JP2008534687A - タンパク性物質からタンパク質を単離するための高分離方法及び沈殿試薬 - Google Patents

タンパク性物質からタンパク質を単離するための高分離方法及び沈殿試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離するための新規高分離方法及び沈殿試薬を提供する。
【解決手段】タンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離するための新規高分離方法及び沈殿試薬が開示されている。本発明の方法及び沈殿試薬は、所望のタンパク質集団に固有及び/または特徴的な物理的及び化学的特性に基づく種々のタンパク性物質から、所望のタンパク質集団を選択的且つ連続的に高収率で単離することに適している。さらに、本発明の新規且つ非常に進歩的な方法及び沈殿試薬を用いて単離された所望のタンパク質集団は、高度に濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有している。沈殿試薬は基本的に、クエン酸三カリウム一水和物またはクエン酸三ナトリウム二水和物によって例示される多官能性有機酸のアルカリ金属塩と、pHを調整するための緩衝剤である。タンパク性物質の供給源としては、例えば、動物または植物体液及び抽出物が挙げられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、タンパク性物質からタンパク質を単離するための新規高分離方法及び沈殿試薬に関する。
血液は、血漿及び特殊化した細胞を含む2つの基本分画からなる独特の組織である。血漿は液体分画であり、溶液及び懸濁液において、水素イオンのような小分子から、数百万ダルトンの分子量を有する巨大タンパク質に及ぶ分子成分の高度な複合混合物となっている。現在、血漿分画内に存在するタンパク質は、7つの一般的な区分に基づいて特徴付けられている。前記区分は、すなわち、(1)アルブミン、(2)α−グロブリン、(3)α−グロブリン、(4)β−グロブリン、(5)フィブリノゲン、(6)γ−グロブリン、(7)プレアルブミンである。これらの血漿タンパク質の分画に関し、一般に最も有効であると認知されている方法は、pH、温度、イオン強度、及びタンパク質濃度の厳密な条件下における低温エタノールの使用に基づいている。これらは、特に、Cohnによる米国特許第2,390,074号及び第2,469,193号に開示されている。Bidwellによる米国特許第2,867,567号に記載されているように、クエン酸水溶液を用いる別の方法も、血漿からタンパク質を分画するために利用されている。しかしながら、かかるクエン酸溶液をヒトまたはウマ血漿に添加した場合、そこから生成した産物は、残念なことにほとんどあるいは全く活性を示さない。様々な治療剤の調製に使用するために、毎年何百万リットルもの「全血漿」が採取されている。「全血漿」が頻繁に使用されているという事実にもかかわらず、血漿中の個々のタンパク質の利用が「全血漿」の使用をはるかに上回っていることが能く知られ、このことは医学界において一般に受容されている。血漿タンパク質は、その特性ゆえに、ヒトにおける特定病態の治療に極めて重要である。従来、血漿タンパク質は、例えば、循環血液量の欠乏によるショックの治療、破傷風などの特定病原体の治療、はしかや肝炎等の予防、及び体液量の増加のために利用されてきた。さらに、第VIII因子、β−グロブリンのような一部の血漿タンパク質は、全ての重要な血液の凝集過程に深く関わっており、最終的にはその維持に関与している。
通常なヒトにおける総タンパク量は、総血漿量の約6%、すなわち、血漿100ミリリットル当たりおよそ6gにすぎない。そのため、血漿分画からこれらの特定タンパク質を分画するために使用される手段は、所望のタンパク質成分についてその生物活性に悪影響を与えることなく高濃縮物を作り、さらに精製物を生成する能力を有していることが必要である。残念なことに、他のタンパク性物質と同様、血漿分画からの個々もしくは選択的なタンパク質単離に使用できる従来技術は一般的に非効率であり、洗練されていない。例えば、γ−グロブリン製剤の治療への応用は、該製剤が静脈内投与された際に、それらが患者体内で「凝集」され、免疫原性となるグロブリン分子の変性により制限されている。さらに、最適な治療量で行なう通常のγ−グロブリンの筋肉注射は、生体内レベルでの定着に多量のγ製剤を要することからも一般に不十分である。加えて、特定のγ−グロブリン機能の変質及び/または不活性化は、現在利用できる分画方法においては一般に難しい。例えば、現在の方法の下では、通常の血漿プールにおいて100ユニットの特異的活性を有すると考えられるγ−グロブリン100グラムから、分画によって、恐らく約2から約10ユニットの活性を有するタンパク質約30から約70gのみがもたらされるにすぎない。
最初の実用的な大量のタンパク質分画方法は、前述のようにCohnによって開発されたものであり、エタノール、塩、温度及びpHの調整を利用してタンパク質の溶解性を変えることによって、タンパク質の沈殿を生じさせるものである。一部改良を施したCohnの方法は、例えば、γ−グロブリン、アルブミン、及びフィブリノゲンの調製用として米国食品医薬品局に認められた唯一の従来手段となっている。しかしながら、これらのタンパク質分画が、現在実用性を有する唯一の血漿分画であろうとも、理論上のタンパク質価の約50%から約70%をもたらすにすぎないのである。一方で、第VIII因子は、寒冷沈降反応、親和性クロマトグラフィー、グリシン沈殿などを含むいくつかの他の方法によって採取される。しかしながら、現在のところ、第VIII因子の収率は、理論上のたんぱく質価の約30%から約50%の間にすぎない。このような低い収率は、一般に、沈殿試薬及び用いる方法に付随する条件の厳しさによるもので、これが構造の変化、延いては機能の変化の原因となっている。
欧州及び米国を除くほとんどの国においては、硫酸アンモニウム「塩析沈殿」法が使用されている。前記方法は、上記と同様の理由から、収率は非常に低いものであるが、Cohnの方法に比べ、より高純度のγ−グロブリンが可能となるためである。
牛乳のような酪農製品もまた、分画可能なタンパク性物質の優れた供給源である。例えば、牛乳に存在するタンパク質は、一般に3つのカテゴリーに分けられる。前記カテゴリーはカゼイン、ラクトアルブミン、ラクトアルブミンを含み、約3w/v%の濃度で存在する。現在のところ、チーズやヨーグルトなどの酪農製品において主要タンパク質成分を構成するカゼインのみが効果的に利用されている。乳タンパク質の残りは、一般に、チーズ及びヨーグルトの製造によりもたらされ、乳清として知られる残液に留まっている。乳清は、酪農製品の主要な副産物であり、逆浸透ろ過及び噴霧乾燥などの方法によって処理される。残念ながら、一般には乾燥過程に伴う加熱及び機械的せん断によって乳タンパク質の残りに変性や利用上の損失をもたらす噴霧乾燥が、より慣用的に利用される方法となっている。
要約すれば、過去の試みまたはアプローチにより、血漿画分などの様々なタンパク性物質からタンパク質構成要素が分画されてきた。これまで、前述の問題、すなわち、濃縮、精製、及び生物活性について克服し得る十分な方法は開発されていない。特に、公知の方法は、一般的に、多くの条件と共に沈殿試薬に依存し、生理学的に非感受性であると同時に、煩雑、粗雑、且つ時間を要するものである。実際、上記したような、公知の方法のほとんどは、用いる試薬の粗雑さにより極めて非効率的である。さらに、従前の方法は、血漿画分中に少量で存在するタンパク質構成要素を単離するに十分な感度ではない。
言い換えれば、前述した全てのタンパク質分画方法は一般に分離の質が低く、したがって、血漿などのタンパク性物質から、高レベルの純度と生物活性をともに有する高濃縮タンパク質製剤を高収率で単離する能力をほぼ必ず欠いている。従来技術では、血漿タンパク質などの様々なタンパク質画分に必要とされるポテンシャルの実現をもたらすに十分な製品を提供することはできないのである。このような理由から、生物活性に悪影響を与えることなく、高濃縮・高精製タンパク質製剤をタンパク性物質から高収率で効果的に単離することのできる高分離分画方法が、医学及び商業上において強く求められている。
概要において、本発明は、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離するための新規の高分離方法及び沈殿試薬を見出し、これを通じて前述の問題及び現在の技術の欠点を解決しようとするものである。単離された特定のタンパク質集団は、高度に濃縮され、実質的に純粋であり、また実質的に生物活性を有している。
好適な実施形態において、本発明は、単離される所望のタンパク質集団に対応する、多官能性有機酸のアルカリ金属塩を含む沈殿試薬の臨界濃度を規定する工程、タンパク性物質から所望しないタンパク質集団を単離するために、沈殿試薬を臨界濃度よりも低い濃度でタンパク性物質に添加する工程、さらに、分画されたタンパク性物質からさらに所望のタンパク質集団を単離するため、沈殿試薬を基本的に臨界濃度で分画されたタンパク性物質に添加する工程、を含み、前記所望のタンパク質集団が濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有する、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離する高分離方法を目的とする。タンパク質集団は、細菌、動物または植物の体液及び抽出物などの様々なタイプのタンパク性物質から単離することが可能である。このような動物体液としては、特に制限されないが、血液、血漿、尿、乳、及び羊水、胎盤液、または胎児液等が挙げられる。細菌、動物及び植物抽出物としては、培養液、肝臓抽出物、動物糞便、トウモロコシ及び大豆抽出物などを挙げることができる。
別の典型的な実施形態において、本発明は、特定または所望のタンパク質集団を水性液体中に可溶化させた状態で単離するために、水性液体中に可溶化させた粗タンパク質分画から所望しないタンパク質集団を沈殿させることを目的とする。ここで、「可溶化させた」という用語は、コロイド及び粒子懸濁液を含む。したがって、この改良されたアプローチは、水性液体中において、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を含む粗タンパク質集団を沈殿させるため、沈殿試薬を基本的に臨界濃度でタンパク性物質に添加する工程、粗タンパク質を水性液体中に再可溶化させる工程、及び、沈殿試薬を臨界濃度よりも低い濃度で再可溶化した粗タンパク質集団に添加し、液中において所望のタンパク質集団を可溶状態で実質的に単離する工程を含む。
別の典型的な実施形態において、本発明は、所望のタンパク質集団を選択的に単離するに適した濃度の多官能性有機酸のアルカリ金属と、前記試薬のpHを調整するための緩衝剤と、を含み、それによってタンパク性物質から所望のタンパク質集団が、濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有する形で選択的に単離される、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を選択的に単離するための高分離沈殿試薬を目的とする。
多官能性有機酸のアルカリ金属塩は、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウムなど、クエン酸及び酒石酸の一価のアルカリ金属に由来するものが好ましい。特に、クエン酸三カリウム一水和物及びクエン酸三ナトリウム二水和物が、本発明の方法で使用する沈殿試薬の処方にとりわけ適している。さらに、沈殿試薬に組み込まれる緩衝剤としては、例えば、約4から約9の間で変動し得る試薬のpHの調整に対し、クエン酸または塩酸が挙げられる。しかしながら、本発明にかかる方法及び沈殿試薬を特定または所望のヒトタンパク質集団の選択に利用する場合、沈殿試薬のpHは約7から約7.55とすべきであり、単離されるタンパク質集団の変性及び分解を避けるため、「生理学的」pH範囲である約7.35から約7.45とすることが好ましい。
したがって、新規且つ極めて進歩した本発明のタンパク質の単離方法及び沈殿試薬は、選択されるタンパク質集団をコロイド懸濁液または溶液から高収率で選択的且つ連続的に取り出すための新規手段を備えるものである。前記タンパク質集団は実質的に純粋であり、選択されるタンパク質集団に固有且つ特徴的な一定の物理的特性に基づく生物活性を有する。注目すべきことに、用いる沈殿試薬の性質は、複合混合物の特定タンパク質集団を水系の連続相に対して選択的に不溶とすることによって、それらを極めて高度に分離することを可能にする。この選択的な不溶性が、本発明の方法及び試薬により可能となる高分離を構成する。不溶化した所望または特定のタンパク質集団は、それらが不溶である間に従来の液体−固体分離手段を経て水性溶媒から取り出される。不溶状態で単離された所望または特定のタンパク質集団は、水、生理食塩水またはそれらの混合物の単純な添加により、容易に再可溶化することができる。
本発明の別の典型的な特徴においては、タンパク性物質の単離及び濃縮技術に関連する固有の利点を目的とする。例えば、血漿は望ましい成分に加え、薬物製造などに関して全く望ましくない成分を多少含有している。沈殿試薬の適切な調整により、ウイルスの構成要素及び細菌成分などの構成成分、並びに白血球、赤血球、上皮細胞などの細胞構成要素を混合物から選択的に取り出すことができる。この特徴は、微生物により分解または変質しやすい食品の製造はもとより、特に注射剤の調製において明らかに利点を有している。
さらなる典型的な特徴において、血漿などの生体のタンパク性混合物は、通常、プロテアーゼ、プラスミンなどの酵素活性またはタンパク質分解活性を有する成分を含有する。これらの成分は、タンパク質基質を分解する傾向にあるため、保存中に混合物の構成が変わってしまう。本発明は、所望しないタンパク質分解活性を有する前記成分から所望の成分を単離するのに非常に適しており、生体構成要素などの保存に関連する現在の問題を緩和するものである。本発明に従って単離することのできる生体タンパク質集団のタイプとしては、例えば、γ−グロブリン、アルブミン、フィブリノゲン、トランスフェリン、リポタンパク質、α−グロブリン、第VIII因子などが挙げられる。
さらに、本発明の典型的な特徴は、使用に先立ち単純ろ過によって容易に滅菌することができ、且つ、限外ろ過、電気透析、透析などの利用できる簡便な方法により、必要に応じてタンパク質単離物から完全に除去することができる沈殿試薬を提供することにある。加えて、該沈殿試薬は極めて非毒性であり、人体の生化学に適合し、且つ、非経口経路でも容易に吸収することができ、食品の場合のように経口投与であれば確実に吸収することができる。さらに、本発明の沈殿試薬は、容易に入手することができ、且つ安価である。実験装置に関しては、容易に入手することのできるタンパク質単離物の収集促進に適した任意の装置を本発明の方法と共に使用することができる。必要に応じ、手段全体を完全に閉鎖された系において行なうことができる。さらに、本手段は、大規模生産及び自動化に好適である。
さらに典型的な特徴においては、血液型別血清及び多くの他の血清学的手段において凝集活性に主として関与するIgM及びIgA画分などの繊細なタンパク質集団が無傷のまま維持され、従来利用可能な他の単離方法によって生じる変性及び分解を被ることもない。すなわち、血液型抗体が化学的処理、機械力などの環境変化に対して最も不安定であることから、本発明にかかる方法の驚くべき穏やかさが証明される。したがって、本発明の方法の精度、並びに脆弱で非常に不安定な成分に対する該方法の丁重な処理により、治療的に非常に有望であることが示され、且つ、現在のところ既存技術による大量調製ができないプロパージンのような他の望ましい構成要素についても、単離及び濃縮が可能であるとみなすことができる。
本発明の方法に付随する精度及び再現性により、所望のタンパク質集団の典型である精密な画分及び副画分が、連続的且つ有利に何度も調製され得る。さらに、本発明の方法を利用する調製の速度は卓越している。個々の単離物は、一般に沈殿試薬の添加により速やかに形成され、最終的な単離物の精製速度は、通常、単純ろ過及び遠心分離を含む使用する分離方法によってのみ制限される。
すなわち、本発明にかかる方法及び沈殿試薬のもつ特有の特徴及び独自の利点は、高度に濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有する所望または特定のタンパク質集団をタンパク性物質から高収率で単離することに対しても、同様に極めて有効であると認められる。
本方法の様々な新規詳細及びそれをもって使用される沈殿試薬のタイプを含む、本発明の上記及びその他の特徴と利点については、詳細な説明において更に詳しく記載し、実施例及び特許請求の範囲に示す。本発明を具体化したタンパク質の単離方法及び沈殿試薬は、説明の目的のみにおいて実施例に示されるものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。本発明の方針及び特徴は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、多種多様な実施形態において使用することができる。
詳細な説明
本発明についてのより正しい認識を説明及び提供するために、本発明にかかるタンパク質を単離する方法及びそれをもって使用される沈殿試薬、並びにそれらの性質及び特徴に関し、以下に詳細な説明及び実施例を示す。
本発明に従い、特定のタンパク質集団に固有及び/または特有の物理的及び化学的特徴に基づくタンパク性物質から、特定のタンパク質集団を選択的及び連続的に高収率で単離する高分離方法を提供することが目的とされる。本例において、これは、単離される特定のタンパク質集団に対応する多官能性有機酸のアルカリ金属塩を含む沈殿試薬の臨界濃度を規定する工程、タンパク性物質から所望しないタンパク質集団を単離するため、沈殿試薬を臨界濃度付近よりも低い濃度でタンパク性物質に添加する工程、及び、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を実質的に単離するため、沈殿試薬を基本的に臨界濃度でタンパク性物質に添加する工程によって達成される。すなわち、特定の濃度により、所望のタンパク質及び所望しないタンパク質集団の両方を含むタンパク性物質から、沈殿物の形で選択的及び連続的に単離することができる。これは、臨界濃度の沈殿試薬がタンパク性物質に添加される順序をただ逆にするという僅かな変更によっても達成され得る。例えば、沈殿試薬は、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を含む粗タンパク質集団を分離するため、基本的に臨界濃度でタンパク性物質に添加することができ、水性液体中において粗タンパク質集団を収集及び再可溶化し、また、沈殿試薬を臨界濃度付近よりも低い濃度で再可溶化させた粗タンパク質集団に添加して、液中において所望のタンパク質集団を可溶状態で実質的に単離することができる。すなわち、技術を単純に変更することにより、所望のタンパク質集団よりも、むしろ所望しないタンパク質集団が沈殿によって可溶液から連続的に取り除かれ、その場に所望のタンパク質集団が実質的に単離されることとなる。粗タンパク質集団を再可溶化することに関しては、水、生理食塩水またはそれらの混合物などの任意の適当な水性液体において再可溶化させることができる。所望のタンパク質集団の単離にどの技術が選択されるかに関わらず、沈殿試薬はpHを制御及び調整するための緩衝剤を含むことが好ましい。
本明細書において、「臨界濃度」という用語は、タンパク性物質の特定タンパク質集団を常に選択する特定濃度を示す。言い換えれば、本発明の沈殿試薬の特定濃度は、同じタンパク質構成要素を繰り返し含む特定のタンパク質集団に固有の特性である。
好適な実施形態において、本発明の沈殿試薬は、多官能性有機酸のアルカリ金属塩及び緩衝剤を含む。この広範にわたる種類の多官能性有機酸に含められるクエン酸及び酒石酸に由来する化合物が好適に使用され、特にクエン酸に由来する化合物が好ましい。多官能性有機酸に付加するアルカリ金属イオンに関しては、好ましくはリチウム、カリウム及びナトリウムなどの一価の性質のものとすべきである。したがって、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムは好適な化合物であり、特にクエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムが、本発明の沈殿試薬の構築における使用に好ましい化合物である。最も好適な化合物は、クエン酸三カリウム一水和物及びクエン酸三ナトリウム二水和物である。選択された濃度における本発明の沈殿試薬は、タンパク性物質中の特定のタンパク質集団に対して驚くほどに且つ予想外に特徴的である。
上記のように高度に特異的であることに加え、沈殿試薬は単離手段を通じて非常に穏やかである。これらの沈殿試薬が特異的であり、且つ驚くほど穏やかであるため、本発明に従って単離された特定または所望のタンパク質集団は、高度に濃縮され、実質的に純粋であり、且つ実質的に生物活性を有している。「実質的に純粋」という用語については、理論上の特定タンパク質集団の総量の少なくとも約90%、通常は少なくとも約95%がタンパク性物質から単離されることを意味する。「実質的に生物活性を有する」とは、単離、濃縮及び回収される特定のタンパク質集団において、除去される特異的活性の明らかな損失がないということを意味している。言い換えれば、特定のタンパク質集団は、本発明の方法及び試薬を用いて単離される際、一般に、無傷のまま残存し、従来利用可能な単離方法の使用による変性及び分解をほとんど受けず、受けたとしてもごく僅かである。すなわち、本発明は、高度に濃縮され、基本的に純粋であり、また実質的にその生物活性の全てを保持する特定のタンパク質集団を高収率で単離するための新規方法及び沈殿試薬を独自に提供するものである。
本発明の方法に使用する沈殿試薬の処方において、沈殿試薬が例えばクエン酸のアルカリ金属塩に由来する場合、得られる結果を実質的に変えることなく、様々な濃度で該沈殿試薬を調製できることが見出された。しかしながら、処方する試薬中のクエン酸の最終濃度は、該試薬がタンパク性物質に添加される際に、選択したタンパク質集団をタンパク性物質から再現性をもって単離できるような有効量とすることを理解すべきである。この目的に対し、特にタンパク性物質が血漿である場合において、前記効果の達成にクエン酸三カリウム一水和物及びクエン酸三ナトリウム二水和物がとりわけ適していることが見出された。クエン酸三ナトリウム二水和物の飽和溶液を含有する好適な沈殿試薬は、およそ450mg/mlのクエン酸塩であって、クエン酸によりpHをおよそ7に調整されたクエン酸三ナトリウム二水和物の約1.53モル溶液を含むものである。一方で、クエン酸三カリウム一水和物の好適な沈殿試薬は、塩酸でおよそ7に調整されたpHを有するおよそ800mg/mlのクエン酸塩を含む。これに代えて、飽和濃度より低い濃度のクエン酸三カリウム一水和物及びクエン酸三ナトリウム二水和物の溶液を含む沈殿試薬を使用することもできる。さらに、沈殿試薬は、クエン酸三カリウム一水和物またはクエン酸三ナトリウム二水和物のみ、もしくはそれらのあらゆる適当な組合せの濃縮物を含み得る。
本発明の方法の一つに基づき、沈殿試薬を臨界濃度でタンパク性物質に添加すると、沈殿物の状態で特定のタンパク質集団が生じ、例えば、遠心分離、ろ過、またはその組合せ、もしくは当該分野において周知である他の適当な技術によって容易に単離することができる。ろ液は、一般に、沈殿されるタンパク性物質のタンパク質を伴う化学反応が起こらないことを示す付加的なクエン酸緩衝剤を定量的に含有する。画分1のろ液へ二番目に高い(臨界)濃度の沈殿試薬を一定分量添加することにより、第二の沈殿物の形成がもたらされる。そして、画分2のろ液へさらに別の高い(臨界)濃度のものを一定分量添加すれば、別の沈殿の形成が起こり、以下同様にして行なわれる。したがって、特定量の沈殿試薬がタンパク性物質中の特定のタンパク質集団を特徴付けるという独自の特性により、本発明を用いて驚くほど多量の異なるタンパク質画分を選択的且つ連続的に得ることができる。
この点をより明らかにすると、血漿に由来するγ−グロブリンからプレアルブミンまでの全てのタンパク質集団は、血漿の総クエン酸量を約600mg/mlに調整することによって収集することができる。好ましくは、初めに300mg/mlへ調節し、続いて残りを600mg/mlに調整することにより、2つの画分を得ることができる。すなわち、実際は別として、必要であれば、例えば血漿中のクエン酸濃度を0.1mg/mlの増加量で40から600mg/mlまで増加させることにより、6000の血漿タンパク質分離画分を得ることも理論上は可能である。しかしながら、一部のタンパク質構成要素がマイクログラム量でしか存在しない場合、それらが可視的な沈殿物を生じず、検出されないことがある。したがって、この点において、本発明の教示に基づくタンパク質集団の検出は、精密で感度の高い分析ツールの欠如により、考え得る多くの副分画を十分に評価することを制限される可能性がある。すなわち、本発明の高分離方法は、従来達成されなかった濃度、純度及び生物活性程度をもつ所望する無数のタンパク質集団を、タンパク性物質から高収量で調製するための新規方法を提供するという点において極めて独特である。もちろん、もう一つの方法を用いる場合、すなわち、所望のタンパク質集団を再可溶化液中に可溶化された状態で単離する場合、できれば逆浸透、透析などの適当な公知技術によって沈殿試薬を取り除くべきである。
血漿からタンパク質を分画する際には、緩衝化したクエン酸三ナトリウム二水和物の飽和溶液を含有する沈殿試薬を利用することが好ましい。例えば、そのような試薬は、約40から約355mg/mlに至る範囲の血漿クエン酸濃度に相当する血漿に存在するタンパク質集団を理想的に選択することが見出された。現在のところ、血漿クエン酸濃度が約40mg/mlに満たない血漿中には、測定可能な量の血漿タンパク質が検出されていない。しかしながら、約40mg/mlより低い血漿クエン酸濃度の血漿にタンパク質集団が存在しないというわけではない。約355mg/mlを超える血漿クエン酸濃度の血漿中に単離されたタンパク質集団に対して、クエン酸三カリウム濃度が約700mg/mlに及ぶクエン酸三カリウム一水和物の飽和溶液を含む沈殿試薬を付加し、血漿クエン酸濃度を調整する事によって、これらの血漿タンパク質は容易に単離される。クエン酸試薬は、濃度上昇において段階的に添加されることが好ましく、その各々の添加が、それにより形成される沈殿物中に異なるタンパク質集団を生じさせる。本発明の実施に基づいて使用される全ての試薬は、容易に入手することができ、一般に安価であると認められる。さらに、多官能性有機酸のアルカリ金属塩は、それらの方法から産出する化合物が本発明での使用に適している限り、必要に応じてあらゆる公知の方法に基づいて調製することが可能である。
場合によっては、形成される沈殿物が他の望ましくない物質を含有することがある。このような場合、限外ろ過または電気透析などの処理により、前記混入物を除去することを要することがある。
沈殿試薬のpHを制御及び調節する簡便な手段は、緩衝剤の使用によるものである。本発明の沈殿試薬のpHを決定及び調整するために、あらゆる適当な緩衝剤を使用することができる。特に、塩酸及びクエン酸が、一般に、より優れた結果をもたらすことが見出された。もちろん、沈殿試薬のpHは、タンパク性物質及びそこから単離される特定のタンパク質集団に応じて変化し得るものと認められる。実施中、その全工程は一般に約4から約9に及ぶpH範囲で行われ得る。しかしながら、ヒトタンパク質を用いて行なう場合は、単離される特定のタンパク質集団に悪影響を与えることを避けるため、約7から約7.55、好ましくは約7.35から約7.45のpH範囲が用いられるべきである。例えば、これらの範囲からの逸脱は、望ましい生物活性の損失を直接引き起こす第三、第四の構造物の変性をもたらす可能性がある。さらに、極度の酸性またはアルカリ性条件への曝露は、例えば、ジスルフィド結合の加水分解、脱アミノ化などによるタンパク質二次構造の変化すらもたらすことがある。これは、生体に見られるタンパク質構成要素の望ましい特徴をほとんど有していない、基本的に変性し、多くの場合凝集ないし架橋した産物をもたらす。
本発明の方法の実施において、該方法は、例えば、治療および診断の両分野において実用性を有する様々なタンパク性物質から特定のタンパク質集団を大量に単離するように容易に構成することができる。例えば、正常な血漿のプールに対し、総タンパク質内容物は、生理食塩水で約5に調整され、公知技術によって無菌ろ過され、また、約2から約10℃に保持及び処理され得る(このろ過は、沈殿したフィブリン粒子、細菌、赤血球などを除去する)。多量の遊離脂質を含む血漿は、必要に応じ、フロンを用いて脱脂することができる。また一方で、遊離脂質は、実質的に全ての遊離脂質(低温凝集カイロミクロン(cryo-aggregated chylomicra))を保持する0.22ミクロンフィルターを介し、冷却した上澄みに第二のろ過を施すことにより、分画の初期段階で比較的容易に除去することができる。連続フロー遠心分離(カップタイプ)、自動クエン酸分析装置(フローセル、紫外線、自動分析装置、湿式化学系など)は、所望の濃度に達するに十分なクエン酸溶液の自動添加を制御し、系における総量を瞬時に計算するコンピュータトリガーゲートと併用することにより、大量処理が可能となる。全単離フローチャートは、完全に閉鎖された滅菌、無菌系において容易に自動化し、予備形成(プリフォーム)され得る。上記のように、直列接続したユニットのバッテリーは、沈殿物が収集されている遠心カップからの沈殿物の除去のみを要する連続操作において、要望どおりの画分及び副画分の複合的な収集を可能にする。全体の手順は、バッチ処理に先立って、比較的単純な装置を使用してバッチ結果の的確な予測を提供する研究室において分析することができる。(例えば、10の粗い分画が研究室において調製され、所望の構成要素を分析される。同様の正確な濃度のクエン酸が、研究室と同様にバッチ処理において用いられる。)
最初のろ過段階に続いて、単離工程を進めることができる。前記単離工程は、系からフィブリノゲン及びアルブミンを除去するため、初めに約5または6の粗い画分を得ることによって最適に達成され得る。これらの両方、特にアルブミンが、上澄みの全体的なイオン強度に寄与しているため、それら2つの除去により、より予測可能な副分画のパターンがもたらされる。また、それら両方ともが比較的高い濃度であることから、緩衝剤によるイオン強度の調整前に系から除去しておくべきである。さらに、「ろ過」は、除去を行うに際して非常に穏やかな性質のものとするか、または、変性を引き起こすタンパク質のせん断をせめて最小限に抑えるべきであることに留意されたい。この理由から、穏やかな遠心分離は、連続相及び断続相の混合物から沈殿物(または浮遊物)を分離することにおいて好適である。
最後の上澄みは、逆浸透によってろ過され、約1000以上の分子量種を保持し、塩類などの残りを透過することのできる透析または別の大規模なバッチ処理方法により浄化され得る。クエン酸塩を含む沈殿試薬は、必要に応じ、本方法により回収することもできる。混合塩溶液のおよそ100%が、未変化の状態で回収可能であると認められる。
本発明の方法は、体外診断及び体内治療での使用のために血漿から比較的多量のタンパク質画分を調製するだけでなく、例えば、R.I.A.、全血交差適合試験(crossmatching whole blood)、組織タイピング、HIV検査、及びその他抗体スクリーニング手段などの免疫グロブリンレベルの検出に関するあらゆる方法論の感度を大きく高めるために、診断研究所において十分に利用することができる。
本発明にかかる方法及び沈殿試薬の利点は、様々なタンパク性物質から種々の極めて有用なタンパク質集団を単離することに理想的に適合している。タンパク質集団の源として利用することのできるタンパク性物質の典型的なタイプとしては、前述の血液または血漿等、尿、羊膜または胎児または胎盤液、乳、肝臓抽出物、動物糞便、トウモロコシ及び大豆抽出物、並びにその他の適当な天然、合成、または別のタンパク質源などの動物または植物体液及び抽出物が挙げられる。
上記のように、本発明の教示に基づいて単離されたタンパク質集団は、高度に濃縮され、一般に非凝集性であり、実質的に生物活性を有し、実質的に純粋であり、場合によっては静脈注射に適している。本発明に基づいて単離された前記タンパク質集団に推奨される用途には、予防及び治療などの様々な用途における使用が含まれる。例えば、高度免疫血漿製品は、所望の構成要素の最適濃度が生体内で得られるようにするため、静脈注射で使用することができる。さらに、ヒト及び動物の両方に発生する恐れのある細菌、ウイルスなどに対して特異的な免疫血清を調製、濃縮し、静脈内注射を行い、抗ブドウ球菌、抗肝炎、抗緑濃菌などの治療的免疫グロブリンのより予測できるレベルを確立することができ、抗生物質に耐性をもつ病原体株の偏在発生の観点において特に有用である。ウイルス単離に関し、それらはウイルスの特徴解析及び調査、並びに免疫グロブリン調製のための免疫原製造に利用する弱毒化株の作成に利用することができる。同様に、受動的に移植された抗ヒト精子鞭毛抗体(anti-human spermatozoa flagellar antibodies)を、不妊の女性において産出し、単離、濃縮して、妊娠調節の代替法として妊娠可能な女性に注射することができる。またさらに、疾病の治療及び予防に利用される特定タンパク質の副分画を正常な血漿から単離及び濃縮することができる。例えば、腫瘍細胞、骨髄腫、及び白血病におけるRNAの複製を抑制するために、伝達因子、プロパージン及びインターフェロンを収集することができる。同様に、トランスフェリン及びセルロプラスミンを単離し、ヘモクロマトーシス及びウィルソン病の制御にそれぞれ利用することができる。ベータクリオグロブリン(第VIII因子)は、これまで他の方法で要求されていた冷凍工程を有利に除外する本発明の教示によって、無傷の状態で高レベルに収集することができる。さらに、血漿の単一ユニットから、タイピング血清、RhoGam、第VIII因子などを調製することが可能となる。またさらに、該単離方法は、病的な状態にみられるタンパク質、及び、診断目的で状態を変化させたタンパク質を含む天然及びその他由来のタンパク質を単離及び濃縮する手段として、尿及び糞便に適用することができる。また、場合により、ホルモン構成要素などの尿のタンパク質及びペプチドを、そこから治療及び治療用物質を生成する目的で収集及び採取することができる。またさらに、所望の構成要素の濃縮により所定の診断及び調製にかかる医療検査プロトコルの感度が増大されるため、該方法を前記プロトコルの実行において利用することが可能である。これには例えば、組織タイピング;ウイルス単離;輸血前の交差試験;肝炎、HIV、単核症、感冒、HIVなどのウイルス性の病変に関係する抗体レベル低下の検出が挙げられる。酪農製品由来のタンパク性物質に関しては、カゼインを他の乳製品と同様に迅速且つ高純度の状態で取り出すことが可能であり、このことは、今日副産物として知られる乳清を伴わない乳に対しての完全な分離工程をもたらし得る。さらに、酪農製品の発酵工程に由来する副産物液は、微生物酵素などの回収のために分離され得る。しかしながら、上記に提案した用途は、本発明の方法で単離された特定タンパク質集団の潜在的用途の典型であり、このような用途は、例えば、これにより単離される任意のタンパク質集団の適当な検出方法によって制限される可能性が認められる。
本発明の教示に基づいて単離されたタンパク質集団を特定するため、各分画に含まれるアルブミンにより妨げられていないタンパク質の標識としてイソチアシアン酸フルオレッセイン、ローダミンBイソチオシアネートなどを使用することができる。前記アルブミンは、通常、検出器ユニットに高度の背景雑音を引き起こすため、同類の分析技術を悩ませる。標識された各サンプルは、蛍光検出器ユニットを備えた高圧液体クロマトグラフィーを利用して分析することができる。ピークの溶出は、利用可能な適当な方法(I.E.P.A、A.I.P.など)によって実行される各画分の構成要素の特定において行なわれる。
本発明は、勿論、本発明の精神及び本質的な特徴から逸脱することなく、ここに定めるもの以外の特定の手段において実施され得る。したがって、現在の実施形態は、あらゆる点において例示であり、制限的なものではないと考えられる。また、添付された特許請求の範囲の意図および同等の範囲内あるどのような変更もここに含まれる。

Claims (41)

  1. 単離される所望のタンパク質集団に対応する、多官能性有機酸のアルカリ金属塩を含む沈殿試薬の臨界濃度を規定する工程、
    タンパク性物質から所望しないタンパク質集団を単離するために、沈殿試薬を臨界濃度よりも低い濃度でタンパク性物質に添加する工程、及び、
    分画されたタンパク性物質からさらに所望のタンパク質集団を単離するため、沈殿試薬を基本的に臨界濃度で分画されたタンパク性物質に添加する工程、
    を含み、
    前記所望のタンパク質集団が濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有することを特徴とするタンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離する高分離方法。
  2. 所望のタンパク質集団が、動物性タンパク質または植物性タンパク質からなる分類より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 動物性タンパク質が、血液タンパク質、血漿タンパク質、尿タンパク質、乳タンパク質、糞中タンパク質、羊膜または胎盤タンパク質からなる分類より選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. タンパク性物質が、動物体液、動物抽出物、植物体液、または植物抽出物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 動物体液が、血液、血漿、尿、乳、または羊水からなる分類より選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 動物抽出物が、肝臓抽出物または動物糞便からなる分類より選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 所望のタンパク質集団が、ウイルスに由来するウイルス粒子またはタンパク粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 多官能性有機酸が、クエン酸または酒石酸からなる分類より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 多官能性有機酸のアルカリ金属が、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムからなる分類より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 多官能性有機酸のアルカリ金属が、クエン酸三カリウム一水和物またはクエン酸三ナトリウム二水和物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 沈殿試薬が、さらに緩衝剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 緩衝剤が、クエン酸または塩酸からなる分類より選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 沈殿試薬が、クエン酸三ナトリウム二水和物と、pHを調整するために適した量のクエン酸とを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 沈殿試薬が、クエン酸三カリウム一水和物と、pHを調整するために適した量の塩酸とを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 沈殿試薬が、約4から約9のpH範囲で調整されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  16. 所望のタンパク質集団を選択的に単離するに適した濃度の多官能性有機酸のアルカリ金属と、
    前記試薬のpHを調整するための緩衝剤と、を含み、
    それによってタンパク性物質から所望のタンパク質集団が、濃縮され、実質的に純粋であり、且つ生物活性を有する形で選択的に単離されることを特徴とするタンパク性物質から所望のタンパク質集団を選択的に単離するための高分離沈殿試薬。
  17. 前記多官能性有機酸のアルカリ金属が、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、またはそれらの混合物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項16に記載の沈殿試薬。
  18. クエン酸カリウムが、クエン酸三カリウム一水和物であることを特徴とする請求項17に記載の沈殿試薬。
  19. 前記クエン酸三カリウム一水和物が、クエン酸1ml当たり約10から約700ミリグラムの濃度範囲であることを特徴とする請求項18に記載の沈殿試薬。
  20. 前記クエン酸ナトリウムが、クエン酸三ナトリウム二水和物であることを特徴とする請求項17に記載の沈殿試薬。
  21. 前記クエン酸三ナトリウムが、クエン酸1ml当たり約30から約350ミリグラムの濃度範囲であることを特徴とする請求項20に記載の沈殿試薬。
  22. 緩衝剤が、クエン酸または塩酸からなる分類より選択されることを特徴とする請求項16に記載の沈殿試薬。
  23. 前記試薬が、約4から約9のpH範囲を有していることを特徴とする請求項16に記載の沈殿試薬。
  24. 前記緩衝剤が塩酸であることを特徴とする請求項18に記載の沈殿試薬。
  25. 前記緩衝剤がクエン酸であることを特徴とする請求項20に記載の沈殿試薬。
  26. 単離される所望のタンパク質集団に対応する、多官能性有機酸のアルカリ金属を含む沈殿試薬の臨界濃度を規定する工程、
    水性液体中において、タンパク性物質から所望のタンパク質集団を含む粗タンパク質集団を沈殿させるため、沈殿試薬を基本的に臨界濃度でタンパク性物質に添加する工程、及び、
    粗タンパク質集団から所望としないタンパク質集団をさらに沈殿させるために、沈殿試薬を臨界濃度よりも低い濃度で再可溶化させた粗タンパク質集団に添加し、液中において所望のタンパク質集団を可溶状態で実質的に単離する工程、
    を含むことを特徴とするタンパク性物質から所望のタンパク質集団を単離する高分離方法。
  27. 所望のタンパク質集団が、動物性タンパク質または植物性タンパク質からなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 動物性タンパク質が、血液タンパク質、血漿タンパク質、尿タンパク質、糞中タンパク質、または羊膜及び胎盤タンパク質からなる分類より選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. タンパク性物質が、動物体液、動物抽出物、植物体液、または植物抽出物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  30. 動物体液が、血液、血漿、尿、乳、羊水、または胎盤液からなる分類より選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. 動物抽出物が、肝臓抽出物または動物糞便からなる群より選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
  32. 所望のタンパク質集団が、ウイルスに由来するウイルス粒子またはタンパク粒子であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  33. 多官能性有機酸が、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウムからなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  34. 多官能性有機酸のアルカリ金属塩が、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム、またはクエン酸ナトリウムからなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  35. 多官能性有機酸のアルカリ金属塩が、クエン酸三カリウム一水和物またはクエン酸三ナトリウム二水和物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  36. 沈殿試薬が、さらに緩衝剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  37. 緩衝剤が、クエン酸または塩酸からなる分類より選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  38. 沈殿試薬が、約4から約9に調整されたpHを有していることを特徴とする請求項36に記載の方法。
  39. 水性液体が、水、生理食塩水、またはそれらの混合物からなる分類より選択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  40. 沈殿試薬が、クエン酸三ナトリウム二水和物と、pHを調整するために適した量のクエン酸とを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
  41. 沈殿試薬が、クエン酸三カリウム一水和物と、pHを調整するために適した量の塩酸とを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
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