JP4742042B2 - ウィルス不活化ヘモグロビンおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、赤血球からウィルス不活化されたヘモグロビンを効率よく製造しうる方法であって、好ましくはエンベロープの有/無に拘らず、いずれのウィルスも不活化が保証されたウィルス高不活化かつ無菌性ヘモグロビンを効率的に得ることができるウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法に関する。
ヘモグロビンは、血液中、赤血球膜:ストローマ(storoma)に覆われて存在する。このため血液中のヘモグロビンを血液製剤などに加工して使用する際には、採取した血液中からストローマを除去したヘモグロビン(SFH:storoma free hemogrobin)を得る必要がある。SFHは、溶血すなわちストローマを破壊した後、分離、精製すれば得られるが、溶血処理はヘモグロビンを変質させない条件に制限される。従来実施されている溶血処理は、浸透圧法によるものである。浸透圧法による溶血工程は、代表的には、1)採取した天然血液全血から血小板、白血球、血漿成分を除去して赤血球のみを分離・洗浄し、2)蒸留水または低張緩衝液(たとえばリン酸緩衝液)を多量に添加してストローマを破壊し、3)ストローマおよび血液型物質などの赤血球細胞基質を除去することにより、高純度ヘモグロビン(SFH)溶液を得た後、4)該溶液の電解質濃度を正常な生体レベルに調整する工程を順次に含む(特許文献1参照)。
また上記のように血液から取出されたヘモグロビンを血液製剤などに加工し、治療目的のためにヒトに投与するにあたっては、製剤の無菌性およびウィルス不活化を保証する必要がある。特に血液製剤によるエイズ禍から静脈内投与によってヒトに投与する調製物のウィルス不活化の重要性が強く認識されている。
ウィルスの不活化には種々の方法があり、主に、エネルギーによるウィルス不活化、物理的処理、化学的処理に大別される。エネルギーによるウィルス不活化は、加熱処理(特許文献2参照)、マイクロウエーブ照射による超短時間熱処理(特許文献3参照)、紫外線照射処理(特許文献4参照)ジメチルメチレンブルー(DMMB)などの光増感物質を利用する光増感作用(特許文献5参照)などが知られている。たとえばアルブミン製剤のウィルス不活化は、60℃で10時間加熱処理される。しかしながらエネルギーによるウィルス不活化は、ヘモグロビン変質のおそれから、ヘモグロビン含有製剤の処理には、適用が制限される。つまり、ヘモグロビンの不活化に際しては、ウィルスは不活化するが、ヘモグロビンたんぱく質を実質上変性させない方法が求められる。
物理的処理は、典型的にはサイズ排除であり、ウィルスを除去しうる極めて微細な孔径を有するフィルター(ウィルス除去膜と称される)によりウィルスをろ過除去する“ナノろ過(NF:nano-filtration)”である(特許文献6参照)。
化学的処理は、低pH処理、核酸Intercalatorなどを用いる化学的処理なども知られているが、典型的には生物学的適合性の溶媒(solvent)および界面活性剤(detergent)を用いるウィルス不活化方法であり、ソルベントデタージェント法(以下、SD処理法とも表記する)とも称される(特許文献7および非特許文献1参照)。SD処理によるウィルス不活化の原理は、界面活性剤によりエンベロープウィルスの鞘を壊し、溶剤中に溶解することによる(非特許文献1参照)。SD処理法では、溶媒および界面活性剤の併用により、両者のウィルスの脂質エンベロープに対する効果は相乗的に促進される。SD処理法は、脂質エンベロープを有するウィルスの不活化に有効であり、血液凝固第VIII因子製剤のウィルス不活化処理に適用されている。
上記SD処理法では、SD処理に次いで、通常、使用した溶媒および界面活性剤が被処理液より除去される。被SD処理物中の溶媒および界面活性剤を、ヒトまたは何らかの生物学的系により許容されるレベルまで除去する方法がいくつかあり、油抽出法、透析法、さらには吸着法が一般に利用されている。油抽出には、植物油または動物油または同等の合成油が使用される(特許文献8参照)。透析法は、通常ホローファイバー透析法である。吸着法としては、官能基をもたない合成吸着剤を用いる方法(特許文献9参照)または細孔容積が3次元架橋された疎水性アクリル酸ポリマーで充填されているシリカビーズを用いたクロマトグラフィーが知られている(特許文献10参照)。
上記物理的処理および化学的処理に基づくウィルス不活化方法は、ヘモグロビンまたはこれを含む製剤に適用可能であるが、いずれも一長一短があり、単一の方法では、各種ウィルスの完全除去または完全不活は難しい。たとえば上記SD法は、製剤を加熱しなくても、HIV、HBV、HCVなどの脂質エンベロープを有するウィルスを簡便かつ効率的に不活化しうる有用な方法として知られているが、エンベロープをもたないウィルスの不活化には無効であり、SD法単独ではヘモグロビン製剤のウィルス不活化を保証するとはいえない。
特開平2-178233号公報 特開2002-112765号公報 特許第2668446号公報 特開平11-286453号公報 特表2001-514617号公報 特開2002-114799号公報 特開昭60-51116号公報 特許第2544619号公報 特開2002-34556号公報 特開2001-99835号公報 Transfusion. 1985 Nov-Dec;25(6):516-22
上記のように血液からウィルス不活化したヘモグロビンを得るための従来の方法は、血液から分離した赤血球の溶血および精製、ウィルス不活化の各工程の順に、かつ独立的に実施され、全工程数が多くかつ長い。これらを一連の効率的なプロセスとして実施できるウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法、特に、ウィルス不活化工程を考慮した上での溶血および精製工程を実施する方法はなんら提案されていない。また従来のウィルス不活化工程は、通常、単一の処理方法に基づいて実施されており、各種ウィルスの完全除去または完全不活を保証するための改善が望まれる。しかしながら従来、無菌的かつ各種ウィルス不活化ヘモグロビンの保証を意図して、異なる機構のウィルス不活化処理を組合わせての実施はされていない。特にSD処理法による化学的ウィルス不活化処理と、他の方法たとえばナノろ過による物理的ウィルス除去処理とを組合わせ、かつこれにより、ヘモグロビンを物理的・化学的に変性させることなく無菌的かつウィルス不活化ヘモグロビンを効率よく得るためのプロセスは提案されていない。
本発明者らは、赤血球からウィルス不活化が保証されたヘモグロビンを効率よく製造する方法について検討し、特に少なくともSD処理工程を含むウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法を確立すべく鋭意検討を進める過程で、ウィルス不活化のためのSD処理を、ストローマを含む赤血球に直接施すことを着想した。溶媒および界面活性剤の混合液を使用すればリン脂質細胞膜であるストローマの溶解は可能であると考えられる。しかしながら生物学的許容濃度の溶媒および界面活性剤を使用するSD処理において、ストローマの除去されたヘモグロビン(SFH)に対してはエンベロープを有するウィルスの不活化効果が保証されていたとしても、ウィルスに対し圧倒的多量のストローマが存在する赤血球に直接SD処理を施してもウィルス不活化効果は期待できないと推測していた。ところが予想に反し、血液を直接SD処理したところ、ウィルス不活化は有効であることが確認された。また同時にこのSD処理による溶血処理の実効性も確認できた。つまり、赤血球を直接SD処理することにより、溶血と同時にウィルス不活化を達成できることを見出した。またこのSD処理によりヘモグロビンは実質的に変質しないこと、さらにメトヘモグロビン還元酵素系が実質的に変質しないことも確認した。
この知見に基づき、さらにSD処理物に物理的ウィルス不活化処理を加え、ウィルス不活化の保証されたヘモグロビンを得ること、およびSD処理物の精製工程を含めて全工程を効率的に行うことができるプロセスについて鋭意検討し、SD処理後の精製工程として、種々の精製工程のうちでも、吸着剤による吸着および限外ろ過という2つの工程をこの順序で行うことにより、その後のナノろ過を効率よく行うことができるという知見を得た。これにより、以下のような本発明を完成した。
本発明は、赤血球と、溶媒および界面活性剤の混合液とを接触させ、赤血球の溶血処理とウィルス不活化処理とを同時に行うSD処理工程、および上記で得られた被SD処理液中のウィルス不活化されたヘモグロビンを回収する精製工程を含む、ウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法を提供する。
上記赤血球は、通常、全血の遠心分離により得られる。したがってその被SD処理液は、ヘモグロビンとともに、溶媒、界面活性剤、ストローマおよび血液型物質などの血液由来の不要物質を含む。
上記で使用される溶媒がトリ-(n-ブチル)ホスフェートであり、界面活性剤が非イオン性の界面活性剤である態様は好ましい。
本発明では、好ましくは上記精製工程として、吸着剤による吸着処理および限外ろ過をこの順序で行う。上記吸着剤は好ましくは合成吸着剤である。
好ましい実施態様において、合成吸着剤は、具体的にスチレンおよび/またはアクリルと、ジビニルベンゼンとの共重合体からなる。
上記限外ろ過は、約100,000の分画分子量を有する孔径の限外ろ過膜を用いて行うことが好ましい。この限外ろ過膜の材質は、通常、再生セルロースおよび/またはポリエーテルスルホンからなる。
本発明において、精製工程が、上記2つの処理の組合わせと順序に決定された背景は、後に詳述するが、この精製工程は、本発明の方法が通常最終工程として行われるろ過滅菌を効率的に実施するために、特にろ過滅菌の前工程としてナノろ過を含む態様において、本発明を特に効率的に実施し、高収率を確保するために重要となる特定の精製工程である。すなわち本発明では、SD被処理液の精製は、溶媒、界面活性剤とともにストローマおよび血液型物質などの血液由来の不要物質をヘモグロビンと分離する必要を生じている点において、従来のSFHのSD被処理液の精製が、主に溶媒および界面活性剤を除去すればよいのに対して製造上の大きな相違がある。この点において、特に後工程のナノろ過を含め、プロセス全体を効率的に実施するための精製工程が重要となる。本発明の精製工程において、初めに、溶媒、界面活性剤および血液由来の不要物質を吸着剤、特に合成吸着剤により吸着除去することにより、孔径の制限される限外ろ過を効率よく行うことができ、かつこれら除去成分、特に溶媒および界面活性剤を、生体試料が使用されるヒトまたは何らかの生物学的系により許容されるレベルにまで除去することが可能となる。
本発明に係るウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法の好ましい態様では、上記精製工程に引き続き、ナノろ過およびろ過滅菌をこの順序で行うろ過工程を、さらに含む。
このナノろ過によりウィルスが除去され、このナノろ過と上記SD処理とにより、ウィルスの高不活化が達成される。具体的に、ナノろ過は、孔径約15〜70nmの、再生セルロースおよび/またはPVDFからなる膜を用いて実施することができる。
ろ過滅菌では滅菌用フィルター(滅菌膜)が使用される。具体的に、ろ過滅菌は、再生セルロース、ポリエーテルスルホンおよびPVDFから選ばれる少なくとも1種の材質からなり、孔径0.2μmの滅菌膜を用いて実施することができる。
上記ろ過工程において、ろ過滅菌の前に、濃縮工程としてナノろ過液の限外ろ過を必要に応じて行うこともできる。この濃縮は、約10,000〜30,000の分画分子量を有する孔径の限外ろ過を行うことが好ましく、これによりヘモグロビン濃度を45w/w%以上に濃縮することが可能である。ヘモグロビン濃度は、実際の取扱い易さから45w/w%程度で充分である。この濃縮液について、ろ過滅菌が可能となる。
本発明では、上記ナノろ過を含む製造方法で得られ、ウイルス高不活化され、かつ無菌化されたウィルス高不活化ヘモグロビンも提供される。またそのヘモグロビン濃度45w/w%以上の濃縮液も提供される。
なお、ウイルス高不活化とは、エンベロープの有無に拘らず、ウィルスが不活化もしくは除去されていることを意味する。
本発明では、赤血球を直接SD処理することにより、ヘモグロビンの物理・化学的特性に影響することなく、ウィルスの不活化処理と溶血処理とを同時に行うことができ、かつ従来の浸透圧法による溶血処理に比べ、少量の溶血剤(SD混合液)で赤血球の溶血が可能となる。さらにこれにより、従来独立に実施されていた溶血、不活化を一連の関連工程として実施することができ、具体的に溶血の後処理としての精製工程と、ウィルスの不活化の後処理としての精製工程を1つの工程で行うことができる。
さらにこの精製工程を、吸着剤、特に合成吸着剤の利用および限外ろ過操作の順序で組み合わせて実施すれば、この精製工程を効率的に実施できるだけでなく、本発明の好ましい態様として、この後に付加されるナノろ過処理の効率の向上、すなわち処理時間の減少、収率の向上も可能となる。またこの好ましい態様では、エンベロープの有/無に拘らず、いずれのウィルスも不活化が保証されたウィルス高不活化かつ無菌性のヘモグロビンを得ることができる。
本発明のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法のプロセスフローを、好ましい態様例で模式的に示す図である。
以下、図1に示すプロセスフローを参照しながら本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明の特に好ましい態様を例にしてプロセスフローを模式的に示す図であり、本発明の範囲はこの図に限定されるものではない。しかしながら本発明は、少なくとも図中、SD処理と精製工程とを含む。図中、好ましい工程またはフローを鎖線で示す。
このような本発明では、ストローマを有する赤血球から、ウィルス不活化されたSFHヘモグロビンを製造するに際し、該赤血球に、まず工程(1)のSD処理を施す。
(1)SD処理は、赤血球を、溶媒および界面活性剤の混合液(以下、SD混合液とも表記する)と接触させる工程である。この赤血球は、通常、全血の遠心分離により得られる。赤血球は、具体的にヒトまたは動物から採取した血液から、血小板、白血球、血漿成分を分離除去したものであり、その濃縮赤血球製剤として入手できる。
このSD処理液との接触により、ヘモグロビンの変質を生じさせずに、溶血処理とウィルス不活化処理とを同時に行うことができる。なお、次工程の合成吸着剤処理および限外ろ過操作により除去可能なものであれば、この工程で使用されるSD混合液、接触条件は特に制限されない。
SD混合液は、上記条件を満たす範囲であれば、一般にエンベロープを有するウィルスを化学的に不活化しうるソルベントデタージェントの技術分野において既知のいかなる溶媒−界面活性剤の組み合わせであってもよい。
具体的に例示すると、溶媒としては、有機溶媒、特に炭素数1〜10のアルキル基を有するジアルキルまたはトリアルキルホスフェートが挙げられ、なかでも炭素数2〜10のアルキル基を有するトリアルキルホスフェートが好ましく挙げられる。具体的には、トリ-(n-ブチル)ホスフェート(以下、TNBPと表記することもある)、トリ-(t-ブチル)ホスフェート、トリ-(n-ヘキシル)ホスフェート、トリ-(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリ-(n-デシル)ホスフェート、エチル-ジ(n-ブチル)ホスフェートなどが挙げられる。とりわけ、トリアルキルホスフェート例えばトリ-(n-ブチル)ホスフェート(以下、TNBPと表記することもある)が好ましく使用される。
界面活性剤としては、通常、0.01g/mL濃度の溶液中に、常温下で、脂肪0.1重量%分散しうるものが使用される。具体的には、脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチル化アルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン油、ポリオキシエチレンオキシプロピレン脂肪酸などが挙げられる。より具体的には、たとえば商品名Tween80、Tween20などの脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、商品名ポリソルベート80などのソルビトール無水物の部分エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(商品名Triton X-100)などのオキシエチル化アルキルフェノール、ナトリウムコーレート、デオキシコール酸ナトリウム、N-ドデシル-N,N-ジメチル-2-アンモニオ-1-エタンスルホネートなどのスルホベタイン類、オクチル-β,D-グルコピラノシドなどの非イオン性洗剤である。
とりわけ、Tween80、Triton X-100、ナトリウムコーレートなどの非イオン性オイル可溶性水性洗剤が好ましく使用される。
このSD混合液中、溶媒および/または界面活性剤を、それぞれ独立に2種以上含んでいてもよい。またSD混合液は、その効果を助長するための他の添加成分、たとえば還元剤などを必要に応じて含んでいてもよい。
SD混合液は、上記のような溶媒(S)および界面活性剤(D)を、S/D(w/w比)が1〜20となる量で含有することが好ましい。
赤血球のSD処理により、全ての赤血球が溶血したことは、目視でも充分に識別可能であるが、赤血球の被SD処理液を遠心分離し、上清のヘモグロビン濃度を分析することによって確認することができる。また本発明者らは、このSD処理により、ヘモグロビンの物理・化学的特性に影響することはなく、ヘモグロビンたんぱく質は実質的に変性しないことおよび還元酵素系たんぱく質が高度に維持されていることを確認している。
このようなSD混合液を用いる赤血球のSD処理は、溶媒−界面活性剤共存の相乗効果によりウイルスの脂質エンベロープを溶解し、ウィルスを不活化することができる。したがってこのSD工程は、HIV、HBV、HCVなどの脂質エンベロープを有するウイルス不活化に有効である。同時に、上記SD処理は、赤血球に対する溶血効果があり、ストローマの破壊にも有効である。さらに、上記SD混合液の赤血球に対する使用量は、従来の浸透圧法による溶血処理に比べ少量であり、少ない溶血剤(SD混合液)量で、赤血球の溶血が可能となる。
本発明では、この溶血効果およびウィルス不活化を確実にするため、SD混合液の使用量(重量単位)は、接触系中の赤血球量100に対し、溶媒が0.3〜1、界面活性剤が0.05〜1となる量であることが望ましい。
SD処理は、0〜40℃、好ましくは4〜25℃、さらに好ましくは7〜12℃の温度下で、赤血球溶液と、SD処理液とを接触させることにより行われる。この接触は、通常数分の接触で効果があらわれ、好ましくは10分以上2時間以内、典型的に30〜60分程度である。なお、2時間より長い時間処理しても効果の上昇は期待できないため、2時間以内にすることが好ましい。
SD処理による溶血およびウィルス不活化の効率は、温度の影響をほとんど受けないので、ヘモグロビンの安定性、特にメト化を抑制する観点から上述の温度に設定される。
上記SD処理では、溶血によりストローマが破壊される。このような被SD処理液中には、SD処理によるウィルス不活化がなされ、かつストローマから分離されたヘモグロビン(SFH)とともに、使用した溶媒および界面活性剤、およびストローマ、血液型物質などの溶血液由来の不要物質が存在する。このため、この被SD処理液を精製して、ウィルス不活化SFHを分離回収する必要がある。
精製工程は、被SD処理液から、SFHヘモグロビンを分離・回収する工程である。実施例として後述する具体的な検討から、本発明では、この精製工程として、合成吸着剤による吸着処理(2)および限外ろ過(3)を、この順序で行うことが好ましい。
工程(2)の好ましい実施態様において、上記合成吸着剤は、官能基のない合成ポリマー、たとえばスチレンおよび/またはアクリルと、ジビニルベンゼンとの共重合体からなる粒子が挙げられる。このような合成吸着剤は、ダイアイオンHPシリーズ、ダイアイオンSP200シリーズ、ダイアイオンHPM1GおよびHP2MG(以上、三菱化学社)、アンバーライトXAD(登録商標)シリーズ(Rohm & Haas社)の製品名の市販品を利用することができる。これらのうちでも、スチレンまたはアクリルとジビニルベンゼンの共重合体であるアンバーライトXADシリーズ(XAD-16HP、XAD-1180、XAD-2000)が好ましい。
合成吸着剤の使用量ならびに処理時間は、除去効果と経済性とを考慮して自体所望の濃度、時間を選択することができる。
また合成吸着剤はアルカリおよび熱に対する耐性が強く、使用前におけるアルカリ水溶液浸漬による121℃条件での滅菌操作が可能であり、調製物のパイロジェンフリーおよび無菌性を保証することが可能となる。また、アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムが好んで用いられる。
この合成吸着剤による吸着処理(2)によって、被SD処理液中に含まれる除去対象物のうちでも、添加した溶媒、界面活性剤の大部分が除去される。さらには、血液由来のストローマおよび血液型物質の除去も可能となる。
次いで行われる工程(3)の限外ろ過は、クロスフローろ過、タンジェンシャルフローろ過(TFF)とも呼ばれ、ろ過滅菌等で行う方法であるデッドエンドろ過と異なり、ろ過膜面に平行に液を流し、汚れを取り除きながらろ過を行う方法である。すなわち、クロスフローろ過に用いるろ過膜カセットは平膜状に積層された構造をしており、処理液が平膜と平膜との間を並行に連続して流れ、平膜と並行に流れる処理液の流れにより平膜面に堆積する粒子を洗い流し、粒子の堆積によるゲル層の発生を防ぎ安定したろ過が行える方法である。
ろ過膜の材質としては、一般的に酢酸セルロースなどの再生セルロースおよび/またはポリエーテルスルホンなどの合成高分子が好ましい。また、ろ過膜はその目的に応じた分画分子量および孔径のものを用いるが、孔径は、最終調製物中に維持すべき物質、および除去すべき溶媒、界面活性剤はもちろんのこと、ある程度のウィルスおよび処理液中に維持する必要のない物質のサイズによって適切に決定されるべきである。とりわけ、ストローマおよび血液型物質を除去し、かつ後工程のナノろ過の処理効率を高める目的から、約100,000の分画分子量を有する孔径が適している。
また、クロスフローろ過システムにおいてはろ過装置に装着するろ過膜カセットの有効ろ過面積を制御することにより処理液量に応じた膜面積での運転が可能である。すなわち、処理液量に応じろ過装置に重ねて装着するろ過膜カセットの枚数を制御することにより小容量から大容量までのスケールへの対応が可能となる。
またさらに、本発明においてクロスフローろ過装置を用いた場合にはインライン滅菌が可能となることから、合成吸着剤処理(2)と同様、処理液のパイロジェンフリーおよび無菌性を保証することが可能となる。インライン滅菌の方法としては、高温スチームまたは約50℃に加温したアルカリ水溶液の装置内循環が一般的に行われる。また、アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムが好んで用いられる。
クロスフローろ過では、クロスフローろ過装置内を循環する必要物質の液量を制御せずろ過を行い、一定量となった段階で分散媒にて循環液量を規定量まで戻すという過程を繰り返すバッチ方式、および透過する液量に合わせて循環液に供給する分散媒量を制御し循環液の液量を規定量に保つダイアろ過方式があるが、本発明ではどちらの方式を用いてもよい。分散媒については必要物質を安定的に分散、溶解させうる溶媒であれば限定されることはない。また分散媒中、浸透圧調整剤、pH調整剤などの成分の有無についてはクロスフロー膜を劣化、破壊させる作用がない限り何ら限定されるものではない。
限外ろ過(3)は、上記吸着処理(2)によって除去できなかった溶媒、界面活性剤、および溶血液由来の不要物質を、ヘモグロビンが使用されるヒトまたは何らかの生物学的系により許容されるレベルにまで除去することができる。さらには、限外ろ過により、サイズ排除によるウィルスがある程度除去可能となる。
限外ろ過(3)で除去する溶媒、界面活性剤、あるいはストローマおよび血液型物質の量は、前工程(2)で使用する合成吸着剤量、処理時間など合成吸着剤処理条件との兼ね合いで決定される。
このように、SD処理工程(1)後に、合成吸着剤による吸着処理(2)および限外ろ過(3)を順次行うことにより、限外ろ過の効率の向上、すなわち処理時間の減少、収率の向上が可能となり、エンベロープを有するウィルスの不活化されたヘモグロビン(SFH)が得られる。また、好ましくはこの後に付加されるろ過処理工程、特にナノろ過(4)の効率の向上、すなわち処理時間の減少、収率の向上が可能となる。
ところで前述したように、被SD処理液に対する精製方法は、いくつかあり、従来のSFHヘモグロビンに対するSD処理では、製造プロセスの効率面から特に制限を受けることはない。しかしながら、赤血球を直接SD処理する本発明においては、本発明者らの詳細な検討の結果、製造効率の観点から、上記工程(2)次いで工程(3)の順序で組合わせて行うことが、特に好ましい態様である。
なおたとえば、上記合成吸着剤による吸着工程(2)のみでは、実質的に、添加した溶媒および界面活性剤の全量もしくは生体試料が使用されるヒトまたは何らかの生物学的系により許容されるレベル、さらにはナノろ過においてナノフィルターの微細孔を詰まらせないレベルにまで除去することは難しい。クロマトグラフィーによる吸着処理のための大量の合成吸着剤を必要とし、さらには吸着処理物の無菌性を保証することが難しいという問題点がある。
また被SD処理液をそのまま限外ろ過(3)することは、溶媒、界面活性剤およびストローマなどがフィルターの目詰まりを生じさせ、その結果、ろ過時間の増加、高価なフィルターの膜面積の増加、フィルターの高頻度の交換を必要とし、さらに収率の低下を導くことになる。
また、他の精製方法として油抽出法がある。油抽出法は、油の添加により生じた混合物を撹拌し、沈降または遠心分離により上相と下相を分離し上相をデカントする。しかしながら、SD処理後にナノろ過を実施しようとする場合には、ナノろ過に先立って溶媒、界面活性剤、および溶血液由来の不要物質とともに添加した油を充分に除去する必要がある。油分の存在は、痕跡量でもナノフィルターの微細孔を塞ぎ、その結果、ろ過の時間を増加させ、高価なフィルターの高頻度の交換を必要とし、そして一般に生成物の収率を減少させる傾向がある。また、抽出効率によっては大量の油の使用が必要となるが、界面活性剤については本質的に効率的に除去が困難である。
フォローファイバー透析法は、溶媒がフォローファイバーの小さな孔を塞ぎ、透析効率を低下させる。また界面活性剤は高分子ミセルを形成するために透析効果が非常に悪く、長時間かつ大量の透析外液が必要である。透析法は、本来、臨床検査に用いる精度管理用物質もしくは標準物質並びにそれらの製造方法あるいは臨床検査の改良方法として検体の調製方法に用いられる方法であり、透析によって目的とする物質が希釈されたり大量処理には不向といえる。
本発明では、通常、上記で得られたウィルス不活化ヘモグロビン(SFH)は、最終工程としてろ過滅菌(6)して製品とするが、好ましくは最終のろ過滅菌(6)に先立ってナノろ過(4)し、物理的ウィルス除去処理することが望ましい。
(4)ナノろ過に用いるフィルターは、一般的に再生セルロースで形成された中空糸微多孔膜またはPVDF膜などが用いられる。
ナノろ過によるウィルス除去は、主としてマルチシーブ効果によるメカニズム、つまりウィルス粒子の物理的な除去によりなされるため、孔径は、最終調製物中に維持すべき物質、およびサイズ排除によって除去すべきウィルスのサイズに応じて適切に決定されるべきである。本発明の具体的例においては、Pall社製のUltipor VF DV20およびMillipore社製のViresolve NFPを有効的に利用することができる。
ナノろ過のクリティカルパラメーターの一つに、最終調製物中に含まれる不純物量が挙げられるが、本発明においては、最初に添加した溶媒および界面活性剤、ならびに溶血液由来のストローマおよび血液型物質などの不要物質を、前段の精製工程である合成吸着剤の利用および限外ろ過操作の組み合わせにより除去しているため、クリティカルパラメーターに適応する高精製された調製物をえるためのナノろ過処理の効率の向上、すなわち処理時間の減少、収率の向上を可能とした。
本発明では、必要に応じてろ過滅菌(6)に供する処理液、好ましくはナノろ過液を限外ろ過(5)して濃縮することができる。
この限外ろ過(5)は、基本的に、上記精製工程における限外ろ過(3)と同様のシステム、すなわちクロスフローろ過、タンジェンシャルフローろ過(TFF)を用いて行うことができる。ここで使用されるろ過膜は、濃縮に応じたサイズのものを用いるが、かつ最終調製物中に維持すべき物質、および除去されるべき物質のサイズに応じた分画分子量および孔径が適切に決定されるべきである。ヘモグロビンを濃縮する場合には、約10,000〜30,000の分画分子量を有する孔径が適している。
本発明において、この限外ろ過工程(5)により、ヘモグロビン濃度45w/w%以上の濃縮が可能である。
本発明では、最終工程として、滅菌を目的とした孔径0.2μmを有する滅菌フィルターによるろ過滅菌(6)が行われる。滅菌フィルターの膜材質としては、酢酸セルロースなどの再生セルロースおよびポリエーテルスルホン、PVDFなどが挙げられる。
このろ過滅菌工程(6)は、無菌性ヘモグロビン製品を得るために必要とされる通常の工程である。本発明では、このろ過滅菌工程(6)に、ヘモグロビン濃度45w/w%に濃縮した高粘度の濃縮液を供しても、良好なろ過特性でのろ過が可能である。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、赤血球のSD処理により、全ての赤血球が溶血したことは目視でも充分に識別可能であるが、赤血球の被SD処理液を遠心分離(条件:18000G×30分)し、上清のヘモグロビン濃度を分析することによって確認した。
またSD処理によりヘモグロビンおよびメトヘモグロビン還元酵素系が物理的にも化学的にも変性していないことは、生化学分析により確認した。
(実施例1)ウィルススパイク試験
以下の実施例は、赤血球のSD処理によるウィルス不活化効果およびヘモグロビンの変性有無を調べるために行った。
<SD混合液の調製>
ウィルススパイク試験時の10倍濃度のSD混合液を以下のように調製した。まず、メイロン84(大塚製薬)25mLを注射用蒸留水で各100mLに希釈し、25mM重炭酸ナトリウム溶液を調製した。
界面活性剤;ポリオキシエチレン(10) オクチルフェニルエーテル(Triton X-100;ICN Biomedicals Inc.)または デオキシコール酸ナトリウム(和光純薬)をトリn-ブチルホスフェート(TNBP; 和光純薬)と所定量混合し、これら濃度が表1に示すSD処理時の10倍濃度となる25mM重炭酸ナトリウム溶液または注射用蒸留水溶液を調製した。
<スパイク試験用サンプルの調製>
以下の2種のスパイク試験用サンプルを調製した。
ヒト天然血液全血から血小板、白血球、血漿成分を除去した濃厚赤血球製剤に、生理食塩水を適量加え、撹拌し、遠心分離後、下相を回収して洗浄赤血球を得た。この洗浄赤血球65.23g(60mL)に、20mM重炭酸ナトリウム溶液240gを加え、溶血した後、遠心分離(10,000rpm×30min)し、ストローマ含有ヘモグロビン溶液とした。その後さらに0.45μmシリンジフィルターにてろ過処理し、ストローマ不含ヘモグロビン溶液を得た。
<ウィルススパイク試験>
上記で得られたストローマ含有または不含の各試験用サンプル0.9mLに、ウィルス(Human herpesvirus 1)液0.1mLを添加し、充分混合した後、上記で調製したSD混合液を0.1mL添加して、試験溶液全量を1.1mLとし、目的とするSD処理最終濃度の試験溶液を調製した。試験溶液を調製後は、直ちに7〜10℃で表1に記載の各時間混和し、ウィルス不活化処理した。処理後、凍結保存(−80℃)し、ウィルス感染価の測定に供した。
<ウィルス感染価の測定方法>
ウィルス感染価(TCID50)は、Reed-Munch(レード・ミュンヒ)法を使用した。
RF(Virus reduction factor:ウィルスクリアランス指数)は、未処理試料の感染価の常用対数から溶媒/界面活性剤(S/D)処理試料の感染価の常用対数を減じることにより求めた値である。
なお使用したウィルスHuman herpesvirus 1は、物理・化学的抵抗性が中程度である。
結果を表1に示す。
Figure 0004742042
Figure 0004742042
<評価>
上記試験において、SD処理時、ストローマの存在の有無はウィルス不活化効果に影響を及ぼすことはなかった。Human herpesvirus 1を使用したスパイク試験では、測定系の陽性対照のウィルス感染価が8.0の時、その時のSD処理条件(Triton X-100:0.2%/TNBP:0.3%混合液、8.5℃/12時間)で、ストローマ存在の有無にかかわらず、ウィルス感染価≦3.0(log10TCID50/1mL試験液)、ウィルスクリアランス指数(リダクションファクター)≧5.0が示された。
また使用する界面活性剤は、いずれもRFが5.0以上であった。使用した界面活性剤は、SD処理時の濃度がTriton X-100では0.2%、デオキシコール酸ナトリウムでは0.05%と低濃度側でも良好な結果が得られた。
(実施例2)
以下の実施例2は、本発明における好ましい精製工程を確立するために行った。
<赤血球のSD処理>
ヒト天然血液全血から血小板、白血球、血漿成分を除去した濃厚赤血球製剤に、生理食塩水を適量加え、撹拌し、遠心分離後、下相を回収し、洗浄赤血球を得た。
サンプル1:得られた洗浄赤血球200gに、予め調製したSD混合液(0.6%TNBP-2.0%Triton X-100および適量の重炭酸ナトリウムを含む水溶液)を200g添加し、処理液全量中の溶媒および界面活性剤濃度が0.3%TNBP-1.0%Triton X-100の条件下で、SD処理(4〜10℃で2時間以上撹拌)し、400gのウィルス不活化溶血サンプル1を得た。
サンプル2:処理液全量中の溶媒および界面活性剤濃度が0.3%TNBP-0.2%Triton X-100に変えた以外は、サンプル1と同様にしてウィルス不活化溶血サンプル2を得た。
<精製>
合成吸着剤処理:上記で得た各ウィルス不活化溶血サンプルのうち200gを、アンバーライト(登録商標)XAD-16HP(Rohm & Haas社)40mLを充填したカラム内を流速3.2L/minで2時間循環させた。
油抽出処理:上記とは別に、上記ウィルス不活化溶血サンプル50gおよび70gに対し、大豆油50gおよび30gを各々添加して、大豆油50%、30%の混合液を調製した後、遠心分離(2.63kG, 12min,4℃)し、下相を回収した。
上記で処理した各サンプルについて、溶媒(TNBP)および界面活性剤(Triton X-100N)の残存量を、TNBPはガスクロマトグラフィーにより、Triton X-100Nは高速液体クロマトグラフィーによりそれぞれ定量分析した。結果を表2に示す。
Figure 0004742042

表中、TNBP:トリ(n-ブチル)ホスフェート
表2に示されるように、合成吸着剤による吸着処理は、油抽出処理に比べ、溶媒および界面活性剤の除去効果が高いことが明らかとなった。特に、界面活性剤について、合成吸着剤処理による吸着処理は、油抽出処理に比べ、非常に高い除去効果を示した。
(実施例3)
実施例2の結果に基づき、精製工程として、合成吸着剤による吸着処理後に限外ろ過を行い、溶媒、界面活性剤およびストローマの除去効果を調べた。
(1)赤血球のSD処理
実施例2のサンプル2と同様にSD処理したウィルス不活化溶血サンプル(0.3%TNBP-0.2%Triton X-100)2.0kgを得た。
<精製>
(2)合成吸着剤処理:上記サンプル全量2.0kgを、合成吸着剤アンバーライトXAD-16HPを500mL充填したカラム内を、流速3.2L/minの速度で2時間循環させた。
(3)限外ろ過:次いで、ろ過膜(材質:ポリエーテルスルホン、孔径:分画分子量100,000、有効ろ過面積:0.3m、ザルトリウス製)を装着したクロスフローろ過装置(ザルトコンスライスろ過装置、ザルトリウス製)を用い、循環液入口側圧力0.1MPa、循環液出口側圧力0.025MPa、透過液側圧力0MPaの条件で、限外ろ過を行い、透過液1.6kgを得た。
得られた透過液について、TNBPおよびTriton X-100の残存量を実施例2と同様にして定量分析した。さらに、ストローマ分析としてホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンの残存量を、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析した。分析結果を表3に示す。
Figure 0004742042
表3に示すように、溶媒TNBPについては、合成吸着剤処理(2)により3.79μg/gまで、限外ろ過(3)により0.19μg/gまで除去された。また界面活性剤Triton X-100については、合成吸着剤処理(2)により6.0μg/gまで、限外ろ過(3)により検出限界以下(N.D.)まで除去された。
またストローマ分析としてのホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンについて、合成吸着剤処理(2)および限外ろ過(3)を行うことにより検出限界以下(N.D.)に除去された。
上記のように限外ろ過(3)の前に合成吸着剤処理(2)を行うことにより、限外ろ過(3)に要する時間および収率の観点で安定な処理が可能であった。
(比較例1)
浸透圧法により溶血した赤血球を、SD処理してウィルス不活化する従来の方法を実施し、限外ろ過による溶媒除去効果を調べた。
<溶血>
実施例2と同様の操作により調製した洗浄赤血球10kgを、20mM重炭酸ナトリウム溶液50L中に加え、赤血球を溶血した。溶血後、ろ過膜(材質:ハイドロザルト、孔径:0.45μm、有効ろ過面積:1.2m、ザルトリウス製)を装着したクロスフローろ過装置(ザルトコン2プラス、ザルトリウス製)を用い、限外ろ過(循環液入口側圧力0.1MPa、循環液出口側圧力0.02MPa、透過液側圧力0.01MPa)を行い、さらに回収率を上げるために20mM重炭酸ナトリウム溶液による加水ろ過を繰り返し、透過液90Lを得た。
<SD処理>
上記で得られた透過液に、予め調製したSD混合液(3.0%TNBP-2.0%デオキシコール酸ナトリウムおよび適量の重炭酸ナトリウムを含む水溶液)を、処理液全量中の溶媒および界面活性剤濃度が0.3%TNBP-0.2%デオキシコール酸ナトリウムとなるように添加した。その後、先と同じ限外ろ過を再び行った後、得られた透過液について、ろ過膜(材質:ポリエーテルスルホン、孔径:分画分子量100,000、有効ろ過面積:1.4m、ザルトリウス製)を装着したクロスフローろ過装置(ザルトコン2プラス、ザルトリウス製)を用いて、限外ろ過(循環液入口側圧力0.1MPa、循環液出口側圧力0.04MPa、透過液側圧力0.01MPa)を行い、さらに回収率を上げるために20mM重炭酸ナトリウム溶液による加水ろ過を繰り返し、透過液118Lを得た。
得られた透析液について、溶媒TNBPの残存量を定量分析した。結果を表4に示す。
Figure 0004742042
表4に示すように、TNBPの残存率は孔径0.45μmでの限外ろ過後約17.3%、孔径分画分子量100,000での限外ろ過後約10.8%であった。
ウィルス不活化処理後における孔径0.45μmでの限外ろ過でのヘモグロビン回収率は約85%であるのに対し、孔径分画分子量100,000での限外ろ過でのヘモグロビン回収率は約45%となり、回収率の著しい低下を示した。
(実施例4)赤血球からのヘモグロビン精製
(1)赤血球のSD処理
実施例2のサンプル2と同様にSD処理したウィルス不活化溶血サンプル(0.3%TNBP-0.2%Triton X-100)50kgを得た。
<精製>
(2)合成吸着剤処理:上記サンプル全量50kgを含むタンク内に、合成吸着剤アンバーライトXAD-16HPを12L添加し、クレアミックス撹拌機(エムテクニック社)を用いて、回転数300Hz、約7〜10℃の条件で24時間撹拌した。
(3)限外ろ過:次いで、ろ過膜(材質:ポリエーテルスルホン、孔径:分画分子量100,000、有効ろ過面積:4.2m、ザルトリウス製)を装着したクロスフローろ過装置(ザルトコン2プラス、ザルトリウス製)を用い、限外ろ過(循環液入口側圧力0.09MPa、循環液出口側圧力0.04MPa、透過液側圧力0.02MPa)し、さらに回収率を上げるために20mM重炭酸ナトリウム溶液による加水ろ過を繰り返し、透過液147Lを得た。
(4)ナノろ過
得られた透過液を、ウィルス除去フィルターViresolve NFP Opticap Capsule(Millipore製)を用いて、0.15MPa条件でナノろ過した。
(5)濃縮
ナノろ過液全量を、ろ過膜(材質:ポリエーテルスルホン、孔径:分画分子量30,000、有効ろ過面積:1.2m、ザルトリウス製)を装着したクロスフローろ過装置(ザルトコン2プラス、ザルトリウス製)にて限外ろ過し、ヘモグロビン濃度45w/w%の濃縮液約7.5kgを得た。
(6)ろ過滅菌
上記濃縮液を、滅菌を目的とした孔径0.2μmの滅菌フィルターsartopore2(材質:ポリエーテルスルホン、有効ろ過面積0.45m)によりろ過滅菌し、ウィルス不活化とともに無菌性を保証したヘモグロビンを得た。
TNBPおよびTriton X-100の残存量を実施例2と同様にして定量分析した。さらに、ストローマ分析としてホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンの残存量を、高速液体クロマトグラフィーにより定量分析した。
工程(1)〜(4)後の溶媒(TNBP)、界面活性剤(Triton X-100)の残存量および工程(2)〜(4)後のストローマ分析としてホスファチジルセリンを定量分析した。結果を表5に示す。
Figure 0004742042

表5に示すように、溶媒TNBPは、合成吸着剤処理(2)により約0.26%まで、限外ろ過(3)により約0.07%まで除去された。また、界面活性剤Triton X-100は、合成吸着剤処理(2)により約0.28%まで、限外ろ過(3)により検出限界まで除去された。また、ストローマ分析としてのホスファチジルセリンは、合成吸着剤処理(2)および限外ろ過(3)を行うことにより、0.14μg/gまで除去された。
また、上記のように合成吸着剤処理(2)、限外ろ過(3)、ナノろ過(4)の順で操作することにより、限外ろ過(3)およびナノろ過(4)に要する時間および収率の観点で安定な処理が可能であった。

Claims (10)

  1. 赤血球と、溶媒および界面活性剤の混合液とを接触させ、赤血球の溶血処理とウィルス不活化処理とを同時に行うSD処理工程、および
    上記で得られた被SD処理液中のウィルス不活化されたヘモグロビンを回収する精製工程を含む、ウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  2. 前記被SD処理液がヘモグロビンとともに、溶媒、界面活性剤、赤血球由来のストローマおよび血液型物質を含む、請求項1に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  3. 前記精製工程として、吸着剤による吸着処理および限外ろ過をこの順序で行う請求項1または2に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  4. 前記精製工程に引き続き、ナノろ過およびろ過滅菌をこの順序で行うろ過工程を、さらに含む請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  5. 前記溶媒がトリ-(n-ブチル)ホスフェートであり、前記界面活性剤が非イオン性の界面活性剤である請求項3または4に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  6. 前記吸着剤が、スチレンおよび/またはアクリルと、ジビニルベンゼンとの共重合体からなる合成吸着剤である請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  7. 前記限外ろ過が、再生セルロースおよび/またはポリエーテルスルホンからなる限外ろ過膜を用いて実施される請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  8. 前記ナノろ過が、孔径約15〜70nmの、再生セルロースおよび/またはPVDFからなる膜を用いて実施される請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  9. 前記ろ過滅菌が、再生セルロース、ポリエーテルスルホンおよびPVDFから選ばれる少なくとも1種の材質からなり、孔径0.2μmの滅菌膜を用いて実施される請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
  10. 前記ろ過滅菌の前に、ナノろ過液を限外ろ過して濃縮する請求項に記載のウィルス不活化ヘモグロビンの製造方法。
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