JP2004323321A - 透明導電膜付き基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上となる程度の表面凹凸を備えた透明導電膜付き基板の新たな製造方法を提供し、この基板に含まれる透明導電膜(金属酸化物含有膜)の均一性を向上させ、光電変換装置の変換効率の向上などに寄与する。
【解決手段】ガラス板30上に酸化錫含有膜(金属酸化物含有膜)33,34,35を含む多層膜を形成するに際し、酸化錫含有膜を、第1成膜速度で上記酸化錫含有膜の第1部分33を形成する第1工程と、第1部分の上に第2成膜速度で酸化錫含有膜の第2部分34を形成する第2工程と、第2部分の上に第3成膜速度で酸化錫含有膜の第3部分35を形成する第3工程と、を含むように成膜し、かつ、第2成膜速度を、第1成膜速度および第3成膜速度のいずれよりも大きくする。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラス板30上に酸化錫含有膜(金属酸化物含有膜)33,34,35を含む多層膜を形成するに際し、酸化錫含有膜を、第1成膜速度で上記酸化錫含有膜の第1部分33を形成する第1工程と、第1部分の上に第2成膜速度で酸化錫含有膜の第2部分34を形成する第2工程と、第2部分の上に第3成膜速度で酸化錫含有膜の第3部分35を形成する第3工程と、を含むように成膜し、かつ、第2成膜速度を、第1成膜速度および第3成膜速度のいずれよりも大きくする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス板を基板とする透明導電膜付き基板(透明導電基板)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明導電膜を形成したガラス板は、建築物や車両の窓における低放射ガラスとして、さらには光電変換装置用の基板として、広く使用されている。透明導電膜としては、金属酸化物の薄膜、例えば酸化錫膜、酸化亜鉛膜、が知られている。これらの金属酸化物には、比抵抗を低下させるために不純物がドープされることがある。金属酸化物の薄膜は、ガラス板上に、化学蒸着法(化学気相法;Chemical Vapor Deposition法、CVD法)やスプレー法などの熱分解法により成膜されることが多い。例えば酸化錫膜を形成する場合には、錫原料として有機錫原料を用いると、膜厚を均一化しやすい。しかし、有機錫化合物は、トリブチルスズ化合物に代表されるように環境負荷が大きいため、近年、無機錫化合物のような無機金属化合物の使用が求められている。
【0003】
無機錫塩化物を用いたCVD法による酸化錫膜の形成は公知である(例えば、特許文献1)。しかし、四塩化錫(塩化第二錫)などの無機錫塩化物は反応性が高いため、水蒸気などの酸化原料と成膜ガス中で予備的に反応し、この予備的反応による生成物が酸化錫膜の均一性を損なう。そこで、無機錫塩化物と水蒸気との予備的反応を抑制するために、塩化水素を成膜ガスに添加することが提案されている(特許文献2、3)。
【0004】
【特許文献1】特開平2−175631号公報
【0005】
【特許文献2】特開平9−40442号公報
【0006】
【特許文献3】特開2001−15783号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
塩化水素を添加すると、無機金属塩化物(無機錫塩化物)と水蒸気との反応が緩和される。しかし、塩化水素は、反応阻害剤として作用するため、同時に成膜速度を低下させる。このため、所定速度で移動する基板(例えば、フロート法におけるガラスリボンは、成形すべき厚みとの関連から搬送速度の範囲が制限される)に成膜する場合には、透明導電膜(酸化錫膜)を厚く形成できないことがある。膜厚が不足すると、透明導電膜に求められる特性、例えば薄膜型光電変換装置の変換効率向上に望ましいヘイズ率、を得ることが困難となる。一方、透明導電膜の膜厚を確保するために塩化水素の添加量を制限すると、均一な成膜ができなくなる。このように、塩化水素の添加のみに頼った膜の均一化は、少なくとも、酸化錫膜のような導電性の金属酸化物膜を透明電極とする薄膜型光電変換装置の特性を改善するには限界がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、ガラス板と、このガラス板上に形成した多層膜とを含み、この多層膜が透明導電膜として金属酸化物含有膜を含み、上記ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上である透明導電膜付き基板の新たな製造方法を提供する。この製造方法では、上記金属酸化物含有膜を3以上の工程により形成し、この3以上の工程が、第1成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第1部分を形成する第1工程と、第1部分の上に第2成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第2部分を形成する第2工程と、第2部分の上に第3成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第3部分を形成する第3工程と、を含み、第2成膜速度を、第1成膜速度および第3成膜速度のいずれよりも大きくする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、成膜速度が相対的に小さい第1工程および第3工程により金属酸化物含有膜の均一性を保ちながら、成膜速度が相対的に大きい第2工程によりヘイズ率が10%以上、好ましくは12%以上、例えば12〜40%となる程度に、金属酸化物含有膜に表面凹凸を付与することとした。光入射側に配置される金属酸化物含有膜の表面凹凸は、光電変換層における入射光の光路長を延長するため、光電変換装置における変換効率の向上に役立つ。
【0010】
ヘイズ率は、表面凹凸の程度をマクロ的に示す指標ではあるが、表面凹凸のバラツキ(均一性)を必ずしも反映していない。表面凹凸の均一性は、その上に形成される光電変換層の特性に影響を与えることがある。例えば、透明電極(金属酸化物含有膜)に局所的に異常成長した結晶粒が存在すると、光電変換層を構成するp層がその部分で極端に薄くなり、場合によっては金属酸化物含有膜とi層との短絡をもたらす。この短絡の抑制は、金属酸化物含有膜の表面形状を均一化する本発明により実現できる。
【0011】
本発明の製造方法では、金属酸化物含有膜は、錫添加酸化インジウム含有膜、酸化亜鉛含有膜などであってもよいが、酸化錫含有膜が適当である。金属酸化物含有膜を形成する上記3以上の工程は、いずれもCVD法により行うとよく、このCVD法は、無機金属化合物(例えば無機錫化合物)および水蒸気を含む成膜ガスを用いて行うとよい。無機金属化合物、例えば塩化第二錫などの無機錫塩化物を使用すれば、環境への負荷を小さくできる。
【0012】
成膜ガスに添加する酸化原料は、水蒸気に代えて、または水蒸気とともに他の成分、例えば酸素、を含んでいてもよい。成膜ガスには、金属原料(例えば錫原料)および酸化原料に加え、さらに他の成分を添加してもよい。例えば、塩化水素を添加すると、酸化錫含有膜など金属酸化物含有膜の均一性をさらに高めることができる。塩化水素は、少なくとも(成膜速度が相対的に大きい)第2工程で用いる成膜ガスに添加するとよい。
【0013】
成膜ガスの生成は、通常、操作の簡便のため、各成分を一度に混合して行われる。例えば、特許文献2の実施例Dには、塩化水素を含む成膜ガスが示されているが、この成膜ガスは、1つのチャンバーで各成分を一度に混合して生成している。しかし、発明者の検討によれば、予め金属原料および/または酸化原料に塩化水素を添加しておくと、金属酸化物含有膜を均一化する塩化水素の効果が増大することが確認された。従って、金属酸化物含有膜の均一性を重視すべき場合には、塩化水素を無機金属化合物および水蒸気から選ばれる少なくとも一方、好ましくは少なくとも無機金属化合物、と混合した後に、無機金属化合物と水蒸気とを混合して成膜ガスを生成するとよい。
【0014】
この混合順序によれば、塩化水素単位量あたりの均一化効果が高まるため、塩化水素の添加量を削減することが可能となる。特許文献2によれば、無機金属化合物(無機錫化合物)に対する塩化水素のモル比は、1以上、好ましくは3〜5であるが、上記知見に基づけば、塩化水素の添加量はこれよりも少なくてよく、成膜速度を維持する観点からは、無機金属化合物に対する塩化水素のモル比は、むしろ1未満、さらには0.2以下、特に0.05〜0.2程度が好ましい。
【0015】
こうして、本発明は、別の側面から、ガラス板と、このガラス板上に形成した多層膜とを含み、この多層膜が酸化錫含有膜などである金属酸化物含有膜を含み、上記ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上である透明導電膜付き基板を製造するためのもう一つの新たな製造方法を提供する。この製造方法では、上記金属酸化物含有膜の少なくとも一部、好ましくは全部、を無機錫化合物などの無機金属化合物と水蒸気と塩化水素とを含む成膜ガスを用いるCVD法により成膜する。この成膜ガスは、塩化水素を無機金属化合物および水蒸気から選ばれる少なくとも一方、好ましくは少なくとも無機金属化合物、と混合した後に、無機金属化合物と水蒸気とを混合して生成することとし、かつ、無機金属化合物に対する塩化水素のモル比を1未満とする。
【0016】
CVD法における成膜速度は、一般に、成膜ガスの供給量、成分比、さらには基板温度(ガラス板またはガラスリボンの温度)により制御できる。本発明における各工程(第1〜第3工程)においても、これら各因子により成膜速度を制御すればよいが、ガラスリボン上などへの連続成膜を行う場合には、各工程における基板温度の個別制御は容易ではない。この場合は、例えば、(成膜速度が相対的に大きい)第2工程で用いる成膜ガスにおける無機金属化合物に対する水蒸気のモル比を、第1工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比、および第3工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比とそれぞれ相違させればよい。具体的には、第2工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比は、第1、第3工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比よりも小さいことが好ましい。第1、第3工程における上記モル比は、同一としてもよいが、各工程で成膜する層への要求特性に応じ、互いに相違させてもよい。
【0017】
第1〜第3工程における金属酸化物含有膜の好ましい成膜速度(第1〜第3成膜速度)は、特に制限されないが、特に酸化錫含有膜については、好ましくは、それぞれ以下のとおりである。
・第1成膜速度:500nm/min〜4000nm/min(より好ましくは800nm/min〜3800nm/min)
・第2成膜速度:3000nm/min〜20000nm/min(より好ましくは4500nm/min〜12000nm/min)
・第3成膜速度:2000nm/min〜8000nm/min(より好ましくは2500nm/min〜7000nm/min)
【0018】
第1工程で形成される層(第1層)は、バッファ層として機能する。バッファ層は、これに引き続いて形成される結晶の成長起点を増やし、金属酸化物含有膜の均一化に寄与する。結晶の成長起点が少ないと、個々の結晶が大きく成長することになり、その結果、膜厚や表面凹凸のバラツキが大きくなる。バッファ層の形成は、反応性が高い原料を用いる場合には特に効果がある。第2工程で形成される層(第2層)は、適切な表面凹凸を形成するために大きな成膜速度が適用される。第3工程で形成される層(第3層)は、第2工程で形成された層の表面の不均一性を緩和するために、第2工程よりも遅い速度で成膜される。
【0019】
金属酸化物含有膜、特に酸化錫含有膜の膜厚(総厚)は400nm以上、特に500nm以上、例えば500〜2000nmとすることが好ましい。また、本発明の製造方法は、所定速度で搬送されるガラスリボン上に金属酸化物含有膜を形成し、その後、このガラスリボンを切断して所定厚みのガラス板とする場合に特に適している。この場合、ガラス板の厚みは、特に制限されず、例えば1〜10mmであればよいが、比較的薄いガラス板、例えば1〜6mmを成形するために比較的速いラインスピードを適用する場合にも、本発明を適用すれば、上記程度に厚く、かつ均一性に優れた金属酸化物含有膜を得ることができる。
【0020】
本発明では、金属酸化物含有膜とともにその他の膜を形成してもよい。例えば、ガラス板またはガラスリボン上に、下地膜を形成し、その後、酸化錫含有膜などの金属酸化物含有膜を形成しても構わない。上記第1〜第3の工程が含まれている限り、これら3つの工程の前後に別の工程を追加した4以上の工程により、金属酸化物含有膜を形成してもよい。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態についてさらに説明する。図1に例示した透明導電膜付き基板では、ガラス板30上に、下地膜(第1下地層31、第2下地層32)、透明導電膜である酸化錫含有膜(第1層33、第2層34、第3層35)がこの順に積層されている。
【0022】
ガラス板30および下地膜31,32には、従来から知られている材料を用いればよい。例えば、代表的なガラス板30は、ソーダライムガラスである。ソーダライムガラスのようにアルカリ成分を含むガラス板を用いる場合には、下地膜を形成してアルカリ成分の拡散を防止するとよい。アルカリ成分を含有しない、あるいはアルカリ成分の含有量が少ないガラス、例えば、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスを用いる場合には、下地膜を形成する必要性は低い。しかし、この場合も、光学特性の調整などのために、下地膜を介在させてもよい。
【0023】
下地膜は、2層に限らず、1層のみからなっていても3以上の層から構成されていてもよい。第1下地層31は、好ましくは、酸化錫、酸化チタンなど結晶性の酸化物を主成分とする薄膜である。第2下地層32は、好ましくは、酸化珪素、酸炭化珪素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜である。なお、本明細書では、慣用のとおり、「主成分」を、50重量%以上を占める成分を意味する用語として用いる。これら下地層31,32の膜厚は、例えばそれぞれ20〜100nmとするとよい。1層のみからなる下地膜は、例えば、酸化珪素、酸炭化珪素、酸窒化珪素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜とするとよい。
【0024】
酸化錫含有膜33,34,35は、好ましくは酸化錫を主成分とする結晶性の薄膜である。この膜は、電子顕微鏡で断面を観察しても、必ずしも図示したように3層に区分けして観察されるとは限らないが、図1では、便宜上3層に分けて示す。
【0025】
バッファ層として機能する第1層33の好ましい膜厚は、5nm〜500nm、特に30nm〜300nmである。バッファ層が厚すぎると、バッファ層を構成する結晶粒が大きく成長しすぎることがある。バッファ層が薄すぎると、下地膜などが部分的に露出して結晶粒の起点が十分に増加しないことがある。ただし、結晶粒成長の起点を増やすという目的が達成される限りにおいて、最初の成膜は、例えば金属または金属化合物の微粒子が分散した形態として観察される程度に(換言すれば連続した膜とならない程度に)ごく微量に行ってもよい。この場合は、微粒子の間隔を100μm以下とするとよい。
【0026】
第2層34の好ましい膜厚は、200nm〜2000nm、特に400nm〜1500nmである。塩化水素の事前添加(錫原料と酸化原料とを混合する前の添加)は、この層の成膜に適用すると特に効果が大きい。
【0027】
第3層35の好ましい膜厚は、100nm〜1500nm、特に100nm〜500nmである。この層35は、好ましくは酸化錫含有膜の表面層を構成する。
【0028】
これら各層33,34,35、特に第2層34および第3層35には、フッ素、アンチモンなどの不純物をドープして比抵抗を引き下げるとよい。
【0029】
図2に、本発明の実施に使用する装置の一例の概要を示す。この装置によれば、ガラスリボン上へのCVD法、いわゆるオンラインCVD法を実施できる。この装置では、溶融炉11で溶融したガラス原料がフロートバス12内へと流し込まれ、溶融錫15上で所定厚みのガラスリボン10へと成形される。フロートバス12内には、ガラスリボン10の上方に所定個数のコータ16(図示した形態では3つのコータ16a〜16c)が配置されており、これらコータ16から供給される成膜ガスにより、ガラスリボン10上に、複数の膜が順次堆積されていく。ガラスリボン10は、ローラ17により徐冷炉13へと引き上げられ、徐冷の後、さらに下流側で所定の大きさのガラス板へと切断される。
【0030】
図2に示した装置を用いて、ガラスリボン上に、下地膜などとともに酸化錫含有膜を順次成膜すれば、透明導電基体を効率良く製造できる。成膜時のガラスリボンの温度は、615℃以上、例えば620〜750℃が好適である。高温のガラスリボン、例えば650℃以上のガラスリボンを基体とすると、高い成膜速度、例えば6300〜20000nm/minの速度で成膜できる。
【0031】
各層の成膜に用いる原料は、従来から知られている原料を用いれば足りる。例えば酸化錫膜を形成するための錫原料としては、塩化第二錫(四塩化錫)、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、テトラメチル錫、テトラブチル錫、ジオクチル錫ジクロライド、モノブチル錫トリクロライド、ジブチル錫ジアセテートなどが挙げられる。ただし、上述の環境負荷を配慮すれば、四塩化錫などの無機錫塩化物が適している。無機錫塩化物を用いれば、膜中へのカーボンの混入を確実に抑制できるという利点も得られる。錫原料とともに供給すべき酸化原料としては、水蒸気、酸素などを用いればよい。
【0032】
フッ素を添加する場合には、成膜ガスに、フッ化水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタンなどを、アンチモンを添加する場合には、成膜ガスに、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンなどを添加するとよい。
【0033】
各コータ16a〜16cへの塩化水素を含む成膜ガスの供給は、各コータへの配管を閉塞しにくくするため、長期間、安定したオンラインCVD法を実施する上でも有利である。長期間の成膜には、無機錫化合物を含むすべての成膜ガスに、塩化水素を添加するとよい。
【0034】
図1に示した透明導電膜付き基板は、その用途が限定されるわけではなく、従来から使用されてきた各種の用途、例えば建築物や車両のガラス窓、各種機器に組み込まれるガラス板(例えばコピー機の原稿読み取り台)に適用できる。ただし、本発明による透明導電膜付き基板は、光電変換装置用基板として特に適した特性を備えている。
【0035】
光電変換装置用基板として用いる場合、酸化錫含有膜の上には、光電変換ユニット、裏面電極などが適宜形成される。光電変換ユニットは、例えば非晶質シリコン系光電変換ユニットおよび結晶質シリコン系光電変換ユニットをこの順に積層したタンデム型としてもよいが、これに限らず単一のユニットから構成してもよい。
【0036】
非晶質シリコン系光電変換ユニットは、例えば、導電型決定不純物となるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非単結晶シリコン系層(p層)、真性非晶質シリコン層(i層;光電変換層)、導電型決定不純物となるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層(n層)を、この順に堆積して形成される。微結晶シリコン系層の好ましい膜厚は、3nm〜100nm、特に5〜50nmであり、真性非晶質シリコン層の好ましい膜厚は、0.05〜0.5μmである。真性非晶質シリコン層に代えて、非晶質シリコンカーバイド層、非晶質シリコンゲルマニウム層などを用いても構わない。真性非晶質シリコン層は、プラズマCVD法により基板温度を450℃以下として成膜するとよい。この層の導電型決定不純物原子の密度は1×1018cm−3以下が好ましい。
【0037】
結晶質シリコン系光電変換ユニットも、非晶質シリコン系光電変換ユニットと同様、例えばプラズマCVD法により、p層、i層、n層を順次堆積させて形成するとよい。このユニットの光電変換層(i層)となる結晶質シリコン系層は、非晶質シリコンからなる光電変換層よりも長波長域に分光感度のピークを有する。結晶質シリコン系層の好ましい膜厚は、0.1〜10μm、特に5μm以下が好ましい。この薄膜のプラズマCVD法による成膜は、例えば450℃以下という低い基板温度で行われるため、結晶粒界などにおける欠陥を終端または不活性化させる水素原子を比較的多く含んでいる。層中の水素含有量は、0.5〜30原子%、特に1〜20原子%が好適である。
【0038】
裏面電極は、従来と同様、アルミニウム、銀、金、銅、白金、クロムなどの金属層を用いればよい。この金属層と光電変換ユニットとの間に、ITO(indium tin oxide)、酸化錫、酸化亜鉛など導電性酸化物からなる層を介在させても構わない。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
いわゆるオンラインCVD法を利用して、ガラスリボン上に、下地膜および透明導電膜をこの順に成膜した。具体的には、フロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるように、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%の水素とを供給した。この空間内には複数のコーターを配置した。
【0041】
最上流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)、水蒸気、塩化水素、窒素、ヘリウムからなる成膜ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ55nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)を形成した。引き続き、下流側のコータから、モノシラン、エチレン、酸素、窒素からなる成膜ガスを供給し、第1下地層上に厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)を形成した。
【0042】
さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)1.20mol%、水蒸気36.2mo1%、塩化水素0.06mo1%、残部が窒素からなる混合ガスを供給し、表面温度680℃の第2下地層上に、厚さ170nmの酸化錫からなる薄膜(バッファ層)を成膜速度3365nm/minで形成した。次いで、さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)4.1mo1%、水蒸気41.5mo1%、塩化水素0.2mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度630℃のバッファ層上に、膜厚412nmのフッ素含有酸化錫(SnO2:F)からなる導電層を成膜速度8155mm/minで形成した。引き続き、さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)2.5mo1%、水蒸気74.5mo1%、塩化水素0.5mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度620℃の導電層上に、膜厚248nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からなる表面層を成膜速度4909nm/minで形成した。
【0043】
なお、上記塩化水素は、すべて、水蒸気との混合前に塩化第二錫に混合して供給した。下地膜上の酸化錫含有膜を形成する成膜ガスにおける塩化第二錫に対する塩化水素のモル比は、いずれも1未満である。また、このときのガラスリボンの搬送速度は約440m/hr、ガラスリボン(ガラス板)の厚さは4mmとした。
【0044】
このガラスリボンを徐冷炉で徐冷した後に、さらに下流側で切断して透明導電膜付き基板を得た。この基板に白濁は見られなかった。この基板について、ガラス板を入射側としてヘイズ率を測定したところ、18%であった。
【0045】
上記で得た透明導電膜付き基板の酸化錫膜上に、モノシラン(SiH4)と水素とを原料としたプラズマCVD法により、合計厚さが0.3μmとなるようにp層、i層、n層からなる光電変換ユニットをこの順に成膜した。p層、n層には、それぞれB2H6、PH3を用いて、ホウ素およびリンをそれぞれ添加した。その後、スパッタリング法により厚さ300nmの銀薄膜(裏面電極)を形成し、薄膜型光電変換装置を得た。
【0046】
こうして得た光電変換装置について、AM1.5、100mW/cm2の条件で測定した変換効率は、9.6%であった。
【0047】
(比較例1)
実施例1と同様の装置を用いてオンラインCVD法を実施した。実施例1と同様にして、ガラスリボン上に厚さ50nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)と、厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)をこの順に形成した。
【0048】
ここでは、塩化水素を添加した成膜ガスを用い、酸化錫含有膜を同一条件で(ただし、1つのコータのみから成膜ガスを供給して)成膜することとした。塩化水素は、塩化第二錫と水蒸気とを混合してから添加した。特許文献2の実施例Dを参照して塩化第二錫に対する塩化水素のモル比を1.1とすると、酸化錫膜の成膜速度は塩化水素を混合しない場合と比較して1/3程度にまで大きく低下した。この場合、ガラスリボンの搬送速度を実施例1と同じとすると、膜厚を420nm程度以上とすることはできなかった。このため、塩化水素の濃度を低下させ、塩化第二錫に対する塩化水素のモル比を0.2にまで低下させて成膜を行った。この成膜ガスは、塩化第二錫(蒸気)3mo1%、水蒸気18mo1%、塩化水素0.6mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる。その結果、平均膜厚520nmの酸化錫含有膜を得たが、広い範囲にわたり、ヘイズムラが発生した。
【0049】
さらに、この透明導電膜付き基板を用い、実施例1と同様にして、薄膜型光電変換装置を作製した。この光電変換装置からは、上記測定条件で、8.9%の変換効率が得られた。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様の装置を用いてオンラインCVD法を実施した。実施例1と同様にして、ガラスリボン上に厚さ50nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)と、厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)をこの順に形成した。
【0051】
さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)0.5mo1%、水蒸気42.4mo1%、残部窒素からなる成膜ガスを供給し、表面温度680℃の第2下地層上に、厚さ90nmの酸化錫からなる薄膜(バッファ層)を成膜速度1831nm/minで形成した。さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)4.2mo1%、水蒸気63.7mo1%、残部窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度630℃のバッファ層上に、膜厚736nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からなる導電層を成膜速度7488nm/minで形成した。
【0052】
こうして得た透明導電膜付き基板のヘイズ率は36%で、白濁は見られなかった。
【0053】
さらに、この透明導電膜付き基板を用い、実施例1と同様にして、光電変換装置を作製した。この光電変換装置からは、上記測定条件で、9.2%の変換効率が得られた。実施例1よりもヘイズ率が高い基板を用いながらも変換効率が劣ったのは、酸化錫含有膜の不均一性によるものと考えられる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、均一性に優れた表面凹凸を有する金属酸化物含有膜を備えた透明導電膜付き基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される透明導電膜付き基板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施に使用できる装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 ガラスリボン
11 熔融炉
12 フロートバス
13 徐冷炉
16 コータ
17 ローラ
30 ガラス板
31 第1下地層
32 第2下地層
33 酸化錫含有膜第1層
34 酸化錫含有膜第2層
35 酸化錫含有膜第3層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス板を基板とする透明導電膜付き基板(透明導電基板)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明導電膜を形成したガラス板は、建築物や車両の窓における低放射ガラスとして、さらには光電変換装置用の基板として、広く使用されている。透明導電膜としては、金属酸化物の薄膜、例えば酸化錫膜、酸化亜鉛膜、が知られている。これらの金属酸化物には、比抵抗を低下させるために不純物がドープされることがある。金属酸化物の薄膜は、ガラス板上に、化学蒸着法(化学気相法;Chemical Vapor Deposition法、CVD法)やスプレー法などの熱分解法により成膜されることが多い。例えば酸化錫膜を形成する場合には、錫原料として有機錫原料を用いると、膜厚を均一化しやすい。しかし、有機錫化合物は、トリブチルスズ化合物に代表されるように環境負荷が大きいため、近年、無機錫化合物のような無機金属化合物の使用が求められている。
【0003】
無機錫塩化物を用いたCVD法による酸化錫膜の形成は公知である(例えば、特許文献1)。しかし、四塩化錫(塩化第二錫)などの無機錫塩化物は反応性が高いため、水蒸気などの酸化原料と成膜ガス中で予備的に反応し、この予備的反応による生成物が酸化錫膜の均一性を損なう。そこで、無機錫塩化物と水蒸気との予備的反応を抑制するために、塩化水素を成膜ガスに添加することが提案されている(特許文献2、3)。
【0004】
【特許文献1】特開平2−175631号公報
【0005】
【特許文献2】特開平9−40442号公報
【0006】
【特許文献3】特開2001−15783号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
塩化水素を添加すると、無機金属塩化物(無機錫塩化物)と水蒸気との反応が緩和される。しかし、塩化水素は、反応阻害剤として作用するため、同時に成膜速度を低下させる。このため、所定速度で移動する基板(例えば、フロート法におけるガラスリボンは、成形すべき厚みとの関連から搬送速度の範囲が制限される)に成膜する場合には、透明導電膜(酸化錫膜)を厚く形成できないことがある。膜厚が不足すると、透明導電膜に求められる特性、例えば薄膜型光電変換装置の変換効率向上に望ましいヘイズ率、を得ることが困難となる。一方、透明導電膜の膜厚を確保するために塩化水素の添加量を制限すると、均一な成膜ができなくなる。このように、塩化水素の添加のみに頼った膜の均一化は、少なくとも、酸化錫膜のような導電性の金属酸化物膜を透明電極とする薄膜型光電変換装置の特性を改善するには限界がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、ガラス板と、このガラス板上に形成した多層膜とを含み、この多層膜が透明導電膜として金属酸化物含有膜を含み、上記ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上である透明導電膜付き基板の新たな製造方法を提供する。この製造方法では、上記金属酸化物含有膜を3以上の工程により形成し、この3以上の工程が、第1成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第1部分を形成する第1工程と、第1部分の上に第2成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第2部分を形成する第2工程と、第2部分の上に第3成膜速度で上記金属酸化物含有膜の第3部分を形成する第3工程と、を含み、第2成膜速度を、第1成膜速度および第3成膜速度のいずれよりも大きくする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、成膜速度が相対的に小さい第1工程および第3工程により金属酸化物含有膜の均一性を保ちながら、成膜速度が相対的に大きい第2工程によりヘイズ率が10%以上、好ましくは12%以上、例えば12〜40%となる程度に、金属酸化物含有膜に表面凹凸を付与することとした。光入射側に配置される金属酸化物含有膜の表面凹凸は、光電変換層における入射光の光路長を延長するため、光電変換装置における変換効率の向上に役立つ。
【0010】
ヘイズ率は、表面凹凸の程度をマクロ的に示す指標ではあるが、表面凹凸のバラツキ(均一性)を必ずしも反映していない。表面凹凸の均一性は、その上に形成される光電変換層の特性に影響を与えることがある。例えば、透明電極(金属酸化物含有膜)に局所的に異常成長した結晶粒が存在すると、光電変換層を構成するp層がその部分で極端に薄くなり、場合によっては金属酸化物含有膜とi層との短絡をもたらす。この短絡の抑制は、金属酸化物含有膜の表面形状を均一化する本発明により実現できる。
【0011】
本発明の製造方法では、金属酸化物含有膜は、錫添加酸化インジウム含有膜、酸化亜鉛含有膜などであってもよいが、酸化錫含有膜が適当である。金属酸化物含有膜を形成する上記3以上の工程は、いずれもCVD法により行うとよく、このCVD法は、無機金属化合物(例えば無機錫化合物)および水蒸気を含む成膜ガスを用いて行うとよい。無機金属化合物、例えば塩化第二錫などの無機錫塩化物を使用すれば、環境への負荷を小さくできる。
【0012】
成膜ガスに添加する酸化原料は、水蒸気に代えて、または水蒸気とともに他の成分、例えば酸素、を含んでいてもよい。成膜ガスには、金属原料(例えば錫原料)および酸化原料に加え、さらに他の成分を添加してもよい。例えば、塩化水素を添加すると、酸化錫含有膜など金属酸化物含有膜の均一性をさらに高めることができる。塩化水素は、少なくとも(成膜速度が相対的に大きい)第2工程で用いる成膜ガスに添加するとよい。
【0013】
成膜ガスの生成は、通常、操作の簡便のため、各成分を一度に混合して行われる。例えば、特許文献2の実施例Dには、塩化水素を含む成膜ガスが示されているが、この成膜ガスは、1つのチャンバーで各成分を一度に混合して生成している。しかし、発明者の検討によれば、予め金属原料および/または酸化原料に塩化水素を添加しておくと、金属酸化物含有膜を均一化する塩化水素の効果が増大することが確認された。従って、金属酸化物含有膜の均一性を重視すべき場合には、塩化水素を無機金属化合物および水蒸気から選ばれる少なくとも一方、好ましくは少なくとも無機金属化合物、と混合した後に、無機金属化合物と水蒸気とを混合して成膜ガスを生成するとよい。
【0014】
この混合順序によれば、塩化水素単位量あたりの均一化効果が高まるため、塩化水素の添加量を削減することが可能となる。特許文献2によれば、無機金属化合物(無機錫化合物)に対する塩化水素のモル比は、1以上、好ましくは3〜5であるが、上記知見に基づけば、塩化水素の添加量はこれよりも少なくてよく、成膜速度を維持する観点からは、無機金属化合物に対する塩化水素のモル比は、むしろ1未満、さらには0.2以下、特に0.05〜0.2程度が好ましい。
【0015】
こうして、本発明は、別の側面から、ガラス板と、このガラス板上に形成した多層膜とを含み、この多層膜が酸化錫含有膜などである金属酸化物含有膜を含み、上記ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上である透明導電膜付き基板を製造するためのもう一つの新たな製造方法を提供する。この製造方法では、上記金属酸化物含有膜の少なくとも一部、好ましくは全部、を無機錫化合物などの無機金属化合物と水蒸気と塩化水素とを含む成膜ガスを用いるCVD法により成膜する。この成膜ガスは、塩化水素を無機金属化合物および水蒸気から選ばれる少なくとも一方、好ましくは少なくとも無機金属化合物、と混合した後に、無機金属化合物と水蒸気とを混合して生成することとし、かつ、無機金属化合物に対する塩化水素のモル比を1未満とする。
【0016】
CVD法における成膜速度は、一般に、成膜ガスの供給量、成分比、さらには基板温度(ガラス板またはガラスリボンの温度)により制御できる。本発明における各工程(第1〜第3工程)においても、これら各因子により成膜速度を制御すればよいが、ガラスリボン上などへの連続成膜を行う場合には、各工程における基板温度の個別制御は容易ではない。この場合は、例えば、(成膜速度が相対的に大きい)第2工程で用いる成膜ガスにおける無機金属化合物に対する水蒸気のモル比を、第1工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比、および第3工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比とそれぞれ相違させればよい。具体的には、第2工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比は、第1、第3工程で用いる成膜ガスにおける上記モル比よりも小さいことが好ましい。第1、第3工程における上記モル比は、同一としてもよいが、各工程で成膜する層への要求特性に応じ、互いに相違させてもよい。
【0017】
第1〜第3工程における金属酸化物含有膜の好ましい成膜速度(第1〜第3成膜速度)は、特に制限されないが、特に酸化錫含有膜については、好ましくは、それぞれ以下のとおりである。
・第1成膜速度:500nm/min〜4000nm/min(より好ましくは800nm/min〜3800nm/min)
・第2成膜速度:3000nm/min〜20000nm/min(より好ましくは4500nm/min〜12000nm/min)
・第3成膜速度:2000nm/min〜8000nm/min(より好ましくは2500nm/min〜7000nm/min)
【0018】
第1工程で形成される層(第1層)は、バッファ層として機能する。バッファ層は、これに引き続いて形成される結晶の成長起点を増やし、金属酸化物含有膜の均一化に寄与する。結晶の成長起点が少ないと、個々の結晶が大きく成長することになり、その結果、膜厚や表面凹凸のバラツキが大きくなる。バッファ層の形成は、反応性が高い原料を用いる場合には特に効果がある。第2工程で形成される層(第2層)は、適切な表面凹凸を形成するために大きな成膜速度が適用される。第3工程で形成される層(第3層)は、第2工程で形成された層の表面の不均一性を緩和するために、第2工程よりも遅い速度で成膜される。
【0019】
金属酸化物含有膜、特に酸化錫含有膜の膜厚(総厚)は400nm以上、特に500nm以上、例えば500〜2000nmとすることが好ましい。また、本発明の製造方法は、所定速度で搬送されるガラスリボン上に金属酸化物含有膜を形成し、その後、このガラスリボンを切断して所定厚みのガラス板とする場合に特に適している。この場合、ガラス板の厚みは、特に制限されず、例えば1〜10mmであればよいが、比較的薄いガラス板、例えば1〜6mmを成形するために比較的速いラインスピードを適用する場合にも、本発明を適用すれば、上記程度に厚く、かつ均一性に優れた金属酸化物含有膜を得ることができる。
【0020】
本発明では、金属酸化物含有膜とともにその他の膜を形成してもよい。例えば、ガラス板またはガラスリボン上に、下地膜を形成し、その後、酸化錫含有膜などの金属酸化物含有膜を形成しても構わない。上記第1〜第3の工程が含まれている限り、これら3つの工程の前後に別の工程を追加した4以上の工程により、金属酸化物含有膜を形成してもよい。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態についてさらに説明する。図1に例示した透明導電膜付き基板では、ガラス板30上に、下地膜(第1下地層31、第2下地層32)、透明導電膜である酸化錫含有膜(第1層33、第2層34、第3層35)がこの順に積層されている。
【0022】
ガラス板30および下地膜31,32には、従来から知られている材料を用いればよい。例えば、代表的なガラス板30は、ソーダライムガラスである。ソーダライムガラスのようにアルカリ成分を含むガラス板を用いる場合には、下地膜を形成してアルカリ成分の拡散を防止するとよい。アルカリ成分を含有しない、あるいはアルカリ成分の含有量が少ないガラス、例えば、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスを用いる場合には、下地膜を形成する必要性は低い。しかし、この場合も、光学特性の調整などのために、下地膜を介在させてもよい。
【0023】
下地膜は、2層に限らず、1層のみからなっていても3以上の層から構成されていてもよい。第1下地層31は、好ましくは、酸化錫、酸化チタンなど結晶性の酸化物を主成分とする薄膜である。第2下地層32は、好ましくは、酸化珪素、酸炭化珪素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜である。なお、本明細書では、慣用のとおり、「主成分」を、50重量%以上を占める成分を意味する用語として用いる。これら下地層31,32の膜厚は、例えばそれぞれ20〜100nmとするとよい。1層のみからなる下地膜は、例えば、酸化珪素、酸炭化珪素、酸窒化珪素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とする薄膜とするとよい。
【0024】
酸化錫含有膜33,34,35は、好ましくは酸化錫を主成分とする結晶性の薄膜である。この膜は、電子顕微鏡で断面を観察しても、必ずしも図示したように3層に区分けして観察されるとは限らないが、図1では、便宜上3層に分けて示す。
【0025】
バッファ層として機能する第1層33の好ましい膜厚は、5nm〜500nm、特に30nm〜300nmである。バッファ層が厚すぎると、バッファ層を構成する結晶粒が大きく成長しすぎることがある。バッファ層が薄すぎると、下地膜などが部分的に露出して結晶粒の起点が十分に増加しないことがある。ただし、結晶粒成長の起点を増やすという目的が達成される限りにおいて、最初の成膜は、例えば金属または金属化合物の微粒子が分散した形態として観察される程度に(換言すれば連続した膜とならない程度に)ごく微量に行ってもよい。この場合は、微粒子の間隔を100μm以下とするとよい。
【0026】
第2層34の好ましい膜厚は、200nm〜2000nm、特に400nm〜1500nmである。塩化水素の事前添加(錫原料と酸化原料とを混合する前の添加)は、この層の成膜に適用すると特に効果が大きい。
【0027】
第3層35の好ましい膜厚は、100nm〜1500nm、特に100nm〜500nmである。この層35は、好ましくは酸化錫含有膜の表面層を構成する。
【0028】
これら各層33,34,35、特に第2層34および第3層35には、フッ素、アンチモンなどの不純物をドープして比抵抗を引き下げるとよい。
【0029】
図2に、本発明の実施に使用する装置の一例の概要を示す。この装置によれば、ガラスリボン上へのCVD法、いわゆるオンラインCVD法を実施できる。この装置では、溶融炉11で溶融したガラス原料がフロートバス12内へと流し込まれ、溶融錫15上で所定厚みのガラスリボン10へと成形される。フロートバス12内には、ガラスリボン10の上方に所定個数のコータ16(図示した形態では3つのコータ16a〜16c)が配置されており、これらコータ16から供給される成膜ガスにより、ガラスリボン10上に、複数の膜が順次堆積されていく。ガラスリボン10は、ローラ17により徐冷炉13へと引き上げられ、徐冷の後、さらに下流側で所定の大きさのガラス板へと切断される。
【0030】
図2に示した装置を用いて、ガラスリボン上に、下地膜などとともに酸化錫含有膜を順次成膜すれば、透明導電基体を効率良く製造できる。成膜時のガラスリボンの温度は、615℃以上、例えば620〜750℃が好適である。高温のガラスリボン、例えば650℃以上のガラスリボンを基体とすると、高い成膜速度、例えば6300〜20000nm/minの速度で成膜できる。
【0031】
各層の成膜に用いる原料は、従来から知られている原料を用いれば足りる。例えば酸化錫膜を形成するための錫原料としては、塩化第二錫(四塩化錫)、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、テトラメチル錫、テトラブチル錫、ジオクチル錫ジクロライド、モノブチル錫トリクロライド、ジブチル錫ジアセテートなどが挙げられる。ただし、上述の環境負荷を配慮すれば、四塩化錫などの無機錫塩化物が適している。無機錫塩化物を用いれば、膜中へのカーボンの混入を確実に抑制できるという利点も得られる。錫原料とともに供給すべき酸化原料としては、水蒸気、酸素などを用いればよい。
【0032】
フッ素を添加する場合には、成膜ガスに、フッ化水素、トリフルオロ酢酸、ブロモトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタンなどを、アンチモンを添加する場合には、成膜ガスに、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンなどを添加するとよい。
【0033】
各コータ16a〜16cへの塩化水素を含む成膜ガスの供給は、各コータへの配管を閉塞しにくくするため、長期間、安定したオンラインCVD法を実施する上でも有利である。長期間の成膜には、無機錫化合物を含むすべての成膜ガスに、塩化水素を添加するとよい。
【0034】
図1に示した透明導電膜付き基板は、その用途が限定されるわけではなく、従来から使用されてきた各種の用途、例えば建築物や車両のガラス窓、各種機器に組み込まれるガラス板(例えばコピー機の原稿読み取り台)に適用できる。ただし、本発明による透明導電膜付き基板は、光電変換装置用基板として特に適した特性を備えている。
【0035】
光電変換装置用基板として用いる場合、酸化錫含有膜の上には、光電変換ユニット、裏面電極などが適宜形成される。光電変換ユニットは、例えば非晶質シリコン系光電変換ユニットおよび結晶質シリコン系光電変換ユニットをこの順に積層したタンデム型としてもよいが、これに限らず単一のユニットから構成してもよい。
【0036】
非晶質シリコン系光電変換ユニットは、例えば、導電型決定不純物となるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非単結晶シリコン系層(p層)、真性非晶質シリコン層(i層;光電変換層)、導電型決定不純物となるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層(n層)を、この順に堆積して形成される。微結晶シリコン系層の好ましい膜厚は、3nm〜100nm、特に5〜50nmであり、真性非晶質シリコン層の好ましい膜厚は、0.05〜0.5μmである。真性非晶質シリコン層に代えて、非晶質シリコンカーバイド層、非晶質シリコンゲルマニウム層などを用いても構わない。真性非晶質シリコン層は、プラズマCVD法により基板温度を450℃以下として成膜するとよい。この層の導電型決定不純物原子の密度は1×1018cm−3以下が好ましい。
【0037】
結晶質シリコン系光電変換ユニットも、非晶質シリコン系光電変換ユニットと同様、例えばプラズマCVD法により、p層、i層、n層を順次堆積させて形成するとよい。このユニットの光電変換層(i層)となる結晶質シリコン系層は、非晶質シリコンからなる光電変換層よりも長波長域に分光感度のピークを有する。結晶質シリコン系層の好ましい膜厚は、0.1〜10μm、特に5μm以下が好ましい。この薄膜のプラズマCVD法による成膜は、例えば450℃以下という低い基板温度で行われるため、結晶粒界などにおける欠陥を終端または不活性化させる水素原子を比較的多く含んでいる。層中の水素含有量は、0.5〜30原子%、特に1〜20原子%が好適である。
【0038】
裏面電極は、従来と同様、アルミニウム、銀、金、銅、白金、クロムなどの金属層を用いればよい。この金属層と光電変換ユニットとの間に、ITO(indium tin oxide)、酸化錫、酸化亜鉛など導電性酸化物からなる層を介在させても構わない。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
いわゆるオンラインCVD法を利用して、ガラスリボン上に、下地膜および透明導電膜をこの順に成膜した。具体的には、フロートバス内がバス外よりもやや高圧に維持されるように、フロートバス空間内に98体積%の窒素と2体積%の水素とを供給した。この空間内には複数のコーターを配置した。
【0041】
最上流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)、水蒸気、塩化水素、窒素、ヘリウムからなる成膜ガスを供給し、ガラスリボン上に厚さ55nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)を形成した。引き続き、下流側のコータから、モノシラン、エチレン、酸素、窒素からなる成膜ガスを供給し、第1下地層上に厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)を形成した。
【0042】
さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)1.20mol%、水蒸気36.2mo1%、塩化水素0.06mo1%、残部が窒素からなる混合ガスを供給し、表面温度680℃の第2下地層上に、厚さ170nmの酸化錫からなる薄膜(バッファ層)を成膜速度3365nm/minで形成した。次いで、さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)4.1mo1%、水蒸気41.5mo1%、塩化水素0.2mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度630℃のバッファ層上に、膜厚412nmのフッ素含有酸化錫(SnO2:F)からなる導電層を成膜速度8155mm/minで形成した。引き続き、さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)2.5mo1%、水蒸気74.5mo1%、塩化水素0.5mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度620℃の導電層上に、膜厚248nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からなる表面層を成膜速度4909nm/minで形成した。
【0043】
なお、上記塩化水素は、すべて、水蒸気との混合前に塩化第二錫に混合して供給した。下地膜上の酸化錫含有膜を形成する成膜ガスにおける塩化第二錫に対する塩化水素のモル比は、いずれも1未満である。また、このときのガラスリボンの搬送速度は約440m/hr、ガラスリボン(ガラス板)の厚さは4mmとした。
【0044】
このガラスリボンを徐冷炉で徐冷した後に、さらに下流側で切断して透明導電膜付き基板を得た。この基板に白濁は見られなかった。この基板について、ガラス板を入射側としてヘイズ率を測定したところ、18%であった。
【0045】
上記で得た透明導電膜付き基板の酸化錫膜上に、モノシラン(SiH4)と水素とを原料としたプラズマCVD法により、合計厚さが0.3μmとなるようにp層、i層、n層からなる光電変換ユニットをこの順に成膜した。p層、n層には、それぞれB2H6、PH3を用いて、ホウ素およびリンをそれぞれ添加した。その後、スパッタリング法により厚さ300nmの銀薄膜(裏面電極)を形成し、薄膜型光電変換装置を得た。
【0046】
こうして得た光電変換装置について、AM1.5、100mW/cm2の条件で測定した変換効率は、9.6%であった。
【0047】
(比較例1)
実施例1と同様の装置を用いてオンラインCVD法を実施した。実施例1と同様にして、ガラスリボン上に厚さ50nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)と、厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)をこの順に形成した。
【0048】
ここでは、塩化水素を添加した成膜ガスを用い、酸化錫含有膜を同一条件で(ただし、1つのコータのみから成膜ガスを供給して)成膜することとした。塩化水素は、塩化第二錫と水蒸気とを混合してから添加した。特許文献2の実施例Dを参照して塩化第二錫に対する塩化水素のモル比を1.1とすると、酸化錫膜の成膜速度は塩化水素を混合しない場合と比較して1/3程度にまで大きく低下した。この場合、ガラスリボンの搬送速度を実施例1と同じとすると、膜厚を420nm程度以上とすることはできなかった。このため、塩化水素の濃度を低下させ、塩化第二錫に対する塩化水素のモル比を0.2にまで低下させて成膜を行った。この成膜ガスは、塩化第二錫(蒸気)3mo1%、水蒸気18mo1%、塩化水素0.6mo1%、残部が窒素およびフッ化水素からなる。その結果、平均膜厚520nmの酸化錫含有膜を得たが、広い範囲にわたり、ヘイズムラが発生した。
【0049】
さらに、この透明導電膜付き基板を用い、実施例1と同様にして、薄膜型光電変換装置を作製した。この光電変換装置からは、上記測定条件で、8.9%の変換効率が得られた。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様の装置を用いてオンラインCVD法を実施した。実施例1と同様にして、ガラスリボン上に厚さ50nmの酸化錫からなる薄膜(第1下地層)と、厚さ30nmの酸化珪素からなる薄膜(第2下地層)をこの順に形成した。
【0051】
さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)0.5mo1%、水蒸気42.4mo1%、残部窒素からなる成膜ガスを供給し、表面温度680℃の第2下地層上に、厚さ90nmの酸化錫からなる薄膜(バッファ層)を成膜速度1831nm/minで形成した。さらに下流側のコータから、塩化第二錫(蒸気)4.2mo1%、水蒸気63.7mo1%、残部窒素およびフッ化水素からなる成膜ガスを供給し、表面温度630℃のバッファ層上に、膜厚736nmのフッ素含有酸化スズ(SnO2:F)からなる導電層を成膜速度7488nm/minで形成した。
【0052】
こうして得た透明導電膜付き基板のヘイズ率は36%で、白濁は見られなかった。
【0053】
さらに、この透明導電膜付き基板を用い、実施例1と同様にして、光電変換装置を作製した。この光電変換装置からは、上記測定条件で、9.2%の変換効率が得られた。実施例1よりもヘイズ率が高い基板を用いながらも変換効率が劣ったのは、酸化錫含有膜の不均一性によるものと考えられる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、均一性に優れた表面凹凸を有する金属酸化物含有膜を備えた透明導電膜付き基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される透明導電膜付き基板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施に使用できる装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 ガラスリボン
11 熔融炉
12 フロートバス
13 徐冷炉
16 コータ
17 ローラ
30 ガラス板
31 第1下地層
32 第2下地層
33 酸化錫含有膜第1層
34 酸化錫含有膜第2層
35 酸化錫含有膜第3層
Claims (12)
- ガラス板と、前記ガラス板上に形成した多層膜とを含み、前記多層膜が透明導電膜として金属酸化物含有膜を含み、前記ガラス板を入射側として測定したヘイズ率が10%以上である透明導電膜付き基板の製造方法であって、
前記金属酸化物含有膜を3以上の工程により形成し、
前記3以上の工程が、第1成膜速度で前記金属酸化物含有膜の第1部分を形成する第1工程と、前記第1部分の上に第2成膜速度で前記金属酸化物含有膜の第2部分を形成する第2工程と、前記第2部分の上に第3成膜速度で前記金属酸化物含有膜の第3部分を形成する第3工程と、を含み、
前記第2成膜速度が、前記第1成膜速度および前記第3成膜速度のいずれよりも大きい透明導電膜付き基板の製造方法。 - 前記金属酸化物含有膜が酸化錫含有膜である請求項1に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記3以上の工程を、いずれも化学蒸着法により行う請求項1または2に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記化学蒸着法を、無機金属化合物および水蒸気を含む成膜ガスを用いて行う請求項3に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 少なくとも前記第2工程で用いる成膜ガスが、塩化水素をさらに含む請求項4に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記塩化水素を前記無機金属化合物および前記水蒸気から選ばれる少なくとも一方と混合した後に、前記無機金属化合物と前記水蒸気とを混合して前記成膜ガスを生成する請求項5に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記無機金属化合物に対する前記塩化水素のモル比を1未満とする請求項5または6に記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記第2工程で用いる成膜ガスにおける前記無機金属化合物に対する前記水蒸気のモル比が、前記第1工程で用いる成膜ガスにおける前記モル比、および前記第3工程で用いる成膜ガスにおける前記モル比とそれぞれ相違する請求項4〜7のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記第2成膜速度が、4500nm/min〜12000nm/minである請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記金属酸化物含有膜の膜厚を400nm以上とする請求項1〜9のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 前記金属酸化物含有膜を形成する前に下地膜を形成する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
- 所定速度で搬送されるガラスリボン上に前記金属酸化物含有膜を形成し、その後、前記ガラスリボンを切断して厚さ1mm〜10mmの前記ガラス板とする請求項1〜11のいずれかに記載の透明導電膜付き基板の製造方法。
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