JP4737930B2 - 高純度シリカゲルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高純度シリカゲルの製造方法に関し、詳しくは、SiO2を主成分とするアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から、アルカリ金属や遷移金属などの不純物の含有量が極めて低い高純度シリカゲルを製造する方法を提供する方法に関する。
高純度シリカゲルは、LSI等電子部品封止剤樹脂の充填剤原料や高純度透明石英ガラス、特殊セラミックス及び半導体用研磨材などの原料として用いられるほか、医薬品、化粧品、食品などの分取や精製に用いられるシリカゲル系充填剤の重要な原料である。例えば、液相クロマトグラフカラムを形成し、医薬品、化粧品等の成分の分取や精製に用いられるシリカゲル系充填剤は、当該充填剤中に数〜数十ppm単位で含まれているアルカリ金属や遷移金属と、対象である医薬品や化粧品成分との反応等により充填剤の吸着分離の機能低下が起こるため、シリカゲル中の不純物の含有量を極限まで低減することが望まれている。
従来高純度シリカゲルの製造方法としては、いくつかの方法が知られており、そのうち、高純度の四塩化ケイ素を酸素・水素炎下で反応させる方法や金属アルコキシドを原料として用いる方法は、極めて高純度のシリカゲルを製造する方法ではあるが、原料の価格が高く製造コストが高くなるため、一般的には安価、経済的に実施できる方法ではない。
一方、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液(以下「ケイ酸アルカリ水溶液」ともいう。)を原料としこれを鉱酸等によりゲル化する方法もよく知られており、当該方法は、原料の価格が安価であり、より工業的方法として適しているが、原料中の不純分濃度が比較的高いため、これらの不純物を充分に除去する工程が必要である。
この精製方法としては、ケイ酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂と接触させる方法、キレート剤存在下にゲル化させる方法が知られているが、前者は、イオン交換樹脂が高価であるのに加え、吸着効率を維持するためケイ酸アルカリ濃度を希釈しなければならず、装置効率が悪く、またイオン交換樹脂を充填してカラムを形成したり、樹脂の再生操作、二基のカラムを設置してその切り替え操作等の煩わしい工程を余計に行う必要があり、一方、後者は、高価なキレート剤を使用するため、処理後の水溶液からの厄介な回収操作が必要となる。
したがって、ケイ酸アルカリ水溶液を原料としてこれをゲル化する方法であって、しかも、陽イオン交換樹脂やキレート剤を使用せずに、基本的な操作だけで高純度のシリカゲルを安価に製造しうる方法が望まれる。
かかる観点から、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を0.05〜1.0mmφ、好ましくは0.1〜0.3mmφの孔径の円形紡糸ノズルまたは中空糸用紡糸ノズルより静置した鉱酸中に分散よく押し出し、長繊維状ゲルを生成させ、これを毎分1〜100mの引取速度でローラー等で引き取り、この中空、高膨潤した長繊維状ゲルを、低濃度鉱酸浴中に浸漬して不純物を抽出後、水洗し、加熱処理することにより、高純度シリカゲルを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4を参照。)。
この方法は、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、孔径0.05〜1.0mmφの超微細な紡糸ノズルから長繊維状に押し出すため、かなりの高圧ポンプ等特別の装置が必要となり、また、孔径が極めて小さいため、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の押し出し速度が低くなりすぎると、このノズル先端部でゲル化が進行し、ノズルが閉塞するトラブルを起こしやすく安定性の点で問題がある。また、このような微細孔径のノズルを使用するため、生産性が低いという問題がある。
なお、本発明者らが検討したところによれば、孔径の上限である1.0mmφ程度のノズルでは、撹拌下の凝固浴においては、実際上はロールで巻き取るような長繊維状のゲルは得られず、粒状のゲルが生成される。
特公平7−57685(特許請求の範囲、請求項1、第6欄第42行〜48行) 特公平7−106890(特許請求の範囲、請求項1、第6欄第16行〜37行) 特開平8−169711(〔0012〕〜〔0015〕) 特開平11−11929(〔0017〕)
本発明の目的は上記したごとく、不純分濃度が高くばらつきも大きい標準的なアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を原料として、これから、陽イオン交換樹脂やキレート剤を使用せずまた、超微細な防止ノズルや高圧ポンプ等を必要とせず、基本的な操作だけで、安定性よく、高純度のシリカゲルを安価に製造しうる方法を提供することである。
本発明に従えば、以下の高純度シリカゲルの製造方法が提供される。
〔1〕
高純度シリカゲルを製造する方法において、
(1)アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、孔径1.0〜4.0mmφのチュ−ブから濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出してシリカヒドロゲルを生成し、次いで水洗する第1段不純物除去工程、
(2)得られたシリカヒドロゲルを水酸化ナトリウム水溶液により溶解する、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び
(3)このアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、再び孔径1.0〜4.0mmφのチューブからの濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出して再びシリカヒドロゲルを生成し、このシリカヒドロゲルを更に濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液に浸漬した後水洗する第2段不純物除去工程を含むことを特徴とする高純度シリカゲルの製造方法。
〔2〕
前記第2段不純物除去工程で得られたシリカヒドロゲルについて、さらにアルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び第2段不純物除去工程をセットで1回以上実施する〔1〕項に記載の高純度シリカゲルの製造方法。
〔3〕
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の当該鉱酸液中への流出速度が0.3〜0.9m/sである〔1〕項または〔2〕項に記載の高純度シリカゲルの製造方法。
本発明の方法にしたがえば、イオン交換樹脂やキレート剤などなんら使用することなく、また、高圧ポンプ等の特殊な装置や、従来のごとく、ロールで引き取るような長繊維状ゲルを生成する非常に微細孔径のノズルを使用しないにかかわらず、不純分濃度が高く、ばらつきも大きい標準的な市販のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を原料として、極めて高純度のシリカゲルを、安価でかつ安定的に生産できる。
本発明の方法により得られた、高純度シリカゲルは、LSI等電子部品封止剤樹脂の充填剤原料や透明透明石英ガラス、特殊セラミックスなどの原料として用いられるほか、医薬品、化粧品、食品成分などの分取や精製を対象とするシリカ系充填剤の重要な原料として好適に使用可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、基本的に、
(1)アルカリ金属ケイ酸塩水溶液からシリカヒドロゲルを生成、水洗する第1段不純物除去工程(以下「第1段工程」ということもある。)、
(2)得られたシリカヒドロゲルからアルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び
(3)このアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から再度シリカヒドロゲルの生成、酸浸漬する第2段不純物除去工程(以下「第2段工程」ということもある。)を含む。
(第1段不純物除去工程)
第1段工程は、原料であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、好ましくは撹拌下に、孔径(内径を示す。以下同じ。)1.0〜4.0mmφのチュ−ブから、濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出して粒状のシリカヒドロゲルを生成し、次いで水洗する不純物除去工程である。
本発明の方法におけるアルカリ金属ケイ酸塩のアルカリ金属としては、特に限定するものでなく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられ、そのうち、入手容易性や経済性等の理由により、ナトリウム及びカリウムが好ましく、ナトリウムが最も好ましい。以下、アルカリ金属としてナトリウムを例に取って述べるが、この説明は、他のリチウム、カリウム、ルビジウム等の場合についてもそのまま妥当する。
本発明において、原料であるアルカリ金属ケイ酸塩におけるナトリウムとケイ酸の割合Na2 O/SiO2 (モル比)は、1.0〜4.0程度、好ましくは2.0〜3.8程度、さらに好ましくは2.0〜3.5程度である。また、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO2 として5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは20〜30質量%である。
実際に使用するアルカリ金属ケイ酸塩は、粘度が室温(20℃)で5〜1000mPa.s、不純物濃度(SiO2に対する濃度)は、アルミニウム100〜1000ppm、鉄10〜100ppm、チタン100〜500ppm、マグネシウム10〜100ppm、カルシウム10〜100ppm、銅10ppm以下、亜鉛10ppm以下であるような市販のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液であることが好ましい。
凝固浴である鉱酸は、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられ、なかでも硫酸を用いるのが好ましい。鉱酸の濃度(水溶液濃度をいう。以下同じ。)は、5〜30質量%である。鉱酸の濃度が5%未満では、凝固速度が低く、鉱酸に対するアルカリ金属ケイ酸塩水溶液の添加量が少なくなり、生産性が大幅に下がるため実用的でない。また鉱酸の濃度が30%を越えると、凝固速度があまり速くなりすぎて、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を添加する際の操作性及び反応制御性が著しく悪化するため好ましくない。このような、浴温度は、特に限定する必要はないが、通常50〜80℃程度の加温状態で操作することが好ましい。なお、凝固浴としては、通常の容器が使用できるが、好ましくは、アルカリ金属ケイ酸塩の供給手段(押出チューブ及びポンプ)、撹拌手段及び加熱手段を備えた装置であることが好ましい。
本発明においては、原料であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、好ましくは撹拌下に、孔径1.0〜4.0mmφ、好ましくは孔径1.0〜3.8mmφ、さらに好ましくは1.0〜3.5mmφ、最も好ましくは1.0〜3.0mmφのチューブから、凝固浴中に押し出され、通常、粒径0.05〜3.0mm、好ましくは0.1〜2.0mm程度の粒状のシリカヒドロゲルを形成する。
チューブ孔径が、あまり小さくなり、1.0mmφ未満では、これを押し出すのに高圧ポンプを要するようになり、また、チューブ出口においてアルカリ金属ケイ酸塩水溶液が凝固し、押し出し操作が困難になりやすい。またチューブ孔径が内径4.0mmφを越えると、生成するシリカヒドロゲルの粒子径が大きくなりすぎるため、粒子内部が充分にゲル化しない場合があり、また、当該シリカヒドロゲル内部の金属不純分が、ヒドロゲルの周りの鉱酸と接触する機会が減少し、鉱酸中に抽出されにくく高純度にはなりにくい。
本発明におけるチューブとしては、紡糸用ノズルのごとき特殊なノズルを使用することは不必要であり、単なるチューブまたは細管で充分である。またチューブの材質は特に規定するものではないが、SUS等の金属、金、白金等の貴金属、ガラス、フッ素樹脂等の樹脂、樹脂ライニングした金属等任意のものを選択使用することができる。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の鉱酸液中への供給速度(流出速度)としては、通常0.3〜0.9m/sが好ましい。供給速度があまり小さく、0.3m/s未満では、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を添加する際の反応制御性が著しく悪化し、場合によってはチューブ出口で生成したシリカヒドロゲルにより閉塞することがあり、また0.9m/sを超えると、表面のみゲル化した過大な粒径のシリカヒドロゲルが形成されやすく、好ましくない。なお、アルカリ金属ケイ酸塩の処理量に応じて、上記規定した孔径のチューブを複数本凝固浴に設置し、それぞれのチューブにおける供給速度を上記範囲に維持しながら、鉱酸液中に供給することができる。
本発明においては、上記した鉱酸を単独で又は混合して使用してもよいが、さらに金属不純分除去効率を向上させるために、公知のごとく、当該鉱酸に対し、過酸化水素添加してもよい。過酸化水素の添加量は、鉱酸全量に対し、0.1〜20%、好ましくは1〜15%程度とすることが好ましい。
以上のごとくして得られたシリカヒドロゲル粒子は、酸水溶液と分離し、充分水洗される。
水洗に用いる水の水質は、通常のイオン交換水レベルでかまわない。水洗は、生成されるシリカヒドロゲルの5〜20質量倍、好ましくは8〜12質量倍程度のイオン交換水を使用し、好ましくは水洗、濾過を繰り返し行い、シリカヒドロゲルスラリーのpHが、例えば5.0以上になった時点で水洗を終了する。水洗の繰り返し回数は、特に限定するものではないが、通常4〜20回、好ましくは5〜15回、さらに好ましくは7〜10回程度である。
(シリカヒドロゲル溶解工程)
当該溶解工程は、第1段不純物除去工程で得られた粒状のシリカヒドロゲルを、再度水酸化ナトリウム水溶液(一般的には、水酸化アルカリ水溶液)により溶解し、第2段不純物除去工程の原料となるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を調製する工程である。
なお、溶解工程を行うための装置としては、通常の容器が使用できるが、好ましくは、撹拌手段及び加熱手段を備えた装置であることが好ましい。
この工程で生成されるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液としては、ナトリウムとケイ酸の割合Na2 O/SiO2 (モル比)が、1.0〜4.0程度、好ましくは2.0〜3.8程度、さらに好ましくは2.0〜3.5程度であり、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO2 として5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは20〜30質量%であり、粘度が室温(20℃)で5〜1000mPa.sであるようなものである。
シリカヒドロゲルの溶解に使用する水酸化ナトリウム水溶液は市販されているもの(48%水溶液)をそのまま、または適当に希釈して使用することができる。また、当該ヒドロゲルを溶解する温度は、特に限定する必要はないが、通常50〜95℃程度の加温状態で操作することが好ましい。溶解に要する時間は、温度によっても変わりうるが、通常10分〜5時間、好ましくは30分〜3時間程度である。
(第2段不純物除去工程)
第2段不純物除去工程は、この調製したアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から、再度シリカヒドロゲルの生成、酸浸漬して不純物の抽出除去を行う不純物除去工程である。
すなわち、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、好ましくは撹拌下に、孔径1.0〜4.0mmφ、好ましくは1.0〜3.8mmφ、さらに好ましくは1.0〜3.5mmφ、最も好ましくは1.0〜3.0mmφのチューブから、濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出して再びシリカヒドロゲルを生成し、このシリカヒドロゲルを更に濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液に浸漬し、不純物の抽出(リーチング)を行った後に水洗するものである。
この酸浸漬による不純物除去工程は、基本的に第1段不純物除去工程と同様の操作を行えばよい。
この第2段不純物除去工程の原料であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液としては、上記したごとく、ナトリウムとケイ酸の割合Na2 O/SiO2 (モル比)が、1.0〜4.0程度、好ましくは2.0〜3.8程度、さらに好ましくは2.0〜3.5程度であり、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、SiO2 として5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは20〜30質量%であり、粘度が室温(20℃)で5〜1000mPa.sであるようなものである。
そして、当該アルカリ金属ケイ酸塩水溶液不純物濃度(SiO2に対する濃度)は、アルミニウム1〜10ppm、鉄1〜10ppm、チタン0.1〜5ppm、マグネシウム3ppm以下、カルシウム3ppm以下、銅1ppm以下、亜鉛2ppm以下であるようなアルカリ金属ケイ酸塩水溶液であることが好ましい。
また、凝固浴としては、第1段工程と同様の容器が使用でき、アルカリ金属ケイ酸塩の供給手段(押出チューブ及びポンプ)、撹拌手段及び加熱手段を備えた装置であることが好ましい。凝固浴である鉱酸は、同様に、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられ、なかでも硫酸を用いるのが好ましい。鉱酸の濃度は、第1段工程と同様にして、5〜30質量%である。なお、浴温度は、同様にして50〜90℃程度の加温状態で操作することが好ましい。
第2段工程の原料であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、好ましくは撹拌下に、第1段工程と同様にして、孔径1.0〜4.0mmφ、好ましくは1.0〜3.8mmφ、さらに好ましくは1.0〜3.5mmφ、最も好ましくは1.0〜3.0mmφのチューブから、適当な流量で凝固浴中に押し出され、同様に、粒径0.05〜3.0mm、好ましくは0.1〜2.0mm程度の粒状のシリカヒドロゲルを形成する。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の鉱酸液中への供給速度としては、第1段工程と同様にして、通常0.3〜0.9m/sが好ましい。本発明においては、同様にして上記した鉱酸を単独で又は混合して使用してもよいが、さらに金属不純分除去効率を向上させるために、公知のごとく、当該鉱酸に対し、過酸化水素を添加してもよい。過酸化水素の添加量は、鉱酸全量に対し、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%程度とすることが好ましい。
かくして生成シリカヒドロゲルを更に濃度5〜30質量%の鉱酸に浸漬し、不純物の抽出(リーチング)を行うための容器としては、特に限定するものではなく、好ましくは撹拌手段及び加熱手段を備えた撹拌容器が好ましい。なお、凝固浴を浸漬容器とすることも可能である。
浸漬容器中の鉱酸の濃度が5%未満では、シリカヒドロゲル中に残存している金属不純分を抽出する効果がほとんど認められず、また鉱酸の濃度を30質量%を超えて濃くしても、それ以上金属不純分を抽出する効果は向上せずに、操作性及び安全性が悪化するため好ましくない。
以上のごとくして酸浸漬処理して得られたシリカヒドロゲル粒子は、当該酸水溶液と分離し、充分水洗される。
水洗に用いる水の水質は、水からの金属不純物混入を避けるために、抵抗率が0.5MΩ・cm以上の純水が適切であるが、通常のイオン交換水レベルでも構わない。水洗は、生成されるシリカヒドロゲルの5〜20質量倍、好ましくは8〜12質量倍程度の純水またはイオン交換水を使用し、好ましくは水洗、濾過を繰り返し行い、シリカヒドロゲルスラリーのpHが、例えば5.0以上になった時点で水洗を終了する。水洗の繰り返し回数は、特に限定するものではないが、通常4〜20回、好ましくは6〜15回、さらに好ましくは8〜10回程度である。
本発明においては、以上の第1段不純物除去工程、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程及び第2段不純物除去工程を少なくともセットとして1回行うものである。通常は1回実施することで充分であるが、目的とする高純度シリカゲルの不純物濃度に応じて、前記第2段不純物除去工程により得られたシリカヒドロゲルについて、さらにアルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び第2段不純物除去工程をセットで1回以上、例えば10回程度まで実施することができる。
以上のごとくして水洗が終了したシリカゲルは、最後に充分乾燥して目的である高純度シリカゲルが得られる。乾燥温度は、少なくとも120〜240℃、好ましくは140〜220℃、さらに好ましくは150〜200℃であり、また乾燥時間は、少なくとも5〜20時間、好ましくは8〜16時間、さらに好ましくは10〜14時間である。
乾燥装置としては、特に限定するものではないが、例えば、通気箱型乾燥機、通気回転乾燥機、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、電気箱型乾燥機等が適宜使用可能である。
以上説明した製造方法により得られる本発明にかかる高純度シリカゲルは、不純分濃度がアルミニウム1ppm以下、鉄2ppm以下、チタン0.1ppm以下、マグネシウム0.5ppm以下、カルシウム1ppm以下、銅0.1ppm以下、亜鉛0.2ppm以下のものである。
(実施例)
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
(1)第1段不純物除去工程として、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2:24%、モル比SiO2/Na2O=3.1)900gを、内径1.0mmφのフッ素樹脂製チューブを通して、ポンプで、75℃に保持した1.5%過酸化水素と15%硫酸の混合水溶液1Lを入れた撹拌機を備えた凝固浴中へ、撹拌下に、0.48m/sの速度で押し出しゲル化させた。粒状(粒径0.1〜2.0mm)で得られたシリカヒドロゲルを上記酸含有混合水溶液と分離した。当該シリカゲルを、その10倍量のイオン交換水を用いて8回洗浄し、濾過して洗浄シリカヒドロゲルを得た。
(2)このシリカヒドロゲル、48%水酸化ナトリウム及びイオン交換水を温度75℃で撹拌して約2時間で溶解し、次工程の原料となるケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2:24%、モル比SiO2/NaO=2.9)を得た。
(3)引き続き、第2段不純物除去工程として、第1段不純物除去工程と同様に、上記ケイ酸ナトリウム水溶液900gを、内径1.0mmφのフッ素樹脂製チューブを通して、ポンプで、75℃に保持した1.5%過酸化水素と15%硫酸の混合水溶液1Lを入れた撹拌機を備えた凝固浴中へ、撹拌下、0.48m/sの速度で押し出し再度ゲル化させた。粒状(粒径0.1〜2.0mm)で得られたシリカヒドロゲルをこの酸含有液と分離し、新たに調整した0.5Lの15%硫酸水溶液中に浸し、温度75℃で1時間撹拌し、不純物の酸溶液による抽出操作を行った。得られたシリカヒドロゲルは、当該シリカヒドロゲル量の10倍量のイオン交換水を用いて8回洗浄し、濾過して洗浄シリカヒドロゲルを得た。
(4)かくして得られたシリカヒドロゲルを熱風乾燥機により180℃に保持して12時間乾燥し、高純度乾燥シリカゲルを得た。このシリカゲルの金属不純物濃度をICP分析法により測定した。その結果を表1に示した。
第1段不純物除去工程、及び第2段不純物除去工程おける、過酸化水素と硫酸の混合水溶液を入れた凝固浴中の鉱酸に15%の硫酸のみを使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。得られた乾燥シリカゲルの不純物濃度をIPC分析法により測定した結果を表1に示した。
第1段不純物除去工程、及び第2段不純物除去工程におけるケイ酸ナトリウム水溶液を凝固浴液中に押し出す際、内径3.0mmφのチューブを使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。得られた乾燥シリカゲルの不純物濃度をICP分析法により測定した結果を表1に示した。
第1段不純物除去工程、及び第2段不純物除去工程の凝固浴の鉱酸に25%硫酸を使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。得られた乾燥シリカゲルの不純物濃度をICP分析法により測定した結果を表1に示した。
〔比較例1〕
(1)第2段不純物除去工程のみを実施する実験を行った。すなわち、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2:24%、モル比SiO2/NaO=3.1)900gを、内径1.0mmφのフッ素樹脂チューブを通して、75℃に保持した1.5%過酸化水素と15%硫酸の混合水溶液1Lを入れた凝固浴中へ、ポンプで、0.48m/sの速度で押し出しゲル化させた。
(2)粒状(粒径0.1〜2.0mm)で得られたシリカヒドロゲルを前記酸含有液と分離し、新たに調整した0.5Lの15%硫酸水溶液中に浸し、温度75℃で1時間撹拌して不純物を当該酸溶液中に抽出した。得られたシリカヒドロゲルを、当該シリカゲル量の10倍量のイオン交換水を用いて8回洗浄して洗浄、濾過して洗浄シリカヒドロゲルを得た。
(3)得られたシリカヒドロゲルを熱風乾燥機により180℃に保持して12時間乾燥し、乾燥シリカを得た。以上のごとくして、この第2段不純物除去工程のみで得られた乾燥シリカの不純物濃度をICP分析法により測定した結果を表1に示した。
〔比較例2〕
第1段不純物除去工程及び第2段不純物除去工程の凝固浴の鉱酸に40%硫酸を使用したことを除いて、実施例1と同様の操作方法を行った。しかしながら、この条件では、凝固浴へ押し出した後、凝固速度が速くなりすぎて、ケイ酸ナトリウム水溶液が、その押し出しチューブ出口で直ちに凝固してしまい、操作性及び反応制御性が著しく悪化し、操作継続不能となった。
〔比較例3〕
第1段不純物除去工程及び第2段不純物除去工程のケイ酸ナトリウム水溶液を凝固浴液中に押し出す際、内径5.0mmφのチューブを使用するほかは、実施例1と同様の実験を行った。得られた乾燥シリカゲルの不純物濃度をICP分析法により測定した結果を表1に示した。
(結果の考察)
表1から明らかなごとく、本発明で規定した方法に従えば、実施例1〜4に示したように、出発原料として市販のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、そのまま使用したにかかわらず、その目的とする不純物濃度を極限まで低下せしめた高純度シリカゲルを、安定的に、かつ、安価に得ることができる。
これに対し、本発明で規定する条件を充足しない場合には、比較例1、比較例3に示すごとく、その目的とする不純物濃度が極限まで低い高純度シリカゲルを得ることができなかった。なお、凝固浴液の鉱酸濃度が本発明で規定するより高い場合は、比較例3のごとく、凝固浴中へのアルカリ金属ケイ酸塩水溶液自体の押し出しが不可能になった。
Figure 0004737930
本発明の方法にしたがえば、厄介なイオン交換樹脂やキレート剤などなんら使用することなく、しかも、高圧ポンプ等の特殊な装置や、長繊維状のゲルを生成させる非常に微細なノズルを使用しないにかかわらず、不純分濃度が高くばらつきも大きい標準的な市販のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を出発原料として、充分高純度のシリカゲルを、安価でかつ安定的に生産できる。
本発明の方法により得られる高純度シリカゲルは、LSI等電子部品封止剤樹脂の充填剤原料や高純度透明石英ガラス、特殊セラミックス、半導体研磨材などの原料として用いられるほか、医薬品、化粧品、食品成分などの分取や精製を対象とするシリカ系充填剤の重要な原料として好適に使用可能である。

Claims (3)

  1. 高純度シリカゲルを製造する方法において、
    (1)アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、孔径1.0〜4.0mmφのチュ−ブまたは細管から濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出して粒径0.1〜2.0mmの粒状のシリカヒドロゲルを生成し、次いで水洗する第1段不純物除去工程、
    (2)得られた粒状のシリカヒドロゲルを水酸化ナトリウム水溶液により溶解する、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び
    (3)このアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を、再び孔径1.0〜4.0mmφのチューブまたは細管から濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液中に直接押し出して再び粒径0.1〜2.0mmの粒状のシリカヒドロゲルを生成し、この粒状のシリカヒドロゲルを更に濃度5〜30質量%の鉱酸水溶液に浸漬した後水洗する第2段不純物除去工程を含むことを特徴とする高純度シリカゲルの製造方法。
  2. 前記第2段不純物除去工程で得られたシリカヒドロゲルについて、さらにアルカリ金属ケイ酸塩水溶液生成工程、及び第2段不純物除去工程をセットで1回以上実施する請求項1に記載の高純度シリカゲルの製造方法。
  3. アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の当該鉱酸水溶液中への流出速度が0.3〜0.9m/sである請求項1または2に記載の高純度シリカゲルの製造方法。
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