JP4742887B2 - 記憶素子、記憶装置 - Google Patents
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また、DRAMは、電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであり、頻繁にリフレッシュ動作、即ち書き込んだ情報(データ)を読み出し、増幅し直して、再度書き込み直す動作を行う必要がある。
これらのメモリの場合、電源を供給しなくても書き込んだ情報を長時間保持し続けることが可能になる。
また、これらのメモリの場合、不揮発性とすることにより、リフレッシュ動作を不要にして、その分消費電力を低減することができると考えられる。
このため、デザインルールの限界や製造プロセス上の限界まで素子を縮小化することは難しい。
この記憶素子は、2つの電極の間に、ある金属を含むイオン導電体を挟んだ構造である。
そして、2つの電極のいずれか一方にイオン導電体中に含まれる金属を含ませることにより、2つの電極間に電圧を印加した場合に、電極中に含まれる金属がイオン導電体中にイオンとして拡散するため、これによりイオン導電体の抵抗値或いはキャパシタンス等の電気特性が変化する。
この特性を利用して、メモリデバイスを構成することが可能である(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
記憶素子の抵抗値が中間値をとると、読み出し時にデータ識別のマージンが低下してしまう。
本発明の記憶装置は、上記本発明の記憶素子と、第1の電極側に接続された配線と、第2の電極側に接続された配線とを有し、記憶素子が多数配置されて成るものである。
また、この状態から、Cu,Ag,Znを含むイオン源層或いはイオン源層に接する一方の電極側に負電位を印加して記憶素子に負電圧をかけると、他方の電極側に析出していたCu,Ag,Znが再びイオン化して、一方の電極側に戻ることによって記憶層の抵抗値が元の高い状態に戻り、記憶素子の抵抗値も高くなるので、これにより記録した情報の消去を行うことが可能になる。
また、記憶装置の高集積化(高密度化)や小型化を図ることができる。
この記憶素子10は、高電気伝導度の基板1、例えばP型の高濃度の不純物がドープされた(P++の)シリコン基板1上に下部電極2が形成され、この下部電極2上に、比較的高い抵抗値を有する記憶用薄膜(記憶層)3が形成され、この記憶用薄膜3上にCu,Ag,Zn、及びTe,S,Seのうちのいずれかの元素が含有された、イオン源層4が形成され、このイオン源層4上に上部電極6が形成されて構成されている。
また、下部電極2は、周囲を絶縁層5で埋められており、他の各層3,4,6よりも狭い平面パターンに形成されている。
この下部電極2に、例えばW膜を用いた場合には、膜厚を例えば10nm〜100nmの範囲にすればよい。
さらに、イオン源層4の陽イオンとなる元素としてCuを用いて、CuTeを含む構成とすると、イオン源層4の抵抗を低くしてイオン源層4の抵抗変化を記憶用薄膜(記憶層)3の抵抗変化と比較して充分に小さくすることができ、メモリ動作の安定性を向上することができるため、より好ましい。
このイオン源層4に、例えば、CuGeTe膜を用いた場合には、膜厚を例えば5nm〜50nmにすればよい。
上部電極6には、下部電極2と同様、通常の半導体配線材料が用いられる。
即ち、タンタル(Ta)と希土類元素とを含有する酸化物を用いて、又は、シリコン(Si)と希土類元素とを含有する酸化物を用いて、記憶用薄膜3を構成する。
さらに、この酸化物は、融点が高いことから、温度上昇に対する記憶用薄膜(記憶層)3の微細構造の安定化を図ることができる。
これにより、記憶用薄膜(記憶層)3の耐熱性を向上することができるため、記憶素子10の高温プロセス下での製造歩留まりを向上させることができる。
また、記録(書き込み、消去)等の記憶素子10の動作時の局所的な温度上昇に対する安定性を改善して、例えば繰返し書き換え可能回数を増やすことができる。
これにより、高抵抗状態を容易に実現することができ、かつピンホール等の欠陥を少なくすることができるため、情報の記録を安定して行うことができる。
このように、タンタル又はシリコンを50原子%以上とすると、よりパルス幅の短い電圧パルスによっても、記憶用薄膜(記憶層)3に書き込みや消去を行うことが可能になる。
記憶用薄膜(記憶層)3の膜厚が薄すぎると、下部電極2の表面粗さの影響により良好な状態で成膜することが困難になり、厚すぎるとイオンの移動距離が増えて動作速度が遅くなる。
すると、記憶用薄膜3内部にCu,Ag,Znを多量に含む電流パスが形成される、もしくは、記憶用薄膜3内部にCu,Ag,Znによる欠陥が多数形成されることによって、記憶用薄膜3の抵抗値が低くなる。記憶用薄膜3以外の各層は、記憶用薄膜3の記録前の抵抗値に比べて、元々抵抗値が低いので、記憶用薄膜3の抵抗値を低くすることにより、記憶素子10全体の抵抗値も低くすることができる。
すると、記憶用薄膜3内からCu,Ag,Znによる電流パス、もしくは、欠陥が消滅して、記憶用薄膜3の抵抗値が高くなる。記憶用薄膜3以外の各層は元々抵抗値が低いので、記憶用薄膜3の抵抗値を高くすることにより、記憶素子10全体の抵抗値も高くすることができる。
その後、負電圧を除去して、記憶素子10にかかる電圧をなくすと、抵抗値が高くなった状態で保持される。これにより、記録された情報を消去すること(消去過程)が可能になる。
この状態から、金属カルコゲナイド層から成るイオン源層4に接する上部電極6側に負電位を印加すると、下部電極2側に析出していた金属元素(Cu,Ag,Zn)が再びイオン化して、金属カルコゲナイド層に戻ることによることによって、記憶用薄膜3の抵抗が元の高い状態に戻り、記憶素子10の抵抗も高くなるので、これにより記録した情報の消去を行うことが可能になる。
記録後の抵抗値は、記憶素子10のセルサイズ及び記憶用薄膜3の材料組成よりも、記録時に印加される電圧パルス或いは電流パルスの幅や電流量等の記録条件に依存し、初期抵抗値が100kΩ以上の場合には、およそ50Ω〜50kΩの範囲となる。
記録データを復調するためには、初期の抵抗値と記録後の抵抗値との比が、およそ2倍以上であれば充分であるので、記録前の抵抗値が100Ωで、記録後の抵抗値が50Ω、或いは、記録前の抵抗値が100kΩ、記録後の抵抗値が50kΩといった状況であれば充分であり、記憶用薄膜3の初期の抵抗値はそのような条件を満たすように設定される。記憶用薄膜3の抵抗値は、例えば、酸素濃度、膜厚、面積、さらには、不純物材料の添加によって調整することが可能である。
そして、高温環境下等でも安定して抵抗状態を維持することができ、良好なデータ保持特性を有する。
さらに、上述の酸化物を用いることにより、記憶層3の耐熱性を向上することができるため、記憶素子10の高温プロセス下での製造歩留まりを向上させることができると共に、記録(書き込み、消去)等の記憶素子10の動作時の局所的な温度上昇に対する安定性を改善して、例えば繰返し書き換え可能回数を増やすことができる。
さらにまた、上述の酸化物から成る記憶用薄膜(記憶層)3は、膜厚を薄くしても充分な絶縁耐圧を有するため、高抵抗状態を容易に実現することができ、かつピンホール等の欠陥を少なくすることができるため、情報の記録を安定して行うことができる。
また、同一のスパッタリング装置内で、ターゲットを交換することにより、連続して成膜することも可能である。
さらに、スパッタリングの他、CVD法、或いは蒸着法等の方法によっても酸化物薄膜を形成することが可能である他、成膜時には金属状態であって、その後に、熱酸化或いは薬品処理等の手法によって酸化物薄膜を形成することも可能である。
まず、電気伝導度の高い基板1、例えば高濃度のP型の不純物がドープされたシリコン基板1上に、絶縁層(例えば、Al2O3やTa2O5等)5を一様にスパッタリングにより堆積する。
その後、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストによる下部電極形成用パターンのマスク(パターン部はレジストなし)を形成する。
その後に、マスクを用いて、RIE(反応性イオンエッチング)により、絶縁層5の一部を除去し、下部電極2へのコンタクト部を形成する。
次に、下部電極2を形成する電極材料(例えば、W等)を、スパッタリングにより一様に堆積させる。
その後、CMP(化学的機械的研磨)法やエッチバック法等により、表面を平坦化して、下部電極2の材料が、絶縁層5内のみに残留するようにする。これにより、下部電極2が所定のパターンで形成される。
次に、記憶用薄膜3、例えばシリコンとガドリニウムの酸化物層を形成し、その後にイオン源層4、例えばCuTeGe膜を形成する。
続いて、例えばマグネトロンスパッタリング装置によって、上部電極6として、例えばW膜を成膜する。
その後、記憶用薄膜3・イオン源層4・上部電極6をパターニングする。このパターニングは、プラズマエッチングや、イオンミリング、RIE(反応性イオンエッチング)等のエッチング方法を用いて行うことができる。
このようにして、図1に示した記憶素子10を製造することができる。
また、希土類元素金属と、タンタル又はシリコンの金属とを混合させて形成し、その後にプラズマ酸化法等を用いて酸化させることによって、形成することも可能である。
また、それぞれの材料が層を成さない程度の成膜時間を設定し、交互に繰り返して積層形成する場合には、それぞれの材料の成膜レートを調整することにより、記憶用薄膜3の酸化物層の組成を変更することができる。
各記憶素子10に対して、その下部電極2側に接続された配線と、その上部電極6側に接続された配線とを設け、例えばこれらの配線の交差点付近に各記憶素子10が配置されるようにすればよい。
また、上述した実施の形態の記憶素子10は、微細化していった場合においても、情報の記録や記録した情報の保持が容易になる。
従って、上述した実施の形態の記憶素子10を用いて記憶装置を構成することにより、記憶装置の集積化(高密度化)や小型化を図ることができる。
次に、記憶素子を実際に作製して、特性を調べた。
シリコンウエハ1上に、下部電極2としてW膜を200nmの膜厚で堆積し、その上に記憶用薄膜3としてシリコンとガドリニウムの酸化物層を形成し、イオン源層4としてCu50Te35Ge15膜を20nmの膜厚で形成し、上部電極6としてW膜を200nmの膜厚で形成した。
なお、絶縁層5は酸化珪素膜を形成し、下部電極形成用パターンのサイズは、およそ0.3μmφとした。
また、記憶用薄膜3の酸化物層は、シリコン金属とガドリニウム金属の金属混合層を膜厚0.8nmで形成した後、プラズマ酸化法で酸化させることにより形成した。
このようにして、図1に示した構造の記憶素子10を作製して、記憶素子10の試料とした。
具体的には、シリコンとガドリニウムの合計(100原子%)に対するシリコンの組成比が、25原子%、50原子%、62.5原子%、75原子%、87.5原子%、95原子%となるように、酸化物層を形成した。
これらの記憶素子の各試料に対して、パルス電圧による書き込み動作及び消去動作を行った。
また、パルス幅を変化させてパルス電圧による書き込みを行い、書き込みが可能である最短のパルス幅を調べた。
結果を図3に示す。
そして、GdSiのSi組成比が0〜50原子%の範囲では、シリコンが0原子%(Gdが100原子%)の特性値とシリコンが100原子%の特性値とを結んだ特性線に沿って、特性線の少し上方(短時間側)で変化している。
GdSiのSi組成比が50原子%以上になると、特性線から離れて、シリコン酸化物単体及びガドリニウム酸化物単体の双方の特性を大幅に上回る書き込み特性が得られる領域が存在することがわかる。従って、特に、シリコンの組成比を50原子%以上、即ちガドリニウムの組成比を50原子%以下とすると、書き込み特性を大幅に向上することが可能になる。
次に、記憶素子の各試料に対して、データ保持特性を確認した。
上述の各組成の記憶用薄膜3を形成した記憶素子において、同じパルス幅のパルス電圧で書き込みした(低抵抗状態の)記憶素子と、書き込み後に消去した(高抵抗状態の)記憶素子とを、それぞれ20素子ずつ準備し、その状態で、200℃・1時間の熱処理を施した。なお、書き込み及び消去のパルス電圧のパルス幅は、各組成においてそれぞれ適切なパルス幅に選定した。
そして、熱処理前後における記憶素子の抵抗値の状態を比較して、低抵抗状態或いは高抵抗状態が保持できている割合を調べた。
さらに、熱処理後における、書き込み保持割合(0〜1)と消去保持割合(0〜1)との積(0〜1)を、データ保持特性の指標として、記憶用薄膜3の酸化物層の組成を変えた記憶素子10について、それぞれ指標を求めた。例えば、書き込み保持割合が0.7であり、消去保持割合が0.8である場合には、指標は0.56となる。
結果として、データ保持特性の指標を百分率(%)に換算して、図4に示す。
特に、Si組成比を50原子%以上とすると、特性線を大きく上回ることがわかる。従って、特に、シリコンの組成比を50原子%以上、即ちガドリニウムの組成比を50原子%以下とすると、データ保持特性を大幅に向上することが可能になる。
記憶用薄膜3としてタンタルとガドリニウムの酸化物層を形成した他は、実験1と同様の製造方法により、図1に示した構造の記憶素子10を作製して、記憶素子10の試料とした。記憶用薄膜3の酸化物層は、タンタル金属とガドリニウム金属の金属混合層を膜厚0.8nmで形成した後、プラズマ酸化法で酸化させることにより形成した。
具体的には、タンタルとガドリニウムの合計(100原子%)に対するタンタルの組成比が、25原子%、50原子%、75原子%となるように、酸化物層を形成した。
これらの記憶素子の各試料に対して、パルス電圧による書き込み動作及び消去動作を行った。
また、パルス幅を変化させてパルス電圧による書き込みを行い、書き込みが可能である最短のパルス幅を調べた。
結果を図5に示す。
そして、GdTaのTa組成比が0〜50原子%の範囲では、タンタルが0原子%(Gdが100原子%)の特性値とタンタルが100原子%の特性値とを結んだ特性線に沿って変化している。
GdTaのTa組成比が50原子%以上になると、特性線から離れて、タンタル酸化物単体及びガドリニウム酸化物単体の双方の特性を大幅に上回る書き込み特性が得られる領域が存在することがわかる。従って、特に、タンタルの組成比を50原子%以上、即ちガドリニウムの組成比を50原子%以下とすると、書き込み特性を大幅に向上することが可能になる。
次に、記憶素子の各試料に対して、実験1と同様の方法により、データ保持特性の指標を求めた。
結果として、データ保持特性の指標を百分率(%)に換算して、図6に示す。
Claims (4)
- 第1の電極と第2の電極との間に、記憶層が配置され、
前記記憶層に接して、Cu,Ag,Znから選ばれるいずれかの元素が含まれたイオン源層が設けられ、
前記記憶層が、タンタル及びガドリニウムを含有する酸化物から成る
記憶素子。 - 前記酸化物に含まれる、タンタル及びガドリニウムのうち、ガドリニウムの比率が50原子%以下である請求項1に記載の記憶素子。
- 前記イオン源層がCuTeを含んで成る請求項1又は請求項2に記載の記憶素子。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の記憶素子と、
前記第1の電極側に接続された配線と、
前記第2の電極側に接続された配線とを有し、
前記記憶素子が多数配置されて成る
記憶装置。
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