JP4745227B2 - エレベータ制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、エレベータの運転制御のための様々な演算処理をコンピュータにより行おうとすると、プログラム異常やハードの能力的な問題など、何等かの原因により演算処理が正しい順序で行われなくなる恐れがあり、その場合、二次的な異常が検出されるまでエレベータがそのまま運転されてしまう。特に、プログラム異常で自己ループしているような異常を検出するのは困難であった。
この発明によるエレベータ制御装置は、RAM、及びエレベータの運転制御に関するプログラムが格納されたプログラム記憶部と、プログラムに基づいて複数の演算処理を実行する処理部とを有する制御装置本体を備え、制御装置本体は、演算処理を実行したときにそれぞれの演算処理に対応した処理情報をRAMに書き込むとともに、RAMに書き込まれた処理情報のパターンから演算処理の実行順序が正常であるかどうかを監視する。
図2は図1の非常止め装置を示す正面図、
図3は図2の非常止め装置の作動時の状態を示す正面図、
図4はこの発明の実施の形態2によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図5は図4の非常止め装置を示す正面図、
図6は図5の作動時の非常止め装置を示す正面図、
図7は図6の駆動部を示す正面図、
図8はこの発明の実施の形態3によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図9はこの発明の実施の形態4によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図10はこの発明の実施の形態5によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図11はこの発明の実施の形態6によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図12は図11のエレベータ装置の他の例を示す構成図、
図13はこの発明の実施の形態7によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図14はこの発明の実施の形態8によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図15は図7の駆動部の他の例を示す正面図、
図16はこの発明の実施の形態9による非常止め装置を示す平断面図、
図17はこの発明の実施の形態10による非常止め装置を示す一部破断側面図、
図18はこの発明の実施の形態11によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図19は図18の記憶部に記憶されたかご速度異常判断基準を示すグラフ、
図20は図18の記憶部に記憶されたかご加速度異常判断基準を示すグラフ、
図21はこの発明の実施の形態12によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図22はこの発明の実施の形態13によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図23は図22の綱止め装置及び各ロープセンサを示す構成図、
図24は図23の1本の主ロープが破断された状態を示す構成図、
図25はこの発明の実施の形態14によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図26はこの発明の実施の形態15によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図27は図26のかご及びドアセンサを示す斜視図、
図28は図27のかご出入口が開いている状態を示す斜視図、
図29はこの発明の実施の形態16によるエレベータ装置を模式的に示す構成図、
図30は図29の昇降路上部を示す構成図、
図31はこの発明の実施の形態17によるエレベータ制御装置を示すブロック図、
図32は図31のエレベータ制御装置の初期動作を示すフローチャート、
図33は図31のエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャート、
図34は図31のRAMに書き込まれた処理情報の正常なパターンを示す説明図、
図35は図34のTBL[0]〜[9]を初期化した状態を示す説明図、
図36はこの発明の実施の形態18によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャート、
図37はこの発明の実施の形態19によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャート、
図38はこの発明の実施の形態20によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャート、
図39は図38の履歴演算により記録されるデータの例を示す説明図、
図40は図38の履歴演算の流れを示すフローチャート、
図41はこの発明の実施の形態21によるエレベータ装置を示す構成図、
図42は図41のエレベータ制御装置(安全装置)による割り込み演算の流れを示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、昇降路1内には、一対のかごガイドレール2が設置されている。かご3は、かごガイドレール2に案内されて昇降路1内を昇降される。昇降路1の上端部には、かご3及び釣合おもり(図示しない)を昇降させる巻上機(図示しない)が配置されている。巻上機の駆動シーブには、主ロープ4が巻き掛けられている。かご3及び釣合おもりは、主ロープ4により昇降路1内に吊り下げられている。かご3には、制動手段である一対の非常止め装置5が各かごガイドレール2に対向して搭載されている。各非常止め装置5は、かご3の下部に配置されている。かご3は、各非常止め装置5の作動により制動される。
また、昇降路1の上端部には、かご3の昇降速度を検出するかご速度検出手段である調速機6が配置されている。調速機6は、調速機本体7と、調速機本体7に対して回転可能な調速機シーブ8とを有している。昇降路1の下端部には、回転可能な張り車9が配置されている。調速機シーブ8と張り車9との間には、かご3に連結されたガバナロープ10が巻き掛けられている。ガバナロープ10のかご3との連結部は、かご3とともに上下方向へ往復動される。これにより、調速機シーブ8及び張り車9は、かご3の昇降速度に対応した速度で回転される。
調速機6は、かご3の昇降速度が予め設定された第1過速度となったときに巻上機のブレーキ装置を作動させるようになっている。また、調速機6には、かご3の降下速度が第1過速度よりも高速の第2過速度(設定過速度)となったときに非常止め装置5へ作動信号を出力する出力部であるスイッチ部11が設けられている。スイッチ部11は、回転する調速機シーブ8の遠心力に応じて変位される過速レバーによって機械的に開閉される接点部16を有している。接点部16は、停電時にも給電可能な無停電電源装置であるバッテリ12、及びエレベータの運転を制御する制御盤13に、それぞれ電源ケーブル14及び接続ケーブル15によって電気的に接続されている。
かご3と制御盤13との間には、制御ケーブル(移動ケーブル)が接続されている。制御ケーブルには、複数の電力線や信号線と共に、制御盤13と各非常止め装置5との間に電気的に接続された非常止め用配線17が含まれている。バッテリ12からの電力は、接点部16の閉極により、電源ケーブル14、スイッチ部11、接続ケーブル15、制御盤13内の電力供給回路及び非常止め用配線17を通じて各非常止め装置5へ供給される。なお、伝送手段は、接続ケーブル15、制御盤13内の電力供給回路及び非常止め用配線17を有している。
図2は図1の非常止め装置5を示す正面図であり、図3は図2の作動時の非常止め装置5を示す正面図である。図において、かご3の下部には、支持部材18が固定されている。非常止め装置5は、支持部材18に支持されている。また、各非常止め装置5は、かごガイドレール2に対して接離可能な一対の制動部材である楔19と、楔19に連結され、かご3に対して楔19を変位させる一対のアクチュエータ部20と、支持部材18に固定され、アクチュエータ部20により変位される楔19をかごガイドレール2に接する方向へ案内する一対の案内部21とを有している。一対の楔19、一対のアクチュエータ部20及び一対の案内部21は、それぞれかごガイドレール2の両側に対称に配置されている。
案内部21は、かごガイドレール2との間隔が上方で小さくなるようにかごガイドレール2に対して傾斜された傾斜面22を有している。楔19は、傾斜面22に沿って変位される。アクチュエータ部20は、楔19を上方の案内部21側へ付勢する付勢部であるばね23と、通電による電磁力によりばね23の付勢に逆らって案内部21から離れるように楔19を下方へ変位させる電磁マグネット24とを有している。
ばね23は、支持部材18と楔19との間に接続されている。電磁マグネット24は、支持部材18に固定されている。非常止め用配線17は、電磁マグネット24に接続されている。楔19には、電磁マグネット24に対向する永久磁石25が固定されている。電磁マグネット24への通電は、接点部16(図1参照)の閉極によりバッテリ12(図1参照)からなされる。接点部16(図1参照)の開極により電磁マグネット24への通電が遮断されることによって、非常止め装置5は作動される。即ち、一対の楔19は、ばね23の弾性復元力によってかご3に対して上方へ変位され、かごガイドレール2に押し付けられる。
次に、動作について説明する。通常運転時には、接点部16は閉極されている。これにより、電磁マグネット24にはバッテリ12から電力が供給されている。楔19は、通電による電磁力により電磁マグネット24に吸引保持され、かごガイドレール2から開離されている(図2)。
例えば主ロープ4の切断等によりかご3の速度が上昇し第1過速度になると、巻上機のブレーキ装置が作動する。巻上機のブレーキ装置の作動後においてもかご3の速度がさらに上昇し第2過速度になると、接点部16が開極される。これにより、各非常止め装置5の電磁マグネット24への通電は遮断され、楔19はばね23の付勢によりかご3に対して上方へ変位される。このとき、楔19は案内部21の傾斜面22に接触しながら傾斜面22に沿って変位される。この変位により、楔19はかごガイドレール2に接触して押し付けられる。楔19は、かごガイドレール2への接触により、さらに上方へ変位されてかごガイドレール2と案内部21との間に噛み込む。これにより、かごガイドレール2と楔19との間に大きな摩擦力が発生し、かご3が制動される(図3)。
かご3の制動を解除するときには、接点部16の閉極により電磁マグネット24に通電した状態で、かご3を上昇させる。これにより、楔19は下方へ変位され、かごガイドレール2から開離される。
このようなエレベータ装置では、バッテリ12に接続されたスイッチ部11と各非常止め装置5とが電気的に接続されているので、調速機6で検出されたかご3の速度の異常を電気的な作動信号としてスイッチ部11から各非常止め装置5へ伝送することができ、かご3の速度の異常が検出されてから短時間でかご3を制動させることができる。これにより、かご3の制動距離を小さくすることができる。しかも、各非常止め装置5を容易に同期作動させることができ、かご3を安定して停止させることができる。また、非常止め装置5は電気的な作動信号により作動されるので、かご3の揺れ等による誤作動も防止することができる。
また、非常止め装置5は、楔19を上方の案内部21側へ変位させるアクチュエータ部20と、上方へ変位される楔19をかごガイドレール2に接する方向へ案内する傾斜面22を含む案内部21とを有しているので、かご3が下降しているときに、楔19のかごガイドレール2に対する押し付け力を確実に増大させることができる。
また、アクチュエータ部20は、楔19を上方へ付勢するばね23と、ばね23の付勢に逆らって楔19を下方へ変位させる電磁マグネット24とを有しているので、簡単な構成で楔19を変位させることができる。
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、かご3は、かご出入口26が設けられたかご本体27と、かご出入口26を開閉するかごドア28とを有している。昇降路1には、かご3の速度を検出するかご速度検出手段であるかご速度センサ31が設けられている。制御盤13内には、かご速度センサ31に電気的に接続された出力部32が搭載されている。出力部32には、バッテリ12が電源ケーブル14を介して接続されている。出力部32からは、かご3の速度を検出するための電力がかご速度センサ31へ供給される。出力部32には、かご速度センサ31からの速度検出信号が入力される。
かご3の下部には、かご3を制動する制動手段である一対の非常止め装置33が搭載されている。出力部32と各非常止め装置33とは、非常止め用配線17により互いに電気的に接続されている。出力部32からは、かご3の速度が第2過速度であるときに作動用電力である作動信号が非常止め装置33へ出力される。非常止め装置33は、作動信号の入力により作動される。
図5は図4の非常止め装置33を示す正面図であり、図6は図5の作動時の非常止め装置33を示す正面図である。図において、非常止め装置33は、かごガイドレール2に対して接離可能な制動部材である楔34と、楔34の下部に連結されたアクチュエータ部35と、楔34の上方に配置され、かご3に固定された案内部36とを有している。楔34及びアクチュエータ部35は、案内部36に対して上下動可能に設けられている。楔34は、案内部36に対する上方への変位、即ち案内部36側への変位に伴って案内部36によりかごガイドレール2に接触する方向へ案内される。
アクチュエータ部35は、かごガイドレール2に対して接離可能な円柱状の接触部37と、かごガイドレール2に接離する方向へ接触部37を変位させる作動機構38と、接触部37及び作動機構38を支持する支持部39とを有している。接触部37は、作動機構38によって容易に変位できるように楔34よりも軽くなっている。作動機構38は、接触部37をかごガイドレール2に接触させている接触位置と接触部37をかごガイドレール2から開離させている開離位置との間で往復変位可能な可動部40と、可動部40を変位させる駆動部41とを有している。
支持部39及び可動部40には、支持案内穴42及び可動案内穴43がそれぞれ設けられている。支持案内穴42及び可動案内穴43のかごガイドレール2に対する傾斜角度は、互いに異なっている。接触部37は、支持案内穴42及び可動案内穴43に摺動可能に装着されている。接触部37は、可動部40の往復変位に伴って可動案内穴43を摺動され、支持案内穴42の長手方向に沿って変位される。これにより、接触部37は、かごガイドレール2に対して適正な角度で接離される。かご3の下降時に接触部37がかごガイドレール2に接触すると、楔34及びアクチュエータ部35は制動され、案内部36側へ変位される。
支持部39の上部には、水平方向に延びた水平案内穴47が設けられている。楔34は、水平案内穴47に摺動可能に装着されている。即ち、楔34は、支持部39に対して水平方向に往復変位可能になっている。
案内部36は、かごガイドレール2を挟むように配置された傾斜面44及び接触面45を有している。傾斜面44は、かごガイドレール2との間隔が上方で小さくなるようにかごガイドレール2に対して傾斜されている。接触面45は、かごガイドレール2に対して接離可能になっている。楔34及びアクチュエータ部35の案内部36に対する上方への変位に伴って、楔34は傾斜面44に沿って変位される。これにより、楔34及び接触面45は互いに近づくように変位され、かごガイドレール2は楔34及び接触面45により挟み付けられる。
図7は、図6の駆動部41を示す正面図である。図において、駆動部41は、可動部40に取り付けられた付勢部である皿ばね46と、通電による電磁力により可動部40を変位させる電磁マグネット48とを有している。
可動部40は、皿ばね46の中央部分に固定されている。皿ばね46は、可動部40の往復変位により変形される。皿ばね46の付勢の向きは、可動部40の変位による変形により、可動部40の接触位置(実線)と開離位置(二点破線)との間で反転されるようになっている。可動部40は、皿ばね46の付勢により、接触位置及び開離位置にそれぞれ保持される。即ち、かごガイドレール2に対する接触部37の接触状態及び開離状態は、皿ばね46の付勢により保持される。
電磁マグネット48は、可動部40に固定された第1電磁部49と、第1電磁部49に対向して配置された第2電磁部50とを有している。可動部40は、第2電磁部50に対して変位可能になっている。電磁マグネット48には、非常止め用配線17が接続されている。第1電磁部49及び第2電磁部50は、電磁マグネット48への作動信号の入力により電磁力を発生し、互いに反発される。即ち、第1電磁部49は、電磁マグネット48への作動信号の入力により、可動部40とともに第2電磁部50から離れる向きへ変位される。
なお、出力部32は、非常止め機構5の作動後の復帰のための復帰信号を復帰時に出力するようになっている。第1電磁部49及び第2電磁部50は、電磁マグネット48への復帰信号の入力により互いに吸引される。他の構成は実施の形態1と同様である。
次に、動作について説明する。通常運転時には、可動部40は開離位置に位置しており、接触部37は皿ばね46の付勢によりかごガイドレール2から開離されている。接触部37がかごガイドレール2から開離された状態では、楔34は、案内部36との間隔が保たれており、かごガイドレール2から開離されている。
かご速度センサ31で検出された速度が第1過速度になると、巻上機のブレーキ装置が作動する。この後もかご3の速度が上昇し、かご速度センサ31で検出された速度が第2過速度になると、作動信号が出力部32から各非常止め装置33へ出力される。作動信号の電磁マグネット48への入力により、第1電磁部49及び第2電磁部50は互いに反発される。この電磁反発力により、可動部40は接触位置へ変位される。これに伴って、接触部37はかごガイドレール2に対して接触する方向へ変位される。可動部40が接触位置に達するまでに、皿ばね46の付勢の向きは接触位置で可動部40を保持する向きに反転する。これにより、接触部37はかごガイドレール2に接触して押し付けられ、楔34及びアクチュエータ部35は制動される。
かご3及び案内部36は制動されずに下降することから、案内部36は下方の楔34及びアクチュエータ部35側へ変位される。この変位により、楔34は傾斜面44に沿って案内され、かごガイドレール2は楔34及び接触面45によって挟み付けられる。楔34は、かごガイドレール2への接触により、さらに上方へ変位されてかごガイドレール2と傾斜面44との間に噛み込む。これにより、かごガイドレール2と楔34との間、及びかごガイドレール2と接触面45との間に大きな摩擦力が発生し、かご3が制動される。
復帰時には、出力部32から復帰信号が電磁マグネット48へ伝送される。これにより、第1電磁部49及び第2電磁部50は互いに吸引され、可動部40は開離位置へ変位される。これに伴って、接触部37はかごガイドレール2に対して開離する方向へ変位される。可動部40が開離位置に達するまでに、皿ばね46の付勢の向きは反転し、可動部40は開離位置で保持される。この状態で、かご3が上昇され、楔34及び接触面45のかごガイドレール2に対する押し付けは解除される。
このようなエレベータ装置では、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、かご3の速度を検出するためにかご速度センサ31が昇降路1内に設けられているので、調速機及びガバナロープを用いる必要がなくなり、エレベータ装置全体の据付スペースを小さくすることができる。
また、アクチュエータ部35は、かごガイドレール2に接離可能な接触部37と、かごガイドレール2に接離する方向へ接触部37を変位させる作動機構38とを有しているので、接触部37の重量を楔34よりも軽くすることにより、作動機構38の接触部37に対する駆動力を小さくすることができ、作動機構38を小形化することができる。さらに、接触部37を軽量にすることで、接触部37の変位速度も大きくすることができ、制動力の発生までに要する時間を短縮することができる。
また、駆動部41は、可動部40を接触位置及び開離位置で保持する皿ばね46と、通電により可動部40を変位させる電磁マグネット48とを有しているので、可動部40の変位時のみの電磁マグネット48への通電で可動部40を接触位置あるいは開離位置に確実に保持することができる。
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、かご出入口26には、かごドア28の開閉状態を検出するドア開閉検出手段であるドア開閉センサ58が設けられている。ドア開閉センサ58には、制御盤13に搭載された出力部59が制御ケーブルを介して接続されている。また、出力部59には、かご速度センサ31が電気的に接続されている。かご速度センサ31からの速度検出信号及びドア開閉センサ58からの開閉検出信号は、出力部59に入力される。出力部59では、速度検出信号及び開閉検出信号の入力により、かご3の速度及びかご出入口26の開閉状態が把握される。
出力部59は、非常止め用配線17を介して非常止め装置33に接続されている。出力部59は、かご速度センサ31からの速度検出信号、及びドア開閉センサ58からの開閉検出信号により、かご出入口26が開いた状態でかご3が昇降したときに作動信号を出力するようになっている。作動信号は、非常止め用配線17を通じて非常止め装置33へ伝送される。他の構成は実施の形態2と同様である。
このようなエレベータ装置では、かご3の速度を検出するかご速度センサ31と、かごドア28の開閉状態を検出するドア開閉センサ58とが出力部59に電気的に接続され、かご出入口26が開いた状態でかご3が下降したときに、作動信号が出力部59から非常止め装置33へ出力されるようになっているので、かご出入口26が開いた状態でのかご3の下降を防止することができる。
なお、非常止め装置33を上下逆にしたものをさらにかご3に装着してもよい。このようにすれば、かご出入口26が開いた状態でのかご3の上昇も防止することができる。
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、主ロープ4には、主ロープ4の切断を検出するロープ切れ検出手段である切断検出導線61が挿通されている。切断検出導線61には、微弱電流が流されている。主ロープ4の切断の有無は、微弱電流の通電の有無により検出される。切断検出導線61には、制御盤13に搭載された出力部62が電気的に接続されている。切断検出導線61が切断されると、切断検出導線61の通電の遮断信号であるロープ切断信号が出力部62に入力される。出力部62にはまた、かご速度センサ31が電気的に接続されている。
出力部62は、非常止め用配線17を介して非常止め装置33に接続されている。出力部62は、かご速度センサ31からの速度検出信号、及び切断検出導線61からのロープ切断信号により、主ロープ4の切断時に作動信号を出力するようになっている。作動信号は、非常止め用配線17を通じて非常止め装置33へ伝送される。他の構成は実施の形態2と同様である。
このようなエレベータ装置では、かご3の速度を検出するかご速度センサ31と、主ロープ4の切断を検出する切断検出導線61とが出力部62に電気的に接続され、主ロープ4の切断時に作動信号が出力部62から非常止め装置33へ出力されるようになっているので、かご3の速度の検出及び主ロープ4の切断の検出により異常速度で下降するかご3をさらに確実に制動させることができる。
なお、上記の例では、ロープ切れ検出手段として、主ロープ4に挿通された切断検出導線61の通電の有無を検出する方法が用いられているが、例えば主ロープ4のテンションの変化を測定する方法を用いてもよい。この場合、主ロープ4のロープ止めにテンション測定器が設置される。
実施の形態5.
図10は、この発明の実施の形態5によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、昇降路1内には、かご3の位置を検出するかご位置検出手段であるかご位置センサ65が設けられている。かご位置センサ65及びかご速度センサ31は、制御盤13に搭載された出力部66に電気的に接続されている。出力部66は、通常運転時のかご3の位置、速度、加減速度及び停止階等の情報を含む制御パターンが記憶されたメモリ部67を有している。出力部66には、かご速度センサ31からの速度検出信号、及びかご位置センサ65からのかご位置信号が入力される。
出力部66は、非常止め用配線17を介して非常止め装置33に接続されている。出力部66では、速度検出信号及びかご位置信号によるかご3の速度及び位置(実測値)と、メモリ部67に記憶された制御パターンによるかご3の速度及び位置(設定値)とが比較されるようになっている。出力部66は、実測値と設定値との偏差が所定の閾値を超えたときに作動信号を非常止め装置33へ出力するようになっている。ここで、所定の閾値とは、かご3が通常の制動により昇降路1の端部に衝突することなく停止するための最低限の実測値と設定値との偏差である。他の構成は実施の形態2と同様である。
このようなエレベータ装置では、出力部66は、かご速度センサ31及びかご位置センサ65からの実測値と制御パターンの設定値との偏差が所定の閾値を超えたときに作動信号を出力するようになっているので、かご3の昇降路1の端部への衝突を防止することができる。
実施の形態6.
図11は、この発明の実施の形態6によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、昇降路1内には、第1かごである上かご71と、上かご71の下方に位置する第2かごである下かご72とが配置されている。上かご71及び下かご72は、かごガイドレール2に案内されて昇降路1内を昇降される。昇降路1内の上端部には、上かご71及び上かご用釣合おもり(図示しない)を昇降させる第1巻上機(図示しない)と、下かご72及び下かご用釣合おもり(図示しない)を昇降させる第2巻上機(図示しない)とが設置されている。第1巻上機の駆動シーブには第1主ロープ(図示しない)が、第2巻上機の駆動シーブには第2主ロープ(図示しない)がそれぞれ巻き掛けられている。上かご71及び上かご用釣合おもりは第1主ロープにより吊り下げられ、下かご72及び下かご用釣合おもりは第2主ロープにより吊り下げられている。
昇降路1内には、上かご71の速度及び下かご72の速度を検出するかご速度検出手段である上かご速度センサ73及び下かご速度センサ74が設けられている。また、昇降路1内には、上かご71の位置及び下かご72の位置を検出するかご位置検出手段である上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76が設けられている。
なお、かご動作検出手段は、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76を有している。
上かご71の下部には、実施の形態2で用いられる非常止め装置33と同様の構成の制動手段である上かご用非常止め装置77が搭載されている。下かご72の下部には、上かご用非常止め装置77と同様の構成の制動手段である下かご用非常止め装置78が搭載されている。
制御盤13内には、出力部79が搭載されている。出力部79には、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76が電気的に接続されている。また、出力部79には、バッテリ12が電源ケーブル14を介して接続されている。上かご速度センサ73からの上かご速度検出信号、下かご速度センサ74からの下かご速度検出信号、上かご位置センサ75からの上かご位置検出信号、及び下かご位置センサ76からの下かご位置検出信号は、出力部79へ入力される。即ち、出力部79には、かご動作検出手段からの情報が入力される。
出力部79は、非常止め用配線17を介して上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78に接続されている。また、出力部79は、かご動作検出手段からの情報により、上かご71あるいは下かご72の昇降路1の端部への衝突の有無、及び上かご71と下かご72との衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに作動信号を上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78へ出力するようになっている。上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78は、作動信号の入力により作動される。
なお、監視部は、かご動作検出手段と出力部79とを有している。上かご71及び下かご72の走行状態は、監視部により監視される。他の構成は実施の形態2と同様である。
次に、動作について説明する。出力部79では、かご動作検出手段からの情報の出力部79への入力により、上かご71あるいは下かご72の昇降路1の端部への衝突の有無、及び上かご71と下かご72との衝突の有無が予測される。例えば上かご71を吊り下げている第1主ロープの切断により上かご71と下かご72との衝突が出力部79で予測されたとき、出力部79から上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78へ作動信号が出力される。これにより、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78は作動され、上かご71及び下かご72は制動される。
このようなエレベータ装置では、監視部が、同一昇降路1内を昇降する上かご71及び下かご72のそれぞれの実際の動きを検出するかご動作検出手段と、かご動作検出手段からの情報により上かご71と下かご72との衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに作動信号を上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78へ出力する出力部79を有しているので、上かご71及び下かご72のそれぞれの速度が設定過速度に達していなくても、上かご71と下かご72との衝突が予測されるときには、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78を作動させることができ、上かご71と下かご72との衝突を回避することができる。
また、かご動作検出手段が上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及び上かご位置センサ76を有しているので、上かご71及び下かご72のそれぞれの実際の動きを簡単な構成で容易に検出することができる。
なお、上記の例では、出力部79は制御盤13内に搭載されているが、上かご71及び下かご72のそれぞれに出力部79を搭載してもよい。この場合、図12に示すように、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76は、上かご71に搭載された出力部79、及び下かご72に搭載された出力部79の両方にそれぞれ電気的に接続される。
また、上記の例では、出力部79は、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78の両方へ作動信号を出力するようになっているが、かご動作検出手段からの情報に応じて、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78の一方のみへ作動信号を出力するようにしてもよい。この場合、出力部79では、上かご71と下かご72との衝突の有無が予測されるとともに、上かご71及び下かご72のそれぞれの動きの異常の有無も判断される。作動信号は、上かご71及び下かご72のうちの異常な動きをする方に搭載された非常止め装置のみへ出力部79から出力される。
実施の形態7.
図13は、この発明の実施の形態7によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、上かご71には出力部である上かご用出力部81が搭載され、下かご72には出力部である下かご用出力部82が搭載されている。上かご用出力部81には、上かご速度センサ73、上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76が電気的に接続されている。下かご用出力部82には、下かご速度センサ74、下かご位置センサ76及び上かご位置センサ75が電気的に接続されている。
上かご用出力部81は、上かご71に設置された伝送手段である上かご非常止め用配線83を介して上かご用非常止め装置77に電気的に接続されている。また、上かご用出力部81は、上かご速度センサ73、上かご位置センサ75及び下かご位置センサ76からのそれぞれの情報(以下この実施の形態において、「上かご用検出情報」という)により、上かご71の下かご72への衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに上かご用非常止め装置77へ作動信号を出力するようになっている。さらに、上かご用出力部81は、上かご用検出情報が入力されたときに、下かご72が通常運転時の最大速度で上かご71側へ走行していると仮定して上かご71の下かご72への衝突の有無を予測するようになっている。
下かご用出力部82は、下かご72に設置された伝送手段である下かご非常止め用配線84を介して下かご用非常止め装置78に電気的に接続されている。また、下かご用出力部82は、下かご速度センサ74、下かご位置センサ76及び上かご位置センサ75からのそれぞれの情報(以下この実施の形態において、「下かご用検出情報」という)により、下かご72の上かご71への衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに下かご用非常止め装置78へ作動信号を出力するようになっている。さらに、下かご用出力部82は、下かご用検出情報が入力されたときに、上かご71が通常運転時の最大速度で下かご72側へ走行していると仮定して下かご72の上かご71への衝突の有無を予測するようになっている。
上かご71及び下かご72は、通常時には、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78が作動しないように互いに十分な間隔を置いて運転制御される。他の構成は実施の形態6と同様である。
次に、動作について説明する。例えば上かご71を吊り下げている第1主ロープの切断により上かご71が下かご72側へ落下して、上かご71が下かご72に近づくと、上かご用出力部81では上かご71と下かご72との衝突が予測され、下かご用出力部82では上かご71と下かご72との衝突が予測される。これにより、上かご用出力部81からは上かご用非常止め装置77へ、下かご用出力部82からは下かご用非常止め装置78へ作動信号がそれぞれ出力される。これにより、上かご用非常止め装置77及び下かご用非常止め装置78は作動され、上かご71及び下かご72は制動される。
このようなエレベータ装置では、実施の形態6と同様な効果を奏するとともに、上かご速度センサ73が上かご用出力部81のみに電気的に接続され、下かご速度センサ74が下かご用出力部82のみに電気的に接続されているので、上かご速度センサ73と下かご用出力部82との間、及び下かご速度センサ74と上かご用出力部81との間に電気配線を設ける必要がなくなり、電気配線の設置作業を簡素化することができる。
実施の形態8.
図14は、この発明の実施の形態8によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、上かご71及び下かご72には、上かご71と下かご72との間の距離を検出するかご間距離検出手段であるかご間距離センサ91が搭載されている。かご間距離センサ91は、上かご71に搭載されたレーザ照射部と、下かご72に搭載された反射部とを有している。上かご71と下かご72との間の距離は、レーザ照射部と反射部との間のレーザ光の往復時間によりかご間距離センサ91により求められる。
上かご用出力部81には、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及びかご間距離センサ91が電気的に接続されている。下かご用出力部82には、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、下かご位置センサ76及びかご間距離センサ91が電気的に接続されている。
上かご用出力部81は、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、上かご位置センサ75及びかご間距離センサ91からのそれぞれの情報(以下この実施の形態において、「上かご用検出情報」という)により、上かご71の下かご72への衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに上かご用非常止め装置77へ作動信号を出力するようになっている。
下かご用出力部82は、上かご速度センサ73、下かご速度センサ74、下かご位置センサ76及びかご間距離センサ91からのそれぞれの情報(以下この実施の形態において、「下かご用検出情報」という)により、下かご72の上かご71への衝突の有無を予測し、衝突が予測されたときに下かご用非常止め装置78へ作動信号を出力するようになっている。他の構成は実施の形態7と同様である。
このようなエレベータ装置では、出力部79がかご間距離センサ91からの情報により上かご71と下かご72との衝突の有無を予測するようになっているので、上かご71と下かご72との衝突の有無の予測をさらに確実にすることができる。
なお、上記実施の形態6〜8によるエレベータ装置に、実施の形態3のドア開閉センサ58を適用して出力部に開閉検出信号が入力されるようにしてもよいし、実施の形態4の切断検出導線61を適用して出力部にロープ切断信号が入力されるようにしてもよい。
また、上記実施の形態2〜8では、駆動部は、第1電磁部49及び第1電磁部50の電磁反発力あるいは電磁吸引力を利用して駆動されているが、例えば導電性の反発板に発生する渦電流を利用して駆動されるようになっていてもよい。この場合、図15に示すように、電磁マグネット48には作動信号としてパルス電流が供給され、可動部40に固定された反発板51に発生する渦電流と電磁マグネット48からの磁界との相互作用によって、可動部40が変位される。
また、上記実施の形態2〜8では、かご速度検出手段は昇降路1に設けられているが、かごに搭載されていてもよい。この場合、かご速度検出手段からの速度検出信号は、制御ケーブルを介して出力部へ伝送される。
実施の形態9.
図16は、この発明の実施の形態9による非常止め装置を示す平断面図である。図において、非常止め装置155は、楔34と、楔34の下部に連結されたアクチュエータ部156と、楔34の上方に配置され、かご3に固定された案内部36とを有している。アクチュエータ部156は、案内部36に対して楔34とともに上下動可能になっている。
アクチュエータ部156は、かごガイドレール2に対して接離可能な一対の接触部157と、各接触部157にそれぞれ連結された一対のリンク部材158a,158bと、各接触部157がかごガイドレール2に接離する方向へ一方のリンク部材158aを他方のリンク部材158bに対して変位させる作動機構159と、各接触部157、各リンク部材158a,158b及び作動機構159を支持する支持部160とを有している。支持部160には、楔34に通された水平軸170が固定されている。楔34は、水平方向に水平軸170に対して往復変位可能になっている。
各リンク部材158a,158bは、一端部から他端部に至るまでの間の部分で互いに交差されている。また、支持部160には、各リンク部材158a,158bの互いに交差された部分で各リンク部材158a,158bを回動可能に連結する連結部材161が設けられている。さらに、一方のリンク部材158aは、他方のリンク部材158bに対して連結部161を中心に回動可能に設けられている。
各接触部157は、リンク部材158a,158bの各他端部が互いに近づく方向へ変位されることにより、かごガイドレール2に接する方向へそれぞれ変位される。また、各接触部157は、リンク部材158a,158bの各他端部が互いに離れる方向へ変位されることにより、かごガイドレール2から離れる方向へそれぞれ変位される。
作動機構159は、リンク部材158a,158bの各他端部の間に配置されている。また、作動機構159は、各リンク部材158a,158bに支持されている。さらに、作動機構159は、一方のリンク部材158aに連結された棒状の可動部162と、他方のリンク部材158bに固定され、可動部162を往復変位させる駆動部163とを有している。作動機構159は、各リンク部材158a,158bとともに、連結部材161を中心に回動可能になっている。
可動部162は、駆動部163内に収容された可動鉄心164と、可動鉄心164とリンク部材158aとを互いに連結する連結棒165とを有している。また、可動部162は、各接触部157がかごガイドレール2に接触する接触位置と、各接触部157がかごガイドレール2から開離される開離位置との間で往復変位可能になっている。
駆動部163は、可動鉄心164の変位を規制する一対の規制部166a,166bと各規制部166a,166bを互いに連結する側壁部166cを含み可動鉄心164を囲繞する固定鉄心166と、固定鉄心166内に収容され、通電により一方の規制部166aに接する方向へ可動鉄心164を変位させる第1コイル167と、固定鉄心166内に収容され、通電により他方の規制部166bに接する方向へ可動鉄心164を変位させる第2コイル168と、第1コイル167及び第2コイル168の間に配置された環状の永久磁石169とを有している。
一方の規制部166aは、可動部162が開離位置にあるときに可動鉄心164が当接されるように配置されている。また、他方の規制部166bは、可動部162が接触位置にあるときに可動鉄心164が当接されるように配置されている。
第1コイル167及び第2コイル168は、可動部162を囲む環状の電磁コイルである。また、第1コイル167は永久磁石169と一方の規制部166aとの間に配置され、第2コイル168は永久磁石169と他方の規制部166bとの間に配置されている。
可動鉄心164が一方の規制部166aに当接されている状態では、磁気抵抗となる空間が可動鉄心164と他方の規制部166bとの間に存在するので、永久磁石169の磁束量は、第2コイル168側よりも第1コイル167側で多くなり、可動鉄心164は一方の規制部166aに当接されたまま保持される。
また、可動鉄心164が他方の規制部166bに当接されている状態では、磁気抵抗となる空間が可動鉄心164と一方の規制部166aとの間に存在するので、永久磁石169の磁束量は、第1コイル167側よりも第2コイル168側で多くなり、可動鉄心164は他方の規制部166bに当接されたまま保持される。
第2コイル168には、出力部32からの作動信号である電力が入力されるようになっている。また、第2コイル168は、一方の規制部166aへの可動鉄心164の当接を保持する力に逆らう磁束を作動信号の入力により発生するようになっている。また、第1コイル167には、出力部32からの復帰信号である電力が入力されるようになっている。また、第1コイル167は、他方の規制部166bへの可動鉄心164の当接を保持する力に逆らう磁束を復帰信号の入力により発生するようになっている。
他の構成は実施の形態2と同様である。
次に、動作について説明する。通常運転時には、可動部162は開離位置に位置しており、可動鉄心164は永久磁石169による保持力で一方の規制部166aに当接されている。可動鉄心164が一方の規制部166aに当接されている状態では、楔34は、案内部36との間隔が保たれており、かごガイドレール2から開離されている。
この後、実施の形態2と同様に、作動信号が出力部32から各非常止め装置155へ出力されることにより、第2コイル168に通電される。これにより、第2コイル168の周囲に磁束が発生し、可動鉄心164は、他方の規制部166bに近づく方向へ変位され、開離位置から接触位置に変位される。このとき、各接触部157は、互いに近づく方向へ変位され、かごガイドレール2に接触する。これにより、楔34及びアクチュエータ部155は制動される。
この後、案内部36は降下され続け、楔34及びアクチュエータ部155に近づく。これにより、楔34は傾斜面44に沿って案内され、かごガイドレール2は楔34及び接触面45によって挟み付けられる。この後、実施の形態2と同様に動作し、かご3が制動される。
復帰時には、復帰信号が出力部32から第1コイル167へ伝送される。これにより、第1コイル167の周囲に磁束が発生し、可動鉄心164が接触位置から開離位置に変位される。この後、実施の形態2と同様にして、楔34及び接触面45のかごガイドレール2に対する押し付けが解除される。
このようなエレベータ装置では、作動機構159が各リンク部材158a,158bを介して一対の接触部157を変位させるようになっているので、実施の形態2と同様の効果を奏するとともに、一対の接触部157を変位させるための作動機構159の数を少なくすることができる。
実施の形態10.
図17は、この発明の実施の形態10による非常止め装置を示す一部破断側面図である。図において、非常止め装置175は、楔34と、楔34の下部に連結されたアクチュエータ部176と、楔34の上方に配置され、かご3に固定された案内部36とを有している。
アクチュエータ部176は、実施の形態9と同様の構成とされた作動機構159と、作動機構159の可動部162の変位により変位されるリンク部材177とを有している。
作動機構159は、可動部162がかご3に対して水平方向へ往復変位されるように、かご3の下部に固定されている。リンク部材177は、かご3の下部に固定された固定軸180に回動可能に設けられている。固定軸180は、作動機構159の下方に配置されている。
リンク部材177は、固定軸180を起点にそれぞれ異なる方向へ延びる第1リンク部178及び第2リンク部179を有し、リンク部材177の全体形状としては、略への字状になっている。即ち、第2リンク部179は、第1リンク部178に固定されており、第1リンク部178及び第2リンク部179は、固定軸180を中心に一体に回動可能になっている。
第1リンク部178の長さは、第2リンク部179の長さよりも長くなっている。また、第1リンク部178の先端部には、長穴182が設けられている。楔34の下部には、長穴182にスライド可能に通されたスライドピン183が固定されている。即ち、第1リンク部178の先端部には、楔34がスライド可能に接続されている。第2リンク部179の先端部には、可動部162の先端部が連結ピン181を介して回動可能に接続されている。
リンク部材177は、楔34を案内部36の下方で開離させている開離位置と、かごガイドレールと案内部36との間に楔34を噛み込ませている作動位置との間で往復変位可能になっている。可動部162は、リンク部材177が開離位置にあるときに駆動部163から突出され、リンク部材177が作動位置にあるときに駆動部163へ後退されている。
次に、動作について説明する。通常運転時には、リンク部材177は可動部162の駆動部163への後退により、開離位置に位置している。このとき、楔34は、案内部36との間隔が保たれており、かごガイドレールから開離されている。
この後、実施の形態2と同様に、作動信号が出力部32から各非常止め装置175へ出力され、可動部162が前進される。これにより、リンク部材177は、固定軸180を中心に回動され、作動位置へ変位される。これにより、楔34は、案内部36及びかごガイドレールに接触し、案内部36とかごガイドレールとの間に噛み込む。これにより、かご3は制動される。
復帰時には、復帰信号が出力部32から非常止め装置175へ伝送され、可動部162が後退される方向へ付勢される。この状態で、かご3を上昇させ、案内部36とかごガイドレールとの間への楔34の噛み込みを解除する。
このようなエレベータ装置でも、実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
実施の形態11.
図18は、この発明の実施の形態11によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、昇降路1内上部には、駆動装置である巻上機101と、巻上機101に電気的に接続され、エレベータの運転を制御する制御盤102とが設置されている。巻上機101は、モータを含む駆動装置本体103と、複数本の主ロープ4が巻き掛けられ、駆動装置本体103により回転される駆動シーブ104とを有している。巻上機101には、各主ロープ4が巻き掛けられたそらせ車105と、かご3を減速させるために駆動シーブ104の回転を制動する制動手段である巻上機用ブレーキ装置(減速用制動装置)106とが設けられている。かご3及び釣合おもり107は、各主ロープ4により昇降路1内に吊り下げられている。かご3及び釣合おもり107は、巻上機101の駆動により昇降路1内を昇降される。
非常止め装置33、巻上機用ブレーキ装置106及び制御盤102は、エレベータの状態を常時監視する監視装置108に電気的に接続されている。監視装置108には、かご3の位置を検出するかご位置検出部であるかご位置センサ109と、かご3の速度を検出するかご速度検出部であるかご速度センサ110と、かご3の加速度を検出するかご加速度検出部であるかご加速度センサ111とがそれぞれ電気的に接続されている。かご位置センサ109、かご速度センサ110及びかご加速度センサ111は、昇降路1内に設けられている。
なお、エレベータの状態を検出する検出手段112は、かご位置センサ109、かご速度センサ110及びかご加速度センサ111を有している。また、かご位置センサ109としては、かご3の移動に追随して回転する回転体の回転量を計測することによりかご3の位置を検出するエンコーダ、直線的な動きの変位量を測定することによりかご3の位置を検出するリニアエンコーダ、あるいは、例えば昇降路1内に設けられた投光器及び受光器とかご3に設けられた反射板とを有し、投光器の投光から受光器の受光までにかかる時間を測定することによりかご3の位置を検出する光学式の変位測定器等が挙げられる。
監視装置108は、エレベータの異常の有無を判断するための基準となる複数種(この例では2種)の異常判断基準(設定データ)があらかじめ記憶された記憶部(メモリ部)113と、検出手段112及び記憶部113のそれぞれの情報によりエレベータの異常の有無を検出する出力部(演算部)114とを有している。この例では、かご3の速度についての異常判断基準であるかご速度異常判断基準と、かご3の加速度についての異常判断基準であるかご加速度異常判断基準とが記憶部113に記憶されている。
図19は、図18の記憶部113に記憶されたかご速度異常判断基準を示すグラフである。図において、昇降路1内でのかご3の昇降区間(一方の終端階と他方の終端階との間の区間)には、一方及び他方の終端階近傍でかご3が加減速される加減速区間と、各加減速区間の間でかご3が一定の速度で移動する定速区間とが設けられている。
かご速度異常判断基準には、3段階の検出パターンがかご3の位置に対応させて設定されている。即ち、かご速度異常判断基準には、通常運転時のかご3の速度である通常速度検出パターン(通常レベル)115と、通常速度検出パターン115よりも大きな値とされた第1異常速度検出パターン(第1異常レベル)116と、第1異常速度検出パターン116よりも大きな値とされた第2異常速度検出パターン(第2異常レベル)117とが、それぞれかご3の位置に対応させて設定されている。
通常速度検出パターン115、第1異常速度検出パターン116及び第2異常速度検出パターン117は、定速区間では一定値となるように、加減速区間では終端階へ向けて連続的に小さくなるようにそれぞれ設定されている。また、第1異常速度検出パターン116と通常速度検出パターン115との差、及び第2異常速度検出パターン117と第1異常速度検出パターン116との差は、昇降区間のすべての位置でほぼ一定となるようにそれぞれ設定されている。
図20は、図18の記憶部113に記憶されたかご加速度異常判断基準を示すグラフである。図において、かご加速度異常判断基準には、3段階の検出パターンがかご3の位置に対応させて設定されている。即ち、かご加速度異常判断基準には、通常運転時のかご3の加速度である通常加速度検出パターン(通常レベル)118と、通常加速度検出パターン118よりも大きな値とされた第1異常加速度検出パターン(第1異常レベル)119と、第1異常加速度検出パターン119よりも大きな値とされた第2異常加速度検出パターン(第2異常レベル)120とが、それぞれかご3の位置に対応させて設定されている。
通常加速度検出パターン118、第1異常加速度検出パターン119及び第2異常加速度検出パターン120は、定速区間ではゼロ値となるように、一方の加減速区間では正の値となるように、他方の加減速区間では負の値となるようにそれぞれ設定されている。また、第1異常加速度検出パターン119と通常加速度検出パターン118との差、及び第2異常加速度検出パターン120と第1異常加速度検出パターン119との差は、昇降区間のすべての位置でほぼ一定となるようにそれぞれ設定されている。
即ち、記憶部113には、通常速度検出パターン115、第1異常速度検出パターン116及び第2異常速度検出パターン117がかご速度異常判断基準として記憶され、通常加速度検出パターン118、第1異常加速度検出パターン119及び第2異常加速度検出パターン120がかご加速度異常判断基準として記憶されている。
出力部114には、非常止め装置33、制御盤102、巻上機用ブレーキ装置106、検出手段112及び記憶部113がそれぞれ電気的に接続されている。また、出力部114には、かご位置センサ109からの位置検出信号が、かご速度センサ110からの速度検出信号が、かご加速度センサ111からの加速度検出信号がそれぞれ経時的に継続して入力される。出力部114では、位置検出信号の入力に基づいてかご3の位置が算出され、また速度検出信号及び加速度検出信号のそれぞれの入力に基づいて、かご3の速度及びかご3の加速度が複数種(この例では2種)の異常判断要素としてそれぞれ算出される。
出力部114は、かご3の速度が第1異常速度検出パターン116を超えたとき、あるいはかご3の加速度が第1異常加速度検出パターン119を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104へ作動信号(トリガ信号)を出力するようになっている。また、出力部114は、巻上機用ブレーキ装置104への作動信号の出力と同時に、巻上機101の駆動を停止させるための停止信号を制御盤102へ出力するようになっている。さらに、出力部114は、かご3の速度が第2異常速度検出パターン117を超えたとき、あるいはかご3の加速度が第2異常加速度検出パターン120を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104及び非常止め装置33へ作動信号を出力するようになっている。即ち、出力部114は、かご3の速度及び加速度の異常の程度に応じて、作動信号を出力する制動手段を決定するようになっている。
他の構成は実施の形態2と同様である。
次に、動作について説明する。かご位置センサ109からの位置検出信号、かご速度センサ110からの速度検出信号、及びかご加速度センサ111からの加速度検出信号が出力部114に入力されると、出力部114では、各検出信号の入力に基づいて、かご3の位置、速度及び加速度が算出される。この後、出力部114では、記憶部113からそれぞれ取得されたかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準と、各検出信号の入力に基づいて算出されたかご3の速度及び加速度とが比較され、かご3の速度及び加速度のそれぞれの異常の有無が検出される。
通常運転時には、かご3の速度が通常速度検出パターンとほぼ同一の値となっており、かご3の加速度が通常加速度検出パターンとほぼ同一の値となっているので、出力部114では、かご3の速度及び加速度のそれぞれに異常がないことが検出され、エレベータの通常運転が継続される。
例えば、何らかの原因で、かご3の速度が異常に上昇し第1異常速度検出パターン116を超えた場合には、かご3の速度に異常があることが出力部114で検出され、作動信号が巻上機用ブレーキ装置106へ、停止信号が制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力される。これにより、巻上機101が停止されるとともに、巻上機用ブレーキ装置106が作動され、駆動シーブ104の回転が制動される。
また、かご3の加速度が異常に上昇し第1異常加速度設定値119を超えた場合にも、作動信号及び停止信号が巻上機用ブレーキ装置106及び制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力され、駆動シーブ104の回転が制動される。
巻上機用ブレーキ装置106の作動後、かご3の速度がさらに上昇し第2異常速度設定値117を超えた場合には、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114からは非常止め装置33へ作動信号が出力される。これにより、非常止め装置33が作動され、実施の形態2と同様の動作によりかご3が制動される。
また、巻上機用ブレーキ装置106の作動後、かご3の加速度がさらに上昇し第2異常加速度設定値120を超えた場合にも、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114から非常止め装置33へ作動信号が出力され、非常止め装置33が作動される。
このようなエレベータ装置では、監視装置108がエレベータの状態を検出する検出手段112からの情報に基づいてかご3の速度及びかご3の加速度を取得し、取得したかご3の速度及びかご3の加速度のうちいずれかの異常を判断したときに巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33の少なくともいずれかに作動信号を出力するようになっているので、監視装置108によるエレベータの異常の検知をより早期にかつより確実にすることができ、エレベータの異常が発生してからかご3への制動力が発生するまでにかかる時間をより短くすることができる。即ち、かご3の速度及びかご3の加速度という複数種の異常判断要素の異常の有無が監視装置108によりそれぞれ別個に判断されるので、監視装置108によるエレベータの異常の検知をより早期にかつより確実にすることができ、エレベータの異常が発生してからかご3への制動力が発生するまでにかかる時間を短くすることができる。
また、監視装置108は、かご3の速度の異常の有無を判断するためのかご速度異常判断基準、及びかご3の加速度の異常の有無を判断するためのかご加速度異常判断基準が記憶されている記憶部113を有しているので、かご3の速度及び加速度のそれぞれの異常の有無の判断基準を容易に変更することができ、エレベータの設計変更等にも容易に対応することができる。
また、かご速度異常判断基準には、通常速度検出パターン115と、通常速度検出パターン115よりも大きな値とされた第1異常速度検出パターン116と、第1異常速度検出パターン116よりも大きな値とされた第2異常速度検出パターン117とが設定されており、かご3の速度が第1異常速度検出パターン116を超えたときに監視装置108から巻上機用ブレーキ装置106へ作動信号が出力され、かご3の速度が第2異常速度検出パターン117を超えたときに監視装置108から巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33へ作動信号が出力されるようになっているので、かご3の速度の異常の大きさに応じてかご3を段階的に制動することができる。従って、かご3に大きな衝撃を与える頻度を少なくすることができるとともに、かご3をより確実に停止させることができる。
また、かご加速度異常判断基準には、通常加速度検出パターン118と、通常加速度検出パターン118よりも大きな値とされた第1異常加速度検出パターン119と、第1異常加速度検出パターン119よりも大きな値とされた第2異常加速度検出パターン120とが設定されており、かご3の加速度が第1異常加速度検出パターン119を超えたときに監視装置108から巻上機用ブレーキ装置106へ作動信号が出力され、かご3の加速度が第2異常速度検出パターン120を超えたときに監視装置108から巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33へ作動信号が出力されるようになっているので、かご3の加速度の異常の大きさに応じてかご3を段階的に制動することができる。通常、かご3の速度に異常が発生する前にかご3の加速度に異常が発生することから、かご3に大きな衝撃を与える頻度をさらに少なくすることができるとともに、かご3をさらに確実に停止させることができる。
また、通常速度検出パターン115、第1異常速度検出パターン116及び第2異常速度検出パターン117は、かご3の位置に対応して設定されているので、第1異常速度検出パターン116及び第2異常速度検出パターン117のそれぞれをかご3の昇降区間のすべての位置で通常速度検出パターン115に対応させて設定することができる。従って、特に加減速区間では通常速度検出パターン115の値が小さいので、第1異常速度検出パターン116及び第2異常速度検出パターン117のそれぞれを比較的小さい値に設定することができ、制動によるかご3への衝撃を小さくすることができる。
なお、上記の例では、監視装置108がかご3の速度を取得するためにかご速度センサ110が用いられているが、かご速度センサ110を用いずに、かご位置センサ109により検出されたかご3の位置からかご3の速度を導出してもよい。即ち、かご位置センサ109からの位置検出信号により算出されたかご3の位置を微分することによりかご3の速度を求めてもよい。
また、上記の例では、監視装置108がかご3の加速度を取得するためにかご加速度センサ111が用いられているが、かご加速度センサ111を用いずに、かご位置センサ109により検出されたかご3の位置からかご3の加速度を導出してもよい。即ち、かご位置センサ109からの位置検出信号により算出されたかご3の位置を2回微分することによりかご3の加速度を求めてもよい。
また、上記の例では、出力部114は、各異常判断要素であるかご3の速度及び加速度の異常の程度に応じて、作動信号を出力する制動手段を決定するようになっているが、作動信号を出力する制動手段を異常判断要素ごとにあらかじめ決めておいてもよい。
実施の形態12.
図21は、この発明の実施の形態12によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、各階の乗場には、複数の乗場呼び釦125が設置されている。また、かご3内には、複数の行き先階釦126が設置されている。さらに、監視装置127は、出力部114を有している。出力部114には、かご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を生成する異常判断基準生成装置128が電気的に接続されている。異常判断基準生成装置128は、各乗場呼び釦125及び各行き先階釦126のそれぞれに電気的に接続されている。異常判断基準生成装置128には、出力部114を介してかご位置センサ109から位置検出信号が入力されるようになっている。
異常判断基準生成装置128は、かご3が各階の間を昇降するすべての場合についての異常判断基準である複数のかご速度異常判断基準及び複数のかご加速度異常判断基準を記憶する記憶部(メモリ部)129と、かご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を1つずつ記憶部129から選択し、選択したかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を出力部114へ出力する生成部130とを有している。
各かご速度異常判断基準には、実施の形態11の図19に示すかご速度異常判断基準と同様の3段階の検出パターンがかご3の位置に対応させて設定されている。また、各かご加速度異常判断基準には、実施の形態11の図20に示すかご加速度異常判断基準と同様の3段階の検出パターンがかご3の位置に対応させて設定されている。
生成部130は、かご位置センサ109からの情報によりかご3の検出位置を算出し、各乗場呼び釦125及び行き先階釦126の少なくともいずれか一方からの情報によりかご3の目的階を算出するようになっている。また、生成部130は、算出された検出位置及び目的階を一方及び他方の終端階とするかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を1つずつ選択するようになっている。
他の構成は実施の形態11と同様である。
次に、動作について説明する。生成部130には、かご位置センサ109から出力部114を介して位置検出信号が常時入力されている。各乗場呼び釦125及び行き先階釦126のいずれかが例えば乗客等により選択され、選択された釦から呼び信号が生成部130に入力されると、生成部130では、位置検出信号及び呼び信号の入力に基づいてかご3の検出位置及び目的階が算出され、かご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準が1つずつ選択される。この後、生成部130からは、選択されたかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準が出力部114へ出力される。
出力部114では、実施の形態11と同様にして、かご3の速度及び加速度のそれぞれの異常の有無が検出される。この後の動作は、実施の形態9と同様である。
このようなエレベータ装置では、異常判断基準生成装置が乗場呼び釦125及び行き先階釦126の少なくともいずれかからの情報に基づいてかご速度異常判断基準及びかご加速度判断基準を生成するようになっているので、目的階に対応するかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を生成することができ、異なる目的階が選択された場合であっても、エレベータの異常発生時から制動力が発生するまでにかかる時間を短くすることができる。
なお、上記の例では、記憶部129に記憶された複数のかご速度異常判断基準及び複数のかご加速度異常判断基準から生成部130がかご速度異常判断基準及びかご加速度異常判断基準を1つずつ選択するようになっているが、制御盤102によって生成されたかご3の通常速度パターン及び通常加速度パターンに基づいて異常速度検出パターン及び異常加速度検出パターンをそれぞれ直接生成してもよい。
実施の形態13.
図22は、この発明の実施の形態13によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。この例では、各主ロープ4は、綱止め装置131によりかご3の上部に接続されている。監視装置108は、かご3の上部に搭載されている。出力部114には、かご位置センサ109と、かご速度センサ110と、綱止め装置131に設けられ、各主ロープ4の破断の有無をそれぞれ検出するロープ切れ検出部である複数のロープセンサ132とがそれぞれ電気的に接続されている。なお、検出手段112は、かご位置センサ109、かご速度センサ110及びロープセンサ132を有している。
各ロープセンサ132は、主ロープ4が破断したときに破断検出信号を出力部114へそれぞれ出力するようになっている。また、記憶部113には、図19に示すような実施の形態11と同様のかご速度異常判断基準と、主ロープ4についての異常の有無を判断する基準であるロープ異常判断基準とが記憶されている。
ロープ異常判断基準には、少なくとも1本の主ロープ4が破断した状態である第1異常レベルと、すべての主ロープ4が破断した状態である第2異常レベルとがそれぞれ設定されている。
出力部114では、位置検出信号の入力に基づいてかご3の位置が算出され、また速度検出信号及び破断信号のそれぞれの入力に基づいて、かご3の速度及び主ロープ4の状態が複数種(この例では2種)の異常判断要素としてそれぞれ算出される。
出力部114は、かご3の速度が第1異常速度検出パターン116(図19)を超えたとき、あるいは少なくとも1本の主ロープ4が破断したときに、巻上機用ブレーキ装置104へ作動信号(トリガ信号)を出力するようになっている。また、出力部114は、かご3の速度が第2異常速度検出パターン117(図19)を超えたとき、あるいはすべての主ロープ4が破断したときに、巻上機用ブレーキ装置104及び非常止め装置33へ作動信号を出力するようになっている。即ち、出力部114は、かご3の速度及び主ロープ4の状態のそれぞれの異常の程度に応じて、作動信号を出力する制動手段を決定するようになっている。
図23は、図22の綱止め装置131及び各ロープセンサ132を示す構成図である。また、図24は、図23の1本の主ロープ4が破断された状態を示す構成図である。図において、綱止め装置131は、各主ロープ4をかご3に接続する複数のロープ接続部134を有している。各ロープ接続部134は、主ロープ4とかご3との間に介在する弾性ばね133を有している。かご3の各主ロープ4に対する位置は、各弾性ばね133の伸縮により変位可能になっている。
ロープセンサ132は、各ロープ接続部134に設置されている。各ロープセンサ132は、弾性ばね133の伸び量を測定する変位測定器である。各ロープセンサ132は、弾性ばね133の伸び量に応じた測定信号を出力部14へ常時出力している。出力部114には、弾性ばね133の復元による伸び量が所定量に達したときの測定信号が破断検出信号として入力される。なお、各主ロープ4のテンションを直接測定する秤装置をロープセンサとして各ロープ接続部134に設置してもよい。
他の構成は実施の形態11と同様である。
次に、動作について説明する。かご位置センサ109からの位置検出信号、かご速度センサ110からの速度検出信号、及び各ロープセンサ131からの破断検出信号が出力部114に入力されると、出力部114では、各検出信号の入力に基づいて、かご3の位置、かご3の速度及び主ロープ4の破断本数が算出される。この後、出力部114では、記憶部113からそれぞれ取得されたかご速度異常判断基準及びロープ異常判断基準と、各検出信号の入力に基づいて算出されたかご3の速度及び主ロープ4の破断本数とが比較され、かご3の速度及び主ロープ4の状態のそれぞれの異常の有無が検出される。
通常運転時には、かご3の速度が通常速度検出パターンとほぼ同一の値となっており、主ロープ4の破断本数がゼロであるので、出力部114では、かご3の速度及び主ロープ4の状態のそれぞれに異常がないことが検出され、エレベータの通常運転が継続される。
例えば、何らかの原因で、かご3の速度が異常に上昇し第1異常速度検出パターン116(図19)を超えた場合には、かご3の速度に異常があることが出力部114で検出され、作動信号が巻上機用ブレーキ装置106へ、停止信号が制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力される。これにより、巻上機101が停止されるとともに、巻上機用ブレーキ装置106が作動され、駆動シーブ104の回転が制動される。
また、少なくとも1本の主ロープ4が破断した場合にも、作動信号及び停止信号が巻上機用ブレーキ装置106及び制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力され、駆動シーブ104の回転が制動される。
巻上機用ブレーキ装置106の作動後、かご3の速度がさらに上昇し第2異常速度設定値117(図19)を超えた場合には、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114からは非常止め装置33へ作動信号が出力される。これにより、非常止め装置33が作動され、実施の形態2と同様の動作によりかご3が制動される。
また、巻上機用ブレーキ装置106の作動後、すべての主ロープ4が破断した場合にも、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114から非常止め装置33へ作動信号が出力され、非常止め装置33が作動される。
このようなエレベータ装置では、監視装置108がエレベータの状態を検出する検出手段112からの情報に基づいてかご3の速度及び主ロープ4の状態を取得し、取得したかご3の速度及び主ロープ4の状態のうちいずれかに異常があると判断したときに巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33の少なくともいずれかに作動信号を出力するようになっているので、異常の検出対象数が多くなり、かご3の速度の異常だけでなく主ロープ4の状態の異常も検出することができ、監視装置108によるエレベータの異常の検知をより早期にかつより確実にすることができる。従って、エレベータの異常が発生してからかご3への制動力が発生するまでにかかる時間をより短くすることができる。
なお、上記の例では、かご3に設けられた綱止め装置131にロープセンサ132が設置されているが、釣合おもり107に設けられた綱止め装置にロープセンサ132を設置してもよい。
また、上記の例では、主ロープ4の一端部及び他端部をかご3及び釣合おもり107にそれぞれ接続してかご3及び釣合おもり107を昇降路1内に吊り下げるタイプのエレベータ装置にこの発明が適用されているが、一端部及び他端部が昇降路1内の構造物に接続された主ロープ4をかご吊り車及び釣合おもり吊り車にそれぞれ巻き掛けてかご3及び釣合おもり107を昇降路1内に吊り下げるタイプのエレベータ装置にこの発明を適用してもよい。この場合、ロープセンサは、昇降路1内の構造物に設けられた綱止め装置に設置される。
実施の形態14.
図25は、この発明の実施の形態14によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。この例では、ロープ切れ検出部としてのロープセンサ135は、各主ロープ4に埋め込まれた導線とされている。各導線は、主ロープ4の長さ方向に延びている。各導線の一端部及び他端部は、出力部114にそれぞれ電気的に接続されている。各導線には、微弱電流が流されている。出力部114には、各導線への通電のそれぞれの遮断が破断検出信号として入力される。
他の構成及び動作は実施の形態13と同様である。
このようなエレベータ装置では、各主ロープ4に埋め込まれた導線への通電の遮断により各主ロープ4の破断を検出するようになっているので、かご3の加減速による各主ロープ4のテンション変化の影響を受けることなく各主ロープ4の破断の有無をより確実に検出することができる。
実施の形態15.
図26は、この発明の実施の形態15によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図において、出力部114には、かご位置センサ109、かご速度センサ110、及びかご出入口26の開閉状態を検出する出入口開閉検出部であるドアセンサ140が電気的に接続されている。なお、検出手段112は、かご位置センサ109、かご速度センサ110及びドアセンサ140を有している。
ドアセンサ140は、かご出入口26が戸閉状態のときに戸閉検出信号を出力部114へ出力するようになっている。また、記憶部113には、図19に示すような実施の形態11と同様のかご速度異常判断基準と、かご出入口26の開閉状態についての異常の有無を判断する基準である出入口状態異常判断基準とが記憶されている。出入口状態異常判断基準は、かご3が昇降されかつ戸閉されていない状態を異常であるとする異常判断基準である。
出力部114では、位置検出信号の入力に基づいてかご3の位置が算出され、また速度検出信号及び戸閉検出信号のそれぞれの入力に基づいて、かご3の速度及びかご出入口26の状態が複数種(この例では2種)の異常判断要素としてそれぞれ算出される。
出力部114は、かご出入口26が戸閉されていない状態でかご3が昇降されたとき、あるいはかご3の速度が第1異常速度検出パターン116(図19)を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104へ作動信号を出力するようになっている。また、出力部114は、かご3の速度が第2異常速度検出パターン117(図19)を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104及び非常止め装置33へ作動信号を出力するようになっている。
図27は、図26のかご3及びドアセンサ140を示す斜視図である。また、図28は、図27のかご出入口26が開いている状態を示す斜視図である。図において、ドアセンサ140は、かご出入口26の上部に、かつ、かご3の間口方向についてかご出入口26の中央に配置されている。ドアセンサ140は、一対のかごドア28のそれぞれの戸閉位置への変位を検出し、出力部114へ戸閉検出信号を出力するようになっている。
なお、ドアセンサ140としては、各かごドア28に固定された固定部に接触されることにより戸閉状態を検出する接触式センサ、あるいは非接触で戸閉状態を検出する近接センサ等が挙げられる。また、乗場出入口141には、乗場出入口141を開閉する一対の乗場ドア142が設けられている。各乗場ドア142は、かご3が乗場階に着床されているときに、係合装置(図示せず)により各かごドア28に係合され、各かごドア28とともに変位される。
他の構成は実施の形態11と同様である。
次に、動作について説明する。かご位置センサ109からの位置検出信号、かご速度センサ110からの速度検出信号、及びドアセンサ140からの戸閉検出信号が出力部114に入力されると、出力部114では、各検出信号の入力に基づいて、かご3の位置、かご3の速度及びかご出入口26の状態が算出される。この後、出力部114では、記憶部113からそれぞれ取得されたかご速度異常判断基準及び出入口異常判断基準と、各検出信号の入力に基づいて算出されたかご3の速度及び各かごドア28の状態とが比較され、かご3の速度及びかご出入口26の状態のそれぞれの異常の有無が検出される。
通常運転時には、かご3の速度が通常速度検出パターンとほぼ同一の値となっており、かご3が昇降している際のかご出入口26は戸閉状態であるので、出力部114では、かご3の速度及びかご出入口26の状態のそれぞれに異常がないことが検出され、エレベータの通常運転が継続される。
例えば、何らかの原因で、かご3の速度が異常に上昇し第1異常速度検出パターン116(図19)を超えた場合には、かご3の速度に異常があることが出力部114で検出され、作動信号が巻上機用ブレーキ装置106へ、停止信号が制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力される。これにより、巻上機101が停止されるとともに、巻上機用ブレーキ装置106が作動され、駆動シーブ104の回転が制動される。
また、かご3が昇降されている際のかご出入口26が戸閉されていない状態となっている場合にも、かご出入口26の異常が出力部114で検出され、作動信号及び停止信号が巻上機用ブレーキ装置106及び制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力され、駆動シーブ104の回転が制動される。
巻上機用ブレーキ装置106の作動後、かご3の速度がさらに上昇し第2異常速度設定値117(図19)を超えた場合には、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114からは非常止め装置33へ作動信号が出力される。これにより、非常止め装置33が作動され、実施の形態2と同様の動作によりかご3が制動される。
このようなエレベータ装置では、監視装置108がエレベータの状態を検出する検出手段112からの情報に基づいてかご3の速度及びかご出入口26の状態を取得し、取得したかご3の速度及びかご出入口26の状態のうちいずれかに異常があると判断したときに巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33の少なくともいずれかに作動信号を出力するようになっているので、エレベータの異常の検出対象数が多くなり、かご3の速度の異常だけでなくかご出入口26の状態の異常も検出することができ、監視装置108によるエレベータの異常の検知をより早期にかつより確実にすることができる。従って、エレベータの異常が発生してからかご3への制動力が発生するまでにかかる時間をより短くすることができる。
なお、上記の例では、かご出入口26の状態のみがドアセンサ140により検出されるようになっているが、かご出入口26及び乗場出入口141のそれぞれの状態をドアセンサ140により検出するようにしてもよい。この場合、各乗場ドア142の戸閉位置への変位が、各かごドア28の戸閉位置への変位とともにドアセンサ140により検出される。このようにすれば、例えばかごドア28と乗場ドア142とを互いに係合させる係合装置等が故障して、かごドア28のみが変位される場合にも、エレベータの異常を検出することができる。
実施の形態16.
図29は、この発明の実施の形態16によるエレベータ装置を模式的に示す構成図である。図30は、図29の昇降路1上部を示す構成図である。図において、巻上機101には、電力供給ケーブル150が電気的に接続されている。巻上機101には、制御盤102の制御により電力供給ケーブル150を通じて駆動電力が供給される。
電力供給ケーブル150には、電力供給ケーブル150を流れる電流を測定することにより巻上機101の状態を検出する駆動装置検出部である電流センサ151が設置されている。電流センサ151は、電力供給ケーブル150の電流値に対応した電流検出信号(駆動装置状態検出信号)を出力部114へ出力するようになっている。なお、電流センサ151は、昇降路1上部に配置されている。また、電流センサ151としては、電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさに応じて発生する誘導電流を測定する変流器(CT)等が挙げられる。
出力部114には、かご位置センサ109と、かご速度センサ110と、電流センサ151とがそれぞれ電気的に接続されている。なお、検出手段112は、かご位置センサ109、かご速度センサ110及び電流センサ151を有している。
記憶部113には、図19に示すような実施の形態11と同様のかご速度異常判断基準と、巻上機101の状態についての異常の有無を判断する基準である駆動装置異常判断基準とが記憶されている。
駆動装置異常判断基準には、3段階の検出パターンが設定されている。即ち、駆動装置異常判断基準には、通常運転時に電力供給ケーブル150を流れる電流値である通常レベルと、通常レベルよりも大きな値とされた第1異常レベルと、第1異常レベルよりも大きな値とされた第2異常レベルとが設定されている。
出力部114では、位置検出信号の入力に基づいてかご3の位置が算出され、また速度検出信号及び電流検出信号のそれぞれの入力に基づいて、かご3の速度及び巻上機101の状態が複数種(この例では2種)の異常判断要素としてそれぞれ算出される。
出力部114は、かご3の速度が第1異常速度検出パターン116(図19)を超えたとき、あるいは電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさが駆動装置異常判断基準における第1異常レベルの値を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104へ作動信号(トリガ信号)を出力するようになっている。また、出力部114は、かご3の速度が第2異常速度検出パターン117(図19)を超えたとき、あるいは電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさが駆動装置異常判断基準における第2異常レベルの値を超えたときに、巻上機用ブレーキ装置104及び非常止め装置33へ作動信号を出力するようになっている。即ち、出力部114は、かご3の速度及び巻上機101の状態のそれぞれの異常の程度に応じて、作動信号を出力する制動手段を決定するようになっている。
他の構成は実施の形態11と同様である。
次に、動作について説明する。かご位置センサ109からの位置検出信号、かご速度センサ110からの速度検出信号、及び電流センサ151からの電流検出信号が出力部114に入力されると、出力部114では、各検出信号の入力に基づいて、かご3の位置、かご3の速度及び電力供給ケーブル150内の電流の大きさが算出される。この後、出力部114では、記憶部113からそれぞれ取得されたかご速度異常判断基準及び駆動装置状態異常判断基準と、各検出信号の入力に基づいて算出されたかご3の速度及び電力供給ケーブル150内の電流の大きさとが比較され、かご3の速度及び巻上機101の状態のそれぞれの異常の有無が検出される。
通常運転時には、かご3の速度が通常速度検出パターン115(図19)とほぼ同一の値となっており、電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさが通常レベルであるので、出力部114では、かご3の速度及び巻上機101の状態のそれぞれに異常がないことが検出され、エレベータの通常運転が継続される。
例えば、何らかの原因で、かご3の速度が異常に上昇し第1異常速度検出パターン116(図19)を超えた場合には、かご3の速度に異常があることが出力部114で検出され、作動信号が巻上機用ブレーキ装置106へ、停止信号が制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力される。これにより、巻上機101が停止されるとともに、巻上機用ブレーキ装置106が作動され、駆動シーブ104の回転が制動される。
また、電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさが駆動装置状態異常判断基準における第1異常レベルを超えた場合にも、作動信号及び停止信号が巻上機用ブレーキ装置106及び制御盤102へ出力部114からそれぞれ出力され、駆動シーブ104の回転が制動される。
巻上機用ブレーキ装置106の作動後、かご3の速度がさらに上昇し第2異常速度設定値117(図19)を超えた場合には、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114からは非常止め装置33へ作動信号が出力される。これにより、非常止め装置33が作動され、実施の形態2と同様の動作によりかご3が制動される。
また、巻上機用ブレーキ装置106の作動後、電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさが駆動装置状態異常判断基準における第2異常レベルを超えた場合にも、巻上機用ブレーキ装置106への作動信号の出力を維持したまま、出力部114から非常止め装置33へ作動信号が出力され、非常止め装置33が作動される。
このようなエレベータ装置では、監視装置108がエレベータの状態を検出する検出手段112からの情報に基づいてかご3の速度及び巻上機101の状態を取得し、取得したかご3の速度及び巻上機101の状態のうちいずれかに異常があると判断したときに巻上機用ブレーキ装置106及び非常止め装置33の少なくともいずれかに作動信号を出力するようになっているので、エレベータの異常の検出対象数が多くなり、エレベータの異常が発生してからかご3への制動力が発生するまでにかかる時間をより短くすることができる。
なお、上記の例では、電力供給ケーブル150を流れる電流の大きさを測定する電流センサ151を用いて巻上機101の状態を検出するようになっているが、巻上機101の温度を測定する温度センサを用いて巻上機101の状態を検出するようにしてもよい。
また、上記実施の形態11〜16では、出力部114は、非常止め装置33へ作動信号を出力する前に、巻上機用ブレーキ装置106へ作動信号を出力するようになっているが、かご3に非常止め装置33とは別個に搭載され、かごガイドレール2を挟むことによりかご3を制動するかごブレーキ、釣合おもり107に搭載され、釣合おもり107を案内する釣合おもりガイドレールを挟むことにより釣合おもり107を制動する釣合おもりブレーキ、あるいは昇降路1内に設けられ、主ロープ4を拘束することにより主ロープ4を制動するロープブレーキへ出力部114に作動信号を出力させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態1〜16では、出力部から非常止め装置への電力供給のための伝送手段として、電気ケーブルが用いられているが、出力部に設けられた発信器と非常止め機構に設けられた受信器とを有する無線通信装置を用いてもよい。また、光信号を伝送する光ファイバケーブルを用いてもよい。
また、上記実施の形態1〜16では、非常止め装置は、かごの下方向への過速度(移動)に対して制動するようになっているが、この非常止め装置が上下逆にされたものをかごに装着して、上方向への過速度(移動)に対して制動するようにしてもよい。
実施の形態17.
次に、図31はこの発明の実施の形態17によるエレベータ制御装置を示すブロック図であり、実施の形態17によるエレベータ制御装置はコンピュータ(マイクロコンピュータ)により構成されている。
図において、処理部であるCPU201には、プログラム記憶部であるROM202、RAM203、タイマ204及び入出力部205が接続されている。ROM202には、エレベータの運転制御に関するプログラム等が記憶されている。
CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムに基づいて複数の演算処理を実行する。RAM203は、CPU201により情報の書き込み及び読み出しが可能となっている。
エレベータの運転は、予め設定された演算周期(プログラム実行周期)時間(例えば50msec)内に割り込み演算(複数の演算処理を組み合わせたプログラム)を実行するタイマ割り込み制御方式により制御されている。割り込み周期時間は、タイマ204からの信号により求められる。
入出力部205には、エレベータの運転制御に必要な情報が入力される。これらの情報は、例えば実施の形態1〜16で示したような各種センサ(検出部)、かご内釦装置及び乗場釦装置等から送られる。また、CPU201で演算され生成された指令信号は、入出力部205を介して、駆動装置、ブレーキ装置、非常止め装置、ドア装置、アナウンス装置、かご内釦装置及び乗場釦装置等に出力される。
実施の形態1の制御装置本体206は、CPU201、ROM202、タイマ204及び入出力部205を含んでいる。制御装置本体206は、演算処理を実行したときにそれぞれの演算処理に対応した処理情報をRAM203に書き込むとともに、RAM203に書き込まれた処理情報のパターンから演算処理の実行順序が正常であるかどうかを監視する。
処理情報の書き込み、及び処理情報のパターンの確認は、割り込み演算処理の一部として実行される。即ち、処理情報の書き込み、及び処理情報のパターンの確認を実行するためのプログラムは、運転制御プログラムの一部としてROM202に記憶されている。従って、処理情報のパターンの確認は、割り込み演算の演算周期毎に実行される。
図32は図31のエレベータ制御装置の初期動作を示すフローチャートである。エレベータ起動時には、エレベータ制御装置の初期設定が実施される。初期設定が開始された時点では、全ての割り込み演算が禁止される(ステップS1)。この後、マイコンの初期設定が行われ(ステップS2)、RAM領域が0にされる(ステップS3)。この後、割り込み演算が可能な状態となり(ステップS4)、割り込み待ち状態となる(ステップS5)。割り込み演算は、演算周期時間毎に繰り返し実行される。
図33は図31のエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャートである。割り込み演算が開始されると、まずRAM203に書き込まれた処理情報のパターンが確認される(ステップS6)。ここでは、処理情報として、演算処理のタスク(機能単位)毎に予め設定された数値(識別値)が用いられる。処理情報は、RAM203内の予め決められた領域に設定されたテーブルに書き込まれる。
図34は図31のRAM203に書き込まれた処理情報の正常なパターンを示す説明図である。この例では、7つの演算処理に対して1〜7の識別値が割り振られており、対応するTBL[0]〜[6]に識別値が書き込まれている。TBL[7]〜[9]は、対応する演算処理が存在しないため、0のままである。
処理情報のパターンが正常であれば、図35に示すように、TBL[0]〜[9]及びテーブルの格納ポインタが0に初期化される(ステップS7)。この後、演算に必要な信号を入力する入力演算(ステップS8)、かごの現在位置を求めるかご位置演算(ステップS9)、呼び登録の有無を検出する呼びスキャン演算(ステップS10)、かごの現在位置から目的階までの距離を求める距離演算(ステップS11)、及び目的階までの距離に基づいてかごの走行指令を求める走行指令演算(ステップS12)が順に実行される。
走行指令演算が実行されると、エレベータの状態をモニタ表示するためのモニタ演算が実行される(ステップS13)。最後に、かごを走行させるために必要な指令信号を出力するための出力演算が実行される(ステップS14)。
また、それぞれの演算が実行された直後には、対応するテーブルへの識別値の書き込みが実行される(ステップS15〜21)。即ち、演算処理と識別値の書き込みとは交互に実行される。
具体的には、最初の演算である入力演算が実行された直後に、TBL[P]に1が書き込まれ、格納ポインタPに1がプラスされる(ステップS15)。次に、かご位置演算が実行された直後には、TBL[P]に2が書き込まれ、格納ポインタPに1がプラスされる(ステップS16)。このような処理が順次実行され、最後の演算である出力演算が実行された直後には、TBL[6]に7が書き込まれる。
このように書き込まれた識別値のパターンは、次の割り込み演算の開始時に確認される(ステップS6)。演算処理の実行順序が正常であれば、識別値のパターンは図34のようになる。また、演算処理の順序が正しくなかったり、1回の割り込み演算周期の中で同じ演算処理を繰り返し実行したりすると、識別値のパターンが図34とは異なるものとなり、制御装置本体206により異常が検出される。
演算処理の実行順序に異常が検出されると、かごを急停止させるための演算が実行される(ステップS22)。また、演算処理の実行順序に異常が検出された場合、エレベータ監視室に異常検出信号が送信される。急停止演算が実行されると、モニタ演算が実行され(ステップS23)、出力演算が実行され(ステップS24)、割り込み演算処理が終了する。
このようなエレベータ制御装置では、演算処理の実行順序の異常を速やかに検出することができ、これによりコンピュータによる運転制御に関する演算をより確実に実行することができ、信頼性を向上させることができる。また、プログラム異常で自己ループしているような異常も検出することができる。
ここで、演算処理の実行順序の異常は、原因究明が難しく、故障復旧に時間がかかってしまう。演算処理の実行順序の異常は、マイコンやプログラムの異常により発生することもあるが、これらに異常がなければ、一番の要因は割り込み演算が演算周期時間内に終わらないこと(演算時間オーバー)であると考えられる。
演算時間オーバーは、通常は発生しないが、例えば呼び釦が多く操作され呼びスキャン演算に長時間を要する場合など、一時的に演算時間が増えることにより発生する。また、ソフトウエアの改造や改善等を繰り返すうちに演算時間が徐々に増え、演算時間オーバーが発生することも考えられる。
これに対して、実施の形態17のエレベータ制御装置によれば、演算処理の実行順序の異常をより早期に検出することができ、二次的な故障の発生を未然に防止することができ、信頼性が向上する。
また、制御装置本体206は、予め設定された演算周期毎に処理情報のパターンを確認するので、異常の有無を常時監視することができ、信頼性をさらに向上させることができる。
さらに、演算処理の実行順序に異常があると判断されたときには、かごを急停止させるので、より大きな故障にながるのを防止することができる。
実施の形態18.
次に、図36はこの発明の実施の形態18によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャートである。この例では、演算処理の実行順序が正常である場合は、実施の形態17と同様の演算処理が実行される(ステップS7〜21)。一方、演算処理の実行順序が異常であると判断された場合、入力演算(ステップS25)及びかご位置演算(ステップS26)が実行された後、かごを最寄り階に停止させるための演算が実行される(ステップS27)。
最寄り階停止演算が実行された場合、走行指令演算(ステップS28)が実行され、かごを最寄り階まで走行させるために必要な指令信号が出力される。この後、モニタ演算(ステップS23)及び出力演算(ステップS24)が実行される。
このようなエレベータ制御装置によれば、演算処理の実行順序が異常であると判断された場合に、かごを最寄り階まで移動させてから停止させることができるので、かご内の乗客をスムーズに乗場に降ろすことができる。
実施の形態19.
次に、図37はこの発明の実施の形態19によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャートである。この例では、演算処理の実行順序が正常である場合は、実施の形態17と同様の演算処理が実行される(ステップS7〜21)。一方、演算処理の実行順序が異常であると判断された場合、正常時に実行する演算の一部が省略され、最低限必要な演算のみが実行されて運転が継続される。即ち、この例では、呼びスキャン演算及びモニタ演算が省略され、入力演算(ステップS25)、かご位置演算(ステップS26)、距離演算(ステップS29)、走行指令演算(ステップS28)及び出力演算(ステップS24)が実行される。
なお、異常が検出された時点で目的階が決定していない場合、最寄り階を目的階として設定する。
このようなエレベータ制御装置によれば、演算処理の実行順序が異常であると判断された場合、一部の演算を省略することで、最低限必要な演算の時間を確保することができ、かごの運転を継続させることができる。
実施の形態20.
次に、図38はこの発明の実施の形態20によるエレベータ制御装置の割り込み演算の流れを示すフローチャートである。この例では、演算処理の実行順序が正常である場合は、実施の形態17と同様の演算処理が実行される(ステップS7〜21)。一方、演算処理の実行順序が異常であると判断された場合、急停止演算(ステップS22)が実行されるとともに、そのときのエレベータの運転状態が履歴として記録(履歴演算)される(ステップS31)。履歴は、例えばRAM203内の予め設定された領域に記録される。履歴演算の後、モニタ演算(ステップS23)及び出力演算(ステップS24)が実行される。
図39は図38の履歴演算により記録されるデータの例を示す説明図である。履歴として記録される運転状態には、例えばCNT値、日付、走行/停止状態、走行方向、出発階、現在階、目的階、呼びの数、TBL[0]〜[9]等が含まれる。また、1回の異常が1つのTIMEデータ(履歴データ)として記録される。さらに、TIMEデータは、16回分(TIME[0]〜[15])保存され、16回を超えると最新のTIMEデータ保存され、最も古いTIMEデータは消去される。
なお、CNT値とは、割り込み演算実行毎にインクリメントするデータを作成しておき、点検時点のCNT値との差から演算処理順序異常の発生時刻を算出するために使用する値である。
図40は図38の履歴演算の流れを示すフローチャートである。履歴演算では、履歴格納アドレスがPOINTとBUFとから算出され(ステップS32)、エレベータの運転状態のデータが格納され(ステップS33)、次の履歴用にPOINTが更新される(ステップS34)。この後、POINTが16に達したかどうかが確認され(ステップS35)、達していなければ履歴演算は終了される。また、POINTが36に達したら、次の履歴用のPOINTが0に戻されてから(ステップS36)、履歴演算が終了される。
このようなエレベータ制御装置では、演算処理の実行順序に異常が生じたときのTIMEデータが保存されるので、例えばエレベータの保守点検時にTIMEデータを確認することにより、制御装置の異常の発生を未然に防止したり、異常の発生原因の究明に役立てたりすることができる。また、異常発生時にTIMEデータを確認することにより、故障復旧時間の短縮を図ることができる。
なお、履歴演算で記録される履歴データは上記の例に限定されるものではない。しかし、履歴データとしては、かごの走行/停止状態、走行方向、出発階、現在階、目的階及び呼びの数のデータのうちの少なくともいずれかのデータと処理情報のパターンとの組み合わせを用いるのが好適である。
実施の形態21.
次に、図41はこの発明の実施の形態21によるエレベータ装置を示す構成図である。実施の形態17〜20では、かごの基本的な運転を制御するエレベータ制御装置、即ち運転制御装置にこの発明を適用した例を示した。これに対して、実施の形態21では、過速度等の異常を検出してエレベータを安全な状態に移行させるエレベータ制御装置、即ち安全装置にこの発明を適用している。安全装置は、制御盤とは別に設けることができ、例えばかごに搭載してもよい。
図において、昇降路の上部には、駆動装置(巻上機)211及びそらせ車212が設けられている。駆動装置211の駆動シーブ211a及びそらせ車212には、主ロープ213が巻き掛けられている。かご214及び釣合おもり215は、主ロープ213により昇降路内に吊り下げられている。
かご214の下部には、ガイドレール(図示せず)に係合してかご214を非常停止させるための機械式の非常止め装置216が搭載されている。昇降路の上部には、調速機綱車217が配置されている。昇降路の下部には、張り車218が配置されている。調速機綱車217及び張り車218には、調速機ロープ219が巻き掛けられている。調速機ロープ219の両端部は、非常止め装置216の作動レバー216aに接続されている。従って、調速機綱車217は、かご214の走行速度に応じた速度で回転される。
調速機綱車217には、かご214の位置及び速度を検出するための信号を出力するセンサ220(例えばエンコーダ)が設けられている。センサ220からの信号は、入出力部205に入力される。
昇降路の上部には、調速機ロープ219を掴みその循環を停止させる調速機ロープ把持装置221が設けられている。調速機ロープ把持装置221は、調速機ロープ219を把持する把持部221aと、把持部221aを駆動する電磁アクチュエータ221bとを有している。
入出力部205からの指令信号が調速機ロープ把持装置221に入力されると、電磁アクチュエータ221bの駆動力により把持部221aが変位され、調速機ロープ219の移動が停止される。調速機ロープ219が停止されると、かご214の移動により作動レバー216aが操作され、非常止め装置216が動作し、かご214が停止される。
安全装置においても、図32と同様の初期動作を実施した後、割り込み待ち状態となる。そして、安全装置における割り込み演算も、演算周期時間毎に繰り返し実行される。
図42は図41のエレベータ制御装置(安全装置)による割り込み演算の流れを示すフローチャートである。割り込み演算が開始されると、まずRAM203に書き込まれた処理情報のパターンが確認される(ステップS41)。処理情報のパターンが正常であれば、TBL[0]〜[9]及びテーブルの格納ポインタが0に初期化される(ステップS42)。この後、演算に必要な信号を入力する入力演算(ステップS43)、かごの現在位置と現在位置から終端階までの距離とを求めるかご位置演算(ステップS44)、かごの移動量からかごの速度を求めるかご速度演算(ステップS45)、及び終端階までの距離に応じた異常速度の判断基準値(例えば図19)を求める判断基準演算(ステップS46)が実行される。
この後、かご速度と判断基準値とからかご速度の異常を検出するための安全監視演算が実行される(ステップS47)。安全監視演算又は急停止演算が実行されると、エレベータの状態をモニタ表示するためのモニタ演算が実行される(ステップS48)。最後に、安全監視演算の結果に応じて、かごの走行を許可、又はかごを急停止させるために必要な指令信号を出力するための出力演算が実行される(ステップS49)。
また、それぞれの演算が実行された直後には、対応するテーブルへの識別値の書き込みが実行される(ステップS50〜56)。即ち、演算処理と識別値の書き込みとは交互に実行される。
具体的には、最初の演算である入力演算が実行された直後には、TBL[P]に1が書き込まれ、格納ポインタPに1がプラスされる(ステップS15)。次に、かご位置演算が実行された直後には、TBL[P]に2が書き込まれ、格納ポインタPに1がプラスされる(ステップS16)。このような処理が順次実行され、最後の演算である出力演算が実行された直後には、TBL[6]に7が書き込まれる。
このように書き込まれた識別値のパターンは、次の割り込み演算の開始時に確認される(ステップS41)。演算処理の実行順序が正常であれば、識別値のパターンは図34のようになる。また、演算処理の順序が正しくなかったり、1回の割り込み演算周期の中で同じ演算処理を繰り返し実行したりすると、識別値のパターンが図34とは異なるものとなり、制御装置本体206により異常が検出される。
演算処理の実行順序に異常が検出されると、かごを急停止させるための演算が実行される(ステップS57)。また、演算処理の実行順序に異常が検出された場合、エレベータ監視室に異常検出信号が送信される。急停止演算が実行されると、モニタ演算が実行され(ステップS58)、かごを急停止させるために必要な指令信号を出力するための出力演算が実行され(ステップS59)、割り込み演算処理が終了する。
このように、エレベータ制御装置としての安全装置においても、演算処理の実行順序の異常を速やかに検出することができ、これによりコンピュータによる運転制御に関する演算をより確実に実行することができ、信頼性を向上させることができる。また、プログラム異常で自己ループしているような異常も検出することができる。即ち、この発明は、運転制御装置にも安全装置にも適用できる。
なお、実施の形態21では、安全装置からの指令信号を調速機ロープ把持装置221に出力するようにしたが、実施の形態1〜16に示したようなアクチュエータを持つ非常止め装置に出力するようにしてもよい。
また、実施の形態17において、かごを急停止させるために、実施の形態21に示したような調速機ロープ把持装置221と機械式の非常止め装置216との組み合わせを用いてもよい。
さらに、実施の形態17〜21では、演算処理の実行順序の監視プログラムをROM202に格納したが、例えばハードディスクやCD等の記録媒体に格納して使用することも可能である。
さらにまた、実施の形態17〜21では全ての演算処理に処理情報を割り当てたが、必ずしも全てでなくてもよい。即ち、実行順序を監視したい演算処理のみに処理情報を付与してもよい。
Claims (7)
- RAM、及び
エレベータの運転制御に関するプログラムが格納されたプログラム記憶部と、上記プログラムに基づいて複数の演算処理を実行する処理部とを有する制御装置本体
を備え、
上記制御装置本体は、
上記演算処理を組み合わせた割り込み演算を演算周期時間内に実行するタイマ割り込み制御方式により上記エレベータの運転を制御し、
それぞれの上記演算処理を実行した直後にそれぞれの上記演算処理に対応した処理情報を上記RAMに書き込み、
上記RAMに書き込まれた処理情報のパターンを次の上記割り込み演算の開始時に確認することにより、上記演算処理の実行順序が正常であるかどうかを監視し、
上記演算処理の実行順序に異常があると判断したとき、かごを急停止させるための演算処理を実行することを特徴とするエレベータ制御装置。 - RAM、及び
エレベータの運転制御に関するプログラムが格納されたプログラム記憶部と、上記プログラムに基づいて複数の演算処理を実行する処理部とを有する制御装置本体
を備え、
上記制御装置本体は、
上記演算処理を組み合わせた割り込み演算を演算周期時間内に実行するタイマ割り込み制御方式により上記エレベータの運転を制御し、
それぞれの上記演算処理を実行した直後にそれぞれの上記演算処理に対応した処理情報を上記RAMに書き込み、
上記RAMに書き込まれた処理情報のパターンを次の上記割り込み演算の開始時に確認することにより、上記演算処理の実行順序が正常であるかどうかを監視し、
上記演算処理の実行順序に異常があると判断したとき、かごを最寄り階に停止させるための演算処理を実行することを特徴とするエレベータ制御装置。 - RAM、及び
エレベータの運転制御に関するプログラムが格納されたプログラム記憶部と、上記プログラムに基づいて複数の演算処理を実行する処理部とを有する制御装置本体
を備え、
上記制御装置本体は、
上記演算処理を組み合わせた割り込み演算を演算周期時間内に実行するタイマ割り込み制御方式により上記エレベータの運転を制御し、
それぞれの上記演算処理を実行した直後にそれぞれの上記演算処理に対応した処理情報を上記RAMに書き込み、
上記RAMに書き込まれた処理情報のパターンを次の上記割り込み演算の開始時に確認することにより、上記演算処理の実行順序が正常であるかどうかを監視し、
上記演算処理の実行順序に異常があると判断したとき、正常時に実行する演算のうちの一部を省略して残りの演算のみを実行することを特徴とするエレベータ制御装置。 - 上記処理情報は、上記演算処理毎に予め設定された数値であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
- 上記制御装置本体は、上記演算処理の実行順序に異常があると判断したとき、そのときのエレベータの運転状態を履歴として記録することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
- 上記制御装置本体は、予め設定された回数分の履歴データを保存するための演算処理を実行することを特徴とする請求項5記載のエレベータ制御装置。
- 上記履歴データには、かごの走行/停止状態、走行方向、出発階、現在階、目的階及び呼びの数のデータのうちの少なくともいずれかのデータと処理情報のパターンとが含まれていることを特徴とする請求項6記載のエレベータ制御装置。
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