JP4670139B2 - コーティング装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、基体表面に各種の特性を有する膜を形成して、その特性を利用する機能性物品が開発されている。例えば、酸化スズ膜は可視光領域での透過率が高く、赤外域での反射率が高いため、表面に酸化スズ膜を形成したガラス基板が、低放射率ガラスとして建築ガラスに応用されている。また、周期律表第5族の金属(例えばSb)またはFをドーピングした酸化スズ膜は、1020〜1021cm-3レベルの自由電子を発生して、金属に近い導電性を示すため、太陽電池用の基板に利用できる。
【0003】
基板への酸化スズ膜のコーティングは、高温雰囲気中を搬送される基板に近接した原料供給装置から、スズ化合物と酸化剤の原料ガスを供給して常圧CVD法によって行われる。しかし、これらの原料ガスは基板上に供給される途中で互いに接触して反応し、生成した酸化スズが供給装置自体に付着して堆積する。この堆積物は、原料供給路からのガス流を制限するため、基板表面への酸化スズ膜形成に支障を招くばかりでなく、堆積物が剥離して基板上に落下し、酸化スズ膜に欠点を与える原因となる。
【0004】
そこで、特開昭55−15995号公報には、4塩化スズと水蒸気を別々のガス流束として基板上に供給する方法が提案されている。この方法によれば、原料供給装置での堆積物の発生をある程度低減できる。
【0005】
しかし、スズ原料と水を別々のガス流束で供給した場合、基板表面上の位置によって、それぞれのガスの濃度に分布が発生する。すなわち、金属化合物のガス流束は、供給口直下の基板上において、濃度が最も高い分布状態を示す。一方、水のガス流束は、供給口から広がって空間的に拡散し易い性質を有するため、基板の表面近傍では希薄な水蒸気が広がった分布状態を形成する。そのため、供給口から実際に供給された水/スズ原料比よりも、基板上での実質的な水/金属化合物比が低下し、結局、金属化合物と水の反応速度が低下し所望の成膜速度が得られない。
【0006】
また、実際に金属化合物との反応に消費される水の量はごく僅かとなるため水の使用効率が極端に低い。そのため原料濃度を上げることによって成膜速度を増大させる場合、水供給量を極度に増大させる必要がある。このため供給された原料のうち酸化反応に消費される割合は低下し実質的な成膜速度が低下する。また、原料ガス濃度を増加させる結果、装置への堆積物増加を招き装置の稼働時間が低下する。
【0007】
このような問題を解決するために、特開平9−40442号公報には、4塩化スズと水蒸気を100〜240℃の雰囲気で予備混合して単一の流束として供給する方法が開示され、この温度範囲では2つの原料成分の予備反応がほとんど抑えられ、温度範囲の上限より高温ではSn(OH)x Cly の堆積物が形成され、また下限より低温では4塩化スズ5水和物(SnCl4 ・5H2 O)が析出することが記載されている。
【0008】
しかし、4塩化スズと水蒸気を高温雰囲気中で予備混合する場合、原料供給通路内で堆積物が発生し、前述の方法と同様の問題が発生する。
【0009】
また、移動しているガラスにコーティングを行う場合、ガラス搬送方向に対して直角の方向に原料供給装置の幅を延長し原料を均一に供給する装置を用いることが一般的である。このような装置内では原料供給通路を幅方向で均一な温度に制御することが困難である。さらに、常圧CVD法によって電気的特性に優れた酸化スズ膜を得るためには500℃以上の基板温度が必要であるため、ガラスに対向する原料供給装置は輻射加熱を受ける。装置内に冷媒を循環させることで温度上昇を抑え、所定の温度範囲に全体を保持する機構を設ける必要があるが、装置の大型化により幅方向の温度分布は拡大することが避けられない。したがって、この点においても温度を所定の範囲にコントロールすることが困難であるため、前記の方法によって、堆積物の発生を抑えることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、原料供給部における金属化合物と水の反応による堆積物の発生を防止して、高い成膜効率および成膜速度で金属酸化物膜を成膜できるコーティング装置、およびその装置を用いて、基板上に金属酸化物膜を効率的に成膜できるコーティング方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、金属化合物と水を個別のガス流束の層流として供給する方法において、それぞれの原料の基板上における濃度分布に位置的な差異が発生する問題は、それぞれのガス流束の間に不活性ガスの流束を挟んで供給するとともに、原料供給口の周囲に水の流束が拡散するのを制限する壁を設けることによって解決されることを知見した。これにより、金属化合物と水のガス流束は、相互の間に不活性ガスの層流を挟み、層流を保持したまま壁で挟まれた空間を通過し、互いに拡散混合せずに基板に到達する。そのため、温度範囲を特定の範囲に限定しなくても、原料供給口の周辺で酸化物を形成する恐れがない。さらに、この構造を採用することによって、得られる金属酸化物膜の成膜速度と膜特性が向上することも判明した。
【0012】
これらの知見に基づいて、本発明は、移動する基板上に、金属化合物供給口と水供給口から金属化合物(金属酸化物を形成する金属化合物)を含むガス流束と水を含むガス流束をそれぞれ独立に供給して金属化合物と水を反応させ、連続して金属酸化物膜を基板の表面に形成するコーティング装置であって、
基板の移動方向に沿って、水供給口、不活性ガス供給口、金属化合物供給口、不活性ガス供給口および水供給口の順で配列された原料供給口列を有し、
該原料供給口列の両端に原料供給口列を挟むように一対の壁が配設され、基板に対向する該壁の端部が、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口のいずれの先端よりも基板側に近接しているコーティング装置を提供する。
【0013】
本発明の装置において、基板の移動方向に沿って、水供給口、不活性ガス供給口、金属化合物供給口、不活性ガス供給口および水供給口の順で配列された原料供給口列の両端に該原料供給口列を挟むように一対の壁を設けることにより、水供給口から吐出した水の流束が原料供給口列の列方向に拡散する傾向が抑制され、供給口の直下における水濃度が増大する。その結果、基板上での金属化合物の分解が促進され成膜速度が増大するのみならず、酸化スズ微結晶の成長が促進される。また実質的に反応に関与する水量が増大するため、従来の水/金属化合物のモル比より低い領域でも同等の成膜速度と膜物性が得られる。また、原料供給口列の両端の水供給口と壁の間にも不活性ガス供給口を設け、その不活性ガス供給口から不活性ガスを供給して、水供給口から供給される水を含むガス流速が、原料供給口列の列方向に拡散する傾向を抑制することができる。 なお、本発明においては、本発明の作用・効果が損なわれない範囲において、前記供給口列の中に、または外側にさらに供給口を設けることができる。
【0014】
本発明の装置における一対の壁の間隔は、基板の移動方向に沿った原料供給口列の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、原料供給口からそれぞれ層流で吐出された金属化合物のガス流束および水流束は、一対の壁に挟まれた空間を層流を乱すことなく通過することができる。層流が乱れた場合、水流束と金属化合物のガス流束が乱流状態となって混合して気相中で反応を起こしパウダーを発生する。これにより成膜速度の低下と膜物性の劣化を招く。
【0015】
また、基板に対向する壁の端部と、基板との間の距離、すなわち、原料の流束方向に延ばす長さも重要である。この距離は水流束の集束に有効な距離であれば十分であり、壁に囲まれた空間を通過する各供給口からの層流を乱さない長さでなければならない。本発明の装置における壁は、その先端が、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口のいずれの先端よりも基板側に5mm以上近接していることが、大きな成膜速度で金属酸化物膜を成膜できる点で、好ましい。
【0016】
本発明の装置において、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口は、基板の幅に応じて、基板の移動方向に直角の方向に、幅を広げたスリット状に構成するのが好ましい。スリットの開口幅、形状、壁の端部と基板との距離等は、基板の搬送速度、成膜装置と基板との間隔、基板上に成膜する金属酸化物膜の膜厚、金属化合物または水のガス流束の流量および流速等に応じて適宜選択される。また、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口の各供給口の形状、大きさ等も適宜選択される。例えば、基板の幅が900mmである場合、基板の移動方向に直角の方向の各供給口の全幅は1000mm程度である。
【0017】
本発明のコーティング装置は、金属化合物と水とを反応させる化学蒸着により、移動する基板上に連続して金属酸化物膜を形成するコーティング方法に好適である。特に、本発明の装置は、前記原料供給口以外の部材は、現用の装置を用いることができるため、有利である。
本発明に用いる基板としては、ソーダライム系のガラス基板などが挙げられる。
【0018】
本発明の方法で用いられる金属化合物は、特に制限されず、加水分解により金属酸化物を形成する化合物であれば、特に限定されない。例えば、スズ、インジウム、亜鉛、チタン等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物膜として酸化スズ膜を形成する場合には、4塩化スズ、モノブチルトリクロルスズ等のスズ化合物を用いることができる。4塩化スズはスズ塩化物のなかでも最も酸化反応の速度が速いため、成膜速度は加水分解反応の速度によって律速されることはなく、基板表面への原料拡散の速度が律速である。そのため、実質的に反応に関与する水量を増大させ得る本発明は、金属化合物として4塩化スズを用いる場合に特に有効である。
【0019】
本発明の装置を使用して成膜を行う場合は、それぞれの供給口から独立に供給される金属化合物と水のガス流束がそれぞれ不活性ガスを含有することが好ましい。これにより原料ガス流束が気相反応することなく基板に到達するのに十分な速度で吐出することが可能となる。用いられる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。これらの中でも、窒素は原料供給装置の構成を簡便にすることができ、有利である。不活性ガスの使用量は、通常、金属化合物に対して10倍モル程度の流量であることが好ましい。また、製造コストの低減の点から、窒素であることが好ましい。
得られる金属酸化物膜の膜厚は、100〜1000nmであることが好ましい。
【0020】
また、ガラスに酸化スズ膜のコーティングを施す場合、水+4塩化スズの原料系にドーパントを添加して、コーティングの導電性を改良することができる。本発明では、フッ素を使用することが最も有効である。フッ素ドーピングはフッ化水素を供給することで可能であり、フッ化水素を金属化合物を含むガス流束および/または不活性ガスを含むガス流束に混合することができる。フッ化水素の供給量は、通常、金属化合物の供給量の5倍以下の範囲である。
【0021】
本発明において、水とスズ化合物との反応を低級アルコールの存在下で行うと、得られる酸化スズ膜の導電性をコントロールするために有効である。低級アルコールとしては、メタノール、エタノールあるいはこれらの混合物が、効果と原料コストの面から有利である。低級アルコールを用いる場合、その供給量は、通常、水の供給量の0.1〜5倍である。低級アルコールは、水と混合して水供給口から供給するか、あるいは不活性ガス供給口から供給すると、新たな供給口を設ける必要がなく、装置構成の単純化の観点から、好ましい。
【0022】
図1に本発明に係るコーティング装置の原料供給部の構成例を、模式縦断面図で示す。
図1中、原料供給部1は、金属化合物供給口2、該金属化合物供給口2の両側に不活性ガス供給口3aおよび3bを挟んで水供給口4aおよび4bが配設され、矢印Aで示す基板の移動方向に沿って直列に配列された原料供給口列を有する。さらに水供給口4aおよび4bの外側に、それぞれ不活性ガス供給口5aおよび5bを有していてもよい。この原料供給口列を挟んで一対の壁6aおよび6bが配設され、壁6aの端部7a、壁6bの端部7bは、金属化合物供給口2、水供給口3a,3bおよび不活性ガス供給口4a,4bのいずれの先端よりも基板側に近接するように設けられている。
【0023】
壁6aおよび6bにより、金属化合物と水は、ガス流束相互の間に不活性ガスの層流を挟み、それぞれ独立の層流を保持したまま壁で挟まれた空間を通過し、互いに拡散混合せずに基板に到達する。このとき、壁6aおよび6bは、水流束が基板の移動方向と平行な方向(矢印Aの方向およびその逆方向)に拡散することを抑制するようにはたらく。そのため、金属化合物の酸化反応が進行せず温度範囲を特定の範囲に限定しなくても、原料供給口の周辺で酸化物を形成するおそれがない。さらにこの構造を採用することによって、壁6aおよび6bは水の流速が基板の移動方向と平行な方向(矢印Aの方向およびその逆方向)に拡散することをを抑制するため、得られる金属酸化物膜の成膜速度と膜特性が向上する。このとき、供給した原料は100%消費されることはなく、原料供給部の両外側に備えられた排気口から吸引されて反応炉外に排気される。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
【0025】
(実施例1)
トンネル式加熱炉内に、図1に構成を示す原料供給部を配置したコーティング装置を用いて、図1に示す矢印Aの方向に搬送速度:50cm/min.で移動するメッシュベルト上に載せた複数枚のガラス基板(300mm×400mm×板厚2.8mm)に酸化スズ膜を連続的にコーティングした。ガラス基板は、トンネル式加熱炉内を搬送される間に520℃に加熱され、原料供給部の下を通過するとき、原料供給口列から供給される4塩化スズと水との反応によって生成する酸化スズ膜が表面に積層される。
【0026】
このとき、原料供給部の原料供給口列を挟んで配設する一対の壁の先端を、基板の表面から15mm、原料供給口列の各供給口の先端を、基板の表面から45mmとし、壁の先端を、各供給口の先端よりも30mm、基板の表面に近接するように延設した。
【0027】
また、4塩化スズの供給口と水の供給口の間に設けた不活性ガス供給口および水の供給口と壁との間に設けた不活性ガス供給口から窒素を水供給口からの水の流量と同じ流量で吐出し、4塩化スズと水のガス流束が独立した層流として基板上に供給されるようにした。
【0028】
水の吐出量を調整して、表1に示す水/4塩化スズのモル比として、それぞれ酸化スズ膜のコーティングを行った。
また、酸化スズ膜中にフッ素をドーピングするため、フッ化水素を4塩化スズの供給口から4塩化スズに対して等量のモル比で供給し、さらに、メタノールを水供給口から水に対して0.2倍のモル比で供給した。
【0029】
このとき、水(水蒸気)の供給量に応じて、得られる酸化スズ膜の膜厚(nm)を測定して成膜速度の指標とし、ファン・デル・パウ法によって自由電子の移動度を測定した。結果を表1に示す。
【0030】
以上の成膜実験において、300nmの膜厚のフッ素ドープ酸化スズ(SnO2 :F)膜を堆積するには5×10-3mol/min.程度の4塩化スズを気化させ、不活性ガスとともに吐出させることが必要であった。
【0031】
また、表1に示すとおり、成膜速度は水/4塩化スズモル比が10以上の領域では一定であった。自由電子の移動度は、水/4塩化スズモル比の増大に伴って増加し、水/4塩化スズのモル比が40以上の領域で55cm2 /vs以上になった。
【0032】
次に、水/4塩化スズのモル比を50に固定し4時間連続して成膜を行った後、原料供給部を取外し反応生成物の付着状態を観察した。供給部の下面および、壁の表面には100〜200m程度の酸化スズ膜が付着したことを示す、光学干渉縞が見えるものの、μm以上のオーダーの固着物あるいは剥離しかけた付着物は観察できなかった。
【0033】
(比較例1)
図1に示す構成において、原料供給口列の両端に壁を配設せず、各供給口の先端が同一平面にある構成の原料供給部を備えた成膜装置を用いた以外は、基板の搬送速度および原料ガスの供給条件等を実施例1と同一にして酸化スズ膜を成膜した。このとき、酸化スズ膜の膜厚、および自由電子の移動度を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004670139
【0035】
比較例1では、成膜速度が一定になるのは水/4塩化スズのモル比が40程度以上の領域であり、さらに移動度は水/4塩化スズのモル比100でも55に達していない。
【0036】
これらの実施例1と比較例1の結果から明らかなように、同じ成膜条件で比較した場合、実施例1の成膜装置の方が水供給量が少ない領域でも高い成膜速度と移動度が得られることがわかる。これは、実施例1では、水流束の拡散を制限する構造とすることで、反応に実質的に関与する水が増加したが、その結果、ガラス基板表面における水/4塩化スズのモル比が増大したためであると考えられる。
【0037】
また、比較例1においても、実施例1と同様に、水/4塩化スズのモル比を50に固定し4時間連続して成膜を行った後、原料供給部を取り外して反応生成物の付着状態を観察した。供給部の下面には一面に酸化スズ膜が付着しており、一部はμmレベルの厚みに成長し、剥離しかけた状態になっていた。
【0038】
実施例1と比較例1とでこのような差異が発生する原因は、原料供給部下面での水/4塩化スズのモル比が増大したことにあるものと解釈できる。すなわち、水気流が供給口からスリット吐出後に制限なく拡散した場合には(比較例1)、原料供給部下面における水/4塩化スズのモル比が増加し、この部分での酸化スズの生成量が増大するものと考えられる。
【0039】
(実施例2、比較例2)
実施例1と同様の装置を使用して、基板の搬送速度を2m/min.と高速にし、壁の先端の延長長さを変えた装置について成膜実験を行った。このとき、実施例1と同等の膜厚の酸化スズ膜を得るために、4塩化スズの供給量は実施例1の4倍(2×10-2mol/分)必要であった。結果を表2に示す。
【0040】
表2から明らかなとおり、高い成膜速度では、同一の条件でも得られる酸化スズ膜における自由電子の移動度が低下するが、水の供給量の増加に伴って、移動度が増大する傾向は同一であった。特に注目すべき点は、壁の先端の延長長さを5mm程度とした場合であっても、30mm延長の場合と同等の効果が得られる点である。また、水/4塩化スズのモル比が60程度で得られる酸化スズ膜の自由電子の移動度が55程度に飽和する。
【0041】
これに対して、原料供給口列の両端に壁を配設せず、各供給口の先端が同一平面にある構成の従来型の原料供給部を備える装置を用いる比較例2では、水/4塩化スズのモル比が100であっても、得られる酸化スズ膜の自由電子の移動度が50に達しなかった。
この結果は、壁の先端の延長は、たかだか5mm以上で酸化スズ膜の成膜特性を改善するのに十分な効果を有することを示している。
【0042】
【表2】
Figure 0004670139
【0043】
【発明の効果】
本発明の装置によれば、原料供給部における金属化合物と水の反応による堆積物の発生を防止して、高い成膜効率および成膜速度で酸化スズ膜を成膜できる。
【0044】
また、本発明の方法は、前記装置を用いて、成膜装置に発生する付着物を抑制しながら、水供給量が少ない領域でも成膜速度の低下を防ぎ、また膜品位を改善することができる。この結果、装置稼働率を向上させ、高速の成膜に対しても水蒸気供給系に過大な負担をかけずに高品位な酸化スズ膜を成膜できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置の原料供給部の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 原料供給部
2 金属化合物供給口
3a,3b 不活性ガス供給口
4a,4b 水供給口
5a,5b 不活性ガス供給口
6a,6b 壁
7a,7b 壁の端部

Claims (6)

  1. 移動する基板上に、金属化合物供給口と水供給口から金属化合物を含むガス流束と水を含むガス流束をそれぞれ独立に供給して金属化合物と水を反応させ、連続して金属酸化物膜を基板の表面に形成するコーティング装置であって、
    基板の移動方向に沿って、水供給口、不活性ガス供給口、金属化合物供給口、不活性ガス供給口および水供給口の順で配列された原料供給口列を有し、
    該原料供給口列の両端に原料供給口列を挟むように一対の壁が配設され、基板に対向する該壁の端部が、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口のいずれの先端よりも基板側に近接しているコーティング装置。
  2. 前記の壁の端部が、金属化合物供給口、水供給口および不活性ガス供給口のいずれの先端よりも基板側に5mm以上近接している請求項1に記載のコーティング装置。
  3. 請求項1または2に記載のコーティング装置を用いて、金属化合物と水とを反応させて、移動する基板上に連続して金属酸化物膜を形成するコーティング方法。
  4. 金属化合物が4塩化スズである請求項に記載のコーティング方法。
  5. 金属化合物を含むガス流束および水を含むガス流束が、それぞれ不活性ガスを含有する請求項3または4に記載のコーティング方法。
  6. 金属化合物を含むガス流束および/または不活性ガスを含むガス流束にフッ化水素を混合し、水と4塩化スズの反応をフッ化水素の存在下に行わせる請求項4に記載のコーティング方法。
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