JP4738937B2 - 電子写真用弾性ローラ - Google Patents

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Description

本発明は、主として複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置の現像装置に好適に用いられる電子写真用弾性ローラに関する。
前記技術分野におけるローラは、電子写真方式の帯電ローラ、現像ローラ及び定着ローラ等の用途で使用されており、それぞれの用途に対して、要求特性は異なっている。例えば、現像ローラは感光体などの静電潜像担持体へトナーを搬送する機能を有するものである。現像ローラは、通常SUS製やアルミニウム合金製などの導電性シャフトの周りに弾性層を同心円状に積層し、この弾性層の上に被覆層を形成して構成される。通常の現像装置において、トナー容器に貯蔵されたトナーが、供給ローラによって現像ローラ表面に供給、担持され、規制ブレードなどの規制部材により押圧され接触帯電・摩擦帯電し、トナー薄層が現像ローラ上に形成される。このトナー薄層が感光体の表面に形成された、静電潜像に付着することによって、トナー像が形成されることにより、画像の現像が行われる。現像ローラや供給ローラ、規制ブレードには、これら表面電位を調整すべく、直流電圧や交流電圧が印加されている場合が多い。なお、現像現像方法には、現像ローラ表面を感光体と接触して用いる接触現像方式及び非接触にする非接触現像装置が通常用いられる。このような現像ローラには、(1)トナーを適度に接触帯電・摩擦帯電させ、(2)規制部材やトナーなどにその表面を押圧されるときのために、適度な弾力性を備え、(3)トナーがその表面にこびりつく現象、いわゆるトナーフィルミングが生じないように、表面層が適度なトナー離型性を備え、(4)高温度・高湿度環境下でも、トナー帯電量やローラ抵抗の低下が生じずに安定した特性を維持し、(5)長期使用時に被覆層の剥離などが起こらないことなどが要求される。
上記要求特性を満足する現像ローラとして、特許文献1には、導電性弾性層上に、ポリエーテル骨格を有するポリウレタン樹脂からなる表面層が形成されたローラが記載されている。
特開平09−292754号公報。
上記のポリエーテル骨格を有するポリウレタン樹脂からなる表面層を有するローラを、カラーLBP用の現像ローラとして用いた際、初期には非常に良好な画像が得られるのに対し、出力枚数が増加するにつれ、被覆層の剥離等ローラの破壊が起こり、画像品質が低下する為、弾性層と被覆層または最外層を設ける場合は被覆層と最外層が充分な粘接着強度を保持することでローラの長期耐久性を確保する必要がある。
上記課題を解決するために本発明の発明者らは鋭意検討を重ねた結果、電子写真用弾性ローラの弾性層と被覆層の間に、熱可塑性エラストマー及びカップリング剤を含有する層を設けることで、長期間使用した場合の被覆層の剥離等による画像品質の低下を大幅に抑制でき、長期耐久性を確保できることを見いだし本発明に至った。
(1)本発明の第1は、
金属支持部材と、該支持部材外周面上に形成された弾性層と、その外周面上に形成された中間層と、さらにその外周面上に形成された少なくとも1層以上からなる被覆層とからなる電子写真用弾性ローラであって、前記中間層が少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー樹脂及び少なくとも1種類のカップリング剤を含む層を有することを特徴とする、電子写真用弾性ローラ、
である。
(2)本発明の第2は、
前記中間層が反応性官能基を有するスチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする(1)に記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(3)本発明の第3は、
前記中間層が、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(4)本発明の第4は、
(3)に記載の、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂の酸平均濃度が0.1〜20mgCH3ONa/gであることを特徴とする、(3)に記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(5)本発明の第5は、
前記中間層が、少なくとも一部が炭素間不飽和結合を有する官能基で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(6)本発明の第6は、
前記中間層がチタネート系カップリング剤及び/またはシランカップリング剤を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(7)本発明の第7は、
該中間層が、熱可塑性エラストマー樹脂100重量部に対して、カップリング剤を100〜1000重量部の割合で有することを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(8)本発明の第8は、
前記被覆層の少なくとも1層が、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(9)本発明の第9は、
前記被覆層が、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(10)本発明の第10は、
該被覆層中の、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂の酸平均濃度が0.1〜20mgCH3ONa/gであることを特徴とする(9)に記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(11)本発明の第11は、
前記被覆層が、
酸及び/または酸無水物で変成されていないスチレン系熱可塑エラストマー
及び/または
オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする、(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(12)本発明の第12は、
前記電子写真用弾性ローラの最外層にウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(13)本発明の第13は、
(1)に記載の弾性層が、
(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体
(B)分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
(C)ヒドロシリル化触媒
(D)導電性付与剤
を必須成分とする硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(14)本発明の第14は、
前記(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が分子末端に含有されていることを特徴とする(13)に記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(15)本発明の第15は、
前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする(13)〜(14)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
(16)本発明の第16は、
前記電子写真用弾性ローラがトナーと接触して使用されることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ、
である。
本発明の弾性ローラを用いれば、電子写真方式に用いられる感光体等の部材との摩擦や接触によって起こる、被覆層の弾性層からの剥離を防ぐことが可能となり、弾性ローラの長期間使用への耐久性を改善することができる。
本発明の第1は
「金属支持部材と、該支持部材外周面上に形成された弾性層と、その外周面上に形成された中間層と、さらにその外周面上に形成された少なくとも1層以上からなる被覆層とからなる電子写真用弾性ローラであって、前記中間層が少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー樹脂及び少なくとも1種類のカップリング剤を含む層を有することを特徴とする、電子写真用弾性ローラ」
である。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂およびカップリング剤からなる接着剤層(中間層)を、弾性層と被覆層との間に設けることにより、弾性層とカップリング剤により化学結合を形成した接着剤層(中間層)と、さらにその接着剤層(中間層)に、被覆層を構成する樹脂組成物と相溶性の極めて高い熱可塑性エラストマー樹脂を利用することで接着強度の向上が可能となる。さらに熱可塑性エラストマー樹脂中のカップリング剤の分散を向上させるために2種類以上のカップリング剤を使用することや、熱可塑性エラストマー樹脂に任意の官能基を装飾することもできる。
従って、本発明の弾性ローラを用いることで、弾性層と被覆層間の接着強度が従来技術と比べて大幅に向上し、弾性ローラの長期間使用の耐久性を著しく向上させるという効果がある。
以下、本発明に係る電子写真用弾性ローラの代表的な種々の実施例を説明する。
図1は、本発明に係る電子写真用弾性ローラの断面説明図である。この現像ローラ1は、直径1mm〜25mm程度のSUS(ステンレス鋼)、アルミニウム合金または導電性樹脂などからなる導電性シャフト1の周りに、弾性層2が設けられ、この弾性層2の上に被覆層3が形成されたものである。
表面層被覆後のローラ抵抗は104Ω〜1010Ω、好ましくは104Ω〜108Ωの範囲内となるように調節する。これは、ローラ抵抗が104Ω未満であると、現像ローラ表面からリーク電流などが生じ、ローラ抵抗が1010Ωを超えると、トナーフィルミングなどが生じ易くなり、画質が低下するからである。このローラ抵抗値は、現像ローラを金属プレートに水平に当て、前記導電性シャフトの両端部の各々に500gの荷重を金属プレート方向に加え、シャフトと金属プレート間に直流電圧100ボルトを印加して測定される値である。
また本発明に係る接着剤組成物には、熱可塑性エラストマーを含有する。該熱可塑性エラストマーには、構造中に反応性官能基を有することが好ましい。官能基は酸及び/または酸無水物や不飽和結合を有することが好ましい。酸及び/または酸無水物は、特にカルボキシル基及び/または酸無水物であることが好ましい。前記官能基の存在によって弾性層と化学的な結合を構成し接着強度が増大するものと考えられる。酸及び/または酸無水物を含有するスチレン系熱可塑性エラストマーを使用する場合、その平均酸濃度は、樹脂1gを溶かした溶液を、ナトリウムメトキシドで滴定した数値で表し、0.1〜20mgCH3ONa/gであることが好ましく、特に5〜15mgCH3ONa/gが接着強度と機械的強度の観点からより好ましい。酸濃度が低すぎると、被覆層と弾性層及び最外層との接着強度が低下するために弾性層と被覆層との間で剥離が起こり、ローラの耐久性が低下する。また酸濃度が高すぎると、ゴム弾性及び機械的強度が低下する。また、前記樹脂組成物には、弾性層および被覆層への化学反応触媒や樹脂の硬化を目的とした任意の触媒を使用しても構わない。
本接着剤組成物に使用されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン・ブタジエンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・2−メチルプロペンの共重合体、スチレン・ブタジエン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、及びこれら重合体にエチレンを共重合したものを酸及び/または酸無水物で変成したものなどが挙げられる。これらの共重合体または共重合体ゴムは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体いずれでもよく、その製造法や形状は特に限定されないが、良好なゴム弾性を得るには、ブロック共重合体が好ましく、スチレン−ブタジエン−スチレンの共重合体およびその水素添加物(略称SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンの共重合体およびその水素添加物(略称SEPS)、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンの共重合体およびその水素添加物(略称SEEPS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンの共重合体およびその水素添加物(略称SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(略称SIBS)を酸及び/または酸無水物で変成したものなどが挙げられる。また、重合するスチレンモノマーには官能基が置換されたものであっても構わない。スチレン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が20,000〜300,000、ゴム弾性、機械的強度、加工性の観点から、20,000〜150,000で好適に用いられる。分子量が20,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、300,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また塗布後の被覆部にひび割れが生じる。また、スチレン含有量は5〜50重量%が好ましく、特に15〜30重量%が加工性や膜硬度の観点からより好ましい。スチレン含有量が多くなると、硬度が高くなり膜形成が困難であり、また、含有量が少なくなると、溶液粘度が高くなり加工性が低下する。
また本発明に係る接着剤組成物には、カップリング剤を含有する。該カップリング剤としては、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属表面上及び/またはポリオレフィン系プラスチック表面上のヒドロキシル基等の官能基と反応して該表面の親和性を改良するものであり、例えばチタネート系カップリング剤やシランカップリング剤があり、単独で用いても複数のカップリング剤を併用しても構わない。
本発明で使用するチタネート系カップリング剤は、分子中に親水性官能基と、疎水性官能基を有するものを使用する。親水性官能基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられるが、湿気や空気に対する安定性と取り扱いの観点からn−ブトキシ基、t−ブトキシ基が好ましい。また疎水性官能基としては例えば、ステアリル基、ホスファイト基、ホスフェイト基、スルホニル基等が使用可能である。
本発明で使用するシランカップリング剤は、分子中に親水性官能基と、反応性の官能基を有するものを使用する。親水性官能基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。反応性官能基としては、グリシジル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられるが、弾性層や被覆層との化学的な結合を構成し得るという点からグリシジル基、ビニル基を含有するシランカップリング剤が特に好ましい。また、前記カップリング剤には、弾性層および被覆層への化学反応触媒を目的とした任意の触媒等の添加剤を使用しても構わない。
本発明で使用する接着剤組成物は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、カップリング剤が100重量部以上の割合で添加されることで耐久性を満足する接着強度を得ることができるが、さらに250〜500重量部がより好ましい。カップリング剤量が少なくなると、接着強度が低下するとともに、ローラ抵抗の制御が困難となる。またカップリング剤量が多くなると、カップリング剤由来の固形物が析出しやすくなり、作業性の低下の原因となる可能性がある。
本発明の接着剤組成物の塗布方法としては特に制限は無いが、導電性シャフトの周りに形成された弾性層の外周面上に、接着剤組成物をスプレー塗布、ディップ塗布、スポンジ塗布等の方法を用いて所定の量を塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、接着層を形成することができる。具体的には、前記接着剤組成物として使用されるスチレン系熱可塑性エラストマー及び/又はカップリング剤を溶剤に溶かして固形分濃度を1〜20%にしてスプレー塗布する方法が簡便である。使用する溶剤としては用いる接着剤組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー及び/又はカップリング剤が相溶すれば特に制限は無く、具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が例示されるが、特にスチレン系熱可塑性エラストマーを相溶するトルエン、キシレン、ヘキサン等が好適に用いられる。ここで、接着剤の乾燥温度としては、20〜200℃が好ましく、さらに弾性層のゴム特性維持の観点から、20〜100℃が特に好ましい。
本発明に係る被覆層に使用される成分は構造中に酸及び/または酸無水物を有するスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有するものである。本発明に用いられる樹脂を変成する置換基は特に限定されないが、酸及び/または酸無水物が好ましく、特にカルボキシル基及び/またはその酸無水物を有していることが好ましい。該官能基の存在によって弾性層との接着強度が増大するものと考えられる。さらに、該被覆層上に最外層を設ける場合、被覆層と最外層との接着強度が増大するものと考えられる。また、該官能基の存在によって、導電性付与剤や各種フィラー等の添加剤を樹脂中に分散させることが可能であり、それによって抵抗調整や表面形状の調整が容易になる。また、該樹脂の平均酸濃度は、樹脂1gを溶かした溶液を、ナトリウムメトキシドで滴定した数値で表し、0.1〜20mgCH3ONa/gであることが好ましく、特に5〜15mgCH3ONa/gが接着強度と機械的強度の観点からより好ましい。酸濃度が低すぎると、被覆層と弾性層及び最外層との接着強度が低下するために弾性層と被覆層との間で剥離が起こり、ローラの耐久性が低下する。また酸濃度が高すぎると、ゴム弾性及び機械的強度が低下する。
本発明の被覆層に使用される酸及び/または酸無水物を有するスチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン・ブタジエンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・2−メチルプロペンの共重合体、スチレン・ブタジエン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、及びこれら重合体にエチレンを共重合したものに酸及び/または酸無水物で変成したものなどが挙げられる。これらの共重合体または共重合体ゴムは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体いずれでもよく、その製造法や形状は特に限定されないが、良好なゴム弾性を得るには、ブロック共重合体が好ましく、スチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEPS)、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEEPS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(略称SIBS)を酸及び/または酸無水物で変成したものなどが挙げられる。また、重合するスチレンモノマーには官能基が置換されたものであっても構わない。スチレン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が50,000〜300,000、ゴム弾性、機械的強度、加工性の観点から、70,000〜150,000で好適に用いられる。分子量が50,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、300,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また塗布後の被覆層のひび割れが生じる。また、スチレン含有量は5〜50重量%が好ましく、特に15〜30重量%が加工性や膜硬度の観点から好ましい。ポリスチレン含有量が多くなると、硬度が高くなり膜形成が困難であり、また、含有量が少なくなると、溶液粘度が高くなり加工性が低下する。
また本発明に係る被覆層には、必要に応じて酸及び/酸無水物で変成されていないスチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を併用しても構わない。その場合、被覆層樹脂成分中に含まれる樹脂の割合は任意であるが、0〜90重量%が好ましく、特に15〜85重量%が好ましい。樹脂の割合が低すぎると膜硬度が高くなりやすく、トナーストレスが大きくなり品質低下の原因となる。また、樹脂の割合が高すぎると、接着強度が低下する。また、導電性付与剤やフィラーの被覆層樹脂成分への分散性が低下する。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・ブタジエンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・2−メチルプロペンの共重合体、スチレン・ブタジエン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、及びこれら重合体にエチレンを共重合したものなどが挙げられる。良好な弾性を得るには、ブロック共重合体であることが好ましく、スチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEPS)、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEEPS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(略称SIBS)などが挙げられる。また、重合するスチレンモノマーには官能基が置換されたものであっても構わない。スチレン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が50,000〜300,000、ゴム弾性、機械的強度、加工性の観点から、70,000〜150,000で好適に用いられる。分子量が50,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、300,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また塗布後の被覆層のひび割れが生じる。また、スチレン含有量は5〜50重量%が好ましく、特に15〜30重量%が好ましい。ポリスチレン含有量が多くなると、硬度が高くなり膜形成が困難であり、また、含有量が少なくなると、溶液粘度が高くなり加工性が低下する。
本発明の被覆層に使用されるオレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体が挙げられる。これら共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のどれでも良く、硫黄、過酸化物等により架橋しても構わない。オレフィン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が50,000〜500,000、ゴム弾性、機械的強度、塗布性の観点から、70,000〜300,000で好適に用いられる。分子量が50,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、500,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また塗布後の被覆層のひび割れが生じる。また、エチレン含有量は30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%のものが好適に用いられる。
また、被覆層を構成する樹脂組成物には抵抗調整、表面形状の調整あるいは弾性層に対する接着性等の観点から、導電性付与剤、各種フィラー等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
本発明の被覆層の形成方法としては特に制限はないが、導電性シャフトの周りに形成された弾性層の外周面上に、被覆層を構成する樹脂組成物をスプレー塗布、ディップ塗布、ロールコート等の方法を用いて所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥、硬化させることにより、被覆層を形成することができる。具体的には、前記被覆層として使用されるスチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマーを溶剤に溶かして固形分を3〜20%にしてスプレーあるいはディップ塗布する方法が簡便である。使用する溶剤としては用いる被覆層の主成分である熱可塑性エラストマーが相溶すれば特に制限はなく、具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が例示されるが、非極性溶剤であるトルエン、キシレン、ヘキサン等が好適に用いられる。ここで、被覆層の乾燥温度としては、70〜200℃が好ましく、さらに被覆層の熱的安定性を考慮すると、70〜160℃が特に好ましい。乾燥温度が70℃より低いと乾燥が不十分になる場合があり、200℃より高いと、内層の弾性層及び被覆層の劣化を招く恐れがある。また、被覆層の厚さは、用いる材料、組成及び用途等により適切な値に設定するものであり、特に限定されないが、通常1〜100μmが好ましい。1μmより薄くなると耐磨耗性が低下し、長期間の耐久性が低下する傾向がある。また、100μmより厚いと、弾性層との線膨張率の差に起因して、しわが発生しやすくなる、または圧縮歪みが大きくなるなどの問題が発生する傾向がある。被覆層の厚みを調整するために、スプレー法、ディップ法等の方法を数回繰り返し、重ね塗りしてもよい。本発明においては、被覆層溶液の被膜製を改善するために、レベリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
他部材と接触しながら回転する電子写真用弾性ローラとして使用される場合は、耐磨耗性が必要であるため、耐磨耗性に優れるウレタン結合を有する化合物を含有する最外層を形成することが好ましい。被覆層と同様、最外層も適度な柔軟性を有する必要があり、この観点からはポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート骨格を有する樹脂を主な組成とするウレタン樹脂組成物からなることが好ましく、これらはポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンのブレンド樹脂、あるいは1分子中にウレタン結合とポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリシロキサンからなる群において選ばれる少なくとも1つの骨格を有するウレタン樹脂組成物であってもよい。
また、最外層を構成する樹脂組成物には抵抗調整、表面形状の調整あるいは被覆層に対する接着性等の観点から、導電性付与剤、各種フィラー、カップリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
本発明の最外層の形成方法としては特に制限はないが、被覆層と同様の方法で塗布することができ、スプレー塗布、ディップ塗布、ロールコート等の方法を用いて所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥、硬化させることにより、最外層を形成することができる。具体的には、前記最外層として使用される樹脂を溶剤に溶かして固形分を5〜20%にしてスプレーあるいはディップ塗布する方法が簡便である。使用する溶剤としては用いる最外層の主成分である樹脂が相溶すれば特に制限はなく、具体的には、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、イソプロパノール、水等が例示される。特に、ウレタン樹脂を用いて被覆層を形成する場合、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが相溶性の観点から好ましい。ここで、最外層の乾燥温度としては、70〜200℃が好ましい。乾燥温度が70℃より低いと乾燥が不十分になる場合があり、200℃より高いと、内層の弾性層の劣化を招く恐れがある。また、最外層の厚さは、用いる材料、組成及び用途等により適切な値に設定するものであり、特に限定されないが、通常1〜100μmが好ましい。1μmより薄くなると耐磨耗性が低下し、長期間の耐久性が低下する傾向がある。また、100μmより厚いと、弾性層との線膨張率の差に起因して、しわが発生しやすくなる、または圧縮歪みが大きくなるなどの問題が発生する傾向がある。被覆層の厚みを調整するために、スプレー法、ディップ法等の方法を数回繰り返し、重ね塗りしてもよい。本発明においては、被覆層溶液の被膜製を改善するために、レベリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
前記弾性層としては、(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む化合物と、(C)ヒドロシリル化触媒(D)導電性付与剤を必須成分とする硬化性組成物の硬化物を好適に使用することができる。前記硬化性組成物は分子量及び官能基量を変化させることで、容易に硬化物の物性を制御することができる。
前記(A)成分の、分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体のアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、メタクリル基等が挙げられる。好適には、下記式(1)、
2C=C(R1)−CH2− (1)(式中、R1は水素原子またはメチル基)
で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。また、(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を重合体末端に導入されていることが望ましい。このようにアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度のゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
また、(A)成分の主鎖は任意の重合体から選ぶことができ、特に制限されるものではない。例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリオキシアルキレン、ポリシロキサン、ポリスルフィドなどが挙げられる。特に、オキシアルキレン単位からなる重合体は、硬化前に低粘度であるため扱いやすく、また、弾性ローラの用途で使用する場合、硬化物が特に柔軟な構造を持つため、肉厚を薄くしても十分にその弾性効果を発揮するという点で、好ましい。
また、本発明の硬化性組成物の(A)成分として使用される前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシアルキレン単位は、一種類である必要はなく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる共重合体(グラフト重合体も含む)であってもよい。電気特性の環境安定性において、主鎖骨格として比較的吸水性の低いオキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位からなる重合体であることが好ましく、コスト面を考慮すると、オキシプロピレン単位からなる重合体が、特に好ましい。
上記のようなポリオキシアルキレン系重合体の分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)で500〜50,000であることが、その取扱やすさ、硬化後のゴム弾性の点で好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量が50,000以上の場合、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
次に、前記(B)成分である化合物は、弾性層の樹脂硬化が目的であり、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であれば良いが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると、硬化後も多量のヒドロシリル基硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因となるため、その数を50個以下に調整するのが好ましく、更には、硬化物のゴム弾性の制御や貯蔵安定性を良好にする観点からは、2〜30個に調整することがより好ましい。尚、本発明において、ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することを意味する。よって、SiH2の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が、硬化性とゴム弾性の点から好ましい。
このような化合物の分子量は、成形品の加工性を良好にする観点からは、数平均分子量(Mn)で30,000以下に調整するのが好ましく、更に、上記ベースポリマーとの反応性や相溶性を良好にする観点からはMnで300〜10,000に調整するのがより好ましい。
また、以上の化合物は、ベースポリマーの凝集力が化合物の凝集力に比べて大きいことを考慮すると、相溶性の点でフェニル基含有変成体を有することが重要であり、入手のし易さの点ではスチレン変成体が好適であり、貯蔵安定性の観点からはα−メチルスチレン変成体が好適である。
(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金ービニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化反応を十分に進行させるには、10-2〜10-6molの範囲で用いるのがさらに好ましい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1モル以上用いない方がよい。
(D)成分の導電性付与剤としては、カーボンブラックや金属酸化物、金属微粉末、さらには、第4級アンモニウム塩、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルイミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤といった化合物などがあげられる。本発明における(D)成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記カーボンブラックの例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、オイルブラックなどがあげられる。これらカーボンブラックの種類、粒径等に制限はない。
(D)成分の添加量は、所望の導電特性に応じて調整して添加され、(A)成分の重合体100重量部に対し、0.01〜100重量部、さらには0.1〜50重量部用いることが好ましい。添加量が少なすぎると、発現される導電付与能が不十分であり、また、添加量が多すぎると硬化性組成物の粘度の上昇が大きく作業性が悪くなる恐れがある。また、用いる導電性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、導電性付与物質のヒドロシリル化反応に対する影響を考慮する方が好ましい。
本発明では必要に応じて、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤を適宜添加してよい。前記充填剤の具体例としては、シリカ微粉末、金属微粉末、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウムなどが挙げられる。
本発明の硬化性組成物には貯蔵安定性を改良する目的で、貯蔵安定性改良剤を使用することができる。この貯蔵安定性改良剤としては、本発明の(A)成分の保存安定剤として知られている通常の安定剤であり、所期の目的を達成するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、エチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、本発明のような電子写真方式を利用した画像形成装置に組み込まれるローラ用途で使用される場合においては、前記硬化性組成物からなる硬化物のASKER−C硬度は、20°〜80°であることが好ましく、特に他部材と接触しながら、トナーを搬送する現像ローラに用いられる場合は、30〜70°であることが好ましい。前記範囲より低硬度の領域では、硬度が低すぎるため、圧縮歪みが大きくなり、逆に高硬度の領域では、硬度が高すぎるため、トナーに大きなストレスがかかるため好ましくない。
本発明の硬化性組成物からなる弾性ローラは、導電性シャフトの周りに少なくとも1層の前記硬化性組成物からなる弾性層を形成することによって使用される。ゴムローラの弾性層の形成方法は、特に限定されず、従来公知の各種ローラの成形方法を用いることができる。例えば、中心にSUS製などの導電性シャフトを設置した金型に、組成物を押出成形、プレス成形、射出成形、反応射出成形(RIM)、液状射出成形(LIM)、注型成形などの各種成形法により成形し、適切な温度および時間で加熱硬化させて、導電性シャフトの周りに導電性弾性層を成形する。ここで、本発明における導電性ローラの製造方法としては、弾性層を形成するための硬化性組成物が液状である場合、生産性、加工性の点で液状射出成形が好ましい。この場合、硬化性組成物は、半硬化させた後に、別途後硬化させるプロセスを設けて完全硬化させてもよい。
以下に具体的実施例に従い本発明の説明を行う。
これらの実施例および比較例の電子写真用弾性ローラは長さ248mm、外径8mmの表面にNiメッキを施したSUM材の表面にプライマー処理を施したものを支持部材として用いた。
(実施例1)
(A)アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名カネカサイリルACS003、カネカ製):500g、
(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名CR100、カネカ製):33g、
(C)ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液):0.30g、
(D)導電性付与剤として3030B(三菱化学製):70g、
さらに、貯蔵安定性改良剤としてマレイン酸ジメチル:0.20g、
を混合し、減圧(10mmHg以下、120分間)脱泡した。得られた組成物を前記シャフトを設置した金型内に注入した後、金型ごと140℃で30分間加熱し、組成物を硬化させることにより、シャフトの外周上に厚さ約4mmの導電性弾性体層を形成した。
上記導電性弾性層の外周面上に、接着層として、チタネート系カップリング剤(テトラ(n−ブトキシ)チタン、商品名TBT B−1、日本曹達製)5g、シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、商品名A−171、GE東芝シリコーン製)5g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液)0.01g、酸変成熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成ケミカルズ製)1g、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名HYBRAR 5125、クラレ製)1gをトルエン83gで溶解した溶液をエアスプレー(スプレーバルブ780S−SS、EFD製)を用いて塗布し、25℃×3分間乾燥した。次に被覆層として、酸変成スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成ケミカルズ製)80gをトルエン1000gで溶解した溶液を縦ディップにより塗布し、140℃×10分で乾燥し、さらに、前記方法によりディップしたローラの逆方向より再度縦ディップを行い、140℃×30分乾燥した。
次に、前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、40℃×95%RHの環境に1週間放置した。その後、カートリッジより弾性ローラを取り外し、感光体表面の付着物を金属顕微鏡(ニコン製)を用いて、倍率40倍で観察したところ、1cm×1cm正方形の範囲に付着物は確認されなかった。また、被覆層と弾性層間での接着強度を碁盤目剥離試験で評価したところ、剥離はなかった。前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、30000枚相当の印刷を行った後でも、被覆層の剥離はなかった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で成形した導電性弾性層の外周面上に接着層として、チタネート系カップリング剤(テトラ(n−ブトキシ)チタン、商品名TBT B−1、日本曹達製)5g、シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、商品名A−171、GE東芝シリコーン製)5g、シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名A−187、GE東芝シリコーン製)5g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液)0.01g、酸変成熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成ケミカルズ製)2g、スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名HYBRAR 5125、クラレ製)2gをトルエン81gで溶解した溶液をエアスプレー(スプレーバルブ780S−SS、EFD製)を用いて塗布し、25℃×3分間乾燥した。次に被覆層として、酸変成スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成ケミカルズ製)80gをトルエン1000gで希釈した溶液を縦ディップにより塗布し、140℃×10分で乾燥し、さらに、前記方法によりディップしたローラの逆方向より再度縦ディップを行い、140℃×30分乾燥した。
次に、前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、40℃×95%RHの環境に1週間放置した。その後、カートリッジより弾性ローラを取り外し、感光体表面の付着物を金属顕微鏡(ニコン製)を用いて、倍率40倍で観察したところ、1cm×1cm正方形の範囲に付着物は確認されなかった。また、被覆層と弾性層間での接着強度を碁盤目剥離試験で評価したところ、剥離はなかった。前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、30000枚相当の印刷を行った後でも、被覆層の剥離はなかった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で成形した導電性弾性層の外周面上に接着層として、チタネート系カップリング剤(テトラ(n−ブトキシ)チタン、商品名TBT B−1、日本曹達製)2g、シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、商品名A−171、GE東芝シリコーン製)2g、シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名A−187、GE東芝シリコーン製)2g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液)0.01g、酸変成熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成ケミカルズ製)1g、ビニル基で変成された熱可塑性エラストマー(商品名HYBRAR 5125、クラレ製)1gをトルエン92gで溶解した溶液をエアスプレー(スプレーバルブ780S−SS、EFD製)を用いて塗布し、25℃×3分間乾燥した。次に被覆層として、酸変成スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成製)80gをトルエン1000gで希釈した溶液を縦ディップにより塗布し、140℃×10分で乾燥し、さらに、前記方法によりディップしたローラの逆方向より再度縦ディップを行い、140℃×30分乾燥した。
次に、前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、40℃×95%RHの環境に1週間放置した。その後、カートリッジより弾性ローラを取り外し、感光体表面の付着物を金属顕微鏡(ニコン製)を用いて、倍率40倍で観察したところ、1cm×1cm正方形の範囲に付着物は確認されなかった。また、被覆層と弾性層間での接着強度を碁盤目剥離試験で評価したところ、剥離はなかった。前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、30000枚相当の印刷を行った後でも、被覆層の剥離はなかった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で成形した導電性弾性層の外周面上に接着層として、チタネート系カップリング剤(テトラ(n−ブトキシ)チタン、商品名TBT B−1、日本曹達製)5g、シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、商品名SZ6300、東レダウコーニング製)5g、シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名A−187、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液)0.01g、日本ユニカー製)5gをトルエン85gで溶解した溶液をエアスプレー(スプレーバルブ780S−SS、EFD製)を用いて塗布し、25℃×3分間乾燥した。次に被覆層として、酸変成スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、旭化成製)80gをトルエン1000gで希釈した溶液を縦ディップにより塗布し、140℃×10分で乾燥し、さらに、前記方法によりディップしたローラの逆方向より再度縦ディップを行い、140℃×30分乾燥した。
次に、前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、40℃×95%RHの環境に1週間放置した。その後、カートリッジより弾性ローラを取り外し、感光体表面の付着物を金属顕微鏡(ニコン製)を用いて、倍率40倍で観察したところ、1cm×1cm正方形の範囲に付着物は確認されなかった。また、被覆層と弾性層間での接着強度を碁盤目剥離試験で評価したところ、剥離が起こった。前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、30000枚相当の印刷を行った後では、被覆層の剥離がみられた。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で成形した導電性弾性層の外周面上に、被覆層として、酸変成スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名TUFTEC M1913、クラレ製)80gをトルエン1000gで希釈した溶液を縦ディップにより塗布し、140℃×10分で乾燥し、さらに、前記方法によりディップしたローラの逆方向より再度縦ディップを行い、140℃×30分乾燥した。
次に、前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、40℃×95%RHの環境に1週間放置した。その後、カートリッジより弾性ローラを取り外し、感光体表面の付着物を金属顕微鏡(ニコン製)を用いて、倍率40倍で観察したところ、1cm×1cm正方形の範囲に付着物は確認されなかった。また、被覆層と弾性層間での接着強度を碁盤目剥離試験で評価したところ、剥離が起こった。前記弾性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン製)にセットし、30000枚相当の印刷を行った後でも、被覆層の剥離が起こった。
本発明の画像記録装置の一実施形態の構成図である。
符号の説明
1 導電性シャフト
2 弾性層
3 被覆層

Claims (16)

  1. 金属支持部材と、該支持部材外周面上に形成された弾性層と、その外周面上に形成された中間層と、さらにその外周面上に形成された少なくとも1層以上からなる被覆層とからなる電子写真用弾性ローラであって、前記中間層が少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー樹脂及び少なくとも1種類のカップリング剤を含む層を有することを特徴とする、電子写真用弾性ローラ。
  2. 前記中間層が反応性官能基を有するスチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用弾性ローラ。
  3. 前記中間層が、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  4. 請求項3に記載の、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂の酸平均濃度が0.1〜20mgCH3ONa/gであることを特徴とする、請求項3に記載の電子写真用弾性ローラ。
  5. 前記中間層が、少なくとも一部が炭素間不飽和結合を有する官能基で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  6. 前記中間層がチタネート系カップリング剤及び/またはシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  7. 該中間層が、熱可塑性エラストマー樹脂100重量部に対して、カップリング剤を100〜1000重量部の割合で有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  8. 前記被覆層の少なくとも1層が、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  9. 前記被覆層が、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  10. 該被覆層中の、少なくとも一部が酸及び/または酸無水物で変成されているスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂の酸平均濃度が0.1〜20mgCH3ONa/gであることを特徴とする請求項9に記載の電子写真用弾性ローラ。
  11. 前記被覆層が、
    酸及び/または酸無水物で変成されていないスチレン系熱可塑エラストマー
    及び/または
    オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  12. 前記電子写真用弾性ローラの最外層にウレタン結合を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  13. 請求項1に記載の弾性層が、
    (A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体
    (B)分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
    (C)ヒドロシリル化触媒
    (D)導電性付与剤
    を必須成分とする硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  14. 前記(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が分子末端に含有されていることを特徴とする請求項13に記載の電子写真用弾性ローラ。
  15. 前記(A)成分の有機重合体がオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする請求項13〜14のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
  16. 前記電子写真用弾性ローラがトナーと接触して使用されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真用弾性ローラ。
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