本発明は、移動可能な収納状態から床部材を展開することによって使用状態となる可動ステージに関する。
可動ステージは、仮設のステージを構築するための器具である。床部材を折りたたむ等して比較的場所をとらないような収納状態とされて収納され、その収納状態において人力等によって任意の場所に移動させることが可能とされている。そして、その任意の場所に移動させた後、その場所において床部材を展開して使用状態とすることによって、仮設のステージが構築される。可動ステージは、1つのものを単独で使用して比較的面積の小さなステージを仮設でき、また、複数のものを連接して使用することにより比較的面積の大きなステージを仮設することができる。
その可動ステージとして、例えば、日本国公表特許公報〔特表平10−510016〕に記載されているようなものが存在する。その公報に記載された可動ステージは、車輪を有するベースと、そのベースに回動可能に支持された1対の矩形形状の床部材とを備えており、さらに、それら1対の床部材の各々に対してその各々を支持するための複数の脚部材を備えている。収納状態においては、複数の脚部材が床部材の下面(裏面)に倒伏させられるとともに、各床部材は、ベース上に起立した姿勢とされている。この収納状態では、ベースに取付けられた車輪のおかげで、この可動ステージは、人力により容易に任意の場所に移動可能とされている。
上記公報に記載の可動ステージでは、1対の床部材の各々に対して、その各々の2つのコーナ部、詳しくは、ベースから遠い2つのコーナ部を支持するための脚部材としての主脚部材を備えている。この主脚部材は、2つのコーナ部にそれぞれ対応する2つの支柱部を有している。また、その可動ステージは、主脚部材に加え、ベースに近い部分を支持するための、1対の補助脚部材を備えている。この可動ステージでは、収納状態から、補助脚部材を起立させた後に床部材を展開することにより、主脚部材がそれに連動して起立させられて使用状態に移行する。ちなみに、この可動ステージでは、車輪が設けられたベースは、使用状態において床部材に付いて持ち上がって地面(屋内では床面)から離され、床部材のベースに近い部分は、上記補助脚部材によって支持される。
上記公報に記載の可動ステージの他に、例えば、図12に示すような可動ステージも存在する。この可動ステージ200は、補助脚部材を備えておらず、ベース202から離れた辺縁部の2つのコーナ部とその中間部を支持する3つの支柱部204を有する脚部材206を備えている。この可動ステージ200では、使用状態において、1対の床部材208の各々のベース側辺縁部は、ベース202によって支持される。
可動ステージ200は、図13に示す収納状態から、図14に示す状態を経て、図15に示す使用状態へ移行する。詳しい構造は省略するが、1対の床部材208の各々は、ベース側辺縁部において、ベース202に回動可能に支持されており、各床部材208に対して、脚部材206は、ベース202から離れた側の辺縁部に回動可能に保持されている。使用状態においては、各床部材208は、ベース202上に起立する収納姿勢をとり、各脚部材206は、対応する床部材208の下面(裏面)に倒伏する倒伏姿勢をとる。それに対して、使用状態においては、各床部材208は、上面(床面)が水平になる展開姿勢をとり、各脚部材206は、対応する床部材208の下面に直角に起立する起立姿勢をとる。
上記可動ステージ200では、図12に示すように、1対の床部材208の各々の回動軸線Lに対し、1対の脚部材206の各々の回動軸線L’は、平行である。このことは、先の公報に記載された可動ステージの主脚部材についても同様である。このように、各床部材208の回動軸線Lと、対応する脚部材206の回動軸線L’とを互いに平行とすることにより、回動動作の連動が容易となる。つまり、図13〜図15に示すように、また、先の公報に示すように、床部材の収納姿勢から展開姿勢への回動動作に対して、脚部材の倒伏姿勢から起立姿勢への回動動作を、容易に連動させられるのである。ちなみに、この回動動作の連動は、脚部材の自重を利用することにより、あるいは、何らかの連動機構を設けることにより実現される。回動動作を連動させることにより、収納状態から使用状態への移行、ひいては、使用状態から収納状態への移行を簡便に行うことが可能となる。このことに鑑みれば、先の公報に記載されたような型式の可動ステージであれ、上記可動ステージ200ような型式の可動ステージであれ、床部材の回動軸線と脚部材の回動軸線とを平行にすることは、可動ステージの実用性を向上させるための有効な手段となっているのである。
(A)発明の概要
しかしながら、床部材の回動軸線と脚部材の回動軸線とを平行にすることによるデメリットも存在する。そのことを、発明者は知り得た。図12に示す可動ステージ200について説明すれば、ベース202の延びる方向、つまり、床部材208のベース側の一辺に平行な方向(図12の白抜き矢印の方向)の横荷重が床部材208に作用した場合には、可動ステージ200は、比較的ぐらつき難い。それに対して、その方向に直角な方向(図12の塗りつぶし矢印の方向)の横荷重が作用した場合には、可動ステージ200がぐらつき易いという欠点である。言い換えれば、特定の方向の横荷重の作用によって、床部材208が横方向に揺れ動き易くなってしまうという欠点である。
可動ステージのベースは、一般に、上記一辺に平行な方向の寸法、つまり、長さが比較的長く、概ね床部材のその一辺に近い長さとされている。したがって、上記一辺に平行な方向の横荷重に対しては、ベースの剛性のおかげで、可動ステージは比較的ぐらつき難い。しかし、床部材の回動軸線と脚部材の回動軸線とを平行にすれば、図16に誇張して示すように、上記一辺に直角な方向の横荷重、すなわち、床部材の回動軸線の延びる方向に直角な方向の横荷重に対しては、脚部材の回動が許容されていることに加え、ベース自体が傾き動くことで、可動ステージは、ぐらつき易くなる。このことは、その方向の横荷重を受けた場合において床部材と脚部材との両者が共に回動可能となっていることに起因しており、また、収納状態における厚みD(図13参照)を薄くしたいという可動ステージへの要求を満足するために、床部材の回動軸線に直角な方向におけるベースの寸法dを小さくせざるを得ないということにも起因している。したがって、床部材の回動軸線と脚部材の回動軸線とを平行にした場合には、ベースの剛性を有効に利用することができず、例えば、筋交等の手段を採用しない限り、その方向の横荷重に対しての可動ステージのぐらつきを抑制することが困難なのである。
特定方向の横荷重に対してぐらつき易いという問題は、先の公報に記載の可動ステージについても同様である。その可動ステージでは、床部材の回動軸線に直角な回動軸線を有する補助脚部材を用いてはいるものの、ベースを挟んだ2つの補助脚部材の間隔が比較的小さい。したがって、図12に記載の可動ステージ100と同様、床部材の回動軸線の延びる方向に直角な方向の横荷重が作用した場合には、床部材は、図16に示すような状態となって、その方向に移動し易い。つまり、床部材の回動軸線に直角な方向の横荷重に対しては、ベースから遠い辺縁部を支持する主脚部材は回動が許容されていることに加え、一方の補助脚部材が浮き上がる等の現象が発生し易く、可動ステージのぐらつきを充分に抑制することはできないのである。
近年、エアロビクス,フィットネスのためのワークアウト等の実演を始めとして、激しい動作を可動ステージ上で行いたいという要求から、可動ステージのぐらつきを可及的に小さくすることが切望されている。特に、先に説明したような現象、つまり、横荷重に対する特定の方向のぐらつきが他の方向のぐらつきに比較して極端に大きくなるといった現象が起きないことが望まれている。したがって、簡便な構造によって、ぐらつきを抑制すること、特に、特定の方向の横荷重に対してぐらつきが大きくならないようにすることは、可動ステージの実用性を向上させることに繋がる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い可動ステージを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の可動ステージは、ベースと、回動可能にベースに支持された床部材と、それぞれが、床部材のベースから離れたコーナ部を支持するために床部材に回動可能に保持された1対の脚部材とを備えた可能ステージであって、床部材の回動軸線の延びる方向に対して、各脚部材の回動軸線の延びる方向が直角となるように構成される。さらに、それら1対の脚部材の中間において、自身の回動軸線の延びる方向が床部材の回動軸線の延びる方向に直角な中間脚部材を備えるように構成される。
本発明の可動ステージによれば、床部材の回動軸線に平行な方向の横荷重に対しては、ベースの構造に依存してぐらつきを抑えることができる。そして、脚部材の回動軸線の延びる方向が床部材の回動軸線の延びる方向と直角な方向とされていることによって、床部材の回動軸線に直角な方向の横荷重に対しては、脚部材の回動が防止され、その結果としてぐらつきが抑制されるのである。つまり、本発明の可動ステージでは、床部材の回動軸線の延びる方向と、ベースから離れたコーナ部を支持する脚部材の回動軸線の延びる方向とを直角にするといった簡便な手段によって、特定の方向の横荷重に対してぐらつきが大きくなることが回避されているのである。本発明の可動ステージは、特定方向の横荷重によるぐらつきを抑制するという観点において、実用的な可動ステージとなっている。さらに、上記中間脚部材を備えることで、より堅牢な可動ステージが実現される。
(B)発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項と請求項との関係について言えば、(1)項と(12)項とを合わせたものが請求項1に相当し、請求項1に(2)項ないし(11)項の技術的特徴を組み合わせたものが、それぞれ、請求項2ないし請求項11に相当し、また、それらの請求項に(13)項ないし(15)項の技術的特徴を組み合わせたものが、それぞれ、請求項12ないし請求項14に相当する。
(1)下部に複数の車輪を有するベースと、
矩形形状を有し、自身の一辺に沿った部分であるベース側辺縁部においてその一辺に平行な第1回動軸線の回りに回動可能に前記ベースに支持され、前記ベース上に起立する収納姿勢と、上面が水平になる展開姿勢とを選択的にとることを許容された床部材と、
それぞれが、前記第1回動軸線の延びる方向に直角な方向に延びる第2回動軸線の回りに回動可能に前記床部材に保持され、前記床部材の下面に倒伏する倒伏姿勢と、前記床部材が展開姿勢となる場合において少なくともそれの前記一辺から離れた2つのコーナ部の対応する一方を支持すべく前記床部材の下面に起立する起立姿勢とを選択的にとることを許容された1対の脚部材と
を備えた可動ステージ。
本項の態様の可動ステージでは、床部材は、ベースに対して第1回動軸線の回りに回動可能とされているものの、第1回動軸線の延びる方向(以下、「第1回動軸線方向」という場合がある)への移動は、ベースの高い剛性に依存して制限される。したがって、床部材が展開姿勢となり各脚部材が起立姿勢となる使用状態では、ベースの剛性を利用することで、第1回動軸線方向の横荷重の作用による可動ステージのぐらつきが、効果的に抑制される。その一方で、床部材は、脚部材に対して、第2回動軸線の回りに回動可能とされているものの、第1回動軸線方向と直角な方向、つまり、第2回動軸線の延びる方向(以下、「第2回動軸線方向」という場合がある)の移動は、脚部材の剛性を利用することで、制限することが可能である。詳しく言えば、本項の態様の可動ステージでは、脚部材が床部材のベースから離れたコーナ部を支持するものであるが故、そのコーナ部が脚部材によって、ベース側のコーナ部がベースによって、互いに大きく離れた位置において、それぞれ支持されることになる。そして、そのことに加えて、脚部材の床部材に対する第2軸線方向に直角な回動軸線回りの回動が、脚部材の剛性に依存して制限されることで、床部材の第2軸線方向への移動が効果的に制限されるのである。したがって、使用状態において、第1回動軸線方向に直角な方向の横荷重に対しても、可動ステージのぐらつきが効果的に抑制される。つまり、本項の態様の可動ステージでは、使用状態においていずれの方向の横荷重が床部材に作用しても、ぐらつきが抑制されることになる。言い換えれば、本項の態様の可動ステージは、特定の方向の横荷重に対してぐらつきが大きくなるといった現象が、床部材の回動軸線の延びる方向と、ベースから離れた位置を支持する脚部材の回動軸線の延びる方向とを直角にするといった簡便な手段によって、効果的に抑制されるのである。さらに言えば、例えば、筋交を用いずとも、種々の方向の横荷重に対してぐらつきを相当程度抑制することができるのである。
なお、本項の態様では、特定方向の横荷重に対するぐらつきを抑制するという観点から、床部材は、ベースに対しての第1回動軸線方向の移動、および、ベースに対してのその方向に直角な方向に延びる回動軸線回りの回動が可及的に禁止されていることが望ましく、また、各脚部材は、床部材に対しての第2回動軸線方向の移動、および、床部材に対してのその方向に直角な回動軸線回りの回動が可及的に禁止されていることが望ましい。また、ベースは、当該可動ステージの収納に対して支障をきたさない限り、可及的に大きくすることが望ましい。特に、長さ、つまり、第1回動軸線方向の寸法は、床部材のその方向の寸法、つまり、ベース側辺縁部の一辺の長さに可及的に近い寸法とすることが望ましい。さらに、ベースの剛性は、床部材の第1回動軸線方向の移動、および、床部材のその方向に直角な方向に延びる回動軸線回りの回動が可及的に禁止されるように、可及的に高いことが望ましい。
本項の態様の可動ステージは、ベースが使用状態においても接地して床部材のベース側辺縁部を支持するように構成されてもよく、また、ベースが使用状態において接地せず、上記各脚部材若しくは他の脚部材によって床部材のベース側辺縁部が支持されるように構成されてもよい。また、本項の態様では、各脚部材は、床部材の上記2つのコーナ部の対応する一方のみを支持するような構造のものであってもよく、また、床部材の他の部分をも支持するような構造のものであってもよい。
(2)前記1対の脚部材の倒伏姿勢から起立姿勢への回動方向が互い反対方向になるように構成された(1)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、1対の脚部材の両者ともに倒伏姿勢において床部材からはみ出さないようにすることが可能であり、床部材が収納姿勢となり各脚部材が倒伏姿勢となる収納状態においての可動ステージのコンパクト化が図れることになる。
(3)前記床部材が、前記ベース側辺縁部の前記第1回動軸線の延びる方向における両端部において、前記ベースに支持された(1)項または(2)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、床部材のベースに近い側のコーナ部に人が乗ったりした場合における他のコーナ部の持ち上がりを、抑制することが可能である。また、ベースの剛性を利用して、第1回動軸線方向に直角な方向に延びる回動軸線回りの床部材の回動が効果的に抑制可能となる。
(4)前記1対の脚部材の各々が、
起立姿勢をとる場合に前記床部材の前記2つのコーナ部の対応する一方において前記床部材の上面に対して直角となる支柱部と、
その支柱部の基端部に設けられ、前記床部材に前記第2回動軸線回りの回転を許容されつつ連結された第1連結部と、
前記第1連結部から前記第2回動軸線の延びる方向において前記一辺に向って離れた部分に設けられ、前記床部材に前記第2回動軸線回りの回転を許容されつつ連結された第2連結部と
を有する(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の可動ステージ。
本項の態様は、脚部材の構造を限定した態様である。本項に記載の構造の脚部材によれば、第2回動軸線方向に直角な方向に延びる回動軸線回りの支柱部の回動が効果的に抑制されるため、第2回動軸線方向の横荷重に対する可動ステージのぐらつきが効果的に抑制されることになる。なお、ぐらつきを効果的に抑制するためには、脚部材を、第1連結部と第2連結部との相対位置関係および第2連結部と支柱部との相対的位置関係が可及的に変化しないような構造とすることが望ましい。
(5)前記第1連結部と前記第2連結部との前記第2回動軸線の延びる方向における離間距離が、前記床部材の前記一辺に直角な辺の長さの1/2以上である(4)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、第2回動軸線方向に直角な方向に延びる回動軸線回りの脚部材の回動、詳しくは、それの支柱部の回動が充分に抑制可能となる。
(6)前記1対の脚部材の各々が、
前記支柱部の基端部に設けられ、起立姿勢をとる場合に前記第1回動軸線の延びる方向に突出し、自身に前記第1連結部が設けられた突出部を有し、
当該可動ステージが、
前記1対の脚部材の各々が、起立姿勢をとる場合に、前記支柱部の基端部の一部分であって前記第2回動軸線から前記第1回動軸線の延びる方向において離れた部分である当接部にて前記床部材の下面に当接することで、前記1対の脚部材の各々の前記起立姿勢を超えた回動が禁止されるように構成された(4)項または(5)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、第2回動軸線から離れた箇所に設けられた当接部が床部材の下面(裏面)に当接することで、起立姿勢における脚部材の第2回動軸線回りの回動が一方向において禁止される。したがって、第2軸線方向に横荷重が作用した場合のみならず、第1回動軸線方向における一方の向き(片側の向き)に横荷重が作用した場合においても、その方向の可動ステージのぐらつきが、脚部材の床部材への取付け構造に依存して抑制されることになる。
なお、脚部材の構造によっては、倒伏姿勢において、2つの脚部材のうちの一方の支柱部が、他方若しくは中間脚部材(後述する)の支柱部と干渉し合って、それら支柱部の一方の先端部が床部材の下面から大きく離れるような事態が生じ得る。しかし、本項の態様における脚部材の構造によれば、倒伏姿勢において、支柱部の基端部が、床部材の下面からある程度離れる状態となるため、上記事態を回避することが可能である。したがって、本項の態様によれば、収納状態における可動ステージの厚みを比較的薄くでき、可動ステージのコンパクト化が担保されることになる。
(7)前記1対の脚部材の倒伏姿勢から起立姿勢への回動方向が互い反対方向になるように構成され、かつ、前記1対の脚部材がともに起立姿勢をとる場合にそれらの前記突出部が互いに反対方向に突出するように構成された(6)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、起立状態において第2回動軸線回りの回動の禁止される方向が、1対の脚部材のうちの一方と他方とで、互いに逆になる。したがって、本項の態様によれば、第1回動軸線方向の両方の向きの横荷重に対して、可動ステージのぐらつきが、脚部材の床部材への取付け構造に依存して抑制されることになる。
(8)前記当接部の前記第2回動軸線から最も離れた箇所の前記第2回動軸線からの距離が、前記支柱部の長さの15%以上30%以下である(6)項または(7)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、脚部材の床部材への取付け構造に依存して、第1回動軸線方向の横荷重に対するぐらつきが効果的に抑制される。ちなみに、支柱部の長さに対する当接部の第2回動軸線から最も離れた箇所の第2回動軸線からの距離の比が大きい程、ぐらつきの抑制効果は大きくなるものの、倒伏姿勢における支柱部の基端部の床部材の下面からの突出代が大きくなる。したがって、本項の態様において、上記比は、ぐらつきの抑制効果とコンパクト化とを総合的に勘案し、上記範囲内において適切な値に決定すればよい。
(9)前記1対の脚部材の各々が、
その各々が起立姿勢をとる場合に、前記床部材の前記2つのコーナ部の対応する一方から前記第2回動軸線の延びる方向において前記一辺に向って離れた部分において、展開姿勢をとる前記床部材のその部分を支持すべく前記床部材の上面に対して直角となる第2支柱部を、前記支柱部である第1支柱部とは別に有する(4)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の可動ステージ。
本項の態様は、脚部材が、使用状態において、床部材のベースから離れた側のコーナ部だけでなく、例えば、ベース側のコーナ部に近い部分を支持可能な態様である。本項の態様によれば、1つの脚部材によって床部材の複数の部分が支持されるため、使用状態においてより堅牢な可動ステージが実現する。本項の態様は、ベース側の一辺に直角な辺、つまり、第2回動軸線に平行な辺の長さが比較的長い床部材を採用する可動ステージに対して、効果的な態様である。
なお、本項の態様は、第2支柱部が、使用状態において、当該可動ステージが配置される地面より、若干離れるようにされ、床部材に垂直方向の成分を有する荷重が作用した場合に接地するように構成されてもよい。逆に、使用状態において、第2支柱部が接地することによって、ベースが地面より離れるように構成されてもよい。前者の場合は、第2支柱部が補助的な脚として機能する態様であり、後者は、第2支柱部が荷重支持において主体的な役割を果たす態様である。なお、ここでいう「地面」とは、建物の内部に配置される場合は当該建物の床面をも含む概念であり、本明細書では、その床面をも含めて地面と呼ぶこととする。
(10)前記第2連結部が、前記第2支柱部の基端部に設けられた(9)項に記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、脚部材の構造が比較的簡単な構造となる。本項の態様の場合、第1支柱部と第2支柱部との相対位置関係が変化しないように、それら両者を、互いの先端部において固定的に繋ぐ梁部等を設けることが望ましい。
(11)前記1対の脚部材に対応して設けられ、それぞれが、前記1対の脚部材の対応するものが起立姿勢と倒伏姿勢との中間姿勢として設定された特定中間姿勢より起立姿勢側の回動位置にある場合には、その対応するものを起立姿勢に向う方向に付勢し、特定中間姿勢より倒伏姿勢側の回動位置に位置する場合には、倒伏姿勢に向かう方向に付勢する1対の付勢機構を備えた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の可動ステージ。
第1回動軸線と第2回動軸線とが平行にない可動ステージでは、ベースに対する床部材の回動動作と床部材に対する脚部材の回動動作とを連動させることが、構造上困難である。したがって、そのような可動ステージでは、例えば、収納状態から使用状態への移行に際し、まず、各脚部材を倒伏姿勢から起立姿勢に移行させ、次に、脚部材が起立姿勢にある状態のままで床部材を収納姿勢から展開姿勢に移行させる。したがって、使用状態への移行作業において、人力による補助なくして脚部材を起立姿勢に維持できることが要望される。また、収納状態においては、脚部材が不用意に起立状態に移行しないように、倒伏状態にしっかりと維持されることが要望される。本項に記載の態様では、上記特定の中間姿勢を境にして、脚部材が起立姿勢あるいは倒伏姿勢に付勢されるため、上記要望を満たすべく、脚部材を起立姿勢および倒伏姿勢に選択的に維持させることが、容易に実現されることになる。
なお、本項における付勢機構は、具体的な構造が特に限定されず、任意の機構を採用するものであってよい。例えば、付勢力を発生させる部材として、スプリングを適用することにより、簡便な構造の付勢機構を構築することが可能である。
(12)前記1対の脚部材の中間において前記第1回動軸線の延びる方向に直角な方向に延びる第3回動軸線回りに回動可能に前記床部材に保持され、前記床部材の下面に倒伏する倒伏姿勢と、前記床部材が展開姿勢となる場合においてそれの前記2つのコーナ部の中間に存在する部分を支持すべく前記床部材の下面に起立する起立姿勢とを選択的にとることを許容された中間脚部材を備えた(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の可動ステージ。
本項の態様は、1対の脚部材の間に、補助的な脚部材を採用する態様である。本項の態様によれば、より堅牢な可動ステージが実現される。本項の態様は、第1回動軸線に平行な辺の長さが長い床部材を採用する可動ステージに対して、効果的である。上記中間脚部材は、その辺の長さに応じて、適当な数設ければよい。なお、上記第3回動軸線は、1対の脚部材の各々の回動軸線である第2回動軸線に平行な軸線となる。
(13)前記中間脚部材が、
それが起立姿勢をとる場合に前記床部材の前記2つのコーナ部の中間に存在する部分において前記床部材の上面に対して直角となる中間支柱部と、
その中間支柱部の基端部に設けられ、前記床部材に前記第3回動軸線回りの回転を許容されつつ連結された第1連結部と、
前記第1連結部から前記第3回動軸線の延びる方向において前記一辺に向って離れた部分に設けられ、前記床部材に前記第3回動軸線回りの回転を許容されつつ連結された第2連結部と
を有する(12)項に記載の可動ステージ。
本項の態様は、1対の脚部材について先に説明した構造と同様の構造を、中間脚部材に採用する態様である。本項の態様によれば、例えば、中間脚部材を、1対の脚部材の少なくとも一方と略同構成とすることも可能であり、そのうような構成とすることにより、中間脚部材を採用する可動ステージ自体の構成の簡素化を図ることが可能となる。
(14)前記床部材が、前記ベース側辺縁部の前記第1回動軸線の延びる方向における両端部において、前記ベースに支持されており、
前記中間脚部材が、
前記床部材が展開姿勢をとりかつ当該中間脚部材が起立姿勢をとる場合に、自身の両端がそれぞれ、前記ベースの一部分と、前記床部材の前記ベース側辺縁部の前記第1回動軸線の延びる方向における中間の部分とに接触する状態で、それらの間に介在させられて、その中間の部分を前記ベースに支持させるための支持補助部を有する(12)項または(13)項に記載の可動ステージ。
ベースによる床部材の支持は、その支持の機構として床部材を回動可能に支持する機構を採用する必要があることから、簡素化の観点からすれば、ベース側辺縁部の両端部においてのみ行われることが望ましい。床部材に単純な回動動作を行わせるのではなく、例えば、第1回動軸線が平行移動するうような床部材の回動動作を実現させる場合には、その機構が複雑となる。その観点からすれば、尚更、ベース側辺縁部の両端部においてのみ行われることが望ましい。ところが、上記両端部のみ支持する構成の場合には、ベース側辺縁部の中間部に上方から荷重が作用した場合、床部材の撓みが生じる。本項の態様は、この撓みの抑制を目的とするものであり、本項の態様によれば、使用状態において、ベース側辺縁部の中間部が上記補助支持部を介して下方からベースによって支持されるため、床部材の撓みが効果的に抑制されることになる。
(15)当該可動ステージが、
それぞれが前記床部材であり、前記第1回動軸線が互いに平行でありかつ前記ベースの互いに反対側において展開姿勢をとる1対の床部材と、
それぞれが前記1対の脚部材であり、前記1対の床部材に対応する2対の脚部材と
を備えた(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の可動ステージ。
本項の態様によれば、1つのベースに対して2つの床部材が設けられているため、大きな床面積を有し、かつ、収納状態においてコンパクトな可動ステージが実現することになる。
請求可能発明の一実施形態である可動ステージの使用状態を示す斜視図である。
実施形態の可動ステージの収納状態を示す斜視図である。
実施形態の可動ステージの収納状態から使用状態への移行状態を示す斜視図である。
実施形態の可動ステージが有する機構であって、床部材を回動可能にベースに支持させるための支持機構を示す部分拡大図である。
実施形態の可動ステージが備える脚部材の正面図である。
図5の脚部材の側面図である。
図5の脚部材の図6とは反対側から見た側面図である。
実施形態の可動ステージが有する機構であって、脚部材を床部材に保持させる保持機構および脚部材を付勢する付勢機構を示す部分拡大図である。
実施形態の可動ステージが有する機構であって、床部材のベース側辺縁部の中間部をベースに支持させるための補助支持機構を示す部分拡大図である。
請求項可能発明の実施形態の変形例である可動ステージの使用状態を示す斜視図である。
変形例の可動ステージが備える脚部材の正面図である。
従来の可動ステージの使用状態を示す斜視図である。
従来の可動ステージの収納状態を示す正面図である。
従来の可動ステージの収納状態から使用状態への移行状態を示す正面図である。
従来の可動ステージの使用状態を示す正面図である。
従来の可動ステージの使用状態におけるぐらつきの様子を模式的に示す正面図である。
以下、請求可能発明の実施形態およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態および変形例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した種々の形態においてで実施することができる。
図1に使用状態を示す可動ステージ10は、ベース12と、それぞれが矩形形状をなしてベース12に回動可能に支持された1対の床部材14と、1対の床部材14の各々に対して3つずつ設けられた計6つの脚部材16を有している。床部材14の1つに対して設けられた3つの脚部材16は、床部材14のベース12から遠い2つコーナ部をそれぞれ支持するために、床部材14の前後方向の端部に回動可能に保持された1対の端部脚部材16a,16bと、それら2つのコーナ部の中間を支持するために、それら1対の端部脚部材16a,16bの中間に位置するように床部材14に回動可能に保持された中間脚部材16cとを備えている。なお、本実施形態の説明において、2つの床部材14の互いに隣接する辺、つまり、床部材14のベース12側の一辺の延びる方向を前後方向、その方向に直行する方向、つまり、ベース12側の一辺に直角な方向を左右方向と呼ぶこととする。また、脚部材16は、端部脚部材16a,16bと中間脚部材16cの総称として用い、それらを特に区別しない場合には、その総称で呼ぶこととする。
収納状態を示す図2、収納状態から使用状態への移行状態を示す図3をも参照しつつさらに詳しく説明すれば、ベース12は、前後方向における長さが長く、左右方向における幅が比較的狭い外形を有するベースフレーム30を主体として構成されている。ベースフレーム30の下部には、それぞれが車輪を有する4つのキャスタ32が取付けられており、ベース12は、それらキャスタ32において接地している。また、1対の床部材14の各々は、床フレーム34と、その床フレーム34にビスによって貼り付けられた木製の床板36とを主体として構成されている。
各床部材14は、ベース12側の一辺に沿った部分であるベース側辺縁部の両端部において、ベース12に回動可能に支持されている。その支持機構40は、可動ステージ10の前後に設けられ、各支持機構40は、ベース12の前後方向における端部部材である端部プレート42と、その端部プレート42の前後方向における中央寄りにおいてベースフレーム30に立設された支持プレート44とに跨って組み込まれている。図4に示すように、(図4では、端部プレート42は省略されている)、支持機構40は、1対の床部材14に対応して1対のリンク46を有している。端部プレート42および支持プレート44の左右方向の中央には軸穴が設けられ、各リンク46の基端部は、端部プレート42と支持プレート44との間において、それら軸穴によって支持された中心軸48に、回動可能に保持されている。各床部材14の床フレーム34の左右方向における端部には、軸穴が設けられ、1対のリンク46の対応するものの先端部は、この軸穴に支持された第1軸50に、回動可能に保持されている。一方、各床フレーム34には、上記一辺から離れる方向に第1軸50から離間したもう1つの軸穴が設けられており、その軸穴には第2軸52が支持されている。支持プレート44には、1対の円弧状長穴54が形成されており、各円弧状長穴54には、対応する床フレーム34に支持された第2軸52が挿入されている。第2軸52は、支持プレート44に対して回転可能とされ、かつ、円弧状長穴54内をそれに沿って移動可能とされている。
このような構造の支持機構40を採用することで、各床部材14は、ベース12の側の一辺に平行なそれぞれの回動軸線である第1回動軸線L1の回りに回動可能に、ベース12に支持されているのである。図2は収納状態であり、その状態では、各床部材14は、ベース12上に起立する収納姿勢にある。それに対して、図1は、使用状態であり、その状態では、各床部材14は、上面が水平となる展開姿勢となる。したがって、各床部材14は、収納姿勢と展開姿勢との間で、各床部材14に対応する第1回動軸線L1の回りに、回動可能とされているのである。ちなみに、各床部材14の第1回動軸線L1は互いに平行となっている。
厳密に言えば、上記構造の支持機構40を採用することから、第1回動軸線L1は、収納姿勢から展開姿勢に移行する際、上方に平行移動する。さらに詳しく言えば、各床部材14の第1回動軸線L1は、上方への移動に伴って、他方の床部材14の第1回動軸線L1から左右方向において離れ、その後、再び接近するように平行移動する。このような第1回動軸線L1の平行移動により、収納姿勢から展開姿勢に移行する際、1対の床部材14は、互いの床板36が干渉することなく回動することが許容され、かつ、展開姿勢において、互いの床板36がぴったりと接触するように位置することが可能とされる。
なお、各床部材14がベース12上に起立する方向に回動する場合、上記第1軸50は、支持プレート44に設けられた円弧状のスロット56に嵌り込み、その結果、各床部材14は、回動の範囲が制限される。つまり、このスロット56は、各床部材14の収納姿勢を決定するストッパとしての機能を有しているのである。ちなみに、各床部材14は、収納姿勢において、他方の床部材14に向って傾く姿勢となっており、収納状態において、自然に展開姿勢に向う方向に回動することが防止されている。なお、水平方向に向う回動は、脚部材16の先端部が地面に当接することで制限され、その結果、各床部材14の展開姿勢が決定されることになる。
1つの床部材14に回動可能に保持される3つの脚部材16の各々は、図5〜図7に示すような形状をしている。ちなみに、図5〜図7に示すものは、端部脚部材16bであり、右の床部材14に対しては後方の端部に設けられ、左の床部材14に対しては前方の端部に設けられるものである。図5は、使用状態において前後方向から見た正面図である。図6は、図5におけるA−A視、つまり、当該可動ステージ10の左右方向の外方から見た側面図であり、図7は、図5におけるB−B視、つまり、左右方向において中心から外方に向かって見た側面図である。ちなみに、端部脚部材16aは、端部脚部材16bに対して勝手違いとされており、中間脚部材16cは、後に詳しく説明するが、端部脚部材16aの左右方向における中央よりの部分に、若干の変更を加えたものである。以下の説明では、図5〜図7を参照しつつも、各脚部材16a,16b,16cをまとめて説明することとする。
脚部材16は、支柱部60と、短柱部62と、それらを繋ぐ梁部64と、支柱部60から横方向(前後方向)に突出する第1突出部66と、短柱部62から第1突出部66と同じ方向に突出する第2突出部68とを有しており、それらが、互いに固定的に接合されて構成されている。支柱部60,短柱部62,梁部64は、角パイプ形状の部材であり、第1突出部66,第2突出部68は、チャンネル形状の部材である。支柱部60と梁部64との接合箇所には、補強リブ70が付設されており、また、第1突出部66には、ブラケット72が付設されている。支柱部60の先端部には、展開姿勢において床部材14の上面を水平とするためのアジャスタ74が設けられている。このアジャスタ74は、支柱部60の角パイプ形状の部分の先端に螺合させられており、回転させることで、支柱部60の長さを調整可能とされている。また、アジャスタ74は、接地する部分がゴムにて形成されており、使用状態において、床部材14の上面に加わる衝撃を緩衝する役割をも果たしている。
第1突出部66,第2突出部68には、それぞれ、それらを貫通する貫通穴76,78が穿設されている。脚部材16は、それら貫通穴76,78を利用して第1突出部66,第2突出部68が、軸支されることで、床部材14の下面に回動可能に連結される。図2,図3に示すように、床部材14の床フレーム34には、下面に開口して前後方向に延びる2つの溝部80,82が形成されており、脚部材16の第1突出部66,第2突出部68が、それぞれ、溝部80,82に嵌め込まれた状態で、かつ、溝部80,82に設けられた軸84(図8参照)を貫通穴76,78に挿通させた状態で、床部材14に連結される。図8には、端部脚部材16bの床部材14への保持のための保持機構の一部分として、第1突出部66が溝部80に連結された部分を示している。
貫通穴76,78は、互いに同軸的に配置されており、それらの中心を結ぶ線が、脚部材16の回動軸線となる。詳しくは、貫通穴76,78は、端部脚部材16a,16bの第2回動軸線L2および中間脚部材16cの第3回動軸線L3を規定しているのである。つまり、第1突出部66の貫通穴76が設けられている部分が、支柱部60の基端部に設けられて回動可能に床部材14に連結された第1連結部86として機能するものとなっており、また、第2突出部68の貫通穴78が設けられている部分が、第1連結部86から回動軸線の延びる方向において床部材14のベース側辺縁部に向って離れた位置に設けられて回動可能に床部材14に連結された第2連結部88として機能するものとなっているのである。ちなみに、1つの床部材14に関して言えば、それら第2回動軸線L2,第3回動軸線L3は、互いに平行であり、それらの延びる方向は、当該床部材14の第1回動軸線L1の延びる方向に対して直角となっている。
図2示す収納状態では、各脚部材16は、自身を保持している床部材14の下面に倒伏する倒伏姿勢となり、図1に示す使用状態では、その床部材14の下面に起立する起立姿勢をとる。図3に示す状態は、2つの床部材14がともに収納姿勢となった状態において、一方の床部材14の3つの脚部材16のいずれもが、起立姿勢をとなった状態を示している。図1,図3から解るように、起立姿勢では、端部脚部材16a,16bの支柱部60は、床部材14のベース側辺縁部から離れた2つのコーナ部において、また、中間脚部材16cは、それら2つのコーナ部のちょうど真中において、それぞれ、床部材14の上面に直角となるように起立している。このような支柱部60を有する3つの脚部材16は、床部材14が展開姿勢をとる場合において、それら2つのコーナ部,それらコーナ部の中間部を、それぞれ支持するものとされているのである。なお、支柱部60の基端部の一部、詳しくは、支柱部60の基端側の端面および短柱部62の基端側の端面が、溝部80,82の底面にそれぞれ当接することで、起立姿勢を超えた各脚部材16の回動が禁止される。つまり、それらの端面が床部材14の下面に当接することで、脚部材16の起立姿勢が規定されるのである。
本可動ステージ10は、上述したような構造の脚部材16を有し、また、脚部材16の床部材14への保持のための保持機構として上述のような機構を有している。それ故に、本可動ステージ10では、図1に示す使用状態において、特定方向の横荷重に対してぐらつきが大きくなるといった現象が、効果的に抑制されることになる。具体的に言えば、床部材14は、ベース側辺縁部の両端部において、第1回動軸線L1回りに回動可能に支持されている。そのため、第1回動軸線L1に平行な方向(図1の白抜き矢印)、つまり、前後方向の横荷重が床部材14に作用した場合でも、当該可動ステージ10のぐらつきが抑制されることになる。詳しく言えば、床部材14は、第1回動軸線L1に平行な方向に移動不能にベース12に支持され、また、ベース12の高い剛性に依存することで、第1回動軸線L1の延びる方向の横荷重に対するぐらつきが抑制されるのである。その一方で、各脚部材16は、第1連結部86および第2連結部88において、第1回動軸線L1の延びる方向とは直角な方向に延びる第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3の回りに回動可能に保持されている。そのため、第1回動軸線L1に直角な方向(図1の塗りつぶし矢印)、つまり、左右方向の横荷重が床部材14に作用した場合でも、当該可動ステージ10のぐらつきが抑制されることになる。詳しく言えば、各脚部材16は、第1回動軸線L1に直角な方向に移動不能に床部材14に保持され、また、脚部材16の剛性および第1連結部86と第2連結部88とが互いに離間していることに依存して第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3に直角な軸線回りの回動が制限されており、それらのことによって、第1回動軸線L1に直角な方向の横荷重に対するぐらつきが抑制されているのである。なお、第1連結部86と第2連結部88との離間距離が、床部材14のベース12に沿って延びる1辺に直角な辺の長さの1/2以上とされており、そのことは、第1回動軸線L1に直角な方向の横荷重に対するぐらつきの抑制に、大きく貢献している。
また、先に説明したように、各脚部材16が起立姿勢をとる場合、支柱部60の基端部の一部および短柱部62の基端部一部が、それぞれ、当接部として、床部材14の下面に当接している。図6,図7に示すように、それら当接部は、第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3を規定する貫通穴76,78の中心から、前後方向において離れた位置に亘って存在している。詳しく言えば、当接部において第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3からもっとも離れた箇所のそれら第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3からの距離wは、支柱部60の長さHの15%以上30%以下とされている。そのため、脚部材16は、起立姿勢から、第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3回りの一回動方向の回動が、効果的に制限される。したがって、第1回動軸線L1に平行な方向の横荷重が床部材14に作用した場合、上述した脚部材16の構造および脚部材16の保持機構によっても、脚部材16の回動が制限される向きの横荷重に対してのぐらつきが抑制されることになる。
図2,図3から解るように、端部脚部材16aと端部脚部材16bとは、形状において反対勝手の関係にあり、第1突出部66,第2突出部68の突出方向は、端部脚部材16aと端部脚部材16bとでは、互いに反対方向となっている。そして、端部脚部材16aと端部脚部材16bとでは、倒伏姿勢から起立姿勢への回動方向が互い反対方向になっている。そのため、本可動ステージ10では、第1回動軸線L1に平行な方向の横荷重がいずれの向きに作用した場合であっても、脚部材16の構造および脚部材16の保持機構によって、当該可動ステージ10のぐらつきが抑制されることになるのである。以上説明した脚部材16の構造および脚部材16の保持機構によるぐらつきの抑制機能は、床部材14の左右方向においてベース12から離れた辺縁部に第1回動軸線L1に平行な方向の横荷重が作用した場合に、特に有効な機能となる。
なお、本可動ステージ10では、倒伏姿勢から起立姿勢への回動方向が、端部脚部材16aと端部脚部材16bとで互いに異ならせていることで、収納状態において、端部脚部材16aおよび端部脚部材16bのいずれもが、前後方向において床部材14より飛び出さないようになっている。また、本可動ステージ10では、中間脚部材16cと、端部脚部材16bとでは、倒伏姿勢から起立姿勢への回動方向が、互いに逆方向となっている。そのため、中間脚部材16cと端部脚部材16bとがともに倒伏姿勢をとる場合には、それらの支柱部60が互いに干渉し合う。中間脚部材16cおよび端部脚部材16bは、いずれも、上述したように、第1突出部66の先端部において回動可能に床部材14に保持されていることから、倒伏姿勢をとる場合に、支柱部60の基端部が床部材14の下面からはなれて位置することになる。そのことにより、中間脚部材16cと端部脚部材16bとがともに倒伏姿勢をとる場合、図2に示すように、それぞれの支柱部60が互いに重なるように倒伏させることが可能となる。つまり、2つの支柱部60の干渉によってそれらのいずれかの先端部が床部材14の下面から大きく離れるようなことが、回避されるのである。このことは、収納状態における可動ステージ10の厚み、つまり、左右方向における外寸法を比較的小さくすることに貢献しているのである。
次に、本可動ステージ10を、図2に示す収納状態から、図1に示す使用状態へ移行させる場合を考える。本可動ステージ10では、床部材14の回動とそれに保持された脚部材16の回動とが連動するようにはされていない。したがって、使用状態への移行の際、まず、1対の床部材14の各々に保持されている3つの脚部材16を、倒伏姿勢から起立姿勢にまで回動させ、次いで、それら脚部材16が起立姿勢にある状態において、各床部材14を、収納姿勢から展開姿勢に回動させる。床部材14を回動させる際、その回動のための作業の容易さの観点からすれば、いずれの脚部材16も起立姿勢をしっかりと維持していることが望ましい。また、別の観点からすれば、収納状態においては、脚部材16が、不用意に、起立姿勢にならないようにすることが望ましいのである。
本可動ステージ10では、各脚部材16が、起立姿勢にある場合にはその起立姿勢を、倒伏姿勢にある場合にはその倒伏姿勢を維持するための機構として、各脚部材16に対して、図8に示す付勢機構90が設けられている(図2,図3では図示を省略して、その配設位置のみを示している)。ちなみに、図8は、端部脚部材16bに対する付勢機構90を示している。付勢機構90は、各脚部材16の支柱部60の基端部近傍に配設されている。
図8に示すように、付勢機構90は、床部材14の溝部80に付設されたブラケット92と、そのブラケット92に支持されたL形金具94と、圧縮コイルスプリング96と、そのスプリング96に貫通してそれを保持するスプリング保持バー98とを含んで構成されている。スプリング保持バー98の先端部は、軸によって、脚部材16の第1突出部66に立設されたブラケット72に、回転可能に連結されている。また、スプリング保持バー98の基端部は、それの軸線方向の移動が許容される状態で、L形金具94に保持されている。そして、L形金具94は、ブラケット92に軸支されており、軸84によって規定される第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3に平行な軸線回りに、回転可能とされている。スプリング96は、圧縮された状態で、L形金具94とスプリング保持バー98の先端部とに挟まれている。
図8において、起立姿勢Saにある脚部材16は、実線で示されており、倒伏姿勢Sbにある脚部材16は、二点鎖線で示されている。起立姿勢Saと倒伏姿勢Sbとの間の回動によるブラケット72の軌跡は、第2回動軸線L2若しくは第3回動軸線L3を中心とした円弧状となる。よって、脚部材16が起立姿勢Saと倒伏姿勢Sbとの間の特定の中間姿勢Sc(二点鎖線で示されている)にある場合に、ブラケット72とL形金具94との距離は、最も短くなる。一方で、上記構成を有する付勢機構90は、スプリング92の力によって、脚部材16のブラケット72がL形金具94の回転中心から遠ざかるように、脚部材16を付勢している。したがって、脚部材16の回動位置が特定中間姿勢Scより起立姿勢Sa側にある場合には、付勢機構90は、スプリング96の力によって、脚部材16を起立姿勢Saに向う方向に付勢する。それに対し、脚部材16の回動位置が特定中間姿勢Scより倒伏姿勢Sb側にある場合には、付勢機構90は、脚部材16を倒伏姿勢Sbに向う方向に付勢する。このような付勢機構90の作用により、各脚部材16は、自身が起立姿勢にある場合には、その起立姿勢が維持され、倒伏姿勢にある場合には、その倒伏姿勢が維持されることになる。
本可動ステージ10では、先に説明したように、各床部材14は、ベース側辺縁部の両端部において、ベース12に支持され、ベース側辺縁部の両端部の間においては支持されていない。したがって、可動ステージ10が使用状態にある場合に、ベース側辺縁部の前後方向における中央部に上方から荷重が作用したときには、床部材14が撓むことが予想される。そこで、本可動ステージ10では、その中央部をベース12に支持させるための補助支持機構を備えている。
上記補助支持機構100は、図9に示すように、中間脚部材16cの短柱部62の先端部に付設されたジャッキボルト102と、そのジャッキボルト102の頭部を受けるためにベース12のフレーム30に設けられた受け座104とを含んで構成されている。ジャッキボルト102は、中間脚部材16cが起立姿勢をとる場合に、短柱部62の先端から床部材14から離れる方向に突出しており、回転させることによって突出代が調整可能とされている。中間脚部材16cが起立姿勢にある状態において、床部材14を収納姿勢から展開姿勢に回動させれば、ジャッキボルト102が、それの頭部が受け座104に設けられた穴に係合する状態で、その受け座104に当接する。つまり、中間脚部材16cは、短柱部62とそれに付設されたジャッキボルト102とを含んで構成される支持補助部106を有し、その支持補助部106は、ベース12の下面と、床部材14のベース側辺縁部の第1回動軸線L1の延びる方向における中間の部分とに接触し、その状態において、ベース12の下面と、床部材14のベース側辺縁部の上記中間の部分との間に介在させられて、その中間の部分をベース12に支持させる機能を有しているのである。この支持補助部106によって、使用状態における床部材14の上記撓みが抑制されるのである。
次に、上記可動ステージ10の変形例について説明する。変形例の説明において、上記可動ステージ10の構成要素と同じ若しくは類似する構成要素については、同じ符号を用いるものとし、それらの説明は省略するものとする。
変形例の可動ステージ150は、図10に示すように、可動ステージ10と同様、ベース12と、1対の床部材14とを備え、各床部材14に対して、3つの脚部材16を備えている。可動ステージ10と異なるところは、3つの脚部材のうちの端部脚部材16a,16bに代え、図11に示す形状の端部脚部材16d、16eを採用していることにある。図11に示すものは、端部脚部材16eであり、右の床部材14に対しては後方の端部に設けられ、左の床部材14に対しては前方の端部に設けられるものである。ちなみに、端部脚部材16dは、端部脚部材16eに対して勝手違いとされている。
端部脚部材16d、16eは、図11に示すように、端部脚部材16a,16bにおける短柱部62が伸ばされた格好になっている。言い換えれば、端部脚部材16a,16bにおける短柱部62に代え、支柱部60と同様のもう1つの支柱部152を有する構造とされている。つまり、支柱部60を第1支柱部60とした場合における第2支柱部152を有する構造とされている。この第2支柱部152は第1支柱部60と略同じ長さとされており、第1支柱部64と同様、先端部にアジャスタ74が設けられている。また、端部脚部材16d、16eは、短柱部62の代わりに第2支柱部152を有することで、端部脚部材16a,16bが有していた補強リブ70に代えて、第1梁部としての梁部64に加えて第2梁部154を有する構造とされている。第2梁部154は、第1支柱部60と第2支柱部152とを、それらの先端部付近において繋ぐものとなっている。なお、端部脚部材16d、16eでは、第2連結部88は、第2支柱部152の基端部に設けられていることになる。
図10に示す使用状態において、第2支柱部152は、先端部が地面から僅かに離れた状態となる長さに調整されてもよく、先端部が接地して、ベース12のキャスタ32が僅かに地面から浮くような長さに調整されてもよい。前者の場合には、床部材14に荷重がかかった際に床部材14が僅かに撓む際に、その荷重の一部を支え受けることになり、後者の場合には、床部材14の荷重は、殆どのときに第2支柱部154によって支え受けることになる。なお、中間脚部材16cに代えて、端部脚部材16d,16eと同じ構造の中間脚部材を採用することも可能である。
この変形例の可動ステージ150の場合にも、先の可動ステージ10と同様、第1回動軸線L1の延びる方向と第2回動軸線L2,第3回動軸線L3の延びる方向とが直角となっている。したがって、同様に、第1回動軸線L1に平行な方向の横荷重が床部材14に作用した場合でも、また、第1回動軸線L1に直角な方向の横荷重が床部材14に作用した場合でも、可動ステージ150のぐらつきが抑制されることになる。なお、可動ステージ10が有する構造上および構成上の特徴に依拠する種々の作用,効果,利点等は、本可動ステージ150においても得られる。