以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)図1は本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1の側面図である。
図2はズームレンズ鏡筒1の構成を説明するための分解斜視図である。
図3は駆動ピン16を中心としたズームレンズ鏡筒1の断面図である。
図4はズームガイドポール34を中心としたズームレンズ鏡筒1の断面図である。
図5はカム枠15の第1の斜視図である。
図1に示すようにズームレンズ鏡筒1は、それぞれ鏡筒外部から視認可能な円筒状のマニュアルフォーカスリング10、マニュアルズームリング11、及び筐体としてのレンズベース12を有する。マニュアルフォーカスリング10及びマニュアルズームリング11はそれぞれレンズベース12に対して回動可能である。マニュアルフォーカスリング10には、露出する外周部に光軸方向Aに延びるストライプ状の凹凸が表面に形成された樹脂(ゴム)製のフォーカスゴムリング13が取り付けられている。一方、マニュアルズームリング11には、露出する外周部に光軸方向Aに延びるストライプ状の凹凸が表面に形成された樹脂(ゴム)製のズームゴムリング14が取り付けられている。これらゴムリング13、14はマニュアルフォーカスリング10、マニュアルズームリング11の感触をよくし、操作性を向上する機能を有するものである。
図2に示すように、光軸方向Aと同一方向の軸を有する円筒状のカム枠(第2の枠)15には、外周面から突出する駆動ピン16が設けられており、マニュアルズームリング11はその駆動ピン16を介してカム枠15に回動不能に結合されている。また、レンズベース12は本体枠(第1の枠)18に対して回動不能である。このため、マニュアルズームリング11をレンズベース12に対して回動させると、その回動に同調してカム枠15もレンズベース12(本体枠18)に対して回動する仕組みとなっている。
尚、カム枠15の端部にはカムギヤ15aが設けられており、図1に示すように、そのカムギヤ15aはズームレンズ鏡筒1から露出している。このため、組み立て製造時において、カムギヤ15aに電動モータで駆動される外付けギヤ(図示せず)を係合することにより、カム枠15を駆動することができる。従って、フォーカスレンズ(ズームレンズ鏡筒1においては第5レンズ群27)の位置補正を行うバックフォーカス調整の自動化が可能となり、組み立て効率を向上させることができる。
図2に示すように、カム枠(第2の枠)15は、カム枠15と同じ軸を有する円筒状の本体枠(第1の枠)18に対して回動可能且つ軸方向に実質的に移動不能に収納されている。本体枠18の一方の端面には第1群枠ユニット20が回動不能に取り付けられている。第1群枠ユニット20は、第1レンズ群19と、第1レンズ群19の周囲に設けられた樹脂製の第1群枠37とを有する。第1レンズ群19のさらに前方には本体枠18に取り付けられた、第1レンズ群19を保護するためのフロントベース49が設けられている。
図6はカム枠15の第2の斜視図である。
図6に示すように、カム枠15の本体枠18側端面には、本体枠18に向けて突出する矩形状の突起部15bが設けられている。一方、その突起部15bに対応して、本体枠18には切欠き部18aが設けられている。切欠き部18aは突起部15bよりも大きく構成されている。
図7はカム枠15が本体枠18に組み込まれている状態の部分側面図である。
図7に示すように、カム枠15が本体枠18に組み込まれている状態では、カム枠15に設けられた突起部15bは本体枠18に設けられた切欠き部18aに入り込んだ状態となっている。このため、カム枠15は所定範囲(図7に図示するカム移動範囲R)でのみ回動可能となる。従って、例えば、補修時などにおいて、マニュアルズームリング11が取り外された際にも、不用意なカム枠15の回転が規制され、カムピン42〜44がカム溝45〜47から脱落することが効果的に抑制される。
図8は枠ユニット22、24、26をカム枠15内へ挿入する際のカム枠15と本体枠18との関係を説明するための部分側面図である。
図8に示すように、枠ユニット22、24、26をカム枠15内へ挿入するときは、突起部15bは切欠き部18aに挿入されておらず、カム枠15が本体枠18に乗り上げている状態となっている。このため、カム枠15は本体枠18からD方向に突起部15bの光軸方向Aの長さ分だけ突出する。このように、本体枠18からカム枠15が突出することにより、枠ユニット22、24、26のカム枠15内への挿入が容易となる。 カム枠15に枠ユニット22、24、26を挿入した後、カム枠15が本体枠18に対して相対的に回転され、突起部15bが切欠き部18aに挿入される。そうすることによって、本体枠18から突出していたカム枠15の端面と本体枠18の端面とがほぼ面一となる。従って、中間枠30及びマスターフランジ31の取り付けが可能となる。
尚、中間枠30を本体枠18に取り付けることにより中間枠30に取り付けられた板ばね58によりカム枠15が光軸方向Aに付勢され、カム枠15が本体枠18に対して光軸方向Aに実質的に移動不能となる。
また、突起部15bが切欠き部18aに挿入されると、カム枠15は本体枠18に対して、回転方向に抜け止めされるようになっている。従って、板ばね58と切欠き部18aとにより光軸方向と回転方向との動きが規制される構成されている。このため、ズーミング状態において落下などの衝撃がズームレンズ鏡筒1に加わった場合であっても、カム枠15の本体枠18からの脱落を効果的に抑制することができる。
さらに、突起部15bが切欠き部18aに挿入されると、カムピン42〜44はカム溝45〜47のみに摺動して変位することが可能となり、カムピン42〜44がカム溝45〜47から挿入用カム溝51〜53に移動することが規制されるように構成されている。このため。ズーミング状態において落下などの衝撃がズームレンズ鏡筒1に加わった場合であっても、カム枠15からの枠ユニット22、24、26の脱落が効果的に抑制される。
本体枠18の他方の端面にはフォーカス駆動部29が回動不能に取り付けられている。
図9はフォーカス駆動部29の分解斜視図である。
図9に示すように、フォーカス駆動部29は本体枠18の端面に取り付けられた中間枠30と、第5レンズ群27及び第5レンズ群27の周囲に設けられた樹脂製の第5群枠41を備えた第5群枠ユニット28と、フォーカスステッピングモータ17と、マスターフランジ31とを有する。5つのレンズ群のうち最もマスターフランジ31に近い第5レンズ群27は主としてフォーカスレンズとしての機能を有する。中間枠30はマスターフランジ31と本体枠18とを連結させるための部材である。中間枠30の中央部分には中間枠開孔部30aが設けられており、第1レンズ群19〜第4レンズ群25を通過した光が第5レンズ群27を経由してマスターフランジ31に入射するように構成されている。
マスターフランジ31には、例えば電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化膜半導体(CMOS)といった撮像素子50が収納されている。撮像素子50は、入射した光を電気信号に変換し、変換された電気信号を外部に出力する機能を有する。
中間枠30には、対をなす第1フォーカスガイドポール32及び第2フォーカスガイドポール33が設けられている。第1フォーカスガイドポール32及び第2フォーカスガイドポール33はそれぞれ一端がマスターフランジ31によって固定されている。一方、第5群枠ユニット28は、開孔28bが設けられた筒状部28aと、開孔28cとを有する。比較的光軸方向Aに長い開孔28bには第1フォーカスガイドポール32が嵌合している。この第1フォーカスガイドポール32が主軸として機能し、第1フォーカスガイドポール32に直交する方向を軸とした第5群枠ユニット28の回動が規制されている。比較的光軸方向Aに短い開孔28cには第2フォーカスガイドポール33が嵌合している。第2フォーカスガイドポール33により第1フォーカスガイドポール32を軸とした第5群枠ユニット28の回動が規制されている。
第5群枠ユニット28には、第5群枠41とフォーカスステッピングモータ17とを連結するラック(図示せず)が設けられている。マニュアルフォーカスリング10が回動されると、フォトカプラ(図示せず)によりその回動が検出され、回動に応じた電気信号がフォーカスステッピングモータ17に入力される。その電気信号によりフォーカスステッピングモータ17が駆動される。それにより第5群枠ユニット28が光軸方向Aに変位され、フォーカシング(合焦)が行われる。勿論、撮像素子50の出力からのコントラスト検出によるオートフォーカス(AF)に基づくフォーカシングも可能となっている。
また、フォーカスステッピングモータ17にはモータの回転検出を行うエンコーダ(図示せず)が直結されており、フォーカスステッピングモータ17の回転速度を高めることができる。このため、マニュアルフォーカスリング10の回転に追従した素早いフォーカシングが可能となっている。
本体枠18の両端面に対面するように固定されている第1群枠ユニット20とフォーカス駆動部29との間には、カム枠15の内部を光軸方向Aに相互に並行に延びる第1ズームガイドポール34、第2ズームガイドポール35、及び第3ズームガイドポール36が設けられている。また、カム枠15の内部には第2群枠ユニット22、第3群枠ユニット24、及び第4群枠ユニット26が設けられている。
平面視略円形の第2群枠ユニット22は、第2レンズ群21と、第2レンズ群21の周囲に設けられた樹脂製の第2群枠38とを有する。また、外周端部には光軸方向Aの長さが比較的長い切欠き部22aと、同長さが比較的短い切欠き部22b及び22cとが設けられている。それら切欠き部22a〜22cのうち比較的長い切欠き部22aは主軸としての第1ズームガイドポール34と嵌合している。また、比較的短い切欠き部22bは第2ズームガイドポール35と嵌合している。切欠き部22cは第3ズームガイドポール36との干渉を防ぐための逃げ穴である。これらズームガイドポール34、35及び切欠き部22a、22bにより、第2群枠ユニット22は本体枠18に対して光軸方向Aに変位可能とされており、且つ光軸方向A以外の方向への変位・回動等が規制されている。
略円柱状の第3群枠ユニット24は、第3群枠39と、第3群枠の内部に収納された、光軸方向Aにそれぞれ垂直なヨー方向及びピッチ方向に変位可能に構成された第3レンズ群23を有しており、像ぶれ補正機能を有するものである。また、第3群枠ユニット24は、第3群枠39にねじ止めされたシャッタ48を有する。
第3群枠ユニット24の外周端部には、光軸方向Aの長さが比較的長い切欠き部24aと、同長さが比較的短い切欠き部24bとが設けられている。それら切欠き部24a、24bのうち比較的長い切欠き部24aは主軸としての第2ズームガイドポール35と嵌合している。また、比較的短い切欠き部24bは第1ズームガイドポール34と嵌合している。これらズームガイドポール34、35及び切欠き部24a、24bにより、第3群枠ユニット24は本体枠18に対して光軸方向Aに変位可能とされており、且つ光軸方向A以外の方向への変位・回動等が規制されている。また、切欠き部48bはシャッタに設けられた第3ズームガイドポール36の逃げ穴である。
第4群枠ユニット26は、第4レンズ群25と、第4レンズ群25の周囲に設けられた樹脂製の第4群枠40とを有する。また、外周端部には光軸方向Aの長さが比較的長い切欠き部26aと、同長さが比較的短い切欠き部26bとが設けられている。それら切欠き部26a、26bのうち比較的長い切欠き部26aは主軸としての第3ズームガイドポール36と嵌合している。また、比較的短い切欠き部26bは第1ズームガイドポール34と嵌合している。これらズームガイドポール34、36及び切欠き部26a、26bにより、第4群枠ユニット26は本体枠18に対して光軸方向Aに変位可能とされており、且つ光軸方向A以外の方向への変位・回動等が規制されている。
以上のように、第2群枠ユニット22は第1ズームガイドポール34を主軸とし、第3群枠ユニット24は第2ズームガイドポール35を主軸とし、そして第4群枠ユニット26は第3ズームガイドポール36を主軸としている。すなわち、枠ユニット22、24、26はそれぞれ異なるガイドポールを主軸としている。
主軸とされるガイドポール(以下、「主軸ガイドポール」とすることがある。)は主軸と直交する方向を軸とする回動を規制する機能を主として有するものである。このため、主軸ガイドポールには比較的光軸方向Aに長い切欠き部22a、24a、26aが嵌合される。従って、例えば、枠ユニット22、24、26の主軸ガイドポールが共通している場合は、光軸方向Aに比較的長い切欠き部22a、24a、26aを光軸方向Aに配置する必要がある。さらに、枠ユニット22、24、26のズーミング時の移動量を考慮して主軸ガイドポールの光軸方向には大きなスペースが必要である。その結果、ズームレンズ鏡筒の光軸方向Aの寸法が大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態1のように、枠ユニット22、24、26のそれぞれの主軸ガイドポールを相互に異ならしめることにより、切欠き部22a、24a、26aの相互干渉を考慮する必要がなくなり、光軸方向Aの寸法を小さくすることが可能となる。
また、主軸近傍に設けられたカムピン42〜44の位相の設計自由度を大きくすることが可能となり、各枠ユニット22、24、26のズームガイドポール34〜36に対する姿勢精度、カム枠15の組み立て性、カム枠15の成形性を合わせて向上することができる。
図10はカム枠15とカムピン42〜44との相関を表す模式図である。
図11はカム溝45〜47の位相及び軌跡を説明するためのカム枠15の展開図である。
図2や図10に示すように、枠ユニット22、24、26には、それぞれ主軸となるズームガイドポール34〜36の近辺にカムピン42〜44が設けられている。一方、カム枠15の内周面にはカムピン42〜44に対応したカム溝45〜47が設けられている。詳細には、第2群枠ユニット22は第1カムピン(レンズ用ピン)42を有する。第1カムピン42はカム枠15の内周面に設けられた第1カム溝(レンズ用溝)45に摺動自在に係合している。第3群枠ユニット24は第2カムピン43を有する。第2カムピン43はカム枠15の内周面に設けられた第2カム溝46に摺動自在に係合している。第4群枠ユニット26は第3カムピン44を有する。第3カムピン44はカム枠15の内周面に設けられた第3カム溝47に摺動自在に係合している。
カム溝45〜47は、カム枠15の周面上に、それぞれ光軸方向A(カム枠15の開孔方向)に角度をなすように延びるように形成されている。このため、カム枠15を本体枠18に対して回動されると、本体枠18に回動不能であると共にカム枠15に対して回動可能な枠ユニット22、24、26のそれぞれは、ズームガイドポール34〜36に案内されて光軸方向Aに変位するようになっている。具体的にカム溝45〜47は相互に別位相且つ別軌跡に形成されている。このため、カム枠15を本体枠18に対して相対的に回転させると、枠ユニット22、24、26はそれぞれ異なる動作でカム枠15に対して光軸方向Aに変位する。すなわち、カム枠15を相対的に回転させることにより、枠ユニット20、22、24、26、28相互間の距離及び枠ユニット20、22、24、26、28と撮像素子50との間の距離を変化させることができる。従って、カム枠15を本体枠18に対して相対的に回転させることにより、ズーム(変倍)可能となっている。
尚、本明細書においてカム溝の「軌跡」とはカム枠15の周面上の平面形状のことをいう。「同軌跡」とは、複数の軌跡のカム枠15の周面上の平面形状が相互に等しく、周回方向に移動させることにより完全に重なり合うことをいう。「別軌跡」とは、複数の軌跡のカム溝の周面上の平面形状が相互に異なることをいう。
また、本明細書においてカム溝の「位相」とはカム枠15の周面における周回方向の位置のことをいう。「同軌跡且つ別位相」とは、複数の軌跡のカム枠15の周面上の平面形状は相互に等しいものの、カム枠15の周面における周回方向の位置が相互に異なることをいう。
図11等に示すように、第2群枠ユニット22に設けられた第1カムピン42が摺動自在に係合する第1カム溝45はカム枠15の端部から離れた中央部にのみ設けられている。第1カム溝45の断面形状は約60度のテーパー形状となっている。第1カム溝45のマスターフランジ31側の端には、光軸方向Aと平行な第1挿入用カム溝51が連結形成されている。第1挿入用カム溝51は本体枠18の端面に至るように形成されている。この第1挿入用カム溝51はレンズ使用状態においては使用されない(第1カムピン42と係合しない)ものである。第1挿入用カム溝51は第2群枠ユニット22をカム枠15内に挿入する際に使用するものである。第1カムピン42を第1挿入用カム溝51の位置に合わせると、ズームガイドポール34〜36と切欠き22a〜22cとの位置が合うようになっている。このため、第1カムピン42を第1挿入用カム溝51の位置に合わせた状態で第2群枠ユニット22をカム枠15に挿入することができる。
また、第3群枠ユニット24に設けられた第2カムピン43が摺動自在に係合する第2カム溝46も、第1カム溝45と同様に、カム枠15の端部から離れた中央部にのみ設けられている。第2カム溝46のマスターフランジ31側の端には、光軸方向Aと平行な第2挿入用カム溝52が連結形成されている。第2挿入用カム溝52は本体枠18の端面に至るように形成されている。第2挿入用カム溝52は第3群枠ユニット24をカム枠15に挿入する際のみに使用するものである。第2カムピン43を第2挿入用カム溝52の位置に合わせると、ズームガイドポール35、36と切欠き24a、24bとの位置が合うようになっている。このため、第2カムピン43を第2挿入用カム溝52の位置に合わせた状態で第3群枠ユニット24をカム枠15に挿入することができる。
第4群枠ユニット26に設けられた第3カムピン44が摺動自在に係合する第3カム溝47もまた、第1カム溝45及び第2カム溝46と同様に、カム枠15の端部から離れた中央部にのみ設けられている。第3カム溝47のマスターフランジ31側の端には、光軸方向Aと平行な第3挿入用カム溝53が連結形成されている。第3挿入用カム溝53は本体枠18の端面に至るように形成されている。第3挿入用カム溝53は第4群枠ユニット26をカム枠15に挿入する際に使用するものである。第3カムピン44を第3挿入用カム溝53の位置に合わせると、ズームガイドポール34、35と切欠き26a、26bとの位置が合うようになっている。このため、第3カムピン44を第3挿入用カム溝53の位置に合わせた状態で第4群枠ユニット26をカム枠15に挿入することができる。
また、挿入用カム溝51〜53は光軸方向Aに対して平行な方向に延びるように設けられているため、枠ユニット22、24、26はそれぞれ回転させることなくカム枠15に挿入することができる。
また上記のような構成にすることによって、カム溝45〜47を相互に異なる位相で形成することができる。言い換えれば、カム枠15の内周面の周回方向に重ねて設けることができる。従って、カム枠15の光軸方向Aの長さ寸法を短くすることが可能となる。また、例えば、カム枠15が樹脂製であり、射出成形により形成する場合は、このようにカム溝45〜47の総長を短くすることにより樹脂成形性を向上することが可能となる。
図2に示すように、本体枠18には光軸方向Aに細長い開孔が設けられており、その開孔にリニアポジションセンサ54が取り付けられている。リニアポジションセンサ54にはカム枠15方向(半径方向)に突出するセンサ用ピン55が連結されている。リニアポジションセンサ54は、そのセンサ用ピン55の光軸方向Aの移動量に応じて電気抵抗値が変化する仕組みになっていて、センサ用ピン55の本体枠18に対する光軸方向Aの相対位置を検出する機能を有する。
尚、センサ用ピン55は本体枠18に回動不能に取り付けられたリニアポジションセンサ54に対して回動不能に取り付けられている。すなわち、センサ用ピン55は本体枠18に対して回動不能である一方、カム枠15に対して回動可能である。
図12はリニアポジションセンサ54と第1カムピン42との関係を説明するための断面図である。
図13はセンサ用溝56を説明するための側面図である。
図14は第1カムピン42付近の拡大断面図である。
図12及び図13に示すように、カム枠15の外周面には光軸方向に鋭角をなす方向に延びる螺旋状のセンサ用溝56が設けられている。センサ用溝56は断面形状が約60度のテーパー状となるように形成されている。センサ用ピン55はそのセンサ用溝56に摺動自在に係合している。
本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1では、第1カム溝45とセンサ用ピン55が係合するセンサ用溝56は同位相且つ同軌跡である。そして、第1カム溝45とセンサ用溝56とはカム枠15の周壁を貫通する貫通孔57を介して相互に連通連結されている。このような構成にすることによって、第1カムピン42とセンサ用ピン55とを直接連結することが可能となる。従って、第1カム溝45やセンサ用溝56の形成精度に関わらず、第2群枠ユニット22の相対位置を直接検出することが可能となるため、さらに高い位置検出が可能となる。
具体的に、ズームレンズ鏡筒1では、図13、図14に示すように、センサ用ピン55はセンサ用溝56に摺動自在に係合する略円錐台状の係合部55aと、係合部55aの頂面から、放線方向に伸びる連結部55bを有する。一方、略円錐台状の第1カムピン42の頂面には連結部55bの形状に対応した凹部42aが設けられている。そして、連結部55bと凹部42aとは結合している。このため、本実施形態1においては、第1カムピン42とセンサ用ピン55とは連結一体化されており、センサ用溝56に沿って連動移動するように構成されている。従って、リニアポジションセンサ54により第2群枠ユニット22、及び第2レンズ群21の位置を直接的に検出することができる。
尚、センサ用溝56は第1カム溝45に対応した部分にのみ設ければよく、第1挿入用カム溝51に対応した部分には設ける必要は必ずしもない。このため、本実施形態1では、第1カム溝45に対応した部分にのみ貫通孔57が設けられている。しかし、組み立て状の観点等から、センサ用溝56及び貫通孔57を第1挿入用カム溝51に対応した部分にも設けてもよい。
尚、本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1では、カム溝45〜47がカム枠15の内周面に設けられており、センサ用溝56がカム枠15の外周面に設けられている。すなわち、本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1では、レンズ群21がカム枠15内に設けられ、リニアポジションセンサ54はカム枠15外に設けられており、レンズ群21とリニアポジションセンサ54とが相互に離間されている。
一般的にリニアポジションセンサ54は電気基板上をブラシが摺動する構成となっており、使用により樹脂紛や金属粉といった微細なゴミが発生する。このため、リニアポジションセンサ54とレンズ群21とがカム枠15によって離間されていない場合、例えば双方がカム枠15内部に設けられている場合は、使用によって発生したゴミがレンズ群21に付着するおそれがある。しかしながら、本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1のように、カム枠15によってレンズ群21とリニアポジションセンサ54とを相互に離間させておくことによって、リニアポジションセンサ54から排出されるゴミがレンズ群21に付着することが効果的に抑制される。
以下、図12、13を参照しながら、本実施形態1に係るリニアポジションセンサ54による位置検出についてさらに詳細に説明する。
上述の通り、第1カム溝45とセンサ用溝56とは同位相且つ同軌跡である。このため、例えば、カム枠15を樹脂の射出成形により形成する場合であっても、比較的凹凸部分が少ないので、成形性が高く、高精度な成形が可能である。また、凹凸部分を少なくすることによって、カム枠15の強度劣化を抑制することも可能である。
ズームレンズ鏡筒1では、相互に連結された第1カム溝45とセンサ用溝56とは、例えば図13に示すように、ほぼ直線に近い軌跡となっている。すなわち、カム枠15を本体枠18に対して回転させたときの第1カムピン42の光軸方向Aの移動量に対するセンサ用ピン55の移動量の比(以下、「移動量比」とする。)が第1カム溝45の全領域において一定となるように形成されている。このため、第1カム溝45の全範囲において、一定の分解性能で位置検出可能となっている。
尚、図14に示すように、センサ用溝56は第1カム溝45よりも狭い溝形状とされている。このため、カム枠15の外側において、リニアポジションセンサ54等のゴミ等が発生した場合であっても、センサ用溝56からカム枠15の内部にゴミ等が進入することが効果的に抑制される。
以下、図面を参照しながら、本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1の使用例について説明する。ズームレンズ鏡筒1はデジタルカメラ(DSC)や銀塩カメラ等のスチルカメラ、デジタル又はアナログのビデオカメラ等に好適に使用することができる。
図15はズームレンズ鏡筒1が組み込まれたカメラ(撮像装置)2の平面図である。
カメラ2は、カメラ本体60と、カメラ本体60の正面に組み込まれたズームレンズ鏡筒1とを有する。ズームレンズ鏡筒1のうちフォーカス駆動部29はカメラ本体60の内部に収納されている。カメラ本体60の上面にはシャッタボタン61が設けられている。一方、カメラ本体60の背面角部にはファインダ62が設けられている。
上述のように、ズームレンズ鏡筒1によれば、正確なズーム位置検出が可能である。このため、カメラ2によれば、露出やストロボ光等を高精度に制御することができる。
尚、本実施形態1において、レンズ群19、21、23、25、27はそれぞれ1枚のレンズにより構成されていてもよく、また、複数のレンズにより構成されていてもよい。
(実施形態2)図16はカム溝45〜47及びセンサ用溝56の位相及び軌跡を説明するためのカム枠15の展開図である。
図17はカム枠15の一部を拡大した部分断面図である。
本実施形態2に係るズームレンズ鏡筒3は、実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1とセンサ用溝56の構成を除いては同様の構成を有する。以下、本実施形態2に係るズームレンズ鏡筒3のセンサ用溝56に関して、図16、17を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態2の説明において、図1〜4は実施形態1と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
本実施形態2に係るズームレンズ鏡筒3では、第1カム溝45とセンサ用溝56とは別位相であると共に、相互に異なる軌跡を有する。この構成によれば、第1カム溝45の位相及び軌跡に関わらずセンサ用溝56の軌跡や位相を設計することができる。従って、設計自由度を向上することができる。
具体的に、センサ用溝56は第1カム溝45よりも光軸と大きな角度をなしている。すなわち、第1カム溝45及びセンサ用溝56は、カム枠15を本体枠18に対して回転させたときのセンサ用ピン55の光軸方向Aの移動量が、第1カムピン42の同移動量(光軸方向の移動量)よりも小さくなるように形成されている。このため、センサ用溝56の長さを第1カム溝45の長さよりも短くすることができる。従って、検出範囲の短いリニアポジションセンサ54の利用が可能となり、光軸方向Aの寸法が短いズームレンズ鏡筒3を実現することが可能となる。また、センサ用溝56の長さを短くすることで、カム枠15に形成される溝の合計長さを短くすることができる。このため、成形性の高いカム枠15を実現することができる。
図17に示すように、センサ用溝56は断面形状が約60度のテーパー状となるように形成されている。センサ用ピン55はそのセンサ用溝56に摺動自在に係合している。一方、第1カム溝45も断面形状が約60度のテーパー状となるように形成されている。そして、その第1カム溝45に第1カムピン42が摺動自在に係合している。従って、カム枠15が本体枠18に対して相対的に回動すると、カム枠15の内周面に設けられた第1カム溝45に沿って第1カムピン42及び第2群枠ユニット22が本体枠18に対して光軸方向Aに相対的に変位する。それと共に、その動作に連動してセンサ用溝56に沿ってセンサ用ピン55が光軸方向Aに相対的に変位する。そして、そのセンサ用ピン55の光軸方向Aの変位量がリニアポジションセンサ54によって検出される。
図18は第1カムピン42の変位量と第2群枠ユニット22(第2レンズ群21)の変位量との相関を説明するための概念図である。詳細に図18中、(a)はワイド(広角)時の第2群枠ユニット22の位置を表す。(b)はテレ(望遠)時の第2群枠ユニット22の位置を表す。破線で示した(c)は第2群枠ユニット22のカム枠15の挿入位置を表す。
図18に示すように、第1カムピン42と第2レンズ群21とは双方とも第2群枠ユニット22に取り付けられており、相対的に変位不能である。このため、例えば(a)で示す位置から(b)で示す位置まで第2群枠ユニット22が移動した場合の第1カムピン42の移動量は第2レンズ群21の移動量と等しくなる。
また、本実施形態1のように、第1カム溝45とセンサ用溝56とが同軌跡である場合、第1カムピン42の移動量とセンサ用ピン55の移動量とは相互に等しくなる。従って、センサ用ピン55の移動量を検出することにより第2レンズ群21の移動量を検出することができる。このため、第2レンズ群21の位置を直接的且つ高精度に検出することが可能となる。
上述の通り、従来の固定枠の内部に貼着された、エンコーダパターンが形成されたフレキシブル印刷回路(FPC)と、カム枠のFPCと対向する位置に設けられたブラシとを用いて、カム枠の固定枠に対する回転量を検出する方法では、固定枠へのFPCの貼り付け誤差やカム枠と固定枠との組み立て誤差等により高精度な位置検出が困難である。しかし、第1カム溝45及びセンサ用溝56であれば、例えば、樹脂の射出成形や金属のプレス成形により、カム枠15の作成と同時に、高精度に形成可能である。また、第1カム溝45とセンサ用溝56とは同一のカム枠15に形成されているため、位置検出精度にズームレンズ鏡筒1の組み立て誤差等もほぼ影響しない。このため、本実施形態1に係るズームレンズ鏡筒1では、高精度な位置検出が可能となる。
より高精度な位置検出を可能にする観点から、第1カムピン42と第1カム溝45との係合あそびをより少なく、言い換えれば、第1カム溝45の溝幅と第1カムピン42の幅とをより近寄らせることが好ましい。同様に、センサ用ピン55とセンサ用溝56との係合あそびをより少なく、言い換えれば、センサ用ピン55の幅とセンサ用溝56の溝幅とをより近寄らせることが好ましい。
また、ズームレンズ鏡筒1は、比較的高価なFPC等を必要とせず、安価に作成が可能である。
上述のように、本実施形態2では、センサ用溝56と第1カム溝45とは別位相且つ別軌跡であるとと共に、センサ用溝56と第1カム溝45とを連通連結する貫通孔が形成されていない。
センサ用溝56と第1カム溝45とが貫通孔により連通連結されていると、例えば、樹脂の射出成型によりカム枠15を形成する場合、その貫通部分で成型時において樹脂の流れが阻害される。このため、成型性が低下し、高精度に成型されたカム枠15を得ることが困難となる。本実施形態2に係るズームレンズ鏡筒3のように、センサ用溝56と第1カム溝45とを別個に形成し、カム枠15の周壁を貫通する貫通孔をなくすことにより、例えば、樹脂の射出成型によりカム枠15を形成する場合にも、高い成型性を実現することができる。従って、高精度に成型されたカム枠15を比較的容易に得ることが可能となる。
(その他の実施形態)上記実施形態1では、ズームレンズ鏡筒1はマスターフランジ31(すなわち撮像素子50)を有しているが、本発明において、マスターフランジ31(撮像素子50)は必須の構成ではない。本発明に係るズームレンズ鏡筒は、例えば、マスターフランジ31を有さない、例えばレンズ交換可能な一眼レフカメラ等に接続されるものであってもよい。すなわち、本発明に係るズームレンズ鏡筒は、レンズ一体型の所謂コンパクトカメラ、及びレンズの脱着が可能な、例えば一眼レフカメラ等の双方に好適に用いられるものである。
上記実施形態1では、センサ用溝56がカム枠15の外周面に設けられており、枠ユニット用のカム溝がカム枠15の内周面に設けられているが、例えば、センサ用溝56をカム枠15の内周面に設け、枠ユニット用のカム溝をカム枠15の外周面に設けてもよい。この構成では、リニアポジションセンサ54をカム枠15内のデッドスペースに配置することができるため、ズームレンズ鏡筒1のさらなる小型化が望める。
上記実施形態1及び2では、センサ用溝56は移動量比が一定となるように形成されている。さらに具体的には、センサ用溝56及び第1カム溝45はそれぞれほぼ直線状に形成されており、カム枠15を本体枠18に対して回転させたときの、センサ用ピン55の光軸方向Aの移動量と第1カムピン42の同移動量とが略同一とされている。このような構成をとることにより、全ズーム領域においてほぼ同一の検出精度が実現される。
しかしながら、センサ用溝56及び第1カム溝45をそれぞれ非線形に形成してもよい。また、センサ用溝56を移動量比が相互に異なる部位を有するように形成してもよい。
ズーム位置検出の精度は移動量比と相関し、移動量比を小さくするにつれて位置検出精度も向上する。従って、高精度なズーム位置検出が必要とされる領域において、移動量比を比較的小さくし、それ以外の部分では、移動量比を比較的大きくしてもよい。具体的には、高精度な位置検出が望まれる望遠領域(テレ領域)において、移動量比を比較的小さくする一方、望遠領域よりは高精度な位置検出を必要としない広角領域(ワイド領域)において、移動量比を比較的大きくしてもよい。そうすることによって、センサ用溝56の全長を比較的短く保ったまま、比較的高精度な位置検出が望まれる領域(例えば望遠領域)における高精度な位置検出を実現することが可能となる。