重量%添加することが流動性及び充填性の点で好ましい。
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物では、前述のように無機物の割合が高いため、難燃性が高くなり、従来使用されていた難燃剤を使用しなくても難燃性を維持することができる。しかし、必須成分ではないが難燃性をさらに向上させる目的でブロム化合物を配合できる。ブロム化合物は、通常、エポキシ樹脂組成物に難燃剤として添加されるものであれば、特に限定されない。 ブロム化合物の好ましい具体例としては、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂、ブロム化ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化ポリフェニレンオキサイド樹脂、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテルなどがあげられ、なかでも、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂が、成形性の点から特に好ましい。
【0037】
同様に、本発明のエポキシ樹脂組成物では、必須成分ではないがアンチモン化合物を配合できる。これは通常半導体封止用エポキシ樹脂組成物に難燃助剤として添加されるもので、特に限定されず、公知のものが使用できる。アンチモン化合物の好ましい具体例としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンがあげられる。
【0038】
これら難燃剤、難燃助剤を添加する場合、エポキシ樹脂組成物から発生する不要物の廃棄の容易さ、および半導体装置の信頼性の観点からハロゲン原子およびアンチモン原子それぞれが、エポキシ樹脂組成物に対して0.2重量%以下が好ましい。
【0039】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに次に挙げる各種添加剤を任意に含有することができる。カーボンブラックおよび酸化鉄などの各種着色剤や各種顔料、シリコーンゴム、オレフィン系共重合体、変性ニトリルゴム、変性ポリブタジエンゴムなどの各種エラストマー、シリコーンオイル、ポリエチレンなどの各種熱可塑性樹脂、フッ素系、シリコーン系などの界面活性剤、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の金属塩、長鎖脂肪酸のエステル、長鎖脂肪酸のアミドおよびパラフィンワックスなどの各種離型剤およびハイドロタルサイト類などのイオン捕捉剤、有機過酸化物などの架橋剤。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物は上記各成分を溶融混練によって製造することが好ましい。たとえば各種原料をミキサーなどの公知の方法で混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機およびコニーダーなどの公知の混練方法を用いて溶融混練することにより製造される。溶融混練時の樹脂温度としては、通常70〜150℃の範囲が使用される。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、加熱混練で溶融し、冷却さらに粉砕した粉末の形状、粉末を打錠して得られるタブレットの形状、加熱混練で溶融し型内で冷却固化したタブレットの形状、加熱混練で溶融し押し出ししてさらに切断したペレットの形状などの状態で使用できる。
【0042】
そしてこれらの形状から半導体素子の封止に供され半導体装置の製造が行われる。半導体を基板に固定した部材に対して、本発明のエポキシ樹脂組成物を、例えば120〜250℃、好ましくは150〜200℃の温度で、トランスファ成形、インジェクション成形、注型法などの方法で成形して、エポキシ樹脂組成物の硬化物によって封止された半導体装置が製造される。また必要に応じて追加熱処理(例えば、150〜200℃、2〜16時間)を行うことができる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はここに掲げた実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の%は重量%を示す。
【0044】
[実施例1〜11、比較例1〜5]
表1に示した成分を表2〜3に示す組成比(重量比)で、ミキサーによりドライブレンドした後、ロール表面温度90℃のミキシングロールを用いて5分間加熱混練後、冷却、粉砕して半導体封止用のエポキシ樹脂組成物を得た。
【0045】
【表1】
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
<硬化性(ランナー折れ)評価>
得られた樹脂組成物について176pinLQFP(外形:24mm×24mm×1.4mm、フレーム材料:銅)用金型を用いて、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、キュアータイム35秒の条件でパッケージを成形した。成形時ランナー折れが発生しなかったものを○、ランナー折れが発生したものを×とした。ここでランナーとは成形時のタブレットからパッケージへの樹脂の通り道のことをいい、ランナーの断面は2mm×1.5mm、長さ25mmである。
【0050】
<耐剥離性(耐リフロー信頼性)評価>
得られた樹脂組成物について176pinLQFP(外形:24mm×24mm×1.4mm、フレーム材料:銅)用金型を用いて、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、キュアータイム1分間の条件でパッケージを成形した。
なお評価用のチップとしては表面に窒化珪素膜を被覆した模擬素子を搭載した、チップサイズ10mm×10mm×0.3mmのものを用いた。
上記成形により得られた176pinLQFPのパッケージ10個を180℃、6時間の条件でポストキュアーした後、85℃/60%RHで24時間加湿した。これを温度260℃のIRリフロー炉で10秒間加熱処理した後、サンプルを超音波探傷機を用いて、チップ表面からの剥離を観察した。剥離が発生した不良パッケージを除く、良好に得られたパッケージ数を求めた。
【0051】
<耐膨れ特性(耐リフロー信頼性)評価>
上記成形により得られた176pinLQFPのパッケージ10個を180℃、6時間の条件でポストキュアーした後、マイクロメーターにてパッケージ中央部の厚みI(μm)を計測した。なお、パッケージ1個につき3回測定しその平均値を算出した。これを85℃/60%RHで24時間加湿後、最高温度260℃のIRリフロー炉で10秒間加熱処理した直後、リフロー出5秒後再びパッケージの中央部の厚みII(μm)を計測した。厚みIIも厚みI同様、パッケージ1個につき3回測定しその平均値を算出した。さらに10個それぞれのパッケージについて(厚みII(3回平均)−厚みI(3回平均))を算出し、この10個の平均値を「膨れ」(μm)とした。
なお、膨れは小さい方が好ましく、80μm以下であることが特に好ましい。
【0052】
<パッケージ充填性(成形性)評価>
上記成形により得られた176pinLQFPパッケージ10個を成形後に目視および断面切断後、20倍の顕微鏡を用いて観察し、ステージ変位・未充填の有無を調べた。ステージ変位・未充填が発生した不良パッケージを除く、良好に得られたパッケージ数を求めた。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表2〜3に評価結果を示す。表に見られるように本発明のエポキシ樹脂組成物はリフロー時の耐剥離性、膨れ特性、パッケージ充填性に優れている。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればリフロー時の耐剥離性、膨れ特性などの耐リフロー信頼性、成形時の充填性および硬化性が優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び該エポキシ系樹脂組成物によって封止してなる半導体装置を得ることができる。
Claims (4)
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ系樹脂組成物の硬化物によって封止されたことを特徴とする半導体装置。
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