JP2002114799A - ウイルス除去方法 - Google Patents

ウイルス除去方法

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JP2002114799A
JP2002114799A JP2001233937A JP2001233937A JP2002114799A JP 2002114799 A JP2002114799 A JP 2002114799A JP 2001233937 A JP2001233937 A JP 2001233937A JP 2001233937 A JP2001233937 A JP 2001233937A JP 2002114799 A JP2002114799 A JP 2002114799A
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virus
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filtration
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JP2001233937A
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Takahito Matsuo
宇人 松尾
Hiroshi Kaneko
博 金子
Kazunori Oshima
一紀 大嶋
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Nihon Pharmaceutical Co Ltd
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Nihon Pharmaceutical Co Ltd
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウイルス夾雑の危惧のある蛋白溶液のフィルタ
ーを用いるウイルス除去法に於いて、工業的により効率
の良いウイルス除去方法を提供する。 【解決手段】取得目的の蛋白溶液に取得目的蛋白の活性
に実質的に影響を与えない他の水溶性蛋白を含有せしめ
ることにより前記課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウイルス混在のお
それのある取得目的の蛋白の溶液から、ウイルス除去フ
ィルターを用いてウイルスを除去する方法において、取
得目的の蛋白の活性に実質的に影響を与えない他の水溶
性蛋白を同時に溶解せしめることにより、濾過効率を高
め、より工業的有利に蛋白溶液からウイルス除去方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】蛋白、特に生体由来の蛋白、より具体的
には血液由来の蛋白は、エイズウイルス、各種肝炎ウイ
ルス、ヒトパルボウイルスB19などの種々のウイルス
に汚染されている可能性がある。したがって、これらを
原料とした治療剤の製造に際しては、ウイルスを十分に
除去または不活化する工程を組み込むことが必須であ
る。血液由来の製剤、すなわち血液製剤に夾雑してくる
ウイルスを不活化する方法としては、水溶液状態での加
熱処理法(以下、液状加熱法という。)がMurrayら(Th
e New York Academy of Medicine, 31巻(5)341
〜358(1955))により提案され、それ以来この
方法は血液製剤のウイルス不活化法として広く採用され
ている。しかし、この液状加熱法に耐え得る熱に安定な
蛋白はアルブミンなどごく一部のものに限られ、他の多
くの血漿蛋白は熱に不安定で、この方法によっては変
性、失活する割合が高い。
【0003】そこでこの液状加熱法とは別に、蛋白を乾
燥状態で加熱する乾燥加熱法(特開昭58−21372
1号)、特殊な溶媒と洗浄剤を用いるソルベントデター
ジェント法(SD法)(特開昭60−51116号)な
ども提案されている。また、アフィニティークロマトグ
ラフィー、イオン交換クロマトグラフィーによってもウ
イルスの除去が可能であることが報告されている( Dev
elopments inBiological Standardization, Vol.,81,1
99〜209(1993))。しかし、これらのいずれの方法も一長
一短があり、1つの方法で各種ウイルスの完全不活また
は完全除去は期し難く、従って複数の方法を組み合わせ
て用いることが有効であると考えられるが、そのために
は個々の処理工程における蛋白の変性、不活性化を極力
抑え、収率の低下を防ぐことが工業的生産の見地から重
要となってくる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した液状加熱法
は、ウイルスの不活化という点では優れた方法の1つで
はあるが、蛋白が液状で比較的長時間、60℃前後の高
い温度に曝される結果、アルブミン等熱に安定な数少な
い蛋白を除き、多くの血漿蛋白は溶液状態では熱に不安
定で、変性、失活する率が高い。血漿蛋白の中でもトラ
ンスグルタミナーゼの一つである血液凝固第XIII因子
は、熱に不安定であるので、液状加熱法による収率低下
を防ぐためこれまでにも種々の提案がなされてきた。そ
の方法として、たとえば第XIII因子含有溶液にグリシ
ン、アラニン等のアミノ酸、グルコース、マンニトール
などの糖類を10〜20重量%添加する方法(特開昭5
3ー59018号)、グリシンと蔗糖を併用する方法
(特開昭55ー145615号)などが報告されている
が、これらの方法も加熱による蛋白の変性や失活を充分
に抑制することはできず、またこれらの変性体や不活性
体が最終製品の品質に何らかの影響を及ぼす可能性も否
定し得ない。
【0005】そこで、加熱によらず、フィルターを用い
てウイルスを除去する方法が開発された。例えば、ウイ
ルスを含有する可能性のある有用蛋白原料を多孔膜であ
るウイルス除去フィルターを用いて多段的に濾過するこ
とによるウイルス除去方法(特開平10−337445
号)、血液凝固第VIII因子製剤を銅アンモニア法再生セ
ルロース製多孔膜中空糸を用いて多段に濾過する方法
(特開平2−167232号)や免疫グロブリン製剤の
製造工程中にウイルス除去用中空糸フィルターによる濾
過工程を導入し、ウイルスを除去する方法(Japanese J
ournal of Transfusion Medicine, 34巻(6)、61
5〜617(1988))などが報告されている。
【0006】しかしこれらのフィルターを用いてウイル
スを除去する方法の問題点は、フィルターが目詰まりを
起こし、濾過が困難になるかまたは不能となることであ
る。さらに取得目的の蛋白がフィルターに吸着され、収
率が低下するという問題もあった。特に血液凝固第XIII
因子製剤は胎盤由来や血液由来のものがあるが、いずれ
も濾過が困難であるところから、これまでフィルターに
よるウイルス除去は行われていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため種々の研究を重ねた結果、取得目的の蛋
白の溶液、特にトランスグルタミナーゼ、より具体的に
は血液凝固第XIII因子をウイルス除去フィルターを用い
て濾過する際に、取得目的の蛋白の活性に実質的に影響
を与えない他の水溶性蛋白を含有せしめることによっ
て、取得目的の蛋白が安定化され、取得目的蛋白のウイ
ルス除去フィルターへの吸着を抑制し、且つウイルス除
去能を維持したままで優れた濾過性を示すことを見いだ
し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。すなわち本
発明は
【0008】(1)ウイルスが混在するおそれのある取
得目的の蛋白の溶液からウイルス除去フィルターを用い
てウイルスを除去する方法において、該溶液に取得目的
の蛋白の活性に実質的に影響を与えない他の水溶性蛋白
を溶解共存させるウイルス除去方法、(2)取得目的の
蛋白が生体由来のものである前記(1)記載のウイルス
除去方法、(3)取得目的の蛋白がトランスグルタミナ
ーゼである前記(1)記載のウイルス除去方法、(4)
取得目的の蛋白が血液凝固第XIII因子である前記(1)
記載のウイルス除去方法、(5)他の水溶性蛋白がアル
ブミンである前記(1)記載のウイルス除去方法、
(6)取得目的蛋白の溶液中のアルブミン濃度が0.0
1〜5%重量である前記(5)記載のウイルス除去方
法、および(7)ウイルス除去フィルターかつ10〜8
0nmの平均孔経を有するものである前記(1)記載の
ウイルス除去方法。である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のウイルス除去方法の対象
となる取得目的蛋白は、生体成分由来のものであれば特
に限定されず、ウイルスの夾雑が危惧される蛋白、たと
えば血漿、尿、胎盤、皮膚、骨、肺などの生物由来の蛋
白、細胞培養由来の蛋白等があげられる。本発明は、液
状加熱に対して不安定なトランスグルタミナーゼ、特に
第XIII因子の処理に好適である。取得目的蛋白溶液にお
ける蛋白の濃度は特に限定されないが、通常0.01〜
30.0重量%、好ましくは0.03〜10.0重量%
である。蛋白が第XIII因子である場合の濃度は、0.0
5〜3.0重量%であることが好ましい。取得目的蛋白
溶液には、必要に応じ、安定化剤としてグリシン、アラ
ニン等のアミノ酸を0.1〜3モル濃度、グルコース、
マンニトール、蔗糖などの糖類を10〜50重量%程度
添加してもよい。その他緩衝液として、たとえばクエン
酸緩衝液を添加してもよい。蛋白溶液のpHは、通常
5.0〜10.0、好ましくは6.0〜8.5である。
取得目的の蛋白の活性に実質的に影響をあたえない他の
水溶性蛋白としては、取得目的蛋白の活性に影響をあた
えない水溶性蛋白であれば特に限定されないが、好まし
くはアルブミン、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、ペプ
トン類のような蛋白の酵素消化物などが用いられる。ア
ルブミン自身はそれ自体触媒活性を持たず、トランズグ
ルタミナーゼ活性には影響を与えないことから本発明に
とって有用である。
【0010】ゼラチンの中では特に水溶性ゼラチンが有
用であり、これは平均分子量が約15000以下の低分
子のもので、普通のゼラチンと異なり常温で水に解けて
ゲル化しないことから、粘性が要求されない本発明にお
いて好ましく用いることができる。これらの中でもウイ
ルス除去フィルター処理後に除去が容易であるか、最終
製剤に混在しても品質管理上問題のない蛋白が好まし
く、特に好ましいものはアルブミンである。取得目的蛋
白溶液中の他の水溶性蛋白の濃度は通常0.01〜5.
0重量%、好ましくは0.05〜2.0重量%である。
【0011】本発明に用いるウイルス除去フィルター
は、多孔膜であれば平膜状でも中空糸状でもよく、また
その材料としては銅アンモニア法、ビスコース法、セル
ロースエステルのケン化法などの再生セルロース、アセ
テートなどの酢化セルロース、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ
スルホン(PS)及びポリメチルメタクリレート(PM
MA)等の合成高分子化合物があげられる。その中でも
銅アンモニア法再生セルロース製多孔膜中空糸が特に好
ましい。銅アンモニア法再生セルロースは親水性で且つ
蛋白の吸着性が低いく、また銅アンモニア法再生セルロ
ースからなる多孔膜中空糸は既存の中空糸の中でも一番
吸着性が低い。銅アンモニア法再生セルロース製多孔膜
中空糸は流水速法で測定した平均孔径が10〜100n
mの範囲にあり、しかも壁厚全層においてスキン構造を
有さない。また、銅アンモニア法再生セルロース製多孔
膜中空糸は該中空糸の内壁面から外壁面への膜厚方向に
層状構造を有しているので、高い蛋白の透過性と高いウ
イルスの阻止性能を併せ持っている。この中空糸の膜厚
は10〜100μmが好ましく、50〜90μmがさら
に好ましい。ウイルス除去フィルターの平均孔径は、通
常10〜80nm、好ましくは15〜75nm、より好
ましくは30〜50nmである。平均孔径が20nm以
下のフィルターを用いると、パルボウイルスB19のよ
うな粒子径の小さなウイルスも除去することができる。
またフィルターは平均孔径の異なるフィルターを孔径の
大なるものから小なるものへと多段に使用することによ
り、より濾過工程を高めることができる。好適に用いら
れる具体的なフィルターは、プラノバ35N(平均孔径
35±2nm、旭化成(株)製)およびプラノバ15
N(平均孔径 15±2nm、旭化成(株)製)であ
る。
【0012】血漿から第XIII因子含有溶液を調製するた
めの具体的な方法としてはたとえば次の方法があげられ
る。まず、コーン低温エタノール分画の画分Iを採取
し、0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)を加え、
ミキサーで画分を十分に攪拌して溶解させる。この溶液
を遠心分離器により3000g、20℃で15分間遠心
分離し上清を得る。この上清に、1Mクエン酸緩衝液
(pH7.5)をゆっくりと加え、攪拌後20℃で1時
間放置する。この溶液を再び遠心分離器にて3000
g、10℃で15分遠心分離し、沈殿物を濾取する。こ
の沈澱を0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)に溶
解し、56℃、3分間加熱処理して熱変性物を遠心分離
して上清を得る。この上清を陰イオンクロマトグラフで
処理し、吸着画分から第XIII因子を含む溶液を得ること
ができる。また、胎盤由来の第XIII因子含有溶液を調製
する具体的な方法としては次の方法があげられる。
【0013】まず凍結した人の胎盤に0.5%食塩溶液
を添加後、組織を含まない上澄みからアクリジン塩基を
用いて第XIII因子を析出させる。2.5%食塩水を用い
てアクリジン付加物を溶解させ、セチルピリジニウムク
ロリドにより第XIII因子含有溶液から酸性の付加蛋白と
脂質を除く。再度アクリジン塩基を用いて第XIII因子を
析出させ、2.5%食塩で抽出し、抽出液を硫酸アンモ
ニウムを用いる沈殿及びゲル濾過により精製する。第XI
II因子活性画分を合し、濾過または中性塩沈殿法により
さらに濃縮して第XIII因子濃縮物とする。第XIII因子含
有溶液の活性は、例えばダンシルカダベリン法(Tromb.
Res., 36巻、123〜131頁(1984))、ク
ロット溶解法(J. Biol. Chem., 236巻、2625〜
2633(1961))などの方法により測定すること
ができる。本発明においてはこのようにして調製された
取得目的の蛋白の溶液に上記他の水溶性蛋白を添加し、
そのまま、または種々の予備濾過を施した後ウイルス除
去フィルター処理を施すのであるが、このようにして調
製された蛋白溶液は従来にない高い濾過性並びに取得目
的蛋白の回収性を示す。さらに上記他の水溶性蛋白を含
有した取得目的の蛋白溶液はすべてのフィルターに対し
て高い膜濾過相関性を持つため、例えば、工業上頻用さ
れる限外濾過膜を使用する際にも従来にない高濃度で安
定的に濃縮することが可能となり、しかも高い回収率で
回収することができる。
【0014】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例をあげて
本発明を具体的に説明する。 実施例1 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1Kg採取し、
これに5リットルの0.02Mクエン酸緩衝液(pH
7.5)を加え、ミキサーにて画分Iを十分に攪拌しな
がら溶解した。この溶液を遠心分離器により3000
g、20℃で15分間遠心分離し上清を得た。この上清
に、2.5リットルの1Mクエン酸緩衝液(pH7.
5)をゆっくりと添加攪拌し、20℃で1時間放置し
た。この溶液を再び3000g、10℃で15分間遠心
分離して沈殿物を採取した。この沈殿物に3リットルの
0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)を加えて溶解
し、56℃、3分間加熱処理を行い、遠心分離器により
3000g、20℃で15分間遠心分離して上清を得る
ことで熱変性物を分離した。これを0.02Mクエン酸
緩衝液(pH7.5)で平衡化した陰イオン交換体(D
EAEセファロースCL−6B;ファルマシア社製)に
負荷し、0.1M塩化ナトリウム溶液で溶出した画分1
リットルを限外濾過膜を用いて濃縮し、約120倍/m
lとなるように第XIII因子の力価を調整した。得られた
溶液に塩化ナトリウムを0.1M、アルブミンを0.8
%となるように添加した後、0.2μmの平均孔径を有
するフィルター(商品名:ミリパック、ミリポア社製)
で予備濾過を施した試料15.0mlをデッドエンド法
により平均孔径35nmのウイルス除去フィルター(プ
ラノバ35N、0.01m 旭化成(株)製)で濾過
した。試料を濾過した後0.01Mクエン酸緩衝液
(0.1mM塩化ナトリウム含有、pH7.5)100
mlを通過させ、濾液として得られた溶液と試料の濾液
とを混合した。混合液の第XIII因子力価を血液凝固試験
用標準ヒト血漿(ヘキスト社)を標準としてダンシルカ
タベリン法により測定し、得られた数値に容量を乗じた
数値(総倍)と濾過前の第XIII因子力価に容量を乗じた
数値(総倍)より濾過前後の収率を算出し、その結果を
〔表1〕に示した。
【0015】比較例1 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1Kg採取し、
実施例1と同様に処理して熱変性物を分離した上清を得
た。これを0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)で
平衡化した陰イオン交換体(DEAEセファロースCL
−6B;ファルマシア社製)に負荷し、0.1M塩化ナ
トリウム溶液で溶出した画分1リットルを限外濾過膜を
用いて濃縮し、約120倍/mlとなるように第XIII因
子の力価を調整した。力価を調整した溶液に塩化ナトリ
ウムを0.1Mとなるように添加した後、0.2μmの
平均孔径を有するフィルター(ミリパック、ミリポア社
製)で予備濾過を施した試料15.0mlをデッドエン
ド法により平均孔径35nmのウイルス除去フィルター
(プラノバ35N、0.01m 、旭化成(株)製)
を通過させた。試料を濾過した後1mMクエン酸緩衝液
(0.1mM塩化ナトリウム含有、pH7.5)100
mlを通過させ、濾液として得られた溶液と試料の濾液
とを混合した。混合液の第XIII因子力価を血液凝固試験
用標準ヒト血漿(ヘキスト社)を標準としてダンシルカ
タベリン法により測定し、得られた数値に容量を乗した
数値(総倍)と濾過前の第XIII因子力価に容量を乗じた
数値(総倍)より濾過前後の収率を算出し、その結果を
〔表1〕示した。
【0016】比較例2 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1Kg採取し、
実施例1と同様に処理して、熱変性物を分離した上清を
得た。これを0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)
で平衡化した陰イオン交換体(DEAEセファロースC
L−6B;ファルマシア社製)に負荷し、0.1M塩化
ナトリウム溶液で溶出した画分1リットルを限外濾過膜
を用いて濃縮し、約120倍/mlとなるように第XIII
因子の力価を調整した。力価を調整した溶液に塩化ナト
リウムを0.1M、グルコースを2.0%となるように
添加した後、0.2μmの平均孔径を有するフィルター
(ミリパック、ミリポア社製)で予備濾過を施した試料
15.0mlをデッドエンド法による平均孔径35nm
のウイルス除去フィルター(プラノバ35N、0.01
、旭化成(株)製)を通過させた。試料を濾過した
後1mMクエン酸緩衝液(0.1mM塩化ナトリウム含
有、pH7.5)100mlを通過させ、濾液として得
られた溶液と試料の濾液とを混合した。混合液の第XIII
因子力価を血液凝固試験用標準ヒト血漿(ヘキスト社)
を標準としてダンシルカタベリン法により測定し、得ら
れた数値に容量を乗じた数値(総倍)と濾過前の第XIII
因子力価に容量を乗じた数値(総倍)より濾過前後の収
率を算出し、その結果を〔表1〕に示した。
【0017】
【表1】 〔表1〕から明らかなように塩化ナトリウムのみを添加
した比較例1に比べアルブミンを添加した実施例1はウ
イルス濾過処理後の活性収率が大きく向上した。またこ
の現象は比較例2に示したようにグルコースを添加した
実験では活性収率が改善できないことから、実施例1の
効果はアルブミンの添加よって初めてもたらされた効果
であることが明らかになった。
【0018】実施例2 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1Kg採取し、
実施例1と同様に処理し、熱変性物を分離して上清を得
た。これを0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)で
平衡化した陰イオン交換体(DEAEセファロースCL
−6B;ファルマシア社製)に負荷し、0.1M塩化ナ
トリウム溶液イオン交換体に負荷し20mMクエン酸緩
衝液で溶出した画分を得、約12倍/mlとなるように
第XIII因子の力価を調整した。力価を調整した溶液に塩
化ナトリウムを0.1M、アルブミンを0.05%とな
るように添加した後0.2μmの平均孔径を有するフィ
ルター(ミリパック、ミリポア社製)で予備濾過を施し
た試料400mlをデッドエンド法により平均孔径35
nmのウイルス除去フィルター(プラノバ35N、0.
01m、旭化成(株)製)を通過させた。試料を濾過
した後1mMクエン酸緩衝液(0.1mM塩化ナトリウ
ム含有、pH7.5)100mlを通過させ、濾液とし
て得られた溶液と試料の濾液とを混合した。混合液の第
XIII因子力価を血液凝固試験用標準ヒト血漿(ヘキスト
社)を標準としてダンシルカタベリン法により測定し、
得られた数値に容量を乗じた数値(総倍)と濾過前の第
XIII因子力価に容量を乗じた数値(総倍)より濾過前後
の収率を算出し、その結果を〔表2〕に示した。
【0019】比較例3 コーン低温エタノール分画の画分Iを約1Kg採取し、
実施例1と同様に処理して、熱変性物を分離した上清を
得た。これを0.02Mクエン酸緩衝液(pH7.5)
で平衡化した陰イオン交換体(DEAEセファロースC
L−6B;ファルマシア社製)に負荷し、0.1M塩化
ナトリウム溶液で溶出した画分を得、約12倍/mlと
なるように第XIII因子の力価を調整した。力価を調整し
た溶液に塩化ナトリウムを0.1Mとなるように添加し
た後0.2μmの平均孔径を有するフィルター(ミリパ
ック、ミリポア社製)で予備濾過を施した試料400m
lをデッドエンド法により平均孔径35nmのウイルス
除去フィルター(プラノバ35N、0.01m、旭化
成(株)製)を通過させた。試料を濾過した後1mMク
エン酸緩衝液(0.1mM塩化ナトリウム含有、pH
7.5)100mlを通過させ、濾液として得られた溶
液と試料の濾液とを混合した。混合液の第XIII因子力価
を血液凝固試験用標準ヒト血漿(ヘキスト社)を標準と
してダンシルカタベリン法により測定し、得られた数値
に容量を乗じた数値(総倍)と濾過前の第XIII因子力価
に容量を乗じた数値(総倍)より濾過前後収率を算出
し、その結果を〔表2〕に示した。
【0020】
【表2】 〔表2〕から明らかなように、実施例2においてはアル
ブミン濃度が0.05%と低濃度であっても濾過後の活
性収率は比較例3に比べて明らかに高く、優れた回収性
を示すことが証明された。
【0021】試験例1 実施例1で調製したウイルス除去膜処理を行う前の試料
9容に対し、ウシ下痢症ウイルス(BVDV)液1容を
加え下記に示すBVDV感染価測定方法に従って試料中
のウイルス感染価を測定した。比較例1についても同様
にウイルス感染価を測定した。その結果を〔表3〕に示
した。
【0022】ウシ下痢症ウイルス(BVDV)感染価の
測定方法 マイクロプレートを用い37℃、5%炭酸ガス培養器で
培養したBT(BovineTestis)細胞でウシ下痢症ウイル
スの感染価の測定を行った。試料は日本薬局方注射用水
で溶解した。ウイルス感染価の測定方法としてはウシ下
痢症ウイルスのBT細胞に対する細胞変性効果を確認す
ることによりおこなった。すなわち、ウイルスを含む試
料をBT細胞培養培地で10倍段階希釈してBT細胞に
接種した。引き続き炭酸ガス培養器で7日間培養し細胞
変性効果を確認してウイルス感染価TCID50/ml
を測定した。
【0023】
【表3】
【0024】〔表3〕から明らかな通り、実施例1の方
法によるウイルス除去効果は比較例1の方法によるウイ
ルス除去効果と比べ遜色なく、良好なウイルス除去効果
を示した。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、ウイルス混在のおそれ
のある取得目的蛋白溶液からウイルス除去フィルターを
用いてウイルスを除去する方法において、液の濾過性を
高め、より効率的なウイルス除去が可能となる。また、
本法により得られる蛋白溶液はすべてのフィルターに対
して高い膜濾過相関性を持つため、ウイルス除去フィル
ター処理後の工程においても限外濾過等他の種々の濾過
工程を継続して実施することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大嶋 一紀 千葉県成田市新泉3番地の1 日本製薬株 式会社成田工場内 Fターム(参考) 4B050 CC10 FF05C LL01 4B065 AA95X BD18 CA24 CA44 4H045 AA20 CA10 CA40 DA66 DA89 EA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウイルスが混在するおそれのある取得目的
    の蛋白の溶液からウイルス除去フィルターを用いてウイ
    ルスを除去する方法において、該溶液に取得目的の蛋白
    の活性に実質的に影響を与えない他の水溶性蛋白を溶解
    共存させるウイルス除去方法。
  2. 【請求項2】取得目的の蛋白が生体由来のものである請
    求項1記載のウイルス除去方法。
  3. 【請求項3】取得目的の蛋白がトランスグルタミナーゼ
    である請求項1記載のウイルス除去方法。
  4. 【請求項4】取得目的の蛋白が血液凝固第XIII因子であ
    る請求項1記載のウイルス除去方法。
  5. 【請求項5】他の水溶性蛋白がアルブミンである請求項
    1記載のウイルス除去方法。
  6. 【請求項6】取得目的蛋白の溶液中のアルブミン濃度が
    0.01〜5重量%である請求項5記載のウイルス除去
    方法。
  7. 【請求項7】ウイルス除去フィルターが10〜80nm
    の平均孔径を有するものである請求項1記載のウイルス
    除去方法。
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