JP2004135665A - ウイルスの分離法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウイルスチャレンジ試験に有用な、実質的に夾雑蛋白質を含有せず、適度に濃縮された各種ウイルス含有液を比較的簡単な操作により調製する方法の提供。
【解決手段】ウイルスを含む液を、ウイルスを通過させ、ウイルスより大なる固体を通過させない一次濾過膜で濾過する工程(一次濾過)、得られた一次濾液をウイルスより小なる固体を通過させる多孔性中空糸からなる二次濾過膜で濾過する工程(二次濾過)、およびウイルスを捕捉した二次濾過膜に対してウイルスを含まない回収液を逆送してウイルスを二次濾過膜から脱離させる工程(ウイルス脱離工程)を実施することにより上記課題を解決した。
【選択図】なし。
Description
本発明は、ウイルス培養液などからウイルスを濃縮、単離する方法に関する。
血液製剤など、ウイルスにより汚染される危険性のある製剤においては、ウイルスの除去、不活性化工程の効果を確認するため、いわゆるウイルスチャレンジ試験と呼ばれる試験が行われる。このウイルスチャレンジ試験は、製造工程をスケールダウンしたウイルス不活化工程の前にウイルスを添加(チャレンジ)し、処理前後のウイルス力価を測定することによりウイルスの除去効果を評価する試験である。
ウイルスチャレンジ試験を行う際に重要なことは、製造工程をスケールダウンした工程が妥当なものであること、およびウイルス除去効果の評価がウイルス培養液由来の成分に影響されないことである。
しかしながら、従来チャレンジ試験用のウイルスは、培養液由来の蛋白を少なからず含んでおり、しばしば判定結果に影響を及ぼすことがあった。一方、蛋白成分を含まない培養液で培養したウイルスは、生育状態が悪く、ウイルスチャレンジ試験に必要な力価を得ることが困難である。
ウイルスが混入またはウイルスを含有している液を平均孔径10〜200nmの多孔性中空膜で捕捉することは既に知られている(たとえば特許文献1)が、この方法は中空糸内に捕捉したウイルスを蛋白分解酵素処理、界面活性剤処理、アルカリ変性処理または加熱処理をしてウイルス蛋白を変性し、ウイルス蛋白とウイルス遺伝子に分解する方法であって、ウイルスをその活性を保持させたまま回収する方法ではない。
特開平8−187086号公報
しかしながら、従来チャレンジ試験用のウイルスは、培養液由来の蛋白を少なからず含んでおり、しばしば判定結果に影響を及ぼすことがあった。一方、蛋白成分を含まない培養液で培養したウイルスは、生育状態が悪く、ウイルスチャレンジ試験に必要な力価を得ることが困難である。
ウイルスが混入またはウイルスを含有している液を平均孔径10〜200nmの多孔性中空膜で捕捉することは既に知られている(たとえば特許文献1)が、この方法は中空糸内に捕捉したウイルスを蛋白分解酵素処理、界面活性剤処理、アルカリ変性処理または加熱処理をしてウイルス蛋白を変性し、ウイルス蛋白とウイルス遺伝子に分解する方法であって、ウイルスをその活性を保持させたまま回収する方法ではない。
このような事情のもと、ウイルスチャレンジ試験に必要な力価を有し、且つスケールダウンの妥当性の評価に影響を及ぼすような夾雑蛋白を実質的に含有しない濃縮ウイルス含有液を調製することは、極めて意義のあることである。本発明は、この課題に対する解決方法を見出すことにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、ウイルス培養液から多孔性中空糸膜を用いて中空糸内に捕捉したウイルスを、中空糸膜の外側にウイルスを回収するための液を満たして適当な圧力をかけると意外にも液が中空糸内に逆流してウイルスが中空糸内壁から離脱し、高度に濃縮されたウイルス含有液が回収されるという知見を得た。すなわち、多孔性中空糸濾過膜は、一般に外径400μm、膜厚30μmの多孔性チューブの束からなっており、濾過後中空糸の外から液を一定の圧力で逆送すれば、中空糸がその液の圧力で押し潰されて液が細孔から流入してくることはないと考えられていただけに、液を逆送することにより、ウイルスが中空糸内壁から脱離して活性を保持したまま回収することが出来るということは、全く予想外のことであった。本発明者らは、この知見を基にさらに研究を重ねて本発明を完成したのである。
即ち本発明は、
(1)
ウイルスを含む液を、ウイルスを通過させ、ウイルスより大なる固体を通過させない一次濾過膜で濾過する工程(一次濾過工程)、得られた一次濾液をウイルスより小なる固体を通過させる多孔性中空糸からなる二次濾過膜で濾過するウイルス捕捉工程(二次濾過工程)、および二次濾過膜に対してウイルスを含まない液を逆送してウイルスを二次濾過膜から脱離させる工程(ウイルス脱離工程)を含んでなるウイルスの分離法、
(2)
ウイルスを含む液が、ウイルス培養液である(1)記載のウイルスの分離法、
(3)
二次濾過膜が再生セルロース製である(1)記載のウイルスの分離法、
(4)
二次濾過膜が10〜100nmの平均孔径、200〜400μmの内径および20〜50μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である(1)記載のウイルスの分離法、
(5)
二次濾過膜が250〜380μmの内径および25〜40μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である(4)記載のウイルスの分離法、
(6)
液を逆送する際の圧力が、0.05〜0.15MPaである(4)または(5)記載のウイルスの分離法、
(7)
ウイルスを含まない液がPBS、生理的食塩水又は蒸留水である(1)記載のウイルスの分離法、および
(8)
二次濾過工程と、ウイルス脱離工程の間に、多孔性中空糸膜にウイルスを含まない液を通過させて洗浄する工程(洗浄工程)を含ませる(1)記載のウイルスの分離方法、
である。
即ち本発明は、
(1)
ウイルスを含む液を、ウイルスを通過させ、ウイルスより大なる固体を通過させない一次濾過膜で濾過する工程(一次濾過工程)、得られた一次濾液をウイルスより小なる固体を通過させる多孔性中空糸からなる二次濾過膜で濾過するウイルス捕捉工程(二次濾過工程)、および二次濾過膜に対してウイルスを含まない液を逆送してウイルスを二次濾過膜から脱離させる工程(ウイルス脱離工程)を含んでなるウイルスの分離法、
(2)
ウイルスを含む液が、ウイルス培養液である(1)記載のウイルスの分離法、
(3)
二次濾過膜が再生セルロース製である(1)記載のウイルスの分離法、
(4)
二次濾過膜が10〜100nmの平均孔径、200〜400μmの内径および20〜50μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である(1)記載のウイルスの分離法、
(5)
二次濾過膜が250〜380μmの内径および25〜40μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である(4)記載のウイルスの分離法、
(6)
液を逆送する際の圧力が、0.05〜0.15MPaである(4)または(5)記載のウイルスの分離法、
(7)
ウイルスを含まない液がPBS、生理的食塩水又は蒸留水である(1)記載のウイルスの分離法、および
(8)
二次濾過工程と、ウイルス脱離工程の間に、多孔性中空糸膜にウイルスを含まない液を通過させて洗浄する工程(洗浄工程)を含ませる(1)記載のウイルスの分離方法、
である。
本発明によれば、比較的簡単な操作で実質的に夾雑蛋白質を含まず、且つ任意の濃度の、特に元の濃度の10倍以上に濃縮されたウイルス含有液を得ることができる。得られた実質的に夾雑蛋白質を含有しないウイルス含有液は、ウイルスチャレンジ試験に必要な力価を有し、且つスケールダウンの妥当性を評価に悪影響を与えることがないので、極めて利用価値の高いものである。
本発明におけるウイルスを含む液としては、たとえばウイルスの培養液、その希釈液または濃縮液、ウイルス含有蛋白質液、ウイルス感染患者より得た血漿由来蛋白質液などが挙げられるが、通常はウイルス培養液である。
ウイルスの種類は特に限定されるものではないが、たとえば次の表1に掲げるものがあげられる。
ウイルスの種類は特に限定されるものではないが、たとえば次の表1に掲げるものがあげられる。
一次濾過膜は、ウイルスは通過させるが、ウイルスより大なる固体は通過させない平均孔径を有する濾過膜である。濾過膜の平均細孔径は、含まれるウイルスの大きさ次第であるが、通常0.07〜0.45μmのものが用いられる。この膜を用いて濾過することにより、ウイルスより大なる宿主細胞やその断片、その他の夾雑物が除去される。この一次濾過膜の材質たとえばセルロースアセテート、PVDF、ナイロンなどであるが特に限定されるものではない。
二次濾過膜はウイルスを通過させず、ウイルスより小なる固体や液体を通過させる多孔性中空糸である。材質はセルロース系、特に銅アンモニア法再生セルロース系のものが好ましい。平均細孔径は、通常10〜100nm、好ましくは15〜35nmである。中空糸の内径は、200〜400μm、好ましくは250〜380μm、膜厚は、20〜50μm、好ましくは25〜40μm、濾過面積は、0.001〜1.0m2,好ましくは0.001〜0.01m2である。二次濾過および洗浄の際の圧力は通常0.05から0.15MPa、好ましくは0.06〜0.1MPa程度である。
洗浄工程に用いる液およびウイルス脱離工程における逆送液は実質的にウイルスを含まず、好ましくは更に夾雑蛋白を含まない液で、ウイルスチャレンジ試験に影響しないものが好ましく、たとえば生理的食塩水、蒸留水(DW)、リン酸緩衝液(PBS)等があげられる。洗浄工程の液量は特に規定はないが、ウイルスを含む液に夾雑物が多く含まれる場合は何度かに分けて負荷した液の2〜3倍の液量で実施することが好ましい。逆送液の液量は濃縮ウイルス液を得たい場合は負荷したウイルス含有液量の1/20〜1/2、好ましくは1/15〜1/5程度であるが、単に蛋白を含有しないウイルス液を得たい場合は元と同量またはそれ以上を用いてもよい。逆送の際の圧力は、順送の場合とほぼ同程度の圧力でよく、通常0.05から0.15MPa、好ましくは0.06〜0.1MPa程度である。
次に本発明の一連の工程を順序に従って具体的に説明する。
まず、宿主細胞、栄養源を含んだ培地でウイルスを培養して、ウイルス培養液を得る。
得られたウイルス含有溶液を、たとえば所定の細孔径を有するフィルターを備えたボトルトップフィルターで濾過し、ウイルスより大なる夾雑物を除去する。
まず、宿主細胞、栄養源を含んだ培地でウイルスを培養して、ウイルス培養液を得る。
得られたウイルス含有溶液を、たとえば所定の細孔径を有するフィルターを備えたボトルトップフィルターで濾過し、ウイルスより大なる夾雑物を除去する。
一次濾液を、二次濾過膜(中空糸膜)に連結した容器に入れ、加圧下に濾過を行って、ウイルスを二次濾過膜に捕捉する。次に、洗浄に用いる液を容器内に入れ、加圧下に濾過して、二次濾過膜上に捕捉されたウイルスを洗浄する。
次いで、一次ウイルス負荷液の1/20〜1/2程度、特に好ましくは1/15〜1/5程度の液、たとえばPBSやDWを、二次濾過膜の外側から内側へ(すなわち二次側から一次側へ)加圧下に逆送すると、二次濾過膜に捕捉されていたウイルスが中空糸内壁から離脱し、中空糸内を逆流して、用意した容器内に回収される。
このようにして得られたウイルス含有液は、実質的に夾雑蛋白質を含まず、ウイルス濃度は培養液中の濃度の10倍程度にまで濃縮されている。
得られた濃縮ウイルス液は、凍結乾燥、凍結保存、冷蔵保存すれば長期に亘って保存が可能であり、随時ウイルスチャレンジ試験に用いることができる。
得られた濃縮ウイルス液は、凍結乾燥、凍結保存、冷蔵保存すれば長期に亘って保存が可能であり、随時ウイルスチャレンジ試験に用いることができる。
ウシ下痢症ウイルス(BVDV)の濃縮
ウシ精巣細胞(BT細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清(FBS)中でBVDVの培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した(一次濾過)。その濾液から、処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、銅アンモニア法再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約35nm、膜厚35μm、濾過面積:0.01m2、プラノバ(登録商標)35N)を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い、240mLの濾液を得、それをサンプルとした(一次濾液)。
次に、100mLのリン酸緩衝液(PBS)をタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次に、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ35N(登録商標)の二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけながら液を逆送させて、中空糸内に捕捉されていたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは一次濾過処理を行ったウイルス液の1/10量である24mLであった(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
ウシ精巣細胞(BT細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清(FBS)中でBVDVの培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した(一次濾過)。その濾液から、処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、銅アンモニア法再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約35nm、膜厚35μm、濾過面積:0.01m2、プラノバ(登録商標)35N)を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い、240mLの濾液を得、それをサンプルとした(一次濾液)。
次に、100mLのリン酸緩衝液(PBS)をタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次に、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ35N(登録商標)の二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけながら液を逆送させて、中空糸内に捕捉されていたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは一次濾過処理を行ったウイルス液の1/10量である24mLであった(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
ブタパルボウイルス(PPV)の濃縮
ブタ胎児腎臓細胞(ESK細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清液(FBS)中でPPV培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した。その濾液から処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約15nm、膜厚35μm、プラノバ(登録商標)15N)を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い116mLの濾液(一次濾液)を得、これをサンプルとした。
次に、100mLのPBSをタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて二次濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次に、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ(登録商標)15Nの二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけて液を逆送することにより中空糸内に捕捉されたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは、一次濾過処理を行ったウイルス液の約1/10量である12mLで行った(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
ブタ胎児腎臓細胞(ESK細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清液(FBS)中でPPV培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した。その濾液から処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約15nm、膜厚35μm、プラノバ(登録商標)15N)を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い116mLの濾液(一次濾液)を得、これをサンプルとした。
次に、100mLのPBSをタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて二次濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次に、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ(登録商標)15Nの二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけて液を逆送することにより中空糸内に捕捉されたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは、一次濾過処理を行ったウイルス液の約1/10量である12mLで行った(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
ブタパルボウイルス(PPV)の濃縮
ブタ胎児腎臓細胞(ESK細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清液(FBS)中でPPVの培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した。その濾液から処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約20nm、膜厚35μm、プラノバ(登録商標)20N(濾過面積:0.01m2))を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い308mLの濾液(一次濾液)を得、サンプリングを行った。
次に、100mLのPBSをタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次いで、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ(登録商標)15Nの二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけることにより、プラノバ(登録商標)35N内に捕捉されたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは、一次濾過処理を行ったウイルス液の1/10量である30mLで行った(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
ブタ胎児腎臓細胞(ESK細胞)を宿主細胞とし、10重量%のウシ胎児血清液(FBS)中でPPVの培養を行った。得られた培養液を孔径0.22μmのセルロースアセテートのボトルトップフィルターにて濾過し、培養液中の夾雑物を除去した。その濾液から処理前の試料をサンプリングした(処理前液)。
濾液を、再生セルロース製の中空糸膜(中空糸の外径:400μm、平均孔径約20nm、膜厚35μm、プラノバ(登録商標)20N(濾過面積:0.01m2))を連結したタンクに入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行い308mLの濾液(一次濾液)を得、サンプリングを行った。
次に、100mLのPBSをタンク内に入れ、約0.08MPaの圧力にて濾過を行うことで、中空糸膜内に捕捉されたウイルスを洗浄した。
次いで、予め用意した別のタンクにPBSを約50mL入れ、プラノバ(登録商標)15Nの二次側から一次側へと約0.08MPaの圧力をかけることにより、プラノバ(登録商標)35N内に捕捉されたウイルスを回収した。回収に使用したPBSは、一次濾過処理を行ったウイルス液の1/10量である30mLで行った(回収濾液)。
以上の操作を3回繰り返し、得られた処理前液、一次濾液および回収濾液につき、ウイルス力価を測定し、濃縮効果を評価した。
実質的にタンパク質を含まないウイルス含有液の調製
栄養源(10%FBS)とそれぞれの宿主細胞を含む培地でウイルスを培養した培養液を、逆送液として蒸留水を用いて実施例1と同様の操作により、それぞれ夾雑蛋白質を含まないウイルス含有液を得た。ウイルスの種類、二次濾過膜とウイルス力価を〔表5〕に掲げる。
栄養源(10%FBS)とそれぞれの宿主細胞を含む培地でウイルスを培養した培養液を、逆送液として蒸留水を用いて実施例1と同様の操作により、それぞれ夾雑蛋白質を含まないウイルス含有液を得た。ウイルスの種類、二次濾過膜とウイルス力価を〔表5〕に掲げる。
血液製剤など、ウイルスにより汚染される危険性のある製剤においては、ウイルスの除去、不活性化工程の効果を確認するため、いわゆるウイルスチャレンジ試験と呼ばれる試験が行われる。このウイルスチャレンジ試験は、製造工程をスケールダウンしたウイルス不活化工程の前にウイルスを添加(チャレンジ)し、処理前後のウイルス力価を測定することによりウイルスの除去効果を評価する試験である。本発明によれば、このウイルスチャレンジ試験に用いる高純度のウイルス含有液を簡単な操作により得ることができる。
Claims (8)
- ウイルスを含む液を、ウイルスを通過させ、ウイルスより大なる固体を通過させない一次濾過膜で濾過する工程(一次濾過工程)、得られた一次濾液をウイルスより小なる固体を通過させる多孔性中空糸からなる二次濾過膜で濾過するウイルス捕捉工程(二次濾過工程)、および二次濾過膜に対してウイルスを含まない液を逆送してウイルスを二次濾過膜から脱離させる工程(ウイルス脱離工程)を含んでなるウイルスの分離法。
- ウイルスを含む液が、ウイルス培養液である請求項1記載のウイルスの分離法。
- 二次濾過膜が再生セルロース製である請求項1記載のウイルスの分離法。
- 二次濾過膜が10〜100nmの平均孔径、200〜400μmの内径および20〜50μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である請求項1記載のウイルスの分離法。
- 二次濾過膜が250〜380μmの内径および25〜40μmの膜厚を有する多孔性中空糸膜である請求項4記載のウイルスの分離法。
- ウイルスを含まない液を逆送する際の圧力が、0.05〜0.15MPaである請求項4または5記載のウイルスの分離法。
- ウイルスを含まない液がPBS、生理的食塩水又は蒸留水である請求項1記載のウイルスの分離法。
- 二次濾過工程と、ウイルス脱離工程の間に、多孔性中空糸膜にウイルスを含まない液を通過させて洗浄する工程(洗浄工程)を含ませる請求項1記載のウイルスの分離方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012503489A (ja) * | 2008-09-24 | 2012-02-09 | メディミューン,エルエルシー | ウイルスの精製方法 |
WO2012144554A1 (ja) * | 2011-04-20 | 2012-10-26 | Dic株式会社 | ウイルス濃度の評価方法及び評価キット |
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US8785173B2 (en) | 2008-09-24 | 2014-07-22 | Medimmune, Llc | Methods for purification of viruses |
WO2012144554A1 (ja) * | 2011-04-20 | 2012-10-26 | Dic株式会社 | ウイルス濃度の評価方法及び評価キット |
JPWO2012144554A1 (ja) * | 2011-04-20 | 2014-07-28 | Dic株式会社 | ウイルス濃度の評価方法及び評価キット |
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