JP3570681B2 - 研磨パッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ、反射ミラー等の光学材料やシリコンウエハー、ハードディスク用のガラス基板、アルミ基板、及び一般的な金属研磨加工等の高度の表面平坦性を要求される材料の平坦化加工を安定、かつ高い研磨効率で行うことが可能な研磨パッドに関するものである。本発明の研磨パッドは、特にシリコンウエハー並びにその上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスを、さらにこれらの酸化物層や金属層を積層・形成する前に平坦化する工程に使用することも可能である。
【0002】
【従来の技術】
高度の表面平坦性を要求される材料の代表的なものとしては、半導体集積回路(IC、LSI)を製造するシリコンウエハーと呼ばれる単結晶シリコンの円盤があげられる。シリコンウエハーは、IC、LSI等の製造工程において、回路形成に使用する各種薄膜の信頼できる半導体接合を形成するために、酸化物層や金属層を積層・形成する各工程において、表面を高精度に平坦に仕上げることが要求される。このような研磨仕上げ工程においては、一般的に研磨パッドはプラテンと呼ばれる回転可能な支持円盤に固着され、半導体ウエハー等の加工物は研磨ヘッドに固着される。そして双方の運動により、プラテンと研磨ヘッドとの間に相対速度を発生させ、さらに砥粒を含む研磨スラリーを研磨パッド上に連続供給することにより、研磨操作が実行される。
【0003】
研磨パッドの研磨特性としては、研磨対象物の平坦性(プラナリティー)、面内均一性、研磨速度が要求される。研磨対象物の平坦性、面内均一性については研磨層を高弾性率化することによりある程度は改善できる。また、研磨速度については、気泡を含有する発泡体とすることにより向上できる。しかし、研磨速度が、使用直後から使用を終了するまでの間に変動すると、研磨条件を調整しなくてはならず、研磨効率が悪いという問題があった。
【0004】
例えば、半導体ウエハを効率よく研磨でき、かつ平坦性に優れる非発泡ウレタン研磨材を提供することを目的として、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと活性水素含有化合物とからなり、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーがポリイソシアネートとして芳香族系ジイソシアネートを用い、かつ高分子ポリオールと低分子ポリオールをからなるポリオール成分中の低分子ポリオールが、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等を用いて得られる研磨材組成物からなる研磨材について開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、研磨布自体にドレッシング性を持たせ、研磨寿命を長くすることを目的として、ポリウレタン組成物よりなり、テーバー摩耗試験による摩耗量が150〜350mgである研磨布について開示されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−17252号公報
【特許文献2】
特開2001−277101号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1記載の研磨材は非発泡ウレタンからなり、このような非発泡系研磨材は、研磨速度が低いため研磨面に溝が形成されるが、スラリー中の砥粒や研磨屑等が局所的に存在等することにより、研磨速度を安定化することが非常に困難である。また、特許文献2記載の研磨布は摩耗しやすく、硬度が低い(気泡が均一でなく、気泡径が大きいことによる)ため、平坦性及び面内均一性が十分でなく、さらに研磨速度の変化が大きくなることは避けられない。
【0007】
本発明は、平坦性、面内均一性、研磨速度が良好であり、しかも研磨速度の変化が少ない研磨パッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す研磨パッドにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、樹脂層の研磨層を有する研磨パッドにおいて、前記樹脂層は平均気泡径70μm以下の微細気泡を有し、40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上であるポリウレタン樹脂発泡体からなり、前記ポリウレタン樹脂発泡体は、有機ポリイソシアネート、耐アルカリ性ポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、又はポリカーボネートポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上含有するポリオール化合物、及び低分子量多価アルコールを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との重合体であり、且つ、前記研磨層は、pH12.5の水酸化カリウム水溶液(40℃)への24時間浸漬試験前後のテーバー摩耗試験による摩耗減量の差が10mg以下であることを特徴とする研磨パッド、に関する。
【0010】
本発明においては、前記ポリオール化合物が、耐アルカリ性ポリオールとしてポリエーテルポリオールを含有し、前記ポリエーテルポリオールがポリテトラメチレングリコールであることが好ましい。
【0011】
前記のような耐アルカリ性ポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上、好ましくは70重量%以上用いることにより、摩耗減量の差を容易に10mg以下に制御することができる。耐アルカリ性ポリオールが50重量%未満の場合には、研磨層を構成するポリマーがアルカリ性水溶液により加水分解等しやすくなり、ポリマーが劣化するため前記摩耗減量の差を10mg以下に制御することが困難である。
【0012】
通常、研磨パッドの実使用時には、常に研磨パッド表面にpH11〜12程度のスラリーが滴下されている。したがって、研磨層の材料として、前記テーバー摩耗試験による摩耗減量の差が10mg以下の小さいものを使用することにより、研磨特性の経時変化の小さい安定した研磨速度の研磨パッドが得られる。前記摩耗減量の差は小さいほどよく、7mg以下であるのがより好ましい。また、前記摩耗減量の値は30〜80mg程度の範囲にあるのが、基本的研磨特性の確保及び研磨パッドの寿命の点で好ましい。前記摩耗減量は詳しくは実施例に記載の方法により測定される。
【0013】
前記研磨パッドにおいて、前記樹脂層の40℃での貯蔵弾性率は270MPa以上である。
【0014】
前記貯蔵弾性率が、270MPa未満では、十分な平坦化特性が得られない。かかる高弾性率のポリウレタン組成物を用いた研磨パッドは、デバイス化ウエハ研磨の平坦化に有用であり、また高弾性率の研磨パッドが要求されているガラス研磨用途においても有用である。また、かかる研磨パッドは安定かつ高い研磨効率で研磨作業を行うことが可能である。前記貯蔵弾性率は、280MPa以上、さらには300MPa以上であるのが好ましい。
【0015】
本発明でいう貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定装置で引っ張り試験用治具を用い、正弦波振動を加え、周波数1Hzで測定した際の40℃での研磨層の貯蔵弾性率をいう。貯蔵弾性率の測定条件は、研磨時の条件を参考にしている。つまり、貯蔵弾性率の測定条件は、研磨時において研磨パッドは被加工物に押し付けられ、双方が回転運動しているが、この運動がほぼ1Hzに相当すること、またその際の摩擦熱により、研磨パッドは約40℃になっていると言われていることから、これらの条件に準じている。ただし、引っ張り試験での測定に関しては、本発明者らの検討により、圧縮試験での測定値と引っ張り試験での測定値が、ほぼ同じであることを見出しており、より簡便な引っ張り試験での測定を採用している。
【0016】
ポリウレタンは必要な硬度に加えて可とう性をも有するため、耐摩耗性に優れた材料であり、研磨パッドの素材として最適である。また、原料組成を種々変えることにより、所望の物性を有したポリマーが得られることも、ポリウレタンの大きな特徴であり、研磨パッドの形成材料に適している。しかも、ポリウレタン微発泡体は、均一な微細気泡を有しており同一密度のものよりも高硬度を有する。かかるポリウレタン微発泡体の微細発泡構造により高弾性率化しながら、研磨パッドとして用いる際の供給したスラリーを保持する気泡を確保している。微細発泡構造は、微発泡部分の穴に、スラリー中の砥粒を保持し、研磨速度を安定化するのに非常に有効であり、そのため、微細気泡により、研磨速度が十分に大きくなり、また安定化する。ポリウレタン微発泡体が有する微細気泡は、平均気泡径が70μm以下であり、好ましくは20〜70μm、さらに好ましくは20〜60μmのものである。前記ポリウレタン樹脂発泡体は独立気泡タイプのものであることが特に好ましい。
【0017】
前記研磨パッドにおいて、前記ポリウレタン樹脂発泡体の密度が0.63〜0.90g/cm3 であることが好ましい。
【0018】
ポリウレタン樹脂発泡体の密度が小さくなると、十分な貯蔵弾性率に到達し難い傾向があるためポリウレタン樹脂発泡体の密度は0.63g/cm3 以上、さらには0.68g/cm3 以上であるのが好ましい。一方、ポリウレタン樹脂発泡体の密度が大きくなると研磨層表面の微細気泡の数が不十分となり易く研磨速度の観点から好ましくない場合があることから、ポリウレタン組成物の密度は0.90g/cm3 以下、さらには0.88g/cm3 以下であるのが好ましい。前記研磨パッドにおいて、前記ポリウレタン樹脂発泡体が、シリコン系ノニオン界面活性剤を0.05〜5重量%含むものであることが好ましい。
【0019】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造にあたり、ポリウレタン原料に予め整泡剤としてシリコン系ノニオン界面活性剤を混合しておくことは、微細気泡を安定的に作るのに有利であり、ポリウレタンの物性を損なうことなく、気泡が均一なポリウレタン発泡体が安定して得られる。0.05重量%未満では気泡の微細な発泡体が得られない場合がある。かかる観点から、シリコン系ノニオン界面活性剤の添加量は1重量%以上とするのが好ましい。一方、5重量%を超えるとポリウレタン微発泡体中のセル数が多くなり、高硬度のポリウレタン微発泡体を得難い。かかる観点から、シリコン系ノニオン界面活性剤の添加量は5重量%以下とするのが好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法、に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨パッドにおいて、研磨層の形成材料は、平均気泡径70μm以下の微細気泡を有し、40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上で、且つ、前記摩耗減量の差が10mg以下のポリウレタン樹脂発泡体である。
【0022】
そして、前記ポリウレタン樹脂発泡体は、有機ポリイソシアネート、耐アルカリ性ポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、又はポリカーボネートポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上含有するポリオール化合物、及び低分子量多価アルコールを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との重合体である。
【0023】
有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。有機ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類等が挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0024】
有機ポリイソシアネートとしては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
【0025】
ポリオール化合物としては、ポリウレタンの技術分野において、通常ポリオール化合物として用いられるものを挙げることができる。例えば、ヒドロキシ末端ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリエステルアミド等のポリウレタンの技術分野において、ポリオールとして公知の化合物が挙げられる。
【0026】
本発明のポリウレタン樹脂発泡体は、耐アルカリ性の良好なポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、又はポリカーボネートポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上含有してなることを特徴とする。これらのうち、より低価格であり、溶融粘度が低く加工が容易であるという観点からはポリエーテルポリオールが特に好ましい。
【0027】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)等が例示される。耐アルカリ性に優れた材料としては、特にポリテトラメチレングリコ−ルが好ましい。
【0028】
ポリエステルポリオ−ルとしては、ポリブチレンアジペ−ト、ポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリカプロラクトンポリオ−ル等が例示される。
【0029】
ポリエステルポリカ−ボネ−トポリオ−ルとしては、ポリカプロラクトンポリオ−ル等のポリエステルグリコ−ルとアルキレンカ−ボネ−トとの反応生成物、エチレンカ−ボネ−トを多価アルコ−ルと反応させ、次いでえられた反応混合物を有機ジカルボン酸との反応生成物などが、耐アルカリ性に優れた材料として例示される。
【0030】
ポリカ−ボネ−トポリオ−ルとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及び/又はポリテトラメチレングリコール等のジオールとホスゲン、ジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)もしくは環式カーボネート(例えばプロピレンカーボネート)との反応生成物などが、耐アルカリ性に優れた材料として例示される。
【0031】
研磨層を構成する微細気泡を有するポリウレタン樹脂発泡体の製造において、上記のポリオール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。必要に応じて3官能以上の成分を併用してもよい。
【0032】
これらポリオール化合物の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、得られるポリウレタン樹脂発泡体の弾性特性等の観点から、500〜5000までであることが望ましく、500〜3000であることがより好ましい。
【0033】
ポリオール化合物の数平均分子量が500未満であると、これを用いて得られるポリウレタン樹脂発泡体は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなり易く、このポリウレタン樹脂発泡体を研磨層が硬くなりすぎ、研磨対象である加工物の研磨面のスクラッチの原因となる場合がある。また磨耗しやすくなるため、研磨パッドの寿命の観点からも好ましくない。
【0034】
一方、数平均分子量が5000を超えると、これを用いて得られるポリウレタン樹脂発泡体とする研磨層が軟らかくなり、十分に満足のいくプラナリティーが得られない場合がある。
【0035】
本発明において、ポリウレタン樹脂発泡体の構成成分として、上述したポリオール化合物に加えて、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量多価アルコールを併用することが必要である。これら低分子量多価アルコールは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上述のポリオール化合物、低分子量多価アルコールとしては、2官能の成分を主として使用するが、3官能以上の多官能成分を併用することは、得られる研磨パッドの熱寸法変化率を安定的に3%以下にすることができるので、好ましい態様である。
【0037】
本発明のポリウレタン樹脂発泡体はプレポリマー法により製造されたものであり、プレポリマーの硬化には鎖延長剤を使用する。鎖延長剤は、少なくとも2個以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。具体的には、4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4′−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0038】
本発明における有機ポリイソシアネート、ポリオール化合物、低分子量多価アルコール、鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨パッドの所望物性(貯蔵弾性率など)などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール化合物と低分子量多価アルコールと鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対する有機ポリイソシアネートのイソシアネート基数は、0.80〜1.20の範囲が望ましく、好ましくは、0.99〜1.15であることがより望ましい。イソシアネート基数が0.80未満の場合には、要求される硬度が得られない傾向にある。一方、1.20を超える場合には、未反応のイソシアネートによる硬化不良が生じ、それにより摩耗減量の差が大きくなったり、研磨特性が低下する傾向にあるため好ましくない。
【0039】
また、ポリオール化合物と低分子量多価アルコールの比は、これらから製造されるポリウレタン樹脂発泡体に要求される特性により適宜設定される。
【0040】
ポリウレタン樹脂発泡体は、溶融法、溶液法など公知のウレタン化技術を応用して製造することができるが、コスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
【0041】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造は、プレポリマー法によって行われる。事前に有機ポリイソシアネートとポリオール化合物と低分子量多価アルコールとからイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法は、得られるポリウレタンの物理的特性が優れており好適である。
【0042】
イソシアネート末端プレポリマーは、分子量が800〜5000程度のものが加工性、物理的特性等が優れており好適である。
【0044】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造方法としては、中空ビーズ(例えば、日本フィライト社製のエクスパンセル、松本油脂社製のマイクロスフェアー)を添加させる方法、機械発泡法により発泡体とする方法などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
本発明においては、前記イソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤とを混合、撹拌する前に、または混合、撹拌する際にポリウレタン原料中に、非反応性気体からなる気泡を取り込んだ後、硬化させ、微細気泡を有するポリウレタン樹脂発泡体ブロックを作製する手法を採用することが好ましい。
【0046】
その際、イソシアネート末端プレポリマーにシリコン系ノニオン界面活性剤を添加しておき、前記シリコン系ノニオン界面活性剤を添加した成分を非反応性気体と撹拌して、微細気泡として分散させた後、または分散させながら、これに鎖延長剤を混合するのが好ましい。シリコン系ノニオン界面活性剤をイソシアネート末端プレポリマーに予め混合しておくことは、微細気泡を安定的に作るのに非常に有効な手段である。
【0047】
本発明の樹脂層(研磨層)の製造方法について説明する。研磨層の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)イソシアネート末端プレポリマーの気泡分散液を作製する撹拌工程
イソシアネート末端プレポリマーにシリコン系ノニオン界面活性剤を添加し、非反応性気体と撹拌し、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
(2)硬化剤(鎖延長剤)混合工程
上記の気泡分散液に鎖延長剤を添加し、混合撹拌して発泡反応液とする。
(3)硬化工程
鎖延長剤を混合したイソシアネート末端プレポリマーの発泡反応液を所定の型に流し込んで加熱硬化させる。
【0048】
硬化に際してブロック状に成形された場合には、裁断工程により所定の厚さに、さらには所定の大きさのシート状に裁断される。
【0049】
シート状の研磨層には、研磨パッドの大きさに裁断する前、或いは裁断後に必要に応じて柔軟性多孔質シート等を貼り付けてクッション層を形成する積層工程が設けられ、2層構造の研磨パッドが製造される。
【0050】
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコン系ノニオン界面活性剤を含むイソシアネート末端プレポリマーに分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的には、ホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用が微細気泡が得られ、好ましい。
【0051】
なお、撹拌工程において気泡分散液を作成する撹拌と、混合工程における鎖延長剤を添加して混合する撹拌は、異なる撹拌装置を使用することも好ましい態様である。特に混合工程における撹拌は気泡を形成する撹拌でなくてもよく、大きな気泡を巻き込まない撹拌装置の使用が好ましい。このような撹拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。撹拌工程と混合工程の撹拌装置を同一の撹拌装置を使用しても支障はなく、必要に応じて撹拌翼の回転速度を調整する等の撹拌条件の調整を行って使用することも好適である。
【0052】
本発明において使用するシリコン系ノニオン界面活性剤としては、ポリウレタン原料と反応しないで、微細な気泡を安定的に形成するものは、限定無く使用可能であるが、ポリウレタンの物性が損なわれず、均一的な微細気泡を安定的に作るという観点より、水酸基等の活性水素基を有しないシリコン系ノニオン界面活性剤が好ましい。特に、シリコン(ポリアルキルシロキサン)とポリエーテルの共重合体の界面活性剤がよい。ここでポリエーテルとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、これらの共重合体などが例示できる。共重合体のポリエーテルの末端は、メチルエーテル等のアルキルエーテル、アセチル基等であることも好ましい。かかるシリコン系ノニオン界面活性剤として市販品も使用でき、SH−192,SH−193(東レダウコーニングシリコン社製)等が例示される。
【0053】
ポリウレタン樹脂発泡体を製造する際に使用する非反応性気体は、イソシアネート基または活性水素基と反応しない常温気体成分のみから構成されている気体である。気体は積極的に液中に送り込んでもよく、また撹拌中に気体が自然に巻き込まれる状況のみであってもよい。微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気がコスト的に最も好ましい。
【0054】
また、本発明において樹脂層を形成するポリウレタン樹脂発泡体中には、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えても差し支えない。
【0055】
本発明の研磨パッドの作製方法としては、まず、ポリウレタン原料を混合した混合液を金型に注入後、流動しなくなるまで反応させ硬化させて、ポリウレタン樹脂発泡体を作製する。得られたポリウレタン樹脂発泡体ブロックは加熱、ポストキュアーすることができ、かかる操作はポリウレタン樹脂発泡体の物性を向上する効果があり、極めて好適である。ポリウレタン樹脂発泡体の製造には、ポリウレタン反応を促進する触媒を使用しても構わない。触媒の種類、添加量は適宜選択する。
【0056】
次いで、得られたポリウレタン樹脂発泡体ブロックは、研磨パッド(研磨層)に適した厚みにスライスされる。研磨層の厚さは、0.8mm〜2mm程度であり、通常は1.2mm程度の厚さのシートが使用される。また、この方法とは別に、目的とする研磨層の厚みと同じキャビティーを備えた金型にポリウレタン成分を流し込んで作製してもよい。
【0057】
研磨層表面には条溝を付けたり、裏面に柔軟性多孔質シート等を貼り付けて研磨パッドとすることができる。研磨層表面の条溝は、研磨屑や研磨材を被研磨物と研磨シートの接触面から外へ逃がす作用を有する。条溝の形状は、特に限定されるものではないが、断面が矩形、三角形、U字型、半円状等が例示され、微粉末が通過する断面積を有したものでよい。条溝はシート面上に同心円状、格子状等にて配置される。条溝の深さはシートの厚み等にもよるが、0.4〜0.8mm程度である。
【0058】
裏面に積層する柔軟性多孔質シート等としては、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布 等の繊維不織布層、ないしは、それら不織布にウレタン樹脂を含浸させた材料、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂等の独立気泡発泡体などを例示することができる。これらのうち、製造しやすさ、安価、物性安定性などの面でウレタン含浸ポリエステル不織布、ポリウレタン発泡体又は、ポリエチレン発泡体の使用が好ましく、特に好ましくはポリウレタン独立気泡発泡体である。
【0059】
半導体ウエハの研磨方法としては、公知の研磨機を使用し、本発明の研磨パッドを装着して行うことができる。研磨に際して、研磨層と半導体ウエハの間に供給される研磨剤は、半導体ウエハの研磨に使用される公知の研磨剤が特に限定なく使用可能である。具体的には、セリア、シリカ等の研磨剤が挙げられる。また、市販品であるシリカスラリーSS21(キャボット社製)の使用も好適である。
【0060】
半導体デバイスは、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を経て製造される。半導体ウエハとは、一般にシリコンウエハ上に配線金属及び酸化膜を積層したものである。半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、図1に示すように研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、半導体ウエハ4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えた研磨装置などを用いて行われる。研磨パッド1は、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と半導体ウエハ4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。研磨に際しては、研磨定盤2と支持台5とを回転させつつ半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付け、スラリーを供給しながら研磨を行う。スラリーの流量、研磨荷重、研磨定盤回転数、及びウエハ回転数は特に制限されず、適宜調整して行う。
【0061】
これにより半導体ウエハ4の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0063】
実施例1
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量994)1681重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.28meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して100重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)97重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)943重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径40μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.87g/cm3 であった。なお、密度の測定は、JIS K 7222(発泡プラスチック及びゴム,見掛け密度の測定)に準じて行った。
【0064】
(貯蔵弾性率の測定)
次にこのポリウレタン微発泡体ブロックを約80℃に加熱しながら、スライサー(アミテック社製,VGW−125)にて厚さ1.27mmにスライスし、研磨シートを得た。このシートから5mm幅の短冊を切り出し、貯蔵弾性率を測定したところ、285MPaであった。
【0065】
貯蔵弾性率の測定方法は、動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(ユービーエム社製)で引っ張り試験用治具を用い、正弦波振動を加え、周波数1Hzで測定した。温度依存性モードで、−20℃から80℃まで測定し、40℃での貯蔵弾性率を弾性率とした。
【0066】
(摩耗減量の測定)
得られた研磨シートを試験片として乾燥し初期重量を測定した。pH12.5に調整した水酸化カリウム水溶液を40℃に温調し、試験片を24時間浸漬し、その後、蒸留水でよく洗浄した後、乾燥した。テーバー摩耗試験機(テーバー社製,モデル174)を用い、荷重1000g、摩耗輪H−22、1000回転の条件で上記試験前後の試験片の摩耗性を測定した。試験前の摩耗は51mg、試験後の摩耗は54mgであり、摩耗減量の差は3mgであった。摩耗減量の差は小さいほど優れている。
【0067】
(平均気泡径の測定)
厚み1mm程度になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出した研磨シート(研磨層)を平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、画像処理装置(東洋紡社製、Image Analyzer V10)を用いて、任意の0.2mm×0.2mm範囲の全気泡径を測定し、平均気泡径を算出した。
【0068】
(研磨パッドの作製および評価)
得られた研磨シートに両面テープ(積水化学工業製,ダブルタックテープ#5782)を貼り合わせ、研磨パッドを完成させた。得られた研磨パッドの研磨特性の評価を、CMP研磨装置(岡本工作機械社製,SPP−600S)を用いて行った。研磨条件は、スラリーとして、pH11に調整されたシリカスラリー(フジミインコーポレーテット社製,RD97001)を150g/分の流量で流しながら、研磨荷重350g/cm2 、研磨パッド回転数35rpm、ウエハ回転数33rpmにて行った。
【0069】
(平坦性)
平坦性の評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜を0.5μm堆積させた後、L/S(ライン・アンド・スペース)=25μm/5μm及び、L/S=5μm/25μmのパターンニングを行い、さらに酸化膜(TEOS)を1μm堆積させて、初期段差0.5μmのパターン付きウエハを製作した。このウエハを上述研磨条件にて研磨を行って、グローバル段差が2000Å以下になる時の、25μmスペースの底部分の削れ量を測定することで評価した。平坦性は、1000Åであった。平坦性は値が小さいほど、優れていると言える。
【0070】
(面内均一性)
面内均一性の評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用い、上記研磨条件にて熱酸化膜が0.5μmになるまで研磨を行った後、ウエハの面内膜厚28点を測定し、下記式により面内均一性を求めた。面内均一性は7.5%であった。面内均一性は値が小さい程、均一性が優れているといえる。
面内均一性(%)={(最大膜厚−最小膜厚)/(2×平均膜厚)}×100
(平均研磨速度)
平均研磨速度の評価は、6インチシリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したものを用い、上述研磨条件にて研磨を行い、研磨前の熱酸化膜の厚さから研磨後の膜厚を差し引いた値を、その際の研磨時間で除した値から求めた。平均研磨速度は、1150Å/分であった。平均研磨速度は値が大きいほど優れている。
【0071】
(研磨速度安定性)
研磨速度安定性は、下式により求めた。
【0072】
研磨速度安定性(%)={(最大研磨速度−最小研磨速度)/平均研磨速度}×100
最大研磨速度とは、ウエハの研磨開始1枚目から処理枚数(100枚、300枚または500枚)までの研磨速度の最大値であり、最小研磨速度はウエハの研磨開始1枚目から同処理枚数までの研磨速度の最小値である。
【0073】
実施例2
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート146重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量796)1150重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.29meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して100重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)75重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)730重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径35μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.75g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0074】
実施例3
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量994)1005重量部、ポリブチレンアジペート(数平均分子量1007)685重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.29meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して59重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)75重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)730重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径45μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.87g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0075】
実施例4
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量994)1350重量部、ポリブチレンアジペート(数平均分子量1007)340重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.29meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して80重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)75重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)730重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径40μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.88g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0076】
比較例1
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、ポリエチレンアジペート(数平均分子量746)1362重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.43meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して0重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)88重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)903重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径35μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.70g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0077】
比較例2
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、無水フタル酸とエチレングリコールとを重合して得られたポリエステルポリオール(数平均分子量1006)1746重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.21meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して0重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)88重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)930重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径40μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.84g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0078】
比較例3
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1000重量部、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート375重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量994)750重量部、ポリブチレンアジペート(数平均分子量1007)940重量部、ジエチレングリコール188重量部を入れ、80℃で150分間、加熱撹拌し、イソシアネート当量2.29meq/gのプレポリマーを得た。なお、耐アルカリ性ポリオールの含有量は全ポリオール化合物に対して44重量%である。このプレポリマーに、シリコン系ノニオン界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製,SH−192)75重量部を入れて混合し、70℃に温度調整し、減圧脱泡した。次いで、気泡を取り込むように激しく撹拌しながら、予め120℃で溶融しておいた4,4′−メチレンビス(o−クロロアニリン)730重量部を添加して混合液を得た。混合液を約1分間撹拌した後、パン型のオープンモールドへ入れ、オーブンにて110℃で、8時間ポストキュアを行いポリウレタン微発泡体ブロック(平均気泡径45μm)を得た。このポリウレタン微発泡体ブロックの密度は、0.87g/cm3 であった。
また、実施例1と同様に、研磨シートおよび研磨パッドを作製し、研磨評価を行った。得られた研磨シートの貯蔵弾性率、摩耗量、得られた研磨パッドより測定した平坦性、面内均一性、平均研磨速度、研磨速度安定性を表1に示す。
【0079】
【表1】
表1の結果から、本発明の研磨パッドは、平坦性、面内均一性に優れ、しかも研磨速度がよく、研磨速度安定性にも優れており、使用直後から使用を終了するまでの研磨速度変動が少なく、研磨特性が安定している。
【図面の簡単な説明】
【図1】CMP研磨で使用する研磨装置の一例を示す概略構成図
【符号の説明】
1:研磨パッド(研磨層)
2:研磨定盤
3:研磨剤(スラリー)
4:被研磨材(半導体ウエハ)
5:支持台(ポリシングヘッド)
6、7:回転軸
Claims (5)
- 樹脂層の研磨層を有する研磨パッドにおいて、前記樹脂層は平均気泡径70μm以下の微細気泡を有し、40℃での貯蔵弾性率が270MPa以上であるポリウレタン樹脂発泡体からなり、前記ポリウレタン樹脂発泡体は、有機ポリイソシアネート、耐アルカリ性ポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、又はポリカーボネートポリオールを全ポリオール化合物に対して50重量%以上含有するポリオール化合物、及び低分子量多価アルコールを反応させてなるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との重合体であり、且つ、前記研磨層は、pH12.5の水酸化カリウム水溶液(40℃)への24時間浸漬試験前後のテーバー摩耗試験による摩耗減量の差が10mg以下であることを特徴とする研磨パッド。
- 前記ポリオール化合物が、耐アルカリ性ポリオールとしてポリエーテルポリオールを含有し、前記ポリエーテルポリオールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド。
- 前記ポリウレタン樹脂発泡体の密度が0.63〜0.90g/cm3 であることを特徴とする請求項1又は2記載の研磨パッド。
- 前記ポリウレタン樹脂発泡体が、シリコン系ノニオン界面活性剤を0.05〜5重量%含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッド。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法。
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