JP4743958B2 - 研磨パッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板を平坦化するための研磨方法に関するものであり、特に、半導体ウエハ上に微細なパターンが形成されており、該パターンの微小な凹凸を平坦化する研磨工程に使われる研磨パッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体ウエハは仕上げ加工工程や、デバイス化での多層配線プロセスにおいて、いわゆる化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing )により鏡面研磨や、層間絶縁膜や導電膜の平坦化が行われている。この様な研磨では、ウエハ全面内での研磨量の均一性、凹凸段差の凸部の選択的研磨や、凹凸部の研磨後の平坦性などの特性が求められる。これらの要求に対してこれまで下記のような研磨パッドが開発・検討されているが、それぞれに問題を含んでいる。
【0003】
例えば、米国特許番号3504457には、弾性ポリウレタン層に研磨層である合成皮革層が積層された研磨パッドが開示されているが、この方式では、全面の均一性に関しては、弾性ポリウレタン層がウエハにかかる荷重を均一にする役目を果たしているが、最表層研磨層に、柔らかい合成皮革を使用しているため、スクラッチ等の問題は無いが、微小領域での平坦化特性が良くないという問題点を有する。
【0004】
特開平6−21028には、発泡ポリウレタン層にポリウレタン含浸不織布を貼り合わせた構成の研磨パッドが開示されているが、ポリウレタンと不織布の積層でも、不織布層が上記の弾性ポリウレタン層と同等の役目を果たし、均一性を得ている。また、研磨層も硬質の発泡ポリウレタン層を有している為、合成皮革に比べて平坦化特性も優れているが、近年、微小領域での平坦化特性の要求レベルの向上や、金属膜の研磨においては、要求レベルに達していない。また、硬質ウレタン層の硬度を更に上げる事で平坦化特性の向上を図れるが、この場合、スクラッチの多発を招き実用的ではない。
【0005】
特開平6−77185には、研磨表面が設けられており、前記研磨表面に隣接し選択した厚さ及び剛性の剛性要素が設けられており、前記剛性要素へ実質的に一様な力を付与するために前記剛性要素に隣接して弾性要素が設けられており、前記剛性要素及び前記弾性要素が前記研磨表面へ弾性的屈曲力を付与して前記研磨表面に制御した屈曲を誘起させ、それが前記加工物の表面の全体的な形状に適合し且つ前記加工物表面の局所的な形状に関して制御した剛性を維持することを特徴とする研磨用パッドが開示されているが、研磨層、剛性層、弾性層の構造のものは、表層の研磨層でスクラッチの起きない適度の硬度を持たせ、硬度が上げられず劣化する平坦化特性を第2層の剛性層で改善させる構成のものである。これは、上記特開平6−21028の方式の問題点を解決するものであるが、この場合、研磨層の厚さが0.003インチ以下が指定されており、この厚さでは実際に使用した場合、研磨層も削れてしまい、製品寿命が短い欠点がある。
【0006】
特開平10−156724には、縦弾性係数EA の大きい表層Aと、縦弾性係数EB の小さい下層Bとを有し、両層A,Bとの間に上記B層よりも少なくとも縦弾性係数の大きい中間層Mを設けたことを特徴とする研磨布が開示されているが、同方式は、基本的思想は上記特開平6−77185の方式と同様であり、各層の弾性率の範囲を限定して、より効率的な範囲を得ようとしているが、該方式の中では実質的に何ら実現する手段がなく、研磨パッドを製作することは困難である。
【0007】
特開平11−48131には、研磨層と、研磨層より弾性の高い中間層と、柔らかい下地層の構成で、中間層が分割されているパッドが開示されているが、この方式でも、基本的思想は上記特開平6−77185と同様であるが、ウエハ面内の均一性をより向上するために中間剛性層をある所定の大きさにて分割している。しかし、この分割する工程にコストが掛かり、安価な研磨パッドを供給することはできない。
【0008】
以上説明した通り、十分に満足できる研磨パッドが得られていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、研磨パッドの研磨レートを向上させる為に、ウレタン樹脂を多孔質にする。この多孔質にする為には、従来、攪拌翼にて気泡を取り込み機械的に発泡させていたが、これでは微小で安定した発泡状態を得ることが困難である。そこで、本発明においては中空樹脂微粒子を混合させて安定した発泡状態を得る物である。この様な構成の研磨パッドとしては、特許第3013105号にて高分子微小エレメントを含む研磨パッドの提案がある。ここに記載された製法では良好に微小エレメントが混合できず、泡を取り込まずに良好に攪拌する為には長い時間を必要とする。
また、得られたパッドで半導体を研磨した際には、半導体にスクラッチが付きやすく問題が多いものであった。
【0010】
そこで、本発明者らは、プレポリマーと中空微小粒子を混合するときに0.05wt%から1wt%の範囲において界面活性剤を入れることによって極めて良好に該粒子が分散することを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、上記委に加え、界面活性剤を加えることにより、中空粒子が凝集することなく速やかに分散するため、粒子の凝集物に由来するスクラッチも起こりにくいことも見出した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づき、さらに重ねて検討し、完成したものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、中空樹脂粒子を含有する研磨層を有する半導体ウエハ研磨パッドであって、該研磨層が0.05wt%〜1wt%の界面活性剤を含有することを特徴とする半導体ウエハ研磨パッドを提供するものである。
【0014】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤である。
【0015】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記シリコーン系界面活性剤が、主としてシリコーンとポリエーテルの共重合体からなる。
【0016】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記研磨層の研磨面の硬度をD型ゴム硬度計により測定する時、その硬度が45〜65である。
【0017】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記研磨層の圧縮率が、0.5%〜10%である。
【0018】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記研磨層の密度が、0.5〜1.2である。
【0019】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記研磨パッドが少なくとも2層からなり、前記研磨層以外の少なくとも1層が、前記研磨層よりも弾性率の小さい材料からなる。
【0020】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記弾性率の小さい材料が、ウレタン含浸ポリエステル不織布、ポリウレタン発泡体、又は、ポリエチレン発泡体から選ばれた材料からなる。
【0021】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、それぞれの層が、両面テープにより貼り合わされている。
【0022】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドの好ましい実施態様は、前記両面テープの張り合わされてなる各層間の剥離強度が300g/cm以上である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドを構成する研磨層は、0.05〜1wt%の界面活性剤を含有する。界面活性剤が0.05wt%よりも少ない場合は、中空樹脂粒子の分散性が著しく悪化する。その結果、分散が完了するまでに長時間かかり、生産性が悪化する、攪拌中に空気がプレポリマー中に溶解し、これが硬化反応時に気泡となってパッド中に現れ、空洞の多いパッドになる、パッド中に粒子の凝集体(クラスター)が多くなり、研磨された半導体に傷(スクラッチ)が多くなると言った問題となる場合がある。
界面活性剤が1wt%を超える場合には、攪拌時に巻き込んだ気泡が消失しにくくなり、この泡に由来する大きな空洞が増加し、研磨速度が低下したり不安定になる。
【0024】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドに用いられる界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤が好ましく、シリコーンとポリエーテルの共重合体の界面活性剤はより好ましい。
【0025】
上記のシリコーンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記の化1〜化6などが好適に用いられる。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
【化6】
【0032】
上記ポリエーテルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ないしはそれらの共重合体などが好適に用いられる。
【0033】
本発明の半導体ウエハ研磨パッドを構成してなる研磨層に用いられるポリウレタン樹脂は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと有機ジアミン化合物とからなる。
【0034】
上記のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートと高分子ポリオールと低分子ポリオールからなる。
【0035】
上記ポリイソシアネートとしては、一例として2,4−及び/または2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2´−、2,4´−及び/または4,4´−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、p−及びm−フェニレンジイソシアネ−ト、ダイメリルジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニル−4,4´−ジイソシネ−ト、1,3−及び1,4−テトラメチルキシリデンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び1,4ージイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(=水添MDI)、2−及び4−イソシアナトシクロヘキシル−2´−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−及び1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、等が挙げられる。
【0036】
上記高分子ポリオールとしては、例えばヒドロキシ末端ポリエステル、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステルカ−ボネ−ト、ポリエ−テル、ポリエ−テルカ−ボネ−ト、ポリエステルアミド等が挙げられるが、これらのうち耐加水分解性の良好なポリエ−テル及びポリカ−ボネ−トが好ましく、価格面と溶融粘度面からはポリエ−テルが特に好ましい。ポリエ−テルポリオ−ルとしては、反応性水素原子を有する出発化合物と、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化スチレン、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリンの様な酸化アルキレン又はこれら酸化アルキレンの混合物との反応生成物が挙げられる。反応性水素原子を有する出発化合物としては、水、ビスフェノ−ルA並びにポリエステルポリオ−ルを製造するべく上記した二価アルコ−ルが挙げられる。
【0037】
更にヒドロキシ基を有するポリカ−ボネ−トとしては、例えば、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル及び/又はポリテトラメチレングリコ−ルの様なジオ−ルとホスゲン、ジアリルカ−ボネ−ト(例えばジフェニルカ−ボネ−ト)もしくは環式カ−ボネ−ト(例えばプロピレンカ−ボネ−ト)との反応生成物が挙げられる。ポリエステルポリオ−ルとしては、二価アルコ−ルと二塩基性カルボン酸との反応生成物が挙げられるが、耐加水分解性向上の為には、エステル結合間距離が長い方が好ましく、いずれも長鎖成分の組み合わせが望ましい。二価アルコ−ルとしては、特に限定はしないが、例えばエチレングリコ−ル、1,3−及び1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−及び1,3−及び2,3−ブチレングリコ−ル、1,6−ヘキサングリコ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、ジブチレングリコ−ル等が挙げられる。
【0038】
二塩基性カルボン酸としては、脂肪族、脂環族、芳香族及び/又は複素環式のものがあるが、生成する末端NCOプレポリマーを液状又は低溶融粘度とする必要上から、脂肪族や脂環族のものが好ましく、芳香族系を適用する場合は脂肪族や脂環族のものとの併用が好ましい。これらカルボン酸としては、限定はしないが、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸(o-,m-,p-)、ダイマ−脂肪酸、例えばオレイン酸、等が挙げられる。これらポリエステルポリオールとしては、カルボキシル末端基の一部を有することもできる。例えば、ε−カプロラクトンの様なラクトン、又はε−ヒドロキシカプロン酸の様なヒドロキシカルボン酸のポリエステルも使用することができる。
【0039】
上記低分子ポリオ−ルとしては、前述のポリエステルポリオ−ルを製造するのに用いられる二価アルコ−ルが挙げられるが、本発明の低分子ポリオールとは、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサメチレングリコールのいずれか1種又はそれらの混合物を用いることが好ましい。本発明以外の低分子ポリオールであるエチレングリコールや1,4−ブチレングリコールを用いると、注型成形時の反応性が速くなり過ぎたり、最終的に得られるポリウレタン研磨材成形物の硬度が高くなりすぎる為、本発明の研磨材としては、脆くなったり又IC表面に傷がつき易くなる。他方、1,6−ヘキサメチレングリコールよりも長鎖の二価アルコールを用いると、注型成形時の反応性や、最終的に得られるポリウレタン研磨材成形物の硬度が適切なものが得られる場合もあるが、価格的に高くなり過ぎ、実用的ではない。
【0040】
イソシアネート成分は、注型成形時に必要とされるポットライフに応じて適宜に選定されると共に、生成する末端NCOプレポリマーを低溶融粘度とすることが必要である為、単独又は2種以上の混合物で適用される。
【0041】
それらの具体例としては、特に限定はしないが、2,4−及び/または2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2´−、2,4´−及び/または4,4´−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、p−及びm−フェニレンジイソシアネ−ト、ダイメリルジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニル−4,4´−ジイソシネ−ト、1,3−及び1,4−テトラメチルキシリデンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び1,4ージイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(=水添MDI)、2−及び4−イソシアナトシクロヘキシル−2´−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−及び1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、等が挙げられる。本発明で使用される有機ジアミン化合物としては、特に限定は無いが、例えば、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、クロロアニリン変性ジクロロジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、トリメチレングリコールージ−p−アミノベンゾエート、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン等が挙げられる。
【0042】
本発明には、研磨レートを安定化させる目的で、中空樹脂粒子を研磨層に含有することを必須とする。本発明に用いられる、樹脂粒子は中空であればいかなる物でも良いが、好ましくは、その粒子径が5μm以上200μm以下が好ましく、特に好ましくは10μm以上100μm以下が良い。また、本発明に用いられる樹脂粒子を構成する樹脂としては特に限定される物ではないが、一例を上げるとすれば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ないしは、それら共重合体が例示される。
【0043】
このような中空粒子を混合する際には、粒子の比重が小さいため、舞い上がりやすく、予め粒子を界面活性剤で湿潤させて投入することも好ましい。
【0044】
本発明において、界面活性剤を含んだ状態での研磨パッド研磨層の硬さが、D型ゴム硬度計にて、45以上65未満であることが好ましい。D硬度が45未満の場合、平坦化特性が悪化し、また、65以上の場合は平坦化特性は良好であるが、均一性が悪化してしまう。更に本発明においては、研磨パッドの圧縮率が0.5%以上10%以下であることが好ましい。該範囲に圧縮率が有る事により、均一性が優れた研磨パッドを得ることが出来る。
【0045】
本発明で言う、圧縮率とは、式7で表される。
圧縮率(%)=(T1-T2)/T1×100 ・・・・式7
ここで、T1=無負荷状態から30kPa(300g/cm2)の応力の負荷を60秒保持したときのシートの厚みを表し、T2=T1の状態から180kPaの応力の負荷を60秒保持したときのシートの厚みを示す。
【0046】
本発明では研磨パッドに使われる、多硬質ウレタンの密度が0.5以上1.2以下である事が好ましい。該ウレタンは、中空樹脂粒子を含有しておる為、密度を下げることが可能であるが、密度が0.5以下となると、その強度が著しく低下し研磨の摩擦に耐えない。また、密度が1.2を超える場合は、中空樹脂粒子が殆ど含まれない状態出なければ実現できず。この場合、研磨パッドを構成したときの研磨レートが低下してしまう問題点が発生する。
【0047】
本発明においては、研磨される対象物の研磨均一性を向上させる目的で、多硬質樹脂ウレタン層よりも弾性率の小さい材料を積層した構成の半導体ウエハ研磨パッドを構成しても良い。この場合、弾性率の小さい材料層としては、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布 等の繊維不織布層、ないしは、それら不織布にウレタン樹脂を含浸させた構造の物、あるいはまた、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂等の独立気泡発泡体などを使うことが出来る。このうち、製造しやすさ、安価、物性安定性などの面でウレタン含浸ポリエステル不織布、ポリウレタン発泡体又は、ポリエチレン発泡体が好ましく。特に好ましくはポリエチレン独立気泡発泡体が良い。該発泡体を用いることにより、繰り返し荷重耐久性が優れ、安価なパッドを供給することが出来る。
【0048】
本発明においては、多硬質ウレタン樹脂研磨層と、それに続く積層された弾性率の低い層とを張り合わせる手法として、両面テープを用いることが好ましい。用いられる両面テープは特に限定される物ではないが、各層でのテープの接着強度が、測定幅25mmで180度剥離で引っ張り試験機にて測定した時の剥離強度が300g/cm以上有ることが好ましい。該接着強度がこれ以下である場合、研磨中に各積層間でそれぞれの層が剥離してしまう危険性がある。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
容器にポリエーテル系ウレタンプレポリマー(ユニローヤル社製アジプレンL−325)を3000重量部と、界面活性剤(ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキル共重合体 東レダウコーニングシリコーン(株)社製 SH192)を19重量部と中空樹脂粒子(エクスパンセル551DE)を90重量部を入れ、攪拌機にて約400rpmで攪拌し混合溶液を作り、その後、攪拌機を交換し硬化剤(4,4′−メチレン−ビス〔2−クロロアニリン〕を770重量部を攪拌しながら投入する。約1分間攪拌した後、パン型のオープンモールドへ混合液を入れ、オーブンにて110℃、6時間ポストキュアを行い、発泡ポリウレタンブロックを製作した。得られた発泡ポリウレタンはD硬度にて50、圧縮率1.2%、比重0.75であり、平均気泡径35μmであった。また、蛍光X線により元素分析を行なったところSiが検出され、所定の界面活性剤が含有されていることを確認した。
【0051】
次にこの発泡ポリウレタンブロックを、約50℃に加熱しながらスライサー(アミテック社製 VGW-125)にて厚さ1.27mmにスライスし研磨シートを得た。得られた研磨シートに両面テープ(積水化学工業社製 ダブルタックテープ)を貼り合せ、研磨パッドを完成させた。両面テープで貼り合わされた各層の接着強度は600g/cm以上あった。
【0052】
得られた研磨パッドを、CMP研磨装置(岡本工作機械社製 SPP-600S)にて酸化膜の堆積したシリコンウエハを用いて研磨特性を評価した。このときスラリーとしては、pH11に調整されたシリカスラリー(フジミインコーポレーテット社製RD97001)を150g/minの流量で流しながら、研磨荷重350g/cm2、研磨パッド回転数35rpm、ウエハ回転数33rpmにて研磨実験を行った。評価に用いたウエハは、6インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用い、0.5μm研磨した時の平均研磨速度を求めた。
また、このときにウエハの各面内28点を測定し、ウエハ面内均一性を評価した。ウエハ面内均一性は下記式にて算出した。
均一性=(最大膜厚−最小膜厚)/(2×平均膜厚)×100
【0053】
平坦化特性の評価では、6インチシリコンウエハに熱酸化膜を0.5μm堆積させた後、所定のパターンニングを行った後、p−TEOSにて酸化膜を1μm堆積させ、初期段差0.5μmのパターン付きウエハを製作し、このウエハを前述条件にて研磨を行い、研磨後、各段差を測定し平坦化特性を評価した。平坦化特性としては2つの段差を評価した。1つはローカル段差であり、これは幅500μmのラインが50μmのスペースで並んだパターンにおける段差であり、もうひとつは100μmの等間隔のライン・アンド・スペースにおいて、スペースの底部分の削れ量を調べた。
【0054】
表1に本実施例にて得られた特性を示すが、研磨レートは高く安定しており、均一性も10%以下と良好で、平坦化特性も極めて優れていることが分かった。
【0055】
ゴム高度の測定として、JIS K 6253-1997準拠D型ゴム高度計を用いて、製作したウレタン樹脂発泡体を5mm以上の厚さとし、硬度計の針を挿入した後1分経過後の値を硬度とした。
【0056】
接着強度は、幅25mmに切断された帯状に形成された積層された各層の一部剥離し、引っ張り試験機を用いて、50mm/minで引きながら180度剥離で、その強度を測定した。
【0057】
圧縮率は、製作したウレタン樹脂のシートを直径5mmの円筒状の圧子を利用し、マックサイエンス社製TMAにて25℃にて荷重を印加し、T1、T2を測定した。
圧縮率(%)=(T1-T2)/T1×100
ここで、T1=無負荷状態から30kPa(300g/cm2)の応力の負荷を60秒保持したときのシートの厚みを表し、T2=T1の状態から180kPaの応力の負荷を60秒保持したときのシートの厚みを示す。
【0058】
(実施例2)
実施例1の界面活性剤量を30重量部に変更し、それ以外は実施例1と同様に研磨パッドを製作した。得られた発泡ポリウレタンはD硬度にて47、圧縮率1.4%、比重0.74であり、平均気泡径35μmであった。また、蛍光X線により元素分析を行なったところSiが検出され、所定の界面活性剤が含有されていることを確認した。
【0059】
その結果、表1に特性を示すが、研磨レートは高く安定しており、均一性も10%以下と良好で、平坦化特性も極めて優れていることが分かった。
【0060】
(実施例3)
実施例1で得られた研磨シートに両面テープ(積水化学工業社製 ダブルタックテープ #5782)を貼り、これに弾性率の低い層として下記の層を張り合わせた。下層の柔らかい層としては、3.5デニールのポリエステル繊維を用いた目付け量200g/m2の不織布に、水分散ポリウレタンエマルジョンを30wt%含浸させ、乾燥させたものを用いた。この不織布層は圧縮率は約15%であった。この不織布を、先に製作した研磨層と先に貼り付けた両面テープを用いて貼り合せ、さらに該不織布に両面テープを貼り合せ、研磨パッドを完成させた。両面テープで貼り合わされた各層の接着強度は600g/cm以上あった。
【0061】
その結果、表1に特性を示すが、研磨レートは高く安定しており、均一性も5%以下と良好で、平坦化特性も極めて優れていることが分かった。
【0062】
(実施例4)
実施例2で得られた研磨シートに両面テープ(積水化学工業社製 ダブルタックテープ #5782)を貼り、これに弾性率の低い層として下記の層を張り合わせた。下層の柔らかい層としては、3.5デニールのポリエステル繊維を用いた目付け量200g/m2の不織布に、水分散ポリウレタンエマルジョンを30wt%含浸させ、乾燥させたものを用いた。この不織布層は圧縮率は約15%であった。この不織布を、先に製作した研磨層と先に貼り付けた両面テープを用いて貼り合せ、さらに該不織布に両面テープを貼り合せ、研磨パッドを完成させた。両面テープで貼り合わされた各層の接着強度は600g/cm以上あった。
【0063】
その結果、表1に特性を示すが、研磨レートは高く安定しており、均一性も5%以下と良好で、平坦化特性も極めて優れていることが分かった。
【0064】
(比較例1)
実施例1の界面活性剤量を1.4重量部に変更し、それ以外は実施例1と同様に研磨パッドを製作した。得られた発泡ポリウレタンは混合した中空樹脂粒子が随所で凝集していた。また、その物性はD硬度にて50、圧縮率1.4%、比重0.74であり、平均気泡径35μmであった。
【0065】
その結果、表1に示すが、研磨レートは不安定で測定ごとに大きく変化した。
【0066】
(比較例2)
実施例1の界面活性剤量を100重量部に変更し、それ以外は実施例1と同様に研磨パッドを製作した。この場合、攪拌時に大きな泡が発生してしまった。得られた発泡ウレタンは中空樹脂粒子以外に非常に大きな気泡が見られた。また、その物性はD硬度にて45、圧縮率2.3%、比重0.70であり、平均気泡径45μmであった。
【0067】
その結果を表1に示すが、均一性は10%以下で良好であったものの、研磨レートは不安定で、平坦化特性がやや悪化した。
【0068】
(比較例3)
実施例1の界面活性剤量を150重量部に変更し、また、中空樹脂粒子量を150重量部に変更し、それ以外は実施例1と同様に研磨パッドを製作した。この場合、攪拌時に大きな泡が発生してしまった。得られた発泡ウレタンは中空樹脂粒子以外に非常に大きな気泡が見られた。また、その物性はD硬度にて35、圧縮率3.3%、比重0.45であり、平均気泡径60μmであった。
【0069】
その結果を表1に示すが、均一性は10%以下で良好であったものの、研磨レートは不安定で、平坦化特性が著しく悪化した。
【0070】
(比較例4)
実施例1の界面活性剤量を1.4重量部に変更し、また、中空樹脂粒子量を40重量部に変更し、それ以外は実施例1と同様に研磨パッドを製作した。得られた発泡ウレタンは気泡が減り、その物性はD硬度にて60、圧縮率0.8%、比重1.25であり、平均気泡径35μmであった。
その結果を表1に示すが、平坦化特性は優れるものの、スクラッチが多く、均一性は10%以上と悪化し、研磨レートもやや低くなってしまった。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
本発明は、半導体ウエハ上に微細なパターンが形成されており、該パターンの微小な凹凸を平坦化する研磨工程に使われる研磨パッドにおいて、ウエハ全面内において研磨量の均一性と、微小領域での凹凸平坦化特性という相反する要求に応え、なおかつスクラッチの発生の少ない半導体ウエハ研磨用パッドを提供するものである。
Claims (8)
- 中空樹脂粒子を含有する発泡ポリウレタン樹脂により形成される研磨層を有する半導体ウエハ研磨パッドであって、該研磨層が0.05wt%〜1wt%のシリコーンとポリエーテルの共重合体からなるシリコーン系界面活性剤を含有することを特徴とする半導体ウエハ研磨パッド。
- 前記シリコーンとポリエーテルの共重合体が、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハ研磨パッド。
- 前記研磨パッドが少なくとも2層からなり、前記研磨層以外の少なくとも1層が、前記研磨層よりも弾性率の小さい材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウエハ研磨パッド。
- 前記弾性率の小さい材料が、ウレタン含浸ポリエステル不織布、ポリウレタン発泡体、又は、ポリエチレン発泡体から選ばれた材料からなることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハ研磨パッド。
- それぞれの層が、両面テープにより貼り合わされていることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体ウエハ研磨パッド。
- 半導体ウエハ研磨パッドを構成する研磨層の形成に用いられる発泡ポリウレタン樹脂の製造方法において、イソシアネート末端プレポリマーと、中空樹脂粒子と、発泡ポリウレタン樹脂中に0.05wt%〜1wt%となる量のシリコーンとポリエーテルの共重合体からなるシリコーン系界面活性剤とを混合、攪拌して混合溶液を調製する工程、当該混合溶液と有機ジアミン化合物とを混合、攪拌してポリウレタン樹脂組成物を調製する工程、及び当該ポリウレタン樹脂組成物を硬化させる工程を含むことを特徴とする発泡ポリウレタン樹脂の製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法によって得られる発泡ポリウレタン樹脂。
- 請求項7に記載の発泡ポリウレタン樹脂により形成される研磨層を有する半導体ウエハ研磨パッド。
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