JP4740933B2 - ガラスをコーティングする方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスをコーティングする方法に関し、特に、先駆物質として塩化スズ(IV)を使用する酸化スズを用いたガラスをコーティングする方法に関する。
ガラスをコーティングすることは以前より知られていた。例えば、ガラスにシリコンをコーティングして、ガラスの可視の放射、反射、および伝導特性を変えた。
最近では、ガラスの光学特性を変えるために、ガラスにコーティングするグレイジング、特に、低放射率あるいは低Eガラスとして一般に知られるエネルギー効率の良いグレイジングに対する要求が高まった。このようなガラスは主に建築用を目的とするものである。これらのガラスの要求特性は、可能な限り多くの可視光を通すように光の伝導が高いことであり、同様に、ガラスを通過するこのような放射の熱効率が高いように、近赤外線の伝導が高いことであり、例えば、ビルディング中のヒトからグレイジングを通過した黒体放射が減少するように遠赤外線の反射が高いことである。このようなガラスのコーティング材料としては銀が使用された。
ガラスに銀をコーティングするには、スパッタリング法を用いることができる。しかし、この方法には、多くの欠点がある。第1に、銀の場合は、典型的に、いずれかの面に中間コーティングを施す必要がある。形成したコーティングは比較的軟らかく、従って、容易に傷がつく。しかし、最大の欠点は、この方法は、一般に、減圧下で行う必要があり、これは、不可能ではないとしても、オンラインでコーティングすることが困難であることを意味することである。
これらの問題を解決するためには、より適当なコーティング材料を探すことである。これに関しては、酸化スズ(SnO2 )が、ある点において、銀の欠点を改良することを見いだした。しかし、これは、スパッタリングした銀コーティングを形成することに関連した欠点を除去するかあるいは少なくとも最小限度にするけれども、さらに別の問題を生じる。酸化スズのコーティングを形成することに関連した主な問題は、高い光学特性を有するコーティングを形成することである。一般に、コーティングは、化学蒸着として知られる方法によりなされる。このような方法では、適当なスズ化合物と酸化剤が、高温で、コーティングされるべきガラスと接触する。多くのスズ化合物、例えばニ塩化ジメチルスズ、を試した。使用した酸化剤は酸素それ自体であった。使用した高温では、反応体はほとんど即座に反応する。さらに、ニ塩化ジメチルスズは有毒である。
また、四塩化スズ(SnCl4 )と水を使用した。しかし、これらの化合物は、互いに接触して反応する。従って、酸化スズをむしろガラス上にコーティングとして確実に堆積させることは困難である。英国特許明細書第2026454Bには、コーティングに影響する一般的なファクターを詳細に説明している。先の明細書には、ガラス表面を、四塩化スズを含有する気体の媒体と高温で接触させることにより、上記問題を明らかに克服する方法を開示している。四塩化スズは、化学反応および/または分解して、酸化スズコーティングを形成する。ここで、気体の媒体は、少なくとも2.5×10- 3 大気圧の分圧に相当する濃度で四塩化スズを、そして、少なくとも10×10- 3 大気圧の分圧に相当する濃度で水蒸気を含む。気体の媒体の温度は少なくとも300℃、ガラスの温度は少なくとも550℃であることが必要である。上記に明確にした最小限度の分圧は臨界であると述べている。
このような先の明細書には、四塩化スズと水蒸気が別々の気体流れでコーティングゾーンに供給される場合が好ましいと述べてある。そうすることにより、蒸気供給通路の内側に固体堆積物が形成される、スズの塩と水蒸気との早期の反応を回避できる。事実、このような堆積物は、四塩化スズを使用して酸化スズのコーティングを形成する試みにおける主な問題である。堆積物は通路を制限するだけでなく、明らかに、ガラス上に堆積しない。酸化スズがガラスあるいはコーティング装置に堆積しない場合は、系から排出される。さらに、四塩化スズと水蒸気がガラスの表面でのみ出会う別々の気体流れで供給される場合は、このような表面に沿う気体流れは乱流となる。これでは、コーティングが非能率的となる。従って、環境問題は、粉末を扱うことにおいて生ずる。加うるに、この方法は、使用される四塩化スズの量に関して、明らかに非能率的となる。
手短に、このような先の特許は、四塩化スズと水を一緒の流れで導入する可能性を熟考している。しかし、要求される高温における、これを行うあらゆる試みも、四塩化スズと水がほとんど全体的な予備反応をすることになり、前記のとおりの問題に至る。従って、このような先の方法の好ましい観点は、第1のダクトを通る窒素流れ中に伴われた四塩化スズと、第2ダクトを通る水蒸気と空気を含有する気体混合物を供給することである。開示された特別の系においては、実質的に乱流がないと述べている。しばしば、ツインスロット系と呼ばれる、このような2つのダクトの系も、問題を生ずる。
第1に、酸化スズのコーティングを形成するために、四塩化スズが水と反応し、ガラス上に形成されるコーティングが均一であることが必要である。明らかに、反応が実質的に本来の位置で、換言すると、コーティングされるべきガラスの領域で行われる場合は、反応がガラスの全表面にわたって均一に行われるならば、均一のコーティングのみが形成されるであろう。2つのスロット系を使用するとにより、極端に困難なこのことを達成できる。このように、例えば、流れが乱流でない場合、問題は、コーティングが非均一に至る反応体の混合において生じる。
従って、明らかに、四塩化スズと水のような比較的安価な材料を使用して、反応体の間で実質的に予備反応することなく、予備混合して、ガラス上に酸化スズの均一なコーティングを形成する方法を提供することが非常に望まれる。これは、本発明が目的とすることである。また、本発明は、予備混合される試薬がガラスに実質的に層流で供給される方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点から、以下の方法を提供する。
すなわち、四塩化スズと水とを反応させて、基板のガラス上にコーティングを形成する酸化スズを生成することを含んでなる化学蒸着により、動いている平らなガラス基板上に酸化スズのコーティングを形成する方法において、四塩化スズと水とを窒素で希釈した別々の流れで供給した後、100℃〜240℃の範囲内の温度で該四塩化スズの流れと水の流れを混合して単一の流れを形成し、前記単一の流れを層流で前記基板に指向させ、四塩化スズと水とのみを、前記基板の領域において互いに反応させて、ガラス上にコーティングを形成することを特徴とする方法である。
驚くべきことに、予備混合がこの温度範囲内で行われる場合、2成分の予備反応はほとんど起こらないことがわかった。温度範囲の上限より高温では、Sn(OH)x Cly の堆積物が形成される。これは、四塩化スズがゆっくり加水分解されるためである。温度範囲の下限より低温では、四塩化スズ五水和物(SnCl4 ・5H2 O)が析出する。
好ましくは、予備混合は140℃〜200℃の範囲内の温度で行われ、最も好ましくはほぼ180℃においてである。ガラス上に形成されたコーティングの特定および成長速度が、ダブルスロット法を使用して得られるものに匹敵すると判断されるのはこの範囲内である。しかし、ダブルスロット法に関係した問題は、除去されるかあるいは少なくとも最小限度に抑えられる。
本発明の望ましい態様では、塩化水素を、付加的に、予備混合気体中に混ぜる。この混合により、四塩化スズと水との予備反応の可能性をさらに最小限度に抑えられることがわかった。選択的には、所定のいかなる温度およびモル比においても、塩化水素を使用することにより、基本的な四塩化スズ−水混合物と比べて、予備反応の量が減少することが明らかであろう。従って、本発明の第2の観点から、以下の方法を提供する。
すなわち、四塩化スズと水とを反応させて、ガラス上にコーティングを形成する酸化スズを生成することを含んでなる化学蒸着により、動いている平らなガラス基板上に酸化スズのコーティングを形成する方法において、四塩化スズ、水、および塩化水素の窒素で希釈した気体流れを別々に供給した後、該四塩化スズ、水、および塩化水素の流れを混合して単一の流れを形成し、該単一の流れを前記基板に指向させ、これにより、四塩化スズと水とのみを、前記基板の表面の領域において互いに反応させることを特徴とする方法であり、四塩化スズ、水、および塩化水素の窒素で希釈した気体流れを予備混合して、単一の気体流れを形成し、前記単一の気体流れを前記基板に衝突させ、ここにおいて、四塩化スズと水が基板の表面領域で互いに反応して、ガラス上に酸化スズのコーティングを形成することを特徴とする方法である。好ましくは、前記予備混合は450℃以下の温度で行う。有利には、単一の気体流れは、基板に、層流で、衝突する。
このことに対する説明の一部は、このような予備反応が酸化スズと塩化水素の形成をもたらすことである。反応生成物のうちの1つを添加することにより、反応の平衡は乱れ、酸化スズとより多くの塩化水素を生成することに逆らって作用する傾向がある。実際には、このことは、優位にある正反応が遅いことを意味する。知る限りにおいては、窒素および/または塩化水素を使用することは、おそらく、コーティングの成長速度あるいは質に悪影響を及ぼすことはない。このような場合には、好ましくは、塩化水素:四塩化スズのモル比は少なくとも1:1、有利には、3:1〜5:1である。
四塩化スズと水は、水の濃度が増加するに伴って、予備反応をより起こす傾向がある。従って、四塩化スズ:水のモル比は1:30以上が好ましい。特には、本発明の有利な態様は、モル比が1:10以上であることである。最も好ましい範囲は、1:3〜1:7である。おそらく、充分な水蒸気が自然に大気中に存在し、反応は、ゆっくりではあるが、ガラスの温度で起こる。他方、四塩化スズと水との望ましくない予備反応は、水の割合が増加するのに伴って、より容易に起こる。従って、最適の要求は、コーターヘッドのような望ましくない領域に酸化スズを形成したり、堆積したりするに至る予備反応を回避すると同時に、コーティングの急速な成長および四塩化スズの使用を達成するために、水の割合が充分であることである。
25℃〜700℃のように、広い温度範囲にわたる四塩化スズと水との反応は、完全には、直接には進行しない。低温では、化学式SnCl4 ・nH2 Oの付加物を生じる。より高温では、四塩化スズが水により加水分解され、部分的に加水分解されたスズ生成物を、最終的には、特に高温においては、酸化スズを形成する。上記のとおり、本発明の温度範囲においては、これらの反応はおこらず、起こった場合でも、反応の量は最小限度であることがわかった。
四塩化スズと水のモル比は、予備混合が行われる温度の影響を受ける。試験では、予備混合の温度が、最適の温度より高い場合は、予備混合された成分の反応が注目すべき程に増加する。また、最適の温度より低い場合にも、類似の結果が得られるが、その結果は顕著ではない。
同様に、予備混合気体が通る通路の長さが重要であることがわかった。最適な通路の長さは、ガラス表面に沿って、予備混合した気体が層流となるのにつりあう程に可能な限り短いことである。にもかかわらず、本発明の予備混合は、通路の長さが、悪影響なく、センチメートルの10の位とすることができる。しかし、より長い滞留時間、すなわち、より長い通路長に対する混合気体流れの許容量は、最適温度および最適モル比からの差に伴って減少する。
好ましくは、気体は、希釈剤と混合される予備混合ステージにそれぞれ供給される。有利には、希釈剤は、実質的には、窒素のような不活性気体である。そのようにすることにより、四塩化スズと水の予備反応を更に最小限度にすることができることがわかる。
ガラスに酸化スズのコーティングを施す場合、四塩化スズ−水系にドーパントを添加して、コーティングの伝導性を増加させることは慣習的なことである。これに関して、フッ化水素やトリフルオロ酢酸のようなフッ素を含有するドーパントは、良く知られており、また、このような化合物は、本発明の方法において使用できる。さらに、メタノール、エタノール、およびこれらの混合物のような低級アルコールを系に含めるこができることがわかった。
所望ならば、予備混合された気体流れの衝突領域の下流で、ガラス基板に衝突する第2の気体流れ中に、付加的な水蒸気を供給できる。付加的な水蒸気は、少なくとも1つのドーパントを含有し得る。このような場合の、好ましいドーパントは、フッ化水素である。
図面を参照する。図中、1はコーターヘッドを示す。コーターヘッド1は、第1のチャンバー2を有する。チャンバー2は、四塩化スズと水とのミキシングチャンバーとして作用する。チャンバー2は、コーティングされるべきガラスの全幅にわたって拡がっており、油冷ジャケット3に囲まれている。四塩化スズと水蒸気とは、チャンバー2に、図2に示されるように、ブロック6中にそれぞれ形成された別々の導管4、5を通って供給される。
混合された気体はチャンバー2の基部に形成された出口7を通って、チャンバー2から出て、いわゆるワッフルパック8を通る。ワッフルパック8は、互いに隣接して配置され、垂直に延びる、波形をつけた複数のプレート9からなる。ワッフルパック8は、混合気体が下方に通過する垂直な複数の導管を画成する。これにより、ワッフルパック8上の気体混合物の圧力が増加し、第2チャンバー11への入口10の幅にわたって均一に混合物を分配する。第2チャンバー11は、上流トウ12、中央部分13、および下流トウ14を形成する炭素の形物から形成される。トウ12と中央部分13とで、スロット15を画成し、入口10に入った気体混合物は、スロット15を強制的に通過させられる。トウ12の基部は、動くガラスシート16上に約1ミリメートルの狭い間隔で配置される。
この点で、注目すべきは、既知のツー(two)スロットコーターでは、気体成分は、これがガラス上ミリメートルの順位にくるまで、互いに別々に保たれることである。基本的に、ツースロットコーターでは、混合物の一方の成分はスロット15に似たスロットから供給され、他方の成分はスロット15に似た下流の第2スロットから供給されることとなる。従って、本質的に、第1の成分は、他方の成分に結合する前に、スロットによって、ガラスの領域に到達する。このことは、ほとんど必然的に、2つの気体流れが出会う場所で、乱流を生じることになる。
しかし、本発明では、2つの気体流れは、ガラスの上面上に、ミリメートルの1の位ではなくセンチメートルの10の位で測定される間隔で配置された第1のチャンバー2中で混合される。従って、混合された気体流れは、実質的に層流でガラス上に導かれる。
気体の混合物がスロット15の出口17から流れ出るとき、周囲の温度は動いているガラスシート16の温度に近くなっていることが理解されるであろう。温度の上昇により、四塩化スズは水と反応を起こし、得られた酸化スズはガラス16上にコーティングを形成する。
必然的に、予備混合された材料の全てが、ガラス上にコーティングを形成するわけではない。前記のとおり、未反応の反応体と形成された中間体とがあるであろう。従って、中央部分13と下流トウ14との間に、出口スロット18を画成する。気体の生成物はスロット18を昇って排気チャンバー19に至る。この後者は水冷ジャケット20に囲まれている。チャンバー19中で冷却された後、気体は、図示しない排気系に通される。さらに、チャンバー19は、コーティングされるガラスの全幅にわたって拡がっている。
以下に、本発明を実施例を用いて説明する。
実施例A
この例では、ガラスシートの残りの部分に影響することなく、フロートガラスの狭い幅をコーティングできるように、フロートバスに取り付けたコーターを使用した。ガラスのリボン速度は約370m/hrであり、厚さは1.2mmであった。ガラス温度は、約630℃であった。第1のチャンバーの温度は、150℃に維持された。四塩化スズと水蒸気とを、噴水装置で80℃に維持した液体を介して泡立った窒素により送った。これにより、加熱された別々の導管4、5をそれぞれ通って第1のチャンバー2に至った。
使用した流量は、四塩化スズが6g/min、水が1.5g/minで、1:3.5=SnCl4 :H2 Oのモル比であった。試験は、2時間30分の期間、必要量を抽出するのにほんの少しの調整をして行った。厚さ500Åのコーティングを得た。コーターヘッドを取り外す際、油冷した表面と結合した導管には、堆積物が全くないことがわかった。これにより、ガラス上に酸化スズのコーティングを形成するために使用した四塩化スズと水は、予備反応することなく、互いに予備混合できたことがわかった。
実施例B〜D
これら3つの実施例では、コーティング幅を増加したことを除いて、実施例Aの変形を行った。3つの実施例全てにおいて、水:四塩化スズのモル比は約5:1であった。圧力ポット系からの、測定された量の四塩化スズと水は、別々に蒸発され、続く気体の温度は所望の温度まで昇温した。実施例2を除いて、この後者のステージは,高温で乾燥した窒素の流れ中で行った。実験条件と得られた結果の要約を以下の表1に示す。しかし、要するに、実験条件は、以下のとおりであった:
実施例B:150℃の系の温度で予備混合した反応体
実施例C:180℃の系の温度で予備混合した乾燥窒素の希釈剤中の反応体
実施例D:無水の塩化水素を添加したことを除いて実施例Cと同様。
実施例Bは幾分不成功であることがわかった。分配系は極めて短時間のうちに、低融点(80℃〜90℃)の潮解性の固体により閉鎖された。この固体は、四塩化スズの水和物と多分オキシ塩化物の混合物であると思われる。堆積した少量のコーティングを1000Å〜6000Åの厚さで変え、最も厚い部分で40Ω/□のシート抵抗を有した。
実施例Cは、より良好であった。コーティングの外観から、系が閉鎖されてきたことがあきらかになったとき、コーティング操作を3時間で終了した。次の調査により、粉末の堆積物がワッフルパック内と頂部の両方に形成されたことが明らかになった。分析によると、これらの堆積物は、主に、量を測定できる塩素を有する非晶質酸化スズであることがわかった。試験の進行に伴って、形成されたコーティングは、厚さと幅の両方において次第に減少してきた。得られたコーティングの平均厚さは、2000Å〜2500Åの範囲にあり、これは、四塩化スズの利用率に関して、約40〜50%の効率であった。分析によると、酸化スズのコーティングは亜化学量論的であり、あるオキシ塩化スズ(SnOCl)を含有することがわかった。シート抵抗は350〜500Ω/□の範囲であった。
実施例Dは、系に無水塩化水素を添加することを除いて、実施例Cに非常に類似していた。試験は5時間で停止した。コーティング装置の次の実施例は、事実上予備反応が起こらないことが明らかであった。堆積物は装置の分配側になく、第2チャンバーの表面に酸化物ダストの表面フィルムがあるのみであった。このような試験の間、塩化水素/四塩化スズのモル比を、3:1から1:1に減少した。後者は予備反応をまだ阻害し、同時に、ガラスの不透明さを改良することがわかった。形成したコーティングは試験の期間にわたって一定であり、その厚さは一般に平均4000Å〜5200Åであった。このことから、コーティング効率は、30%〜40%であった。さらに、形成されたコーティングは、亜化学量論的であり、塩素の不純物があった。シート抵抗は1200Ω/□より大きく一定であった。
Figure 0004740933
上記のことから、最小限度の予備反応で、四塩化スズと水とを首尾よく予備混合するという長い間望んでいた目的を達成できたことが、当業者には理解できるであろう。上記の実施例、特に、実施例A、C、およびDから、四塩化スズと水との予備混合が簡単にでき、このような予備混合および次のコーティングが、希釈剤としての窒素および/または反応阻害剤としての塩化水素を使用することにより改良されることが明らかである。
また、当業者には、上記実施例から、関係した特別の条件で良好な結果が得られることが理解できるであろう。このように、例えば、実施例から、ガラス上に直接にコーティングを堆積することがわかる。このことは、実際には本当ではないだろうと直ぐに判断されるであろう。というのは、ガラスは、通常は、アンダーコートを形成されるからである。また、実施例は、理想的な条件以下で、行われたことがわかるであろう。
以下の実施例によっても、本発明を説明するが、これを制限するものではなく、種々の異なる反応体およびその割合を示す。
SnCl 4 /H 2 Oのみ
基板温度が585℃、分配ライン温度が180℃で、静止した基板に予備成形した。
Figure 0004740933
SnCl 4 /H 2 O/HCl(溶液中)
基板温度が585℃、分配ライン温度が225℃で、静止した基板に予備成形した。
Figure 0004740933
SnCl 4 /H 2 O/HCl(無水)/TFAA(トリフルオロ酢酸)
ガラス温度が630℃(フロートバス中)以下、ライン速度が266m/hr、および分配ライン温度が180〜190℃で、2つのフローヘッドを有するエッジコーターを使用してオンラインで予備成形した。ナトリウムをブロックする層として作用するために、シリカコーティングをガラス上に堆積し、その後、酸化スズのコーティングを堆積した。
Figure 0004740933
SnCl 4 2 O/TFAA
実施例6〜20に対すると同様の条件
Figure 0004740933
さらに別の実施例を、180℃および260℃で行った。この詳細は以下のとおりである。
Figure 0004740933
Figure 0004740933
本発明によると、四塩化スズと水のような比較的安価な材料を使用して、反応体の間で実質的に予備反応することなく、予備混合して、ガラス上に酸化スズの均一なコーティングを形成する方法を提供することができる。
図1は、本発明の方法により、動いているガラスシートに、酸化スズのコーティングを施すために使用するのに適したコーターヘッドの断面図である。 図2は、図1に示したコーターヘッドを透かしてみるために除去した部分に関する平面図である。
符号の説明
1 コーターヘッド
2 第1のチャンバー
3 油冷ジャケット
4 導管
5 導管
6 ブロック
7 出口
8 ワッフルパック
9 プレート
10 入口
11 第2のチャンバー
12 上流トウ
13 中央部分
14 下流トウ
15 スロット
16 ガラスシート
17 出口
18 出口スロット
19 排気チャンバー
20 冷水ジャケット

Claims (17)

  1. 四塩化スズと水とを反応させて、基板のガラス上にコーティングを形成する酸化スズを生成することを含んでなる化学蒸着により、動いている平らなガラス基板上に酸化スズのコーティングを形成する方法において、
    四塩化スズと水とを窒素で希釈した別々の流れで供給した後、100℃〜240℃の範囲内の温度で該四塩化スズの流れと水の流れを混合して単一の流れを形成し、前記単一の流れを層流で前記基板に指向させ、四塩化スズと水とのみを、前記基板の領域において互いに反応させて、ガラス上にコーティングを形成することを特徴とする方法。
  2. 四塩化スズ流れと水流れの混合を140℃〜200℃の範囲内の温度で行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 四塩化スズと水とを反応させて、ガラス上にコーティングを形成する酸化スズを生成することを含んでなる化学蒸着により、動いている平らなガラス基板上に酸化スズのコーティングを形成する方法において、
    四塩化スズ、水、および塩化水素の窒素で希釈した気体流れを別々に供給した後、該四塩化スズ、水、および塩化水素の流れを混合して単一の流れを形成し、該単一の流れを前記基板に指向させ、これにより、四塩化スズと水とのみを、前記基板の表面の領域において互いに反応させることを特徴とする方法。
  4. 前記流れの混合を450℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 四塩化スズ:水のモル比が少なくとも1:30である請求項1、2、3、または4記載の方法。
  6. 前記モル比を1:10の範囲まで上げることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記モル比を1:3〜1:7の範囲まで上げることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記基板に衝突する前の、単一の気体流れが通る流路長さは、少なくとも10cmであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の方法。
  9. 四塩化スズと水の流れがそれぞれ希釈剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の方法。
  10. 希釈剤が窒素のような不活性気体であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 塩化水素:四塩化スズのモル比が、1:5〜11.5:1の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の方法。
  12. 塩化水素:四塩化スズのモル比が、3:1〜5:1の範囲であることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 水を含有する流れと四塩化スズを含有する流れの混合を、メタノール、エタノール、あるいはこれらの混合物の存在下で行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の方法。
  14. 水を含有する流れと四塩化スズを含有する流れの混合を、ドーパントの存在下で行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の方法。
  15. ドーパントを、フッ化水素およびトリフルオロ酢酸から選択することを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. ドーパントは、単一の気体流れが前記基板に衝突する領域の下流で前記基板に衝突する、水を含有するさらに別の流れ中に含まれることを特徴とする請求項14または15記載の方法。
  17. 前記単一の気体流れが、前記基板に、層流で、衝突することを特徴とする請求項3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16記載の方法。
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